JP2007098685A - 複層フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複層フィルムの各層それぞれを制御する機能を備えていないダイを用いた押出成形においても、複層フィルム中のある特定の層の幅方向厚みを効率よく調整することができ、更に長時間フィルムを流したときにも幅方向厚みを調整できる手段を提供すること。
【解決手段】ガラス転移温度Tg(A)の樹脂からなるA層の少なくとも片面にk個の透明な樹脂からなるB層を積層してなる複層フィルムの製造方法であって、前記透明な樹脂からなる層のうちi番目の透明な樹脂からなるBi層のガラス転移温度Tg(Bi)(℃)が、Tg(A)>Tg(Bi)+20℃を満たし、且つ、複層フィルムのうち少なくともA層を含む制御対象の幅方向厚みの測定値を検出し、該測定値に基づき制御対象の幅方向厚みを調整しながら押出成形し、制御対象の幅方向厚みの測定値が式(1)で表されることを特徴とする複層フィルムの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ガラス転移温度Tg(A)の樹脂からなるA層の少なくとも片面にk個の透明な樹脂からなるB層を積層してなる複層フィルムの製造方法であって、前記透明な樹脂からなる層のうちi番目の透明な樹脂からなるBi層のガラス転移温度Tg(Bi)(℃)が、Tg(A)>Tg(Bi)+20℃を満たし、且つ、複層フィルムのうち少なくともA層を含む制御対象の幅方向厚みの測定値を検出し、該測定値に基づき制御対象の幅方向厚みを調整しながら押出成形し、制御対象の幅方向厚みの測定値が式(1)で表されることを特徴とする複層フィルムの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、複層フィルムの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、複層フィルムの各層それぞれを制御する機能を備えていないダイ、例えばフィードブロックダイなどを用いた押出成形においても、複層フィルム中のある特定の層の幅方向厚みを効率よく調整することができ、更に長時間フィルムを流したときにも幅方向厚みを調整することのできる複層フィルムの製造方法に関する。
複層フィルムの製造においては、各層の厚みを調整することが必要な場合があり、そのための様々な手段が報告されている。
特許文献1には、溶融樹脂から複層フィルムを成型するダイの厚み調整手段がダイの全幅に亘って各層別に配設されたダイの所定幅毎の吐出量を操作する複数の調整ユニットからなり、該各調整ユニットに対応する各測定点で検出した各層厚みデータに基づいて所定の制御動作により操作出力を演算し、該各調節ユニットに出力して各層の厚みを制御する複数の制御ループからなる多点制御手段により、複層フィルムの各層の厚みを間欠制御する複層フィルムの厚み制御装置において、各層ごとに各調整ユニットへの操作出力を同時に出力するようにしたことを特徴とする複層フィルムの厚み制御方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1記載の制御方法では、ある特定の層のみの厚みを制御するのには充分ではなかった。
しかしながら、特許文献1記載の制御方法では、ある特定の層のみの厚みを制御するのには充分ではなかった。
本発明は、上記問題点を解消し、複層フィルムの各層それぞれを制御する機能を備えていないダイ、例えばフィードブロックダイなどを用いた押出成形においても、複層フィルム中のある特定の層の幅方向厚みを効率よく調整することができ、更に長時間フィルムを流したときにも幅方向厚みを調整することのできる手段を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ね、その過程で、特定の層を含む複層フィルムにおける各層のガラス転移温度との関係と、前記特定の層の厚みを幅方向に渡って効率よく制御するための指標を検討した。その結果、上記特定の層のガラス転移温度をTg(A)(℃)とした場合に、特定の層の少なくとも片面に、Tg(A)よりも20℃を下回るガラス転移温度Tg(Bi)(℃)を有する透明な樹脂からなる層を積層してなる複層フィルムにおいて、下記式(1)で表される指標の精度を調整しながら押出成形することにより、特定の層の厚みを幅方向に渡って効率よく調整しうることを見出した。すなわち、前記特定の層の厚みを幅方向に渡って効率よく制御するための制御対象を特定する指標として、下記式(1)が有用であることを見出した。
更に、このようにして得られる複層フィルムを延伸に供するとA層のみを配向させるフィルムが得られることをも見出した。
本発明は、係る知見に基づいてなされたものである。
更に、このようにして得られる複層フィルムを延伸に供するとA層のみを配向させるフィルムが得られることをも見出した。
本発明は、係る知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、下記の〔1〕〜〔9〕を提供するものである。
〔1〕 ガラス転移温度Tg(A)(℃)の樹脂からなる層(A層)の少なくとも片面にk個(kは1以上の整数)の透明な樹脂からなる層(B層)を積層してなる複層フィルムの製造方法であって、
前記透明な樹脂からなる層の番号をi(iは、1〜kの整数である。)、i番目の透明な樹脂からなる層(Bi層)のガラス転移温度をTg(Bi)(℃)としたとき、Tg(A)>Tg(Bi)+20℃を満たし、且つ、
複層フィルムを構成する層のうち少なくともA層を含む制御対象の幅方向厚みの測定値を検出し、該測定値に基づき制御対象の幅方向厚みの精度を調整しながら押出成形し、
制御対象の幅方向厚みが、式(1)で表されることを特徴とする複層フィルムの製造方法。
〔1〕 ガラス転移温度Tg(A)(℃)の樹脂からなる層(A層)の少なくとも片面にk個(kは1以上の整数)の透明な樹脂からなる層(B層)を積層してなる複層フィルムの製造方法であって、
前記透明な樹脂からなる層の番号をi(iは、1〜kの整数である。)、i番目の透明な樹脂からなる層(Bi層)のガラス転移温度をTg(Bi)(℃)としたとき、Tg(A)>Tg(Bi)+20℃を満たし、且つ、
複層フィルムを構成する層のうち少なくともA層を含む制御対象の幅方向厚みの測定値を検出し、該測定値に基づき制御対象の幅方向厚みの精度を調整しながら押出成形し、
制御対象の幅方向厚みが、式(1)で表されることを特徴とする複層フィルムの製造方法。
〔2〕 前記〔1〕に記載の製造方法により得られる複層フィルム。
〔3〕 A層の厚さムラが、A層の平均厚さに対して5%以下である前記〔2〕に記載の複層フィルム。
〔4〕 〔2〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の複層フィルムを、更に延伸することを特徴とする複層位相差フィルムの製造方法。
〔5〕 前記〔4〕に記載の製造方法により得られる複層位相差フィルム。
〔6〕 A層が固有複屈折値が負を示す樹脂からなる層であり、
前記複層フィルムのA層を延伸した結果の層を、a層、前記Bi層を延伸した結果の層を、bi層とし、
波長400〜700nmの光で測定したa層の面内レターデーションをRe(a)及びbi層の面内レターデーションの総和をRe(bk)としたとき、|Re(a)|>|Re(bk)|を満たすことを特徴とする前記〔5〕に記載の複層位相差フィルム。
〔7〕 |Re(bk)|が、20nm以下である前記〔5〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の複層位相差フィルム。
〔8〕 前記〔5〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の複層位相差フィルムと偏光板との積層体からなることを特徴とする光学素子。
〔9〕 前記〔5〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の複層位相差フィルムを少なくとも1枚用いたことを特徴とする液晶表示装置。
