JP4581691B2 - 多層押出成形装置、多層フィルムの製造方法及び多層延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

多層押出成形装置、多層フィルムの製造方法及び多層延伸フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フラットパネルディスプレイなどの光学装置に用いられる多層フィルムを製造するのに適した多層押出成形装置と、該装置を用いた多層フィルムの製造方法と、該方法により製造された多層フィルムを用いた多層延伸フィルムの製造方法とに関する。
フラットパネルディスプレイの一例としての液晶ディスプレイには、各種光学フィルムが用いられている。その光学フィルムの一例として、位相差フィルムが挙げられる。このような位相差フィルムとして、固有複屈折値が負の樹脂(例えばビニル芳香族系重合体など)からなる一軸または二軸延伸フィルムが有用であることは知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、固有複屈折値が負の樹脂からなる未延伸フィルムは、それ自体の強度が不足しているために、単独で延伸すると破断しやすい欠点がある。
そこで、本出願人は、固有複屈折値が負の樹脂からなる未延伸フィルムの両面に、別の樹脂層(最外層)を積層して未延伸積層体(多層フィルム)を形成し、これを延伸する旨を記載した技術を先に提案した(特願2004−84969号)。一対の最外層の間に固有複屈折値が負の樹脂からなる未延伸フィルムを含む未延伸積層体を作製し、これを延伸することで、内層部分(固有複屈折値が負の樹脂からなる未延伸フィルム)を破断させずに延伸することはできるが、延伸後のフィルムに厚みムラを生じることがあった。このように少なくとも3層の多層フィルムの内層部分の厚みムラを抑える技術については、上述した位相差フィルムなどの光学用途に限らず、包装用フィルム、保護用フィルムなどの分野でも望まれている。
ところで、特許文献2では、多層押出成形装置が開示されている。この装置には、複数の押出機から押し出されてきた性質の異なる複数の溶融樹脂が供給される最外層用マニホールド、内層用マニホールド及び最外層用マニホールドがこの順で形成されている。各マニホールドの下流側には、各マニホールドから流れ出た複数の溶融樹脂を複層状に重ね合わせる合流部と、各マニホールド及び合流部をそれぞれ繋ぐ複数の流路が形成されている。合流部の下流側には、合流部で重ね合わされた多層フィルムを外部へ排出するリップ部が形成されている。2つの最外層用流路には、それぞれ流路間隙を調整するチョークバーと、このチョークバーを流路反対側から押し引き可能な複数のチョークバー調整ボルトが配置されている。そして、内層用流路にも、その流路間隙を調整するチョークバーと、このチョークバーを流路反対側から押し引き可能な複数のチョークバー調整ボルトが、内層用流路を挟むように両サイドに配置されている。
特許文献2の装置では、内層用流路に対して、その流路間隙を調整するチョークバー及びチョークバー調整ボルトが設けられているため、内層用流路内を流れる溶融樹脂の厚みを個別に調整することは可能であるが、装置が大型化し過ぎるとの欠点があった。
なお、特許文献3では、単層押出成形装置が開示されている。この装置には、単一の押出機から押し出されてきた溶融樹脂が供給されるマニホールドが形成されている。マニホールドの下流側には流路が接続され、この流路の下流側には溶融樹脂の厚み調整しながら外部へ排出するリップ部が形成されている。前記流路の両サイドには、一対のヒーターが、流路を挟んで所定間隔で配置され、かつ流路の幅方向に沿って所定間隔で複数、断続的に配置される。
特許文献3の装置では、流路を挟んで配置された一対のヒーターを適切に作動させることにより、流路内を流れる溶融樹脂が加熱され、温度調整されるので、リップ部から排出される樹脂フィルムの厚みムラを減少させることは可能である。
特開平2−256023号公報 特開平10−217310号公報 特開平5−138718号公報
本発明の目的は、装置を大型化することなく、少なくとも3層の多層フィルムの内層部分の厚みムラを抑えることができる多層フィルムの多層押出成形装置と、該装置を用いた多層フィルムの製造方法と、該方法により製造された多層フィルムを用いた多層延伸フィルムの製造方法とを、提供することである。
特許文献3の技術をそのままの形で多層押出成形に適用すると、一対の流路の間に形成した一つの電気ヒーターが、目的とする一のマニホールド内の溶融樹脂温度を調整するだけでなく、他のマニホールド内の溶融樹脂温度を変化させてしまうことがあり、結果的に内層部分の厚みムラを抑えることができず、歩留まりよく多層フィルムを得ることができないことに本発明者は想到した。
そこで本発明者らは、
2つの最外層の間に1つ以上の内層を持つ3層以上の多層フィルムを形成するために用いる、(1)ダイスと、(2)厚み検出手段と、(3)制御手段とを有する多層押出成形装置において、
