JP4774069B2 - 歯付ベルト - Google Patents

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本発明は、歯付ベルトに関する。
従来から、自動車や一般産業機械等で用いられる歯付ベルトとして、ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部と、心線が埋設された背部と、歯部を被覆する歯布とを備えるものが知られている。
このような歯付ベルトの製造方法として、歯部と歯布を予め成形した後、ベルトを製造する予備成形工法がある(例えば、特許文献1参照)。具体的には、溝付金型に歯部となる未加硫ゴムシートと歯布を設置した後、プレスにより加熱加圧して、歯部が成形された予備成形体を製造する。この予備成形体を円筒状の溝付金型に設置した後、心線を螺旋状に巻き付け、さらにその上に背部となる未加硫のゴムシートを巻き付けて、加熱加圧して加硫ベルトスリーブを製造する。
一般的に、歯付ベルトは、隣接する歯部間における心線と歯布と間のゴムの厚みは薄い方が好ましい。そのため、特許文献1の予備成形工法では、未加硫ゴムシートを構成するゴムの大部分を溝付金型の歯溝内に押し込んで歯部を成形するとともに、残りのゴムによって隣接する歯部間にできるだけ薄い歯底部を成形している。
しかしながら、上述したように薄い歯底部を成形しようとすると、加熱により流動状態となったゴムが歯布の織目に入り込み、隣接する歯部間において歯布の上にゴムが残らない状態となる場合がある。そこで、心線と歯部との間にゴム組成物で構成された薄い接着層を設ける場合がある。このような接着層は、心線と平行に設けられている。
特開2003-145635号公報
しかし、上述したような接着層を有する歯付ベルトを歯付プーリに巻き掛けて走行させた時、歯部の根元部分に心線と平行なせん断力が作用するため、接着層にせん断応力が集中する。そのため、特に高負荷条件下での走行時において、接着層と心線との間での早期剥離や、接着層自体の破壊による心線と歯部との早期剥離が発生しやすくなる。
そこで、本発明は、ベルト走行時に、歯部の根元部分において局所的に大きな応力が生じるのを防止することができ、高い耐久性を有する歯付ベルト及びその製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び発明の効果
請求項1の歯付ベルトは、ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部と、背部と、ベルト幅方向に並んで配置され、前記背部に一部分が埋設された心線と、前記歯部と前記背部との間に設けられ、前記心線と接触しており、ゴム組成物で構成された接着層と、前記複数の歯部を被覆する歯布と、を備え、前記接着層の前記歯部と接する部分が、ベルト幅方向に隣接する前記心線間において、前記心線に対して、前記背部側に膨らんでいることを特徴とする。
歯付ベルトを歯付プーリに巻き掛けて走行させた時、歯部の根元部分に、ベルト長手方向に関してせん断力が作用する。接着層が心線と平行に設けられている場合、上記のせん断力が接着層に集中的に作用するため、接着層に大きなせん断応力が生じる。一方、本発明では、接着層は、歯部と接する部分において、背部側に膨らんでおり、心線に対して角度を有する。これにより、上記のせん断力が接着層に集中して作用するのが防止され、接着層に生じるせん断応力が低減する。従って、歯部の根元部分において局所的に大きな応力が生じるのを防ぐことができる。即ち、歯部の根元部分に生じる応力集中を緩和することができる。その結果、歯部と心線との間での剥離が抑制され、それにより歯部の根元部分における歯欠けの発生が抑制され、歯付ベルトの耐久性が向上する。