本発明の製造方法によれば、複層フィルム中の特定の層の幅方向厚みを効率よく調整することができるだけでなく、得られる複層フィルムを延伸に供することにより、A層のみを配向させた複層位相差フィルムを得ることができる。
本発明の製造方法により得られる複層位相差フィルムは、光学的用途等多方面で利用することができる。特に、面内レターデーションが所定の数値となるように延伸して得られる複層位相差フィルムは、位相差のコントロールが容易であるので、複屈折の高度な補償が可能となり、輝度ムラや色ムラがなく、さらに視野角が広く、どの方向から見ても均質で高いコントラストを有するので、大画面のフラットパネルディスプレイなどとして、好適に用いることができる。
本発明の製造方法により得られる複層位相差フィルムは、光学的用途等多方面で利用することができる。特に、面内レターデーションが所定の数値となるように延伸して得られる複層位相差フィルムは、位相差のコントロールが容易であるので、複屈折の高度な補償が可能となり、輝度ムラや色ムラがなく、さらに視野角が広く、どの方向から見ても均質で高いコントラストを有するので、大画面のフラットパネルディスプレイなどとして、好適に用いることができる。
本発明について、以下詳細に説明する。
本発明は、複層フィルムの製造方法に関するものであり、ガラス転移温度Tg(A)(℃)の樹脂からなる層(A層)の少なくとも片面にk個(kは1以上の整数)の透明な樹脂からなる層(B層)を積層してなる複層フィルムの製造方法であって、前記透明な樹脂からなる層の番号をi(iは、1〜kの整数である。)、i番目の透明な樹脂からなる層(Bi層)のガラス転移温度をTg(Bi)(℃)としたとき、Tg(A)>Tg(Bi)+20℃を満たし、且つ、複層フィルムを構成する層のうち少なくともA層を含む制御対象の幅方向厚みの測定値を検出し、該測定値に基づき制御対象の幅方向厚みの精度を調整しながら押出成形し、制御対象の幅方向厚みが、上記式(1)で表されることを特徴とするものである。
本発明は、複層フィルムの製造方法に関するものであり、ガラス転移温度Tg(A)(℃)の樹脂からなる層(A層)の少なくとも片面にk個(kは1以上の整数)の透明な樹脂からなる層(B層)を積層してなる複層フィルムの製造方法であって、前記透明な樹脂からなる層の番号をi(iは、1〜kの整数である。)、i番目の透明な樹脂からなる層(Bi層)のガラス転移温度をTg(Bi)(℃)としたとき、Tg(A)>Tg(Bi)+20℃を満たし、且つ、複層フィルムを構成する層のうち少なくともA層を含む制御対象の幅方向厚みの測定値を検出し、該測定値に基づき制御対象の幅方向厚みの精度を調整しながら押出成形し、制御対象の幅方向厚みが、上記式(1)で表されることを特徴とするものである。
本発明の製造方法においては、積層の材料として、ガラス転移温度Tg(A)(℃)の樹脂からなる層(以下、A層と略記することがある。)に対し、k個(kは1以上の整数)の透明な樹脂からなる層(以下、B層と略記することがある。)を用いる。
A層の樹脂のガラス転移温度Tg(A)(℃)は、k個の透明な樹脂からなる層(B層)の番号をi(iは、1〜kの整数である)とすると、i番目のB層のガラス転移温度をTg(Bi)(℃)とした場合に、両者の関係が、Tg(A)>Tg(Bi)+20℃であることが好ましく、Tg(A)≧Tg(B)+24℃であることがより好ましい。すなわち、B層を構成するB1、・・・Bi、・・・Bkのガラス転移温度Tg(B1)、・・・Tg(Bi)、・・・Tg(Bk)のいずれもがTg(A)から20℃を差し引いた温度を下回ることが好ましく、24℃を差し引いた温度を下回ることがより好ましい。
A層とB層とのガラス転移温度が上記の範囲であると、押出成形後共延伸を行うことにより、A層のみを配向させることができる。すなわち、一軸延伸による共延伸の温度条件を温度Tg(A)(℃)付近とすると、A層を配向させることができる一方、B層はそのガラス転移温度Tg(B)よりも20℃以上高い温度で延伸されるので、B層の樹脂の分子鎖はほとんど配向せず、実質的に無配向の状態となる。このように、押出成形後に共延伸することにより、別々に延伸したA層とB層を貼合積層する場合に比べて、製造工程を短縮することができる。また、固有複屈折値が負の樹脂からなる未延伸フィルムは、一般に、単独では延伸しにくく、延伸ムラや破断などが生ずる場合があるが、ガラス転移温度が低い他の透明な樹脂と積層することにより、安定して共延伸することが可能となり、かつA層の厚さムラを小さくすることができる。
A層の樹脂のガラス転移温度Tg(A)(℃)は、k個の透明な樹脂からなる層(B層)の番号をi(iは、1〜kの整数である)とすると、i番目のB層のガラス転移温度をTg(Bi)(℃)とした場合に、両者の関係が、Tg(A)>Tg(Bi)+20℃であることが好ましく、Tg(A)≧Tg(B)+24℃であることがより好ましい。すなわち、B層を構成するB1、・・・Bi、・・・Bkのガラス転移温度Tg(B1)、・・・Tg(Bi)、・・・Tg(Bk)のいずれもがTg(A)から20℃を差し引いた温度を下回ることが好ましく、24℃を差し引いた温度を下回ることがより好ましい。
A層とB層とのガラス転移温度が上記の範囲であると、押出成形後共延伸を行うことにより、A層のみを配向させることができる。すなわち、一軸延伸による共延伸の温度条件を温度Tg(A)(℃)付近とすると、A層を配向させることができる一方、B層はそのガラス転移温度Tg(B)よりも20℃以上高い温度で延伸されるので、B層の樹脂の分子鎖はほとんど配向せず、実質的に無配向の状態となる。このように、押出成形後に共延伸することにより、別々に延伸したA層とB層を貼合積層する場合に比べて、製造工程を短縮することができる。また、固有複屈折値が負の樹脂からなる未延伸フィルムは、一般に、単独では延伸しにくく、延伸ムラや破断などが生ずる場合があるが、ガラス転移温度が低い他の透明な樹脂と積層することにより、安定して共延伸することが可能となり、かつA層の厚さムラを小さくすることができる。
本発明の製造方法において、A層を構成する樹脂としては、固有複屈折値が負を示すものを用いることが好ましい。固有複屈折値が負を示すものを用いると、上述した延伸時に所望の複屈折特性を十分に発現させることができるからである。
固有複屈折値Δn0は、式(2)により算出される値である。
固有複屈折値Δn0は、式(2)により算出される値である。
式(2)中、πは円周率、Nはアボガドロ数、dは密度、Mは分子量、naは平均屈折率、α1は高分子の分子鎖軸方向の分極率、α2は高分子の分子鎖軸と垂直な方向の分極率である。
本発明においては、A層の厚さムラ(ばらつき)が、A層の平均厚さに対して5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましい。ここで、A層の厚さムラは、A層の厚さの最大値と最小値の差を、A層の厚さの平均値で除した値である。A層の厚さムラが、このような範囲にあると、複層フィルムから得られる複層位相差フィルムを液晶表示装置に用いたとき、その表示画面の輝度ムラや視野角のばらつき小さくすることができる。
固有複屈折値が負を示す樹脂としては、ビニル芳香族系重合体、ポリアクリロニトリル系重合体、ポリメチルメタクリレート系重合体、セルロースエステル系重合体、これらの多元共重合体などを挙げることができる。これらの固有複屈折値が負である樹脂は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、ビニル芳香族系重合体、ポリアクリロニトリル系重合体及びポリメチルメタクリレート系重合体を好適に用いることができ、ビニル芳香族系重合体は、複屈折発現性が高いので特に好適に用いることができる。
ビニル芳香族系重合体としては、例えば、ポリスチレン;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレンなどと、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどとの共重合体などを挙げることができる。これらの中で、ポリスチレン及びスチレンと無水マレイン酸との共重合体を好適に用いることができる。
