JP4589136B2 - 伝動用ベルトの製造方法 - Google Patents

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本発明はスノーモービル、スクーター及び一般産業用の変速ベルトとして使用されるダブルコグドベルトである伝動用ベルトの製造方法に係り、詳しくはコグ山形状を正確に成形し、また円筒状母型の寿命を長くして低コストのダブルコグドベルトを作製することができる伝動用ベルトの製造方法に関する。
従来から、スクーターまたは一般産業用の機械分野の駆動系において、駆動プーリと従動プーリに伝動用ベルトを懸架し、プーリの有効径を変化させて変速させるベルト式変速装置が用いられている。ここで使用されている伝動用ベルトは圧縮層と伸張層の少なくとも一方のゴム層にコグ山部とコグ谷部を交互に配したコグ部を有し、心線を接着ゴム層内に埋設した構成からなり、ローエッジシングルコグドベルトあるいはローエッジダブルコグドベルトなどのローエッジコグドベルトが知られている。
上記ローエッジコグドベルトの製造方法のその(1)としては、成形金型上に装着した外補強布、伸張層のゴムシート、心線、圧縮層のゴムシート、そして内補強布を順次巻き付け、突状部と溝状部を交互に有する円筒状母型を嵌入した後、加硫するもので、加硫時の圧力により内補強布を収縮させて、圧縮層のゴムシートを型付けする方法がある。(例えば、特許文献1に開示。)
また、その(2)として、予め用意したベルト周長よりも長い平面状の溝付金型の上に未加硫ゴムシートを設置し、プレスにより加熱加圧してコグ形状に型付けしたコグパッドを作製する。このコグパッドを成形ドラム上に装着した円筒状母型の突状部と溝状部に嵌め込み、コグパッドのカット面を突き合わせてジョイントした後、心線を巻き付け、更に他のゴム層、補強布をこの上から巻き付けて成型を終え、加硫工程へ移行していた。(例えば、特許文献2に開示。)
更に、その(3)として、平面状の溝付金型の上に置いた帆布をピニオンロールにて型付けし、その後ゴムシートを置いて、プレスによる圧入して、コグ形状に型付けしたコグパッドを作製する。このコグパッドを成形ドラム上に装着した円筒状母型の突状部と溝状部に嵌め込み、コグパッドのカット面を突き合わせてジョイントした後、心線を巻き付け、更に他のゴム層、補強布をこの上から巻き付けて成型を終え、加硫工程へ移行していた。(例えば、特許文献3に開示。)
米国特許第3464875号明細書 特開2002−1691号公報 特開2002−188691号公報
しかし、コグ部を形成する場合には、突状部と溝状部を交互に有する円筒状母型を使用していたが、この円筒状母型は表面にナイロン等を素材とした織物を付着しているために、成形後には織物がゴム表面に喰い込み、型付け後のベルトスリーブから容易に抜けない問題があって、離型剤を母型の内面に塗布していた。また、織物の糸目が離型剤やゴム糟で埋まり、空気抜き材としての機能が大きく失われることから、数回を使用限度として母型を破棄していた。
そして、母型の内周面には局部的な空気溜りが発生しやすくなってコグ山形状を成形できない場合があった。また、ナイロン製織物を使用した場合には、少量の水分が付着していても、加硫中に加水分解し、ベルトスリーブと剥離できないことがあった。
本発明は上記の問題点を解消し、コグ山形状を正確に成形し、また円筒状母型の寿命を長くした低コストのダブルコグドベルトを作製することができる伝動用ベルトの製造方法の提供を目的とする。
本願請求項1記載の発明は、圧縮層と伸張層にコグ山部とコグ谷部を交互に配したコグ部を有し、心線を接着ゴム層内に埋設するように形成した伝動用ベルトの製造方法において、
圧縮層形成部材を、突状部と溝状部を交互に有する成形型に巻き付けた後に、圧縮層形成部材のカット面を突合せて接合し、圧縮層形成部材を加熱加圧して成形型の突状部と溝状部にコグ成形し、
コグ形成した圧縮層形成部材の表面に少なくとも心線および伸張層形成部材を順次巻き付けてベルト成形体を作製後、
伸張層形成部材の表面に、ポリメチルペンテンそしてポリエチレンテレフタレートから選ばれた少なくとも一種の樹脂フィルムである空気抜き材を巻き付け、その上に突状部と溝状部を交互に有する円筒状母型を被せた後に加熱加圧してコグ成形するのと同時に加硫し、その後空気抜き材を取り除いた加硫スリーブをV状に切断する、伝動用ベルトの製造方法にあり、伸張層形成部材の表面に空気抜き材を巻き付けることによって、コグ山部成形時における空気の滞留を抑えて流れをよくしてコグ山形状を正確に成形することができる。
