JP2003222195A - 歯付ベルト - Google Patents

歯付ベルト

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JP2003222195A
JP2003222195A JP2002017888A JP2002017888A JP2003222195A JP 2003222195 A JP2003222195 A JP 2003222195A JP 2002017888 A JP2002017888 A JP 2002017888A JP 2002017888 A JP2002017888 A JP 2002017888A JP 2003222195 A JP2003222195 A JP 2003222195A
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Japan
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rubber
toothed belt
tooth
resin film
adhesive layer
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Application number
JP2002017888A
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English (en)
Inventor
Sadakichi Sakanaka
貞吉 阪中
Masakuni Yoshida
正邦 吉田
Takeshi Takehara
剛 竹原
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯部を構成するナイロン繊維、アラミド繊維
等からなる歯布と樹脂フィルムとを接着したもので、歯
部の耐久性を飛躍的に向上させる歯付ベルトを提供す
る。 【解決手段】 長手方向に沿って所定間隔で配置したゴ
ム9を基材とした複数の歯部3と、心線1を埋設したゴ
ム9を基材とした背部2を有し、前記歯部3の表面にゴ
ム糊処理した歯布4を被覆した歯付ベルトAにおいて、
前記歯布4にニトリルゴムとエチレンプロピレン三元共
重合体を混合した接着層10を積層し、さらにその上に
樹脂フィルム11を積層してなり、前記樹脂フィルム1
1を前記接着層10に圧着してなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、自動車用
エンジンのカム軸又はカム軸とインジェクションポンプ
の駆動用、一般産業用機械の同期伝動用等に使用される
歯布被覆の歯付ベルトに関するものである。特に、高負
荷用ベルトに関して、耐摩耗性及び耐歯欠け性を維持し
つつ、特にベルトの歯布及び歯部の損傷を防ぐ為に改善
した歯付ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジンのカム軸、インジェク
ションポンプ、オイルポンプ、ウォータポンプ等を駆動
する歯付ベルトは、エンジンの高出力化に伴い、ベルト
への負荷の増大及びエンジンルームのコンパクト化に伴
う雰囲気温度の上昇など歯付ベルトの使用環境は近年特
に厳しくなってきている為、さらなる耐久性の向上が要
求されている。また、一般産業用に使用される歯付ベル
トについても、射出成形機等の高負荷駆動用等に用いら
れるものは取替え周期の延長を要求されている。
【0003】歯付ベルトの故障形態は、心線の屈曲疲労
及びゴムの耐熱性不良による亀裂発生からのベルト切断
と過負荷や歯布及び歯ゴムの耐熱化不足、歯布の摩耗に
よる歯欠けに大別される。心線の屈曲疲労及びゴムの耐
熱性不足によるベルト切断に対しては、心線材質、心線
構成の太径化等の改良、心線処理剤の耐熱性改良が実施
されている。また、ゴムの耐熱性改良についても水素添
加ニトリルゴムの使用等により故障は減少している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特に、ベルトに高負荷
が掛かるエンジン又は産業用駆動装置を駆動する歯付ベ
ルトは、高負荷のためプーリ軸が撓んだり、ベルトの片
寄り走行が発生し、プーリフランジ等との摩擦によるベ
ルト側面の異常摩耗及び側面の損傷による切断、歯欠け
が発生しやすい。