本発明の製造方法において、B層を構成する樹脂としては、上述したように、Tg(A)に対し所定のガラス転移温度Tg(Bi)(℃)を有し、かつ透明な樹脂であれば特に限定されない。
透明な樹脂としては、1mm厚で全光線透過率が80%以上のものであれば特に制限されず、例えば、脂環式構造含有重合体樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどの鎖状オレフィン系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリエステル系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリエーテルスルホン系重合体、ポリスチレン系重合体、ポリオレフィン系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、酢酸セルロース系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、ポリメタクリレート系重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、脂環式構造含有重合体樹脂が特に好ましい。
脂環式構造含有重合体樹脂は、具体的には、(I)ノルボルネン系重合体、(II)単環の環状オレフィン系重合体、(III)環状共役ジエン系重合体、(VI)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物などが挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体がより好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、具体的にはノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素化物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体水素化物が最も好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体樹脂は、例えば特開2002−321302号公報などに開示されている公知の重合体から選ばれる。
ノルボルネン系重合体としては、具体的にはノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素化物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体水素化物が最も好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体樹脂は、例えば特開2002−321302号公報などに開示されている公知の重合体から選ばれる。
B層を形成する透明な樹脂は、引張破断伸びが30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。このような範囲にすることにより、複層フィルムを安定して共延伸することができる。前記引張破断伸びは、ASTM D638に準拠して測定される値である。
本発明の製造方法においては、複層フィルムを構成するガラス転移温度Tg(A)℃の樹脂からなる層(A層)と透明な樹脂からなる層(B層)との間に接着剤層を設けてもよい。
接着剤層は、A層とB層の双方に対して親和性があるものから形成することができる。例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体などのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−スチレン共重合体などのエチレン系共重合体や他のオレフィン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体およびそれらの水素化物が挙げられる。また、これらの(共)重合体を酸化、ケン化、塩素化、クロルスルホン化などにより変性した変性物を用いることもできる。
接着剤層は、A層とB層の双方に対して親和性があるものから形成することができる。例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体などのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−スチレン共重合体などのエチレン系共重合体や他のオレフィン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体およびそれらの水素化物が挙げられる。また、これらの(共)重合体を酸化、ケン化、塩素化、クロルスルホン化などにより変性した変性物を用いることもできる。
接着剤層の厚さは、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜30μmである。
本発明の複層フィルムにおいて、前記接着剤層を含む場合は、接着剤のガラス転移温度又は軟化点Tg(D)は、前記Tg(A)及びTg(B)よりも低いことが好ましく、Tg(A)及びTg(B)よりも15℃以上低いことがさらに好ましい。
本発明の複層フィルムにおいて、前記接着剤層を含む場合は、接着剤のガラス転移温度又は軟化点Tg(D)は、前記Tg(A)及びTg(B)よりも低いことが好ましく、Tg(A)及びTg(B)よりも15℃以上低いことがさらに好ましい。
本発明において使用するA層及びB層を構成する樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。これらの添加剤の添加量は、固有複屈折値が負の樹脂又は透明な樹脂100重量部に対して、通常0〜5重量部、好ましくは0〜3重量部である。
本発明の製造方法における複層フィルムは、A層の少なくとも片面にk個のB層が積層された構造であれば良い。すなわち、基本的にはA層は1層であり、その片面又は両面に1種類、或いは2種類以上のB層が1層、或いは2層以上積層された構成とすることができる。
特に、A層の両面にB層が積層されてなることが好ましい。A層の両面にB層を積層することにより、各層の収縮率の差による複層フィルムの反りの発生を防止することができる。また、A層に紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を配合したとき、共押出や共延伸の際の添加剤の揮発や、複層フィルムにおける添加剤の滲み出しを防止することができる。更に、A層として、固有酸化を受けやすいA層の樹脂に酸化防止剤を配合することにより、樹脂の劣化を効果的に防止することができる。
特に、A層の両面にB層が積層されてなることが好ましい。A層の両面にB層を積層することにより、各層の収縮率の差による複層フィルムの反りの発生を防止することができる。また、A層に紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を配合したとき、共押出や共延伸の際の添加剤の揮発や、複層フィルムにおける添加剤の滲み出しを防止することができる。更に、A層として、固有酸化を受けやすいA層の樹脂に酸化防止剤を配合することにより、樹脂の劣化を効果的に防止することができる。
本発明の製造方法においては、上述したA層とB層を積層して複層フィルムを製造するにあたり、複層フィルムを構成する層のうち少なくともA層を含む制御対象の幅方向厚みの測定値を検出し、該測定値に基づき制御対象の幅方向厚みの精度を調整しながら押出成形する。すなわち、少なくともA層を含む制御対象の幅方向厚みを測定し、得られる測定値をフィードバックして、押出成形の条件を制御してA層の厚みを調整するものである。