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態の歯付ベルト1は、ベルト長手方向に所定間隔で配置された複数の歯部2と、ベルト長手方向に沿って心線5が埋設された背部3と、歯部2と背部3との間に設けられた接着層4と、複数の歯部2を被覆する歯布6とから構成される。尚、背部3は帆布で被覆されてもよい。
接着層4は、歯部2と接する部分が、心線5に対して、背部3側に膨らんでいる。また、接着層4は、隣接する2つの歯部2の間において、心線5と歯布6との間に介在している。
歯部2及び背部3はゴム組成物で構成されており、そのゴム成分としては、例えば、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレン・プロピレンゴム(EPM)等のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム等の単独又は混合したものが挙げられる。
上記ゴム組成物には、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド、ポリエステル、綿、アラミドなどから1種又は2種以上選ばれる短繊維を混入してもよい。これにより、歯部2及び背部3には亀裂が入りにくく、しかも亀裂が入っても伝播しにくくなる。
さらに、上記ゴム組成物には、硫黄や有機過酸化物などの加硫剤、マレイミド等の加硫助剤、加硫促進剤、カーボンブラックやシリカなどの増強剤、炭酸カルシウムやタルクなどの充填剤、軟化剤、加工助剤、老化防止剤等が配合される。
接着層4はゴム組成物で構成されており、そのゴム成分としては、例えば、水素化ニトリルゴム(HNBR)が用いられる。また、このゴム組成物には、有機過酸化物などの加硫剤、マレイミド等の加硫助剤、加硫促進剤、カーボンブラックやシリカなどの増強剤、充填剤、軟化剤、加工助剤、老化防止剤等が配合される。
心線5としては、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維、カーボン繊維等の低伸度高強度の撚りコードが用いられる。これら撚りコードには、ゴムとの接着性を高める目的で接着処理が施される。
接着処理としては、未処理の撚りコードをエポキシ化合物やイソシアネート化合物からなる処理液に浸漬させてプレディップした後、加熱乾燥し、続いてRFL(レゾルシン−ホルマリン−ラテックス)液に浸漬した後、加熱しながら延伸し、接着処理と延伸処理の両方を行ってもよい。RFL液は、レゾルシンとホルマリンとの初期縮合物をラテックスに混合したものであり、ラテックスとしては、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム、ニトリルゴムなどのラテックスを用いることができる。
歯布6としては、ベルト長手方向に延在する緯糸と、幅方向に延在する経糸とで織られた繊維織物で構成される。この繊維織物の材料としては、例えば、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、綿等であって、これらが単独あるいは組み合わせたものが用いられる。また、緯糸と経糸を構成する繊維の形態は、フィラメント糸及び紡績糸の何れでもよい。また、上記繊維織物の織物構造としては、平織物、綾織物、朱子織物等の何れでもよい。この場合、緯糸には伸縮性を有するウーリーナイロン糸、ウレタン弾性糸、又は、ウレタン弾性糸とナイロン糸との混撚りを一部使用するのが好ましい。
さらに、上記繊維織物としては、少なくとも2種類の緯糸と一種類の経糸とが織成された多重織(2重織)構造のものを採用することもできる。この場合、経糸にはナイロン繊維を使用し、緯糸にはフッ素系繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、又は、ウレタン弾性糸を使用することが好ましい。緯糸のうちの、少なくとも歯布6の表面側(歯付プーリとのかみ合い側)の緯糸としては、例えば、PTFE繊維などの摩擦係数が低いフッ素系繊維を使用することが好ましい。これにより、歯布6と歯付プーリとの間の摩擦を低減することができる。一方、歯布6の歯部2に接する側の緯糸には、ナイロン繊維やウレタン弾性糸などのフッ素系繊維以外の繊維を使用することが好ましい、これにより、歯布6とゴムとの接着力を高めることが可能となる。
