JP4587598B2 - 表皮材の成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の内装材、例えばインストルメントパネル等の表面を覆う表皮材の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表皮材の成形方法として、成形型の成形面に2液反応硬化型の樹脂材料をスプレー塗布し、これを硬化させて成形面に倣った形状の表皮材を得る方法が、特公昭55−2187号公報、特開平8−300376号公報或いはWO93/23237号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した方法にあっては、成形型の表面で樹脂材料が硬化して表皮材となった後、成形面から表皮材を剥離(離型)する作業が必要になる。しかしながら、表皮材の厚みは1mm程度と薄く、しかも複雑な形状を有する成形面に密着しているため簡単に剥離することができない。無理に剥離のきっかけをつけようとすると表皮材を傷つけるおそれがある。また、吸盤などを用いて剥離することも考えられるが、装置が大掛かりとなる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係る表皮材の成形方法は、成形型の成形面にノズルから樹脂材料をスプレー塗布し、成形面に倣った形状の表皮材を成形する方法であって、前記ノズルが成形型外に位置する時点から樹脂材料を吐出せしめ、この吐出を継続したまま成形型のフランジ部を乗り越えてノズルを成形型内に臨ませ、引き続き成形面に樹脂材料をスプレー塗布し樹脂材料を硬化せしめた後、前記ノズルが成形型内に入るときに乗り越えたフランジ部の一部から成形型外へ突出し形成された樹脂膜をタグとして掴んで離型する。
【0005】
因みに、従来の成形方法においても、成形型の表面にいきなりノズルからスプレー塗布すると、2液反応硬化型の樹脂材料が十分に混合されていない状態で塗布され、不良品の発生につながるため、予め成形型の外で捨て吹きを行ってノズルから吐出される樹脂材料の組成割合が安定してから、ノズルを成形型内に臨ませてスプレー塗布を行うようにしている。そして、成形型のフランジ部を乗り越える際にはできるだけフランジ部に樹脂材料を付着させないように上向きにノズルを向けて素早く通過させている。本発明は従来と異なり、敢えてフランジ部の乗り越えを素早く行わずに、積極的に乗り越える部分に樹脂膜を形成し、この樹脂膜を離型の際のタグ(耳部)として利用する。
【0006】
また、表皮材の形状によっては、成形型のフランジ部まで樹脂材料を塗布することがある。この場合にはノッチをフランジ部に形成して表皮材の外周を画成することが行われる。このようにフランジ部に沿って全周に亘ってノッチを形成すると、タグが形成されなくなる。そこで斯かる場合にはノズルが乗り越える部分(通過する部分)にはノッチを形成しないようにする。
【0007】
また、成形型のフランジ部のうちノズルが乗り越える部分には予め離型剤を塗布しておくことで、簡単にタグの部分を離型し把持することができる。
【0008】
更に、成形型のフランジ部のうちノズルが乗り越える部分を樹脂膜厚以上の深さの凹部を形成しておいてもよい。表皮材を下型の成形面に成形した後、上型を下型に重ね、上型と表皮材との隙間に発泡樹脂原料を注入する場合には、フランジ部同士を重ね合わせる型合せが必要になる。このときフランジ部の上にタグとなる樹脂膜が残っていると、タグの部分が潰されたり、型合せが正確に行われなくなる。そこで、上記の如き構成とした。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1(a)〜(c)は本発明にかかる表皮材の成形方法の工程順に説明した図、図2は下型の斜視図、図3は下型の要部拡大図である。
【0010】
図1に示すように、表皮材の成形装置1は下型10、上型20、2液反応硬化型の樹脂材料の塗布ノズル30および発泡樹脂原料注入ヘッド40からなる。上型20は下型10に対して蝶番等を介して開閉自在とされ、塗布ノズル30はロボットの先端に取付けられ3次元空間において任意の位置にNC制御にて移動可能とされ、発泡樹脂原料注入ヘッド40は閉状態にある上型20の凹部に上方から進入可能とされている。
【0011】
前記下型10はニッケル電鋳型とし、インストルメントパネルを成形するための成形面11と周縁のフランジ部12を有する。フランジ部12には図2に示すようにノッチ13が形成されている。このノッチ13は幅2mm高さ1mmの断面三角形状をなし、フランジ部12上に形成された樹脂膜(表皮材)の一部を薄くし、簡単に当該薄肉の部分から切り取ることができるようにしている。尚、フランジ部12の部分にまで表皮材を成形しない場合にはノッチ13は不要である。
【0012】
また下型10に隣接してスプレー塗布が安定するまで捨て吹きを行うための廃棄ダクト14を設け、この廃棄ダクト14に最も近い部分のフランジ部12上面にはノッチ13を設けていない。
【0013】
以上の成形装置1を用いてインストルメントパネルを成形する工程を図1に基づいて説明する。
