JP4581535B2 - 電気式動力舵取装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータのアシスト力により操舵を補助する電気式動力舵取装置に関するものである。
電気式動力舵取装置は、一般に、ステアリングホイールによる操舵を補助可能なアシスト力を出力するモータと、ステアリングホイールによる操舵トルクを検出するトルクセンサと、操舵トルクに基づいてモータの電流指令値を演算する演算手段と、電流指令値に基づいてモータによるアシスト力の発生を制御する制御手段と、により構成されており、例えば、演算手段はECU(Electronic Control Unit )により、また制御手段はモータ駆動回路により、それぞれ実現されている。そして、トルクセンサとECUとの間、またECUとモータ駆動回路との間、さらにモータ駆動回路とモータとの間、はそれぞれワイヤハーネス(接続手段)によって電気的に接続され、これらの間で送受されるセンサ信号や各種制御信号等のやりとりを可能にしている。
ところで、このようなモータ、トルクセンサ、ECU、モータ駆動回路、ワイヤハーネス等のハードウェアにより構成される当該電気式動力舵取装置は、通常、車両に搭載されていることから、エンジンや路面から受ける振動、周囲環境から受ける温湿度変化、排気ガス、砂塵等あるいは経年経時によりこれらのハードウェアの電気的特性に影響を与え、ハードウェアの異常に至ることがある。特に、ワイヤハーネス同士を接続するコネクタやワイヤハーネスとECU等の回路基板とを接続するコネクタについては、振動や経年変化によって電気的な接触不良を招くことがあり、また砂利道等を走行中、車輪により跳ね上げられた小石等によってワイヤハーネスを傷つけそれが原因で当該ワイヤハーネスの断線に至たることも想定され得る。
例えば、コネクタの接触不良や回路部品等のはんだ付け不良等を原因とするハードウェアの異常は、振動や温湿度変化の状況によっては必ずしも常に発生するという性質のものではなく、その時々の条件によって異常が発生したりしなかったりする。そのため、このような電気式動力舵取装置においては、例えば、下記特許文献1に開示される「電動操舵装置」のように、異常発生時にはモータのアシストトルク(アシスト力)をゼロとして、二次故障等の発生を防止するフェールセーフ制御を行い、異常発生時から正常な状態に復帰したことを判定すると、当該モータのアシストトルクを規定値まで立ち上げる制御を行い得るような構成を採っている。
そして、アシストトルクを立ち上げる際には、急激にトルクを増加させるのではなく、運転者の操舵時に限って徐々に規定値までトルクを高める制御を行うことにより、アシストトルクの急変を防止し、操舵の違和感を運転者に与えないようにしている。
特開平10−181616号公報(第2頁〜第4頁、図1〜3)
しかしながら、上記特許文献1に開示される「電動操舵装置」によると、異常時から正常時に復帰するアシストトルクの立ち上げの際に、アシストトルクを急激に増加させることなく、徐々に増加させていることから(特許文献1の請求項1、段落番号0011,0029等)、ステアリングホイールが急に軽くなったような操舵感覚、つまり「舵(だ)が抜けた」ような操舵感覚を与えることはないものの、このようにアシストトルクを増加させる制御を運転者による操舵時に限定して行っている(特許文献1の請求項1、段落番号0011,0027等、図2,3)。
このため、ハードウェアが正常状態に戻っていても、運転者による操舵がない限り、モータによるアシストトルクが規定値まで立ち上がらないことから、操舵がない場合にはアシストトルクは復帰しない。アシストトルクの発生が運転者による操舵力を補うことを目的とする以上、このような制御によりアシストトルクの増加を操舵時に限定することは、一見合理的ではある。ところが、操舵していない状況下においてハードウェアに異常が発生し直ぐに回復した場合には、その間には運転者により操舵が行われていないことから、その後の操舵の開始時にアシストしない。