JP4586188B2 - 調理容器の温度検出構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はテーブルこんろや炊飯釜等の調理器具に用いられ、釜や鍋等の調理容器の底部の温度を検出する調理容器の温度検出構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、燃焼熱により炊飯を行うガス炊飯器が知られている。一般に炊飯釜の下方には、炊飯釜の平坦な底面に当接して釜底の温度を検出する釜温度センサーが設けられる。炊飯器は、この釜温度センサーが検知する温度が所定温度(>100℃)を超えたことを検知すると、炊飯釜内に水が残っていないとして、炊飯加熱を停止する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、釜温度センサーは、バーナの火炎の輻射熱の影響や、火炎ドラフトによる熱気流の影響を受けると、釜底温度を正確に検出できない。このため、炊飯器は、炊飯釜内に水が残っていても所定温度に達したとして消火動作を行い、いわゆる早切れ状態になって、御飯に芯が残ってしまう。
また、釜温度センサーは、燃焼用空気による冷気流の影響を受けて冷却されても、正確な温度検出をすることができない。この場合では、炊飯器は、炊飯釜内に水が無くなっても所定温度に達していないとして加熱を続け、消火のタイミングが遅れる、いわゆる遅切れ状態になって、御飯が焦げてしまう。
【0004】
このように、釜温度センサーは、こうした外部から熱的影響を受けると、正確に釜底の温度を検出することができず、この結果、早切れや遅切れになって炊き上がり具合がばらつき、上手に御飯を炊くことができなかった。
【0005】
また、従来からテーブルこんろ等の調理器具においては、天ぷら油火災や調理品の焦げ付き等を防止するために、調理鍋の鍋底温度を鍋温度センサーによって検出し、その検出温度が所定温度以上である場合には燃焼を停止する過熱防止装置を備えたものが知られている。
【0006】
こうした調理器具の鍋温度センサーも、炊飯器の釜温度センサーと同様に周囲の熱の影響を受けやすく、実際の調理鍋の温度よりも高めに検出されてしまって早めに消火される場合があった。
本発明の調理容器の温度検出構造は上記課題を解決し、温度センサーの周囲からの熱の影響を減らし、調理容器の底部の温度を正確に検出することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1記載の調理容器の温度検出構造は 釜や鍋等の調理容器を加熱する調理器具の温度センサーの感熱部を該調理容器の底部に接触させて該底部の温度を検出する調理容器の温度検出構造において、
上記調理容器底部に上記感熱部を嵌入する嵌入凹部を形成すると共に、該嵌入凹部を囲んで上記調理容器底部から垂下する筒体を設け、
上記調理容器を上記調理器具へ載置した時、上記感熱部が上記嵌入凹部に嵌入された状態で、上記筒体の下端全周に当接して該筒体の開口を塞ぐ筒体用蓋を設けるとともに、
上記調理容器を上記調理器具へ載置した時、上記感熱部が上記嵌入凹部に嵌入された状態で、上記調理容器底部に当接して上記嵌入凹部の開口を塞ぐ嵌入凹部用蓋を設けたことを要旨とする。
【0009】
また、本発明の請求項2記載の調理容器の温度検出構造は、上記請求項1に記載の調理容器の温度検出構造において、
上記嵌入凹部の入口端に、温度センサーの感熱部を該嵌入凹部にガイドするテーパ部を形成したことを要旨とする。
【0010】
また、本発明の請求項3記載の調理容器の温度検出構造は、上記請求項1または2に記載の調理容器の温度検出構造において、
上記嵌入凹部の上方に位置する上記調理容器底部の内面を略凸状に形成したことを要旨とする。
【0011】
また、本発明の請求項4記載の調理容器の温度検出構造は、上記請求項1または2に記載の調理容器の温度検出構造において、
上記嵌入凹部の上方に位置する上記調理容器底部の内面を略凹状に形成したことを要旨とする。
【0012】