本願請求項2記載の発明では、圧縮層形成部材の表面に粘着防止材を巻き付けた後、上記圧縮層形成部材を加熱加圧することもできる。
本願請求項記載の発明では、伸張層形成部材が補強布を含まず、空気抜き材を伸張ゴムシートに直接巻きつけることになり、空気抜け効果により伸張層のコグ山形状が正確に成形できる。

以上のように本発明では、伸張層形成部材の表面に空気抜き材を巻き付けることによって、コグ山部の成形時における空気抜けを容易にしてコグ山形状を正確に成形することができて外観品質が向上し、また該空気抜き材を使用することによって円筒状母型の内周面に付着した織物の不具合もなくなって、該母型をベルトスリーブから容易に抜くことができ、またその使用回数を増やすことができ、低コストのダブルコグドベルトを作製できる効果がある。
以下、本発明の実施例を添付図面に従って説明する。図1は圧縮ゴム用シートを成形金型に巻き付けて、カット面を突合せて接合した工程を示し、図2は圧縮層形成部材の表面に粘着防止材を巻き付けた工程を示し、図3は圧縮層形成部材を加熱加圧して成形金型の突状部と溝状部に密着し型付けした工程を示し、図4は圧縮層形成部材を型付けした状態を示す。
まず、突状部4と溝状部5を交互に有する円筒状母型2を断面真円の型の装着したベース型3を用意し、円筒状母型2の突状部4と溝状部5の表面に圧縮層形成部材Aを形成する補強布6を装着する。この方法としては、例えばピニオンロールを用いて補強布6を円筒状母型2の表面に型付けすることができる。具体的には、ゴム系接着剤を突状部4の表面に塗布した後、引出した接着処理済みもしくは未処理の補強布6を成形金型1とピニオンロールとの間に挟み込み、成形金型1とピニオンロールを同期回転させながら補強布6を引き出しながら突状部4と溝状部5へ押し付けて型付けし、1〜数プライ巻き付けた後、カッターにより補強布6を切断する。この型付け工程は室温もしくは80℃程度まで成形金型1を加熱した環境下で行なわれる。
ここで使用するゴム系接着剤は、下記に示す圧縮ゴム用シート10と同種のゴム配合物に配合し、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン等の溶剤に溶解し、混合して得られたものであり、補強布6の型付けを確実にする。
上記補強布6は綿、ポリエステル繊維、ナイロン等からなり、平織、綾織、朱子織等に製織した布で、経糸と緯糸との交差角が90〜120°程度の広角度帆布でもよい。補強布6はRFL処理した後、ゴム組成物をフィリクション・コーチングしてゴム付帆布とする。RFL液はレゾルシンとホルムアルデヒドとの初期縮合物をラテックスに混合したものであり、ここで使用するラテックスとしてはクロロプレン、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリル、NBRなどである。
続いて、圧縮層形成部材Aを形成する未加硫で所定厚みの圧縮ゴム用シート10の両端面をバイアス状にカットする。この圧縮ゴム用シート10を、図1に示すように上記補強布6を型付けした成形金型1に巻き付けてカット面11を突合せた後、カット面11の位置するシート10の表面に加圧治具(図示せず)で軽く押さえてジョイントした後、加熱プレス12を用いて加熱加圧してジョイント部13を形成する。加熱加圧条件は温度が80〜120℃、面圧が1〜2kg/cm、時間が10〜30秒である。
ここで使用する圧縮ゴム用シート10のゴムは、天然ゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン・α−オレフィンゴム、アルキル化クロロスルファン化ポリエチレン(ACSM)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマー等のゴム材の単独、またはこれらの混合物が使用される。