さらに、上記繊維織物は、RFL液に浸漬後、加熱乾燥したものを用いることができる。これにより、歯布6とゴムとの接着力が高くなる。また、このRFL処理の後に、未加硫のゴムを摺り込むフリクション処理や、ゴム組成物を溶剤に溶かしたゴム糊を塗布するスプレディング処理を行ったものを用いてもよい。ラテックスとしては、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、クロロスルフォン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴムなどのラテックスを用いることができる。
以上の構成を有する歯付ベルト1は、上述したように、接着層4が隣接する2つの歯部2間において心線5と歯布6との間に介在している。そのため、心線5と歯布6との接着性が向上している。
歯付ベルト1を図示しない歯付プーリに巻き掛けて走行させた時、歯部2の根元部分に、ベルト長手方向に関してせん断力が作用する。そのため、接着層が心線と平行に設けられている場合には、接着層にせん断応力が集中するため、接着層に大きなせん断応力が生じる。一方、上述したように本実施形態の接着層4は、歯部2と接する部分が心線5に対して背部3側に膨らんでおり、心線5に対して角度を有する。これにより、上記のせん断力が接着層4に集中して作用するのが防止され、接着層4に生じるせん断応力が低減する。従って、歯部2の根元部分において局所的に大きな応力が生じるのを防ぐことができる。即ち、歯部2の根元部分に生じる応力集中を緩和することができる。その結果、歯部2と心線5との間での剥離が抑制され、それにより歯部2の根元部分における歯欠けの発生が抑制され、歯付ベルト1の耐久性が向上する。
次に、上記の歯付ベルト1の製造方法について説明する。歯付ベルト1の製造工程としては、最初に、歯部が成形された予備成形シートを製造する予備成形工程を行い、続いて、この予備成形シートを用いてベルトスリーブを製造するベルトスリーブ製造工程を行う。先ず、予備成形工程について説明する。
(第1積層工程)
複数の歯溝23が形成された平板状の第1金型21と、平坦に形成された平板状の第2金型22とからなる1対のプレス金型20を準備する。第1金型21の歯溝23は、歯付ベルト1の歯部2の凸状に対応する凹状に形成されている。図2(a)に示すように、下側に配置された第1金型21に、歯布6と、歯部2形成用の未加硫の第1ゴムシート10を順に積層する。第1ゴムシート10としては、その体積が複数の歯溝23の総容積よりも大きくなるような厚みを有するものが用いられる。特に、その体積が複数の歯溝23の総容積の1.1〜1.3倍となるような厚みを有するものが好適に用いられる。
次に、積層された第1ゴムシート10の表面を剥離フィルム24で被覆する。剥離フィルム24としては、例えば、ポリメチルペンテンやポリエチレンテレフタレートなど、耐熱性に優れ、且つ、ゴム及び金属に対する剥離性が優れているものが用いられる
(第1プレス工程)
剥離フィルム24の上に第2金型22を設置した後、歯布6と第1ゴムシート10と剥離フィルム24とを、1対のプレス金型20間で、所定の圧力条件、及び、所定の温度条件下でプレスして、第1ゴムシート10を半加硫状態にする。このプレスの加熱加圧条件としては、例えば、温度80〜140℃、加圧力1〜5MPaで、1〜5分程度行う。
