JP3751358B2 - コンロにおける炎漏出防止装置及び鍋径検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として家庭用のコンロに適用される炎漏出防止装置及び鍋径検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンロは、通常、爪付きの五徳を用い、五徳の爪部に大小種々の鍋を載置し得るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、五徳に径の小さな鍋を載置した場合、コンロバーナの火力を強くすると、炎が鍋底の外方にはみ出して、高温の燃焼排気が鍋の外側に立昇り、この燃焼排気により鍋の取手が加熱されて、取手が持ちづらくなることがある。
【0004】
本発明は、以上の点に鑑み、低コストの鍋径検出装置を提供することを第1の課題とし、小鍋を使用したときに炎が鍋底の外方にはみ出すことを防止できるようにした炎漏出防止装置を提供することを第2の課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記第1の課題を解決すべく、本発明の鍋径検出装置は、五徳に載置した鍋の径を検出する鍋径検出装置であって、鍋の底面に沿う燃焼排気の通路部分に、径方向に間隔を存して燃焼排気の存在を検出する複数のセンサを列設し、これらセンサの検出値に基づいて鍋の径を判別する、ことを特徴とする。
【0006】
尚、鍋径検出装置としては種々のものが考えられる。例えば、五徳を内外多重に分割し、各分割五徳を上方に付勢して、鍋の重さで定位置に下降させるようにすれば、下降した分割五徳をリミットスイッチ等で判別することにより、鍋の径を検出することができる。然し、これでは五徳の構造が複雑になってコストが高くなる。
【0007】
ところで、五徳に鍋を載置すると、コンロバーナからの炎や燃焼排気は鍋の底面に沿って外方に流れ、底面から外れたところで上方に立昇る。従って、本発明の鍋径検出装置のように、燃焼排気の通路部分に燃焼排気の存在を検出する複数のセンサを径方向に間隔を存して列設しておけば、鍋の底面より径方向外方に位置するセンサは燃焼排気を検出せず、そのため、何れのセンサが燃焼排気を検出しないかで鍋の径を検出できる。そして、この構成によれば、複雑な構造の五徳を用いる必要がなく、コストが安くなる。尚、センサとしては、燃焼排気の存在を温度に基づいて検出する温度センサや、酸素濃度に基づいて検出する酸素濃度センサを用いることができる。
【0008】
ところで、鍋がセンサの列設方向に偏心して載置されると、小さな鍋であっても鍋底が外側のセンサの上方位置にまでずれ、外側のセンサに熱気が到達する。その結果、小さな鍋であるのに大きな鍋であると誤って判別され、コンロバーナの最大火力が増加されて、鍋の偏心方向とは逆方向の部分で鍋底の外方に炎がはみ出す可能性がある。この場合、センサの列を周方向に位置を変えて複数列設ければ、鍋の偏心方向とは逆方向に位置するセンサ列のセンサの検出値に基づいて鍋の径が小さいことを判別でき、炎のはみ出しを防止できる。尚、センサ列を3列以上設けることも可能であるが、これではコストが高くなる。ここで、鍋は、一般に、コンロの手前側から見て取手が左右を向くように載置されるから、取手の加熱を防止するには、左右2列にセンサ列を設ければよい。
【0009】
また、上記第2の課題を解決すべく、本発明の炎漏出防止装置は、五徳に載置した鍋の径を検出する鍋径検出装置と、コンロバーナの最大火力を鍋の径の検出値の大小に応じて増減する火力制限装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の炎漏出防止装置によれば、鍋径の大きな鍋を使用する場合には、コンロバーナの最大火力が増加されるため、火力不足を生ずることはない。一方、鍋径の小さな鍋を使用する場合には、コンロバーナの最大火力を減少させて鍋底の外方に炎がはみ出すことを抑制でき、従って、高温の燃焼排気による鍋の取手の加熱を防止できる。また炎漏出防止装置に備える鍋径検出装置の構成上、複雑な構造の五徳を用いる必要がなく、コストが安くなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、1はコンロ本体であり、コンロ本体1の上面の天板2に五徳3が載置されている。
天板2は、外天板20と内天板21とで構成されており、五徳3を、外枠30と外枠30から放射状に内方にのびる複数の五徳爪31とを備える爪付き五徳で構成し、内天板21の外周縁部の上面に五徳3を外枠30において載置している。