【0005】又、高負荷によりベルトが伸びて、オート
テンショナーが作動せず、ベルトに適正な負荷が掛から
なくなり、エンジンの正常な動作を妨げる現象が生じ
る。
【0006】ベルト側面摩耗、損傷、ベルトの伸びに対
し、プーリ歯とかみ合う歯付ベルト表面の歯布材料に摩
擦係数低減作用のあるフッ素樹脂や層状のグラファイト
等を添加した処理を施すことや、心線材料の検討が実施
されているが、未だに十分な改良策が見出されていな
い。
【0007】歯付ベルトはガラス繊維、アラミド繊維等
からなる心線がゴム配合物中に接着埋設されており、歯
部はナイロン繊維、アラミド繊維等からなる帆布が覆う
複合体である前述の歯付きベルトに対する要求に対し、
心線とゴムの高接着力の要求、特に高負荷、高温下で使
用する歯付きベルトに対しては高耐熱接着力の要求は強
まっている。
【0008】本発明は、歯部を構成するナイロン繊維、
アラミド繊維等からなる歯布と樹脂フィルムとを接着し
たもので、歯部の耐久性を飛躍的に向上させる歯付ベル
トを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する為、
本発明者らは鋭意研究の結果、樹脂フィルムと歯布とを
接着層を介在し圧着することで、プーリ等により歯にか
かる抵抗を樹脂フィルムがもつ低摩擦係数の効果を得る
ことができ、また優れた耐摩耗性により負荷を低減し歯
部の耐久性を向上できる歯付ベルトとできることを見出
し、本発明を完成した。すなわち、本発明の請求項1に
記載の歯付ベルトは、長手方向に沿って所定間隔で配置
したゴムを基材とした複数の歯部と、心線を埋設したゴ
ムを基材とした背部を有し、前記歯部の表面にゴム糊処
理した歯布を被覆した歯付ベルトにおいて、前記歯布に
ニトリルゴムとエチレンプロピレン三元共重合体を混合
した接着層を積層し、さらにその上に樹脂フィルムを積
層してなり、前記樹脂フィルムを前記接着層に圧着して
なることを特徴とする。接着層としてニトリルゴムとエ
チレンプロピレン三元共重合体(以下、NBR/EPD
Mという。)を使用すると、加温時に溶融状態の樹脂フ
ィルムの中にNBR/EPDMの溶融物が入り込む。こ
れによって、樹脂フィルムと接着層が強固に接着する。
【0010】請求項2に記載の歯付ベルトは、長手方向
に沿って所定間隔で配置したゴムを基材とした複数の歯
部と、心線を埋設したゴムを基材とした背部を有し、前
記歯部の表面にゴム糊処理した歯布を被覆した歯付ベル
トにおいて、前記歯布に水素化ニトリルゴムからなる接
着層を積層し、さらにその上に樹脂フィルムを積層して
なり、前記樹脂フィルムを前記接着層に圧着してなるこ
とを特徴とする。接着層として水素化ニトリルゴム(以
下、H−NBRという。)を使用すると、加温時に溶融
状態の樹脂フィルムの中にH−NBRの溶融物が入り込
む。これによって、樹脂フィルムと接着層が強固に接着
する。
【0011】請求項3に記載の歯付ベルトは、請求項1
又は2において、前記圧着が、加温、加圧して、前記樹
脂フィルムを前記接着層に接着するものである。加温、
加圧することによって接着層が溶融状態の樹脂フィルム
中に入り込みやすくなり、樹脂フィルムと接着層との接
着を強固なものとできる。
【0012】請求項4に記載の歯付ベルトは、請求項1
又は2において、前記歯部及び背部のゴムが、水素化ニ
トリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を配合した配合ゴ
ムである。歯部及び背部のゴムにH−NBRに不飽和カ
ルボン酸金属塩を配合した配合を使用することによって
心線との接着力をより確実なものとすることができ、高
負荷下で発生するベルト背面の亀裂、損傷によるベルト
の損傷を防止することができる。また、歯布表面の接着
層との接着性も向上し、さらには樹脂フィルムの接着性
をより強固なものとできる。
【0013】請求項5に記載の歯付ベルトは、請求項1
から4のいずれかにおいて、前記樹脂フィルムが、ポリ
エチレン樹脂である。ポリエチレン樹脂を用いることに
よって、ゴム加硫時に表面の樹脂フィルムの特性が劣化
しない。
【0014】請求項6に記載の歯付ベルトは、請求項5
において、前記ポリエチレン樹脂の分子量が、10万〜
300万であるものである。ポリエチレン樹脂として、
特に、分子量を粘度法で表現すると50万〜300万の
