<第1実施形態>
図1は本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態であるプリンタの内部構成を示す図、図2は図1の要部拡大図、図3は同プリンタの電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、いわゆるタンデム方式のカラープリンタであり、本発明の「潜像担持体」としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の感光体11Y、11M、11C、11Kを装置本体2内に並設している。このプリンタは、湿式現像方式を採用して、各感光体11Y、11M、11C、11K上のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成するものである。このプリンタでは、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号を含む印字指令信号が主制御部100に与えられると、この主制御部100からの制御信号に応じてエンジン制御部110がエンジン部1の各部を制御して、装置本体2の下部に配設された給紙カセット3から搬送した転写紙、複写紙およびOHP用紙などの記録媒体4に上記画像信号に対応する画像を印字出力する。
上記エンジン部1では、転写ユニット40の一構成要素である中間転写ベルト41の周回方向47に沿って並設された4つの感光体11Y、11M、11C、11Kのそれぞれに対応して、帯電部12、露光部20、現像部30(30Y、30M、30C、30K)および感光体クリーニング部14が設けられている。また、各現像部30Y、30M、30C、30Kは、各色トナーを分散した現像液32を貯留するタンク33(33Y、33M、33C、33K)をそれぞれ備えている。なお、これら帯電部12、露光部20、現像部30および感光体クリーニング部14の構成はいずれのトナー色についても同一である。したがって、ここでは、イエローに関する構成について説明し、その他のトナー色については同一または相当符号を付して説明を省略する。
図2に示すように、感光体11Yは矢印の方向(図中、時計回り方向)に回転自在に設けられており、その直径は約40mmである。そして、この感光体11Yの周りには、その回転方向に沿って、帯電部12、現像ローラ31、除電部(図示省略)および感光体クリーニング部14が配設されている。また、帯電部12と現像位置16との間の表面領域が露光部20からの光ビーム21の照射領域となっている。帯電部12は、帯電バイアス発生部111から帯電バイアスが印加されて、感光体11Yの外周面を所定の表面電位Vd(例えばVd=DC+600V)に均一に帯電するもので、帯電手段としての機能を有する。
この帯電部12によって均一に帯電された感光体11Yの外周面に向けて露光部20から例えばレーザで形成される光ビーム21が照射される。この露光部20は、露光制御部112から与えられる制御指令に応じて光ビーム21により感光体11Yを露光して、感光体11Y上に画像信号に対応するイエロー用静電潜像を形成するもので、露光手段としての機能を有する。例えば、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース102を介して主制御部100のCPU101に画像信号を含む印字指令信号が与えられると、主制御部100のCPU101からの指令に応じてCPU113が露光制御部112に対し所定のタイミングで画像信号に対応した制御信号を出力する。そして、この露光制御部112からの制御指令に応じて露光部20から光ビーム21が感光体11Yに照射されて、画像信号に対応するイエロー用静電潜像が感光体11Y上に形成される。また、必要に応じてパッチ画像を形成する場合には、予め設定された所定パターン(例えば、べた画像、細線画像、白抜き細線画像など)のパッチ画像信号に対応した制御信号がCPU113から露光制御部112に与えられ、該パターンに対応するイエロー用静電潜像が感光体11Y上に形成される。
こうして形成されたイエロー用静電潜像は現像部30Yの現像ローラ31から供給されるイエロートナーによって顕像化される(現像工程)。そして、感光体11Y上に形成されたイエロートナー像は、感光体11Yの回転に伴って1次転写ローラ53Yと対向する1次転写位置42Yに搬送される。この1次転写ローラ53Yは感光体11Yとで中間転写ベルト41を挟み込むように配置されている。また、この中間転写ベルト41は複数のローラ43a〜45に掛け渡されており、図示を省略する駆動モータにより感光体11Yに従動する方向(図1中、反時計回り)47に感光体11Yと等しい周速で周回走行する。そして、転写バイアス発生部115から1次転写バイアス(例えばDC−400V)が印加されると、感光体11Y上のイエロートナー像が1次転写位置42Yで中間転写ベルト41に1次転写される(転写工程)。
一方、1次転写後における感光体11Y上の残留電荷はLEDなどからなる除電部により除去され、残留現像液は感光体クリーニング部14により除去される。この感光体クリーニング部14は、感光体11Yの表面に当接されたゴム製の感光体クリーニングブレード141を有し、中間転写ベルト41にトナー像が1次転写された後に、感光体11Y上に残存する現像液32を感光体クリーニングブレード141により掻き落として除去することができる。なお、この現像部30Yの構成および動作については後で詳述する。
また、他のトナー色についても、イエロー(Y)と同様に構成されており、画像信号に対応したトナー像が形成される。そして、感光体11Y、11M、11C、11K上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー像は、1次転写ローラ53Y、53M、53C、53Kと対向する1次転写位置42Y、42M、42C、42Kでそれぞれ1次転写されることにより、中間転写ベルト41の表面上で重ね合わされてフルカラーのトナー像が形成される。
中間転写ベルト41に形成されたトナー像は中間転写ベルト41の回転に伴ってローラ45、48で挟まれた2次転写位置49に搬送される。一方、給紙カセット3(図1)に収容されている記録媒体4は、1次転写トナー像の搬送に同期して後述する搬送ユニット70により2次転写位置49に搬送される。そして、ローラ48は中間転写ベルト41に従動する方向(図1中、時計回り)に中間転写ベルト41と等しい周速で回転しており、転写バイアス発生部115から2次転写バイアスが印加されると、中間転写ベルト41上のトナー像が記録媒体4に2次転写される。このローラ48としては、例えば、ゴム硬度がJIS−Aで約50度のウレタンゴムで構成されており、その直径が約25mmのものを用いることができる。なお、この実施形態ではローラ転写を採用しているため、定電圧制御により転写条件を設定したり、定電流制御により転写条件を設定することができる。また、ローラ転写の代わりに、コロナ放電により転写を行うようにしてもよいが、この場合にはコロナ放電の出力を制御することで転写条件を設定することができる。2次転写後における中間転写ベルト41上の残留現像液はクリーニングブレード51により除去される。