図2(b)に示すように、このプレスの際、第1ゴムシート10は加熱加圧によって流動状となり、歯布6を押し広げながら第1金型21の複数の歯溝23内に流れ込む。歯溝23内がゴム(及び歯布6)で満たされた後もさらに加圧され、半加硫状態のゴムのほぼ全てが歯溝23内に押し込まれる。これにより、第1金型21の複数の歯溝23に対応する複数の歯部2が成形される。また、第1ゴムシート10を構成するゴムのほぼ全てが複数の歯溝23内に押し込まれ、隣接する2つの歯部2間において歯布6の表面がほぼ露出している。
(第2積層工程)
次に、第2金型22を一旦取り外す。このとき、第1ゴムシート10の体積は複数の歯溝23の総容積よりも大きいため、1つの歯溝23に押し込まれた歯部2の体積は、歯溝23の容積よりも大きくなる。そのため、ゴムの反発弾性力により、歯部2を構成するゴムが、第1金型21の歯溝23から盛り上がる。
次に、剥離フィルム24を歯部2の表面から剥離する。その後、図2(c)に示すように、複数の歯部2及び露出した歯布6の上に、接着層4形成用の未加硫の第2ゴムシート11と、剥離フィルム25を積層する。尚、剥離フィルム25は、剥離フィルム24と同様のものを用いる。
(第2プレス工程)
次に、剥離フィルム25の上に、再び第2金型22を設置する。そして、第2ゴムシート11及び剥離フィルム25を、歯部2及び歯布6ごと、1対のプレス金型20の間で、所定の圧力条件、及び、所定の温度条件下でプレスする。図2(d)に示すように、第2ゴムシート11は、この加熱加圧によって複数の歯部2に圧着されることにより、接着層4となる。即ち、この工程で接着層4が形成される。このときの加熱加圧条件は、第1プレス工程の条件よりも低く設定されており、温度80〜140℃、加圧力1MPa以下で、プレス時間は1分間以内とする。
以上の工程により、複数の歯部2と接着層4と歯布6とからなる予備成形シート12を製造した後、1対のプレス金型20から脱型する。上述したように、成形された歯部2は第2金型22を外すと盛り上がった形状となるため、歯部2に圧着された第2ゴムシート11からなる接着層4は、歯部2に沿って膨らんだ形状となる。即ち、接着層4は、歯部2と接する部分において、歯部2の反対側に膨らんだ形状に形成される。
そして、予備成形シート12の歯部2の数が、歯付ベルト1の歯部2の数と同じ又はそれ以上の場合は、ベルトスリーブ製造工程に移る。一方、歯付ベルト1の歯部2の数よりも少ない場合は、予備成形シート12を歯部2の数に応じて複数枚製造した後、ベルトスリーブ製造工程に移る。
次に、ベルトスリーブ製造工程について説明する。先ず、外周面に周方向に沿って複数の歯溝27が形成されている円筒状の金型(ベルトスリーブ製造用金型)26を準備する。この金型26の歯溝27の容積及び形状は、第1金型21の歯溝23と同じである。図3(a)に示すように、予備成形シート12の歯部2を金型26の歯溝27を嵌合させながら、予備成形シート12を金型26の外周面に設置する。この予備成形シート12の外周上に、心線5を螺旋状に巻き付ける。このとき、心線5は、接着層4の膨らんだ部分に食い込み、さらに、接着層4の膨らんでいない部分に接するように巻き付けられる。尚、図3(a)及び(b)は、螺旋状に巻き付けられた心線5の隙間を通る断面図である。次に、心線5を巻き付けた上から背部3を構成する未加硫の第3ゴムシート13を巻き付け、さらにその外周面にジャケット28を被せて加熱加圧し、歯部2と接着層4と未加硫の第3ゴムシート13を加硫する。このときの加熱加圧条件は、例えば、温度130〜180℃、加圧力0.20〜0.85MPaで、40〜60分間程度行う。
図3(b)に示すように、この加熱加圧の際、第3ゴムシート13は加熱加圧によって流動状となり、心線5の隙間に流れ込む。これにより、心線5を埋設する背部3が形成される。
ここで、予備成形シート12の歯部2は、既にある程度加硫が進んでいる。そのため、歯部2と心線5とが直接接する場合、その接着性は低くなる。そこで、歯部2と心線5との間に、ほとんど加硫の進んでいない接着層4を介在させることにより、歯部2と心線5との接着性が向上する。