そのため、このような場合には、ステアリングホイールが急に重くなったような操舵感覚を運転者に与えてしまうので、逆に、操舵感覚の悪化を招くという課題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、操舵感覚を向上し得る電気式動力舵取装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の手段を採用する。この手段によると、異常検出手段により、モータ、トルクセンサ、演算手段、制御手段およびこれらを電気的にそれぞれ接続する接続手段を含めたハードウェアの少なくとも1つの電気的異常を検出し、この異常検出手段によりハードウェアの電気的異常が検出された場合、モータによるアシスト力の出力が減少するように異常時制御手段によって制御手段を制御する。そして、異常検出手段によるハードウェアの電気的異常の検出後、異常検出手段により当該電気的異常が検出されなくなった場合、計時手段により計測した異常継続時間が所定時間未満であるときには、モータによるアシスト力の出力が所定の復帰値まで直ちに増加するように制御手段を制御し、当該異常継続時間が前記所定時間以上であるときには、モータによるアシスト力の出力が前記所定の復帰値まで徐々に増加するように復帰時制御手段によって制御手段を制御する。なお、「異常継続時間」とは、ハードウェアの電気的異常が検出されてからその電気的異常が検出されなくなるまでに経過した時間のことである。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項3の手段を採用する。この手段によると、異常検出手段により、モータ、トルクセンサ、演算手段、制御手段およびこれらを電気的にそれぞれ接続する接続手段を含めたハードウェアの少なくとも1つの電気的異常を検出し、この異常検出手段によりハードウェアの電気的異常が検出された場合、モータによるアシスト力の出力が減少するように異常時制御手段によって制御手段を制御する。そして、異常検出手段によるハードウェアの電気的異常の検出後、異常検出手段により当該電気的異常が検出されなくなった場合、モータによるアシスト力の出力を所定の復帰値まで増加させる速度が、異常継続時間が短いほど速くなり、異常継続時間が長いほど遅くなるように、異常継続時間に基づいて復帰時制御手段により制御手段を制御する。
特許請求の範囲に記載の請求項2または請求項4の手段を採用することによって、前記異常継続時間前記所定時間未満である場合には、前記所定の復帰値は、電気的異常の検出直前に記憶手段に記憶された電流指令値に基づいて出力されるモータによるアシスト力であることから、当該電気的異常の検出直前の電流指令値に基づいてモータによるアシスト力の出力が直ちに増加する。
特許請求の範囲に記載の請求項5の手段を採用することによって、前記異常継続時間が前記所定時間以上である場合には、当該異常継続時間の間に当該異常発生直前とは異なった操舵が運転者により行われている可能性が高いため、前記所定の復帰値を、前記電気的異常の検出直前に前記記憶手段に記憶された前記電流指令値に基づいて出力される前記モータによるアシスト力よりも小さなアシスト力に設定することにより、操舵感覚をより向上できる。
請求項1の発明では、モータやトルクセンサ等のハードウェアに一旦は電気的異常が発生しモータによるアシスト力の出力が減少しても、その後、何らかの理由により当該電気的異常が解消し、この間の異常継続時間が所定時間未満である場合には、モータによるアシスト力の出力が所定の復帰値まで直ちに増加するので、ステアリングホイールが急に重くなるような操舵感覚を与えることを防止できる。一方、当該異常継続時間が前記所定時間以上である場合には、モータによるアシスト力の出力が前記所定の復帰値まで徐々に増加するので、ステアリングホイールがある程度重くなっても、その後のアシスト力の緩やかな増加によりステアリングホイールの回転が急に軽くなる、つまり「急に舵が抜ける」というような操舵感覚を与えることを防止できる。したがって、異常継続時間の長さに応じてアシスト力の急増または漸増を決定するので、操舵感覚を向上することができる。