上記のようにしてトナー像が2次転写された記録媒体4は、所定の搬送経路5(図1中、一点鎖線)に沿って搬送され、定着ユニット60によってトナー像が記録媒体4に定着され、装置本体2の上部に設けられた排出トレイに排出される。この定着ユニット60は加熱ヒータ61hを内蔵する加熱ローラ61と、加熱ローラ61に接触する加圧ローラ62とを備えている。そして、ヒータ制御部116により加熱ヒータ61hの作動を制御することで定着ユニット60での定着温度が任意の温度に調整可能となっている。
また、この実施形態にかかる画像形成装置では、記録媒体4を所定の搬送経路5に沿って搬送するための搬送ユニット70が設けられている。この搬送ユニット70では、図1に示すように、給紙カセット3に対応して給紙ローラ71が設けられており、この給紙ローラ71により給紙カセット3に収容されている記録媒体4を1枚ずつ取出し、フィードローラ72に搬送する。そして、このフィードローラ72が記録媒体4をゲートローラ73に搬送し、このゲートローラ位置で一時的に待機させる。そして、上記のように2次転写動作に対応したタイミングでゲートローラ73が駆動して記録媒体4を2次転写位置49に送り込む。また、排出トレイ側では、排出前ローラ74、排出ローラ75および反転コロ76が設けられており、2次転写された記録媒体4は定着ユニット60、排出前ローラ74および排出ローラ75を経由して排出トレイ側に搬送される。
ここで、両面印刷するためには記録媒体4を反転させて再度ゲートローラ73に搬送する必要があるため、排出ローラ75は正逆回転可能となっている。すなわち、記録媒体4をそのまま排出トレイに排出する際には、正回転し続けて記録媒体4を排出トレイに完全に搬送する。一方、反転再給送する際には、記録媒体4の後端部が排出前ローラ74と排出ローラ75との間の所定位置に達すると、排出ローラ75が逆回転して記録媒体4を反転コロ76に送り込む。これによって記録媒体4は反転経路5aに沿って再給送中間ローラ77に搬送される。そして、再給送中間ローラ77および再給送ゲート前ローラ78がゲートローラ73に記録媒体4を搬送し、このゲートローラ位置で一時的に待機させる。こうして、記録媒体4の反転再給送が行われる。このとき、2次転写位置49において中間転写ベルト41と当接し画像を転写される記録媒体4の面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、記録媒体4の両面に画像を形成することができる。また、該反対の面に2次転写が実行される際、先に画像が転写された面がローラ48に接触するが、この際、完全に記録媒体4に定着されていないトナーがローラ48に付着することがある。このようにしてローラ48に付着したトナーは、クリーニングブレード52により除去される。
なお、図3において、主制御部100は、インターフェース102を介して外部装置から与えられた画像信号を記憶するための画像メモリ103を備えており、CPU101は、外部装置から画像信号を含む印字指令信号をインターフェース102を介して受信すると、エンジン部1の動作指示に適した形式のジョブデータに変換し、エンジン制御部110に送出する。
また、エンジン制御部110のメモリ117は、予め設定された固定データを含むCPU113の制御プログラムを記憶するROMや、エンジン部1の制御データやCPU113による演算結果などを一時的に記憶するRAMなどからなる。CPU113はCPU101を介して外部装置から送られた画像信号に関するデータをメモリ117に格納する。
続いて、現像部30Yの構成および動作について図2、図4ないし図6を参照しつつ詳述する。図4は表面に溝が形成されたアニロクスローラの斜視概念図、図5は図2の矢印Aの方向から見た現像部の模式図、図6は図2の矢印Bの方向から見た現像部の模式図である。なお、現像部30M,30C,30Kの構成は現像部30Yの構成と同様であり、同一構成には同一符号または相当符号を付して説明を省略する。
この現像部30Yは、現像ローラ31(本発明の「現像剤担持体」に相当)に加えて、イエロートナーを分散した現像液32を貯留するタンク33Yと、該タンク33Yに貯留された現像液32を撹拌する撹拌ローラ37と、該現像液32を汲み出して現像ローラ31に塗布する塗布ローラ34と、該塗布ローラ34上の現像液層の厚さを均一に規制する規制ブレード35(本発明の「規制部材」に相当)と、感光体11Yへのトナー供給後に現像ローラ31上に残留した現像液を除去する現像ローラクリーニング部36とを備えている。現像ローラ31は感光体11Yに従動する方向D1(図2中、反時計回り、本発明の「第1方向」に相当)に感光体11Yとほぼ等しい周速で回転する。また、塗布ローラ34は現像ローラ31に従動する方向D2(図2中、時計回り、本発明の「第2方向」に相当)に現像ローラ31とほぼ等しい周速で回転する。
現像液32(本発明の「液体現像剤」に相当)は、本実施形態では、平均粒径0.1〜5μm程度の着色顔料、この着色顔料を接着するエポキシ樹脂などの接着剤、トナーに所定の電荷を与える荷電制御剤、着色顔料を均一に分散させる分散剤等からなるトナーが、液体キャリア中に分散されてなる。本実施形態では、液体キャリアとして、例えばポリジメチルシロキサンオイルなどのシリコーンオイルを用いており、トナー濃度を5〜40重量%として、湿式現像方式で多く用いられる低濃度現像液(トナー濃度が1〜2重量%)に比べて高濃度にしている。なお、液体キャリアの種類はシリコーンオイルに限定されるものではなく、また、現像液32の粘度は、使用する液体キャリアやトナーを構成する各材料、トナー濃度などによって決まるが、本実施形態では、例えば粘度を100〜10000mPa・sとしている。
感光体11Yと現像ローラ31との間隔(現像ギャップ=現像液層の厚さ)は、本実施形態では例えば5〜40μmに設定し、現像ニップ距離(現像液層が感光体11Yおよび現像ローラ31の双方に接触している周方向の距離)は、本実施形態では例えば5mmに設定している。上述した低濃度現像液の場合にはトナー量を稼ぐべく100〜200μmの現像ギャップを必要とするのに比べて、高濃度現像液を用いる本実施形態では現像ギャップを短縮することができる。従って、現像液中を電気泳動によって移動するトナーの移動距離が短縮するとともに、同一の現像バイアスを印加してもより高い電界が発生するので、現像効率を向上することができ、現像を高速に行えることとなる。
撹拌ローラ37は、タンク33Yに収容されている現像液32を汲み上げて塗布ローラ34へ搬送する。この撹拌ローラ37は、その下部がタンク33Yに貯留された現像液32に浸されており、また、塗布ローラ34から、約1mmの幅を持って離間している。さらに、撹拌ローラ37は、その中心軸を中心として回転可能であり、該中心軸は、塗布ローラ34の回転中心軸よりも下方にある。また、撹拌ローラ37は、塗布ローラ34の回転方向(図5中、時計回り)と同じ方向に回転する。なお、撹拌ローラ37は、タンク33Yに収容された現像液32を汲み上げて塗布ローラ34へ搬送する機能を有するとともに、現像液32を適正な状態に維持するためにを撹拌する機能をも有している。このような撹拌ローラとしては、例えば、鉄等金属性のローラであり、その直径が約20mmのものを用いることができる。
