JP4581745B2 - 永久磁石モータのロータ製造方法 - Google Patents

永久磁石モータのロータ製造方法 Download PDF

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本発明は,永久磁石を備える永久磁石モータのロータの製造方法に関する。さらに詳細には,ロータコアに設けられた収納穴の中に永久磁石を接着固定することによる永久磁石モータのロータ製造方法に関するものである。
例えば積層鋼板等によって形成されたロータコアに,磁石収納穴を設け,その中に永久磁石を挿入固定することによって製造される永久磁石式のロータがある。このようなロータにおいて,従来より一般的に行われている磁石の固定方法として,例えば,ロータコアに設けた磁石収納穴に接着剤を注入し,その中へ永久磁石を挿入して接着する方法がある。さらに,永久磁石を磁石収納穴内の適切な位置に配置させるために,収納穴の形状等に様々な工夫がされてきた(例えば,特許文献1,特許文献2参照。)。
さらに,このようなロータにおいては,接着剤の接着面積を大きくとることも重要である。そこで本発明者は,以前の出願(特願2004−119934号参照。)において,磁石収納穴に接着剤と磁石とを挿入した後,コアの上下を返して硬化させることを提案した。この方法によれば,磁石収納穴の下方に溜まっていた接着剤を磁石に沿って上方まで付着させることができるので,強固で均一な接着状態が得られるのである。さらにその出願において,接着剤が硬化しない程度に加熱するプリヒート工程を組み入れ,接着剤の流動性を高めてコアの上下を返すことにより,硬化工程の前に接着剤を磁石に沿って広げておくことも提案した。
また,接着剤の使用に際しては,熱硬化工程における硬化条件の把握も重要である。従来,接着剤の硬化条件としては一般に,接着剤メーカから硬化温度とその温度での保持時間という形式での標準硬化条件が提示される。すなわち,所定温度で所定時間保持すれば,ほぼ硬化されているという条件である。しかし,実際の工程では,常温からの所定温度までの昇温時間や硬化後の冷却時間も必要であるため,このメーカ推奨の硬化条件を確実に含む設定では,熱硬化工程に時間がかかりすぎる。そのため,従来より,様々な条件で硬化実験を行い,接着剤の硬化状態を調べることにより,処理時間の短縮方法を模索してきた。
特開平5−207692号公報 特開2001−352702号公報
しかしながら,前記した従来のロータの製造方法では,以下のような問題点があった。本発明者による既提案のようにコアの上下を逆転させてプリヒート工程を行った場合,接着剤の中に発生した気泡が,磁石収納穴の底部(プリヒート工程中は上方に配置されている)に溜まる。その後,コアの上下を戻してすぐに熱硬化工程を行うと,気泡が磁石収納穴の上方へ上がりきらないうちに硬化が始まる場合があった。そのため,気泡が磁石収納穴の中央部付近に残ったままで熱により膨張され,気泡の周囲の接着剤がコアの積層面間から押し出されて外部に洩れる原因となるおそれがあった。特に,コアの積層方向の両端側の密閉度が高い場合には,気泡の移動速度が遅くなり,この現象が起きがちであるという問題点があった。
また,ロータの製造工程にプリヒート工程を追加すれば,その分,永久磁石の接着工程全体にかかる時間が長くなる。そのため,全体としてのロータの製造時間が長くなるという問題点があった。また,硬化条件の予想がさらに困難となり,多数のテストピースによる硬化テストを行う必要があった。そのため,硬化条件の設定に時間も手間もかかることになるという問題点もあった。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,ロータに形成された磁石収納穴に永久磁石を接着固定するに際し,接着剤が外部に洩れず強固に接着できるとともに,硬化条件の設定やロータの製造時間を短縮できる永久磁石モータのロータ製造方法を提供することにある。
この課題の解決を目的としてなされた本発明の永久磁石モータのロータ製造方法は,ロータコアに形成されたスロット内に接着剤を注入する接着剤注入工程と,そのスロット内に永久磁石を挿入する磁石挿入工程と,ロータコアにエンドプレートを重ねて固定しスロットを塞さぐ取付工程と,ロータを加熱することによってスロット内の接着剤を熱硬化させる熱硬化工程とを有する永久磁石モータのロータ製造方法であって,取付工程と熱硬化工程との間に,接着剤注入工程のときとはロータの上下を逆転させた状態で,ロータを,常温より高く接着剤の硬化開始温度より低いプリヒート温度に保持する倒立プリヒート工程と,ロータの上下を接着剤注入工程のときと同じ状態に戻して,ロータをプリヒート温度に保持する正立プリヒート工程とを有するものである。