ポリエチレンの高分子量タイプ(以下、UHMW−PE
(Ultra High Molecular Weight-Poly Ethylene)とい
う。)が好ましい。このUHMW−PEは、耐摩耗性、
摩擦係数の低いという特性を有し、ゴム加硫温度以上で
ある140℃以上に加熱しても冷却後はこれらの特性が
劣化することなく元の状態に戻るためである。このUH
MW−PEの中でも、分子量が10万〜150万、好ま
しくは30万〜120万であることがより好ましい。1
0万以下であると加硫時粘度が極端に落ち流れてしま
う。また、300万以上であると樹脂の製造ができない
からである。なお、UHMW−PEの接着面は無処理で
も良いが、表面を処理(コロナ処理、バフ処理等)して
も良い。また塩素化PPのようなプライマーを処理して
も良い。
【0015】請求項7に記載の歯付ベルトは、請求項1
から6のいずれかにおいて、前記歯付ベルトの背面硬度
が、80度(JISA型硬度計)以上であるものであ
る。歯付ベルトの背面硬度が80度(JISA型硬度
計)以上、好ましくは85度以上である為、応力が負荷
された場合であっても、ゴムの変形を抑制することがで
きる。また歯部の硬度も上昇するため同様のことがいえ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を説明する。なお、本発明に係る歯付ベルトは以下の実
施の形態例に限定されるものではない。
【0017】図1は、本実施形態に係る歯付ベルトAの
全体斜視概略図である。図1は、本実施形態に係る歯付
ベルトAの全体斜視概略図である。図1において、歯付
ベルトAは、長手方向に沿って所定間隔で配置したゴム
9を基材とした複数の歯部3と、歯部3と連続する背部
2と、背部2に埋設された心線1と、歯部3の表面に被
覆された歯布4とを有する構造である。そして、歯布4
は、ベルトの長手方向に延在する緯糸7と、ベルトの幅
方向に延在する経糸8とを織成して成る繊維材料を基材
として構成される。また、歯布4の表面には、接着層1
0と樹脂フィルム11とが積層されて構成されている。
【0018】歯部3及び背部2の基材となるゴム9の材
質には特に制限はなく、使用条件に応じて適切なものが
適宜選択される。自動車エンジン用及び各種エンジン用
歯付ベルトの場合、耐熱性と耐油性を備えたH−NB
R、CR、CSM等が使用される。一般産業用機械に用
いられる歯付ベルトには、H−NBR、CR、CSM以
外に、NBR、EPDM、エチレンプロピレン共重合体
(EPR)、SBR、イソプロピレンゴム(IR)、天
然ゴム(NR)、フッ素ゴム、シリコンゴム等何れの場
合も使用可能である。本実施形態例においては、ゴム9
として、H−NBRに不飽和カルボン酸金属塩を配合し
た配合ゴムと、有機過酸化物又は硫黄化合物のいずれか
を架橋して形成したゴムについて例示する。
【0019】H−NBRとしては、耐熱性の観点から水
素添加率が少なくとも90%以上であることが必要であ
り、92〜98%が好適である。そして、本実施形態例
にかかるゴム9は、このH−NBRに不飽和カルボン酸
金属塩を配合することによって、モジュラス(引張弾性
率)や硬度を高めるようにしているものであり、モジュ
ラス(引張弾性率)や切断伸度、さらに高い引き裂き強
度や硬度を確保する為には、上記のようにH−NBRに不飽
和カルボン酸金属塩を総ポリマーに対して15〜40質
量部配合することが好ましい。或いは不飽和カルボン酸
金属塩5〜15質量部混合し、短繊維をポリマー成分1
00に対して1〜20質量部配合することもできる。
【0020】ここで、短繊維には、摩擦時に低温で溶融
しにくい高融点、又は融点を持たない綿、ビニロン、ア
ラミド、無機繊維等が好ましい。その長さは5mm以下
であることが好ましい。繊維長が5mmを越える場合
は、ゴムをカレンダー又は押し出し機等で圧延シート状
にする時に、配向し易く、ベルトになった場合に、屈曲
により早期にクラックが発生し易い。また、短繊維の配
向方向は、ベルト幅方向が好ましいが、ベルト長さ方向
の配向であってもよい。短繊維の配合量が1質量部より
少ないと、短繊維を配合した効果が現れない。一方、短
繊維の量が20質量部より多くなると、ゴムのムーニ粘
度が上昇し加工(練り工程で分散不良、シート圧延工程
で圧延できない、表面肌が悪く厚みが出ない等)でき
ず、歯を精度良く形成することが困難となる。
