しかしながら、上記特許文献1にかかる技術においては、最初にカッターシャツの首回りをある程度タイトに締めていて、途中で窮屈になってきて首回り長さを長くしようとする場合には、一度ネクタイを大きく緩めて、スライドファスナーをスライドさせたり、フックまたはコハゼを別の位置に掛け直したり、面ファスナーを一旦剥がして貼り付け直したりしなければならない。このような動作は人目に付き、特に結婚式や通夜・葬儀といった冠婚葬祭の場においては、無作法にあたるため実行するのは事実上不可能である。
また、この技術においては、襟の下側に当る台襟、即ち、通常のワイシャツにおいて最上部のボタンとボタンホールがそれぞれ設けられる部分の表面に直接スライドファスナーや接着布・複数のメンカン・複数のコハゼ掛けといった硬い部品を取付けるため、襟で隠してもアタリが出たり、何かの拍子に襟が上がって見えたりする恐れがあり、見栄えを損なうことになるという問題点があった。
そこで、本発明は、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、襟に治具等のアタリが出たり襟が上がって治具等が見えたりすることなく、快適に長時間着用することができる首回り調節機能付シャツの提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、シャツの最上部のボタンを台襟、即ち、襟のあるシャツでは襟の下に隠れる首回りの部分、外襟のあるシャツでは外襟の下に隠れる首回りの部分に設けた第2のボタンホール内部の移動布に取付け、前記最上部のボタンを首回り方向に前記第2のボタンホール内で好みの位置に移動可能としたものである。
請求項2の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1の構成において、前記最上部のボタンを伸縮自在の弾性材に直接または前記弾性材の先端に前記移動布を縫付けて前記移動布に取付け、前記弾性材の他端を前記台襟の下地に縫付けたものである。
請求項3の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項2の構成において、前記弾性材または前記移動布の上下方向への振れを規制するために前記台襟の下地に縦テープを取付けて前記弾性材または前記移動布の裏側に横方向テープを前記縦テープの下を横方向に移動可能に通して縫付けたものである。
請求項4の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項2の構成において、前記弾性材または前記移動布の下の前記台襟の下地の前記第2のボタンホールに相当する位置に横長のテープを前記第2のボタンホール長さ分だけ空けた両端を縫付け、前記弾性材または前記移動布の裏側に前記横長のテープの空けた部分に縦方向テープを通して上下端を縫付けたものである。
請求項5の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項2の構成において、前記弾性材または前記移動布の下の前記台襟の下地の前記第2のボタンホールに相当する位置に横長のテープを左端だけ縫付け、前記弾性材または前記移動布の裏側に前記横長のテープの空けた部分に縦方向テープを通して上下端を縫付け、前記第2のボタンホールの右端に相当する位置に前記台襟の下地に縦テープを取付けて前記弾性材または前記移動布の裏側に前記横長のテープの右端を縫付けたものである。
請求項6の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項2の構成において、前記弾性材または前記移動布に「く」の字形に折り曲げたテープを折り曲げ線において縫付け、前記テープの両端は前記台襟の下地に縫付け、前記縫付けられた折り曲げ線の左右の余ったテープはタックに折りたたんだものである。
請求項7の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項3乃至請求項6のいずれか1つの構成において、前記縦テープ及び/または前記横長のテープ或いは「く」の字形に折り曲げたテープを前記台襟の下地の内側に縫付けられる裏地のみに縫付けたものである。
請求項8の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1の構成において、前記弾性材または前記移動布に前記最上部のボタンを適当な長さの糸足またはボタンの糸足に硬く巻き付けて止めた根巻きを持たせて縫付けて、内側から前記第2のボタンホールの周囲に前記第2のボタンホール部分に長穴を開けた硬めの芯を貼り付け、前記最上部のボタンを前記第2のボタンホールから外側に位置させたものである。
請求項9の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1乃至請求項8のいずれか1つの構成において、前記移動布は芯をシャツの布地と共布の布地またはその他の布地で包(くる)んでなるものである。
請求項10の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1または請求項2の構成において、前記台襟の中に前記台襟とは分離して移動可能な芯のみからなる移動布を設け、該移動布に前記最上部のボタンを適当な長さの糸足または根巻きを持たせて縫付けて、前記台襟上地内側から前記第2のボタンホールが形成される周囲に大きめの硬めの芯を取付け、またはさらにその上から前記第2のボタンホールが形成される部分に前記第2のボタンホールの長さ程度に切った小さめの硬めの芯を取付け、前記大きめの硬めの芯の上から全体を覆う大きさの、または前記第2のボタンホールが形成される部分に前記第2のボタンホールの長さ程度の大きさのシャツの布地と共布の布地またはその他の布地を貼り付けまたは縫付けて、若しくは前記小さめの硬めの芯の上から前記大きめの硬めの芯全体を覆う大きさの、または前記小さめの硬めの芯を覆う大きさのシャツの布地と共布の布地またはその他の布地を貼り付けまたは縫付けて、前記第2のボタンホールを形成し、前記最上部のボタンを前記第2のボタンホールから外側に位置させたものである。
請求項11の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1乃至請求項8のいずれか1つの構成において、前記移動布は硬めの芯に布地を接着して前記移動布の形状にレーザカットまたはヒートカットで切り出してなるものである。
請求項12の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1乃至請求項11のいずれか1つの構成において、前記台襟の先端部分の前記第2のボタンホール側全体に前記第2のボタンホール部分に長穴を開けた前記硬めの芯を貼り付けたものである。
請求項13の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1,請求項2,請求項8または請求項12の構成において、前記移動布の裏側に前記硬めの芯を縫付けたものである。
請求項14の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項8乃至請求項13のいずれか1つの構成において、前記硬めの芯の代わりに薄い耐熱性プラスティックを用いたものである。
請求項15の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1の構成において、前記移動布の代わりに耐熱性プラスティックを用いて前記最上部のボタンを適当な長さの糸足または根巻きを持たせて縫付けて前記第2のボタンホールから外側に位置させたものである。
請求項16の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項15の構成において、前記移動布の代わりの耐熱性プラスティックに布テープを縫付けて、該布テープまたは該布テープ及び前記耐熱性プラスティックに前記最上部のボタンを適当な長さの糸足または根巻きを持たせて縫付けて前記第2のボタンホールから外側に位置させたものである。
請求項17の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項8乃至請求項14のいずれか1つの構成において、前記移動布、前記裏側に硬めの芯を縫付けた移動布、前記裏側に耐熱性プラスティックを縫付けた移動布、または前記耐熱性プラスティックに伸縮自在の弾性材を縫付け、前記弾性材の他端を前記台襟の下地に縫付けたものである。
請求項18の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1乃至請求項14のいずれか1つの構成において、前記移動布、前記裏側に硬めの芯を縫付けた移動布、前記裏側に耐熱性プラスティックを縫付けた移動布、または前記耐熱性プラスティックの一端に伸縮自在の弾性材を縫付け、前記最上部のボタンを首回りが締まる方向へ付勢するように前記弾性材の他端を前記台襟の下地に縫付け、前記移動布、前記裏側に硬めの芯を縫付けた移動布、前記裏側に耐熱性プラスティックを縫付けた移動布、または前記耐熱性プラスティックの他端に伸縮性のない生地からなるストッパーを縫付け、前記最上部のボタンの首回りが締まる方向への移動を規制するように前記ストッパーの他端を前記台襟の下地に縫付けたものである。
請求項19の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1乃至請求項14のいずれか1つの構成において、前記移動布、前記裏側に硬めの芯を縫付けた移動布、前記裏側に耐熱性プラスティックを縫付けた移動布、または前記耐熱性プラスティックを伸縮自在の長い弾性材の上に縫付け、前記弾性材の両端をそれぞれ前記台襟の下地に縫付けたものである。
請求項20の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項2乃至請求項7または請求項17乃至請求項19のいずれか1つの構成において、前記弾性材の端部を直接前記台襟の下地に縫付けず、芯材に縫付けて前記芯材を前記台襟の下地に接着し、前記台襟の下地と上地を縫い合せるときに前記芯材の上下端もともに縫付けるものである。
請求項21の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項2乃至請求項7または請求項17乃至請求項19のいずれか1つの構成において、前記弾性材の端部を台襟芯に縫付けてから前記台襟芯を台襟下地の内側に接着するものである。
請求項22の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項16乃至請求項21のいずれか1つの構成において、前記耐熱性プラスティックを布地で包んだものである。
請求項23の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項16乃至請求項21のいずれか1つの構成において、前記耐熱性プラスティックの表面に微細な凹凸を付けたものである。
請求項24の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項2乃至請求項12のいずれか1つの構成において、前記弾性材または前記移動布に前記最上部のボタンを適当な長さの糸足または根巻きを持たせて縫付けて前記第2のボタンホールから外側に位置させ、前記第2のボタンホールに熱硬化性樹脂を含浸して熱硬化させたものである。
請求項25の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項2乃至請求項12のいずれか1つの構成において、前記弾性材または前記移動布に前記最上部のボタンを適当な長さの糸足または根巻きを持たせて縫付けて、合成樹脂の糸で穴かがりをした前記第2のボタンホールから前記最上部のボタンを外側に位置させたものである。
請求項26の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項2乃至請求項7または請求項17乃至請求項25のいずれか1つの構成において、前記弾性材の両端に前記弾性材の伸びを規制する伸び止め材を縫付けたものである。
請求項27の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1の構成において、前記台襟の中に前記第2のボタンホールの位置に前記第2のボタンホールより長く横テープを張って両端を前記台襟の下地に縫付け、前記横テープの中空部分を挟むように2枚の縦方向テープを前記横テープの上下のきわで縫付け、前記横テープに沿って移動可能とし、前記2枚の縦方向テープのうち表側にボタンを縫付けて前記第2のボタンホールから外側に位置させたものである。
請求項28の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項27の構成において、前記横テープを2本とし、前記2枚の縦方向テープを前記2本の横テープの上下のきわでそれぞれ縫付け、前記2本の横テープに沿って移動可能としたものである。
請求項29の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項27または請求項28の構成において、前記横テープを前記台襟の下地の内側に縫付けられる裏地のみに縫付けたものである。
請求項30の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1乃至請求項29のいずれか1つの構成において、前記移動布または前記耐熱性プラスティックの一端に通常は前記移動布または前記耐熱性プラスティックの動きを規制しないストッパーを縫付け、前記ストッパーの他端を前記台襟の端に縫付けたものである。
請求項31の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1乃至請求項30のいずれか1つの構成において、前記移動布またはその役割をするものに力が掛かっていない状態で前記最上部のボタンが位置する台襟裏側の下地にほつれない貫通孔を設けたものである。
請求項32の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項1乃至請求項31のいずれか1つの構成において、前記最上部のボタンまたはその役割をするものと前記移動布またはその役割をするものと両者を接続する糸足または根巻きの役割をするもののいずれかまたは全てが金属製、プラスティック製、エラストマー製、ゴム製、木製、セラミックス製、ガラス製のいずれかであるものである。
請求項1の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、シャツの最上部のボタンを台襟に設けた第2のボタンホール内部の移動布に取付け、前記最上部のボタンを首回り方向に前記第2のボタンホール内で好みの位置に移動可能としたものである。したがって、ボタンが第2のボタンホールの最も通常のボタンホールから離れた位置にある最も首回りが締まった状態から、ボタンが第2のボタンホールの最も通常のボタンホール側にある最も首回りが緩んだ状態まで、最上部のボタンを通常のボタンホールに掛けたままでちょっとシャツの襟元を両手で、または片手の指先で摘んで引張るだけの動作で好みの締め付け具合に調節することができる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、襟に治具等のアタリが出たり襟が上がって治具等が見えたりすることもなく、寒いときは締め、暑いときは広げることができ、周囲の温度変化に素早く対応することができ、また外襟の間を大きく広げたラフな状態から、外襟をぴったり合わせたフォーマルな状態に素早く切り替えることができて、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項2の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、最上部のボタンを伸縮自在の弾性材に直接または弾性材の先端に移動布を縫付けて移動布に取付け、弾性材の他端を台襟の下地に縫付けたものである。
ここで、「弾性材」としては、ゴム板、ゴムテープ、網ゴムテープ、パワーネット、等を用いることができる。このように、最上部のボタンを通常のボタンホールに掛けた状態で首が締まる方向に弾性材で付勢することによって、弾性材としてゴム板、ゴムテープのような強力な引張り力を有する部材を用いた場合には、ちょっと首回りに風を入れようと両手で両襟元を摘んで緩めても、手を離せば弾性材の付勢力によってまた元のぴったり締められた状態に戻る。
