<発明の基本概念>
まず、本発明の基本概念について、図1ないし図4を参照しつつ詳述する。図1はせん断速度に対する粘度の関係を示す概念図、図2はせん断速度の大きさの計算方法の説明図、図3はせん断を付与された液体現像剤の内部状態を表す模式図、図4はせん断を付与された液体現像剤の粘度を示す図である。本発明者らが鋭意研究した結果、ニュートン粘性を有する液体キャリアにトナーを分散した非ニュートン粘性を有する液体現像剤にせん断を付与して、該液体現像剤の粘度を低下させて後述する飽和領域の粘度とすることによって、濃度ムラを抑制して、該液体現像剤をほぼ一様な濃度とすることができることを見出した。このように液体現像剤の濃度ムラが抑制される理由としては、以下に詳細に述べる原因が考えられる。
図1の横軸は液体に付与されるせん断のせん断速度(1/s)、縦軸は付与されたせん断のせん断速度に対する液体の粘度(mPa・s)を示している。図中には4本の曲線LDA〜LDDが示されている。これらの曲線LDA〜LDDはそれぞれ、「ニュートン粘性を有する液体キャリアにトナーを混合した非ニュートン粘性を有する液体現像剤」、「せん断速度の大きさに比例して、粘度が下がり続ける非ニュートン粘性を有する液体現像剤」、「ニュートン粘性を有する液体キャリア」および「水」に対してせん断を付与した際のせん断速度の大きさと粘度との関係を表している。図1の曲線LDC,LDDに示すように、「ニュートン粘性を有する液体キャリア」および「水」にせん断を付与した場合、せん断のせん断速度の大きさに関わらず、液体キャリアおよび水の粘度はほぼ一定である。一方、図1の曲線LDA,LDBに示すように、「非ニュートン粘性」を有する液体にせん断を付与した際にはせん断速度の大きさに応じて、その粘度が低下する。このように、一般的に「非ニュートン粘性」を有する液体は、撹拌等によって付与されたせん断のせん断速度の大きさに応じて粘度が低下するという物性を有している。また、液体の種類によっては、せん断速度の増大に伴う液体現像剤の粘度低下がほぼゼロとなる飽和領域(曲線LDAの略水平領域)を有するものがある。この液体現像剤では、ある一定以上のせん断速度でせん断を付与すると、粘度が飽和状態まで低粘度化して、それ以上、低粘度化しない(図1中、曲線LDA参照)。
続いて、このせん断速度の大きさの計算方法を図2を参照しつつ詳述する。図2は、上板UBと下板SBの間に液体LQが挟まれている様子を示している。そして、上板UBと下板SBのギャップはh(mm)であり、上板UBは図の矢印方向に速度V1で移動し、下板SBは図の矢印方向に速度V2で移動する際の、液体LQに付与されるせん断のせん断速度(1/s)の大きさνは次式において計算することができる。
ν=V/h
h(mm):上板UBと下板SBのギャップ
V(mm/s):上板UBと下板SBの速度差(V1−V2)
続いて、図1の曲線LDAで、せん断速度の大きさに対する粘度特性が表される液体現像剤の、付与されたせん断のせん断速度(1/s)の大きさνと、その内部状態との関係について詳述する。
図3(a)は、図1の曲線LDAでその粘度特性が表される液体現像剤に、せん断速度がp(1/s)のせん断を付与したときの、該液体現像剤の内部状態を示す模式図である。図3(a)に示すように、せん断速度がp(1/s)のせん断では、液体キャリアLC中で複数のトナー粒子Tによって構成されている網目構造を破壊することができず、液体現像剤の粘度は低下しない(図1参照)。このように、トナー粒子Tが、液体キャリアLC中において、トナー粒子T同士の相互作用により網目構造を構成してしまっている状態では、液体キャリアLC中でトナー粒子Tが該網目構造ごとに固まってしまい、液体キャリアLC中でトナー粒子Tが一様に分散した状態でなくなるため、該液体現像剤に濃度ムラが生じてしまう。
続いて、この液体現像剤にせん断速度がq(1/s)のせん断を付与した場合について説明する。図3(b)は、図1の曲線LDAでその粘度特性が表される液体現像剤に、せん断速度がq(1/s)のせん断を付与したときの、該液体現像剤の内部状態を示す模式図である。図3(b)に示すように、せん断速度がq(1/s)のせん断では、液体キャリアLC中で複数のトナー粒子Tによって構成されている網目構造の一部が破壊される。そのため、液体現像剤の粘度は低下する(図1参照)。しかしながら、トナー粒子Tの網目構造の全てを完全には破壊できないため、液体キャリアLC中でトナー粒子Tが一様に分散した状態となることができず、該液体現像剤には未だ、濃度ムラが生じた状態となる。
続いて、この液体現像剤にせん断速度がr(1/s)のせん断を付与した場合について説明する。図3(c)は、図1の曲線LDAでその粘度特性が表される液体現像剤に、せん断速度がr(1/s)のせん断を付与したときの、該液体現像剤の内部状態を示す模式図である。図3(c)に示すように、せん断速度がr(1/s)のせん断では、液体キャリアLC中で複数のトナー粒子Tによって構成されている網目構造が全てが完全に破壊される。そのため、液体現像剤の粘度が飽和状態まで低下してほぼ一定となる(図1参照)。この状態では、液体キャリアLC中でトナー粒子Tが一様に分散した状態となるため、該液体現像剤は濃度ムラが抑制された状態となっている。この状態の液体現像剤を利用して現像を行うことで、形成される画像に濃淡ムラが発生するのを抑制することができ、良好な画質でトナー像を形成することができる。
一方、図1の曲線LDBで、せん断速度の大きさに対する粘度特性が表される液体現像剤の場合には、該液体現像剤に付与するせん断のせん断速度の大きさに比例して、該液体現像剤の粘度が低下する。このような粘度特性を有する液体現像剤の場合では、図3(c)に示されるような、液体キャリアLC中のトナー粒子Tの分散状態が安定した状態とはなり難いため、該液体現像剤の濃度が安定しない。そのため、現像精度の向上を図るためには、図1の曲線LDAで表される粘度特性を有する液体現像剤を利用するのが好ましい。