本発明の永久磁石モータのロータ製造方法によれば,取付工程の後に,倒立プリヒート工程を有するので,接着剤が永久磁石に沿って広げられる。さらに,正立プリヒート工程を有するので,接着剤中に発生した気泡が上方へと移動される。従って,この気泡が熱硬化工程において熱膨張されたとしても容易に外部へ押し出され,接着剤を押し出すおそれはない。これにより,ロータに形成された磁石収納穴に永久磁石を接着固定するに際し,接着剤が外部に洩れず強固に接着できる永久磁石モータのロータ製造方法となっている。
また本発明の永久磁石モータのロータ製造方法は,ロータコアに形成されたスロット内に接着剤を注入する接着剤注入工程と,そのスロット内に永久磁石を挿入する磁石挿入工程と,ロータコアにエンドプレートを重ねて固定しスロットを塞さぐ取付工程と,ロータを加熱することによってスロット内の接着剤を熱硬化させる熱硬化工程とを有する永久磁石モータのロータ製造方法であって,取付工程と熱硬化工程との間に,ロータを常温より高く接着剤の硬化開始温度より低いプリヒート温度に保持するプリヒート工程を有し,プリヒート工程の前期を,接着剤注入工程のときとはロータの上下を逆転させた状態で行い,プリヒート工程の後期を,ロータの上下を接着剤注入工程のときと同じ状態に戻して行うものであってもよい。
このようにしても,上記と同様の効果が得られる。
さらに本発明は,熱硬化工程を,ロータの温度が接着剤の硬化開始温度以上である期間にわたる,温度値の二乗×第1の係数+温度値×第2の係数+第3の係数の積算値が判定しきい値以上となる温度パターンで行うものである
このようにすれば,熱硬化工程における適切な温度パターンを容易に予測できる。従って,多数の硬化実験を行う必要が無く,硬化条件の設定やロータの製造にかかる時間を短縮することができる。
さらに本発明では,熱硬化工程を,接着剤の硬化開始温度より高い温度で,ロータの上下を接着剤注入工程のときと同じ状態にして行うことが望ましい。
このようにすれば,ロータを硬化開始温度より高い温度とした場合でも,接着剤が外部に洩れることはない。
本発明の永久磁石モータのロータ製造方法によれば,ロータに形成された磁石収納穴に永久磁石を接着固定するに際し,接着剤が外部に洩れず強固に接着できるとともに,硬化条件の設定やロータの製造時間を短縮できる。
以下,本発明を具体化した最良の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,モータのインナーロータの製造方法に本発明を適用したものである。
本形態で使用するロータ1は,図1と図2に示すように,中心のロータシャフト11からフランジ11aが径方向外側に延び,その先端に断面がL字状のコア受け11bが形成されている。コア受け11bには,その下側段差部にリング状のマグネットエンド12が装着され,その上に複数枚の電磁鋼板13aが積層されたロータコア13が設けられている。また,各電磁鋼板13aにはそれぞれ同じ位置に穴が形成されており,それらが重ねられてスロット14が形成される。スロット14の内部にはそれぞれ,接着剤15によって,永久磁石16が固定されている。ここで,図1に示すように,スロット14は永久磁石16よりやや幅広く形成されているので,永久磁石16の脇に接着剤の柱14aが形成されている。
さらに,図2に示すように,ロータコア13の図中上方にエンドプレート17が重ねられて,ロータコア13に蓋がされている。さらに,電磁鋼板13aの積層方向の両端に接して,それぞれ薄鋼板18,19が重ねられ,スロット14の両端部が塞がれている。ここで,マグネットエンド12とエンドプレート17はいずれもアルミ等であり,ロータコア13に比較して熱膨張率が大きい材質で形成されている。一方,薄鋼板18,19はSUS等であり,ロータコア13とほぼ同じ熱膨張率である。さらに,薄鋼板18,19の両面にはフッ素樹脂によるコーティング処理が施され,接着剤15による薄鋼板18,19とロータコア13との接着が防止されている。また,ここで使用される接着剤15は,例えば,エポキシ系の接着剤15である。なお,図1では,エンドプレート17と薄鋼板18とを省略して図示している。
次に,本形態のロータ1の製造方法を説明する。この製造方法は,以下の手順によって行われる。まず第1に,図3に示すロータ1の組み立て工程を行う。次に,図4に示す倒立プリヒート工程を行う。次に,図5に示す正立プリヒート工程を行う。最後に,図6に示す熱硬化工程を行う。以下,各工程を順次説明する。