本発明の製造方法においては、複層フィルムを構成する層のうち少なくともA層を含む制御対象の幅方向厚みの測定値を検出することが必要である。
制御対象の幅方向厚みとは、複層フィルムの幅方向厚みのうち、厚みの精度(厚みの目標値への調整、厚さの均一化等)の制御の対象となる部分を意味し、本発明の製造方法においては、少なくともA層の幅方向厚みを含むことが必要である。すなわち、複層フィルムの全層を制御対象としたり、A層を含まない部分を制御対象とする場合には、A層の厚みを調整することができず、本発明の目的を達成することができない。一方、A層の幅方向厚みを含むものであれば、A層以外の層、例えば、B層の幅方向厚みの測定値や必要に応じて設けられる接着層の厚みなどを含めた複層フィルムの全層の一部の測定値をあわせて含むものであっても良い。
このような制御対象幅方向厚みは、下記の式(1)で表されるものである。
制御対象の幅方向厚みとは、複層フィルムの幅方向厚みのうち、厚みの精度(厚みの目標値への調整、厚さの均一化等)の制御の対象となる部分を意味し、本発明の製造方法においては、少なくともA層の幅方向厚みを含むことが必要である。すなわち、複層フィルムの全層を制御対象としたり、A層を含まない部分を制御対象とする場合には、A層の厚みを調整することができず、本発明の目的を達成することができない。一方、A層の幅方向厚みを含むものであれば、A層以外の層、例えば、B層の幅方向厚みの測定値や必要に応じて設けられる接着層の厚みなどを含めた複層フィルムの全層の一部の測定値をあわせて含むものであっても良い。
このような制御対象幅方向厚みは、下記の式(1)で表されるものである。
複層フィルムにおいて、各層の厚みをそれぞれ制御するのは不可能である。そこで、本発明方法では、A層とすべての層(複層フィルム自体の厚み)の2つを代表として制御する。そして、その制御の手法として、式(1)を指標として用いる。
式(1)において、全層の幅方向厚みの測定値とは、複層フィルムを構成するすべての層の厚み、すなわち複層フィルム自体の厚みを幅方向に渡って、3〜2000点程度測定して得られる値の合計値または平均値を意味する。また、A層の幅方向厚み測定値とは、複層フィルム中のA層の厚みを幅方向に渡って、3〜2000点程度測定して得られる値の合計値または平均値を意味する。
更に、式(1)中のaは、0以上0.5未満の数の範囲で、実験的に求める。A層の精度を高める観点からは、0〜0.2とすることが好ましく、特に0〜0.1が最も好ましい。
このように、式(1)は、A層の厚みを幅方向に渡って効率良く調整するために適切な制御対象となる厚みを幅方向に渡って特定するための指標である。すなわち、式(1)で算出される制御対象となる厚みを幅方向に渡って均一になるような制御を行えば、その結果としてA層の幅方向厚みが適切に制御された複層フィルムを得ることができる。式(1)においては、aと1−aとは、それぞれ、全層の厚み及びA層の厚みへの制御の重点(制御の配分)を意味する。
式(1)において、全層の幅方向厚みの測定値とは、複層フィルムを構成するすべての層の厚み、すなわち複層フィルム自体の厚みを幅方向に渡って、3〜2000点程度測定して得られる値の合計値または平均値を意味する。また、A層の幅方向厚み測定値とは、複層フィルム中のA層の厚みを幅方向に渡って、3〜2000点程度測定して得られる値の合計値または平均値を意味する。
更に、式(1)中のaは、0以上0.5未満の数の範囲で、実験的に求める。A層の精度を高める観点からは、0〜0.2とすることが好ましく、特に0〜0.1が最も好ましい。
このように、式(1)は、A層の厚みを幅方向に渡って効率良く調整するために適切な制御対象となる厚みを幅方向に渡って特定するための指標である。すなわち、式(1)で算出される制御対象となる厚みを幅方向に渡って均一になるような制御を行えば、その結果としてA層の幅方向厚みが適切に制御された複層フィルムを得ることができる。式(1)においては、aと1−aとは、それぞれ、全層の厚み及びA層の厚みへの制御の重点(制御の配分)を意味する。
測定値の検出は、常法により行えば良く、測定方式、測定位置の条件は特に問わない。測定方式としては、例えば、赤外線膜厚計などによる方式とすることができる。また、測定位置も、押出成形機のリップ部から複層フィルムが押出された後の製造ライン上の位置であればよく、巻き取り機よりも前の製造ライン上の位置で測定されることが好ましい。また、このような位置の範囲内で、同時に2箇所以上で測定値の検出を行うこともできる。更に、測定間隔も適宜調整して行うことができ、例えば、特定の測定位置においてフィルムの厚みの測定値を検出する操作を、幅方向に一定の時期間隔で繰り返すものとすることができる。
本発明の製造方法においては、上述のようにして検出された測定値に基づき制御対象の幅方向厚みの精度を調整しながら押出成形する。
制御対象の幅方向厚みの精度を調整するとは、制御対象、上述のようにして得られる厚さの測定値を、一定の目標値に近づけ、かつ、均一でフラットな状態になるように押出成形の条件を制御しながら押出成形を続けることを意味する。
制御対象の幅方向厚みの精度を調整するとは、制御対象、上述のようにして得られる厚さの測定値を、一定の目標値に近づけ、かつ、均一でフラットな状態になるように押出成形の条件を制御しながら押出成形を続けることを意味する。
本発明の製造方法において、制御対象の幅方向厚みの精度の調整は、測定値が所定の目標値に近づくように押出成形の条件を適宜変更することにより行うことができ、目標値と測定値との相違がどの程度生じた場合に調整を行うか、また、具体的な調整方式については、特に問わない。
例えば、制御対象幅方向厚みの目標値と測定値との間の相違が生じた場合に制御の指示を行うかをあらかじめ記憶しており、かつ、制御対象幅方向厚みの測定値を受け取り、制御指示の条件に合致するか判断し、合致する場合は制御手段に対して制御の指示を行うようなソフトを用いて、リップ部に直接熱をかけて樹脂の流れやすさを制御する自動リップ調整ベルトや、リップに設けられたダイボルトの調整などによって制御を行うことができる。
例えば、制御対象幅方向厚みの目標値と測定値との間の相違が生じた場合に制御の指示を行うかをあらかじめ記憶しており、かつ、制御対象幅方向厚みの測定値を受け取り、制御指示の条件に合致するか判断し、合致する場合は制御手段に対して制御の指示を行うようなソフトを用いて、リップ部に直接熱をかけて樹脂の流れやすさを制御する自動リップ調整ベルトや、リップに設けられたダイボルトの調整などによって制御を行うことができる。
一般に、プラスチックシートまたはプラスチックフィルム(以下、単にシート等という)の成形に際しては、自動Tダイが用いられるが、本発明の製造方法においても自動Tダイを利用することができる。自動Tダイは、Tダイ本体の一部に溶融樹脂をシート状に押出成形するリップ間隙を形成したTダイリップを設けると共に、このTダイリップに対しその幅方向に多数のダイボルトを当接配置し、前記ダイボルトにそれぞれ温度調整可能なヒータを取付けた構成からなる。
このように構成された自動Tダイは、ヒータを加熱した際のダイボルトの熱膨張による伸縮作用によって、Tダイリップの間隙を調整する熱変位式自動Tダイとして制御されるのが一般的である。
このように構成された自動Tダイは、ヒータを加熱した際のダイボルトの熱膨張による伸縮作用によって、Tダイリップの間隙を調整する熱変位式自動Tダイとして制御されるのが一般的である。
しかるに、この種の熱変位式自動Tダイは、その具体的な熱変位の方式から、例えば熱直動式と熱差動式とが知られている。前者の熱直動式自動Tダイは、ダイボルトに対し、Tダイリップ側の先端部において、ヒータを保持するヒータホルダの一部と、ダイボルトとを結合した構成からなり、ヒータの温度を上昇させると、ダイボルトは先端部方向へ伸びて、リップ間隙を閉じる方向にTダイリップを押圧変位させることができる。
一方、後者の熱差動式自動Tダイは、ダイボルトに対し、Tダイリップとは反対後端側において、ヒータを保持するヒータホルダの一部と、ダイボルトとを結合した構成からなる。従って、この場合、ヒータの温度を上昇させると、ダイボルトは後端側方向へ伸びて、リップ間隙を開く方向にTダイリップを押圧変位させることができる。