上記圧縮ゴム用シート10には、ゴム中にアラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿等の繊維からなり繊維の長さは繊維の種類によって異なるが1〜10mm程度の短繊維が用いられ、例えばアラミド繊維であると3〜5mm程度、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿であると5〜10mm程度のものが用いられる。そして、上記ゴム層中の短繊維の方向はベルトの長手方向に対して直角方向を向いているのを90°としたときほとんどの短繊維が70°〜110°の範囲内に配向されていることが望ましい。
図2に示すように、記圧縮ゴム用シート10の表面に粘着防止材15を装着してもよい。これはポリメチルペンテンあるいはポリエチレンテレフタレートからなる耐熱性、離型性に優れる樹脂フィルムであり、1プライ巻き付け重ね合わせて接合した後、圧縮ゴム用シート10の型付け工程へ移行する。
型付け工程は加硫缶を使用することでき、図3に示すように、この場合、粘着防止材15の外側に蒸気遮断材であるゴム製のジャケット17を被せた後、これを加硫缶へ設置し、温度160〜180℃、外圧0.8〜0.9Mpaのみで5〜10分程度型付けし、図4に示すように未加硫の圧縮層20を形成する。加硫缶で型付けしても、圧縮層20のジョイント部13の割れは起こらない。無論、型付けは加硫缶でなく、圧縮ゴム用シート10の外側を加圧バンドで当接しながら加熱、加圧することができる。
図5はベルト成形体を作製した状態を示すものであり、成形金型1を成形機(図示せず)に装着し、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等のコードからなる心線30をスパイラルに巻き付けた後、接着ゴム層を形成する接着ゴムシート31、伸張層形成部材Bである伸張ゴムシート33と補強布34を順次巻き付けて、ベルト成形体35を作製する。
尚、伸張層形成部材Bとして伸張ゴムシート33のみを使用し、補強布34を使用しなくてもよい。
そして、図6に示すようにベルト成形体35の外周面に空気抜き材36を1層もしくは複数層巻付けた後、成形金型1を成形機から取り出す。そして、図7に示すようにベルト成形体35の外側に内周面に突状部38と溝状部39を交互に有する円筒状母型37とジャケット(図示せず)を被せる。円筒状母型37の突状部38と溝状部39の表面には、ナイロン等の織物が被覆されている。
ここで使用する空気抜き材36は粘着防止材15と同様にポリメチルペンテンあるいはポリエチレンテレフタレートからなる耐熱性、離型性に優れる樹脂フィルムである。
成形金型1を加硫缶へ移して通常の方法で加硫した後、ジャケット、続いて円筒状のベルトスリーブを成形金型1の円筒状母型2から抜き取りとる。この場合、伸張層形成部材Bの表面に巻付けた空気抜き材36は、コグ山部成形時における空気の滞留を抑えて流れをよくしてコグ山形状を正確に成形する。続いて円筒状のベルトスリーブを成形金型1の円筒状母型2から抜き取り、ベルトスリーブを所定幅に切断して図7に示すようなコグドベルトである伝動用ベルト40を作製する。
伸張ゴムシート33は、圧縮ゴム用シート10と同じゴム組成物を用い、また接着ゴムシート31も圧縮ゴム用シート10と同種であり、上記短繊維を含めてもよいが、好ましくは含めない。
伝動用ベルト40は、接着ゴム層41内にポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等のコードからなる心線42が埋め込まれ、接着ゴム層41の上部、下部にはそれぞれ補強布43を含む伸張層44、また同様に補強布43を含む圧縮層45を有している。圧縮層45には、一定ピッチでベルト長手方向に沿ってコグ谷部46とコグ山部47とを交互に配したコグ部48が設けられ、また伸張層44の表面にも一定ピッチでベルト長手方向に沿ってコグ谷部49とコグ山部50とを交互に配したコグ部51が設けられている。
以下、更に具体的な実施例により本発明の効果を確認する。
補強布として、アラミド繊維(商品名:トワロン)とポリエチレンテレフタレート繊維を重量比で50:50の混撚糸を使用したワイドアングルの平織帆布を用意し、該帆布をRFL液に浸漬した後、150°Cで2分間熱処理し、その後クロロプレンゴム組成物をフリクション・コーチングしてゴム付帆布とした。
圧縮ゴムシートと伸張ゴムシートはアラミド短繊維を含んだクロロプレンゴムからなるゴム組成物を、また接着ゴム層も短繊維を含んだクロロプレンゴムからなるゴム組成物を用意した。圧縮ゴムシートの厚さは6.6mm、伸張ゴムシートの厚さは3.2mmである。