以上の工程により、歯布6と複数の歯部2と接着層4と心線5と背部3とからなるベルトスリーブ14が製造される。このベルトスリーブ14を脱型して後、2つの回転ロールに懸架し、所定の張力を与えて回転させながらカッターによって所定の幅に切断することで図1に示す個々の歯付ベルト1に仕上げる。
第1ゴムシート10の体積が、複数の歯溝23の総容積の1.1倍よりも小さい場合、接着層4の背部3側への膨らみが小さくなるため、ベルト走行時に接着層4に生じるせん断応力が、心線5と平行に設けられた場合と比べてほとんど低減しない場合がある。一方、第1ゴムシート10の体積が、複数の歯溝23の総容積の1.3倍よりも大きい場合、第1プレス工程において、半加硫状態のゴムのほぼ全てを歯溝23内に押し込むことができない場合がある。このような場合に、予備成形シート12を複数枚使用して歯付ベルト1を製造すると、ベルトの厚みがベルト長手方向に関して一定でないため、ベルト走行時にベルトの縦振れが大きくなる。従って、第1ゴムシート10の体積を複数の歯溝23の総容積の1.1〜1.3倍とすることにより、接着層4に生じるせん断応力を確実に低減することができると共に、ベルトの縦振れを抑えることができる。
尚、本実施形態では、第2金型22として平坦に形成されたものを使用しているが、第1金型21の歯溝23に対向する位置に凹部が形成されているものを用いてもよい。
参考形態]
次に、本発明の参考形態について、上記実施形態と相違する点を中心に説明する。但し、上記実施形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
図4に示すように、参考形態の歯付ベルト1Aは、上記実施形態の歯部2、背部3、接着層4に代えて、それぞれ同じ材料で構成された歯部2A、背部3A、接着層4Aを備える。
接着層4Aは、歯部2Aと接する部分が、心線5に対して、歯部2A側に膨らんでいる。これにより、ベルト走行時に接着層4Aに生じるせん断応力は、心線5と平行に設けられている場合と比べて低減する。従って、歯部2Aの根元部分に生じる応力集中を緩和することができる。その結果、歯部2Aと心線5との間での剥離が抑制され、それにより歯部2Aの根元部分における歯欠けの発生が抑制され、歯付ベルト1Aの耐久性が向上する。
次に、歯付ベルト1Aの製造方法について説明する。尚、プレス金型20及び金型(ベルトスリーブ製造用金型)26は上記実施形態と同じものを使用する。さらに、第1プレス工程、第2プレス工程、及び、ベルトスリーブ製造の際の加硫工程での加熱加圧条件は、上記実施形態と同じとする。
歯部2形成用の第1ゴムシート10Aとしては、その体積が第1金型21の複数の歯溝23の総容積よりも小さくなるような厚みを有するものが用いられる。特に、その体積が歯溝23の総容積の0.7〜0.9倍となるような厚みを有するものが好適に用いられる。
図5(a)に示すように、上記実施形態と同様に第1積層工程を行った後、第1プレス工程に移る。図5(b)に示すように、このプレスの際、第1ゴムシート10Aは加熱加圧によって流動状となり、ほぼ全てが歯布6を押し広げながら第1金型21の複数の歯溝23内に流れ込み、複数の歯部2Aが成形される。このとき、第1ゴムシート10Aの体積は複数の歯溝23の総容積よりも小さいため、1つの歯溝2内に流れ込んだ歯部2Aの体積は歯溝23の容積よりも小さくなる。そのため、歯部2Aと歯溝23の内面との間には隙間が存在する。
次に、図5(c)に示すように、第2積層工程を行った後、図5(d)に示すように、第2プレス工程を行う。これにより、歯部2Aに圧着された第2ゴムシート11からなる接着層4Aが形成される。
以上の工程により、複数の歯部2Aと接着層4Aと歯布6とからなる予備成形シート12Aを製造する。
次に、ベルトスリーブ製造工程について説明する。