続いて、ニュートン粘性を有する液体キャリアLCにトナーTを分散した非ニュートン粘性を有する液体現像剤A〜Dについて、付与されたせん断のせん断速度(1/s)の大きさと、粘度(mPa・s)との関係について図4に示す。液体現像剤Aを構成する液体キャリアの粘度は約50mPa・s、トナーの平均粒子径は約1.2μm、液体現像剤Aのトナー濃度は約20重量%である。また、液体現像剤Bを構成する液体キャリアの粘度は約30mPa・s、トナーの平均粒子径は約3.5μm、液体現像剤Bのトナー濃度は約15重量%である。また、液体現像剤Cを構成する液体キャリアの粘度は約100mPa・s、トナーの平均粒子径は約1.9μm、液体現像剤Cのトナー濃度は約15重量%である。また、液体現像剤Dを構成する液体キャリアの粘度は約50mPa・s、トナーの平均粒子径は約1.1μm、液体現像剤Dのトナー濃度は約30重量%である。なお、液体現像剤Dについては、図4中に示されるせん断速度(4000(1/s))よりも大きなせん断速度でせん断を付与されることによって飽和状態となる特性と有している。
これらの液体現像剤A〜Dを利用する際には、上記したように、それぞれの粘度がほぼ飽和領域の粘度となるせん断速度(1/s)の大きさでせん断を付与して、粘度を低下させた後に利用するのが望ましい。これらの液体現像剤A〜Dに付与するべきせん断速度の大きさの値は、形成したトナー像の濃淡ムラとの関係から実験的に求められるものである。したがって、形成されたトナー像に発生する濃淡ムラが十分に抑制されていれば、上記したように網目構造が完全に破壊されず、その一部が残留してしまう大きさのせん断速度のせん断を付与しても構わない。以下、上記した液体現像剤A〜Dを用いた画像形成装置の実施形態および比較例について詳述する。
<第1実施形態>
図5は本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態であるプリンタの内部構成を示す図、図6は図5の要部拡大図、図7は同プリンタの電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、いわゆるタンデム方式のカラープリンタであり、本発明の「潜像担持体」としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の感光体11Y、11M、11C、11Kを装置本体2内に並設している。このプリンタは、湿式現像方式を採用して、各感光体11Y、11M、11C、11K上のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成するものである。このプリンタでは、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号を含む印刷命令が主制御部100に与えられると、この主制御部100からの制御信号に応じてエンジン制御部110がエンジン部1の各部を制御して、装置本体2の下部に配設された給紙カセット3から搬送した転写紙、複写紙およびOHP用紙などの記録媒体4に上記画像信号に対応する画像を印字出力する。
上記エンジン部1では、転写ユニット40の一構成要素である中間転写ベルト41の周回方向47に沿って並設された4つの感光体11Y、11M、11C、11Kのそれぞれに対応して、帯電部12、露光部20、現像部30(30Y、30M、30C、30K)および感光体クリーニング部14が設けられている。また、各現像部30Y、30M、30C、30Kは、各色トナーを分散した液体現像剤Aを貯留するタンク33(33Y、33M、33C、33K)をそれぞれ備えている。なお、これら帯電部12、露光部20、現像部30および感光体クリーニング部14の構成はいずれのトナー色についても同一である。したがって、ここでは、イエローに関する構成について説明し、その他のトナー色については同一または相当符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、感光体11Yは矢印の方向(図中、時計回り方向)に回転自在に設けられており、その直径は約40mmである。そして、この感光体11Yの周りには、その回転方向に沿って、帯電部12、現像ローラ31、除電部(図示省略)および感光体クリーニング部14が配設されている。また、帯電部12と現像位置16との間の表面領域が露光部20からの光ビーム21の照射領域となっている。帯電部12は、帯電バイアス発生部111から帯電バイアスが印加されて、感光体11Yの外周面を所定の表面電位Vd(例えばVd=DC+600V)に均一に帯電するもので、帯電手段としての機能を有する。
この帯電部12によって均一に帯電された感光体11Yの外周面に向けて露光部20から例えばレーザで形成される光ビーム21が照射される。この露光部20は、露光制御部112から与えられる制御指令に応じて光ビーム21により感光体11Yを露光して、感光体11Y上に画像信号に対応するイエロー用静電潜像を形成するもので、露光手段としての機能を有する。例えば、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース102を介して主制御部100のCPU101に画像信号を含む印刷命令が与えられると、主制御部100のCPU101からの指令に応じてCPU113が露光制御部112に対し所定のタイミングで画像信号に対応した制御信号を出力する。そして、この露光制御部112からの制御指令に応じて露光部20から光ビーム21が感光体11Yに照射されて、画像信号に対応するイエロー用静電潜像が感光体11Y上に形成される。また、必要に応じてパッチ画像を形成する場合には、予め設定された所定パターン(例えば、べた画像、細線画像、白抜き細線画像など)のパッチ画像信号に対応した制御信号がCPU113から露光制御部112に与えられ、該パターンに対応するイエロー用静電潜像が感光体11Y上に形成される。
こうして形成されたイエロー用静電潜像は現像部30Yの現像ローラ31から供給されるイエロートナーによって顕像化される(現像工程)。そして、感光体11Y上に形成されたイエロートナー像は、感光体11Yの回転に伴って1次転写ローラ53Yと対向する1次転写位置42Yに搬送される。この1次転写ローラ53Yは感光体11Yとで中間転写ベルト41を挟み込むように配置されている。また、この中間転写ベルト41は複数のローラ43a〜45に掛け渡されており、図示を省略する駆動モータにより感光体11Yに従動する方向(図1中、反時計回り)47に感光体11Yと等しい周速で周回走行する。そして、転写バイアス発生部115から1次転写バイアス(例えばDC−400V)が印加されると、感光体11Y上のイエロートナー像が1次転写位置42Yで中間転写ベルト41に1次転写される(転写工程)。