塗布ローラ34は、タンク33Yから撹拌ローラ37により搬送された現像液32を塗布位置17において現像ローラ31へ供給する。この塗布ローラ34は、鉄等金属性のローラの表面に図4に示すように溝34aが均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、図4に示すように、塗布ローラ34の回転方向D2に対して斜めに複数の溝34aが形成されている。塗布ローラ34にはローラ駆動部118(図3)と電気的に接続されたローラ駆動モータ340が設けられており、ローラ駆動部118からの制御信号に従ってローラ駆動モータ340が回転する。そして、このローラ駆動モータ340が回転することによって、塗布ローラ34は矢印D2の方向へ回転する。このように、塗布ローラ34は時計回りに回転しながら現像液32に接触することによって、溝34aに現像液32を担持して、該担持した現像液32を現像ローラ31へ搬送する。したがって、塗布ローラ34は溝34aが形成されているX方向の幅で現像ローラ31に現像液32を塗布することができる。
また、塗布ローラ34は、該塗布ローラ34上の現像液32を現像ローラ31に適切に塗布するために、その表面が、該現像ローラ31の後述する弾性体の層に圧接している。また、塗布ローラ34は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、現像ローラ31の回転中心軸よりも下方にある。また、塗布ローラ34は、現像ローラ31の回転方向(図2中、反時計回り)と逆の方向(図2中、時計回り)に回転する。
規制ブレード35は、塗布ローラ34の回転方向D2における塗布位置17の上流側において、塗布ローラ34のスラスト方向に沿って、該塗布ローラ34の表面に接触して、塗布ローラ34上の現像液32の量を規制する。すなわち、規制ブレード35は、塗布ローラ34上の余剰な現像液32を掻き取って、現像ローラ31に供給する塗布ローラ34上の現像液32の量を計量する役割を果たしている。この規制ブレード35は、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材351によって支持されている。なお、本実施形態において、規制ブレード35のゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード35は、その先端が塗布ローラ34の回転方向の下流側に向くように配置されており、いわゆるトレール規制を行っている。
現像ローラ31は、感光体11Yに担持された静電潜像を現像液32により現像するために、現像液32を担持して感光体11Yと対向する現像位置16に搬送する。この現像ローラ31は、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性部の一例としての弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ31は、その表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ34及び感光体11Yのそれぞれに圧接して
いる。
また、現像ローラ31は、その中心軸を中心として回転可能であり、該中心軸は、感光体11Yの回転中心軸よりも下方にある。現像ローラ31にはローラ駆動部118と電気的に接続されたローラ駆動モータ310が設けられており、ローラ駆動部118からの制御信号に従ってローラ駆動モータ310が回転する。そして、このローラ駆動モータ310が回転することによって、現像ローラ31は、感光体11Yの回転方向と逆の方向D1(図2中、反時計回り)に回転する。なお、感光体11Y上に形成された静電潜像を現像する際には、現像ローラ31と感光体11Yとの間に電界が形成される。
現像ローラクリーニング部36は、現像ローラ31の回転方向D1における現像位置の下流側において、現像ローラ31のスラスト方向に沿って、該現像ローラ31の表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード361を有する。そして、前記現像位置16で現像が行われた後に、現像ローラ31上に残存する現像液32を現像ローラクリーニングブレード361により掻き落として除去するための装置である。
このように構成された現像部30Yにおいて、撹拌ローラ37が、その中心軸回りに回転することによって、タンク33Yに収容されている現像液32を汲み上げて塗布ローラ34へ搬送する。塗布ローラ34に搬送された現像液32は、塗布ローラ34の回転によって、規制ブレード35の当接位置に至る。そして、該当接位置を通過する際に、現像液32の余剰分が規制ブレード35によって掻き取られ、現像ローラ31に供給される現像液32の量が計量される。すなわち、塗布ローラ34には、前述したとおり、溝34aが設けられているから、塗布ローラ34に当接する規制ブレード35は、溝34aに担持された現像液32を残して、塗布ローラ34から現像液32を掻き取ることとなる。また、現像ローラ31に供給される現像液32の量が適正な量になるように溝34aの寸法が決められているので、規制ブレード35が塗布ローラ34上の現像液32を掻き取った際には、溝34aによって適正な量に計量された現像液32が溝34aに残存することとなる。
このようにして、タンク33Yに貯留された現像液32が塗布ローラ34により汲み出され、規制ブレード35により塗布ローラ34上の現像液32の量が均一に規制され、この均一な現像液32が塗布位置17において現像ローラ31の表面に塗布され、現像ローラ31の回転に伴って感光体11Yに対向する現像位置16に搬送される。現像液32中のトナーは、荷電制御剤などの作用によって例えば正に帯電している。そして、現像位置16において現像ローラ31に担持されている現像液32が、現像ローラ31から供給されて感光体11Yに付着し、現像バイアス発生部114から現像ローラ31に印加される現像バイアスVb(例えばVb=DC+400V)によってイエロートナーが現像ローラ31から感光体11Yに移動して、イエロー用静電潜像が顕像化される。また、感光体11Yに付着せずに現像ローラ31上に残った現像液は、現像ローラクリーニングブレード361により掻き落とされる。
このようにして、感光体11Y上に形成されたイエロートナー像は、上述したように、1次転写位置42Yにおいて中間転写ベルト41に1次転写され、1次転写が終了後に感光体11Yに残留している現像液32は感光体クリーニング部14によって除去される。