請求項3の発明では、モータやトルクセンサ等のハードウェアに一旦は電気的異常が発生しモータによるアシスト力の出力が減少しても、その後、何らかの理由により当該電気的異常が解消した場合には、異常継続時間に基づいてアシスト力が増加する速度を制御するので、当該異常継続時間が短いほどアシスト力が急速に増加し、当該異常継続時間が長いほどアシスト力が緩慢に増加する。このため、当該異常継続時間が極めて短い場合(例えば数ミリ秒間)には、モータによるアシスト力の出力が所定の復帰値まで急峻に増加するので、ステアリングホイールが急に重くなるような操舵感覚を与えることを防止できる。一方、当該異常継続時間が極めて長い場合(例えば数秒間)には、モータによるアシスト力の出力が前記所定の復帰値まで緩慢に増加するので、ステアリングホイールがある程度重くなっても、その後のアシスト力の緩やかな増加によりステアリングホイールの回転が急に軽くなる、つまり「急に舵が抜ける」というような操舵感覚を与えることを防止できる。したがって、異常継続時間の長さに応じてアシスト力の急増または漸増を決定するので、操舵感覚を向上することができる。
請求項2または請求項4の発明では、前記異常継続時間前記所定時間未満である場合には、当該電気的異常の検出直前の操舵感覚を運転者に与えることができる。したがって、操舵感覚を一層向上することができる。
以下、本発明の電気式動力舵取装置に係る一実施形態を図1〜6に基づいて説明する。まず本実施形態の電気式動力舵取装置20のハードウェア構成を図1(A) 、図1(B) を参照して説明する。
図1(A) に示すように、電気式動力舵取装置20は、自動車等の車両の操舵を操舵力の面から補助する装置で、主に、ステアリングホイール21、ステアリング軸22、ピニオン入力軸23、トルクセンサ24、減速機27、ラックアンドピニオン28、ロッド29、モータM、ECU30、モータ回転角センサ33等から構成されている。
図1(A) に示すように、ステアリングホイール21には、ステアリング軸22の一端側が接続されており、このステアリング軸22の他端側にはトルクセンサ24の入力側が接続されている。またこのトルクセンサ24の出力側には、ラックアンドピニオン28のピニオン入力軸23の一端側が接続されている。トルクセンサ24は、図略のトーションバーとこのトーションバーを挟むようにトーションバーの両端に取り付けられた2つのレゾルバとからなり、トーションバーの一端側を入力、他端側を出力とする入出力間で生じるトーションバーの捻れ量等を当該2つのレゾルバにより検出することで、ステアリングホイール21による操舵トルクThや操舵角θHを検出し得るように構成されている。
トルクセンサ24の出力側に接続されるピニオン入力軸23の途中には、減速機27が連結されており、モータMから出力されるアシスト力をこの減速機27を介してピニオン入力軸23に伝達し得るように構成されている。モータMには、モータMの回転角θMを検出可能なモータ回転方向検出手段としてのモータ回転角センサ33が取り付けられており、このモータ回転角θMやトルクセンサ24による操舵トルクTh、操舵角θH等に基づいてECU30によるモータMの駆動制御が行われている。
一方、このピニオン入力軸23の他端側には、ラックアンドピニオン28を構成する図略のラック軸のラック溝に噛合可能なピニオンギヤが形成されている。このラックアンドピニオン28では、ピニオン入力軸23の回転運動をラック軸の直線運動に変換可能にしており、またこのラック軸の両端にはロッド29が連結され、さらにこのロッド29の端部には図略のナックル等を介して操舵輪FR、FLが連結されている。これにより、ピニオン入力軸23が回転すると、ラックアンドピニオン28、ロッド29等を介して操舵輪FR、FLの実舵角θTir を変化させることができるので、ピニオン入力軸23の回転量および回転方向に従った操舵輪FR、FLの操舵を可能にしている。
ECU30は、図1(B) に示すように、主に、A/D変換器等の周辺LSIや半導体メモリ装置等を備えたMPU(Micro Processor Unit)、トルクセンサ24やモータ回転角センサ33あるいは図略の車速センサ等による各種センサ情報(操舵トルク信号、操舵角信号、モータ回転角信号、車速信号)等を入出力可能な入出力インターフェイスI/F、およびMPUから出力されるモータ電流指令に基づいてPWM制御によるモータ電流をモータMに供給可能なモータ駆動回路35から構成されている。なおこのMPUの半導体メモリ装置(以下「メモリ」という。)には、後述する異常時復帰処理を可能にする異常時復帰プログラム等が格納されている。