一方、後者の熱差動式自動Tダイは、ダイボルトに対し、Tダイリップとは反対後端側において、ヒータを保持するヒータホルダの一部と、ダイボルトとを結合した構成からなる。従って、この場合、ヒータの温度を上昇させると、ダイボルトは後端側方向へ伸びて、リップ間隙を開く方向にTダイリップを押圧変位させることができる。
このような熱変位式自動Tダイによるシートの幅方向厚みの制御方法としては、従来、直接フィードバック制御方式と、カスケード制御方式とが知られている。
前者の直接フィードバック制御方式によれば、目標プロファイルをプロファイル制御部、ダイボルト・ヒータ加熱制御装置、ダイボルト−リップ系、成形プロセスを順次経てシートのプロファイル制御がなされると共に、このプロファイル制御結果をプロファイル処理部で処理して、プロファイル制御部へフィードバックする制御演算が、一定周期で行われ、各ダイボルトのヒータに対する供給電力がステップ状に更新される。この結果、対応位置のシート厚さは指数関数的に徐々に上昇を続け、やがて平衡状態に達するが、この間に時定数の数倍程度の時間が費やされる。前記変化が検知されるのは、無駄時間Lが経過してからとなるため、オーバーシュートによって、プロファイルには鋸歯状の振動が生じ易い。また外乱の影響は全て厚さ計でしかキャッチされないので、外乱の修正動作が後手に回り、制御精度に一定の限界がもたらされる。
一方、後者のカスケード制御方式によれば、目標プロファイルをプロファイル制御部、温度制御部、ダイボルト・ヒータ加熱制御装置、ダイボルト−リップ系、成形プロセスを順次経て、シートのプロファイル制御がなされる。この場合、ダイボルトに取付けたヒータの温度を検出してこの検出値を前記温度制御部へフィードバックする制御演算と、前記成形プロセスによるプロファイル制御結果をプロファイル処理部で処理して、プロファイル制御部へフィードバックする制御演算とのカスケード制御が行われ、各ダイボルトの温度設定がステップ状に更新され、各ヒータに対する供給電力が調整される。
前者の直接フィードバック制御方式によれば、目標プロファイルをプロファイル制御部、ダイボルト・ヒータ加熱制御装置、ダイボルト−リップ系、成形プロセスを順次経てシートのプロファイル制御がなされると共に、このプロファイル制御結果をプロファイル処理部で処理して、プロファイル制御部へフィードバックする制御演算が、一定周期で行われ、各ダイボルトのヒータに対する供給電力がステップ状に更新される。この結果、対応位置のシート厚さは指数関数的に徐々に上昇を続け、やがて平衡状態に達するが、この間に時定数の数倍程度の時間が費やされる。前記変化が検知されるのは、無駄時間Lが経過してからとなるため、オーバーシュートによって、プロファイルには鋸歯状の振動が生じ易い。また外乱の影響は全て厚さ計でしかキャッチされないので、外乱の修正動作が後手に回り、制御精度に一定の限界がもたらされる。
一方、後者のカスケード制御方式によれば、目標プロファイルをプロファイル制御部、温度制御部、ダイボルト・ヒータ加熱制御装置、ダイボルト−リップ系、成形プロセスを順次経て、シートのプロファイル制御がなされる。この場合、ダイボルトに取付けたヒータの温度を検出してこの検出値を前記温度制御部へフィードバックする制御演算と、前記成形プロセスによるプロファイル制御結果をプロファイル処理部で処理して、プロファイル制御部へフィードバックする制御演算とのカスケード制御が行われ、各ダイボルトの温度設定がステップ状に更新され、各ヒータに対する供給電力が調整される。
幅方向厚みの目標値は、適宜定めることができるが、一般には、全層の幅方向厚みは30μm〜500μm、A層の幅方向厚みは5μ〜400μで設定することができる。
本発明の製造方法における、押出成形の方式としては、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の共押出による成形方法などの公知の方法が適宜利用され得る。
押出温度は、使用する固有複屈折値が負の樹脂、透明な樹脂及び必要に応じて用いられる接着剤の種類に応じて適宜選択され得る。
押出温度は、使用する固有複屈折値が負の樹脂、透明な樹脂及び必要に応じて用いられる接着剤の種類に応じて適宜選択され得る。
また、押出成形に用いるダイスの形状や種類も特に限定されず、マルチマニホールドダイのほか、各層の樹脂を制御調整する機構を備えていないフィードブロックダイ等のダイも利用することができる。
本発明の製造方法を、2種3層(B層−A層−B層)の複層フィルムの製造を例にとって、制御方式を説明すると、以下の通りである。
3台の溶融押出器からそれぞれ押し出された溶融樹脂を、それぞれマニホールドを介し、各樹脂を層状に重ね合わせ、合流させ、リップ部から外部へと押し出す。
リップ部から押し出された複層フィルムは、回転する冷却ドラムの上で冷却され巻き取り機に巻き取られる。巻き取り機までのどこかには、厚み検出装置が配置してある。このため、リップ部から押し出された複層フィルムは、厚み検出装置を通過し、複層フィルムの各層の厚みが検出され、ここで検出された厚みデータに対して、A層(芯層)の精度が必要な場合、A層をフラットにするように信号が制御装置に送信される。
3台の溶融押出器からそれぞれ押し出された溶融樹脂を、それぞれマニホールドを介し、各樹脂を層状に重ね合わせ、合流させ、リップ部から外部へと押し出す。
リップ部から押し出された複層フィルムは、回転する冷却ドラムの上で冷却され巻き取り機に巻き取られる。巻き取り機までのどこかには、厚み検出装置が配置してある。このため、リップ部から押し出された複層フィルムは、厚み検出装置を通過し、複層フィルムの各層の厚みが検出され、ここで検出された厚みデータに対して、A層(芯層)の精度が必要な場合、A層をフラットにするように信号が制御装置に送信される。
押出成形後の複層フィルムは、そのままでも用いることができるが、特に、延伸用の原反として好適に用いられる。
複層フィルムを延伸する方法は特に制限はなく、従来公知の方法を適用し得る。具体的には、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンターを用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔が開かれて縦方向の延伸と同時にガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後にその両端部がクリップ把持してテンターを用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機や、横又は縦方向に左右等速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにして、移動する距離が同じで延伸角度θを固定できるようにした若しくは移動する距離が異なるようにしたテンター延伸機を用いて斜め延伸する方法:が挙げられる。
複層フィルムの延伸温度は、Tg(A)付近とすることが好ましい。具体的には、Tg(A)−10℃〜Tg(A)+20℃が好ましく、Tg(A)−5℃〜Tg(A)+15℃の範囲であることがより好ましい。
複層フィルムを延伸する方法は特に制限はなく、従来公知の方法を適用し得る。具体的には、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンターを用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔が開かれて縦方向の延伸と同時にガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後にその両端部がクリップ把持してテンターを用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機や、横又は縦方向に左右等速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにして、移動する距離が同じで延伸角度θを固定できるようにした若しくは移動する距離が異なるようにしたテンター延伸機を用いて斜め延伸する方法:が挙げられる。