(1)ダイスは、溶融樹脂が供給される、2つの最外層用マニホールド及び前記2つの最外層用マニホールドの間に所定間隔で設けられた1つ以上の内層用マニホールドと、
前記マニホールドから下流側へ延び、やがては1つに合流する2つの最外層用流路及び1つ以上の内層用流路と、
前記各最外層用マニホールドのうち少なくとも一方の最外層用マニホールドから下流側へ延びる最外層用流路と前記内層用流路の間に設けられており、前記内層用マニホールド内の溶融樹脂の温度を調整する内層用樹脂温度調整手段と、
前記内層用樹脂温度調整手段と該内層用樹脂温度調整手段に隣接する最外層用流路との間に設けられ、該最外層用マニホールド内の溶融樹脂の温度への影響を抑制する断熱材と、
前記最外層用流路及び前記内層用流路の合流部の下流側に配置されたリップ部とを有し、
前記各マニホールドから前記各流路を通じて流れ出る前記各溶融樹脂を前記合流部で合流させて多層化し、前記リップ部から多層フィルムとして連続的に押し出すことができ、
(2)厚み検出手段は、前記ダイスから押し出された多層フィルムの厚みを検出することができ、そして、
(3)制御手段は、前記検出された多層フィルムの厚みに応じて、前記内層用マニホールド内の樹脂温度を変化させるよう前記内層用樹脂温度調整手段を制御することができる多層押出成形装置を想到したのである。
本発明の多層押出成形装置は、装置を大型化することなく、少なくとも3層の多層フィルムの内層部分の厚みムラを抑えることができる。該装置を用いて多層フィルムを製造すると、内層部分の厚みムラが小さくなり、得られたフィルムを延伸しても厚みムラが小さいままであり、レターデーションムラが出ない。
本発明の多層押出成形装置を用いて製造される多層フィルムは、例えば位相差フィルム、偏光板保護フィルム、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、プラスチックセルなどの各種光学フィルムの原料フィルムとして有用である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の装置又は方法によって形成できる多層フィルムの一例を示す断面図、図2は図1の多層フィルムを製造するのに適した本発明の多層押出成形装置の一例を示す側面断面図、
図3は図2の正面図(但し、図2よりも縮小してある)、図4(A)及び図4(B)は図2のIV−IV線に沿った断面図(但し、図2よりも縮小してある)である。
本実施形態では、まず、図1に示す多層フィルム2を例示し、次に、この多層フィルム2を製造する装置20及び方法を説明する。
多層フィルム
図1に示すように、本実施形態に係る多層フィルム2は、後述する装置を用いた方法により製造されるものであり、内層3が一対の最外層4,5の間に形成された未延伸積層体である。
内層3及び最外層4,5は、固有複屈折値が正の材料または固有複屈折値が負の材料で構成することができる。
固有複屈折値が正の材料(以下、単に「正の材料」という場合がある)とは、分子が一軸性の秩序をもって配向したときに、光学的に正の一軸性を示す特性を有する材料、具体的には、分子が一軸性の配向をとって形成された層に光が入射したとき、前記配向方向の光の屈折率が前記配向方向に直交する方向の光の屈折率より大きくなる材料をいう。前記正の材料としては、樹脂、棒状液晶、棒状液晶ポリマーなど種々のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの中でも樹脂が好ましい。
正の材料としての樹脂には、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ノルボルネン、シクロオレフィンなど)、エステル(例えば、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートなど)、アリーレンサルファイド(例えば、フェニレンサルファイドなど)、ビニルアルコール、カーボネート、アリレート、セルロースエステル(固有複屈折値が負であるものもある)、エーテルスルホン、スルホン、アリルサルホン、塩化ビニルなどの単量体の1種単独の重合体、あるいは前記単量体の多元(二元、三元等)共重合体などが挙げられる。本発明においては、これらの中でも、オレフィン単量体の重合体が好ましく、オレフィン単量体の重合体の中でも、光透過率特性、耐熱性、寸度安定性、光弾性特性等の観点から、ノルボルネン単量体の重合体が特に好ましい。