また、弾性材として網ゴムテープのような引張り力の弱い部材を用いた場合には、首回りがきつくなって来たと感じた場合に、両手で両襟元を摘んで最上部のボタンを好みの位置まで移動させて緩めれば、弾性材の付勢力が弱いため第2のボタンホールの穴かがり部分との摩擦によって最上部のボタンはすぐには元の位置に戻らず、ゆっくり時間をかけてそれと分からないほどの動きで元の位置に復帰するので、着用者は首回りが楽な状態をしばらく維持することができる。これによって、葬儀等の参列時において長時間同じ姿勢を保っていなければならない場合においても、周囲に目立たないように首回りを楽にしていられる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、弾性材の付勢力を選択することによってすぐまた元のぴったり締まった状態に復帰させたり、しばらく首回りを緩めた状態を維持したりすることができ、襟に治具等のアタリが出たり襟が上がって治具等が見えたりすることもなく、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項3の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、弾性材または移動布の上下方向への振れを規制するために、台襟の下地に縦テープを取付けて、弾性材または移動布の裏側に横方向テープを縦テープの下を横方向に移動可能に通して縫付けたものである。これによって、弾性材または移動布が首回りに沿って移動する際に上下方向へ振れることなくスムーズに移動させることができる。したがって、一瞬で首回りを緩めることができ、人目に付く恐れがない。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項4の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、弾性材または移動布の下の台襟の下地の第2のボタンホールに相当する位置に横長のテープを第2のボタンホール長さ分だけ空けた両端を縫付け、弾性材または移動布の裏側に横長のテープの空けた部分に縦方向テープを通して上下端を縫付けたものである。これによって、弾性材または移動布が首回りに沿って移動する際に上下方向へ振れることなくスムーズに移動させることができる。したがって、一瞬で首回りを緩めることができ、人目に付く恐れがない。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項5の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、弾性材または移動布の下の台襟の下地の第2のボタンホールに相当する位置に横長のテープを左端だけ縫付け、弾性材または移動布の裏側に横長のテープの空けた部分に縦方向テープを通して上下端を縫付け、第2のボタンホールの右端に相当する位置に台襟の下地に縦テープを取付けて弾性材または移動布の裏側に横長のテープの右端を縫付けたものである。これによって、最上部のボタンの移動範囲が左端でも右端でも限定され、弾性材に無理な力が掛かる恐れがなく、しかもスムーズに最上部のボタンを第2のボタンホール内で移動させることができる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、弾性材を長持ちさせることができ、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項6の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、弾性材または移動布に「く」の字形に折り曲げたテープを折り曲げ線において縫付け、テープの両端は台襟の下地に縫付け、縫付けられた折り曲げ線の左右の余ったテープはタックに折りたたんだものである。これによって、最上部のボタンが第2のボタンホール内で首回りが緩む方向に引張られたとき、テープの中央のタックが上下に分散されるので、遊びが少なくなる。したがって、最上部のボタンを無理に第2のボタンホール外へ引張っても、それに釣られて最上部のボタンが止められた移動布や弾性材の一部が第2のボタンホールの外へ飛び出す、いわゆる「噴き出し」が起こり難い。また、テープの中央部分がタックに折りたたまれているため、弾性材の引張り力が強い場合の戻りが良くなる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しが起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項7の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、縦テープ及び/または横長のテープ或いは「く」の字形に折り曲げたテープを台襟の下地の内側に縫付けられる裏地のみに縫付けたものである。したがって、これらの部材の縫付け糸が台襟の下地の表面に表れることがなく、表れるのは弾性材の他端を縫付けた糸のみであるから、見栄えが良くなる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また見栄えの良い首回り調節機能付シャツとなる。
請求項8の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、弾性材または移動布に最上部のボタンを適当な長さの糸足またはボタンの糸足に硬く巻き付けて止めた根巻きを持たせて縫付けて、内側から第2のボタンホールの周囲に第2のボタンホール部分に長穴を開けた硬めの芯を貼り付け、最上部のボタンを第2のボタンホールから外側に位置させたものである。
ここで、「硬めの芯」としては、例えば、ポリエステル、ナイロン等からなる不織布の芯で種々の厚さのものがあるバイリーン芯、ベルト芯とも単に芯とも言い、例えばポリエステル等の織物芯で風合いはソフトからハードまで各種あるインベル芯等を用いることができる。
これによって、第2のボタンホールの周囲に貼り付けられた硬めの芯があるため、第2のボタンホールは自由に変形することができず、「噴き出し」を効果的に防止することができる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しが起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項9の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、移動布は芯をシャツの布地と共布の布地またはその他の布地で包(くる)んでなるものである。ここで、「芯」としては、例えば上述したようなバイリーン芯、インベル芯等を用いることができる。芯の表面には大きな凹凸があり、布地の表面の凹凸は小さい。そこで、移動布として芯を布地で包んだものを用いると、特に請求項8の発明にかかる首回り調節機能付シャツのように内側から第2のボタンホールの周囲に第2のボタンホール部分に長穴を開けた硬めの芯を貼り付けた場合には、移動布の表面の小さい凹凸を有する布地と、硬めの芯の表面の大きな凹凸とが丁度良い摩擦力を生じて、第2のボタンホールの適当な位置で移動布を止めたり、また動かしたりすることができる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しが起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項10の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、台襟の中に台襟とは分離して移動可能な芯のみからなる移動布を設け、該移動布に最上部のボタンを適当な長さの糸足または根巻きを持たせて縫付けて、台襟上地内側から第2のボタンホールが形成される周囲に大きめの硬めの芯を取付け、またはさらにその上から第2のボタンホールが形成される部分に第2のボタンホールの長さ程度に切った小さめの硬めの芯を取付け、大きめの硬めの芯の上から全体を覆う大きさの、または第2のボタンホールが形成される部分に第2のボタンホールの長さ程度の大きさのシャツの布地と共布の布地またはその他の布地を貼り付けまたは縫付けて、若しくは小さめの硬めの芯の上から大きめの硬めの芯全体を覆う大きさの、または小さめの硬めの芯を覆う大きさのシャツの布地と共布の布地またはその他の布地を貼り付けまたは縫付けて、第2のボタンホールを形成し、最上部のボタンを第2のボタンホールから外側に位置させたものである。
即ち、本発明にかかる首回り調節機能付シャツは、請求項9の発明について述べたような芯と布地との相性の良さを利用して、請求項9の発明とは逆に第2のボタンホールの周囲を布地表面として、移動布を芯としたものである。これによって、第2のボタンホール周囲の表面の小さい凹凸を有する布地と、移動布を構成する芯の表面の大きな凹凸とが丁度良い摩擦力を生じて、第2のボタンホールの適当な位置で移動布を止めたり、また動かしたりすることができる。台襟上地内側に大きめの硬めの芯を取付けた上からさらに小さめの硬めの芯を取付けるか否かは、シャツの素材等に合わせて最も適切な摩擦力が生ずるように決定すれば良い。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しが起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項11の発明にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、移動布は硬めの芯に布地を接着して前記移動布の形状にレーザカットまたはヒートカットで切り出してなるものである。これによって、移動布の周囲はレーザカットまたはヒートカットによる熱で固められるのでほつれることがなく、移動布を製作するのにミシンで縫う工程を省くことができ、移動布の厚みを薄くできるという利点が得られる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また製作が容易で、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項12の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、台襟の先端部分の第2のボタンホール側全体に第2のボタンホール部分に長穴を開けた硬めの芯を貼り付けたものである。これによって、台襟の先端部分の第2のボタンホール側全体が硬めの芯で強化されるため、第2のボタンホールは自由に変形することができず、より噴き出しが起こり難くなる。また、台襟の先端部分に張りを持たせることによって移動布との間の摩擦を増して、最上部のボタンを第2のボタンホールの好みの位置で留めることができ、必要があれば指先で摘んで締めることができ、さらに移動布の移動範囲に皺がよったり曲がったりしないので、移動布をスムーズに移動させることができる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しがさらに起こり難く、寒いときは締め、暑いときは広げることができ、周囲の温度変化に素早く対応することができ、また外襟の間を大きく広げたラフな状態から、外襟をぴったり合わせたフォーマルな状態に素早く切り替えることができて、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項13の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、移動布の裏側に前記硬めの芯を縫付けたものである。これによって、移動布全体の硬さが増すのでさらに噴き出しが起こり難くなり、また台襟の先端部分の内部を移動布がよりスムーズに移動することができるので、指先で摘んで小さい力で首回りを調節することができる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しがさらに起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項14の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、硬めの芯の代わりに薄い耐熱性プラスティックを用いたものである。ここで、耐熱性プラスティックとは狭義には約200℃までは軟化しないプラスティック材料をいう。かかる材料であれば、アイロンをかける温度が最も高い(約200℃)木綿製のワイシャツ等にも硬めの芯の代わりに使用することができる。なお、広義には、もっと軟化温度の低い(約100℃〜約180℃)プラスティック材料も含まれる。ポリエステル製のワイシャツ等では、アイロンをかける温度が約160℃〜約180℃と低く、しかも耐熱性プラスティックに直接アイロンを当てるわけではなく生地を挟んで間接的に加熱されるので、耐熱性プラスティックの温度はずっと低いものと考えられるからである。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しがさらに起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項15の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、移動布の代わりに耐熱性プラスティックを用いたものである。ここで、耐熱性プラスティックとは、上述の如く、狭義には約200℃までは軟化しないプラスティック材料をいう。具体的には、ポリ塩化ビニリデンまたはポリ塩化ビニリデンとポリ塩化ビニル(PVC)との共重合体や、ペットボトルに使用されるポリエチレンテレフタラート(PET)等がある。なお、広義には、もっと軟化温度の低い(約100℃〜約180℃)プラスティック材料も含まれる。ポリエステル製のワイシャツ等では、アイロンをかける温度が約160℃〜約180℃と低く、しかも耐熱性プラスティックに直接アイロンを当てるわけではなく生地を挟んで間接的に加熱されるので、耐熱性プラスティックの温度はずっと低いものと考えられるからである。したがって、シャツの生地の種類や厚さによっては、ポリ塩化ビニル(PVC)でも用いることができる。
これらの耐熱性プラスティックは、余り厚くなければミシンで縫うことができるので、最上部のボタンを手縫い針やボタン付けミシンで縫付けることができる。そして、これらの耐熱性プラスティックは適度な硬さを有しているので、噴き出し防止のための縦テープや横テープ等を用いなくとも、噴き出しが起こることはない。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しがさらに起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項16の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、移動布の代わりの耐熱性プラスティックに布テープを縫付けて、布テープまたは布テープ及び耐熱性プラスティックに最上部のボタンを適当な長さの糸足または根巻きを持たせて縫付けて第2のボタンホールから外に出したものである。耐熱性プラスティックは、余り厚くなければミシンで縫うことができるので、最上部のボタンを手縫い針やボタン付けミシンで縫付けることができる。そして、適度な硬さを有しているので、噴き出し防止のための縦テープや横テープ等を用いなくとも、噴き出しが起こることはないという利点を有しているが、最上部のボタンがとれた場合には一般消費者では付け直すことが困難である。そこで、耐熱性プラスティックに布テープを縫付けることによって、最上部のボタンがとれた場合に一般消費者でも容易に付け直すことができる。
ここで、移動布の代わりの耐熱性プラスティックに布テープを両端だけ縫付けて中央は耐熱性プラスティックから浮かせて、布テープだけに最上部のボタンを縫付けても良いし、耐熱性プラスティックに布テープの周囲を縫付けて耐熱性プラスティックに密着させて、布テープと耐熱性プラスティックを貫通させて最上部のボタンを縫付けても良い。前者の場合は最上部のボタンがとれた場合に消費者が布テープだけに最上部のボタンを縫付け直すのが容易であるが、布テープが浮いている分だけ噴き出しが起こる可能性があるという難点がある。一方、後者の場合は布テープが耐熱性プラスティックに密着しているために消費者が布テープだけに最上部のボタンを縫付け直すのが難しそうに思えるが、耐熱性プラスティックで針先が滑るので、案外容易に布テープだけに最上部のボタンを縫付け直すことができる。
さらに、長めの布テープを耐熱性プラスティックの一端からはみ出すように縫付けることによって、はみ出し部分がストッパーの役目をするので、部品点数が減って工程短縮、コスト低減に繋げることもできる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また最上部のボタンがとれた場合にも容易に付け直すことができ、同時にストッパーを取付けることもでき、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項17の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、レーザカットまたはヒートカットで切り出してなるものを含む移動布、裏側に硬めの芯を縫付けた移動布、裏側に耐熱性プラスティックを縫付けた移動布、または移動布の代わりの耐熱性プラスティックに弾性材を縫付けたものである。
ここで、「弾性材」としては、ゴム板、ゴムテープ、網ゴムテープ、パワーネット、等を用いることができる。このように、最上部のボタンを通常のボタンホールに掛けた状態で首が締まる方向に弾性材で付勢することによって、弾性材としてゴム板、ゴムテープのような強力な引張り力を有する部材を用いた場合には、ちょっと首回りに風を入れようと両手で両襟元を摘んで緩めても、手を離せば弾性材の付勢力によってまた元のぴったり締められた状態に戻る。
また、弾性材として網ゴムテープのような引張り力の弱い部材を用いた場合には、首回りがきつくなって来たと感じた場合に、両手で両襟元を摘んで最上部のボタンを好みの位置まで移動させて緩めれば、弾性材の付勢力が弱いため第2のボタンホールの穴かがり部分との摩擦によって最上部のボタンはすぐには元の位置に戻らず、ゆっくり時間をかけてそれと分からないほどの動きで元の位置に復帰するので、着用者は首回りが楽な状態をしばらく維持することができる。これによって、葬儀等の参列時において長時間同じ姿勢を保っていなければならない場合においても、周囲に目立たないように首回りを楽にしていられる。
さらに、弾性材として網ゴムテープのような引張り力の弱い部材を用いた場合には、首回りが最も締まった状態から首回りを任意の位置まで緩めた状態とすれば、移動布等、特に裏側に硬めの芯を縫付けた移動布や裏側に耐熱性プラスティックを縫付けた移動布のように厚めのものと第2のボタンホールの穴かがり部分との摩擦によって最上部のボタンをその位置に留めることもでき、好みの締め付け具合とすることができる。そして、必要なときは指先で摘むだけで外襟と外襟の間を閉じることができる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しがさらに起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項18の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、移動布、裏側に硬めの芯を縫付けた移動布、裏側に耐熱性プラスティックを縫付けた移動布、または耐熱性プラスティックの一端に伸縮自在の弾性材を縫付け、最上部のボタンを首回りが締まる方向へ付勢するように弾性材の他端を台襟の下地に縫付け、移動布、裏側に硬めの芯を縫付けた移動布、裏側に耐熱性プラスティックを縫付けた移動布、または耐熱性プラスティックの他端に伸縮性のない生地からなるストッパーを縫付け、最上部のボタンの首回りが締まる方向への移動を規制するようにストッパーの他端を台襟の下地に縫付けたものである。
これによって、弾性材としてゴム板、ゴムテープのような強力な引張り力を有する部材を用いた場合でも、最上部のボタンが引張られ過ぎることなくストッパーによってバランスの取れた位置に保持される。また、弾性材として網ゴムテープのような引張り力の弱い部材を用いた場合には、ストッパーによって規制される首回りが最も締まった位置から首回りを任意の位置まで緩めた状態とすれば、移動布等、特に裏側に硬めの芯を縫付けた移動布や裏側に耐熱性プラスティックを縫付けた移動布のように厚めのものと第2のボタンホールの穴かがり部分との摩擦によって最上部のボタンをその位置に留めることもでき、好みの締め付け具合とすることができる。さらに、ストッパーによって噴き出しが一層起こり難くなる。そして、必要なときは指先で摘むだけで外襟と外襟の間を閉じることができる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しがさらに起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項19の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、移動布、裏側に硬めの芯を縫付けた移動布、裏側に耐熱性プラスティックを縫付けた移動布、または耐熱性プラスティックを伸縮自在の長い弾性材の上に縫付け、弾性材の両端をそれぞれ台襟の下地に縫付けたものである。これによって、弾性材の一方がストッパーと同様の働きをするため、縫製が簡単でストッパーを縫付けたのと同様の作用効果が得られる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しがさらに起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項20の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、弾性材の端部を直接台襟の下地に縫付けず、芯材に縫付けて芯材を台襟の下地に接着し、台襟の下地と上地を縫い合せるときに芯材の上下端もともに縫付けるものである。ここで、「芯材」としてはポリエステル、ナイロン等からなる不織布の芯で種々の厚さのものがあるバイリーン芯、ベルト芯とも単に芯とも言い、例えばポリエステル等の織物芯で風合いはソフトからハードまで各種あるインベル芯等を用いることができる。バイリーン芯にもソフト芯とハード芯があるが、通常ソフト芯,ハード芯と言えば、インベル芯のソフト芯,ハード芯を指す。