一方、1次転写後における感光体11Y上の残留電荷はLEDなどからなる除電部により除去され、残留液体現像剤は感光体クリーニング部14により除去される。この感光体クリーニング部14は、感光体11Yの表面に当接されたゴム製の感光体クリーニングブレード141を有し、中間転写ベルト41にトナー像が1次転写された後に、感光体11Y上に残存する液体現像剤Aを感光体クリーニングブレード141により掻き落として除去することができる。なお、この現像部30Yの構成および動作については後で詳述する。
また、他のトナー色についても、イエロー(Y)と同様に構成されており、画像信号に対応したトナー像が形成される。そして、感光体11Y、11M、11C、11K上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー像は、1次転写ローラ53Y、53M、53C、53Kと対向する1次転写位置42Y、42M、42C、42Kでそれぞれ1次転写されることにより、中間転写ベルト41の表面上で重ね合わされてフルカラーのトナー像が形成される。
中間転写ベルト41に形成されたトナー像は中間転写ベルト41の回転に伴ってローラ45、48で挟まれた2次転写位置49に搬送される。一方、給紙カセット3(図5)に収容されている記録媒体4は、1次転写トナー像の搬送に同期して後述する搬送ユニット70により2次転写位置49に搬送される。そして、ローラ48は中間転写ベルト41に従動する方向(図5中、時計回り)に中間転写ベルト41と等しい周速で回転しており、転写バイアス発生部115から2次転写バイアスが印加されると、中間転写ベルト41上のトナー像が記録媒体4に2次転写される。このローラ48としては、例えば、ゴム硬度がJIS−Aで約50度のウレタンゴムで構成されており、その直径が約25mmのものを用いることができる。なお、この実施形態ではローラ転写を採用しているため、定電圧制御により転写条件を設定したり、定電流制御により転写条件を設定することができる。また、ローラ転写の代わりに、コロナ放電により転写を行うようにしてもよいが、この場合にはコロナ放電の出力を制御することで転写条件を設定することができる。2次転写後における中間転写ベルト41上の残留液体現像剤はクリーニングブレード51により除去される。
上記のようにしてトナー像が2次転写された記録媒体4は、所定の搬送経路5(図5中、一点鎖線)に沿って搬送され、定着ユニット60によってトナー像が記録媒体4に定着され、装置本体2の上部に設けられた排出トレイに排出される。この定着ユニット60は加熱ヒータ61hを内蔵する加熱ローラ61と、加熱ローラ61に接触する加圧ローラ62とを備えている。そして、ヒータ制御部116により加熱ヒータ61hの作動を制御することで定着ユニット60での定着温度が任意の温度に調整可能となっている。
また、この実施形態にかかる画像形成装置では、記録媒体4を所定の搬送経路5に沿って搬送するための搬送ユニット70が設けられている。この搬送ユニット70では、図5に示すように、給紙カセット3に対応して給紙ローラ71が設けられており、この給紙ローラ71により給紙カセット3に収容されている記録媒体4を1枚ずつ取出し、フィードローラ72に搬送する。そして、このフィードローラ72が記録媒体4をゲートローラ73に搬送し、このゲートローラ位置で一時的に待機させる。そして、上記のように2次転写動作に対応したタイミングでゲートローラ73が駆動して記録媒体4を2次転写位置49に送り込む。また、排出トレイ側では、排出前ローラ74、排出ローラ75および反転コロ76が設けられており、2次転写された記録媒体4は定着ユニット60、排出前ローラ74および排出ローラ75を経由して排出トレイ側に搬送される。
ここで、両面印刷するためには記録媒体4を反転させて再度ゲートローラ73に搬送する必要があるため、排出ローラ75は正逆回転可能となっている。すなわち、記録媒体4をそのまま排出トレイに排出する際には、正回転し続けて記録媒体4を排出トレイに完全に搬送する。一方、反転再給送する際には、記録媒体4の後端部が排出前ローラ74と排出ローラ75との間の所定位置に達すると、排出ローラ75が逆回転して記録媒体4を反転コロ76に送り込む。これによって記録媒体4は反転経路5aに沿って再給送中間ローラ77に搬送される。そして、再給送中間ローラ77および再給送ゲート前ローラ78がゲートローラ73に記録媒体4を搬送し、このゲートローラ位置で一時的に待機させる。こうして、記録媒体4の反転再給送が行われる。このとき、2次転写位置49において中間転写ベルト41と当接し画像を転写される記録媒体4の面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、記録媒体4の両面に画像を形成することができる。また、該反対の面に2次転写が実行される際、先に画像が転写された面がローラ48に接触するが、この際、完全に記録媒体4に定着されていないトナーがローラ48に付着することがある。このようにしてローラ48に付着したトナーは、クリーニングブレード52により除去される。
なお、図7において、主制御部100は、インターフェース102を介して外部装置から与えられた画像信号を記憶するための画像メモリ103を備えており、CPU101は、外部装置から画像信号を含む印刷命令をインターフェース102を介して受信すると、エンジン部1の動作指示に適した形式のジョブデータに変換し、エンジン制御部110に送出する。
また、エンジン制御部110のメモリ117は、予め設定された固定データを含むCPU113の制御プログラムを記憶するROMや、エンジン部1の制御データやCPU113による演算結果などを一時的に記憶するRAMなどからなる。CPU113はCPU101を介して外部装置から送られた画像信号に関するデータをメモリ117に格納する。
続いて、現像部30Yの構成および動作について図6および図8を参照しつつ詳述する。図8は表面に溝が形成されたアニロクスローラの斜視概念図である。なお、現像部30M,30C,30Kの構成は現像部30Yの構成と同様であり、同一構成には同一符号または相当符号を付して説明を省略する。