ノルボルネン単量体の重合体は、ノルボルネン骨格に由来する繰り返し単位を有してなり、その具体例としては、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報、特開平2−133413号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開平1−240517号公報、特公昭57−8815号公報、特開平5−39403号公報、特開平5−43663号公報、特開平5−43834号公報、特開平5−70655号公報、特開平5−279554号公報、特開平6−206985号公報、特開平7−62028号公報、特開平8−176411号公報、特開平9−241484号公報等に記載されたものが好適に利用できるが、これらに限定されるものではない。また、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
固有複屈折値が負の材料(以下、単に「負の材料」という場合がある)」とは、分子が一軸性の秩序をもって配向したときに、光学的に負の一軸性を示す特性を有する材料、具体的には、分子が一軸性の配向をとって形成された層に光が入射したとき、前記配向方向の光の屈折率が前記配向方向に直交する方向の光の屈折率より小さくなる材料をいう。前記負の材料としては、樹脂、ディスコティック液晶、ディスコティック液晶ポリマー等種々のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの中でも樹脂が好ましい。
負の材料としての樹脂には、スチレン、スチレン誘導体、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、無水マレイン酸、ブタジエン、セルロースエステル(固有複屈折値が正であるものもある)などの単量体の1種単独の重合体、あるいは前記単量体の多元(二元、三元等)共重合体などが挙げられる。本発明においては、これらの中でも、複屈折発現性が高いという観点から、スチレン単量体の重合体; スチレン及び/又はスチレン誘導体と、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレートおよびブタジエンから選ばれる少なくとも1種との多元(二元、三元等)共重合体がより好ましく、耐熱性が高い点で、スチレン及び/又はスチレン誘導体と、無水マレイン酸との多元(二元、三元等)共重合体が特に好ましい。
内層3及び最外層4,5は、互いに異なる3種の材料で構成してもよいし、最外層4,5を同種の材料にして、内層3だけを異種の材料にしてもよい。本実施形態では、固有複屈折値が正の材料で内層3を構成する場合には、最外層4,5を固有複屈折値が負の材料で構成することが好ましい。これに対し、固有複屈折値が負の材料で内層3を構成する場合には、最外層4,5を固有複屈折値が正の材料で構成することが好ましい。
内層3及び最外層4,5は、実質的に無配向なものであってもよいし、配向したものであってもよい。なお、「実質的に無配向」とは、最外層4,5内において直交するx方向とy方向の屈折率nBxとnByの差が小さく、内層3内において直交するx方向とy方向の屈折率をそれぞれnAx、nAy、内層3の厚さをdA、最外層4,5の厚さをdBとしたとき、|(nAx−nAy)dA|+|(nBx−nBy)dB|の値が、|(nAx−nAy)dA|の値の1.1倍以下であることを言う。
内層3及び最外層4,5には、必要に応じて、各種添加剤(例えば酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)が添加されていてもよい。
内層3の平均厚さは、10〜200μm程度である。内層3全体の厚さムラは、上記平均厚さに対して、好ましくは±3%以内、より好ましくは±1%以内に制御されている。「厚さムラ」は、内層3の厚さの最大値と最小値の差を、上記平均厚さで除した値である。
最外層4,5の厚さは、10〜200μm程度である。
内層3と最外層4,5との間に接着剤層が形成されていてもよい。つまり、多層フィルム2は、最外層4−接着剤層−内層3−接着剤層−最外層5の3種5層構造であってもよい。
接着剤層としては、内層3及び最外層4,5の双方に対して親和性があるもので構成される。例えば、内層3及び最外層4,5の何れか一方を構成する固有複屈折値が正の樹脂としてノルボルネン単量体の重合体を使用し、内層3及び最外層4,5の何れか他方を構成する固有複屈折値が負の樹脂としてスチレン単量体の重合体(または、スチレン及び/又はスチレン誘導体と、無水マレイン酸との多元(二元、三元等)共重合体)を使用した場合、前記接着層には、オレフィン単量体の重合体及びスチレン単量体の重合体(または、スチレン及び/又はスチレン誘導体と、無水マレイン酸との多元(二元、三元等)共重合体)のいずれかの成分を含有するものを用いる。このようなものとしては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン系共重合体などが挙げられる。
接着剤層の厚さは、1〜50μm程度である。
以上の構成の本実施形態の多層フィルム2は、未延伸の積層体であるので、後述するように、これを延伸することで、位相差フィルムなどに適した延伸多層フィルムとすることが可能である。