これによって、弾性材の端部の縫付け糸が外部から見えなくなり、通常のシャツと同様の縫い目のみが外部から見えることになる。さらに、芯材の上下端を台襟の下地と上地を縫い合せるときに縫付けることによって、何回も洗濯等するうちに接着面が剥がれてもとれることがない。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、しかも余計な縫い目が外から見えずに見栄えが良く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項21の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、弾性材の端部を台襟芯に縫付けてから台襟芯を台襟下地の内側に接着するものである。ここで、「台襟芯」とは台襟下地全周の内側に接着されている芯材である。この台襟芯を台襟下地の内側に接着する前に、所定の位置に弾性材の端部を縫付けておけば、弾性材の端部の縫付け糸が外部から見えなくなり、通常のシャツと同様の縫い目のみが外部から見えることになる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、しかも余計な縫い目が外から見えずに見栄えが良く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項22の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、移動布の代わりの耐熱性プラスティックを布地で包んだものである。これによって、耐熱性プラスティックが薄い場合でも折れ曲がり難くなり、また第2のボタンホールから耐熱性プラスティック部分が見えた場合でも、布地で包まれているため耐熱性プラスティック表面で光が反射して見た目に違和感を与える恐れがない。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しがさらに起こり難く、見た目にも違和感を与えることがない首回り調節機能付シャツとなる。
請求項23の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、耐熱性プラスティックの表面に微小な凹凸を付けたものである。これによって、第2のボタンホールから耐熱性プラスティック部分が見えた場合でも、布地で包まれていなくても耐熱性プラスティック表面で光が反射せず、見た目に違和感を与える恐れがない。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しがさらに起こり難く、見た目にも違和感を与えることがない首回り調節機能付シャツとなる。
請求項24の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、弾性材または移動布に最上部のボタンを適当な長さの糸足または根巻きを持たせて縫付けて第2のボタンホールから外側に位置させたもので、第2のボタンホールに熱硬化性樹脂を含浸して熱硬化させたものである。ここで、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等があるが、最上部のボタンを縫付けた糸が第2のボタンホールと何回も擦れ合うので、余り硬度の高い樹脂では糸が切れてしまう恐れがあるので、硬化後も弾力性を有する樹脂の方が好ましい。このように、第2のボタンホールを固めることによって、噴き出しが起こり難くなる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しが起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項25の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、弾性材または移動布に最上部のボタンを適当な長さの糸足または根巻きを持たせて縫付けて、合成樹脂の糸で穴かがりをした第2のボタンホールから最上部のボタンを外側に位置させたものである。
近年、適度な張りがあり熱にも強い合成樹脂の糸が使用され始めており、かかる合成樹脂の糸で穴かがりをした第2のボタンホールは大きく変形し難く、したがって噴き出しが起こり難い。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しが起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項26の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、前記弾性材の両端に前記弾性材の伸びを規制する伸び止め材を縫付けたものである。これによって、何らかの理由で弾性材に大きな引張り力がかかった場合でも、伸び止め材の長さまでしか弾性材は伸びないので、無理な応力が掛かることはなく、弾性材の寿命をいたずらに縮めることがない。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、弾性材を長持ちさせることができ、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項27の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、台襟の中に第2のボタンホールの位置に第2のボタンホールより長く横テープを張って両端を台襟の下地に縫付け、横テープの中空部分を挟むように2枚の縦方向テープを横テープの上下のきわで縫付け、横テープに沿って移動可能とし、2枚の縦方向テープのうち表側に最上部のボタンを縫付けて第2のボタンホールから外側に位置させたものである。これによって、2枚の縦方向テープと横テープの間の摩擦が大きくなり、最上部のボタンが一度移動させた位置からずれ難くなる。また、弾性材を使用しないため、構造が簡単になって低コスト化することができる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、かつ構造が簡単で低コスト化でき、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項28の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、横テープを2本とし、2枚の縦方向テープを2本の横テープの上下のきわでそれぞれ縫付け、2本の横テープに沿って移動可能としたものである。これによって、2枚の縦方向テープと2本の横テープの間の摩擦はさらに大きくなり、最上部のボタンが一度移動させた位置からさらにずれ難くなる。そして、必要なときは指先で摘むだけで外襟と外襟の間を閉じることができる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、かつ構造が簡単で低コスト化でき、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項29の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、横テープを台襟の下地の内側に縫付けられる裏地のみに縫付けたものである。したがって、横テープの両端の縫付け糸が台襟の下地の表面に表れることはなく、また弾性材を使用していないため、台襟の下地の表面には縫付け糸は一切表れず、通常のシャツと変わらない外観となって、見栄えが非常に良くなる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、かつ構造が簡単で低コスト化でき、また非常に見栄えの良い首回り調節機能付シャツとなる。
請求項30の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、移動布または耐熱性プラスティックの一端に通常は移動布または耐熱性プラスティックの動きを規制しないストッパーを縫付け、ストッパーの他端を台襟の端に縫付けたものである。移動布または耐熱性プラスティックは、通常時は縫付けられた最上部のボタンによって第2のボタンホール内で動きが規制されているが、最上部のボタンが取れてしまった場合には台襟の中を自由に動き回れる状態になるため、元の位置に戻すことが困難になる。しかし、このようなストッパーを取付けておくことによって、ストッパーを手繰れば移動布または耐熱性プラスティックを容易に元の位置に戻すことができ、最上部のボタンを付け直すことができる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、最上部のボタンが取れた場合でも容易に付け直すことができる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項31の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、移動布またはその役割をするものに力が掛かっていない状態で最上部のボタンが位置する台襟裏側の下地にほつれない貫通孔を設けたものである。この貫通孔は最上部のボタンが取れた場合のために設けられるもので、消費者が自分で最上部のボタンを移動布またはその役割をするものに付け直す場合に、台襟下前上地に設けられた第2のボタンホールをやや拡げて、移動布またはその役割をするものに力が掛かっていない状態で最上部のボタンがあるべき位置を縫い糸をつけた針で掬う。このとき、深く掬うと台襟下前の下地まで掬ってしまい、最上部のボタンを台襟下前の下地に縫付けてしまう恐れがある。
そこで、台襟裏側の下地にほつれない貫通孔を設けて、下地を掬わないために始めから掬うのではなく、針を貫通孔の中に貫通確認してそれを数回繰り返すことによって、移動布またはその役割をするものに最上部のボタンを縫付ける。これによって、消費者が間違いなく簡単に最上部のボタンを付け直すことができる。ここで、ほつれない貫通孔としては、菊穴や金属・プラスティック等のリング穴等を用いることができる。
このようにして、最上部のボタンが取れた場合でも消費者が簡単かつ確実に最上部のボタンを付け直すことができ、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができる首回り調節機能付シャツとなる。
請求項32の発明にかかる首回り調節機能付シャツは、最上部のボタンまたはその役割をするものと移動布またはその役割をするものと両者を接続する糸足または根巻きの役割をするもののいずれかまたは全てが金属製、プラスティック製、エラストマー製、ゴム製、木製、セラミックス製、ガラス製のいずれかであるものである。請求項1〜請求項28の発明にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、最上部のボタンと移動布と両者を接続する糸足または根巻きとして通常の衣服に使われる材料で構成することを考えているが、これらの素材としては必ずしも通常の衣服に使われる材料に限られるものではない。
例えば、最上部のボタンまたはその役割をするものが金属製であっても良く、糸足または根巻きの役割をするものがゴム製の糸状のものであっても良い。さらに、最上部のボタンと移動布と両者を接続する部分を一体に成形されたプラスティック製とすれば、大量生産が可能となり大幅なコストダウンにつながる。また、最上部のボタンまたはその役割をするもの及び糸足または根巻きの役割をするものを、金属製、木製、セラミックス製、ガラス製等にすれば、外観も美しく意匠的にも優れたシャツとなる。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、大量生産を可能としたり、意匠的に優れたものとできる上に快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下に示す本発明の各実施の形態は、本発明の首回り調節機能付シャツを主にワイシャツに適用した場合を例示するものである。
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1について、図1乃至図3を参照して説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態1にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンを締めた状態を示す上部正面図、(b)は首回り調節機能付シャツの最上部のボタンを通常のボタンホールから外して、台襟に設けられた第2のボタンホールが見えるようにした図である。図2は本発明の実施の形態1にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンが取付けられた側の台襟を上下方向に開いて示す図であり、(a)は弾性材が縮んだ状態を示す図、(b)は弾性材が引張られて伸びた状態を示す図である。図3は本発明の実施の形態1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンが取付けられた側の台襟を上下方向に開いて示す図である。
図1(a)に示されるように、本実施の形態1にかかる首回り調節機能付シャツ1は、外見はスーツ等の下に着る通常の長袖・外襟2付きのワイシャツである。そして、最上部のボタン4は台襟3の右腕側(図示左側)に縫付けられ、台襟3の左腕側(図示右側)に設けられた通常のボタンホール5に掛けられて止められる。図1(b)に示されるように、最上部のボタン4を通常のボタンホール5から外すと第2のボタンホール6が表れ、最上部のボタン4はこの第2のボタンホール6内を、想像線で示されるように首回り方向に移動可能となっている。このように、最上部のボタン4を第2のボタンホール6内で移動させることによって、首回り調節機能付シャツ1の首回りを緩めたり締めたりすることができる。
次に、最上部のボタン4を第2のボタンホール6内で移動させる仕組みについて、図2を参照して説明する。なお、簡単のため、図2以降の図においては、最上部のボタン4の4つまたは2つあるボタン穴とそこを通る糸は、全て図示省略する。図2(a)に示されるように、台襟3の右腕側の先端部分を上下に開くと、台襟3の上地3aには第2のボタンホール6が設けられており、台襟3の下地3bには弾性材としてのゴムテープ8が図示されない左端において縫付けられている。(なお、上地3aにも、下地3bにも、強化のため全面に芯材が貼り付けられている。この点は、以下に述べる全ての実施の形態においても同様である。)一方、ゴムテープ8の右端には移動布としての芯7aの左端が縫付けられ、さらに芯7aの右端にはストッパーとしての裏地7bが縫付けられて、裏地7bの右端は台襟3の下地3b内に縫込まれている。そして、芯7aには最上部のボタン4が適度な長さのボタンの糸足に硬く巻き付けて止めた根巻きをとってしっかりと縫付けられている。
なお、本実施の形態1においては、根巻きをとって縫付けたが、ボタン4を適度な長さの糸足で縫付けても良い。特に、シャツのボタンの場合には機械で縫付けられる場合が多いので、糸足のみの場合も多い。また、図2においては台襟3の先端が角張った形状をしているために移動布としての芯7aも長方形をしているが、台襟3の先端は流線形になっている場合も多く、その場合には移動布としての芯7aも台襟3の先端の形状に合わせて丸みを帯びた形状とする。
また、本実施の形態1においては、移動布としての芯7aとストッパーとしての裏地7bを別体として縫付けているが、移動布7aとストッパー7bを一体の筒状の布地として、移動布7aの部分にのみ内部に芯材を縫い込んでも良い。さらに弾性材としてのゴムテープ8を台襟3の下地3bに縫付けているが、台襟3の上地3aに縫付けても良い。この場合にも、ゴムテープ8の縫付け糸は外襟2で隠れるので外部からは見えない。これらの点に付いては以下の各実施の形態においても同様である。
また、芯7aの下には縦テープ9が上下端を台襟3の下地3bに縫付けられており、この縦テープ9と下地3bの間には横方向テープ10が通されて、この横方向テープ10の両端は芯7aと裏地7bの裏側にそれぞれ縫付けられている。これによって、縦テープ9が芯7aと裏地7bからなる移動布及びストッパーと横方向テープ10とによって挟まれる構造になり、最上部のボタン4を上地3aの第2のボタンホール6に掛けて弾性材としてのゴムテープ8の引張り力に抗して、図2(b)に示されるように右側へ移動させる際に、上下にふらつくことなくスムーズに移動させることができる。
これを、完成品としての首回り調節機能付シャツ1についてみると、図1(a)に示されるようにボタンを最上部のボタン4まで全部締めて、図示しないネクタイを襟2の下、台襟3の周りに締めて、冠婚葬祭等のフォーマルな席に臨んだ場合、長時間同じ姿勢をとっていて首回りがきつく感じた場合には、さりげなく両手で左右の襟元を摘んで外側に力を加えれば、通常のボタンホール5の端で最上部のボタン4が引張られ、図2(b)に示されるように第2のボタンホール6内を右側へ移動し、首回りが伸びて楽になり、風を入れることができる。
そして、両手を襟元から離すと、弾性材としてのゴムテープ8が強力な引張り力を有する場合には、ゴムテープ8の付勢力によってまた元のぴったり締められた状態に戻る。また、ゴムテープ8として網ゴムテープのような引張り力の弱いものを用いた場合には、弾性材の付勢力が弱いため第2のボタンホール6の穴かがり部分との摩擦によって最上部のボタン4はすぐには元の位置に戻らず、ゆっくり時間をかけてそれと分からないほどの動きで元の位置に復帰するので、着用者は首回りが楽な状態をしばらく維持することができる。これによって、葬儀等の参列時において長時間同じ姿勢を保っていなければならない場合においても、周囲に目立たないように首回りを楽にしていられる。
なお、ゴムテープ8の付勢力によって直ぐまた元のぴったり締められた状態に戻したい場合には最上部のボタン4のボタンの糸足に硬く巻き付けて止めた根巻きを長めにするのが好ましく、ゆっくり時間をかけてそれと分からないほどの動きで元の位置に復帰させたい場合には最上部のボタン4の根巻きを短めにして、最上部のボタン4とボタンホール5の穴かがり部分との摩擦を大きくするのが好ましい。