この現像部30Yは、現像ローラ31(本発明の「現像剤担持体」に相当)に加えて、イエロートナーを分散した液体現像剤Aを貯留するタンク33Y(本発明の「現像剤収容部」に相当)と、液体現像剤Aを現像ローラ31に塗布する塗布ローラと、該タンク33Yに貯留された液体現像剤Aを撹拌する撹拌ローラ372と、該液体現像剤Aを汲み出して塗布ローラ34に供給する供給ローラ371と、塗布ローラ34上の液体現像剤層の厚さを均一に規制する規制ブレード35と、感光体11Yへのトナー供給後に現像ローラ31上に残留した液体現像剤を除去する現像ローラクリーニング部36とを備えている。現像ローラ31は感光体11Yに従動する方向D1(図6中、反時計回り)に感光体11Yとほぼ等しい周速(約200mm/s)で回転する。また、塗布ローラ34は現像ローラ31に従動する方向D2(図6中、時計回り)に現像ローラ31とほぼ等しい周速(約200mm/s)で回転する。また、供給ローラ371は、塗布ローラ34と同じ方向D3(図6中、時計回り)に塗布ローラ34とほぼ等しい周速(約200mm/s)で回転する。
液体現像剤Aは、上記したように、平均粒径約1.2μm程度の着色顔料、この着色顔料を接着するエポキシ樹脂などの接着剤、トナーに所定の電荷を与える荷電制御剤、着色顔料を均一に分散させる分散剤等からなるトナーが、液体キャリア中に分散されてなる。トナー濃度は約20重量%に調整されており、付与されるせん断のせん断速度の大きさに応じて図4に示すような粘度特性を示す。
感光体11Yと現像ローラ31との間隔(現像ギャップ=液体現像剤層の厚さ)は、本実施形態では例えば5〜40μmに設定し、現像ニップ距離(液体現像剤層が感光体11Yおよび現像ローラ31の双方に接触している周方向の距離)は、本実施形態では例えば5mmに設定している。低濃度液体現像剤の場合にはトナー量を稼ぐべく100〜200μmの現像ギャップを必要とするのに比べて、高濃度液体現像剤を用いる本実施形態では現像ギャップを短縮することができる。従って、液体現像剤中を電気泳動によって移動するトナーの移動距離が短縮するとともに、同一の現像バイアスを印加してもより高い電界が発生するので、現像効率を向上することができ、現像を高速に行えることとなる。
撹拌ローラ372(本発明の「撹拌手段」に相当)は、その大部分がタンク33Yに貯留された液体現像剤Aに浸されている。撹拌ローラ372にはローラ駆動部118(本発明の「駆動部」に相当)と電気的に接続された駆動モータ(図示省略、本発明の「駆動部」に相当)が設けられており、その中心軸を中心として回転可能であり、該中心軸は、供給ローラ371の回転中心軸よりも下方にある。また、撹拌ローラ372は、供給ローラ371の回転方向D3(図6中、時計回り)と同じ方向に回転する。なお、撹拌ローラ372は、トナー像形成動作の停止中にも、回転駆動されている。そのため、撹拌ローラ372は、タンク33Yに収容された液体現像剤Aに、トナー像形成動作の停止中にも、連続して小さいせん断を付与し続ける。このように、液体現像剤Aに適度なせん断を付与しつづけることによって、該液体現像剤Aの粘度を適度に下げた状態に維持している。なお、撹拌ローラ372が液体現像剤Aに付与することの出来るせん断のせん断速度は小さい。そのため、トナー像形成時以外に液体現像剤Aに撹拌ローラ372を用いてせん断を付与し続けたとしても、液体現像剤Aを劣化させることはない。このような撹拌ローラ372としては、例えば、鉄等金属性のローラであり、その直径が約18.5mmのものを用いることができる。
供給ローラ371(本発明の「せん断付与手段」に相当)は、タンク33Yに収容されている液体現像剤Aを汲み上げて、供給位置18において塗布ローラ34に該液体現像剤Aを供給する。この供給ローラ371は、その下部がタンク33Yに貯留された液体現像剤Aに浸されており、また、塗布ローラ34から、供給位置18において、約100μmのギャップを隔てて配置されている。供給ローラ371にはローラ駆動部118と電気的に接続された駆動モータが設けられており、その中心軸を中心として回転可能であり、該中心軸は、塗布ローラ34の回転中心軸よりも下方にある。また、供給ローラ371は、塗布ローラ34の回転方向D2(図6中、時計回り)と同じ方向D3に回転する。また、供給ローラ371は、供給位置18において塗布ローラ34に液体現像剤Aを供給する際に、該液体現像剤Aにせん断を付与することができる。なお、このような供給ローラ371としては、例えば、鉄等金属性のローラであり、その直径が約18.5mmのものを用いることができる。また、本実施形態においては、トナー像形成動作の停止中には、供給ローラ371の回転駆動を停止している。
塗布ローラ34は、タンク33Yから供給ローラ371により供給された液体現像剤Aを塗布位置17において現像ローラ31へ塗布する。この塗布ローラ34は、鉄等金属性のローラの表面に図8に示すように溝34a(本発明の「凹部」に相当)が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、図8に示すように、塗布ローラ34の回転方向D2に対して斜めに複数の溝34aが形成されている。このように、塗布ローラ34は矢印方向D2に回転しながら、供給位置18において供給ローラ371から供給された液体現像剤Aを溝34aに担持して、該担持した液体現像剤Aを現像ローラ31へ搬送する。したがって、塗布ローラ34は溝34aが形成されているX方向の幅で現像ローラ31に液体現像剤Aを塗布することができる。なお、溝ピッチ(スラスト方向において、溝34aを形成する山と山の周期)は、必要な液体現像剤Aの膜厚に応じておよそ55〜250μmとするのが好ましい。本実施形態では、溝ピッチが約170μm、山の幅が約45μm、溝34aの幅30μm、溝34aの深さが約50μmとなるように構成されている。
また、塗布ローラ34は、該塗布ローラ34上の液体現像剤Aを現像ローラ31に適切に塗布するために、その表面が、該現像ローラ31の後述する弾性体の層に圧接している。また、塗布ローラ34は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、現像ローラ31の回転中心軸よりも下方にある。また、塗布ローラ34は、現像ローラ31の回転方向D1(図6中、反時計回り)と逆の方向D2(図6中、時計回り)に回転する。