【0021】なお、不飽和カルボン酸金属塩の量が5質
量部未満であるとゴム硬度が所定の硬度にならない。一
方40質量部を越えるとゴム硬度が大きくなりすぎ、ベ
ルト剛性が高くなり、屈曲疲労性に劣りベルト寿命が短
くなる。このように、H−NBRに不飽和カルボン酸金
属塩を配合したゴムを使用することによって、背部2の
背面硬度が80度(JISA型硬度計)以上とすること
ができる。背面硬度が80度(JISA型硬度計)以
上、好ましくは85度以上とできることから、応力が負
荷された場合であっても、ゴムの変形を抑制することが
できる。
【0022】不飽和カルボン酸金属塩はカルボキシル基
を有する不飽和カルボン酸と金属とがイオン結合したも
のであり、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタ
クリル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸などのジカルボン酸が好ましく、金属として
はベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウム、バリウム、チタン、クロム、モリブデン、マンガ
ン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、カドミウ
ム、アルミニウム、錫、鉛、アンチモンなどを用いるこ
とができる。
【0023】ゴム9は、以上のようにして、配合された
後、有機過酸化物又は硫黄化合物のいずれかと架橋して
構成されている。
【0024】有機過酸化物としては、特に限定されるも
のではないが、従来よく使用される任意のものであって
良い。例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド(t-buty
l hydroperoxide)、1,1,3,3テトラブチルヒドロペルオ
キシド(1,1,3,3-tetramethylbutylhydroperoxide)、
p−メンタンヒドロペルオキシド(p-menthane hydrope
roxide)、クメンヒドロペルオキシド(cumene hydrope
roxide)、ジイソピロプルベンゼンヒドロペルオキシド
(di-isopiropylbenzene hydroperoxide)、ジテトラブ
チルペルオキシド(di-tetra-buthyl peroxide)、ジク
ミルペルオキシド(dicumyl peroxide)、テトラブチク
ミルペルオキシド(tetra-butyl cumylperoxid)、1,3
ビス(第3ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン
(1,3-bis(tert-butylperoxy isopropyl)benzen)、ト
リアルキルイソシヌレート(trialkyl isocyanurate)
等を挙げることが出来る。
【0025】硫黄化合物としては一般的な硫黄や硫黄化
合物、加硫剤としてはチウラム(Thiurams)系、塩化ジ
チオカルボメート(Salt of Dithiocarbates)系、スル
フォンアミド(Sulfenamides)系、チアゾール(Thiazo
les)系等を挙げることが出来る。また有機化合物と硫
黄化合物、加硫剤を併用しても良い。
【0026】以上のようにゴム9を基材として構成され
る背部2に埋設される心線1は、一般には、ガラス繊維
及びアラミド繊維が使用される。また、ポリベンゾオキ
サゾール、ポリパラフェニレンナフタレート、ポリエス
テル、アクリル、カーボン、スチールを組成とする撚コ
ードのいずれでも使用できる。ガラス繊維の組成は、E
ガラス、Sガラス(高強度ガラス)のいずれでもよく、
フィラメントの太さ及びフィラメントの集束本数及びス
トランド本数に制限されない。
【0027】この心線1は、レゾルシンとホルマリンの
初期縮合物とゴムラテックスを混合したRFL液によっ
て処理されたものが用いられる。レゾルシンとホルマリ
ンのモル比は1:1.5〜3にすることがゴム9との接
着力を高める上で好ましい。また、レゾルシンとホルマ
リンの初期縮合物は、これをラテックスのゴム分100
質量部に対してその樹脂分が2〜30質量部になるよう
にラテックスと混合したうえ、全固形濃度を5〜40%