次に、本実施の形態1にかかる首回り調節機能付シャツ1の変形例について、図3を参照して説明する。図3に示されるように、本変形例は、縦テープ9を台襟3の下地3bに縫付けるところまでは、首回り調節機能付シャツ1と同様である。異なるのは、横方向テープ10を用いずに、ゴムテープ8を縦テープ9と下地3bの間を通して最上部のボタン4の移動ストローク(即ち、第2のボタンホール6の長さ)分だけ間を空けて、2箇所を芯7aの裏側に縫付ける。これによって、縦テープ9が芯7aとゴムテープ8とによって挟まれる構造になり、最上部のボタン4をゴムテープ8の引張り力に抗して右側へ移動させる際に、上下にふらつくことなくスムーズに移動させることができる。そして、横方向テープ10を用いない分だけ構造がより簡単になる。
なお、図3においては台襟3の先端が角張った形状をしているために移動布としての芯7aも長方形をしているが、台襟3の先端は流線形になっている場合も多く、その場合には移動布としての芯7aも台襟3の先端の形状に合わせて丸みを帯びた形状とする。
このようにして、本実施の形態1にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、弾性材の付勢力を選択することによってすぐまた元のぴったり締まった状態に復帰させたり、しばらく首回りを緩めた状態を維持したりすることができ、襟に治具等のアタリが出たり襟が上がって治具等が見えたりすることもなく、快適に長時間着用することができる。また、移動布としての芯7aにはストッパーとしての裏地7bが縫付けられているため、最上部のボタン4が取れた場合でも裏地7bを手繰ることによって芯7aを元の位置に戻すことができ、最上部のボタン4を芯7aに付け直すことができる。
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2について、図4を参照して説明する。
図4は本発明の実施の形態2にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンが取付けられた側の台襟を上下方向に開いて示す図であり、(a)は弾性材が縮んだ状態を示す図、(b)は弾性材が引張られて伸びた状態を示す図である。
最上部のボタン4を第2のボタンホール6内で移動させる仕組みについて、図4を参照して説明する。図4(a)に示されるように、台襟3の右腕側の先端部分を上下に開くと、台襟3の上地3aには第2のボタンホール6が設けられており、台襟3の下地3bには弾性材としてのゴムテープ8が図示されない左端において縫付けられている。なお、上述の如く、上地3aにも、下地3bにも、強化のため全面に芯材が貼り付けられている。一方、ゴムテープ8の右端には移動布としての芯7aの左端が縫付けられ、さらに芯7aの右端にはストッパーとしての裏地7bが縫付けられて、裏地7bの右端は台襟3の下地3b内に縫込まれている。そして、芯7aには最上部のボタン4が適度な長さの根巻きをとってしっかりと縫付けられている。なお、本実施の形態2においては根巻きをとって縫付けたが、ボタン4を適度な長さの糸足で縫付けても良い。
また、芯7aの下には横長のテープ11が第2のボタンホール6に相当する位置に左右端を台襟3の下地3bに縫付けられており、この横長テープ11と下地3bの間には縦方向テープ12が通されて、この縦方向テープ12の上下端は芯7aの裏側にそれぞれ縫付けられている。これによって、横長テープ11が芯7aからなる移動布と縦方向テープ12とによって挟まれる構造になり、最上部のボタン4を上地3aの第2のボタンホール6に掛けて弾性材としてのゴムテープ8の引張り力に抗して、図4(b)に示されるように右側へ移動させる際に、上下にふらつくことなくスムーズに移動させることができる。なお、図4においては台襟3の先端が角張った形状をしているために移動布としての芯7aも長方形をしているが、台襟3の先端は流線形になっている場合も多く、その場合には移動布としての芯7aも台襟3の先端の形状に合わせて丸みを帯びた形状とする。
この実施の形態2にかかる首回り調節機能付シャツにおいても、実施の形態1と同様に、首回りを緩めてから両手を襟元から離すと、ゴムテープ8が強力な引張り力を有する場合にはゴムテープ8の付勢力によって元のぴったり締められた状態に戻る。また、ゴムテープ8として網ゴムテープのような引張り力の弱いものを用いた場合には、弾性材の付勢力が弱いため第2のボタンホール6の穴かがり部分との摩擦によって最上部のボタン4はすぐには元の位置に戻らず、ゆっくり時間をかけてそれと分からないほどの動きで元の位置に復帰するので、着用者は首回りが楽な状態をしばらく維持することができる。これによって、葬儀等の参列時において長時間同じ姿勢を保っていなければならない場合においても、周囲に目立たないように首回りを楽にしていられる。
なお、ゴムテープ8の付勢力によって直ぐまた元のぴったり締められた状態に戻したい場合には最上部のボタン4の根巻きを長めにするのが好ましく、ゆっくり時間をかけてそれと分からないほどの動きで元の位置に復帰させたい場合には最上部のボタン4の根巻きを短めにして、最上部のボタン4とボタンホール5の穴かがり部分との摩擦を大きくするのが好ましい。
このようにして、本実施の形態2にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、弾性材の付勢力を選択することによってすぐまた元のぴったり締まった状態に復帰させたり、しばらく首回りを緩めた状態を維持したりすることができ、襟に治具等のアタリが出たり襟が上がって治具等が見えたりすることもなく、快適に長時間着用することができる。
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3について、図5を参照して説明する。図5は本発明の実施の形態3にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンが取付けられた側の台襟を上下方向に開いて示す図である。
最上部のボタン4を第2のボタンホール6内で移動させる仕組みについて、図5を参照して説明する。図5に示されるように、本実施の形態3は、上記実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせたような構造になっている。即ち、横長のテープ11が左端では下地3bに縫付けられ、縦方向のテープ12が移動布を構成する芯7aの裏側に上下端を縫付けられて、縦方向のテープ12と芯7aとで横長のテープ11を挟んだ状態になっているのに対して、横長のテープ11の右端はストッパーを構成する裏地7bの裏側に縫付けられ、縦テープ9が横長のテープ11の上を通って上下端が下地3bに縫付けられて、横長のテープ11と裏地7bとで縦テープ9を挟んだ状態になっている。
これによって、最上部のボタン4を第2のボタンホール6内で移動させる際に、より一層ふらつくことなく真っ直ぐ移動するとともに、移動する際の摩擦が大きくなるので、ゴムテープ8の付勢力を弱めにするとともに、最上部のボタン4を移動布を構成する芯7aに縫付ける際の根巻きを短めにして、最上部のボタン4を第2のボタンホール6内の好みの位置に移動させて首回りを楽にした状態を保つのに適している。また、最上部のボタン4が移動する範囲が2つの縦テープでしっかり限定されるので、ゴムテープ8に無理な力が掛かることがなく寿命が長くなる。
なお、図5においては台襟3の先端が角張った形状をしているために移動布としての芯7aも長方形をしているが、台襟3の先端は流線形になっている場合も多く、その場合には移動布としての芯7aも台襟3の先端の形状に合わせて丸みを帯びた形状とする。
このようにして、本実施の形態3にかかる首回り調節機能付シャツは、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、かつ弾性材を長持ちさせることができ、快適に長時間着用することができる。
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4について、図6及び図7を参照して説明する。
図6(a)は本発明の実施の形態4にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンが取付けられた側の台襟を上下方向に開いて示す図、(b)は「く」の字形テープの先端部分を拡大して示す図、(c)は最上部のボタンが移動したときの「く」の字形テープの先端部分を拡大して示す図である。図7は本発明の実施の形態4の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンが取付けられた側の台襟を上下方向に開いて示す図である。
図6(a)に示されるように、本実施の形態4にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、中央部にタックを設けて「く」の字形に折り畳んだテープ14の上下を台襟3の下地3bに縫付けて、テープ14の中央線に沿って移動布を構成する芯7aを縫付け、芯7aに最上部のボタン4を縫付けて、芯7aの左端に弾性材としてのゴムテープ8を縫付けている。図6(b)の拡大図に示されるように、テープ14の「く」の字形に折り畳んだ中央部分はタックになっていて、最上部のボタン4が首回りの緩む方向に引張られると、図6(c)に示されるように、中央部分のタックが上下に分散してテープ14の遊びが小さくなり、最上部のボタン4を上に持ち上げる力が働いても、最上部のボタン4が取付けられている芯7a、テープ14、ゴムテープ8等の中味が第2のボタンホール6から外へ飛び出してしまう所謂「噴き出し」が起こり難くなる。
これまでに説明した実施の形態1〜3においては、最上部のボタン4が取付けられる芯7aが縦方向のテープ或いは横方向のテープによって下地3bに押し付けられていたので、最上部のボタン4が引張られても噴き出しは起こり難くなっていたが、本実施の形態4のように芯7aを押し付けるものがない場合でも、「く」の字形に折り畳んで中央部分をタックにしたテープ14で芯7aを下地3bに取付けることによって、噴き出しを起こり難くすることができる。
次に、本実施の形態4の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの台襟部分の構造について、図7を参照して説明する。図7に示されるように、この変形例においては、芯7aを「く」の字形に折り畳んで中央部分をタックにしたテープ14で下地3bに取付けるとともに、横方向テープ13をテープ14の下を通して両端を移動布とストッパーを構成する芯7aと裏地7bの裏側にそれぞれ縫付ける。これによって、テープ14が横方向テープ13と芯7a,裏地7bで挟まれることになり、芯7aに縫付けられた最上部のボタン4の右方向への移動がスムーズになるとともに、噴き出しを一層起こり難くすることができる。
なお、図7においては台襟3の先端が角張った形状をしているために移動布としての芯7aも長方形をしているが、台襟3の先端は流線形になっている場合も多く、その場合には移動布としての芯7aも台襟3の先端の形状に合わせて丸みを帯びた形状とする。
ここで、噴き出しの起こる場合と起こらない場合について、図8を参照して説明する。図8は噴き出しの起こる場合と起こらない場合とを、台襟の断面として示した模式図である。図8(a)に示されるように弾性材8に引張り力がかからず、最上部のボタン4が第2のボタンホール6の左端に位置している状態から、図8(b)に示されるように最上部のボタン4に右方向(首回りが緩む方向)への引張り力が掛かるとともに上方向に引き上げる力が掛かった場合でも、上記各実施の形態においては、芯7aが縦方向のテープ或いは横方向のテープによって下地3bに押し付けられているので、噴き出しは起こり難い。これに対して、何の対策も取られていない場合には、図8(c)に示されるように、芯7aが第2のボタンホール6から引っ張り出され、さらに弾性材8,裏地7bも引き出されてしまう所謂「噴き出し」が起こってしまう。
実施の形態5
そこで、本発明の実施の形態5にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、噴き出しをより効果的に防ぐ工夫がされており、図9を参照して説明する。
図9(a)は本発明の実施の形態5にかかる首回り調節機能付シャツの台襟の先端部分を上から見た図、(b)は本発明の実施の形態5の第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの台襟の先端部分を上から見た図、(c)は本発明の実施の形態5の第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの芯のみを取り出して見た図、(d)は本発明の実施の形態5の第3の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの台襟の先端部分を開いて見た図である。
図9(a)に示されるように、本実施の形態5においては、台襟3の上地3aの第2のボタンホール6の周囲に裏側から第2のボタンホール6部分に長穴を開けた硬めの芯15が貼り付けられている。これによって、最上部のボタン4に上方に引張る力が掛かっても、第2のボタンホール6は自由に変形することができないため芯7aは第2のボタンホール6から外へ飛び出すことができず、「噴き出し」を効果的に防止することができる。
また、第1の変形例においては、図9(b)に示されるように、台襟3の上地3aの先端部分全体に裏側から第2のボタンホール6部分に長穴を開けた硬めの芯16が貼り付けられている。これによって、台襟3の先端部分の第2のボタンホール6側全体が硬めの芯16で強化されるため、第2のボタンホール6はますます自由に変形することができず、より噴き出しが起こり難くなる。
さらに、第2の変形例においては、図9(c)に示されるように、最上部のボタン4が縫付けられて台襟3の内部で移動布を構成する芯7aの裏側全体に硬めの芯17が貼り付けられている。これによって、移動布の芯7a部分の硬さが増すのでさらに噴き出しが起こり難くなり、また台襟3の先端部分の内部を移動布の芯7a部分がよりスムーズに移動することができるので、小さい力で首回りを調節することができるという効果も同時に得られる。
また、第3の変形例においては、図9(d)に示されるように、台襟3の上地3aの第2のボタンホール6の周囲に裏側から第2のボタンホール6部分に長穴を開けた硬めの芯15が貼り付けられるとともに、最上部のボタン4が縫付けられて台襟3の内部で移動布を構成する芯7aの裏側全体に硬めの芯17が貼り付けられている。なお、図9(d)においては芯7aの左側のゴムテープ8と右側の裏地7bが図示省略されている。これによって、本実施の形態5と第2の変形例の相乗効果によって、完全に噴き出しを防止することができる。
なお、本実施の形態5とその変形例における硬めの芯15,16,17の代わりに薄い耐熱性プラスティック板を用いても良い。ここで、耐熱性プラスティックとは狭義には約200℃までは軟化しないプラスティック材料をいう。かかる材料であれば、アイロンをかける温度が最も高い(約200℃)木綿製のワイシャツ等にも硬めの芯15,16,17の代わりに使用することができる。
実施の形態6
次に、本発明の実施の形態6にかかる首回り調節機能付シャツについて、図10を参照して説明する。図10は本発明の実施の形態6にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンが取付けられた側の台襟を上下方向に開いて示す図である。
図10に示されるように、本実施の形態6にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、弾性材としてのゴムテープ8を移動布を構成する芯7aの奥深くまで縫付けて、第2のボタンホール6の位置に第2のボタンホール6よりも長く間を空けて下地3bに両端を縫付けられた横長のテープ11をその下を通した縦方向テープ12の上下端を芯7aに縫付けて、横方向に移動布7a及びストッパー7bがスライド可能になっている。
このように、ゴムテープ8を芯7aの奥深くまで入り込ませることによって、最上部のボタン4を移動させる機構が短くなり、目立たなくなって通常のワイシャツと全く変わらなく見えるという効果がある。なお、図10においては台襟3の先端が角張った形状をしているために移動布としての芯7aも長方形をしているが、台襟3の先端は流線形になっている場合も多く、その場合には移動布としての芯7aも台襟3の先端の形状に合わせて丸みを帯びた形状とする。
このようにして、本実施の形態6にかかる首回り調節機能付シャツは、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、かつ通常のシャツと代わらない外観で、快適に長時間着用することができる。
以上説明したように、上記各実施の形態にかかる首回り調節機能付シャツは、弾性材としてのゴムテープ8を強力なものにして最上部のボタン4の根巻きを長めにすれば、指先で首回りを緩めて風を入れて手を離せば直ぐにまた首回りにぴったりフィットした元の状態に戻る。また、ゴムテープ8を弾力性の弱いものとして最上部のボタン4の根巻きを短かめにすれば、好みの位置まで最上部のボタン4を移動させて手を離しても直ぐには元の位置に戻らず、首回りの楽な状態を保つことができる。
ここで、常にジャストフィットの状態を保てるシャツとするために、弾性材を強力にする方法について、図11を参照して説明する。図11(a),(b)は、いずれも2本の弾性材を最上部のボタン4を取付ける芯7aに縫付けた状態を示す図である。
図11(a),(b)に示されるように、V字形に組み合わせたゴムテープ8a,8b或いは8c,8dを最上部のボタン4を取付ける芯7aの左端に縫付け、図示されないゴムテープ8a,8b或いは8c,8dの左端を下地3bに縫付ければ、2本のゴムテープ8a,8b或いは8c,8dによってより強力な弾性力が得られ、指先で首回りを緩めて風を入れて手を離せば直ちに首回りにぴったりフィットした元の状態に戻る。
実施の形態7
次に、本発明の実施の形態7にかかる首回り調節機能付シャツについて、図12を参照して説明する。図12(a)は本発明の実施の形態7にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンを移動させる機構について示す図、(b)はその変形例にかかる最上部のボタンを移動させる機構について示す図である。