規制ブレード35は、塗布ローラ34の回転方向D2における塗布位置17の上流側において、塗布ローラ34のスラスト方向に沿って、該塗布ローラ34の表面に接触して、塗布ローラ34上の液体現像剤Aの量を規制する。すなわち、規制ブレード35は、塗布ローラ34上の余剰な液体現像剤Aを掻き取って、現像ローラ31に供給する塗布ローラ34上の液体現像剤Aの量を計量する役割を果たしている。この規制ブレード35は、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材351によって支持されている。なお、本実施形態において、規制ブレード35のゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード35は、その先端が塗布ローラ34の回転方向の下流側に向くように配置されており、いわゆるトレール規制を行っている。
現像ローラ31は、感光体11Yに担持された静電潜像を液体現像剤Aにより現像するために、液体現像剤Aを担持して感光体11Yと対向する現像位置16に搬送する。この現像ローラ31は、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性部の一例としての弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ31は、その表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ34及び感光体11Yのそれぞれに圧接している。
また、現像ローラ31は、その中心軸を中心として回転可能であり、該中心軸は、感光体11Yの回転中心軸よりも下方にある。現像ローラ31は、感光体11Yの回転方向と逆の方向D1(図6中、反時計回り)に回転する。なお、感光体11Y上に形成された静電潜像を現像する際には、現像ローラ31と感光体11Yとの間に電界が形成される。
現像ローラクリーニング部36は、現像ローラ31の回転方向D1における現像位置の下流側において、現像ローラ31のスラスト方向に沿って、該現像ローラ31の表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード361を有する。そして、前記現像位置16で現像が行われた後に、現像ローラ31上に残存する液体現像剤Aを現像ローラクリーニングブレード361により掻き落として除去するための装置である。
このように構成された現像部30Yにおいて、撹拌ローラ372が、その中心軸回りに回転することによって、液体現像剤Aの粘度を適度に低下させる。そして、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース102を介して印刷命令が入力されると、ローラ駆動部118は供給ローラ371の回転駆動を開始する。供給ローラ371が、その中心軸回りに回転することによって、タンク33Yに収容されている液体現像剤Aを汲み上げて塗布ローラ34へ供給する。このとき、供給位置18において塗布ローラ34へ供給される液体現像剤Aにせん断が付与される。供給位置18において、供給ローラ371および塗布ローラ34の表面は、その周方向において、互いに反対方向に移動しているため、その速度差が400mm/sとなる。したがって、供給位置18において、液体現像剤Aに付与されるせん断のせん断速度は、4000(1/s)である。図4より、4000(1/s)のせん断速度でせん断が付与された液体現像剤Aは十分に粘度が低下した状態となり、その濃度ムラは十分に抑制された状態となる。
このように、濃度ムラが十分に抑制された液体現像剤Aが塗布ローラ34により搬送され、該塗布ローラ34の回転によって、規制ブレード35の当接位置に至る。そして、該当接位置を通過する際に、液体現像剤Aの余剰分が規制ブレード35によって掻き取られ、現像ローラ31に供給される液体現像剤Aの量が計量される。すなわち、塗布ローラ34には、前述したとおり、溝34aが設けられているから、塗布ローラ34に当接する規制ブレード35は、溝34aに担持された液体現像剤Aを残して、塗布ローラ34から液体現像剤Aを掻き取ることとなる。また、現像ローラ31に供給される液体現像剤Aの量が適正な量になるように溝34aの寸法が決められているので、規制ブレード35が塗布ローラ34上の液体現像剤Aを掻き取った際には、溝34aによって適正な量に計量された液体現像剤Aが溝34aに残存することとなる。
このようにして、タンク33Yに貯留された液体現像剤Aが供給ローラ371により汲み出され、供給位置18において十分に大きなせん断速度でせん断を付与されて濃度ムラが抑制された状態で、塗布ローラ34に供給される。そして、規制ブレード35により塗布ローラ34上の液体現像剤Aの量が均一に規制され、この均一な液体現像剤Aが塗布位置17において現像ローラ31の表面に塗布され、現像ローラ31の回転に伴って感光体11Yに対向する現像位置16に搬送される。液体現像剤A中のトナーは、荷電制御剤などの作用によって例えば正に帯電している。そして、現像位置16において現像ローラ31に担持されている液体現像剤Aが、現像ローラ31から供給されて感光体11Yに付着し、現像バイアス発生部114から現像ローラ31に印加される現像バイアスVb(例えばVb=DC+400V)によってイエロートナーが現像ローラ31から感光体11Yに移動して、イエロー用静電潜像が顕像化される。また、感光体11Yに付着せずに現像ローラ31上に残った液体現像剤は、現像ローラクリーニングブレード361により掻き落とされる。
このようにして、感光体11Y上に形成されたイエロートナー像は、上述したように、1次転写位置42Yにおいて中間転写ベルト41に1次転写され、1次転写が終了後に感光体11Yに残留している液体現像剤Aは感光体クリーニング部14によって除去される。
以上のように、この実施形態では、液体現像剤として、せん断の速度の増大に伴う液体現像剤の粘度低下がほぼゼロとなる飽和領域を有する液体現像剤Aが用いられている。このように飽和領域を有する液体現像剤Aでは、上述したように、付与されるせん断に応じて濃度ムラが変化し、該飽和領域の粘度まで液体現像剤Aの粘度が低下すると、濃度ムラが大幅に抑制される。そこで、この実施形態では、液体現像剤Aに対してせん断を付与して、液体現像剤Aの粘度を該飽和領域の粘度まで低下させることで液体現像剤A中の濃度ムラを抑制している。そして、この液体現像剤Aを塗布ローラ34によって搬送して現像ローラ31に塗布している。したがって、濃度ムラを抑制した液体現像剤Aによって、感光体上の静電潜像を現像することができるので、現像精度の向上を図ることができるため、良好な画質のトナー像を形成することができる。