続いて、現像ローラ31および塗布ローラ34の構成および動作について、図5および図6を参照しつつ、さらに詳しく説明する。塗布ローラ34の表面には、上記したように、該塗布ローラ34の回転方向D2に対して斜めに設けられた複数の溝34aが形成されている。したがって、塗布ローラ34と現像ローラ31とが当接しながら回転することによって、塗布ローラ34および現像ローラ31にはそれぞれ、スラスト力THar,THdrが発生する。そして、この実施形態では、塗布ローラ34に発生するスラスト力THarが向う側と反対方向に塗布ローラ34を付勢するバイアス付与接点38a(本発明の「付勢部材」に相当)が、接点支持部材381に支持されて配設されている(図5および図6参照)。なお、このバイアス付与接点38aは、塗布バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続されており、塗布バイアス発生部はバイアス付与接点38aを介して、塗布ローラ34に塗布バイアスを印加することができる。そして、塗布ローラ34に塗布バイアスを印加することによって、塗布ローラ34に担持された現像液32に含まれるトナー粒子を、該現像液32の表層側に移動させて、塗布ローラ34から現像ローラ31への現像液32の塗布効率を向上させたりすることができる。また、図5および図6に示すように、本実施形態におけるバイアス付与接点38aは板ばねで構成されている。また、本実施形態におけるバイアス付与接点38aが有する付勢力は、塗布ローラ34および現像ローラ31に発生するスラスト力よりも小さくなるように構成している。このように、付勢部材が有する付勢力がスラスト力よりも小さくなるように構成する点については、後述する実施形態にいても同様である。
ところで、塗布ローラ34および現像ローラ31は、製造誤差や組立性などを考慮してスラスト方向に遊びが生じるように設計されており、該スラスト方向に移動自在となっている。そのため、塗布ローラ34および現像ローラ31に対してスラスト方向の外力が印加されると、移動することとなる。そのため、現像工程時に現像ローラ31および塗布ローラ34が当接しながら回転してスラスト力が発生するのに伴い、以下に詳述するような現象が発生する。
a)回転前
塗布ローラ34はバイアス付与接点38aからの付勢力BFarによって、(−X)側に付勢されており、塗布ローラ34はスラスト方向の遊び内のうち、(−X)側に最大限寄った位置に停止している。また、この実施形態では、現像ローラ31も、スラスト方向の遊び内のうち、(−X)側に最大限寄った位置に停止している(図5(a)、図6(a)参照)。
b)回転中
塗布ローラ34および現像ローラ31が当接しながら回転することによって、塗布ローラ34および現像ローラ31のそれぞれにスラスト力THar,THdrが発生する。そのため、塗布ローラ34はスラスト力THarが向う側へ、バイアス付与接点38aの付勢力BFarに抗しながら、スラスト方向の遊び分だけ、(+X)方向へ移動する。現像ローラ31は、既に遊び内で、(−X)側へ最大限寄った位置に停止しているため、スラスト力THdrによってそれ以上は移動しない(図5(b)、図6(b)参照)。
c)回転停止直後
塗布ローラ34および現像ローラ31が回転停止するのに伴い、それぞれのローラに発生していたスラスト力THar,THdrは消失する(図5(c)、図6(c)参照)。この状態で、塗布ローラ34にはバイアス付与接点38aによる(−X)方向への付勢力BFarのみが作用している。そのため、塗布ローラ34は、遊び分だけ(−X)方向へ移動して、図5(a)、図6(a)の状態で停止する。
以上のように、この実施形態では、塗布ローラ34は塗布位置17で現像ローラ31と接触しながら矢印D2の方向に回転自在に設けられており、塗布位置17で現像液32を現像ローラに塗布している。これら塗布ローラ34および現像ローラ31は、製造誤差や組立性などを考慮してスラスト方向に遊びが生じるように設計されており、該スラスト方向に移動自在となっている。そのため、塗布ローラ34および現像ローラ31に対してスラスト方向の外力が印加されると、移動することとなる。そこで、この実施形態では、塗布ローラ34の表面に複数の溝34aをその回転方向D2に対して斜めに設けて塗布ローラ34および現像ローラ31を相対的にスラスト方向に移動可能に構成している。すなわち、現像動作時に塗布ローラ34および現像ローラ31が塗布位置17で相互に接触した状態で回転されると、塗布ローラ34および現像ローラ31の各々にスラスト力THar,THdrが発生する。そして、該スラスト力を受けて塗布ローラ34および現像ローラ31が相対的に移動する。したがって、現像動作が行われていない際の停止状態中に塗布ローラ34と現像ローラ31との当接部(塗布位置17)、および該当接部分の両端部の周辺に現像液32の液溜まりが発生してしまったり、さらに、該液溜まりが固着していたり、あるいは固着に向ってしまっていたとしても、塗布ローラ34および現像ローラ31が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、当接部分の両端部の周辺に発生している液溜まりも含めて、現像液32の液溜まりを解消でき、さらに固着した、あるいは固着に向っている現像液32を除去することができる。なお、この実施形態では、次に説明するように回転停止時に両者を回転動作時とは逆の方向に相対移動させるべくバイアス付与接点38a(付勢部材)を設けて上記スラスト力THarの向かう側とは反対側に付勢力BFarを作用させているが、その付勢力BFarはスラスト力THarよりも小さいために、上記相対移動を妨げるものとはなっていない。
また、現像動作が終了して、塗布ローラ34および現像ローラ31が停止するのに伴い、塗布ローラ34および現像ローラ31に発生していたスラスト力THar,THdrが消失する。そのため、塗布ローラ34は、バイアス付与接点38a(付勢部材)による付勢力BFarによって、スラスト方向に移動して、スラスト力THarによって移動する前の位置(初期位置)まで戻る。したがって、塗布ローラ34および現像ローラ31が停止する際、塗布ローラ34および現像ローラ31が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、該当接部分の両端部の周辺も含め、当接部において、現像液32の液溜まりができるのを防止して、該現像液32が固着するのを効率よく防止することができる。
また、続いて現像動作が行われる場合、塗布ローラ34は初期位置に戻っているため、現像動作時に塗布ローラ34と現像ローラ31が停止状態から回転動作を開始した際、塗布ローラ34および現像ローラ31にそれぞれ発生するスラスト力THar,THdrによって、上記したような作用効果を再び奏することができる。このように、現像動作の開始時と終了時に、塗布ローラ34および現像ローラ31が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、塗布ローラ34と現像ローラ31との当接部、および該当接部分の両端部の周辺で現像液32の液溜まりが発生したり、現像液32が固着するのを効率よく防止することができる。したがって、現像ローラ31に現像液32を均一に塗布することができ、現像精度を向上させることができる。
また、現像動作の開始時と終了時に、塗布ローラ34と規制ブレード35(規制部材)が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、塗布ローラ34と規制ブレード35との当接部、および該当接部分の両端部の周辺で現像液32の液溜まりが発生したり、現像液32が固着するのを効率よく防止することができる。そのため、塗布ローラ34上の現像液32の量を規制ブレード35によって確実に規制することができる。したがって、現像ローラ31に量を規制した現像液32を均一に塗布することができ、現像精度をさらに向上させることができる。