多層フィルム2は、後に延伸加工されて、位相差フィルムなどの光学フィルム(延伸多層フィルム)とされる。ここで、内層3の樹脂(A)及び最外層4,5の樹脂(B)のガラス転移温度を、それぞれTg(A)℃、Tg(B)℃とすると、多層フィルム2を共延伸するとき、温度がTg(A)℃付近で延伸すると、内層3の複屈折特性を十分かつ均一に発現させることができる。
Tg(A)℃付近で多層フィルム2を共延伸する場合、Tg(A)>Tg(B)+20℃の関係を満足するように各樹脂を選択すると、最外層4,5はほとんど配向せず、実質的に無配向の状態となり、且つ、内層3の破断を防止しつつ、安定して延伸することが可能となる。
また、Tg(A)℃付近で多層フィルム2を共延伸する場合、Tg(A)とTg(B)の差が±20℃以内である関係を満足するように各樹脂を選択すると、最外層4,5も配向した状態となり、且つ、内層3の破断を防止しつつ、安定して延伸することが可能となる。
多層押出成形装置
本発明の多層押出成形装置の一例を図2及び図3に示す。図2及び図3に示すように、本実施形態の多層押出成形装置20は、図1に示す多層フィルム2を連続的に押し出す方式の成形用ダイス22と、厚み検出装置70と、制御装置80とを有する。
成形用ダイス22は、ダイス本体24を有する。ダイス本体24の構成材料は、本発明では特に限定されないが、一般的に用いられるダイス鋼やステンレス鋼(SUS)などで構成することができる。ダイス鋼としては、SKD系熱間ダイス鋼(熱伝導率:約30W/m℃)等が使用できる。ステンレス鋼としては、SUS420J2(熱伝導率:約25W/m℃)等が使用できる。ダイス本体24の内部には、複数の押出機(図示省略)から押し出されてきた粘度等の性質の異なる複数の溶融樹脂A,B,Cが供給されるマニホールド26,28,30が形成されている。本実施形態では、マニホールド26,30が最外層用マニホールドに相当し、マニホールド28が内層用マニホールドに相当する。
本実施形態では、溶融樹脂A,Cは、図1に示す多層フィルム2の最外層4,5を構成しうる固有複屈折値が正の樹脂が相当し、溶融樹脂Bは、図1に示す多層フィルム2の内層3を構成しうる固有複屈折値が負の樹脂が相当する場合を例示する。
マニホールド26,28,30の下流側には、各マニホールド26,28,30から流れ出た複数の溶融樹脂を複層状に重ね合わせる合流部32と、各マニホールド26,28,30及び合流部32を繋ぐ複数の流路34,36,38が形成されている。本実施形態では、流路34,38が最外層用流路に相当し、流路36が内層用流路に相当する。
合流部32の下流側には、合流部32で重ね合わされた積層体(後に多層フィルム2となる)を外部へ排出するリップ部40と、合流部32及びリップ部40を繋ぐ合流路41が形成されている。
本実施形態では、リップ部40をセラミックコートしてある。セラミックコートすることで、樹脂の付着等を減少させることができ、ダイラインの低減、厚みムラの低減が期待できる。また、本実施形態では、流路34,36,38及び合流路41の内面をH−Crメッキしてある。H−Crメッキすることで、ダイライン防止のためにリップ部40を研磨する場合、精度良くRを出す(リップ部40を滑らかにする)ことができるとともに、樹脂の付着等を減少させることができ、ひいてはダイラインの低減、厚みムラの低減が期待できる。
流路36を除く流路34,38には、流路間隙を調整する縦断面が略台形状のチョークバー44,46が配置されている。チョークバー44,46は、流路34,38の幅方向(図2の紙面方向)の一方端(一方のダイ幅端部)から他方端(他方のダイ幅端部)に渡って連続して延びている。チョークバー44,46の流路反対側には、チョークバー44,46の長手方向(図2の紙面方向)に沿って所定間隔で複数のチョークバー調整ボルト48,50が連列されている。各ボルト48,50の先端部は、チョークバー44,46に対して進退自在に支持される。そして、各ボルト48,50を軸方向に進退(押し引き)させることでチョークバー44,46が移動し、流路34,38の間隙が調整され、該流路34,38を流れる溶融樹脂の幅方向(図2の紙面方向)の厚み分布の調整がされる。各流路34,38を流れる溶融樹脂の幅方向の厚みを部分的に薄くしたい場合には、その部分に対応するボルト48,50を押すように調整してチョークバー44,46を押し、その部分の間隙量を小さくすればよい。これに対し、部分的に厚くしたい場合には、その部分に対応するボルト48,50を引くように調整してチョークバー44,46を引き、その部分の間隙量を大きくすればよい。この操作を各ボルト48,50ごとに行うことにより、合流部32の直前における流路34,38の間隙量に分布をつけることができ、ひいては各層の厚みを流路の幅方向、即ち多層フィルム2の幅方向に渡って均一にすることができる。
リップ部40の近傍には、リップ部40の間隙を調整する複数のリップ調整ボルト42が、リップ部40の幅方向(図2の紙面方向)に沿って所定間隔で設けられている。