複層フィルムの延伸温度は、Tg(A)付近とすることが好ましい。具体的には、Tg(A)−10℃〜Tg(A)+20℃が好ましく、Tg(A)−5℃〜Tg(A)+15℃の範囲であることがより好ましい。
本発明の製造方法において、B層の樹脂のガラス転移温度Tg(Bi)をA層の樹脂のガラス転移温度Tg(A)より低くし、かつ延伸温度を上記範囲とすることにより、A層のみを特異的に配向させた複層位相差フィルムを得ることができる。
更に、複層フィルムを構成するA層が固有複屈折値が負を示す樹脂からなる層の場合に、前記複層フィルムのA層を延伸した結果の層を、a層、前記Bi層を延伸した結果の層を、bi層とし、波長400〜700nmの光で測定したa層の面内レターデーションをRe(a)及びbi層の面内レターデーションの総和をRe(bk)としたとき、|Re(a)|>|Re(bk)|を満たすように延伸条件を設定することにより、液晶セルの特性に合わせて、各層の複屈折性を調整することにより、視野角特性を向上させることができる。
更に、複層フィルムを構成するA層が固有複屈折値が負を示す樹脂からなる層の場合に、前記複層フィルムのA層を延伸した結果の層を、a層、前記Bi層を延伸した結果の層を、bi層とし、波長400〜700nmの光で測定したa層の面内レターデーションをRe(a)及びbi層の面内レターデーションの総和をRe(bk)としたとき、|Re(a)|>|Re(bk)|を満たすように延伸条件を設定することにより、液晶セルの特性に合わせて、各層の複屈折性を調整することにより、視野角特性を向上させることができる。
延伸倍率は、通常、1.05〜30倍、中でも1.1〜10倍であることが好ましい。延伸倍率が、上記範囲を外れると、配向が不十分で屈折率異方性、ひいてはレターデーションの発現が不十分になったり、複層フィルムが破断したりするおそれがある。
本発明の製造方法により得られる複層位相差フィルムは、前記A層を延伸した結果の層をa層、前記B層を延伸した結果の層をbi層とし、さらに、波長400〜700nmの光で測定したa層の面内レターデーションをRe(a)、bi層の面内レターデーションの総和をRe(bk)としたとき、|Re(a)|>|Re(bk)|を満たすことが好ましい。ここで、Re(a)は、a層の面内の遅相軸方向の屈折率をnx、a層の面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をny、a層の平均厚さをTwとすると、(nx−ny)xTwで定義される値である。また、Re(bk)は、i番目の透明な樹脂からなる層における、a層の面内の遅相軸方向の屈折率をnxi、i番目の透明な樹脂からなる層における、a層の面内の遅相軸に直交する方向の屈折率をny1、k個の透明な樹脂からなる層の総厚さをTwkとすると、(Σnxi−Σnyi)xTwで定義される値である(ここで、Σは、i=1〜kの総和を表す)。
|Re(a)|>|Re(bk)|であることにより、光学的に調整を行った固有複屈折値が負の層の光学特性を効果的に利用することができる。さらに、一軸延伸の場合は、延伸方向と直交する方向に遅相軸が現れ、延伸条件を適宜選択することにより、フィルム幅方向に対する遅相軸の方向を調整することができ、複層位相差フィルムを、偏光板とをロールトゥロールで積層するという簡便な方法で目的とする光学素子を製造することができる。|Re(a)|≦|Re(bk)|であると、複層位相差フィルムの光学補償機能が十分に発現しないおそれがある。
|Re(a)|>|Re(bk)|であることにより、光学的に調整を行った固有複屈折値が負の層の光学特性を効果的に利用することができる。さらに、一軸延伸の場合は、延伸方向と直交する方向に遅相軸が現れ、延伸条件を適宜選択することにより、フィルム幅方向に対する遅相軸の方向を調整することができ、複層位相差フィルムを、偏光板とをロールトゥロールで積層するという簡便な方法で目的とする光学素子を製造することができる。|Re(a)|≦|Re(bk)|であると、複層位相差フィルムの光学補償機能が十分に発現しないおそれがある。
本発明においては、|Re(bk)|が20nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。|Re(bk)|が20nmを超えると、複層位相差フィルムの光学補償機能が十分に発現しないおそれがある。
本発明の複層位相差フィルムは、必要に応じて、bi層の表面を粗面化することができる。粗面化する手段に特に制限はなく、例えば、コロナ放電処理、エンボス加工、サンドブラスト、エッチング、微粒子の付着などを挙げることができる。b層の表面を粗面化することにより、接着性を向上させることができる。
本発明の製造方法により得られる複層位相差フィルムは、偏光板を更に積層することにより、光学素子として利用することができる。
光学素子に用いることができる偏光板の基本的な構成は、二色性物質含有のポリビニルアルコール系偏光フィルム等からなる偏光子の片側又は両側に、適宜の接着層を介して、保護層となる透明保護フィルムを接着したものからなる。
偏光子としては、例えばポリビニルアルコールや部分ホルマール化ポリビニルアルコール等の従来に準じた適宜なビニルアルコール系ポリマーよりなるフィルムに、ヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適宜な処理を適宜な順序や方式で施したもので、自然光を入射させると直線偏光を透過する適宜なものを用いることができる。特に、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。偏光子の厚さは、5〜80μmが一般的であるが、これに限定されない。
光学素子に用いることができる偏光板の基本的な構成は、二色性物質含有のポリビニルアルコール系偏光フィルム等からなる偏光子の片側又は両側に、適宜の接着層を介して、保護層となる透明保護フィルムを接着したものからなる。
偏光子としては、例えばポリビニルアルコールや部分ホルマール化ポリビニルアルコール等の従来に準じた適宜なビニルアルコール系ポリマーよりなるフィルムに、ヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適宜な処理を適宜な順序や方式で施したもので、自然光を入射させると直線偏光を透過する適宜なものを用いることができる。特に、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。偏光子の厚さは、5〜80μmが一般的であるが、これに限定されない。
偏光子の片側又は両側に設ける透明保護層となる保護フィルム素材としては、適宜な透明フィルムを用いることができる。中でも、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーからなるフィルム等が好ましく用いられる。そのポリマーとしては、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂やポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂環式構造を有する重合体樹脂、アクリル系樹脂等があげられるが、中でも複屈折が小さい点で、アセテート系樹脂又は脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、脂環式構造を有する重合体樹脂が特に好ましい。
透明保護フィルムの厚さは、任意であるが一般には偏光板の薄型化などを目的に500μm以下、好ましくは5〜300μm、特に好ましくは5〜150μmである。
透明保護フィルムの厚さは、任意であるが一般には偏光板の薄型化などを目的に500μm以下、好ましくは5〜300μm、特に好ましくは5〜150μmである。