図12(a)に示されるように、本実施の形態7にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、弾性材を用いず、台襟3の下地3bに最上部のボタン4の移動ストローク(即ち、第2のボタンホール6の長さ)分以上離して太い横テープ19の両端を縫付け、この横テープ19を表裏から挟んで2枚の縦方向テープ18を横テープ19の上下のきわで縫付けて、この縦方向テープ18を横テープ19に沿って移動可能とし、2枚の縦方向テープ18のうち表側に最上部のボタン4を縫付けて、図示しない第2のボタンホール6から外側に位置させている。これによって、2枚の縦方向テープ18と横テープ19の間の摩擦が大きくなり、最上部のボタン4が一度移動させた位置からずれ難くなる。また、弾性材を使用していないため、構造が簡単になって低コスト化することができる。
また、本実施の形態7の変形例にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、図12(b)に示されるように、2本の横テープ19a,19bを用いてこれらを平行に張って両端を台襟3の下地3bに縫付け、これらの横テープ19a,19bを表裏から挟んで2枚の縦方向テープ18を2本の横テープ19a,19bの上下のきわでそれぞれ縫付けて、この縦方向テープ18を2本の横テープ19a,19bに沿って移動可能とし、2枚の縦方向テープ18のうち表側に最上部のボタン4を縫付けて、図示しない第2のボタンホール6から外に出している。これによって、2枚の縦方向テープと2本の横テープの間の摩擦はさらに大きくなり、最上部のボタン4が一度移動させた位置からさらにずれ難くなる。
このようにして、本実施の形態7とその変形例にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、かつ構造が簡単で低コスト化でき、快適に長時間着用することができる。
なお、本実施の形態7およびその変形例においては、横テープ19,19a,19bの両端を台襟3の下地3bに縫付けているが、下地3bの裏地のみに縫付ければ下地3bの表側には縫い糸が全く表れないため、外見は通常のシャツと全く変わらないものとなり、極めて見栄えの良い首回り調節機能付シャツとなる。
実施の形態8
次に、本発明の実施の形態8にかかる首回り調節機能付シャツについて、図13を参照して説明する。図13(a)は本発明の実施の形態8にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンを移動させる機構について示す斜視図、(b)はその断面図である。
図13(a)に示されるように、本実施の形態8にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、最上部のボタン4を糸で芯に縫付けるのではなく、棒状のエラストマー20の先端に取付けている。棒状のエラストマー20の下端は円形のプラスティック板21に接着し、円形のプラスティック板21の周りは図示しない第2のボタンホール6の長さに対応する略長方形のエラストマー板22で覆われている。そして、図13(b)にも示されるように、このエラストマー板22が外周に沿って縫い糸23で台襟3の下地3bに縫付けられている。
かかる構造により、エラストマー板22の変形力によって最上部のボタン4は第2のボタンホール6内で首回り方向に移動させることができ、力を加えるのを止めるとエラストマー板22の弾性力によって最上部のボタン4は即座に元の位置に戻る。
このようにして、本実施の形態8にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく緩めることができ、手を離せばまた元のぴったり締まった状態に戻ってジャストフィットの状態を維持することができる。
実施の形態9
次に、本発明の実施の形態9にかかる首回り調節機能付シャツについて、図14を参照して説明する。図14は本発明の実施の形態9にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンを移動させる機構について示す断面図である。
図14に示されるように、本実施の形態9にかかる首回り調節機能付シャツにおいても、最上部のボタン4を糸で芯に縫付けるのではなく、棒状のエラストマー20の先端に取付けている。棒状のエラストマー20の下端は略長方形のプラスティック板24に接着されており、略長方形のプラスティック板24の側面には弾性材としてのゴムテープ8が接着され、ゴムテープ8の左端は台襟3の下地3bに縫付けられている。
かかる構造により、弾性材としてのゴムテープ8の伸縮力によって最上部のボタン4は図示しない第2のボタンホール6内で首回り方向に移動させることができ、力を加えるのを止めるとゴムテープ8の伸縮力によって最上部のボタン4は元の位置に戻る。
このようにして、本実施の形態9にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく緩めることができ、手を離せばまた元のぴったり締まった状態に戻ってジャストフィットの状態を維持することができる。
実施の形態10
次に、本発明の実施の形態10にかかる首回り調節機能付シャツについて、図15を参照して説明する。図15は本発明の実施の形態10にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンを移動させる機構について示す斜視断面図である。
図15に示されるように、本実施の形態10にかかる首回り調節機能付シャツにおいても、最上部のボタン4を糸で芯に縫付けるのではなく、棒状のエラストマー20の先端に取付けている。棒状のエラストマー20の下端は略正方形の薄い小型のプラスティック板25に接着されており、このプラスティック板25の上には、棒状のエラストマー20がスライド可能な長円形の溝26aと、略正方形の薄い小型のプラスティック板25が棒状のエラストマー20と同一方向へスライド可能な長方形の溝26bとを有するガイド板26によって覆われており、ガイド板26の裏側には薄くて丈夫なプラスティック板27が貼り付けられている。
これによって、スライド方向を第2のボタンホール6の長手方向に合わせて台襟3の内部に取付ければ、最上部のボタン4は第2のボタンホール6内をスライド可能となり、短い棒状のエラストマー20の下端部と長円形の溝26aとの摩擦によって、好みの位置で止めることができる。
このようにして、本実施の形態10にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、快適に長時間着用することができる。
実施の形態11
次に、本発明の実施の形態11にかかる首回り調節機能付シャツについて説明する。本実施の形態11にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、前記移動布としての芯7aの代わりに耐熱性プラスティック板を用いるものである。具体的には、ポリエチレンテレフタラート(PET)の板を芯7aと同程度の大きさに切って、最上部のボタン4を縫付け、一方の端には弾性材としてのゴムテープ8を縫付け、他方の端にはストッパーとしての裏地7bを縫付けて、ゴムテープ8と裏地7bの他端はそれぞれ上記各実施の形態と同様に縫付ける。
ポリエチレンテレフタラートは軟化点が約260℃であり、約200℃のアイロン掛けにも充分耐えることができる。また、厚い板でなければミシンで縫うことができるので、最上部のボタン4を手縫い針やボタン付けミシンで縫付けることができる。大量生産を考えた場合には、PET板の最上部のボタン4を付ける位置に小さな穴を2つ以上開けておくと、手縫い針及びミシン針が通し易く、針が曲がり難く、針先が潰れ難く、針先が折れ難い。
そして、PET板は適度な硬さを有しているので、噴き出し防止のための縦テープや横テープ等を用いなくとも、噴き出しが起こることはない。なお、PET板の表面に微小な凹凸を付しておけば、第2のボタンホール6の間からPET板の表面が見えても光を反射しないので、見た目の違和感を与えることはない。また、PET板を布地で包んでおけば、PET板が薄くても折れ曲がり難くなり、表面に凹凸を付さなくても光を反射しないので、見た目の違和感を与えることはない。
このようにして、本実施の形態11にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、移動布の代わりに耐熱性プラスティック板を用いることによって、特別の工夫をしなくても噴き出しを防止することができる。なお、本実施の形態11においては、耐熱性プラスティックとしてPETを用いた例を示したが、他にもポリ塩化ビニリデン(軟化点185℃〜200℃)、またはポリ塩化ビニリデンとポリ塩化ビニル(PVC)との共重合体等を用いることができる。
さらに、耐熱性プラスティックには、広義には、もっと軟化温度の低い(約100℃〜約180℃)プラスティック材料も含まれる。ポリエステル製のワイシャツ等では、アイロンをかける温度が約160℃〜約180℃と低く、しかも耐熱性プラスティックに直接アイロンを当てるわけではなく生地を挟んで間接的に加熱されるので、耐熱性プラスティックの温度はずっと低いものと考えられるからである。したがって、シャツの生地の種類や厚さによっては、ポリ塩化ビニル(PVC)でも用いることができる。
実施の形態12
次に、本発明の実施の形態12にかかる首回り調節機能付シャツについて、図16を参照して説明する。図16は本発明の実施の形態12にかかる首回り調節機能付シャツの台襟内部の構造を示す図である。本実施の形態12にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、弾性材を台襟の下地に縫付ける縫い目が外から見えないようになっている。
即ち、図16に示されるように、最上部のボタン4を移動布30に適度な長さの根巻きをとってしっかりと縫付け、移動布30の右端にはストッパーとしての伸縮性のない布テープ31が縫付けられ、移動布30の左端には弾性材としてのゴムテープ32が縫付けられている。なお、本実施の形態12においてはボタン4を根巻きをとって縫付けたが、ボタン4を適度な長さの糸足で縫付けても良い。そして、ゴムテープ32の左端を台襟の下地3bの幅とほぼ同じ長さを有する芯材としてのバイリーン芯33に強固に縫付け、バイリーン芯33を接着剤で台襟の下地3bに貼り付ける。
そして、台襟の下地3bを図示しない上地と縫い合わせ糸34によって縫い合せれば、ストッパーとしての伸縮性のない布テープ31の右端も、芯材としてのバイリーン芯33の上下端もともに縫付けられて、最上部のボタン4の移動機構が完成する。ここで、弾性材としてのゴムテープ32の左端はバイリーン芯33に縫付けられているので、台襟の下地3bを縫い目が貫通することなくゴムテープ32の縫い目が首回り調節機能付シャツの表面から一切見えないため、非常に見栄えが良くなる。
実施の形態13
次に、本発明の実施の形態13にかかる首回り調節機能付シャツについて、図17を参照して説明する。図17(a)は本発明の実施の形態13にかかる首回り調節機能付シャツの台襟内部の構造を示す図、(b)は第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの台襟内部の構造を示す図、(c)は第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの台襟内部の構造を示す図、(d)は第3の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの台襟内部の構造を示す図である。
図17(a)に示されるように、本実施の形態13にかかる首回り調節機能付シャツの台襟3の上地3aの先端部分には、全面に硬めの芯としてのソフト芯35が接着剤によって接着されており、ソフト芯35の中央部分には第2のボタンホール6が上地3aをも貫通して設けられている。台襟3の下地3bには、図示しない最上部のボタン4の移動機構が設けられて、移動布等に最上部のボタン4が適度な長さの根巻きまたは糸足をとってしっかりと縫付けられ、第2のボタンホール6を通して外に出される。そして、台襟の下地3bを上地3aと縫い合わせ糸34によって縫い合せることによって、ソフト芯35もともに縫付けられるので繰返し洗濯してもソフト芯35がとれることはなく、いつまでも型崩れしない。
これによって、台襟3の先端部分の第2のボタンホール6側全体が硬めの芯としてのソフト芯35で強化されるため、第2のボタンホール6は自由に変形することができず、より噴き出しが起こり難くなる。また、台襟3の先端部分に張りを持たせることによって移動布等との間の摩擦を増して、最上部のボタン4を第2のボタンホール6の好みの位置で留めることができ、さらに移動布等の移動範囲に皺がよったり曲がったりしないので、移動布等をスムーズに移動させることができる。但し、最上部のボタン4を第2のボタンホール6の好みの位置で留められるようになっても、その代わりに戻りが悪くなる場合があるので、移動布等の種類、例えば、移動布の裏側に硬めの芯を縫付けたもの、芯を布地で包んでなる移動布、耐熱プラスティック板、レーザカットまたはヒートカットによりなる移動布等と弾性材の強さを選択して、最上部のボタン4を好みの位置で留められ、かつ戻りもスムーズになるように調節する必要がある。
さらに、本実施の形態13にかかる首回り調節機能付シャツを、第2のボタンホール6内の図示しない最上部のボタン4を、図示しない台襟上前の通常のボタンホール5に掛けることによって着用すると、図1(b)に示されるように、台襟下前側がやや「く」の字形に曲がって丸みが付き、図17(a)に示されるように、台襟下前の上地3aと下地3bを縫い合わせて形成される空間が狭くなって、移動布等との間の摩擦が増して襟元を拡げたとき最上部のボタン4を好みの位置で留めることができる。
ここで、「レーザカットまたはヒートカットによりなる移動布」とは、硬めの芯に布地を接着して移動布の形状にレーザカットまたはヒートカットで切り出してなるものである。これによって、移動布の周囲はレーザカットまたはヒートカットによる熱で固められるのでほつれることがなく、移動布を製作するのにミシンで縫う工程を省くことができ、移動布の厚みを薄くできるという利点が得られる。
次に、本実施の形態13の第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツについて、図17(b)を参照して説明する。図17(b)に示されるように、本実施の形態13の第1の変形例においては、図17(a)におけるソフト芯35の代わりに硬めの芯としてハード芯36を用いている点が異なるのみで、その他の構造については同様である。このように、硬めの芯の種類を変えることによっても、最上部のボタン4の戻りを調節することができる。
また、第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツを、第2のボタンホール6内の図示しない最上部のボタン4を、図示しない台襟上前の通常のボタンホール5に掛けることによって着用すると、図1(b)に示されるように、台襟下前側がやや「く」の字形に曲がって丸みが付き、図17(b)に示されるように、台襟下前の上地3aと下地3bを縫い合わせて形成される空間が狭くなって、移動布等との間の摩擦が増して襟元を拡げたとき最上部のボタン4を好みの位置で留めることができる。
次に、本実施の形態13の第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツについて、図17(c)を参照して説明する。図17(c)に示されるように、本実施の形態13の第2の変形例においては、図17(a)におけるソフト芯35の代わりに硬めの芯としてバイリーン芯37を用い、さらに第2のボタンホール6の周囲のみにハード芯38を重ねて貼り付けたものである。ここで、「バイリーン芯」とはポリエステル、ナイロン等の不織布の芯で種々の厚さのものがあるが、本実施の形態13の第2の変形例においては、薄手の軟らかめのものを用いて台襟3の先端部分の第2のボタンホール6側全体を硬めの芯としてのバイリーン芯37で軟らかめに強化して、第2のボタンホール6の周囲のみはハード芯38で硬めに強化することによって、最上部のボタン4の戻りを調節するとともに噴き出しを確実に防止することができる。
また、第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツを、第2のボタンホール6内の図示しない最上部のボタン4を、図示しない台襟上前の通常のボタンホール5に掛けることによって着用すると、図1(b)に示されるように、台襟下前側がやや「く」の字形に曲がって丸みが付き、図17(c)に示されるように、台襟下前の上地3aと下地3bを縫い合わせて形成される空間が狭くなって、移動布等との間の摩擦が増して襟元を拡げたとき最上部のボタン4を好みの位置で留めることができる。
次に、本実施の形態13の第3の変形例にかかる首回り調節機能付シャツについて、図17(d)を参照して説明する。図17(d)に示されるように、本実施の形態13の第3の変形例においては、図17(a)におけるソフト芯35の上に第2のボタンホール6の周囲のみにハード芯38を重ねて貼り付けたものである。これによって、台襟3の先端部分の第2のボタンホール6側全体をバイリーン芯37よりは硬めにハード芯36よりは軟らかめに強化して、第2のボタンホール6の周囲のみはハード芯38で硬めに強化することによって、最上部のボタン4の戻りを調節するとともに噴き出しを確実に防止することができる。
また、第3の変形例にかかる首回り調節機能付シャツを、第2のボタンホール6内の図示しない最上部のボタン4を、図示しない台襟上前の通常のボタンホール5に掛けることによって着用すると、図1(b)に示されるように、台襟下前側がやや「く」の字形に曲がって丸みが付き、図17(d)に示されるように、台襟下前の上地3aと下地3bを縫い合わせて形成される空間が狭くなって、移動布等との間の摩擦が増して襟元を拡げたとき最上部のボタン4を好みの位置で留めることができる。
実施の形態14
次に、本発明の実施の形態14にかかる首回り調節機能付シャツについて、図18乃至図20を参照して説明する。図18(a),(b),(c)は本発明の実施の形態14及び第1の変形例及び第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの移動布の構造及び弾性体とストッパーの構造を示す図である。図19(a),(b),(c),(d)は本発明の実施の形態14にかかる首回り調節機能付シャツの移動布における芯を布地で包(くる)む種々の方法を示す図である。図20(a),(b),(c)は本発明の実施の形態14の第3の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの移動布において、弾性材の上に芯を置いて布地で包む手順を示す図である。
図18(a)に示されるように、本実施の形態14にかかる首回り調節機能付シャツの移動布80は、芯80aをシャツの布地と同じ共布の布地80bによって包(くる)んで周囲を糸で縫付けたものである。ここで、芯80aとしては、例えば上述したようなバイリーン芯、インベル芯等を用いることができる。本実施の形態14においては、この移動布80の両端に弾性材としてのパワーネット81をそれぞれ縫付けて、右側のパワーネット81にストッパーとしての役割をさせている。