リップ調整ボルト42を軸方向に進退させてリップ部40の間隙を調整することで、合流部32で重ね合わされた積層体の流動抵抗が部分的に変化し、その結果、積層体の流量が部分的に変化して、リップ部40から排出される多層フィルム2全体の厚み調整が行われる。この操作を各ボルト42ごとに行うことにより、リップ部40の直前の間隙量に分布がつけられる。なお、リップ調整ボルト42には電気ヒーターが取り付けてあり、その電気ヒーターを通電或いは遮電することで、リップ調整ボルト42を膨脹及び収縮させ、その結果、リップ部40の間隙を変化させるような構成としてもよい。
ダイス本体24の内部には、樹脂温度調整手段としての電気ヒーター52,54,56,58が、マニホールド28(内層用マニホールド)及び流路36に沿って延びるように配置されており、それぞれ、各マニホールド26,28,30内の溶融樹脂の温度(ひいては樹脂粘度)を制御することができるようになっている。中でも、電気ヒーター54,56(いずれも内層用樹脂温度調整手段の一例)は、マニホールド28を挟み込むようにして、該マニホールド28の両サイドに近接させて設けられている。
本実施形態では、電気ヒーター54,56は、制御装置80から送出される信号に基づき、マニホールド28内の溶融樹脂の温度を変化させることが可能になっている。マニホールド28内の溶融樹脂の温度が変化すると樹脂粘度が変化し、流路36を流れる溶融樹脂の流速が変化する。その結果、厚みのコントロールができる。だから、従来のような内層用チョークバーを多数付ける必要がなく、装置を小型化できる。
なお、本実施形態では図示省略してあるが、電気ヒーター52,54,56,58以外に、ダイス本体24の全体を加熱するためのダイス本体保温用の電気ヒーターを、例えば電気ヒーター52,58の外側に設けてもよい。
本実施形態では、電気ヒーター54とマニホールド28との最短距離をD1とし、電気ヒーター54とマニホールド26との最短距離をD2としたときに、D1<D2(好ましくはD2−D1≧0.2cm)の関係を満足するように、電気ヒーター54を配置してある。つまり、電気ヒーター54は、マニホールド28側へより近づけて配置してある。こうすることで、電気ヒーター54を作動させたときに、マニホールド26内の溶融樹脂に与える熱量を少なくすることができる。
また、電気ヒーター56とマニホールド28との最短距離をD3とし、電気ヒーター56とマニホールド30との最短距離をD4としたときに、D3<D4(好ましくはD4−D3≧0.2cm)の関係を満足するように、電気ヒーター56を配置してある。つまり、電気ヒーター56は、マニホールド28側へより近づけて配置してある。こうすることで、電気ヒーター56を作動させたときに、マニホールド30内の溶融樹脂に対して与える熱量を少なくできる。
なお、電気ヒーター52,58についても、加熱対象のマニホールド26,30の外側から配置することが好ましい。
各電気ヒーター52,54,56,58は幅方向(図2の紙面方向)に分割して設けることが好ましい。配列数は、5系列以上が好ましく、例えば65〜75mm程度(好ましくは70mm程度)の間隔を空けて設置することが好ましい。設置間隔が広すぎると幅方向の厚さ制御ができず、狭すぎると電気ヒーターの干渉により厚さ制御ができなくなる。図4(A)及び図4(B)を参照して、電気ヒーター52,54,56,58の配列例を説明する。本実施形態では、各電気ヒーターを、図4(A)に示すように千鳥状に配列してもよいし、図4(B)に示すように並行に配列してもよいが、千鳥状が好ましい。千鳥配置にすると、各電気ヒーターの数量を増やさずに幅方向の温度調整区分を小さくできるメリットがある。
各電気ヒーター52,54,56,58の形状に特に限定はなく、例えば、板状・円柱状等が挙げられる。
円柱状の電気ヒーターを用いる場合、ヒーターの直径を小さくすると、設置間隔を狭くでき、その分設置数を多くできるが、設置数が多すぎると電気ヒーターの出力が不足する傾向にある。一方、ヒーターの直径を大きくすると、干渉しやすくなる。これらの点で、円柱状の電気ヒーターを用いる場合の該ヒーターの直径は、通常、15〜25mm程度(好ましくは20mm程度)とされる。板状の電気ヒーターを用いる場合、該ヒーターの厚さは、通常、15〜25mm程度とされる。
本実施形態では、電気ヒーター54,56には、加熱対象のマニホールド28の反対側(マニホールド26,30側)に接触させて、それぞれ、断熱材60,62が設置されている。これにより、目的とするマニホールド内の溶融樹脂の温度のみを制御することができ、加熱を望まない溶融樹脂に対して余計な加熱をすることがない。なお、断熱材60,62は、電気ヒーター54,56に接触させて設置することに限定されるものではなく、電気ヒーター54とマニホールド26及び流路34との間に、電気ヒーター54に接触させずに設置してもよい。電気ヒーター56についても同様である。なお、断熱材は、上述したダイス本体24の構成材料よりも熱伝導率の低い材料で構成されていればよく、その構成材質は特に限定されない。