本発明の製造方法により得られる複層位相差フィルムと偏光板との積層は、接着剤や粘着剤等の適宜な接着手段を用いて貼り合わせることができる。接着剤又は粘着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や透明性等の観点から、アクリル系のものが好ましい。
積層方法としては、公知の方法が挙げられ、例えば、積層構造体及び偏光板をそれぞれ所望の大きさに切り出して積層する方法;長尺状の積層構造体及び長尺状の偏光板をロールトゥロール法で積層する方法;が挙げられる。
本発明の製造方法により得られる複層位相差フィルムには、偏光板の透明保護フィルムの代わりに用いることができ、部材の薄型化が可能である。
このようにして得られる光学素子の厚さは、通常100〜700μm、好ましくは200〜600μmである。
積層方法としては、公知の方法が挙げられ、例えば、積層構造体及び偏光板をそれぞれ所望の大きさに切り出して積層する方法;長尺状の積層構造体及び長尺状の偏光板をロールトゥロール法で積層する方法;が挙げられる。
本発明の製造方法により得られる複層位相差フィルムには、偏光板の透明保護フィルムの代わりに用いることができ、部材の薄型化が可能である。
このようにして得られる光学素子の厚さは、通常100〜700μm、好ましくは200〜600μmである。
本発明の製造方法により得られる複層位相差フィルムは、その少なくとも1枚を、液晶表示装置に配置することができる。本発明の製造方法により得られる複層位相差フィルムを液晶表示装置に備える態様としては、偏光板と液晶セルの間に複層位相差フィルムを配置する態様;偏光板の液晶セルと反対側に複層位相差フィルムを配置する態様が挙げられる。
液晶表示装置は、偏光板を液晶セルの片側又は両側に配置してなる透過型や反射型、あるいは透過・反射両用型等の従来に準じた適宜な構造を有するものとして形成することができる。液晶セルに使用する液晶モードとしては、インプレーンスイッチング(IPS)モード、バーチカルアラインメント(VA)モード、マルチドメインバーチカルアラインメント(MVA)モード、コンティニュアスピンホイールアラインメント(CPA)モード、ツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モード、ハイブリッドアラインメントネマチック(HAN)モード、オプチカルコンペンセイテッドベンド(OCB)モードなどを挙げることができる。これらの中で、インプレーンスイッチングモードに特に好適に適用することができる。
インプレーンスイッチングモードでは、水平方向にホモジニアスな配向をした液晶分子と、透過軸が画面正面に対して上下と左右の方向を指して垂直の位置関係にある2枚の偏光子を用いているので、上下左右の方向から画面を斜めに見るときには、2本の透過軸は直交して見える位置関係にあり、ホモジニアス配向液晶層はツイステッドモード液晶層で生ずるような複屈折も少ないことから、十分なコントラストが得られる。
インプレーンスイッチングモードでは、水平方向にホモジニアスな配向をした液晶分子と、透過軸が画面正面に対して上下と左右の方向を指して垂直の位置関係にある2枚の偏光子を用いているので、上下左右の方向から画面を斜めに見るときには、2本の透過軸は直交して見える位置関係にあり、ホモジニアス配向液晶層はツイステッドモード液晶層で生ずるような複屈折も少ないことから、十分なコントラストが得られる。
これに対して、方位角45度の方向から画面を斜めに見るときには、2枚の偏光子の透過軸のなす角度が90度からずれる位置関係となるために、直線偏光が完全に遮断されずに光洩れが発生し、十分な黒が得られず、コントラストが低下する。IPSモードの液晶表示装置の2枚の偏光子の間に、複層位相差フィルムを配置することにより、液晶セル中の液晶により生じる位相差の補償と2枚の偏光子の透過軸の直交配置の補償を行う。これによって、透過光に生ずる複屈折を効果的に補償して光の洩れを防ぎ、全方位角において高いコントラストを得ることができる。この効果は、他のモードの液晶表示装置においても同様の効果があると考えられ、特に前記IPSモードにおいて効果が顕著である。
このような液晶表示装置において、液晶表示装置の形成に際しては、例えばプリズムアレイシート、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトや輝度向上フィルム等の適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1〜2及び比較例1〜2
A層、B層として、それぞれスチレン−無水マレイン酸共重合体(Tg=130℃)及びメタクリル酸アルキル・アクリル共重合物とメタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・スチレン共重合物の混合物(Tg=105℃)を有する、B層(幅方向厚み目標値50μm)−A層(幅方向厚み目標値50μm)−B層(幅方向厚み目標値50μm)からなる2種3層構造の複層フィルムを、マルチマニホールドダイを用いる共押出成形により製造した。
A層、B層として、それぞれスチレン−無水マレイン酸共重合体(Tg=130℃)及びメタクリル酸アルキル・アクリル共重合物とメタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・スチレン共重合物の混合物(Tg=105℃)を有する、B層(幅方向厚み目標値50μm)−A層(幅方向厚み目標値50μm)−B層(幅方向厚み目標値50μm)からなる2種3層構造の複層フィルムを、マルチマニホールドダイを用いる共押出成形により製造した。
得られた各層の幅方向厚みを、赤外線吸収により測定した。
製造ラインにおいて、厚み測定装置としてクラボウ製赤外線膜厚計(商品名KE−500、RX−200)を用いて、各層の幅方向厚みを0.2秒間隔で測定した。ラインスピードは5m/分とした。波長3.75、2.47及び4.40μmにおける吸収を、それぞれA及びB層に対応する吸収として記録した。別途、A層及びB層のそれぞれについて、厚さ30〜200μmの標準品5点を作成し各波長での吸収を測定し検量線を求め、これに基づいてA層及びB層の膜厚を計算した。更に、A層とB層の合計値から、総厚を算出するとともに、各実施例の制御対象幅方向厚みを、各実施例について表1に示す厚み調整の配分に基づき算出した。なお、厚み調整の配分の数値は、全層については式(1)中のaに、A層については1−aに相当するものである。
製造ラインにおいて、厚み測定装置としてクラボウ製赤外線膜厚計(商品名KE−500、RX−200)を用いて、各層の幅方向厚みを0.2秒間隔で測定した。ラインスピードは5m/分とした。波長3.75、2.47及び4.40μmにおける吸収を、それぞれA及びB層に対応する吸収として記録した。別途、A層及びB層のそれぞれについて、厚さ30〜200μmの標準品5点を作成し各波長での吸収を測定し検量線を求め、これに基づいてA層及びB層の膜厚を計算した。更に、A層とB層の合計値から、総厚を算出するとともに、各実施例の制御対象幅方向厚みを、各実施例について表1に示す厚み調整の配分に基づき算出した。なお、厚み調整の配分の数値は、全層については式(1)中のaに、A層については1−aに相当するものである。
測定されたA層を含む制御対象幅方向厚み測定値から、カスケード制御方式により目標値との関係を分析し、ダイスのダイリップの間隔を、ダイボルトの調整により調節しながら行った。すなわち、目標プロファイル(すなわち、前記式(1)において算出される制御対象厚さ)について、プロファイル制御部、温度制御部、ダイボルト・ヒータ加熱制御装置、ダイボルト−リップ系、成形プロセスを順次経て、得られる複層フィルムのプロファイル制御を行なった。この場合、ダイボルトに取付けたヒータの温度を検出してこの検出値を前記温度制御部へフィードバックする制御演算と、前記成形プロセスによるプロファイル制御結果をプロファイル処理部で処理して、プロファイル制御部へフィードバックする制御演算とのカスケード制御を行い、各ダイボルトの温度設定がステップ状に更新され、Tダイリップ側の各ヒータに対する供給電力を調整した。