図6(a)に示すように、予備成形シート12Aの歯部2Aを金型26の歯溝27を嵌合させながら、予備成形シート12Aを金型26の外周面に設置する。このとき、金型26の歯溝27の容積及び形状は、第1金型21の歯溝23と同じであるため、歯部2Aと歯溝27の内面との間には隙間が存在する。次に、予備成形シート12Aの外周上に心線5を螺旋状に巻き付け、その上に未加硫の第3ゴムシート13Aを巻き付けた後、加硫して、図6(b)に示す加硫ベルトスリーブ14Aを製造する。
図6(b)に示すように、この加熱加圧の際、予備成形シート12Aの歯部2A及び接着層4Aは加熱加圧によって流動状となり、歯布6を押し広げながら歯溝27内の隙間に流れ込む。そして、この隙間にゴムを充填することにより、歯部2Aの高さは歯溝27の深さとほぼ同じになる。また、接着層4Aは、歯部2Aと接する部分が、歯溝27内に入り込んで、歯部2A側に膨らんだ形状に形成される。同時に、第3ゴムシート13Aも加熱加圧によって流動状となり、その一部が心線5の隙間を通過し、歯溝27内に流れ込む。これにより、背部3Aが形成される。
第1ゴムシート10Aの体積が複数の歯溝の総容積の0.9倍よりも大きい場合、接着層4Aの歯部2A側への膨らみが小さくなるため、ベルト走行時に接着層4Aに生じるせん断応力が、心線5と平行に設けられた場合と比べてほとんど低減しない場合がある。一方、第1ゴムシート10Aの体積が複数の歯溝23の総容積の0.7倍よりも小さい場合、金型26の歯溝27の内面と歯部2との隙間も大きくなるため、加硫の際、この隙間に完全にゴムを充填できず、ベルトスリーブ14Aの歯部2Aの高さが歯溝27の深さよりも小さくなる場合がある。従って、第1ゴムシート10Aの体積を複数の歯溝の総容積の0.7〜0.9倍とすることにより、加硫後の歯部2Aの高さを確保することができると共に、接着層4Aに生じるせん断応力を確実に低減することができる。
尚、本参考形態では、第1プレス工程において、歯部2Aと歯溝23の内面との間に隙間が存在しているとしたが、歯部2Aの体積が、複数の歯溝23の容積よりも小さければ、この隙間はなくてもよい。例えば、歯部2Aを構成するゴムを歯溝23の底部まで流し込むことにより、歯部2Aと歯溝23の内面との間に隙間を空けず、歯部2Aと第2金型22との間に隙間を空けるようにしてもよい。あるいは、第2金型22として、第1金型21の歯溝23に対向する位置に凸部が形成されているものを用いて、歯部2Aと1対のプレス金型20との間に隙間が存在しないようにしてもよい。
以下、具体的な実施例を伴って本発明の効果を検証する。
歯部及び背部をそれぞれ構成する第1ゴムシート及び第3ゴムシートとして、表1に示す配合の未加硫のゴム組成物を用意した。
Figure 0004774069
また、接着層を構成する第2ゴムシートとして、表2に示す配合のゴム組成物からなる未加硫ゴムシートを用意した。
Figure 0004774069
歯布として、緯糸にポリエステル繊維とPTFE繊維の混撚糸を使用し、経糸にナイロン繊維を使用した2重織帆布を用意した。そして、この2重織帆布をRFL液に浸漬した後、加熱乾燥して接着処理を行った。
また、心線として、アラミド繊維の撚りコードを用意した。そして、この未処理のコードをRFL液に浸漬した後、加熱乾燥して接着処理を行ったものを用意した。
次に、歯付ベルトの製造方法を示す。
実施例1では、第1ゴムシートとして、その体積が第1金型の複数の歯溝の総容積の1.2倍となる厚みを有するものを用いて、先の実施形態で述べた方法によって、接着層が歯部と接する部分において背部側に膨らんだ歯付ベルトを作製した。作製された歯付ベルトは、歯型:Y、歯ピッチ:8mm、歯数:105、ベルト幅:15mmであった。尚、歯部を成形する第1プレス工程での加熱加圧条件は、温度130〜140℃、加圧力2.5〜3.5MPa、2〜3分間であり、第2プレス工程での加熱加圧条件は、温度130〜140℃、加圧力0.5〜1.0MPa、15〜30秒間であり、加硫ベルトスリーブを作製する際の加熱加圧条件は、温度130〜180℃、加圧力0.25〜0.85MPa、40〜60分間であった。