本実施形態では、マニホールド28,30,32内の溶融樹脂の温度を測定可能な温度センサー64,66,68が配置してある。温度センサー64,66,68としては、例えば熱電対、白金抵抗センサーなどが使用できる。
本実施形態では、温度センサー66の測温部(先端部)とマニホールド28との最短距離をD5としたとき、マニホールド28と電気ヒーター54の最短距離D1に対して、D5≦(D1)/2となるような位置に、温度センサー66が配置されていることが好ましい。
本実施形態では、温度センサー66で測定されたマニホールド30内の溶融樹脂の温度データは、所定の指令信号として制御装置80に送出されるようになっている。なお、他の温度センサー64,68で測定されたマニホールド28,32内の溶融樹脂の温度データについても、同様に、所定の指令信号として制御装置80に送出されるようにしてもよいが、本発明では必ずしも必要ない。
ダイス本体24のリップ部40の外部には、押し出された多層フィルム2のうち少なくとも内層3の厚みを検出することができる厚み検出装置70が設けてある。厚み検出装置70の構成は特に限定されず、例えば、赤外線厚さ計、X線厚さ計などの多層用市販の厚さ計装置が使用可能である。
厚み検出装置70で検出された多層フィルム2の内層3の厚みデータは、所定の指令信号として制御装置80に送出されるようになっている。
制御装置80では、受信した内層3の厚みデータを保持する手段と、内層厚みの所望値と測定値とを比較して差を求める手段と、求められた差に比例させて、差の積分値に比例させて、あるいは、差の時間的変化に比例させて、電気ヒーターの電力をコントロールする。そして、制御装置80に温度センサー54,56からの温度データ及び厚み検出装置70からの内層3の厚みデータが入力されると、それらのデータを、データα及びデータβと比較し、多層フィルム2の内層3の厚みを所望の値に近づけるために、マニホールド28内の溶融樹脂の温度を例えば0.1℃レベルで制御するような電圧調整信号を、電気ヒーター54,56に対して送出するようになっている。
電気ヒーターにかかる電圧を高くすると、電気ヒーター温度が上がり、その結果、マニホールド28内の溶融樹脂の温度も上昇する。マニホールド28内の溶融樹脂の温度が高くなると、樹脂粘度が低くなって樹脂が流れ易くなり、その結果、樹脂厚が厚くなる。逆に、電気ヒーターにかかる電圧を低くすると、電気ヒーター温度は下がり、その結果、マニホールド28内の溶融樹脂の温度も下降する。マニホールド28内の溶融樹脂の温度が低くなると、樹脂粘度が高くなって樹脂が流れ難くなり、その結果、樹脂厚が薄くなる。
多層フィルムの製造方法
以上の構成の多層押出成形装置20を用いて、図1に示す多層フィルム2を以下のようにして製造する。
まず、3台の溶融押出機(図示省略)からそれぞれ押し出された溶融樹脂を、それぞれのマニホールド26,28,30に供給する。
次に、マニホールド26,28,30に供給された溶融樹脂を、それぞれの流路34,36,38を介して合流部32で合流させ、該合流部32で各溶融樹脂を複層状に重ね合わせ、合流路41を介してリップ部40から外部へと押し出す。この成形においてマニホールド26,28,30で前記流路34,36,38の幅方向(図2の紙面方向)に拡流してシート状の流れを形成する。
このとき、マニホールド28内の溶融樹脂の温度は、温度センサー66により測定され、ここで測定された温度データは、所定の指令信号として制御装置80に送出される。
リップ部40から押し出された多層フィルム2は、例えば回転する冷却ドラム90上で冷却され、その後、図示省略してある巻取り機に巻き取られる。本実施形態では、図2に示すように、冷却ドラム90以降(巻取り機まで)の位置には厚み検出装置70が配置してある。このため、リップ部40から押し出された多層フィルム2は、厚み検出装置70を通過し、多層フィルム2の内層3の厚みが検出され、ここで検出された厚みデータは、所定の指令信号として制御装置80に送出される。
制御装置80には、マニホールド28内の溶融樹脂温度−電気ヒーター54,56にかかる電圧の関係データαと、押し出された多層フィルム2の内層3の厚み−電気ヒーター54,56にかかる電圧の関係データβとが、予め入力されているので、温度センサー54,56から送出された温度データ及び厚み検出装置70から送出された厚みデータを、データα及びデータβと比較し、多層フィルム2の内層3の厚みを所望の値に近づけるように、マニホールド28内の溶融樹脂の温度を例えば0.1℃レベルで制御するような電圧調整信号を、電気ヒーター54,56に対して送出する。
具体的には、送出された温度データ及び厚みデータが、多層フィルム2の所望厚みより高いと判断される場合には、制御装置80は、電気ヒーター54,56に対してかかる電圧量を減少させるような指令信号を送出する。電気ヒーター54,56にかかる電圧が減少すると、マニホールド28内の樹脂温度が低くなり、樹脂粘度が高くなって樹脂が流れ難くなり、その結果、樹脂厚が薄くなる傾向にある。