A層、及び全層の幅方向厚みについて、成形(厚み調整)開始から1時間経過時点で平均厚さ及び標準偏差を算出し、標準厚さを平均厚さで割った値を算出した。A層の幅方向厚みについて、該数値が0.01を下回る場合には、均一な幅方向厚みのA層を有する複層フィルムが得られているものと判断した。
結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
表1から、A層を含む制御対象幅方向厚みの調整を行った実施例1〜3は、全層の厚みを調整した比較例1の結果と比較して、均一な厚みのA層を持つ複層フィルムを得られたことが分かる。
このことから、A層の幅方向厚みを測定し、該測定値をもとに複層フィルムを構成する層のうち少なくともA層の厚みを制御しながら押出成形することにより、均一な幅方向厚みのA層を有する複層フィルムが得られることが明らかとなった。
このことから、A層の幅方向厚みを測定し、該測定値をもとに複層フィルムを構成する層のうち少なくともA層の厚みを制御しながら押出成形することにより、均一な幅方向厚みのA層を有する複層フィルムが得られることが明らかとなった。
比較例3〜5
各層の厚さの調整を行わずに、全層に対してリップにて自動制御を行うソフトを使用して複層フィルムを調製し、成形(厚み調整)開始から1時間および3時間経過時点で平均厚さ及び標準偏差を算出し、標準厚さを平均厚さで割った値を算出した。尚、樹脂、厚み構成等は、前記実施例1と同じ条件である。
結果を表2に示す。
各層の厚さの調整を行わずに、全層に対してリップにて自動制御を行うソフトを使用して複層フィルムを調製し、成形(厚み調整)開始から1時間および3時間経過時点で平均厚さ及び標準偏差を算出し、標準厚さを平均厚さで割った値を算出した。尚、樹脂、厚み構成等は、前記実施例1と同じ条件である。
結果を表2に示す。
表2に示すように、成形開始から1時間後のA層の標準厚さ/平均厚さは、いずれも0.01を超えており、3時間後にようやく0.01以下の数値が得られた。前記表1に示す実施例1〜2における数値が1時間以内という短時間で得られたのと比較して、長時間を要していることが分かる。このことから、全層に対して自動制御を行なうと、A層の厚みを迅速に効率よく調整することが困難となることが明らかである。
実施例3及び比較例6
上記実施例2と同様の条件で複層フィルムを作成し、0、8、16及び24時間経過時のA層、及び全層の幅方向厚みについて平均厚さ及び標準偏差を算出し、標準厚さを平均厚さで割った値を算出した。結果を表3に示す。
上記実施例2と同様の条件で複層フィルムを作成し、0、8、16及び24時間経過時のA層、及び全層の幅方向厚みについて平均厚さ及び標準偏差を算出し、標準厚さを平均厚さで割った値を算出した。結果を表3に示す。
一方、厚みの制御をせずに複層フィルムを作成し、上記と同様にして経時的にA層、及び全層の幅方向厚みについて平均厚さ及び標準偏差を算出し、標準厚さを平均厚さで割った値を算出した。結果を表4に示す。
表3及び表4から、A層のみ厚み調整を行った実施例4は、全層のみ、或いはA層よりも全層に重点を置いて調製した比較例5の結果と比較して、長時間安定して均一な厚みのA層を持つ複層フィルムを得られたことが分かる。
このことから、A層の幅方向厚みを測定し、該測定値をもとに少なくともA層の厚みを制御しながら押出成形することにより、均一な幅方向厚みのA層を有する複層フィルムが得られることが明らかとなった。
このことから、A層の幅方向厚みを測定し、該測定値をもとに少なくともA層の厚みを制御しながら押出成形することにより、均一な幅方向厚みのA層を有する複層フィルムが得られることが明らかとなった。
実施例4〜5及び比較例7〜8
前記実施例1〜2及び比較例1〜2と同様の条件で複層フィルムを作成した。作成開始1時間経過後に、厚さのばらつきを測定した。すなわち、フィルムの幅方向に渡って厚みを測定し、得られる厚みの平均値から最もずれた部分における厚みの平均値を算出し、両者の差を、厚みの平均値で割り、これを百分率(%)で示したものをばらつき(%)として評価した。結果を表5に示す。
前記実施例1〜2及び比較例1〜2と同様の条件で複層フィルムを作成した。作成開始1時間経過後に、厚さのばらつきを測定した。すなわち、フィルムの幅方向に渡って厚みを測定し、得られる厚みの平均値から最もずれた部分における厚みの平均値を算出し、両者の差を、厚みの平均値で割り、これを百分率(%)で示したものをばらつき(%)として評価した。結果を表5に示す。
表5から、少なくともA層の厚みを制御しながら押出成形することにより、1時間で厚さのばらつきを5%以内に抑えることができることが明らかとなった。
Claims (9)
- ガラス転移温度Tg(A)(℃)の樹脂からなる層(A層)の少なくとも片面にk個(kは1以上の整数)の透明な樹脂からなる層(B層)を積層してなる複層フィルムの製造方法であって、
前記透明な樹脂からなる層の番号をi(iは、1〜kの整数である。)、i番目の透明な樹脂からなる層(Bi層)のガラス転移温度をTg(Bi)(℃)としたとき、Tg(A)>Tg(Bi)+20℃を満たし、且つ、
複層フィルムを構成する層のうち少なくともA層を含む制御対象の幅方向厚みの測定値を検出し、該測定値に基づき制御対象の幅方向厚みの精度を調整しながら押出成形し、
制御対象の幅方向厚みが、式(1)で表されることを特徴とする複層フィルムの製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法により得られる複層フィルム。
- A層の厚さムラが、A層の平均厚さに対して5%以下である請求項2に記載の複層フィルム。
- 請求項2〜3のいずれか1項に記載の複層フィルムを、更に延伸することを特徴とする複層位相差フィルムの製造方法。
- 請求項4に記載の製造方法により得られる複層位相差フィルム。
- A層が固有複屈折値が負を示す樹脂からなる層であり、
前記複層フィルムのA層を延伸した結果の層を、a層、前記Bi層を延伸した結果の層を、bi層とし、
波長400〜700nmの光で測定したa層の面内レターデーションをRe(a)及びbi層の面内レターデーションの総和をRe(bk)としたとき、|Re(a)|>|Re(bk)|を満たすことを特徴とする請求項5に記載の複層位相差フィルム。 - |Re(bk)|が、20nm以下である請求項5〜6のいずれか1項に記載の複層位相差フィルム。
- 請求項5〜7のいずれか1項に記載の複層位相差フィルムと偏光板との積層体からなることを特徴とする光学素子。
- 請求項5〜7のいずれか1項に記載の複層位相差フィルムを少なくとも1枚用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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JP2005289358A JP2007098685A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 複層フィルムの製造方法 |
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JP2009178899A (ja) * | 2008-01-30 | 2009-08-13 | Nippon Zeon Co Ltd | 延伸積層フィルム、位相差フィルム及び液晶表示装置 |
JP2011126084A (ja) * | 2009-12-16 | 2011-06-30 | Nippon Zeon Co Ltd | 複層フィルム及び位相差フィルム並びにそれらの製造方法 |
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2005
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