まず,ロータ1の組み立て工程を図3を参照して説明する。組み立て工程では,図3(a)に示すように,ロータシャフト11のコア受け11bにマグネットエンド12と薄鋼板19と複数枚の電磁鋼板13aが嵌め込まれ,ロータコア13が形成される。さらに,スロット14内部に所定量の接着剤15が注入される。そして,スロット14内へ永久磁石16が挿入される。
次に,図3(b)に示すように,エンドプレート17の取り付けが行われる。エンドプレート17はリング状の厚板であり,その内周側が面取りされて楔状の被かしめ部が形成されている。この工程では,積層された電磁鋼板13aの上に薄鋼板18とエンドプレート17とを重ね,マンドレル20などによってコア受け11bの上端部が折り曲げられてかしめられる。これによって,接着剤15の注入されたスロット14が薄鋼板18,19によって気密に塞がれる。この状態では,接着剤15は,スロット14内の比較的下部に溜まっており,まだ硬化していない。ここまでで,ロータ1の組み立て工程は終了する。この組み立て工程は,従来の工程と同様である。
次に,倒立プリヒート工程を図4を参照して説明する。この工程は,接着剤15をスロット14内で,広範囲に広げるためのものである。そこでまず,図4(a)に示すように,組み立てられたロータ1の上下が逆転され,プリヒート温度に保持される。すなわち,先の組み立て工程時の状態とは上下逆転されたロータ1が定温囲い21の中に入れられ,その定温囲い21内がヒータ22によって加熱される。ここでは,定温囲い21内の加熱温度は,約40〜80℃に設定され,約30分ほどかけて加熱処理が行われる。
この工程において,エンドプレート17はアルミ製なので,ロータコア13に比較して大きく熱膨張する。ここでは,エンドプレート17はその外周側をロータコア13に密着させるように形成されている。そのため,図4(b)に示すように,この熱膨張によってロータ1の内周側がやや浮いた状態となる。この図4(b)は,永久磁石16に沿った方向に見た断面図であり,図中左側がロータ1の内周側である。一方で,エンドプレート17とロータコア13との間には薄鋼板18が,またマグネットエンド12とロータコア13との間には薄鋼板19がそれぞれ挿入され,これらはロータコア13とほぼ同等の熱膨張率であるので,スロット14の気密性は薄鋼板18,19によって保持される。従って,このように逆さにしても接着剤15がスロット15の外部に漏れることはない。
このプリヒート温度は,接着剤15の硬化が始まらない温度であるとともに,接着剤15の粘性が低下する温度である。そのため,接着剤15は図4(b)に示すように,スロット14内で重力によって下方(すなわち,正位置でのスロット14の上方)へ流れて移動する。そして,スロット14の内壁と永久磁石16との隙間に満遍なく広がる。このとき,接着剤15の内部で気泡ができる場合がある。特に,柱14aにおいて顕著に発生する。この気泡は,倒立プリヒート工程中に,図4(b)に示すように,接着剤15の内部を上昇し,薄鋼板19の近傍に到達する。
この倒立プリヒート工程が終了したら,次に,正立プリヒート工程を行う。すなわち,再びロータ1の上下を逆転して,図5(a)に示すように,プリヒート温度に保持する。プリヒートの温度条件は,図4の倒立プリヒート工程と同様である。従って,ここでは,倒立プリヒート工程の後,保持温度を変化させることなく保ったままで,ロータ1の上下を逆転させるのみでよい。これにより,図5(b)に示すように,接着剤15中の気泡は,再び上昇し,薄鋼板18の近傍に集まる。
次に,図6(a)に示すように,熱硬化工程が行われる。ここではロータ1の上下及び外周側に設置した3つのヒータ22が使用され,約200℃の温度で加熱が行われる。ロータ1は正位置のままである。ここでも,前工程の正立プリヒート工程から保持温度を一旦下げる必要はなく,そのままさらに加熱すればよい。スロット14内の接着剤15は,前の倒立プリヒート工程および正立プリヒート工程によって永久磁石16の全体に行き渡るように広がっており,この加熱によって速やかに流動性を失う。従って,広がった接着剤15が再び下に寄ってしまうことはない。
接着剤15の内部に発生した気泡は,前段の正立プリヒート工程によって,図5(b)に示すように,スロット14内の上部に溜まっている。ここでのさらなる加熱によってその一部分はスロット14から逃げる。またたとえ,図6(b)に示すように,スロット14内の上部に残ったままで熱膨張されたとしても,この位置であれば接着剤15をロータコア13から押し出すことはない。従って,接着剤15が外部に洩れることなく,永久磁石16の面全体に広がった状態で接着剤15が硬化するので,強固に接着できる。そして,接着剤15が硬化したところでロータ1が完成する。