逆に、送出された温度データ及び厚みデータが、多層フィルム2の所望厚みより低いと判断される場合には、制御装置80は、電気ヒーター54,56に対してかかる電圧量を増加させるような指令信号を送出する。電気ヒーター54,56にかかる電圧が増加すると、マニホールド28内の樹脂温度が高くなり、樹脂粘度が低くなって樹脂が流れ易くなり、その結果、樹脂厚が厚くなる傾向にある。
本実施形態では、以上のようにして、厚み検出装置70を通過する多層フィルム2の内層3の厚みを所望の値におさめるようにフィードバック制御している。
本実施形態では、多層フィルム2の内層3を形成しうるマニホールド28内の溶融樹脂の温度調整をする電気ヒーター54,56を、マニホールド28側へより近づけて配置してあるので、多層フィルム2の最外層4,5を形成しうるマニホールド26,30内の溶融樹脂に与える熱量を少なくでき、電気ヒーター間の干渉を減らし、独立制御可能にしている。
また、電気ヒーター54,56には、加熱目的のマニホールド28側とは反対側(マニホールド26,30側)には、断熱材60,62が巻き付けてあるので、多層フィルム2の最外層4,5を形成しうるマニホールド26,30内の溶融樹脂に対して与える悪影響を少なくしながら、多層フィルム2の内層3を形成しうるマニホールド28内の溶融樹脂の温度調整を適切に行うことができる。
また、制御装置80では、厚み検出装置70から送出される厚みデータに基づいて、電気ヒーター54,56の電圧量を適切に制御し、マニホールド28内の溶融樹脂の温度を0.1℃レベルで制御するような電圧調整信号を、電気ヒーター54,56に対して送出するので、多層フィルム2の内層3の厚みムラを効率よく抑えることが可能となる。
さらに、多層フィルム2の内層3の厚みを、チョークバー機構により流路36の間隙量を変化させることによって調整するのではなく、マニホールド28内の溶融樹脂の温度を変化させ、その結果、流路36を流れる溶融樹脂の流速を変化させることによって調整する機構を採用しているので、装置を大型化することなく、多層フィルム2の内層3の厚みムラを効率よく抑えることが可能となる。
光学フィルム
得られた多層フィルム(未延伸積層体)2を延伸することにより、光学フィルム(多層延伸フィルム)を得ることができる。この光学フィルムは位相差フィルムとして有用である。
位相差フィルムは、フィルム全面に亘って所望の値で均一なレターデーションを有するフィルムである。位相差フィルムには、使用しようとする光の波長λのλ/2、λ/4などの位相差フィルムがある。
延伸方法に特に限定はなく、従来公知の方法を適用しうる。具体的には、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンターを用いて横方向に一軸延伸する方法などの一軸延伸法;同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;特定のテンター延伸機を用いた斜めに延伸する方法;などが挙げられる。延伸温度は、内層3を構成する樹脂のガラス転移温度をTg(A)℃としたときに、Tg(A)−10〜Tg(A)+20℃が好ましい。延伸倍率は、長さ方向に通常1.05〜10倍、好ましくは1.1〜5倍であり、幅方向に通常1.01〜5倍程度である。
なお、位相差フィルム以外の光学フィルムとしては、偏光板保護フィルム、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、プラスチックセルなどが挙げられる。
その他の実施形態
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、上述した実施形態では、樹脂温度調整手段として電気ヒーター52,54,56,58を例示しているが、本発明ではこれに限定されるものではなく、制御装置80から送出される信号に基づき、マニホールド28内の溶融樹脂の温度を変化させることが可能な手段であればよい。樹脂温度調整手段として、例えば、オイル循環による伝(放)熱装置を適用してもよい。
また、上述した実施形態では、厚み検出装置70の検出結果のみにより、電気ヒーター54,56にかかる電力をコントロールし、その結果、マニホールド28内の溶融樹脂の温度を調整しても良いが、温度センサー64,66,68を設けた上で、溶融樹脂の温度も考慮して電気ヒーターの電力をコントロールし、マニホールド内の溶融樹脂の温度を調整しても良い。
また、上述した実施形態では、最外層4−内層3−最外層5の2種3層の多層フィルム2を製造する方法を例示したが、最外層4−接着剤層−内層3−接着剤層−最外層5の3種5層、あるいはそれ以上の多層フィルムを製造する場合に適用してもよい。例えば3種5層の多層フィルムを製造するケースでは、まず、内層3の両側に接着剤層を合流させて接着剤層−内層3−接着剤層の積層体とし、その後に、それぞれの接着剤層の表面に最外層4を合流させ、最外層4−接着剤層−内層3−接着剤層−最外層5の積層構造とすればよい。