また、本発明における付勢部材をバイアス付与接点38a(板ばね)で構成している。したがって、塗布ローラ34にバイアスを付与する接点と付勢部材とを兼用することができるので、部品数を削減でき、装置構成を簡素化することができる。
また、塗布ローラ34は、その表面に溝が形成されたアニロクスローラであって、溝34aに現像液32を担持することによって現像液32を搬送する構成としている。したがって、塗布ローラ34(アニロクスローラ)の溝34aで現像液32を担持することによって、一定量に計量した現像液32を現像ローラ31に塗布することができる。よって、現像ローラ31に精度よく均一に現像液32を塗布することができる。このように、現像液32が均一に塗布された現像ローラ31が感光体に当接して、該感光体上の静電潜像を現像することによって、該静電潜像の現像精度を向上させることができる。
<第2実施形態>
図7は本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態において図2の矢印Aの方向から見た現像部の模式図、図8は本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態において図2の矢印Bの方向からみた現像部の模式図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、本発明の付勢部材として、バイアス付与接点38bを現像ローラ31に設けるともに、ローラ駆動モータ310,340を、現像ローラ31および塗布ローラ34の(+X)側に設けている点であり、その他の構成は第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態との相違点を中心に第2実施形態について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
塗布ローラ34の表面には、第1実施形態と同様に、回転方向D2に対して斜めに設けられた複数の溝34aが形成されている。したがって、塗布ローラ34と現像ローラ31とが当接しながら回転することによって、塗布ローラ34および現像ローラ31にはそれぞれ、スラスト力THar,THdrが発生する。そして、この実施形態では、現像ローラ31に発生するスラスト力THdrが向う側と反対方向に現像ローラ31を付勢するバイアス付与接点38b(本発明の「付勢部材」に相当)が、接点支持部材381に支持されて配設されている(図7および図8参照)。なお、このバイアス付与接点38bは、現像バイアス発生部114と電気的に接続されており、現像バイアス発生部114はバイアス付与接点38bを介して、現像ローラ31に現像バイアスを印加することができる。また、図7および図8に示すように、本実施形態におけるバイアス付与接点38bは板ばねで構成されている。また、本実施形態におけるバイアス付与接点38bが有する付勢力BFdrは、塗布ローラ34および現像ローラ31に発生するスラスト力よりも小さくなるように構成している。
この第2実施形態では、第1実施形態と同様に、塗布ローラ34および現像ローラ31は、製造誤差や組立性などを考慮してスラスト方向に遊びが生じるように設計されており、該スラスト方向に移動自在となっている。そのため、現像工程時に現像ローラ31および塗布ローラ34が当接しながら回転してスラスト力が発生するのに伴い、以下に詳述するような現象が発生する。
a)回転前
現像ローラ31はバイアス付与接点38bからの付勢力BFdrによって、(+X)側に付勢されており、現像ローラ31はスラスト方向の遊び内のうち、(+X)側に最大限寄った位置に停止している。また、この実施形態では、塗布ローラ34も、スラスト方向の遊び内のうち、(+X)側に最大限寄った位置に停止している(図7(a)、図8(a)参照)。
b)回転中
塗布ローラ34および現像ローラ31が当接しながら回転することによって、塗布ローラ34および現像ローラ31のそれぞれにスラスト力THar,THdrが発生する。そのため、現像ローラ31はスラスト力THdrが向う側へ、バイアス付与接点38bの付勢力BFdrに抗しながら、スラスト方向の遊び分だけ、(−X)方向へ移動する。塗布ローラ34は、既に遊び内で、(+X)側へ最大限寄った位置に停止しているため、スラスト力THarによってそれ以上は移動しない(図7(b)、図8(b)参照)。
c)回転停止直後
塗布ローラ34および現像ローラ31が回転停止するのに伴い、それぞれのローラに発生していたスラスト力THar,THdrは消失する(図7(c)、図8(c)参照)。この状態で、現像ローラ31にはバイアス付与接点38bによる(+X)方向へ付勢力BFdrのみが作用している。そのため、現像ローラ31は、遊び分だけ(+X)の方向へ移動して、図7(a)、図8(a)の状態で停止する。
この第2実施形態では、第1実施形態と同様に、塗布ローラ34の表面に複数の溝34aをその回転方向D2に対して斜めに設けて塗布ローラ34および現像ローラ31を相対的にスラスト方向に移動可能に構成している。すなわち、現像動作時に塗布ローラ34および現像ローラ31が塗布位置17で相互に接触した状態で回転されると、塗布ローラ34および現像ローラ31の各々にスラスト力THar,THdrが発生する。そして、該スラスト力を受けて塗布ローラ34および現像ローラ31が相対的に移動する。したがって、現像動作が行われていない際の停止状態中に塗布ローラ34と現像ローラ31との当接部、および該当接部分の両端部の周辺に現像液32の液溜まりが発生してしまったり、さらに、該液溜まりが固着していたり、あるいは固着に向ってしまっていたとしても、塗布ローラ34および現像ローラ31が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、当接部分の両端部の周辺に発生している液溜まりも含めて、現像液32の液溜まりを解消でき、さらに固着した、あるいは固着に向っている現像液32を除去することができる。
また、現像動作が終了して、塗布ローラ34および現像ローラ31が停止するのに伴い、塗布ローラ34および現像ローラ31に発生していたスラスト力THar,THdrが消失する。そのため、現像ローラ31は、バイアス付与接点38b(付勢部材)による付勢力BFdrによって、スラスト方向に移動して、スラスト力THdrによって移動する前の位置(初期位置)まで戻る。したがって、塗布ローラ34および現像ローラ31が停止する際、塗布ローラ34および現像ローラ31が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、該当接部分の両端部の周辺も含め、当接部において、現像液32の液溜まりができるのを防止して、該現像液32が固着するのを効率よく防止することができる。
また、続いて現像動作が行われる場合、現像ローラ31は初期位置に戻っているため、現像動作時に塗布ローラ34と現像ローラ31が停止状態から回転動作を開始した際、塗布ローラ34および現像ローラ31にそれぞれ発生するスラスト力THar,THdrによって、上記したような作用効果を再び奏することができる。このように、現像動作の開始時と終了時に、塗布ローラ34および現像ローラ31が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、塗布ローラ34と現像ローラ31との当接部、および該当接部分の両端部の周辺で現像液32の液溜まりが発生したり、現像液32が固着するのを効率よく防止することができる。したがって、現像ローラ31に現像液32を均一に塗布することができ、現像精度を向上させることができる。