上記構成を有する本発明の請求項1記載の調理容器の温度検出構造は、調理容器を調理器具に載置すると、温度センサーの感熱部が、筒体に囲まれると共に、調理容器の底部の嵌入凹部に当接し、調理容器の内部に近づく。そして、筒体用蓋が筒体を覆い、感熱部は、バーナ火炎の熱輻射や火炎ドラフトによる熱気流や燃焼用空気による冷気流といった周囲の熱影響を受けにくく、正確に調理容器底部の温度を検出する。
【0013】
また、調理容器を調理器具に載置すると、感熱部が嵌入凹部に入った状態で、嵌入凹部用蓋が嵌入凹部を覆うため、筒体用蓋と筒体との間に隙間が生じた場合であっても、その隙間から侵入してきた気流によって感熱部が熱影響を受けることを抑制し、より一層正確に調理容器底部の温度を検出する。
【0014】
また、本発明の請求項2記載の調理容器の温度検出構造は、嵌入凹部の入口端に形成されたテーパ部により、温度センサーが嵌入凹部へガイドされ、調理容器が調理器具にスムーズに載置される。
【0015】
また、本発明の請求項3記載の調理容器の温度検出構造は、嵌入凹部の上方に位置する調理容器底部の内面を略凸状に形成することにより、調理容器内の水分(例えば炊飯釜内の水や、調理鍋内の煮汁など)が減っていく際に、凸状に形成された調理容器底部で先に水分が無くなり、調理容器底部の温度変化を早めに検知し、調理時の焦げを確実に防止する。また、調理容器底部の肉厚を薄くし過ぎることなく、嵌入凹部を調理容器の内側に近づけて形成することができ、温度センサーはより正確に温度を検出する。
【0016】
また、本発明の請求項4記載の調理容器の温度検出構造は、嵌入凹部の上方に位置する調理容器底部の内面を略凹状に形成することにより、調理容器内の水分が、凹状に形成された調理容器底部に溜まるため、その周囲の水分が無くなった後で、その凹状の調理容器底部の水分が無くなる。この結果、凹状の調理容器底部の温度が、その周囲の温度よりも遅く変化するため、温度センサーは、調理容器底部の温度変化を遅めに検知し、確実に調理容器底面の水分が蒸発してから消火する。例えば、炊飯器では、余分な水分が残らず、おいしく御飯を炊くことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の調理容器の温度検出構造の好適な実施形態について説明する。
【0018】
本発明の一実施形態としてのガス炊飯器について図1,図2を用いて説明する。 ガス炊飯器1の釜7には、釜底7aの温度を検出する温度センサー10が設けられる。釜底7aは、温度センサー10の上部(感熱部10a)を囲むように嵌入凹部7bが凹んで形成されると共に、嵌入凹部7bの周囲から下方へ延びた円筒状の筒体7cが形成される。
【0019】
また、嵌入凹部7bの入口端には、温度センサー10をガイドする円錐面状のテーパ部7dが形成されると共に、嵌入凹部7bの上方に位置する釜底7aの内面(上面)には、隆起部7eが形成される。
【0020】
温度センサー10は、主に、鍋底7aの嵌入凹部7bに上面で当接する板厚の薄い円筒状のホルダー11と、ホルダー11の上面内側に当接し伝熱された釜底7a(嵌入凹部7b)の温度を検出する感熱素子12と、ホルダー11を上下方向に摺動可能に支持する円筒状の支柱15とからなる。
ホルダー11には、釜7のガス炊飯器1への載置により筒体7cの開口端に当接する筒体用蓋17と、同載置により筒体7cの内側の釜底7a下面に当接する凹部用蓋18とが、それぞれ上下方向に摺動可能に設けられる。
【0021】
また、温度センサー10は、ホルダー11内に耐熱セメント13を詰めて感熱素子12を固定する固定金具14と、支柱15を固定する支柱台30に載置されホルダー11を上方向へ付勢するホルダーバネ16と、筒体用蓋17を上方向に付勢する筒体蓋バネ19と、凹部用蓋18を上方向に付勢する凹部蓋バネ20と、支柱15に固定され筒体蓋バネ19の下端を保持するバネ受け21と、感熱素子12とコントローラ2とを接続するリード線22とを備える。
筒体蓋バネ19の上端は筒体用蓋17に固定され、一方、凹部蓋バネ20の上下端は凹部用蓋18と筒体用蓋17とに固定される。