【0012】
コンロ本体1内には、内天板21の下側に位置させて、コンロバーナ4が設けられている。コンロバーナ4は、内周に炎孔4aを有する内炎式リングバーナで構成される。そして、コンロバーナ4からの炎Fが内天板21の内周の筒状開口部21aを通して立昇り、炎Fや燃焼排気が、五徳3に載置した鍋Pの底面に沿って、該底面と内天板21の上面との間の通路部分5を径方向外方に流れるようにしている。図中6はコンロバーナ4の着火を検出する熱電対やフレームロッドから成る火炎検知素子、7は内天板21を伝って開口部21aから落下する煮こぼれ汁等を受ける汁受けである。
【0013】
前記通路部分5には、内天板21に下方から挿通した状態で、複数、例えば3個の温度センサ81,82,83が径方向に間隔を存して列設されている。これら3個の温度センサ81,82,83から成るセンサ列は、図2に示すように、コンロの手前側から見て左右両側に2列設けられている。尚、図示例では温度センサ81,82,83として熱電対を用いているが、耐熱性の有る他の温度センサ、例えば、バイメタルスイッチを用いても良い。
【0014】
五徳3に図1に示すような中間サイズの大きさの鍋Pmを載置した場合、燃焼排気は径方向最内側の第1温度センサ81と径方向中間の第2温度センサ82との配置部を順に通過した後に通路部分5から上方に立昇り、径方向最外側の第3温度センサ83には燃焼排気が到達しなくなる。従って、通路部分5の温度は図4に線Lmで示すように変化し、第1乃至第3温度センサ81,82,83の検出温度は、線Lm上の点A,B,Cで示すように順に低くなる。五徳3に前記鍋Pmより小さな鍋Psを載置した場合の温度変化は図4の線Lsのようになる。この場合には、第2温度センサ82に燃焼排気が到達しなくなり、第2温度センサ82の検出温度が点Cと同程度になる。また、五徳3に前記鍋Pmより大きな鍋Pbを載置した場合の温度変化は図4の線Lbのようになる。この場合には、第3温度センサ83にまで燃焼排気が到達して、第3温度センサ83の検出温度が点Bと同程度になる。
【0015】
燃焼排気が到達しない温度センサの検出温度は、温度センサが炎Fや燃焼排気からの輻射熱を受けるものの外気で冷却されるため所定温度Ts以下に保持される。そこで、本実施形態では、図3に示す如く、温度センサ81,82,83の検出信号を入力するマイクロコンピュータ等から成る制御回路9を設け、何れの温度センサの検出温度が所定温度Ts以下になっているかで鍋の径を判別するようにしている。かくて、センサ列と制御回路9とにより鍋径検出装置が構成される。尚、第1温度センサ81は五徳爪31の内端よりも内方に位置しており、五徳3に鍋が載置されている限りどのような大きさの鍋であっても第1温度センサ81は燃焼排気に晒される。即ち、コンロバーナ4が着火しているのに第1温度センサ81の検出温度が低くなるのは、五徳3に鍋が載置されていないときであり、従って、第1温度センサ81の検出温度に基づいて鍋の有無を判別できる。
【0016】
コンロバーナ4にガスを供給するガス供給路には、電磁安全弁40と、点消火用の操作子(図示せず)で開閉操作される主弁41と、火力調整用の操作子(図示せず)で絞り操作される流量調整弁42と、電磁比例弁43とが介設されている。
電磁安全弁40は、点消火用の操作子による点火操作時に押圧開弁され、制御回路9に入力する火炎検知素子6からの信号でコンロバーナ4の着火が検出されたときに、開弁状態に吸着保持される。
【0017】
電磁比例弁43は、制御回路9からの鍋径の検出値に応じた信号で開度制御されるようになっており、流量調整弁42を全開にしたときに得られるコンロバーナ4の最大火力が、電磁比例弁43の開度制御により、鍋径の検出値の大小に応じて増減される。かくて、制御手段9と電磁比例弁43とにより火力制限手段が構成される。コンロバーナ4が着火しているのに第1温度センサ81の検出温度が低下して鍋が無いと判別された場合には、電磁比例弁43を最小開度に絞る。
【0018】
以上に構成によれば、鍋底の外方に炎がはみ出さないように、鍋の大きさに合わせてコンロバーナ4の最大火力が増減補正されることになり、火力不足を生じないようにして、且つ、高温の燃焼排気による鍋の取手PHの加熱を防止できる。また、鍋が無いときには火力が弱められるため、エネルギーの浪費も防止できる。尚、鍋が無いときにはコンロバーナ4を消火することも考えられるが、調理中に一時的に鍋を取上げる場合もあり、この場合に消火したのでは再度の点火操作が必要になって使い勝手が悪くなるため、鍋が無いときには火力を弱めるようにしている。