また、現像動作の開始時と終了時に、現像ローラ31と現像ローラクリーニングブレード361(本発明の「クリーニング部材」に相当)が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、現像ローラ31と現像ローラクリーニングブレード361との当接部、および該当接部分の両端部の周辺で現像液32の液溜まりが発生したり、現像液32が固着するのを効率よく防止するできる。そのため、現像ローラ31上に残留する現像液32を確実に除去することができる。したがって、現像液32がその表面から綺麗に除去された現像ローラ31に現像液32を塗布することができるので、現像液32をを現像ローラ31に均一に塗布することができ、現像精度をさらに向上させることができる。
<第3実施形態>
図9は本発明にかかる画像形成装置の第3実施形態において図2の矢印Aの方向から見た現像部の模式図である。この第3実施形態が第1および第2実施形態と大きく相違する点は、本発明の付勢部材として、バイアス付与接点38a,38bを塗布ローラ34および現像ローラ31に設けている点である。そして、ローラ駆動モータ310を現像ローラ31の(+X)側に、ローラ駆動モータ340を塗布ローラ34の(−X)側に設けている。その他の構成は、第1および第2実施形態と同様である。以下、第1および第2実施形態との相違点を中心に第3実施形態について詳細に述べる。なお、第1および第2実施形態と同一な構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
塗布ローラ34の表面には、第1および第2実施形態と同様に、回転方向D2に対して斜めに設けられた複数の溝34aが形成されている。したがって、塗布ローラ34と現像ローラ31とが当接しながら回転することによって、塗布ローラ34および現像ローラ31にはそれぞれ、スラスト力THar,THdrが発生する。そして、この実施形態では、塗布ローラ34および現像ローラ31に発生するスラスト力THar,THdrが向う側と反対方向に塗布ローラ34および現像ローラ31を付勢するバイアス付与接点38a,38b(本発明の「付勢部材」に相当)が、接点支持部材381に支持されて配設されている(図9参照)。
なお、このバイアス付与接点38a,38bは、上記第1および第2実施形態と同様に、塗布バイアス発生部(図示省略)および現像バイアス発生部114と電気的に接続されている。したがって、塗布バイアス発生部はバイアス付与接点38aを介して塗布ローラ34に塗布バイアスを印加することができ、現像バイアス発生部114はバイアス付与接点38bを介して現像ローラ31に現像バイアスを印加することができる。また、図9に示すように、上記第1および第2実施形態と同様に、本実施形態におけるバイアス付与接点38a,38bは板ばねで構成されている。また、本実施形態におけるバイアス付与接点38a,38bが有する付勢力BFar,BFdrは、塗布ローラ34および現像ローラ31に発生するスラスト力よりも小さくなるように構成している。
また、この第3実施形態では、第1および第2実施形態と同様に、塗布ローラ34および現像ローラ31は、製造誤差や組立性などを考慮してスラスト方向に遊びが生じるように設計されており、該スラスト方向に移動自在となっている。そのため、現像工程時に現像ローラ31および塗布ローラ34が当接しながら回転してスラスト力が発生するのに伴い、以下に詳述するような現象が発生する。
a)回転前
塗布ローラ34はバイアス付与接点38aからの付勢力BFarによって、(−X)側に付勢されており、塗布ローラ34はスラスト方向の遊び内のうち、(−X)側に最大限寄った位置に停止している。また、現像ローラ31はバイアス付与接点38bからの付勢力BFdrによって、(+X)側に付勢されており、現像ローラ31はスラスト方向の遊び内のうち、(+X)側に最大限寄った位置に停止している(図9(a)参照)。
b)回転中
塗布ローラ34および現像ローラ31が当接しながら回転することによって、塗布ローラ34および現像ローラ31のそれぞれにスラスト力THar,THdrが発生する。そのため、塗布ローラ34はスラスト力THarが向う側へ、バイアス付与接点38aの付勢力BFarに抗しながら、スラスト方向の遊び分だけ、(+X)方向へ移動する。また、現像ローラ31はスラスト力THdrが向う側へ、バイアス付与接点38bの付勢力BFdrに抗しながら、スラスト方向の遊び分だけ、(−X)方向へ移動する(図9(b)参照)。
c)回転停止直後
塗布ローラ34および現像ローラ31が回転停止するのに伴い、それぞれのローラに発生していたスラスト力THar,THdrは消失する(図9(c)参照)。この状態で、塗布ローラ34にはバイアス付与接点38aによる(−X)方向への付勢力BFarのみが作用している。また、現像ローラ31にはバイアス付与接点38bによる(+X)方向への付勢力BFdrのみが作用している。そのため、塗布ローラ34は、遊び分だけ(−X)の方向へ移動し、現像ローラ31は、遊び分だけ(+X)の方向へ移動して、図9(a)の状態で停止する。
この第3実施形態では、現像動作の開始時と終了時に、塗布ローラ34と現像ローラ31が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、上記第1および第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、この実施形態では、塗布ローラ34および現像ローラ31の両方をスラスト方向に積極的に移動させることによって、該塗布ローラ34および現像ローラ31の相対的な移動距離を大きくすることができる。そのため、塗布ローラ34と現像ローラ31との当接部、および該当接部分の両端部の周辺で現像液32の液溜まりが発生したり、現像液32が固着するのをさらに効率よく防止することができる。したがって、現像ローラ31に現像液32をより均一に塗布することができ、現像精度をさらに向上させることができる。
また、現像動作の開始時と終了時に、塗布ローラ34と規制ブレード35(規制部材)が当接部においてスラスト方向に相対的に移動する。さらに、現像動作の開始時と終了時に、現像ローラ31と現像ローラクリーニングブレード361(クリーニング部材)が当接部においてスラスト方向に相対的に移動する。したがって、上記第1および第2実施形態における作用効果を同時に奏することができる。このため、現像ローラ31の表面により均一に現像液32を塗布することができ、このように均一に塗布された現像液32によって感光体上の静電潜像を現像することによって、現像精度をさらに向上させることができる。
<第4実施形態>