心線として、1,500デニールのアラミド繊維(商品名:トワロン)を上撚り数19.7回/10cm、下撚り数15.8回/10cmで上下逆方向に撚糸して2×3の撚り構成とし、トータルデニール9,000の未処理コードを準備した。次いで、この未処理コードをイソシアネート系接着剤でプレディプした後、約170〜180°Cで乾燥してRFL液に浸漬した後、200〜240°Cで延伸熱固定処理して処理コードとした。
突状部と溝状部を交互に有する円筒状母型を断面真円の型の装着した成形金型を支軸に設置し、クロロプレンゴム組成物をメチルエチルケトンで溶かしたゴム糊を突状部の表面に吹き付けて塗装した。そして、補強布を成形金型とピニオンロールの間に挟み込み、成形金型とピニオンロールを同期回転しながら型付けしながら1プライ積層した。
続いて、端面をバイアスにカットした圧縮ゴムシートを成形金型の補強布の上に巻き付けては端面を突き合わせ、ジョイント部をステッチャーで軽く接合した後、更に加熱プレス(温度100℃、面圧1〜2kg/cm2、15秒間)を用いて接着した。
その後、厚さ0.05mmのポリメチルペンテンフィル(粘着防止材)を圧縮ゴムシートの表面に1プライ巻き付け、更にゴム製のジャケットを被せて、その状態で加硫缶に入れ、加熱加圧条件(温度170℃、外圧0.8Mpaのみで7分程度)によって圧縮ゴムシートを円筒状母型の突状部と溝状部へ型付けした。
更に、心線、接着ゴムシート、伸張ゴムシート、補強布を順次巻き付けてベルト成形体を作製し、更に補強布の表面に厚さ0.05mmのポリメチルペンテンフィルム(空気抜き材)を圧縮ゴムシートの表面に1プライ巻き付け、内周面に突状部と溝状部を交互に有する円筒状母型と、ジャケットを被せて成形金型を加硫缶に設置し、通常の条件で加硫してベルトスリーブを得た。このスリーブをカッターによってV状に切断してスクーター用のダブルコグドベルトに仕上げた。得られたベルトでは、コグ山形状を正確に成形することができた。
本発明の製造方法において圧縮ゴム用シートを成形金型に巻き付けて、カット面を突合せて接合した工程を示す。 本発明の製造方法において圧縮ゴム用シートの表面に粘着防止材を巻き付けた工程を示す。 本発明の製造方法において圧縮ゴム用シートを加熱加圧して成形金型の突状部と溝状部に密着し型付けした工程を示す。 本発明の製造方法において圧縮ゴム用シートを型付けした状態を示す。 本発明の製造方法において型付けした圧縮ゴム用シートの表面にベルト成形体を作製した状態を示す。 本発明の製造方法においてベルトスリーブを作製する工程を示す。 本発明の製造方法において得られたダブルコグドベルトの部分正面図である。
符号の説明
1 成形型
2 円筒状母型
3 成形金型
4 突状部
5 溝状部
6 補強布
10 圧縮ゴム用シート
13 ジョイント部
15 粘着防止材
17 ジャケット
20 圧縮層
30 心線
31 接着ゴムシート
34 補強布
35 ベルト成形体
36 空気抜き材
A 圧縮層形成部材
B 伸張層形成部材


Claims (3)

  1. 圧縮層と伸張層にコグ山部とコグ谷部を交互に配したコグ部を有し、心線を接着ゴム層内に埋設するように形成した伝動用ベルトの製造方法において、
    圧縮層形成部材を、突状部と溝状部を交互に有する成形型に巻き付けた後に、圧縮層形成部材のカット面を突合せて接合し、圧縮層形成部材を加熱加圧して成形型の突状部と溝状部にコグ成形し、
    コグ形成した圧縮層形成部材の表面に少なくとも心線および伸張層形成部材を順次巻き付けてベルト成形体を作製後、
    伸張層形成部材の表面に、ポリメチルペンテンそしてポリエチレンテレフタレートから選ばれた少なくとも一種の樹脂フィルムである空気抜き材を巻き付け、その上に突状部と溝状部を交互に有する円筒状母型を被せた後に加熱加圧してコグ成形するのと同時に加硫し、その後空気抜き材を取り除いた加硫スリーブをV状に切断する、
    ことを特徴とする伝動用ベルトの製造方法。
  2. 圧縮層形成部材の表面に粘着防止材を巻き付けた後、上記圧縮層形成部材を加熱加圧する請求項1記載の伝動用ベルトの製造方法。
  3. 伸張層形成部材が補強布を含まない請求項1記載の伝動用ベルトの製造方法。
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