濃度に調節される。このラテックスとしては、スチレン
・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、クロロス
ルホン化ポリエチレン、H−NBR、エピクロルヒドリ
ン、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴム、オレフィン
−ビニルエステル共重合体等が使用できる。
【0028】また、歯布4を構成する緯糸7と、経糸8
を形成する繊維材料の材質としては、それぞれナイロ
ン、アラミド、ポリエステル、ポリベンゾオキサゾー
ル、綿等の何れか又はこれらの組み合わせが採用でき
る。繊維の形態は、フィラメント糸及び紡績糸の何れで
も良く、単独組成の撚糸又は混撚糸、混紡糸の何れであ
っても良い。また、織成構成は綾織り、繻手織り、平織
り等何れであっても良い。
【0029】この歯布4は、RFL液、イソシアネート
溶液あるいはエポキシ溶液によって処理されたあと、歯
部3に用いたゴム9と同質のゴムを含浸付着させ加硫す
るゴム糊処理が行われたものである。具体的にはゴム9
に使用したポリマー分を溶剤によって溶解したゴム湖を
作製した後、これを含浸付着させ、そして乾燥させた後
に加硫してゴム付帆布にする。また、必要に応じて老化
防止剤を添加することもできる。
【0030】ゴム9を溶解する溶剤としては、メチルエ
チルケトン(MEK)、ジメチルスルホキシド、ジメチ
ルホルムアミド、クロロホルムなどから選ばれた溶剤を
使用することができる。そして、ゴム9を溶解して得ら
れたゴム糊は、この歯布4に塗布、吹き付け等によって
含浸付着させ加硫させることが好ましい。
【0031】以上のようにして構成される歯付ベルトA
の歯布4の表面に積層され、歯布4表面を被覆する樹脂
フィルムとの強度な接着力を得るため使用される接着層
10としては、NBR/EPDMまたはH−NBRのい
ずれかを用いることができる。ここで、NBR/EPD
Mの割合は10/90〜90/10質量部、好ましくは
30/70〜70/30質量部である。接着層10の厚
みとしては0.1mm〜0.5mm、好ましくは0.2
〜0.3mm程度がより好ましい。0.1mm以下であ
ると成形機の制御範囲を超えてしまう。また0.5mm
以上でも良いがコスト的に不利となる。また、製品の用
途としては高負荷にならない場合は、接着層が無くても
使用出来る。
【0032】また、この接着層10の表面に積層する樹
脂フィルム11としては、特に限定されるものではない
が、一般に、樹脂フィルムは熱により劣化する。そのた
め、歯部や背部等のゴムの加硫温度で分解してしまい、
フィルムが劣化するものは、ベルトとして使用に耐えな
い。また、樹脂素材の物性、特に伸び特性が大きくなけ
れば、歯が出ない等不具合が生ずることから、伸びの特
性としては100%以上、好ましくは300%以上が要
求される。これらのことから、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレンに代表されるオレフィン樹脂、6ナイロ
ン、66ナイロンに代表されるナイロン樹脂、熱可塑性
ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂等を樹脂
フィルムとして用いることができる。ところが、ナイロ
ン樹脂は耐摩粍性がよいが、材料の持つ摩擦係数が高
い。また、ポリエステル樹脂は熱水により分解するとい
う欠点を持っている。さらに、熱可塑性ウレタン樹脂は
高価であり、フッ素樹脂は高価であるとともに耐摩耗性
に劣り、接着が困難であることから、これら樹脂の中で
も、特に、オレフィン樹脂であるポリエチレン樹脂が好
ましい。樹脂フィルム11の厚さは50μm〜200μ
m、好ましくは70μm〜150μmがより好ましい。
【0033】また、ポリエチレン樹脂として、特に、分
子量を粘度法で表現すると50万〜300万のポリエチ
レンの高分子量タイプのUHMW−PEが好ましい。こ
のUHMW−PEは、耐摩耗性、摩擦係数の低いという
特性を有し、ゴム加硫温度以上である140℃以上に加
熱しても冷却後はこれらの特性が劣化することなく元の
状態に戻るためである。このUHMW−PEの中でも、
分子量が10万〜150万、好ましくは30万〜120
万であることがより好ましい。10万以下であると加硫
時粘度が極端に落ち流れてしまう。また、300万以上