図10は本発明にかかる画像形成装置の第4実施形態において図2の矢印Aの方向から見た現像部の模式図である。この第4実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、塗布ローラ341と現像ローラ31とが当接しながら回転することによって発生するスラスト力の向う側が、上記第1実施形態の方向と反対の方向になるように、塗布ローラ341に溝34aを形成するとともに、本発明の付勢部材として、バイアス付与接点38bを現像ローラ31に設けている点であり、その他の構成は第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態との相違点を中心に第4実施形態について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
塗布ローラ341の表面には、第1実施形態と逆向きに、回転方向D2に対して斜めに設けられた複数の溝34aが形成されている(図10参照)。したがって、塗布ローラ341と現像ローラ31とが当接しながら回転することによって、塗布ローラ341および現像ローラ31にはそれぞれ、スラスト力THar2,THdr2が発生する。そして、この実施形態では、現像ローラ31に発生するスラスト力THdr2が向う側と反対方向に現像ローラ31を付勢するバイアス付与接点38b(本発明の「付勢部材」に相当)が、接点支持部材381に支持されて配設されている(図10参照)。なお、このバイアス付与接点38bは、現像バイアス発生部114と電気的に接続されており、現像バイアス発生部114はバイアス付与接点38bを介して、現像ローラ31に現像バイアスを印加することができる。また、図10に示すように、本実施形態におけるバイアス付与接点38bは板ばねで構成されている。また、本実施形態におけるバイアス付与接点38bが有する付勢力BFdrは、塗布ローラ34および現像ローラ31に発生するスラスト力よりも小さくなるように構成している。
この第4実施形態では、第1実施形態と同様に、塗布ローラ34および現像ローラ31は、製造誤差や組立性などを考慮してスラスト方向に遊びが生じるように設計されており、該スラスト方向に移動自在となっている。そのため、現像工程時に現像ローラ31および塗布ローラ341が当接しながら回転してスラスト力が発生するのに伴い、以下に詳述するような現象が発生する。
a)回転前
現像ローラ31はバイアス付与接点38bからの付勢力BFdrによって、(−X)側に付勢されており、現像ローラ31はスラスト方向の遊び内のうち、(−X)側に最大限寄った位置に停止している。また、この実施形態では、塗布ローラ341も、スラスト方向の遊び内のうち、(−X)側に最大限寄った位置に停止している(図10(a)参照)。
b)回転中
塗布ローラ341および現像ローラ31が当接しながら回転することによって、塗布ローラ341および現像ローラ31のそれぞれにスラスト力THar2,THdr2が発生する。そのため、現像ローラ31はスラスト力THdr2が向う側へ、バイアス付与接点38bの付勢力BFdrに抗しながら、スラスト方向の遊び分だけ、(+X)方向へ移動する。塗布ローラ341は、既に遊び内で、(−X)側へ最大限寄った位置に停止しているため、スラスト力THar2によってそれ以上は移動しない(図10(b)参照)。
c)回転停止直後
塗布ローラ341および現像ローラ31が回転停止するのに伴い、それぞれのローラに発生していたスラスト力THar2,THdr2は消失する(図10(c)参照)。この状態で、現像ローラ31にはバイアス付与接点38bによる(−X)方向へ付勢力BFdrのみが作用している。そのため、現像ローラ31は、遊び分だけ(−X)の方向へ移動して、図10(a)の状態で停止する。
この第4実施形態では、第1実施形態とは逆向きに、塗布ローラ34の表面に複数の溝34aをその回転方向D2に対して斜めに設けて塗布ローラ34および現像ローラ31を相対的にスラスト方向に移動可能に構成している。すなわち、現像動作時に塗布ローラ34および現像ローラ31が塗布位置17で相互に接触した状態で回転されると、塗布ローラ34および現像ローラ31の各々にスラスト力THar,THdrが発生する。そして、該スラスト力を受けて塗布ローラ34および現像ローラ31が相対的に移動する。したがって、現像動作が行われていない際の停止状態中に塗布ローラ341と現像ローラ31との当接部、および該当接部分の両端部の周辺に現像液32の液溜まりが発生してしまったり、さらに、該液溜まりが固着していたり、あるいは固着に向ってしまっていたとしても、塗布ローラ341および現像ローラ31が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、当接部分の両端部の周辺に発生している液溜まりも含めて、現像液32の液溜まりを解消でき、さらに固着した、あるいは固着に向っている現像液32を除去することができる。
また、現像動作が終了して、塗布ローラ341および現像ローラ31が停止するのに伴い、塗布ローラ341および現像ローラ31に発生していたスラスト力THar2,THdr2が消失する。そのため、現像ローラ31は、バイアス付与接点38b(付勢部材)による付勢力BFdrによって、スラスト方向に移動して、スラスト力THdr2によって移動する前の位置(初期位置)まで戻る。したがって、塗布ローラ341および現像ローラ31が停止する際、塗布ローラ341および現像ローラ31が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、該当接部分の両端部の周辺も含め、当接部において、現像液32の液溜まりができるのを防止して、該現像液32が固着するのを効率よく防止することができる。
また、続いて現像動作が行われる場合、現像ローラ31は初期位置に戻っているため、現像動作時に塗布ローラ341と現像ローラ31が停止状態から回転動作を開始した際、塗布ローラ341および現像ローラ31にそれぞれ発生するスラスト力THar2,THdr2によって、上記したような作用効果を再び奏することができる。このように、現像動作の開始時と終了時に、塗布ローラ341および現像ローラ31が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、塗布ローラ341と現像ローラ31との当接部、および該当接部分の両端部の周辺で現像液32の液溜まりが発生したり、現像液32が固着するのを効率よく防止することができる。したがって、現像ローラ31に現像液32を均一に塗布することができ、現像精度を向上させることができる。
また、現像動作の開始時と終了時に、現像ローラ31と現像ローラクリーニングブレード361(クリーニング部材)が当接部においてスラスト方向に相対的に移動するので、上記第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
<第5実施形態>
図11は本発明にかかる画像形成装置の第5実施形態において図2の矢印Aの方向から見た現像部の模式図である。この第5実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、付勢部材としてバイアス付与接点38aの代わりにコイルばね38cを用いて、塗布ローラ34に付勢力BFar2を与えている点である。その他の構成は第1実施形態と同様であり、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