参考例では、第1ゴムシートとして、その体積が第1金型の複数の歯溝の総容積の0.7倍となるような厚みを有するものを用いて、先の参考形態で述べた方法によって、接着層が歯部と接する部分において歯部側に膨らんだ歯付ベルトを作製した。
比較例1では、第1ゴムシートとして、その体積が第1金型の複数の歯溝の総容積とほぼ同じとなる厚みを有するものを用いた。実施例と同様に第1プレス工程において、第2ゴムシートを半加硫状態にしつつ、そのほぼ全てを第1金型の歯溝に流し込んで歯部を成形し、歯部と歯布からなる予備成形シートを作製した。そして、この予備成形シートをベルトスリーブ製造用金型に巻き付け、さらに心線と第3ゴムシートを巻き付けて加硫した後、所定の幅に切断し、接着層のない歯付ベルトを作製した。
比較例2では、比較例1と同じ厚みの第1ゴムシートを用いた。第1プレス工程で歯部を成形した後、実施例と同様に第2プレス工程において第2ゴムシートを歯部に圧着させて接着層を形成し、接着層と歯部と歯布からなる予備成形シートを作製した。そして、この予備成形シートを用いて、接着層が心線と平行に設けられた歯付ベルトを作製した。
上記の実施例、参考例及び比較例の歯付ベルトについて、高負荷走行試験を行った。19歯の駆動プーリ、38歯の従動プーリからなる試験装置に歯付ベルトを懸架し、駆動プーリ回転数7200rpm、従動プーリ負荷7.5Nm、初期張力350Nという高負荷条件で走行試験を行った。耐久寿命と、故障形態を表3に示す。尚、表3に示す「剥離」とは、心線と、心線の歯部側に付着しているゴムとの界面における剥離を意味する。また、表3に示す「歯部側」は、接着層の歯部と接する部分が、心線に対して歯部側に膨らんでいることを意味する。また、「背部側」は、接着層の歯部と接する部分が、心線に対して背部側に膨らんでいることを意味する。「平行」は、接着層が心線と平行であることを意味する。
Figure 0004774069
試験の結果、実施例は比較例に比べて耐久寿命が長く、心線と歯部との間の剥離が抑制されていることが判った。また、実施例1は、参考例よりも耐久寿命が長くなった。これにより、接着層が背部側に膨らんでいる場合には、歯部側に膨らんでいる場合と比べて、心線と歯部と間での剥離がより抑制されることが判った。
本発明の実施形態に係る歯付ベルトの斜視図である。 図1に示す歯付ベルトの製造工程における、予備成形工程を示す図である。 図1に示す歯付ベルトの製造工程における、ベルトスリーブ製造工程を示す図である。 参考形態に係る歯付ベルトの斜視図である。 図4に示す歯付ベルトの製造工程における、予備成形工程を示す図である。 図4に示す歯付ベルトの製造工程における、ベルトスリーブ製造工程を示す図である。
1、1A 歯付ベルト
2、2A 歯部
3、3A 背部
4、4A 接着層
5 心線
6 歯布
10、10A 第1ゴムシート
11 第2ゴムシート
12、12A 予備成形シート
13、13A 第3ゴムシート
14、14A ベルトスリーブ
20 プレス金型
21 第1金型
22 第2金型
23 歯溝
26 金型(ベルトスリーブ製造用金型)
27 歯溝

Claims (1)

  1. ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部と
    部と、
    ベルト幅方向に並んで配置され、前記背部に一部分が埋設された心線と、
    前記歯部と前記背部との間に設けられ、前記心線と接触しており、ゴム組成物で構成された接着層と、
    前記複数の歯部を被覆する歯布と、
    を備え、
    前記接着層の前記歯部と接する部分が、ベルト幅方向に隣接する前記心線間において、前記心線に対して、前記背部側に膨らんでいることを特徴とする歯付ベルト。
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