このように芯80aをシャツと共布の布地80bで包んで移動布80を構成しているのは、上記実施の形態13で説明したように台襟3の先端部分の第2のボタンホール6側に硬めの芯35,36を貼って強化すると、これらの硬めの芯35,36の表面には大きな凹凸があるため、最上部のボタンの移動に伴ってこれらの硬めの芯35,36の表面と擦れ合う移動布80として芯80aを布地80bで包んだものを用いると、小さい凹凸を有する布地80bと、硬めの芯35,36の表面の大きな凹凸とが丁度良い摩擦力を生じて、第2のボタンホール6の適当な位置で移動布を止めたり、また動かしたりすることができるからである。
図18(b)に示されるのは、本実施の形態14にかかる首回り調節機能付シャツの移動布80の取付け方の第1変形例であり、芯80aをシャツの布地と同じ共布の布地80bによって包(くる)んで周囲を糸で縫付けた移動布80の左端に弾性材としてのパワーネット81を縫付け、右端にはストッパーとしての弾性のない布テープ82を縫付けている。さらに、本実施の形態14にかかる首回り調節機能付シャツの移動布の取付け方の第2変形例として、図18(c)に示されるように、移動布83の左端には弾性材としてのパワーネット81を縫付け、右端は芯80aを包むシャツの布地と同じ共布の布地83aをそのまま筒状に伸ばすことによって、ストッパーとしての役割をさせている。即ち、第2変形例においては、芯80aを包む布地とストッパーとが一体化している。
次に、芯80aを布地80bで包む包み方について、図19を参照して説明する。図19(a)に示されるように、布地80bを中心で縫い割ることによって芯80aを包む方法を始めとして、図19(b)に示されるように、布地80bを中心で裁ち切って重ね縫いする方法、図19(c)に示されるように、2枚の布地80bを重ねて上下を縫付けたものを裏返して中に芯80aを入れる方法、図19(d)に示されるように、合わせ目を片側に寄せて片方のみ縫う方法、等種々の方法がある。いずれの方法によるにしても、シャツの布地と同じ共布の布地80bまたはその他の布地で芯80aを包むことによって、移動布80,83の表面を滑らかにすることができる。
次に、本実施の形態14にかかる首回り調節機能付シャツの移動布の第3変形例について、図20を参照して説明する。この第3変形例においては、図20(c)に示されるように、弾性材としてのパワーネット81の上に芯80aを載せてその上から共布の布地80bで包むことによって、移動布80A部分を構成するものである。まず、図20(a)に示されるように、1本のパワーネット81の上に芯80aを載せ、一方図20(b)に示されるように、布地80bの両端の縫代を折り畳んでおく。そして、図20(c)に示されるように、布地80bを芯80aの上から巻き付けて下で折り曲げ、芯80aの周囲をステッチする。
このようにして、本実施の形態14にかかる移動布80,80A,83によれば、適度な摩擦力が得られて、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また噴き出しが起こり難く、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
実施の形態15
次に、本発明の実施の形態15にかかる首回り調節機能付シャツについて、図21を参照して説明する。図21(a)は本発明の実施の形態15にかかる首回り調節機能付シャツの移動布としての芯が接触する硬めの芯に布地を貼り付けた例を示す図、(b),(c),(d),(e),(f)はその第1〜第5変形例を示す図である。
本実施の形態15においては、移動布として芯のみを用いて、この芯に最上部のボタン4を適当な長さの糸足または根巻きを持たせて縫付けて第2のボタンホール6から出して移動させる。この際に、噴き出しが起こらないように台襟下前の上地3aの内側に硬めの芯35(ソフト芯)または36(ハード芯)を貼るが、そのままでは表面に大きな凹凸を有する移動布としての芯と硬めの芯35,36とが擦れ合うことになって摩擦が大きくなってしまう。そこで、逆転の発想として移動布側に布地を取付けるのではなく、台襟下前の上地3aの内側に硬めの芯の上から布地を取付けることによって、上記実施の形態14と同様の適度な摩擦が得られるようにしている。
即ち、図21(a)に示されるように、台襟3の下前の上地3a内側に上地3aの先端全体を覆うように大きめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付けて、さらに第2のボタンホール6が形成される部分に第2のボタンホール6の長さ程度に切った小さめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付け、さらにその上から大きめの硬めの芯35(36)全体を覆う大きさの共布(シャツ布地)の布地85を縫付けている。そして、第2のボタンホール6の貫通孔を開けて布地85も含めて穴かがりして第2のボタンホール6を形成し、図示しない移動布としての芯に縫付けた図示しない最上部のボタンを第2のボタンホール6から外に出す。
これによって、第2のボタンホール6を形成することによって穴かがりで布地85の中央部分も固定される。そして、最上部のボタンが移動布としての芯と一体に第2のボタンホール6内を移動する際に、大きい凹凸を有する芯と布地85とが擦れ合うので、適度な摩擦を得ることができる。
図21(b)に示される第1の変形例としては、大きめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付けた上から、第2のボタンホール6の長さ程度に切った小さめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を共布の布地86で包んでから縫付けている。その後、第2のボタンホール6を形成している。
図21(c)に示される第2の変形例としては、大きめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付けた上から、第2のボタンホール6の長さ程度に切った小さめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付け、さらにその上から小さめの硬めの芯35(36)の大きさに切った共布の布地86を全周で縫付けて、その上から第2のボタンホール6を形成することによって穴かがりで布地86の中央部分も固定している。
図21(d)に示される第3の変形例としては、大きめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付けた上から、第2のボタンホール6の長さ程度に切った小さめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付け、さらにその上から台襟上地3aの上から下までに亘る長さの共布の布地87を縫付けて、布地87の左右の縁はロック始末している。その後、第2のボタンホール6を形成している。
図21(e)に示される第4の変形例としては、大きめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付けた上から、第2のボタンホール6の長さ程度に切った小さめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付け、さらにその上から共布の布地88を貼り付けて、小さめの硬めの芯の形状に沿ってヒートカットしている。その後、第2のボタンホール6を形成している。
図21(f)に示される第5の変形例としては、大きめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付けた上から、第2のボタンホール6の長さ程度に切った小さめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付け、さらにその上から共布の布地89を接着剤または両面テープで接着している。その上から第2のボタンホール6を形成することによって穴かがりで布地89の中央部分も固定している。
このように、本実施の形態15及びその第1〜第5変形例においては、いずれも大きめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付けた上から、第2のボタンホール6の長さ程度に切った小さめの硬めの芯としてのソフト芯35またはハード芯36を縫付けているが、シャツの素材その他によっては大きめの硬めの芯35(36)のみを縫付けて、小さめの硬めの芯は縫付けずに直接共布の布地85,86,87,88,89を取付けても良い。また、布地85,86,87,88,89としては、シャツと共布の布地を使用した場合について説明したが、その他の布地を用いることもできる。
実施の形態16
次に、本発明の実施の形態16にかかる首回り調節機能付シャツについて、図22を参照して説明する。図22(a)は本発明の実施の形態16にかかる首回り調節機能付シャツの移動布代わりの耐熱性プラスティック板を示す平面図、(b)は耐熱性プラスティック板にストッパーを付けたところを示す平面図、(c)はさらに弾性材を付けたところを示す平面図である。
先に、実施の形態11で説明したように、移動布の代わりに耐熱性プラスティック板を用いることによって様々な利点が得られるが、最上部のボタンがとれた場合には一般消費者では付け直すことが困難である。そこで、図22(a)に示されるように、耐熱性プラスティック(PET)板40に布テープ41を縫付けることによって、最上部のボタン4がとれた場合に一般消費者でも容易に付け直すことができる。ここで、移動布の代わりの耐熱性プラスティック板40に布テープ41を両端だけ縫付けて中央は耐熱性プラスティック板40から浮かせて、布テープ41だけに最上部のボタン4を縫付けても良いが、本実施の形態16においては耐熱性プラスティック板40に布テープ41の周囲を縫い糸42で縫付けて耐熱性プラスティック板に密着させて、布テープ41と耐熱性プラスティック板40を貫通させて最上部のボタン4を縫付けている。
前者の場合は最上部のボタン4がとれた場合に消費者が布テープ41だけに最上部のボタン4を縫付け直すのが容易であるが、布テープ41の中間部が浮いている分だけ噴き出しが起こる可能性がある。一方、本実施の形態16の場合は布テープ41が耐熱性プラスティック板40に密着しているために消費者が布テープ41だけに最上部のボタン4を縫付け直すのが難しそうに思えるが、耐熱性プラスティック板41で針先が滑るので、案外容易に布テープ41だけに最上部のボタン4を縫付け直すことができる。
また、図22(b)に示されるように、長めの布テープ41Aを耐熱性プラスティック板40の右端からはみ出すように縫付けることによって、はみ出し部分41aがストッパーの役目をするので、部品点数が減って工程短縮、コスト低減に繋げることもできる。
さらに、図22(c)に示されるように、耐熱性プラスティック板40の左端に弾性材としての網ゴムテープ43を縫い付けることによって、最上部のボタン4を図示しない第2のボタンホール6の中で移動させる構造が完成する。本実施の形態14においては、最上部のボタン4を任意の位置まで移動させて留められるように、弾性材として引っ張り力の余り強くない網ゴムテープ43を使用している。
このようにして、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、また最上部のボタンがとれた場合にも容易に付け直すことができ、同時にストッパーを取付けることもでき、快適に長時間着用できる首回り調節機能付シャツとなる。
実施の形態17
次に、本発明の実施の形態17にかかる首回り調節機能付シャツについて、図23を参照して説明する。図23(a)は本発明の実施の形態17にかかる首回り調節機能付シャツの移動布を長い弾性材に取付けたところを示す平面図、(b)は移動布代わりの耐熱性プラスティック板を長い弾性材に取付けたところを示す平面図である。
図23(a)に示されるように、本実施の形態17においては、移動布45の両端が長い弾性材としての網ゴムテープ44の上に縫い糸46で縫付けられ、その上から最上部のボタン4が移動布45及び網ゴムテープ44を貫通して縫付けられている。これによって、長い弾性材としての網ゴムテープ44の右側がストッパーと同様の働きをするため、縫製が簡単でストッパーを縫付けたのと同様の作用効果が得られる。
同様に、図23(b)に示されるように、本実施の形態17の変形例においては、上記実施の形態16と同様の耐熱性プラスティック(PET)板40に布テープ41を縫付けたものの両端が長い弾性材としての網ゴムテープ44の上に縫い糸46で縫付けられ、その上から最上部のボタン4が布テープ41、耐熱性プラスティック板40及び網ゴムテープ44を貫通して縫付けられている。これによって、長い弾性材としての網ゴムテープ44の右側がストッパーと同様の働きをするため、縫製が簡単でストッパーを縫付けたのと同様の作用効果が得られる。
実施の形態18
次に、本発明の実施の形態18にかかる首回り調節機能付シャツについて、図24を参照して説明する。図24(a)は本発明の実施の形態18にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟の通常のボタンホールと第2のボタンホールの位置関係を示す図、(b)は最も首回りを短くした状態を示す図、(c)は首回りを少し長くして外襟がぴったり合った状態を示す図、(d)は首回りをより長くして外襟が少し開いた状態を示す図、(e)は首回りをさらに長くして外襟がさらに開いた状態を示す図、(f)は本発明の実施の形態18の第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟の通常のボタンホールと第2のボタンホールの位置関係を示す図、(g)は本発明の実施の形態16の第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟の通常のボタンホールと第2のボタンホールの位置関係を示す図である。
図24(a)に示されるように、本実施の形態18にかかる首回り調節機能付シャツ1Aは台襟3の端が実線で示されるように丸くなっているが、想像線で示されるように角張っている場合でも、以下に述べる作用効果は全く同じである。首回り調節機能付シャツ1Aが店頭で販売される場合、首回りと袖丈が「39(cm)−78(cm)」のように1cm刻みで表示され、消費者はこれらの数字を目安にして自分に合った寸法のものを購入するが、首回りは図24(a),(f),(g)に示されるように、台襟3の上前に設けられた通常のボタンホール5の中間点βから台襟3の下前に設けられた第2のボタンホール6の内端δまでの長さで表される。
ここで、第2のボタンホール6は図24(a)においては水平に設けられているように図示されているが、実際には内端δ側が約2mm下がって右上がりになっている。これによって、外端ε側へ移動した図示しない最上部のボタンが戻り易くなる。これに対して、第2のボタンホール6を水平に設けると、最上部のボタンが戻り難くなってしまう。
本実施の形態18にかかる首回り調節機能付シャツ1Aは首回りが41cmであり、図示しない最上部のボタンを掛けて首の周囲の寸法が最も小さくなるのは、図24(b)に示されるように、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の内端γに掛けた場合であり、首の周囲の寸法は40.4cmとなる。外襟2がぴったり合わさるのは、図24(c)に示されるように、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて通常のボタンホール5の中間点βに掛けた場合で、首の周囲の寸法は41cmの首回り寸法となる。
さらに、図24(d)に示されるように、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて通常のボタンホール5の外端αに掛けた場合には、外襟2が少し開いて首の周囲の寸法は41.6cmとなる。そして、本実施の形態18にかかる首回り調節機能付シャツ1Aの首の周囲の寸法が最も大きくなるのは、図24(e)に示されるように、最上部のボタンを第2のボタンホール6の外端εに移動させて通常のボタンホール5の外端αに掛けた場合であり、首の周囲の寸法は42.8cmとなる。
このように、本実施の形態18の首回り調節機能付シャツ1Aにおいては、首の周囲の寸法が最小40.4cmから最大42.8cmまで2.4cmの範囲で変化するので、寒いときは締め、暑いときは広げることができ、周囲の温度変化に素早く対応することができる。また、外襟2の間を大きく広げた図24(e)のラフな状態から、外襟2をぴったり合わせた図24(c)のフォーマルな状態に素早く切り替えることができる。
次に、本実施の形態18の第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツについて、図24(f)を参照して説明する。図24(f)に示されるように、第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ1Bは外襟2の付け根からの台襟3の左右への突出長さが2.5cmであり、0.5cm増えている。その分、通常のボタンホール5の位置も外側へずれており、また第2のボタンホール6の長さも1.5cmと長くなっている。この第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ1Bにおいては、図示しない最上部のボタンを掛けて首の周囲の寸法が最も小さくなるのは、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の内端γに掛けた場合であり、首の周囲の寸法は40.4cmとなる。
また、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて通常のボタンホール5の中間点βに掛けた場合には、首の周囲の寸法は41cmの首回り寸法となるが、外襟2の間が少し開いた状態となる。そして、第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ1Bの首の周囲の寸法が最も大きくなるのは、最上部のボタンを第2のボタンホール6の外端εに移動させて通常のボタンホール5の外端αに掛けた場合であり、首の周囲の寸法は43.1cmとなる。このように、第1の変形例の首回り調節機能付シャツ1Bにおいては、首の周囲の寸法が最小40.4cmから最大43.1cmまで2.7cmの範囲で変化する。
ここで、第2のボタンホール6は図24(f)においても水平に設けられているように図示されているが、実際にはやはり内端δ側が約2mm下がって右上がりになっている。これによって、外端ε側へ移動した図示しない最上部のボタンが戻り易くなる。