あるいは、まず、最外層4と接着剤層を合流させて、最外層4−接着剤層の積層体と、接着剤層−最外層4の積層体とし、その後に、内層3の両側に、各積層体の接着剤層を対向させて合流させ、最外層4−接着剤層−内層3−接着剤層−最外層5の積層構造としてもよい。
図1は本発明の装置又は方法によって形成できる多層フィルムの一例を示す断面図である。 図2は図1の多層フィルムを製造するのに適した本発明の多層押出成形装置の一例を示す側面断面図である。 図3は図2の正面図(但し、図2よりも縮小してある)である。 図4(A)及び図4(B)は図2のIV−IV線に沿った断面図(但し、図2よりも縮小してある)である。
符号の説明
2… 多層フィルム(未延伸積層体)
3… 内層
4,5…最外層
20… 多層押出成形装置
22… 成形用ダイス
24… ダイス本体
26,28,30…マニホールド
32… 合流部
34,36,38… 流路
40… リップ部
41… 合流路
42… リップ調整ボルト
44,46… チョークバー
48,50… チョークバー調整ボルト
52,54,56,58… 電気ヒーター
60,62… 断熱材
64,66,68… 温度センサー
70… 厚み検出装置
80… 制御装置

Claims (8)

  1. 2つの最外層の間に1つ以上の内層を持つ3層以上の多層フィルムを形成するために用いる、(1)ダイスと、(2)厚み検出手段と、(3)制御手段とを有する多層押出成形装置において、
    (1)ダイスは、溶融樹脂が供給される、2つの最外層用マニホールド及び前記2つの最外層用マニホールドの間に所定間隔で設けられた1つ以上の内層用マニホールドと、
    前記マニホールドから下流側へ延び、やがては1つに合流する2つの最外層用流路及び1つ以上の内層用流路と、
    前記各最外層用マニホールドのうち少なくとも一方の最外層用マニホールドから下流側へ延びる最外層用流路と前記内層用流路の間に設けられており、前記内層用マニホールド内の溶融樹脂の温度を調整する内層用樹脂温度調整手段と、
    前記内層用樹脂温度調整手段と該内層用樹脂温度調整手段に隣接する最外層用流路との間に設けられた断熱材と、
    前記最外層用流路及び前記内層用流路の合流部の下流側に配置されたリップ部とを有し、
    前記各マニホールドから前記各流路を通じて流れ出る前記各溶融樹脂を前記合流部で合流させて多層化し、前記リップ部から多層フィルムとして連続的に押し出すことができ、
    前記断熱材は、内層用樹脂温度調整手段の最外層用流路側に接触させて設置してあるか、あるいは内層用樹脂温度調整手段に接触させずに、内層用樹脂温度調整手段と最外層用流路との間に設置してあり、
    (2)厚み検出手段は、前記ダイスから押し出された多層フィルムの厚みを検出することができ、そして、
    (3)制御手段は、前記検出された多層フィルムの厚みに応じて、前記内層用マニホールド内の樹脂温度を変化させるよう前記内層用樹脂温度調整手段を制御することができる多層押出成形装置。
  2. 前記内層用樹脂温度調整手段は、前記一方の最外層用マニホールド側よりも前記内層用マニホールド側に、より接近させて、内層用マニホールド及び流路に沿って延びるように設けられている、請求項1に記載の多層押出成形装置。
  3. 前記内層用樹脂温度調整手段として、電気ヒーターを用いる、請求項1または2に記載の多層押出成形装置。
  4. 前記内層用樹脂温度調整手段は、前記内層用マニホールドを挟み込むようにして、前記内層用マニホールドの両サイドに近接させて設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の多層押出成形装置。
  5. 前記リップ部がセラミックコートしてあり、
    前記最外層用流路及び前記内層用流路の内面がH−Crメッキしてある請求項1〜4のいずれかに記載の多層押出成形装置。
  6. 前記内層用樹脂温度調整手段と前記内層用マニホールドとの最短距離をD1とし、前記内層用樹脂温度調整手段と前記一方の最外層用マニホールドとの最短距離をD2としたときに、D2−D1≧0.2cmの関係を満足するように、前記内層用樹脂温度調整手段が配置してある請求項1〜5のいずれかに記載の多層押出成形装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の多層押出成形装置を用いて、3層以上の多層フィルムを押出成形する工程を含む多層フィルムの製造方法。
  8. 請求項7に記載の方法により押出成形された多層フィルムを延伸する工程を含む多層延伸フィルムの製造方法。
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