であると樹脂の製造ができないからである。なお、UH
MW−PEの接着面は無処理でも良いが、表面を処理
(コロナ処理、バフ処理等)しても良い。また塩素化P
Pのようなプライマーを処理しても良い。
【0034】本実施形態例においては、これら接着層1
0と樹脂フィルム11を150℃〜170℃に加温し
て、これらを加圧して圧着している。一般に、UHMW
−PEと歯部3及び背部2の基材として用いられている
ゴム9であるH−NBRの接着は非極性材料と極性材料
の接着であり基本的には不可能である。
【0035】そこで、本発明においては、接着層10と
して、NBR/EPDMまたはH−NBRのいずれかを
介在させて、歯布4の表面に樹脂フィルム11を接着し
ている。接着層10として、NBR/EPDMまたはH
−NBRのいずれかを用いることによって、物理的に融
点以上に加温されたUHMW−PEの溶融状態の中に接
着層10として用いられているH−NBR、NBR/E
PDMの溶融物が入り込み両者が強固に接着する。
【0036】接着層10としてNBR/EPDMを使用
した場合、ゴム9加硫時にゴム9のH−NBRと、接着
層10の成分であるNBRとの間で加硫接着が生ずる。
そして、EPDMと、UHMW−PE間でエチレンを介
在し強固に接着する。また、同時に、前述したように、
ゴム9の加硫時に加温されるとともに、加圧されている
ため、溶融状態のUHMW−PEの中にEPDMの溶融
物が入り込み両者が物理的に強固に接着する。これによ
って、歯布4の表面にUHMW−PEからなる樹脂フィ
ルム11が被覆される。
【0037】また、接着層10として、H−NBRを使
用した場合は、加温、加圧されることによって、樹脂フ
ィルム11を構成するUHMW−PEが溶融状態の時
に、歯布4内に食い込み、冷却後、これら食い込んだU
HMW−PEがアンカー効果によって、歯布4の表面に
強固に接着した状態となる。
【0038】以上のように、歯布4の表面に、樹脂フィ
ルムが強固に接着された歯付ベルトとなるため、高負荷
下で発生するベルト歯面の亀裂、損傷によるベルトの損
傷を防止することができる。
【0039】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (実施例)表1に示す配合からなるゴムを通常の方法で
混練し、カレンダーロールにて所定の厚さのゴムシート
A−1及びA−2を調整した。また、歯布は、表2に示
す繊維を用いて、表2に示す処理を行いB−1及びB−
2を得た。表2におけるRFL処理は、表3に示すC−
1の配合からなるRFL処理液に、歯布を浸漬し、12
0℃にて乾燥後180℃にて2分間熱処理したものであ
る。また、表2におけるゴム糊処理は、表4に示すゴム
配合物を表3に示すC−2及びC−3のように、ME
K、トルエンに溶かした後にイソシアネート化介物とし
てポリアリールポリイソシアネート(商品名PAPI)
を添加した処理液に、適宜、MBIやN-(1,3-Dimeth
yl-Butyl)-N-Phenyl-p-Phenylendiamine、フッ素樹脂
粉末又はグラファイト等の減摩材を添加混合した処理液
に歯布を浸漬し乾燥したものである。接着層には、表4
に示す配合からなるゴムを通常の方法で混練し、カレン
ダーロールにて所定の厚さのゴムシートF−1及びF−
2を調整した。表面の樹脂フィルムとしては表5に示す
ものを使用した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】次に、ベルト作製用のZBS歯形120歯
数の金型に上記の樹脂フィルム/接着層/歯布を巻き付
け、SZ撚一対のRFL及び水素化ニトリルゴムをトル
エン等の溶剤にて溶かしたゴム糊及びフェノール樹脂に
て接着処理された表6に示す心線を表7のピッチにてス
パイラルに所定の張力で巻き付けた。この心線の上に、
表1のゴムシートを貼り付けた。更に、加硫缶に投入し
て通常の圧入方式により歯形を形成させた後165℃に
て30分加圧加硫して、ベルト背面を一定厚さに研磨し
一定幅(30mm)にカットして走行用歯付ベルトを得
た。表8にベルト歯布の外観について示す。
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】作製したベルトのサイズは、ベルト幅15
mm、ベルト歯形ZBS、歯数120歯、歯ピッチ9.