次に、本実施の形態18の第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツについて、図24(g)を参照して説明する。図24(g)に示されるように、第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ1Cは外襟2の付け根からの台襟3の左右への突出長さが3.0cmであり、さらに0.5cm増えている。その分、通常のボタンホール5の位置もさらに外側へずれており、また第2のボタンホール6の長さも1.8cmと長くなっている。この第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ1Cにおいては、図示しない最上部のボタンを掛けて首の周囲の寸法が最も小さくなるのは、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の内端γに掛けた場合であり、首の周囲の寸法は40.4cmとなる。
また、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて通常のボタンホール5の中間点βに掛けた場合には、首の周囲の寸法は41cmの首回り寸法となるが、外襟2の間が少し開いた状態となる。そして、第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ1Cの首の周囲の寸法が最も大きくなるのは、最上部のボタンを第2のボタンホール6の外端εに移動させて通常のボタンホール5の外端αに掛けた場合であり、首の周囲の寸法は43.4cmとなる。このように、第2の変形例の首回り調節機能付シャツ1Cにおいては、首の周囲の寸法が最小40.4cmから最大43.4cmまで3.0cmの範囲で変化する。
ここで、第2のボタンホール6は図24(g)においても水平に設けられているように図示されているが、実際にはやはり内端δ側が約2mm下がって右上がりになっている。これによって、外端ε側へ移動した図示しない最上部のボタンが戻り易くなる。
このようにして、本実施の形態18の首回り調節機能付シャツ1A,1B,1Cにおいては、首の周囲の寸法が2.4cm〜3.0cmの範囲で変化するので、寒いときは締め、暑いときは広げることができ、周囲の温度変化に素早く対応することができる。また、外襟2の間を大きく広げたラフな状態から、外襟2をぴったり合わせたフォーマルな状態に素早く切り替えることができる。
実施の形態19
次に、本発明の実施の形態19にかかる首回り調節機能付シャツについて、図25及び図26を参照して説明する。図25(a)は本発明の実施の形態19にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟の通常のボタンホールと第2のボタンホールの位置関係を示す図、(b)は最も首回りを短くして外襟がぴったり合った状態を示す図、(c)は首回りを少し長くして外襟が少し開いた状態を示す図、(d)は首回りをより長くして外襟がさらに開いた状態を示す図、(e)は首回りをさらに長くして外襟が大きく開いた状態を示す図、(f)は本発明の実施の形態19の第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟の通常のボタンホールと第2のボタンホールの位置関係を示す図である。
図26(a)は本発明の実施の形態19の第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟の通常のボタンホールと第2のボタンホールの位置関係を示す図、(b)は最も首回りを短くした状態を示す図、(c)は首回りを少し長くして外襟がぴったり合った状態を示す図、(d)は首回りをより長くして外襟が少し開いた状態を示す図、(e)は首回りをさらに長くして外襟がさらに開いた状態を示す図、(f)は首回りをさらに長くして外襟が大きく開いた状態を示す図、(g)は本発明の実施の形態19の第3の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟の通常のボタンホールと第2のボタンホールの位置関係を示す図である。
ここで、図25(a),(f),図26(a),(g)においても、第2のボタンホール6は水平に設けられているように図示されているが、実際にはやはり内端δ側或いは内端ε側が約2mm下がって右上がりになっている。これによって、外端ε側或いは外端ζ側へ移動した図示しない最上部のボタンが戻り易くなる。
図25(a)に示されるように、本実施の形態19にかかる首回り調節機能付シャツ51Aは首回りが41.5cmであり、図示しない最上部のボタンを掛けて首の周囲の寸法が最も小さくなるのは、図25(b)に示されるように、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の内端γに掛けた場合であり、首の周囲の寸法は40.9cmとなって外襟2がぴったり合わさった状態となる。したがって、首回りが41cmの人でも着用することができ、店頭で販売するときには「首回り41cm」のシャツとして販売しても良い。
図25(c)に示されるように、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の中間位置βにかけた場合には、首の周囲の寸法は41.5cm(首回り寸法)となって、外襟2の間が少し開いた状態となる。また、図25(d)に示されるように、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の外端αにかけた場合には、首の周囲の寸法は42.1cmとなって、外襟2の間がより開いた状態となる。さらに、図25(e)に示されるように、最上部のボタンを第2のボタンホール6の外端εに移動させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の外端αにかけた場合には、首の周囲の寸法は最大の43.3cmとなって外襟2の間が大きく開いた状態となる。
このように、本実施の形態19の首回り調節機能付シャツ51Aにおいては、首の周囲の寸法が最小40.9cmから最大43.3cmまで2.4cmの範囲で変化するので、寒いときは締め、暑いときは広げることができ、周囲の温度変化に素早く対応することができる。また、外襟2の間を大きく広げた図25(e)のラフな状態から、外襟2をぴったり合わせた図25(b)のフォーマルな状態に素早く切り替えることができる。さらに、通常に着用したとき(図25(c)の状態)襟元が0.5cm開いているので、ワイシャツ等ではネクタイがし易く適度なフィット感を作り易い。
また、上記実施の形態18の首回り調節機能付シャツ1Aにおいては、外襟2の最大開き幅が1.8cmであったのに対して、本実施の形態19の首回り調節機能付シャツ51Aにおいては、第2のボタンホール6を外側へ0.5cmずらしたため、上前のボタンホール5の長さも第2のボタンホール6の長さも1.2cmと同一でありながら、外襟2の最大開き幅が2.3cmと大きくなっている。第2のボタンホール6の長さを長くすれば最大開き幅を大きくすることはできるが、第2のボタンホール6を余り長くすると見た目が悪くなり、第2のボタンホール6が開き易くなって噴き出しも起こり易くなる。これに対して、第2のボタンホール6を外側へずらすことによって最大開き幅を大きくすれば、第2のボタンホール6の長さは短いままで済み、見た目も良く噴き出しも起こらない。
次に、本実施の形態19の第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツについて、図25(f)を参照して説明する。図25(f)に示されるように、第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ51Bは、首回り調節機能付シャツ51Aと同様に第2のボタンホール6を外側へ0.5cmずらし、さらに第2のボタンホール6の長さを1.5cmと少し長くしている。第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ51Bも首回りが41.5cmであり、図示しない最上部のボタンを掛けて首の周囲の寸法が最も小さくなるのは、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の内端γに掛けた場合であり、首の周囲の寸法は40.9cmとなって外襟2がぴったり合わさった状態となる。
最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端δに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の中間位置βにかけた場合には、首の周囲の寸法は41.5cm(首回り寸法)となって、外襟2の間が少し開いた状態となる。さらに、最上部のボタンを第2のボタンホール6の外端εに移動させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の外端αにかけた場合には、首の周囲の寸法は最大の43.6cmとなって外襟2の間が2.6cmと大きく開いた状態となる。
次に、本実施の形態19の第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツについて、図26(a)〜(f)を参照して説明する。図26(a)に示されるように、第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ51Cは、首回り調節機能付シャツ51Aと同様に第2のボタンホール6を外側へ0.5cmずらし、さらに通常のボタンホール5を0.5cm内側へ伸ばして長さを1.7cmと長くしている。第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ51Cも首回りが41.5cmであり、図示しない最上部のボタンを掛けて首の周囲の寸法が最も小さくなるのは、図26(b)に示されるように、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端εに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の内端δに掛けた場合であり、首の周囲の寸法は40.4cmとなって外襟2の先端が少し重なった状態となる。
次に、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端εに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の中間右よりγに掛けた場合には、首の周囲の寸法は41.0cmとなって、図26(c)に示されるように外襟2の先端がぴったり合わさった状態となる。最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端εに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の中間左よりβにかけた場合には、首の周囲の寸法は41.5cm(首回り寸法)となって、図26(d)に示されるように外襟2の間が少し開いた状態となる。
さらに、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端εに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の外端αに掛けた場合には、首の周囲の寸法は42.1cmとなって、図26(e)に示されるように外襟2の間がさらに開いた状態となる。そして、最上部のボタンを第2のボタンホール6の外端ζに移動させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の外端αに掛けた場合には、首の周囲の寸法は最大の43.3cmとなって、図26(f)に示されるように外襟2の間が2.3cmと大きく開いた状態となる。
次に、本実施の形態19の第3の変形例にかかる首回り調節機能付シャツについて、図26(g)を参照して説明する。図26(g)に示されるように、第3の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ51Dは、首回り調節機能付シャツ51Aと同様に第2のボタンホール6を外側へ0.5cmずらし、さらに第2のボタンホール6の長さを1.5cmと少し長くしている。第3の変形例にかかる首回り調節機能付シャツ51Dも首回りが41.5cmであり、図示しない最上部のボタンを掛けて首の周囲の寸法が最も小さくなるのは、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端εに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の内端δに掛けた場合であり、首の周囲の寸法は40.4cmとなって外襟2が少し重なった状態となる。
次に、最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端εに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の中間右よりγに掛けた場合には、首の周囲の寸法は41.0cmとなって、外襟2の先端がぴったり合わさった状態となる。最上部のボタンを第2のボタンホール6の内端εに位置させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の中間左よりβにかけた場合には、首の周囲の寸法は41.5cm(首回り寸法)となって、外襟2の間が少し開いた状態となる。そして、最上部のボタンを第2のボタンホール6の外端ζに移動させて、最上部のボタンを通常のボタンホール5の外端αに掛けた場合には、首の周囲の寸法は最大の43.6cmとなって、外襟2の間が2.6cmと大きく開いた状態となる。
このようにして、本実施の形態19にかかる首回り調節機能付シャツ51A,51B,51C,51Dにおいては、首の周囲の寸法が最小から最大まで2.4cm〜3.2cmの範囲で変化するので、寒いときは締め、暑いときは広げることができ、周囲の温度変化に素早く対応することができる。また、外襟2の間を大きく広げたラフな状態から、外襟2をぴったり合わせたフォーマルな状態に素早く切り替えることができる。さらに、通常に着用したとき襟元が0.5cm開いているので、ワイシャツ等ではネクタイがし易く適度なフィット感を作り易い。
また、上記実施の形態18の首回り調節機能付シャツ1Aにおいては、外襟2の最大開き幅が1.8cmであったのに対して、本実施の形態19の首回り調節機能付シャツ51A,51B,51C,51Dにおいては、第2のボタンホール6を外側へ0.5cmずらしたため、外襟2の最大開き幅が2.3cm或いは2.6cmと大きくなっている。第2のボタンホール6の長さを長くすれば最大開き幅を大きくすることはできるが、第2のボタンホール6を余り長くすると見た目が悪くなり、第2のボタンホール6が開き易くなって噴き出しも起こり易くなる。これに対して、第2のボタンホール6を外側へずらすことによって最大開き幅を大きくすれば、第2のボタンホール6の長さは短いままで済み、見た目も良く噴き出しも起こらない。
参考事例1
次に、本発明の参考事例1にかかる首回り調節機能付シャツについて、図27を参照して説明する。
図27(a)は本発明の参考事例1にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟の通常のボタンホールと弾性材料からなるループ及び係合具の位置関係を示す図、(b)は本発明の参考事例1の第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟上前の通常のボタンホールと弾性材料からなるループの位置関係を示す図、(c)は第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟上前の通常のボタンホールと弾性材料からなるループの位置関係を示す図、(d)は第3の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟上前の通常のボタンホールと弾性材料からなるループの位置関係を示す図、(e)は第4の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟上前の通常のボタンホールと弾性材料からなるループの位置関係を示す図、(f)はの第5の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟上前の通常のボタンホールと弾性材料からなるループの位置関係を示す図である。
図27(a)に示されるように、本参考事例1にかかる首回り調節機能付シャツ52Aは、上記実施の形態1〜実施の形態19と異なり、台襟下前3Bに第2のボタンホールが設けられておらず、最上部のボタン4は台襟下前3Bの突出部に縫付け固定されている。その代わりに、台襟上前3Aの突出部先端に弾性材料としてのゴム紐からなるループ54が縫付けられており、台襟下前3Bのゴム紐からなるループ54に対応する位置に、係合具としてのボタン53が縫付けられている。
これによって、台襟上前3Aの通常のボタンホール5に最上部のボタン4を掛けるとともに、ゴム紐からなるループ54を台襟の下前のボタン53に掛けることによって、通常のボタンホール5の長さ範囲内で襟元を拡げた場合に、ループ54の弾性力が強く設定されていれば手を離せば自然に襟元が締まった状態に戻るし、ループ54の弾性力に対して通常のボタンホール5と最上部のボタン4との摩擦力が強くなっていれば、通常のボタンホール5の長さ範囲内で襟元を拡げた場合に任意の位置で留まり、指先で摘まむことによって襟元が締まった状態に戻る。
本参考事例1においては、糸足を0.2cmと短くしたことによってループ54の弾性力に対して通常のボタンホール5と最上部のボタン4との摩擦力が強くなっているため、通常のボタンホール5の長さ範囲内で襟元を拡げた場合に任意の位置で留まり、指先で摘まむことによって襟元が締まった状態に戻る。
図27(b)に示されるように、本参考事例1の第1変形例にかかる首回り調節機能付シャツ52Bは、通常のボタンホール5が外襟2の付け根を中心として1.2cmの長さを有しており、糸足を0.2cmと短くしているため1.2cmの範囲内で襟元を拡げた任意の位置で留まり、指先で摘まむことによって襟元が締まった状態に戻る。
図27(c)に示されるように、本参考事例1の第2変形例にかかる首回り調節機能付シャツ52Cは、通常のボタンホール5が外襟2の付け根を跨いで1.7cmの長さを有しており、やはり糸足を0.2cmと短くしているため1.7cmのより広い範囲内で襟元を拡げた任意の位置で留まり、指先で摘まむことによって襟元が締まった状態に戻る。
図27(d)に示されるように、本参考事例1の第3変形例にかかる首回り調節機能付シャツ52Dは、通常のボタンホール5が外襟2の付け根から外へ1.5cmの長さを有しており、根巻きを0.2cmと短くしているため1.5cmの範囲内で襟元を拡げた任意の位置で留まり、指先で摘まむことによって襟元が締まった状態に戻る。