また、供給ローラ371(せん断付与手段)は、供給位置18で、塗布ローラ34と所定のギャップ(100μm)を隔てて対向配置され、その表面に液体現像剤Aを担持して、矢印D3の方向へ回転しながら塗布ローラ34へ該液体現像剤Aを搬送している。そして、供給位置18で該液体現像剤Aを塗布ローラ34に供給している。このような構成とすれば、供給位置18における、塗布ローラ34と供給ローラ371とのギャップ形成部分に存在する液体現像剤Aにせん断を付与することができる。すなわち、供給位置18で塗布ローラ34に供給される液体現像剤Aにのみ、せん断を付与することができる。したがって、塗布ローラ34に供給される液体現像剤A以外の液体現像剤Aにせん断を付与し続けることによって、該液体現像剤Aが劣化してしまうのを防止することができる。
ところで、液体現像剤Aへ非常に大きいせん断速度、例えば、上記したような、せん断の速度の増大に伴う液体現像剤Aの粘度低下がほぼゼロとなる飽和領域の粘度とするようなせん断速度でせん断を付与し続けると、液体現像剤Aが劣化するのを早めてしまうことが知られている。しかしながら、液体現像剤Aにせん断を付与しなければ、非ニュートン粘性を有する該液体現像剤Aの粘度は上昇してしまう。このように液体現像剤Aの粘度が上昇してしまった場合、該液体現像剤Aにせん断を付与してから、該液体現像剤Aの粘度を所望の粘度まで低下させるのに要する時間が長くなってしまう。また、供給ローラ371によって供給位置18まで該液体現像剤Aを適正に汲み上げるのを阻害してしまうことがあった。これらの理由から、タンク33Y内の液体現像剤Aの粘度を適度に低下させた状態に維持するため、液体現像剤Aを劣化させない程度の、必要最低限のせん断を該液体現像剤Aに付与し続けるのが好ましい。そこで、本実施形態では、本発明の撹拌手段として、回転することによりタンク33Y内の液体現像剤Aを撹拌する撹拌ローラ372が配設されている。このような構成とすれば、タンク33Y内の液体現像剤Aに、液体現像剤Aが劣化しない程度の、小さいせん断速度でせん断を付与し続けることができる。したがって、タンク33Y内の液体現像剤Aの粘度を適度に低下させた状態とすることができるので、該液体現像剤Aにせん断を付与してから、該液体現像剤Aの粘度を所望の粘度まで低下させるのに要する時間を短縮することができる。また、タンク33Y内の液体現像剤Aの粘度を低下させていることから、供給ローラ371によるタンク33Y内の液体現像剤を汲み上げを円滑に行うことができる。
また、ローラ駆動部118は、トナー像形成動作の実行中は、供給ローラ371および撹拌ローラ372の両方を回転駆動し、トナー像形成動作の停止中は、撹拌ローラ372のみを回転駆動している。したがって、トナー像形成動作の実行中は、供給ローラ371を回転駆動することにより、高いせん断速度でせん断を液体現像剤Aに供給位置18において付与することができる。そのため、上記した飽和領域の粘度となった液体現像剤Aで現像動作を実行することができるので、現像精度の向上を図ることができ、良好な画質のトナー像を形成することができる。一方、トナー像形成動作の停止中は、撹拌ローラ372のみを回転駆動させることにより、タンク33Y内の液体現像剤Aへ、小さいせん断速度でせん断を付与し続けることができる。そのため、タンク33Y内の液体現像剤Aの粘度を、適度に低下させた状態で維持することができる。また、液体現像剤Aに必要以上のせん断を付与しないため、液体現像剤Aが劣化するのを抑制することができる。
<比較例1>
図9は本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態に対する比較例1を示す図である。この比較例1が第1実施形態と大きく異なる点は、供給位置18における、供給ローラ371と塗布ローラ34とのギャップが1mmとなるように、供給ローラ371が配置されている点である。その他の構成は第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態との相違点を中心に比較例1について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
この比較例1では、供給位置18において、液体現像剤Aに付与されるせん断のせん断速度の大きさは400(1/s)である。図4より、400(1/s)のせん断速度でせん断が付与された液体現像剤Aは粘度が十分に低下しないため、その濃度ムラは抑制されていない。したがって、上記第1実施形態と異なり、現像精度の向上を図ることができず、良好な画質でトナー像を形成することができない。
<第2実施形態>
図10は本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態の要部拡大図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、供給ローラ371が塗布ローラ34に従属する方向D4に回転する点である。また、液体現像剤Aの替わりに液体現像剤Bが用いられている。その他の構成は第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態との相違点を中心に第2実施形態について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
この実施形態では、撹拌ローラ372の直径は約10mm、供給ローラ371の直径は約25mm、塗布ローラ34の直径は約20mm、現像ローラ31の直径は約25mmとなるように構成されている。また、撹拌ローラ372の周速は約30mm/s、供給ローラ371の周速は約250mm/s、塗布ローラ34、現像ローラ31および感光体11Yの周速は約150mm/sとなるように構成されている。そして、供給位置18における供給ローラ371と塗布ローラ34とのギャップが80μmとなるように、供給ローラ371は配置されている。
このような構成とすれば、供給位置18において、供給ローラ371および塗布ローラ34の表面は、その周方向において、互いに同じ方向に移動しているため、その速度差が100mm/sとなる。したがって、供給位置18において、液体現像剤Bに付与されるせん断のせん断速度の大きさは1250(1/s)である。図4より、1250(1/s)のせん断速度でせん断が付与された液体現像剤Bは十分に粘度が低下した状態となり、その濃度ムラは十分に抑制された状態となる。したがって、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