また、筒体蓋バネ19には、凹部蓋バネ20よりも付勢力の大きいバネが用いられる。
【0022】
上述のように構成されたガス炊飯器1に釜7を載置すると、先ずホルダー11の感熱部10aが釜7のテーパ部7dによってガイドされ嵌入凹部7bの中央部に当接してホルダー11が下降すると共に、凹部用蓋18が筒体7cの内側の釜底7a下面に当接して嵌入凹部7bおよびテーパ部7dを塞ぐ。これと同時に、筒体用蓋17が筒体7cの下端全周に当接して筒体7cを塞ぐ。
【0023】
炊飯するための炊飯スイッチ(図示略)が押されると、バーナ6を点火して釜底7aの温度を温度センサー10で検出する。
この温度センサー10の感熱部10aは、釜7の筒体7cに覆われるため、バーナ6の火炎の輻射熱を受けにくく、また、この筒体7cの下端を筒体用蓋17で封じるため、火炎の周囲に発生する熱い気流や燃焼用空気による冷たい気流が筒体7c内に入ることが防止される。更に、こうした気流が仮に筒体7cに侵入しても、凹部用蓋18によって感熱素子12を筒体7c内の空間から遮断するため、こうした気流が感熱素子12に届きにくくなる。
この結果、感熱素子12が外部からの熱的影響を受けにくくなり、温度センサー10は、釜底7aの温度を正確に検出できる。
【0024】
従来、炊飯器が置かれている場所によっては風の影響で火炎が揺れて釜底温度を誤検出してしまうことがあった。
これに対して、本実施形態のガス炊飯器1では、このような突発的な因子に影響されることなく、釜底7aの温度を正確に検出できる。
【0025】
また、釜底7aに嵌入凹部7bを形成したため、検出位置での釜底7aの板厚が減少し、しかも、温度センサー10の感熱部10aが釜底7aの内側に近づいて、より正確な温度検出を行うことができる。
【0026】
また、図1に示されるように、釜底7aに隆起部7eが形成されるため、炊飯工程が進んで釜7内の水が減っていくうちにいち早く温度センサー10当接部の水が無くなり、隆起部7eの温度が周囲よりも先に急上昇する。このため、御飯が炊けたことを釜7内に水が無くなる寸前で検知することができる。
【0027】
従って、本実施形態のガス炊飯器1は、釜底7aの温度センサー10当接部の上面が隆起せず平坦になっているガス炊飯器と比較すると、部分的にも焦げ目が付かず、寿司飯等には最適である。
また、嵌入凹部7bの上方に隆起部7eを形成したため、嵌入凹部7bを釜7の内側に近づけて形成する際に、釜底7aの肉厚を薄くし過ぎることがない。
【0028】
以上説明したように、本実施形態のガス炊飯器では、正確な検知温度に基づいて炊飯制御が行われるため、御飯をおいしく炊くことができる。
また、凹部蓋バネ20や筒体蓋バネ19によりしっかりと蓋をするため、温度センサー10の感熱部10aへの外部の熱的影響が一層抑えられる。
【0029】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、図3に示されるように、嵌入凹部47bの入口端に、温度センサー10をガイドするテーパ部を形成しなくてもよい。
また、ホルダー11に凹部用蓋18を設けなくてもよい。
【0030】
また、図3に示されるように、嵌入凹部47bの上方に位置する釜底47aの内面(上面)に、陥没部47eを形成してもよい。この場合には、釜47内の水が無くなる直前まで陥没部47eに水が溜まっており、温度センサー10は、釜底47aの温度変化を遅めに検知する。
従って、炊ける前に消火してしまう、いわゆる早切れ傾向のガス炊飯器において、陥没部47eを形成すると、早切れ傾向を解消でき、御飯に芯が残るといった不具合を防止できる。
このように、調理器具の傾向に合わせて調理容器の底部の上面の形状を設計することが望ましい。
【0031】