次に,最終工程である熱硬化工程の所要時間について説明する。背景技術で述べたように,接着剤メーカからは硬化温度とその温度での保持時間という形式での標準硬化条件が提示される。本形態で使用したエポキシ系の接着剤15では,例えば,120℃60分または150℃30分という標準硬化条件が提示されている。これに対し,本形態の製造方法では,まず常温状態あるいはプリヒート温度から加熱し,接着剤15の硬化開始温度を超えて,ロータ1の加熱上限である約200℃まで昇温させる。その後,所定時間放置して自然冷却させる。さらにその後,強制冷却することにより常温まで降温させるという手順で工程を実施している。
ここで,本発明者は,保持温度と保持時間による接着剤の硬化条件をプロットすると,保持温度の2次関数で保持時間を近似的に表すことができることを見出した(図7参照)。このことから,次式の左辺P1で,接着剤の硬化の程度をかなりよく近似できることが分かったのである。
P1=∫(α×Ti2+β×Ti+γ)
ここで,Tiは接着剤の温度であり,α,β,γは実験的に求められる定数である。積分は,温度Tiが接着剤の硬化開始温度以上である期間にわたって行う。実際には,適当なサンプリング間隔で温度測定して次式で積算値P2を求めればよい。
P2=Σ(α×Ti2+β×Ti+γ)
今回使用した接着剤15では,硬化開始温度は120℃であった。また,サンプリング間隔を1分とした場合,αは0.00121,βは−0.29543,γは19.1であった。これに上記のメーカ標準硬化条件を当てはめると,P2=64.3(120℃60分),P2=60.3(150℃30分)となった。そこで,本形態の接着剤15では,判定しきい値を60とし,P2≧60を満たす温度パターンであれば,硬化が十分できていると判定することとした。この条件を満たすような温度パターンの例として,図8に示すような温度パターンS(P2=61.6)を見出し,この温度パターンSに基づいた硬化実験を行った。この結果,接着剤15の硬化状態を確認したところ,十分な硬化状態が得られていることが確認できた。
すなわち,本形態の接着剤15が硬化する条件としては,上記の積算値P2が,60以上となるように温度パターンを設定すればよいことが分かった。このように,温度パターンを用いて加熱硬化条件を決定できるので,熱硬化工程にかかる時間を短縮できる。さらに,多数のテストピースを使用した実験を行う必要がないので,硬化条件設定のためのコストや時間が短縮された。
なお,本形態では,図9に示すように,永久磁石16の上下に小さな突起16aを設けてもよい。このようにすれば,倒立プリヒート工程や正立プリヒート工程において,上下方向のみでなく,突起16aの周囲を通って左右方向へも接着剤15が流れることができる。従って,永久磁石16の全表面によりスムーズに接着剤15を広げることができる。特に,永久磁石16と薄鋼板18,19との間に十分な量の接着剤15を配置できるので,より確実な接着状態が得られる。
さらに,スロット14が比較的大きく,各スロット14に対して2個の永久磁石16を組み合わせて挿入する場合もある。この場合には,図10に示すように,永久磁石16の上下面で互いにずれた位置に小さな突起16aを形成するとよい。特に,図10(a)と図10(c)に示すように,永久磁石16の上下面内の対角線位置に配置することが好ましい。ここで,図10(a)は,図10(b)を上から見た図であり,図10(c)は,図10(b)を下から見た図である。
このようにすると,2個の永久磁石16を積み重ねたときに,図11に示すように,安定して配置できる。さらに,2個の永久磁石16の間に適切な隙間を設けることができるので,ここの隙間にも接着剤15を配置させることができ,2個の永久磁石16を互いに確実に接着することができる。なお,これらの突起16aの形状は,図に示した半球状のものに限らず,角柱や角錐,円柱,円錐等何でもよい。
以上詳細に説明したように,本形態のロータ1の製造方法によれば,ロータ1の組み立て工程の後,倒立プリヒート工程と正立プリヒート工程とを行うので,永久磁石16の表面に広い範囲にわたって接着剤15を付着させることができる。さらに,接着剤15中に発生した気泡は,正立プリヒート工程中にロータ1の上面近くへと集められる。上面近くに集められた気泡が次の熱硬化工程中に膨張しても,接着剤15を外部に押し出すおそれはない。