525mmであり、通常120ZBS30と表示され
る。次に、歯布としてB−1(表2参照)を使用してベ
ルトの走行試験を行った。走行試験装置として、図2に
示す22歯のクランクプーリ12、44歯のカムプーリ
13、19歯のウォータポンププーリ15、偏心プーリ
19、アイドラー21からなるレイアウトの試験装置を
使用する。クランクプーリ回転数4000rpmでベル
トに掛かる有効張力を3700Nとし、初張力を350
Nにて走行試験を行った。表9に各ベルトの走行試験の
結果をまとめて示す。なお、各ベルトの背面硬度はJI
SA型硬度計で、85度以上であった。
【0050】
【表9】
【0051】表8から外観的にはUHMW−PEが優れ
ていることがわかる。また、表9から歯布と樹脂フィル
ムとの接着力が100N以下の比較例1、2及び樹脂フ
ィルムがない比較例3のベルトは、早期にベルトが破損
するのに対し、実施例1乃至4の歯布と樹脂フィルムと
の接着力が100N以上のベルトは、ベルト破損時間が
大幅に改善できることがわかる。なお、各ベルトの樹脂
フィルムと歯布の接着力は、JISK6854に従って
測定した。
【0052】
【発明の効果】上記のように、本発明は、少なくとも歯
部表面に接着層と樹脂フィルムを積層することによっ
て、高負荷下で発生するベルト歯部にかかる歯飛びの不
良現象を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯付ベルトの概略斜視図である。
【図2】歯付ベルトの走行試験装置の概略図である。
【符号の説明】
A 歯付ベルト 1 心線 2 背部 3 歯部 4 歯布 7 緯糸 8 経糸 9 ゴム 10 接着層 11樹脂フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹原 剛 兵庫県神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ星ベルト株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に沿って所定間隔で配置したゴ
    ムを基材とした複数の歯部と、心線を埋設したゴムを基
    材とした背部を有し、前記歯部の表面にゴム糊処理した
    歯布を被覆した歯付ベルトにおいて、前記歯布にニトリ
    ルゴムとエチレンプロピレン三元共重合体を混合した接
    着層を積層し、さらにその上に樹脂フィルムを積層して
    なり、前記樹脂フィルムを前記接着層に圧着してなるこ
    とを特徴とする歯付ベルト。
  2. 【請求項2】 長手方向に沿って所定間隔で配置したゴ
    ムを基材とした複数の歯部と、心線を埋設したゴムを基
    材とした背部を有し、前記歯部の表面にゴム糊処理した
    歯布を被覆した歯付ベルトにおいて、前記歯布に水素化
    ニトリルゴムからなる接着層を積層し、さらにその上に
    樹脂フィルムを積層してなり、前記樹脂フィルムを前記
    接着層に圧着してなることを特徴とする歯付ベルト。
  3. 【請求項3】 前記圧着が、加温、加圧して、前記樹脂
    フィルムを前記接着層に接着するものである請求項1又
    は2に記載の歯付ベルト。
  4. 【請求項4】 前記歯部及び背部のゴムが、水素化ニト
    リルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を配合した配合ゴム
    である請求項1又は2に記載の歯付ベルト。
  5. 【請求項5】 前記樹脂フィルムが、ポリエチレン樹脂
    である請求項1から4のいずれかに記載の歯付ベルト。
  6. 【請求項6】 前記ポリエチレン樹脂の分子量が、10
    万〜300万である請求項5に記載の歯付ベルト。
  7. 【請求項7】 前記歯付ベルトの背面硬度が、80度
    (JISA型硬度計)以上である請求項1から6のいず
    れかに記載の歯付ベルト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009533606A (ja) * 2006-03-03 2009-09-17 ハッチンソン 伝動ベルト

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JP2009533606A (ja) * 2006-03-03 2009-09-17 ハッチンソン 伝動ベルト

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