また、ガス炊飯器に代えてガスこんろ等のガス調理器具に本発明を適用してもよい。例えば、ガスこんろで炊飯する炊飯専用鍋に本発明を適用してもよい。また、天ぷら油火災防止用の温度センサーや調理品の焦げ付き等を防止する焦げ付き防止センサーを調理鍋の鍋底に形成された筒体内の嵌入凹部に当接させ筒体用蓋で閉じ、センサー周囲の熱の影響を受けないようにして鍋底の温度を検出してもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1の調理容器の温度検出構造によれば、温度センサーの感熱部が、筒体と筒体用蓋とによって閉空間に収納されて周囲の熱的影響を受けにくく、しかも嵌入凹部に当接して調理容器の内部に近づくため、正確に調理容器底部の温度を検出することができる。
【0033】
更に、嵌入凹部用蓋が嵌入凹部を覆うため、仮に筒体用蓋と筒体との間に隙間が生じたとしても、その隙間から侵入してきた気流によって感熱部が熱的影響を受けることを抑制でき、より正確に温度検出を行うことができる。
【0034】
更に、本発明の請求項2の調理容器の温度検出構造によれば、嵌入凹部に温度センサーの感熱部を挿入する際にテーパ部でガイドするため、調理容器を調理器具にスムーズに載置することができる。
【0035】
更に、本発明の請求項3の調理容器の温度検出構造によれば、嵌入凹部の上方に位置する調理容器底部の内面が略凸状に形成されるため、早めに調理容器底部の温度変化を検知できる。この結果、温度変化を実際よりも遅く検知する傾向がある調理器具であっても、適正なタイミングで温度変化を検知でき、上手に調理することができる。
また、調理容器底部の肉厚を薄くし過ぎることなく、嵌入凹部を調理容器の内側に近づけて形成することができ、温度検出がより正確になる。
【0036】
更に、本発明の請求項4の調理容器の温度検出構造によれば、嵌入凹部の上方に位置する調理容器底部の内面が略凹状に形成されるため、遅めに調理容器底部の温度変化を検知できる。この結果、温度変化を実際よりも早く検知する傾向がある調理器具であっても、温度変化を適正なタイミングで検知でき、調理を上手に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態としてのガス炊飯器を正面から見た断面図である。
【図2】一実施形態としての温度センサーを正面から見た断面図である。
【図3】変更例としてのガス炊飯器を正面から見た断面図である。
【符号の説明】
1…ガス炊飯器、2…コントローラ、6…バーナ、7,47…釜、7a,47a…釜底、7b,47b…嵌入凹部、7c…筒体、7d…テーパ部、7e…隆起部、10…温度センサー、10a…感熱部、11…ホルダー、12…感熱素子、15…支柱、16…ホルダーバネ、17…筒体用蓋、18…凹部用蓋、19…筒体蓋バネ、20…凹部蓋バネ、22…リード線。
Claims (4)
- 釜や鍋等の調理容器を加熱する調理器具の温度センサーの感熱部を該調理容器の底部に接触させて該底部の温度を検出する調理容器の温度検出構造において、
上記調理容器底部に上記感熱部を嵌入する嵌入凹部を形成すると共に、該嵌入凹部を囲んで上記調理容器底部から垂下する筒体を設け、
上記調理容器を上記調理器具へ載置した時、上記感熱部が上記嵌入凹部に嵌入された状態で、上記筒体の下端全周に当接して該筒体の開口を塞ぐ筒体用蓋を設けるとともに、
上記調理容器を上記調理器具へ載置した時、上記感熱部が上記嵌入凹部に嵌入された状態で、上記調理容器底部に当接して上記嵌入凹部の開口を塞ぐ嵌入凹部用蓋を設けたことを特徴とする調理容器の温度検出構造。 - 上記嵌入凹部の入口端に、温度センサーの感熱部を該嵌入凹部にガイドするテーパ部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の調理容器の温度検出構造。
- 上記嵌入凹部の上方に位置する上記調理容器底部の内面を略凸状に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の調理容器の温度検出構造。
- 上記嵌入凹部の上方に位置する上記調理容器底部の内面を略凹状に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の調理容器の温度検出構造。
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