<第6実施形態>
図12は本発明にかかる画像形成装置の第6実施形態において図2の矢印Aの方向から見た現像部の模式図である。この第6実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、付勢部材としてバイアス付与接点38aの代わりにゴムプッシュ38dを用いて、塗布ローラ34に付勢力BFar3を与えている点である。このゴムプッシュは図12に示すように、ゴム部分38d1で塗布ローラ34の回転軸を回転自在に支持している。このような構成とすれば、塗布ローラ34が、該塗布ローラ34に発生したスラスト力によって(+X)方向へ移動した際、塗布ローラ34の回転軸を支持しているゴム部分38d1が弾性変形することによって、該回転軸をスラスト力による移動方向とは反対の(−X)方向に付勢することができる。その他の構成は第1実施形態と同様であり、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
<第7実施形態>
図13は第7実施形態におけるワイヤーバーを示す模式図である。この実施形態が第1ないし第6実施形態と大きく相違する点は、塗布ローラとして、アニロクスローラの代わりにワイヤーバー39を用いている点であり、その他の構成は第1ないし第6実施形態と同様である。以下、第1ないし第6実施形態との相違点を中心に第7実施形態について詳細に述べる。なお、第1ないし第6実施形態と同一な構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
このワイヤーバー39は、芯金に、例えば、線径100μmのワイヤー391を100μmのピッチ感覚で巻きつけることによって構成することができる。ワイヤー391を芯金に巻きつけることによって形成されたワイヤ間の凹部39aは、アニロクスローラ(塗布ローラ34,341)における溝34aと同様の作用効果を有する。
このような構成とすれば、ワイヤーバー39の表面粗さは比較的小さいため、ワイヤーバー39と現像ローラ31との当接部における静止摩擦力を小さくすることができる。したがって、ワイヤーバー39と現像ローラ31とを当接させながらスラスト方向に相対的に移動させやすくなる。このため、ワイヤーバー39と現像ローラ31とを当接させながら、確実にスラスト方向に相対的に移動させることができる。
<その他>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、付勢部材として、第1ないし第4実施形態におけるバイアス付与接点(板ばね)、第5実施形態におけるコイルばね、第6実施形態におけるゴムプッシュを種々組み合わせた構成としても構わない。例えば、第1実施形態の現像ローラ31に発生するスラスト力THdrが向う側と反対方向に現像ローラ31を付勢するようにゴムプッシュを設けたり、第2実施形態の塗布ローラ34に発生するスラスト力THarが向う側と反対方向に塗布ローラ34を付勢するようにゴムプッシュを設けたりしてもよい。このような構成とすれば、第3実施形態と同様に、塗布ローラ34および現像ローラ31の両方を積極的にスラスト方向に移動させることができるため、上記第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、付勢部材としては、上記した構成以外にも種々の部材で構成することができる。要は、塗布ローラまたは現像剤担持体を確実に付勢することのできる構成であればよい。
また、第4実施形態において、第2実施形態と同様に、ローラ駆動モータ310,340を逆側の(+X)側に設けて、塗布ローラ341の(−X)側に付勢部材を設ける構成としても構わない。また、第3実施形態と同様に、ローラ駆動モータ340を塗布ローラ341の(+X)側に、ローラ駆動モータ310を現像ローラ31の(−X)側に設けて、付勢部材を、塗布ローラ341の(−X)側と現像ローラ31の(+X)側とに設ける構成としても構わない。このような構成とすれば、上記第2または第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、付勢部材として、第5実施形態におけるコイルばね、第6実施形態におけるゴムプッシュを他の実施形態で用いてももちろん構わない。
また、上記実施形態では、塗布ローラおよび現像ローラにそれぞれローラ駆動モータを配設しているが、1つのローラ駆動モータの回転力を、ギアを用いて2つのローラに伝達して、塗布ローラおよび現像ローラを回転駆動する構成としてももちろん構わない。
また、上記実施形態では、ローラ駆動モータが配設されている一方端部と反対側の他方端部から塗布ローラおよび現像ローラを付勢部材によって付勢しているが、ローラ駆動モータが配設されている一方端部から、塗布ローラおよび現像ローラを付勢する構成でももちろん構わない。
また、第5実施形態におけるコイルばねをバイアス付与接点として用いても構わない。
また、上記実施形態では、露光部20を各感光体11Y,11M,11C,11Kに1対1に対応して設け、各感光体11Y,11M,11C,11Kのそれぞれに、対応した静電潜像を形成するように構成したが、例えば、1つの露光部を配設し、レーザービームの照射方向をミラー等を用いて切り替えることによって、各感光体11Y,11M,11C,11Kのそれぞれに対応した静電潜像を形成する構成としてもよい。その他、LEDアレイを用いた露光手段を使用したり、いわゆる書込帯電を行う潜像書込み手段を用いても構わない。要は、各感光体11Y,11M,11C,11Kのそれぞれに、1対1に対応した静電潜像を形成できる構成であれば、どのような構成としてもよい。
また、上記実施形態では、規制ブレード35はトレール規制を行っているが、規制ブレードの35の先端が塗布ローラ34の回転方向の上流側に向くように配置して、いわゆるカウンタ規制を行っても構わない。
また、上記実施形態では、本発明をタンデム方式のカラープリンタに具現化しているが、いわゆる、モノクロプリンタに本発明にかかる構成を適用しても構わない。
また、上記実施形態では、ホストコンピュータなどの外部装置より与えられた画像を転写紙に印刷するプリンタを用いて説明しているが、本発明はこれに限られず、複写機やファクシミリ装置などを含む一般の電子写真方式の画像形成装置に適用することができる。要は、液体キャリアにトナーを分散した液体現像剤を、一旦、塗布ローラで担持したあと、該担持した液体現像剤を現像剤担持体に塗布し、現像剤担持体に塗布された液体現像剤によって、潜像担持体上の静電潜像を現像する画像形成装置全般に本発明を適用することができる。
11…感光体(潜像担持体)、 16…現像位置、 17…塗布位置、 31…現像ローラ(現像剤担持体)、 32…現像液(液体現像剤)、 34,341…塗布ローラ(アニロクスローラ)、 35…規制ブレード(規制部材)、 361…現像ローラクリーニングブレード(クリーニング部材)、 38a,38b…バイアス付与接点(付勢部材)、 38c…コイルばね(付勢部材)、 38d…ゴムプッシュ(付勢部材)、 39…ワイヤーバー、 D1…第1方向、 D2…第2方向、BFar,BFar2,BFar3,BFdr…付勢力、 THdr,THdr2,THar,THar2…スラスト力