【0019】
ところで、鍋を五徳3に対し偏心状態で載置すると、例えば、図2に仮想線で示すように左方に偏心させて載置すると、鍋が小さくても左側のセンサ列では第3温度センサ83にまで燃焼排気が到達してその検出温度が高くなる。この場合、センサ列が左側にしか設けられていないと、コンロバーナ4の最大火力は大きな鍋に対応する火力に増加され、鍋の右側に炎がはみ出して鍋の右側の取手PHが加熱される。然し、本実施形態ではセンサ列が左右2列に設けられているため、上記の場合、右側のセンサ列では第2温度センサ82に燃焼排気が到達しなくなり、その検出温度が低下する。従って、左右2列のセンサ列の全ての温度センサの検出温度を監視し、検出温度が所定温度以下になる温度センサのうちで最も内側に位置するものに基づいて鍋径の判別を行うようにすれば、上記の場合には、右側のセンサ列の第2温度センサ82に基づいて鍋径が小さいと判別される。かくて、コンロバーナ4の最大火力が小さな鍋に対応する火力に減少され、鍋の右側での炎のはみ出しを生じなくなり、鍋の右側の取手PHの加熱が防止される。
【0020】
尚、センサ列を周方向に120°間隔で3列設ければ、鍋が何れの方向に偏心載置されても、炎が鍋底からはみ出さないように最大火力を制限することができるが、これではセンサの個数が多くなってコストが高くなる。ところで、鍋は、一般に、取手が横方向を向くように載置されるから、取手の加熱を防止するには横方向の偏心載置に対処できれば良く、本実施形態のようにセンサ列を左右の2列だけにして、コストダウンを図ることが望ましい。
【0021】
ところで、中華鍋を用いると鍋底が湾曲しているために燃焼排気が温度センサよりも上方を流れ、小さな鍋と判別されて最大火力が減少されてしまう。従って、中華鍋を用いて炒め物調理を行う場合、火力不足でうまく調理できなくなる。そこで、本実施形態では、手動操作スイッチ10を設け、該スイッチ10からのオン信号が制御回路9に入力されたときには、鍋径に応じた最大火力の増減制御を中止するようにしている。そして、コンロバーナ4を一旦消火したときは、最大火力の増減制御を行い得る状態に復帰させ、制御中止状態に放置されることを防止している。
【0022】
以上、燃焼排気の存在を検出するセンサとして温度センサを用いた実施形態について説明したが、燃焼排気は酸素濃度が低くなるため、センサとしてジルコニア等の酸素濃度センサを用いても良い。
【0023】
また、上記実施形態では、電磁比例弁43によりコンロバーナ4の最大火力を増減しているが、電磁比例弁43に代えて、流量調整弁42を操作する火力調整用の操作子の強火側への操作ストロークを規制する可動ストッパを設け、該ストッパを検出された鍋径に応じてモータ等により自動的に移動して最大火力を増減するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明装置を具備するコンロの一例の截断正面図
【図2】 その要部の平面図
【図3】 コンロの制御系の回路図
【図4】 温度センサの検出温度を示すグラフ
【符号の説明】
3 五徳 4 コンロバーナ
5 通路部分 81,82,83 温度センサ
9 制御回路
43 電磁比例弁(火力制限装置を構成する弁)
Claims (6)
- 五徳に載置した鍋の径を検出する鍋径検出装置であって、
鍋の底面に沿う燃焼排気の通路部分に、径方向に間隔を存して燃焼排気の存在を検出する複数のセンサを列設し、
これらセンサの検出値に基づいて鍋の径を判別する、
ことを特徴とするコンロにおける鍋径検出装置。 - 前記センサの列を周方向に位置を変えて複数列設けることを特徴とする請求項1に記載のコンロにおける鍋径検出装置。
- 前記センサの列を、コンロの手前側から見て左右両側に2列設けることを特徴とする請求項2に記載のコンロにおける鍋径検出装置。
- 前記センサは温度センサで構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のコンロにおける鍋径検出装置。
- 前記センサは酸素濃度センサで構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のコンロにおける鍋径検出装置。
- 五徳に載置した鍋の径を検出する、請求項1〜5のいずれかの項に記載の鍋径検出装置と、
コンロバーナの最大火力を鍋の径の検出値の大小に応じて増減する火力制限装置と、
を備えることを特徴とするコンロにおける炎漏出防止装置。
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