図27(e)に示されるように、本参考事例1の第4変形例にかかる首回り調節機能付シャツ52Eは、通常のボタンホール5が外襟2の付け根から離れて外へ1.2cmの長さを有しており、根巻きを0.2cmと短くしているため1.2cmの範囲内で襟元を拡げた任意の位置で留まり、指先で摘まむことによって襟元が締まった状態に戻る。
図27(f)に示されるように、本参考事例1の第5変形例にかかる首回り調節機能付シャツ52Fは、通常のボタンホール5が外襟2の付け根から外へ1.7cmの長さを有しており、根巻きを0.2cmと短くしているため1.7cmのより広い範囲内で襟元を拡げた任意の位置で留まり、指先で摘まむことによって襟元が締まった状態に戻る。
なお、「弾性材料」としては、ゴム、ゴム紐、シャーリングゴム等を用いることができる。また、「係合具」としては、ボタン、フック等を用いることができる。
このようにして、本参考事例1にかかる首回り調節機能付シャツ52,52A,52B,52C,52D,52E,52Fは、第2のボタンホール6や後述する台襟貫通ボタンホールを設けることなく、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、ゴム紐からなるループ54及び台襟の下前のボタン53は外襟2の下に隠れるので見た目を損なうことはなく、快適に長時間着用することができる。
参考事例2
次に、本発明の参考事例2にかかる首回り調節機能付シャツについて、図28を参照して説明する。図28は本発明の参考事例2にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟の通常のボタンホールと弾性材料からなるループの位置関係を示す図である。なお、図示省略されているが、台襟下前側には図27(a)と同様に係合具としてのボタン53が縫付けられており、台襟下前に最上部のボタン4が縫付けられているのも同様である。
図28に示されるように、本参考事例2にかかる首回り調節機能付シャツ52Gが図27に示される参考事例1と異なるのは、台襟上前3Aの突出部先端に縫付けられている弾性材料としてのゴム紐からなるループ55が、ループ54と比べて縦長になっており、したがって付勢力も強くなっている点である。これによって、台襟上前3Aの通常のボタンホール5に最上部のボタン4を掛けるとともに、ゴム紐からなるループ55を台襟の下前のボタン53に掛けることによって、通常のボタンホール5の長さ範囲内で襟元を拡げた場合に、ループ55の弾性力が強く設定されているために、手を離せば自然に襟元が締まった状態に戻る。
このようにして、本実施の形態19にかかる首回り調節機能付シャツ52Gは、第2のボタンホール6や後述する台襟貫通ボタンホールを設けることなく、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく襟元を拡げることができ、手を離せば自然に襟元が締まった状態に戻り、ゴム紐からなるループ55及び台襟の下前のボタン53は外襟2の下に隠れるので見た目を損なうことはなく、快適に長時間着用することができる。
参考事例3
次に、本発明の参考事例3にかかる首回り調節機能付シャツについて、図29を参照して説明する。図29は本発明の参考事例3にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟の通常のボタンホールと弾性材料からなるループの位置関係を示す図である。
図29に示されるように、本参考事例3にかかる首回り調節機能付シャツ56が図27に示される参考事例1と異なるのは、弾性材料としてのゴム紐からなるループ58が、台襟上前3Aでなく台襟下前3Bの突出部先端に縫付けられている点と、台襟上前3Aの裏側(内側)のゴム紐からなるループ58に対応する位置に、係合具としてのボタン57が縫付けられている点である。
これによって、ゴム紐からなるループ58を台襟の上前裏側のボタン57に掛けるとともに、台襟上前3Aの通常のボタンホール5に最上部のボタン4を掛けることによって、通常のボタンホール5の長さ範囲内で襟元を拡げた場合に、ループ58の弾性力が強く設定されていれば手を離せば自然に襟元が締まった状態に戻るし、ループ58の弾性力に対して通常のボタンホール5と最上部のボタン4との摩擦力が強くなっていれば、通常のボタンホール5の長さ範囲内で襟元を拡げた場合に任意の位置で留まり、指先で摘まむことによって襟元が締まった状態に戻る。
本参考事例3においては、糸足を0.2cmと短くしたことによってループ58の弾性力に対して通常のボタンホール5と最上部のボタン4との摩擦力が強くなっているため、通常のボタンホール5の長さ範囲内で襟元を拡げた場合に任意の位置で留まり、指先で摘まむことによって襟元が締まった状態に戻る。なお、ゴム紐からなるループ58及び台襟の上前裏側のボタン57は台襟の上前3A裏側に隠れるので見た目を損なうことはなく、通常のシャツに見える。
このようにして、本参考事例3にかかる首回り調節機能付シャツ56は、第2のボタンホール6や後述する台襟貫通ボタンホールを設けることなく、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、ゴム紐からなるループ58及び台襟上前裏側のボタン57は隠れて見た目を損なうことはなく、快適に長時間着用することができる。
参考事例4
次に、本発明の参考事例4にかかる首回り調節機能付シャツについて、図30及び図31を参照して説明する。
図30(a)は本発明の参考事例4にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟上前の通常のボタンホールと台襟下前を貫通して設けられた台襟貫通ボタンホールを示す図、(b)は上前と下前を重ねて最上部のボタンを通常のボタンホールに掛けた状態を示す断面図である。
図31(a)は本発明の参考事例4の第1の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンと止め具との接続構造を示す斜視図、(b)は第2の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンの役割をするものと止め具との接続構造を示す斜視図、(c)は第3の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンの役割をするものと止め具との接続構造を示す斜視図、(d)は第4の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンの役割をするものと止め具との接続構造を示す斜視図、(e)は第5の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンの役割をするものと止め具との接続構造を示す斜視図、(f)は第6の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの最上部のボタンの役割をするものと止め具との接続構造を示す斜視図である。
上記各実施の形態においては、第2のボタンホール6として図2〜図10,図16〜図26に示されるように、台襟下前の上地3aのみを貫通して下地3bは貫通しない構造について説明してきた。即ち、これまで説明した第2のボタンホール6は、いずれも台襟下前3Bの上地3aに設けられたものであり、台襟下前3Bの下地3bは貫通していなかったため台襟下前3B内部での作業が必要であり、消費者が簡単に内部構造を変えることは困難なものであった。
しかし、図30に示されるように、本参考事例4にかかる首回り調節機能付シャツ60においては、台襟下前3Bの下地3bをも貫通した台襟貫通ボタンホール61を設けて、最上部のボタン4と止め具としての一回り大きいボタン62とをこの台襟貫通ボタンホール61を貫通させた根巻き63によって接続させている。したがって、台襟下前3B内部での作業が必要なくなって製造がより容易になりコストダウンにつながり、また消費者の好みに応じて最上部のボタン4や止め具62を他のものに交換することも容易にできる。
このようにして、本参考事例4にかかる首回り調節機能付シャツ60においては、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、容易にかつ安価に製造することができ、快適に長時間着用することができる。本参考事例4にかかる首回り調節機能付シャツ60においては、最上部のボタン4と止め具としての一回り大きいボタン62とをこの台襟貫通ボタンホール61を貫通させた根巻き63によって接続させているが、他にも様々な変形例が可能である。
図31(a)に示されるように、本参考事例4の第1変形例にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、最上部のボタン4と止め具としての一回り大きいボタン62とをこの台襟貫通ボタンホール61を貫通させた脚部としてのゴム足64によって接続させている。また、図31(b)に示されるように、第2の変形例においては、最上部のボタンの役割をするものとしての金属製円板65と止め具としての一回り大きい金属製円板67とを台襟貫通ボタンホール61を貫通させた脚部としての1対の雄ねじ・雌ねじ66によって接続させている。
また、図31(c)に示されるように、第3の変形例においては、最上部のボタンの役割をするものとしての凹側ホック68と止め具としての一回り大きい凸側ホック69とを台襟貫通ボタンホール61を貫通させた脚部としての凸側ホック凸部69aによって接続させている。
さらに、図31(d)に示されるように、第4の変形例においては、最上部のボタン4を脚部としての棒状のエラストマー20の先端に取付けている。棒状のエラストマー20の下端は円形のプラスティック板21に接着し、円形のプラスティック板21の周りは台襟貫通ボタンホール61の長さに対応する略長方形のエラストマー板22で覆われている。そして、このエラストマー板22が外周に沿って縫い糸で台襟下前3Bの下地3bの裏側に縫付けられている。かかる構造により、エラストマー板22の変形力によって最上部のボタン4は台襟貫通ボタンホール61内で首回り方向に移動させることができ、力を加えるのを止めるとエラストマー板22の弾性力によって最上部のボタン4は即座に元の位置に戻る。
また、図31(e)に示されるように、第5の変形例においては、最上部のボタンの役割をするものとしての金属製円板70と金属製脚部70aと止め具としての金属製の細長い楕円形板71とが一体に製作されており、細長い楕円形板71は金属製脚部70aに対して回動可能に取付けられている。したがって、細長い楕円形板71を実線で示される向きで台襟貫通ボタンホール61に平行にして貫通させた後、想像線で示されるように約90度回動させれば、台襟貫通ボタンホール61から抜けなくなる。さらに、図31(f)に示されるように、第6の変形例においては、最上部のボタンの役割をするものとしての円板部分72aと脚部72bと止め具としての大きい円板部分72cが強度のあるプラスティックで一体成形されて、1個のプラスティック部品72となっており、大量生産が可能で大幅なコストダウンにつながる。
首回り調節機能付シャツはネクタイをすれば最上部のボタン4は見えなくなるからボタン以外のものを用いても良いし、ネクタイをしない場合でも、金属等の光物や木材、セラミックス、ガラス等を最上部のボタンの代わりに用いれば、外観的にも美しく意匠的にも優れたものとなる。また、最上部のボタンまたはその役割をするものと止め具とを接続する脚部も、適当な長さと強度を持っているものであれば、何でも用いることができる。さらに、脚部をエラストマー製またはゴム製とすれば、伸縮自在となる。しかも、ストッパーや弾性材を使用していない簡単な構造なので、容易にかつ安価に製造することができる。
このようにして、本参考事例4にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができ、容易にかつ安価に製造することができ、意匠的にも優れたものとすることが可能で快適に長時間着用できる。
なお、本参考事例4においては図30(a),(b),図31(a)〜(f)に示されるような止め具のみによるスライド機構を台襟貫通ボタンホール61に用いた場合についてのみ説明したが、これらを上記各実施の形態で説明したような第2のボタンホール6を有する首回り調節機能付シャツに適用することもできる。即ち、台襟下前上地3aと下地3bとの間に止め具を挟んで、第2のボタンホール6に沿って最上部のボタン4またはその役割をするものをスライドさせるものである。これによって、ストッパーや弾性材を使用していない簡単な構造なので、容易にかつ安価に製造することができる。
参考事例5
次に、本発明の参考事例5にかかる首回り調節機能付シャツについて、図32及び図33を参照して説明する。
図32(a)は本発明の参考事例5にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟下前の上地に設けられた第2のボタンホールを示す図、(b)は(a)を裏返して台襟下前の下地に設けられた貫通孔を示す図、(c)は最上部のボタンが取れたときの縫付け方を示す図である。図33(a)は本発明の参考事例5の変形例にかかる首回り調節機能付シャツの外襟を開いて台襟下前の上地に設けられた第2のボタンホールを示す図、(b)は(a)を裏返して台襟下前の下地に設けられた変形例にかかる貫通孔を示す図、(c)は最上部のボタンが取れたときの縫付け方を示す図である。
図32(c)に示されるように、本参考事例5にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、貫通孔としての菊穴75は図示しない最上部のボタンが取れた場合のために設けられるもので、消費者が自分で最上部のボタンを移動布またはその役割をするものに付け直す場合に、図32(a)に示されるように台襟下前3Bの上地に設けられた第2のボタンホール6をやや拡げて、移動布またはその役割をするものに力が掛かっていない状態で最上部のボタンがあるべき位置を縫い糸をつけた針Nで掬う。このとき、深く掬うと台襟下前3Bの下地まで掬ってしまい、最上部のボタンを台襟下前3Bの下地に縫付けてしまう恐れがある。
そこで、台襟下前3Bの裏側の下地にほつれない貫通孔としての菊穴75を設けて、下地を掬わないために始めから掬うのではなく、針Nを菊穴75の中に貫通確認してそれを数回繰り返すことによって、移動布またはその役割をするものに最上部のボタンを縫付ける。これによって、消費者が間違いなく簡単に最上部のボタンを付け直すことができる。
また、図33(a)に示されるように、本参考事例5の変形例にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、第2のボタンホール6の左端が外襟2の付け根に位置しているために、移動布またはその役割をするものに力が掛かっていない状態で最上部のボタンがあるべき位置も外襟2の付け根に移動するため、図33(b)に示されるように、ほつれない貫通孔としての金属製のリング穴76も外襟2の付け根に設けられている。そして、図33(c)に示されるように、針Nをリング穴76の中に貫通確認してそれを数回繰り返すことによって、移動布またはその役割をするものに最上部のボタンを縫付ける。これによって、消費者が間違いなく簡単に最上部のボタンを付け直すことができる。
このようにして、本参考事例5にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、最上部のボタンが取れた場合でも消費者が簡単かつ確実に最上部のボタンを付け直すことができ、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができる。
参考事例6
次に、本発明の参考事例6にかかる首回り調節機能付シャツについて、図34を参照して説明する。図34(a)は本発明の参考事例6にかかる首回り調節機能付シャツに用いられる最上部のボタンとしての貫通針付きプラスティックボタンを移動布に突き刺すところを示す拡大正面図、(b)は貫通針付きプラスティックボタンを貫通させた後、貫通針部分を折り取った状態を示す拡大正面図である。
図34(a)に示されるように、本参考事例6にかかる首回り調節機能付シャツに用いられる最上部のボタンとしての貫通針付きプラスティックボタン77は、ボタン部分77a、軸部分77b、1対の抜け止め77c、括れ部77d、貫通針部分77eから構成されており、貫通針部分77eの先端は鋭く尖っていて移動布30に突き刺して力を加えれば、1対の抜け止め77cまでの部分を貫通させることができる。その後、括れ部77dにおいて貫通針部分77eを折り取ることによって、図34(b)に示されるように、最上部のボタンとしてのボタン部分77aが移動布30に1対の抜け止め77cによって取れないように強固に取付けられる。
このようにして、本参考事例6にかかる首回り調節機能付シャツにおいては、最上部のボタン77aを極めて容易に移動布30に取付けることができ、貫通針付きプラスティックボタン77も一体成形で製造されて安価なので、大幅にコストダウンすることができ、ワイシャツを始めとするシャツの首回りを目立つ動作をすることなく好みの長さに調節することができる。
上記各実施の形態においては、本発明の首回り調節機能付シャツを主にワイシャツに適用した場合を想定して説明したが、本発明の首回り調節機能付シャツは台襟にボタンが付いたシャツ全般について適用できるものであり、カジュアルなシャツ、ブラウス、外襟なしシャツ等にも適用することができる。
また、上記各実施の形態においては、台襟の幅が通常な大きさの場合について説明しているが、台襟の幅が広い特殊な場合には、通常のボタンホール5及び第2のボタンホール6を上下二段に設けても良い。
また、上記各実施の形態においては、縦テープ9,横方向テープ10,横長のテープ11,縦方向のテープ12等を台襟3の下地3bに縫付けているが、これらのテープ類を台襟3の下地3bの裏地のみに縫付ければ、下地3bの表側にはゴムテープ8を縫付ける糸の縫い目しか表れないため、非常に見栄えが良くなる。
さらに、上記各実施の形態においては、第2のボタンホールを通常の糸で穴かがりしているが、ボタンホールの穴かがりに熱硬化性樹脂を含浸して熱硬化させたり、合成樹脂製の糸で穴かがりすることもできる。これによって、第2のボタンホールが変形し難くなり、噴き出しを防止することができる。
また、上記各実施の形態においては、ストッパーとして移動布7aと同じ幅の裏地7bを使用しているが、ストッパーの材質は他にも生地、布テープ等種々選択できるものであり、幅も移動布7aよりも細くても構わない。
首回り調節機能付シャツのその他の部分の構造、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。
なお、ボタン4を取付けたボタンホール6を貫通する短い棒状のエラストマー20の断面形状は、ボタンホール6内をスライド可能とするように、ボタンホールの長さ方向に長い断面長円または楕円の柱状体とすることができる。