<比較例2>
第2実施形態に対する比較例2が、第2実施形態と大きく異なる点は、液体現像剤Bの替わりに液体現像剤Dを用いている点である。その他の構成は第2実施形態と同様であり、以下、第2実施形態との相違点を中心に比較例2について詳細に述べる。なお、第2実施形態と同一な構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
この比較例2では、供給位置18において、液体現像剤Dに付与されるせん断のせん断速度の大きさは1250(1/s)である。図4より、1250(1/s)のせん断速度でせん断が付与された液体現像剤Dは粘度が十分に低下しないため、その濃度ムラは抑制されていない。したがって、上記第2実施形態と異なり、現像精度の向上を図ることができず、良好な画質でトナー像を形成することができる。
<第3実施形態>
図11は本発明にかかる画像形成装置の第3実施形態の要部拡大図である。この第3実施形態が、第1および第2実施形態と大きく異なる点は、供給ローラ371およびタンク332Y(現像剤収容部)が本発明の「せん断付与手段」として構成されており、供給ローラ371とタンク332Yの内壁とのギャップ形成部分において、液体現像剤にせん断を付与する点である。また、供給ローラ371は矢印D4の方向に回転している。また、液体現像剤として液体現像剤Cが用いられている。その他の構成は、第1および第2実施形態と同様である。以下、第1および第2実施形態との相違点を中心に第3実施形態について詳細に述べる。なお、第1および第2実施形態と同一な構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
この実施形態では、撹拌ローラ372の直径は約10mm、供給ローラ371の直径は約20mm、塗布ローラ34の直径は約20mm、現像ローラ31の直径は約40mmとなるように構成されている。また、撹拌ローラ372の周速は約100mm/s、供給ローラ371の周速は約400mm/s、塗布ローラ34、現像ローラ31および感光体11Yの周速は約400mm/sとなるように構成されている。そして、供給ローラ371の回転方向D4における、供給位置18の上流側が、タンク332Yの内壁と200μmのギャップを隔てるように、供給ローラ371は配置されている。
このような構成とすれば、供給ローラ371とタンク332Yの内壁とのギャップ形成部分において、液体現像剤Cにせん断が付与される。上記したギャップ形成部分において、供給ローラ371およびタンク332Yの内壁は、その速度差が400mm/sとなる。したがって、ギャップ形成部分において、液体現像剤Cに付与されるせん断のせん断速度の大きさは2000(1/s)である。図4より、2000(1/s)のせん断速度でせん断が付与された液体現像剤Cは十分に粘度が低下した状態となり、その濃度ムラは十分に抑制された状態となる。したがって、上記第1および第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、この第3実施形態では、供給ローラ371とタンク332Yの内壁とのギャップ形成部分の、供給ローラ371の表面の周方向に沿った長さは、塗布ローラ34と供給ローラ371とのギャップ形成部分の周方向に沿った長さに比べると長い。そのため、供給ローラ371とタンク332Yの内壁とのギャップ形成部分に存在する液体現像剤Cに、より長時間せん断を付与することができる。また、タンク332Yの内壁の形状を、供給ローラ371の外周面に合わせて、半円筒形状としているので、供給ローラ371とタンク332Yの内壁とのギャップ形成部分の、供給ローラ371の表面の周方向に沿った長さを、より長くすることができる。
<第4実施形態>
図12は本発明にかかる画像形成装置の第4実施形態の要部拡大図である。この第4実施形態が、第1および第2実施形態と大きく異なる点は、タンク333Y(現像剤収容部)が本発明の「せん断付与手段」として構成されており、塗布ローラ34とタンク333Yの内壁とのギャップ形成部分において、液体現像剤にせん断を付与する点である。また、液体現像剤として液体現像剤Cが用いられている。その他の構成は、第1および第2実施形態と同様である。以下、第1および第2実施形態との相違点を中心に第4実施形態について詳細に述べる。なお、第1および第2実施形態と同一な構成および動作については、その構成および動作の説明を省略する。
この実施形態では、撹拌ローラ372の直径は約10mm、塗布ローラ34の直径は約20mm、現像ローラ31の直径は約40mmとなるように構成されている。また、撹拌ローラ372の周速は約100mm/s、塗布ローラ34、現像ローラ31および感光体11Yの周速は約400mm/sとなるように構成されている。そして、塗布ローラ34の回転方向D2における、塗布位置17の上流側が、タンク333Yの内壁と200μmのギャップを隔てるように、塗布ローラ34は配置されている。
このような構成とすれば、塗布ローラ34とタンク333Yの内壁とのギャップ形成部分において、液体現像剤Cにせん断が付与される。上記したギャップ形成部分において、塗布ローラ34およびタンク333Yの内壁は、その速度差が400mm/sとなる。したがって、ギャップ形成部分において、液体現像剤Cに付与されるせん断のせん断速度は、2000(1/s)である。図4より、2000(1/s)のせん断速度でせん断が付与された液体現像剤Cは十分に粘度が低下した状態となり、その濃度ムラは十分に抑制された状態となる。したがって、上記第1および第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、この第4実施形態では、塗布ローラ34の回転方向D2における塗布位置17の上流側で、塗布ローラ34とタンク333Yの内壁とのギャップの間に存在する液体現像剤Cにせん断を付与することができる。すなわち、該ギャップにおいて、せん断を付与した液体現像剤Cを、塗布位置17において塗布ローラ34から現像ローラ31に塗布することができる。このように、液体現像剤Cにせん断を付与するために、例えば、供給ローラ371等を必要としないため、装置構成を簡素化できる。また、塗布ローラ34とタンク333Yの内壁とのギャップ形成部分の、塗布ローラ34の表面の周方向に沿った長さが長いため、長時間、塗布ローラ34とタンク33Yの内壁とのギャップ形成部分に存在する液体現像剤Cにせん断を付与することができる。また、タンク333Yの内壁の形状を、塗布ローラ34の外周面に合わせて、半円筒形状としているので、塗布ローラ34とタンク333Yの内壁とのギャップ形成部分の、塗布ローラ34の表面の周方向に沿った長さを、より長くすることができる。