さらに,接着剤15の熱硬化に必要な温度と時間との関係を2次式で近似したので,温度パターンの積算値P2を算出することにより判定しきい値以上であるかどうかを容易に予測できる。硬化開始温度は接着剤の種類ごとに既知であるので,接着剤の種類に応じて,各係数α,β,γを求めさえすれば,各温度パターンの積算値P2を算出することは容易である。さらに,標準硬化条件から判定のしきい値を設定することも容易である。従って,多数のテストピースによる実験が不要であり,硬化条件の設定が低コストかつ短時間で可能となった。またこれにより,熱硬化工程にかかる時間を短縮する温度パターンを容易に見つけられ,ロータ1の製造工程全体の所要時間も短縮できる。これらのことから,ロータ1に形成されたスロット14に永久磁石16を接着固定するに際し,接着剤15が外部に洩れず強固に接着できるとともに,硬化条件の設定やロータ1の製造時間を短縮できる製造方法となっている。
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,本形態では薄鋼板18をエンドプレート17とロータコア13との間に挟んでいるが,エンドプレート17が電磁鋼板13aとほぼ同じ熱膨張率である場合は,薄鋼板18は不要である。また,本形態では薄鋼板19をマグネットエンド12とロータコア13との間に挟んでいるが,マグネットエンド12が電磁鋼板13aとほぼ同じ熱膨張率である場合は,薄鋼板19は不要である。
また例えば,熱硬化工程における温度パターンは,上記の積算値P2がそのしきい値以上となるものであればよく,図8に例示した温度パターンSに限るものではない。
本形態に係るロータを示す平面図である。 本形態に係るロータを示す断面図である。 ロータの製造方法のうち組み立て工程を示す説明図である。 ロータの製造方法のうち倒立プリヒート工程を示す説明図である。 ロータの製造方法のうち正立プリヒート工程を示す説明図である。 ロータの製造方法のうち熱硬化工程を示す説明図である。 接着剤の硬化条件を示すグラフ図である。 接着剤の硬化条件を示すグラフ図である。 永久磁石の形状の例を示す説明図である。 永久磁石の形状の例を示す説明図である。 永久磁石の形状の例を示す説明図である。
符号の説明
1 ロータ
13 ロータコア
14 スロット
15 接着剤
16 永久磁石
17 エンドプレート

Claims (3)

  1. ロータコアに形成されたスロット内に接着剤を注入する接着剤注入工程と,そのスロット内に永久磁石を挿入する磁石挿入工程と,ロータコアにエンドプレートを重ねて固定しスロットを塞さぐ取付工程と,ロータを加熱することによってスロット内の接着剤を熱硬化させる熱硬化工程とを有する永久磁石モータのロータ製造方法において,
    前記取付工程と前記熱硬化工程との間に,
    前記接着剤注入工程のときとはロータの上下を逆転させた状態で,ロータを,常温より高く接着剤の硬化開始温度より低いプリヒート温度に保持する倒立プリヒート工程と,
    ロータの上下を前記接着剤注入工程のときと同じ状態に戻して,ロータをプリヒート温度に保持する正立プリヒート工程とを有し,
    前記熱硬化工程を,
    ロータの温度が接着剤の硬化開始温度以上である期間にわたる,
    温度値の二乗×第1の係数+温度値×第2の係数+第3の係数
    の積算値が判定しきい値以上となる温度パターンで行うことを特徴とする永久磁石モータのロータ製造方法。
  2. ロータコアに形成されたスロット内に接着剤を注入する接着剤注入工程と,そのスロット内に永久磁石を挿入する磁石挿入工程と,ロータコアにエンドプレートを重ねて固定しスロットを塞さぐ取付工程と,ロータを加熱することによってスロット内の接着剤を熱硬化させる熱硬化工程とを有する永久磁石モータのロータ製造方法において,
    前記取付工程と前記熱硬化工程との間に,ロータを常温より高く接着剤の硬化開始温度より低いプリヒート温度に保持するプリヒート工程を有し,
    前記プリヒート工程の前期を,前記接着剤注入工程のときとはロータの上下を逆転させた状態で行い,
    前記プリヒート工程の後期を,ロータの上下を前記接着剤注入工程のときと同じ状態に戻して行い,
    前記熱硬化工程を,
    ロータの温度が接着剤の硬化開始温度以上である期間にわたる,
    温度値の二乗×第1の係数+温度値×第2の係数+第3の係数
    の積算値が判定しきい値以上となる温度パターンで行うことを特徴とする永久磁石モータのロータ製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の永久磁石モータのロータ製造方法において,
    前記熱硬化工程を,接着剤の硬化開始温度より高い温度で,ロータの上下を前記接着剤注入工程のときと同じ状態にして行うことを特徴とする永久磁石モータのロータ製造方法。
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