先ず(a)に示すように、予め上型20の成形面に芯材をセットし、上下の型を開いておく。そして、この状態で塗布ノズル30の先端を廃棄ダクト14に臨ませ、2液反応硬化型の樹脂材料(ポリオールとメチレンジフェニルジイソシアネートとの混合)の組成割合が安定するまで捨て吹きを行った後、樹脂材料の吐出を継続したまま下型10のフランジ部12のうちノッチ13が形成されていない部分を乗り越えて塗布ノズル30を下型10内に臨ませ、引き続き下型の成形面11に樹脂材料をスプレー塗布する。
【0014】
上記のスプレー塗布により成形面11表面に表皮材が成形されるとともにこの表皮材に連続するタグ15がフランジ部12のうちノッチ13が形成されていない部分に形成される。
【0015】
なお、後述する離型を容易にするため、下型の成形面11だけでなく、フランジ部12のうちノッチ13が形成されていない部分にも予め離型剤を塗布しておくことが好ましい。
【0016】
上記によって下型の成形面11に塗布した樹脂材料が硬化して表皮材が成形されたならば、図1(b)に示すように型を閉じ、上型20の凹部に発泡樹脂原料注入ヘッド40を装着し、上型20にセットされた表皮材と下型10の成形面に形成された表皮材との間にポリウレタン発泡樹脂原料を注入し、更に図1(c)に示すように型締めすることで上下の型間でインストルメントパネルが成形される。
【0017】
この後、型を開き下型10のフランジ部12の一部から突出しているタグ15を把持して下型10からインストルメントパネルを払い出す。
【0018】
図4は別実施例を示す図3と同様の図であり、この実施例にあっては下型10のフランジ部12のうち塗布ノズル30が乗り越える部分に樹脂膜厚以上の深さの凹部16を形成している。このような構成にすると上型20を型閉じした際に、上型のフランジ部との間でタグ15の部分が潰されることがなくなり且つ型合せも正確に行われる。
【0019】
以上の実施例にあっては成形装置として上型と下型を備え、表皮材の間に発泡体を一体的に形成するものを示したが、本発明は1つの成形型で、表皮材のみを成形する場合にも適用できる。
【0020】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、ノズルから樹脂材料を吐出しつつ成形型のフランジ部を乗り越え成形型内にノズルを進入させ、このフランジ部を乗り越えた部分に樹脂膜を形成し、この樹脂膜を表皮材を離型する際のタグとして用いるようにしたので、簡単に成形品である表皮材を成形型から払い出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明にかかる表皮材の成形方法の工程順に説明した図
【図2】下型の斜視図
【図3】下型の要部拡大図
【図4】別実施例を示す図3と同様の図
【符号の説明】
1…成形装置、10…下型、11…成形面、12…フランジ部、13…ノッチ、14…廃棄ダクト、15…タグ、16…凹部、20…上型、30…塗布ノズル、40…発泡樹脂原料注入ヘッド。

Claims (4)

  1. 成形型の成形面にノズルから樹脂材料をスプレー塗布し、成形面に倣った形状の表皮材を成形する方法において、前記ノズルが成形型外に位置する時点から樹脂材料を吐出せしめ、この吐出を継続したまま成形型のフランジ部を乗り越えてノズルを成形型内に臨ませ、引き続き成形面に樹脂材料をスプレー塗布し樹脂材料を硬化せしめた後、前記ノズルが成形型内に入るときに乗り越えたフランジ部の一部から成形型外へ突出し形成された樹脂膜をタグとして掴んで離型することを特徴とする表皮材の成形方法。
  2. 請求項1に記載の表皮材の成形方法において、前記成形型のフランジ部のうちノズルが乗り越える部分には予め離型剤を塗布しておくことを特徴とする表皮材の成形方法。
  3. 成形型の成形面にノズルから樹脂材料をスプレー塗布し、成形面に倣った形状の表皮材を成形する方法において、前記ノズルが成形型外に位置する時点から樹脂材料を吐出せしめ、この吐出を継続したまま成形型のフランジ部を乗り越えてノズルを成形型内に臨ませ、引き続き成形面に樹脂材料をスプレー塗布し樹脂材料を硬化せしめた後、前記ノズルが成形型内に入るときに乗り越えたフランジ部に形成された樹脂膜をタグとして掴んで離型し、前記成形型のフランジ部のうちノズルが乗り越える部分は樹脂膜厚以上の深さの凹部が形成されていることを特徴とする表皮材の成形方法。
  4. 成形型の成形面にノズルから樹脂材料をスプレー塗布し、成形面に倣った形状の表皮材を成形する方法において、前記ノズルが成形型外に位置する時点から樹脂材料を吐出せしめ、この吐出を継続したまま成形型のフランジ部を乗り越えてノズルを成形型内に臨ませ、引き続き成形面に樹脂材料をスプレー塗布し樹脂材料を硬化せしめた後、前記ノズルが成形型内に入るときに乗り越えたフランジ部に形成された樹脂膜をタグとして掴んで離型し、前記成形型のフランジ部のうちノズルが乗り越える部分を除き、表皮材の外周形状を画成するためのノッチが形成されていることを特徴とする表皮材の成形方法。
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