また、ローラ駆動部118は、トナー像形成動作の実行中は、塗布ローラ34および撹拌ローラ372の両方を回転駆動し、トナー像形成動作の停止中は、撹拌ローラ372のみを回転駆動している。したがって、トナー像形成動作の実行中は、塗布ローラ34を回転駆動することにより、高いせん断速度でせん断を液体現像剤Cに付与することができる。そのため、上記した飽和領域の粘度となった液体現像剤Cで現像動作を実行することができるので、現像精度の向上を図ることができ、良好な画質のトナー像を形成することができる。一方、トナー像形成動作の停止中は、撹拌ローラ372のみを回転駆動させることにより、タンク333Y内の液体現像剤Cへ、小さいせん断速度でせん断を付与し続けることができる。そのため、タンク333Y内の液体現像剤Cの粘度を、適度に低下させた状態で維持することができる。また、液体現像剤Cに必要以上のせん断を付与しないため、液体現像剤Cが劣化するのを抑制することができる。
<その他>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、規制ブレード35を本発明における規制部材として構成しても構わない。このような構成とすれば、塗布ローラ34の回転方向における、塗布位置17の上流側で、塗布ローラ34と規制ブレード35とのギャップ形成部分(溝34a)に存在する液体現像剤にせん断を付与することができる。すなわち、該ギャップ形成部分において、せん断を付与した液体現像剤を、塗布位置17において塗布ローラ34から現像ローラ31に塗布することができる。このように、現像ローラ31に塗布される液体現像剤にのみ、せん断を付与することができる。また、せん断を付与された液体現像剤が塗布ローラ34に供給されて現像ローラ31に搬送される場合、該液体現像剤が塗布ローラ34から現像ローラ31に塗布される前に、塗布ローラ34と規制ブレード35とのギャップ形成部分において、該液体現像剤に再びせん断を付与することができる。そのため、せん断を付与されることにより粘度が低下した液体現像剤が塗布ローラ34に供給された後、塗布位置17へ向って搬送される途中で、粘度が上昇に向ってしまったとしても、塗布ローラ34と規制ブレード35とのギャップ形成部分において、該液体現像剤に再びせん断を付与することで、塗布ローラ34上の液体現像剤の粘度を適正な状態(低粘度状態で濃度ムラがない状態)にすることができる。
また、例えば、塗布ローラ34の周速を調整して、規制ブレード35のみで液体現像剤にせん断を付与する構成、すなわち、規制ブレード35を本発明のせん断付与手段として構成しても構わない。このような構成とすれば、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、他にせん断付与手段が必要でなくなるため、装置構成を簡素化することができる。
また、上記第1実施形態において、トナー像形成動作の停止中に、供給ローラ371を停止させる替わりに、該供給ローラ371を逆方向に回転させるように構成しても構わない。このような構成とすれば、トナー像形成動作の停止中には、塗布ローラ34の表面と供給ローラ371の表面との速度差をほぼ0(mm/s)とすることができる。そのため、トナー像形成動作の停止中に液体現像剤に必要のないせん断を付与するのを防止することができるので、液体現像剤が劣化するのを防止することができる。
また、上記実施形態では、本発明の撹拌手段を撹拌ローラ372で構成しているが、撹拌手段の構成としてはこの構成に限られず、要は、現像剤収容部内の液体現像剤を小さいせん断速度で確実に撹拌できる手段であればなんでもよい。例えば、スクリュー等、回転する部材で撹拌手段を構成することができる。
また、上記実施形態では、露光部20を各感光体11Y,11M,11C,11Kに1対1に対応して設け、各感光体11Y,11M,11C,11Kのそれぞれに、対応した静電潜像を形成するように構成したが、例えば、1つの露光部を配設し、レーザービームの照射方向をミラー等を用いて切り替えることによって、各感光体11Y,11M,11C,11Kのそれぞれに対応した静電潜像を形成する構成としてもよい。その他、LEDアレイを用いた露光手段を使用したり、いわゆる書込帯電を行う潜像書込み手段を用いても構わない。要は、各感光体11Y,11M,11C,11Kのそれぞれに、1対1に対応した静電潜像を形成できる構成であれば、どのような構成としてもよい。
また、上記実施形態では、規制ブレード35はトレール規制を行っているが、規制ブレードの35の先端が塗布ローラ34の回転方向の上流側に向くように配置して、いわゆるカウンタ規制を行っても構わない。
また、上記実施形態では、本発明をタンデム方式のカラープリンタに具現化しているが、いわゆる、モノクロプリンタに本発明にかかる構成を適用しても構わない。
また、上記実施形態では、ホストコンピュータなどの外部装置より与えられた画像を転写紙に印刷するプリンタを用いて説明しているが、本発明はこれに限られず、複写機やファクシミリ装置などを含む一般の電子写真方式の画像形成装置に適用することができる。要は、液体キャリアにトナーを分散した液体現像剤を、一旦、塗布ローラで担持したあと、該担持した液体現像剤を現像剤担持体に塗布し、現像剤担持体に塗布された液体現像剤によって、潜像担持体上の静電潜像を現像する画像形成装置全般に本発明を適用することができる。
11…感光体(潜像担持体)、 17…塗布位置、 18…供給位置、 31…現像ローラ(現像剤担持体)、 A,B,C,D…液体現像剤、 34…塗布ローラ、 34a…溝(凹部) 35…規制ブレード(規制部材)、 118…駆動部、 371…供給ローラ(せん断付与手段)、 372…撹拌ローラ(撹拌手段)、 33Y,33M,33C,33K、332Y,333Y…タンク(現像剤収容部)、 D1,D2,D3,D4…回転方向、 LC…液体キャリア、 T…トナー