トルクセンサ24、モータ回転角センサ33や車速センサ等とECU30との間、ECU30のモータ駆動回路35とモータMとの間あるいはECU30とバッテリ(直流電源装置)との間は、ワイヤハーネスWHや図略のコネクタによって電気的に接続されている。なお、図1(B) に示す符号37は、モータMに実際に流れるモータ電流を検出し得る電流センサ37であり、この電流センサ37により検出されたモータ電流に関するセンサ情報は、モータ電流信号として入出力インターフェイスI/Fを介してMPUに入力され得るように、ECU30と電流センサ37との間もワイヤハーネスWHやコネクタにより電気的に接続されている。これらのワイヤハーネスWHやコネクタは、特許請求の範囲に記載の「接続手段」に相当し得るものである。
このように構成することにより、車両に搭載された電気式動力舵取装置20では、ステアリングホイール21による操舵トルクThをトルクセンサ24により検出し、また車速センサにより車両の走行速度(車速)Vを検出する。そして、この操舵トルクThおよび車速Vに応じたモータ電流指令値iqをECU30のMPUにより演算し、さらにこのモータ電流指令値iqに基づいてモータMによるアシスト力の発生をモータ駆動回路35により制御する。これにより、電気式動力舵取装置20は、操舵トルクThおよび車速Vに応じて発生するモータMのアシスト力により当該車両の運転者のステアリングホイール21による操舵を補助可能にしている。
次に、このECU30およびモータ駆動回路35によるアシスト力の制御処理の概要を図2に基づいて説明する。ECU30のMPUにより行われるアシスト力の制御は、位相補償部30a、電流指令値演算部30b、異常時復帰処理部30c、電流制御部30dおよびPWM演算部30eにより構成されている。なお、異常時復帰処理部30cは、トルクセンサ24、ECU30、モータ回転角センサ33、モータ駆動回路35、電流センサ37およびこれらを電気的に接続するワイヤハーネスWH、コネクタ等のハードウェアの少なくとも1つに電気的異常(以下「異常」という。)が発生した場合に、異常時復帰処理(図3)により制御されるものである。そのため、ここでは異常時復帰処理部30cによる制御内容の詳細な説明は行わず、図3に示す異常時復帰処理の説明と併せて行う。
まずトルクセンサ24により検出された操舵トルクThは、入出力インターフェイスI/Fを介してMPUに入力されると、電気式動力舵取装置20の安定性を高めるために位相補償部30aにより位相補償処理が行われた後、電流指令値演算部30bに出力される。位相補償された操舵トルクThが入力される電流指令値演算部30bには、図略の車速センサにより検出された車速Vも入力されるので、電流指令値演算部30bでは、MPUのメモリに予め記憶されているアシストマップに基づいて、操舵トルクThおよび車速Vに対応した電流指令値iqを演算する。この電流指令値演算部30bでは、操舵トルクThのみならず車速Vにも対応した電流指令値iqの演算を行っているので、例えば、車速Vが小さいときには大きなアシスト力を出力するように、また車速Vが大きいときには小さなアシスト力を出力するように、電流指令値iqを演算する、いわゆる車速依存型の電流指令値演算が行われている。
トルクセンサ24等のハードウェアが正常な場合(異常でない場合)には、後述するように可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により可変ゲインGvに1が設定されるので、電流指令値演算部30bにより演算された電流指令値iqに可変ゲインGv(=1)を乗じた演算を可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により行うことによって、減増処理部30c1によりゲイン可変後電流指令値iq'が電流制御部30dに出力される。これにより、当該ハードウェアの正常時には、実質的に異常時復帰処理部30cでは何も行われることなく、電流指令値演算部30bから出力された電流指令値iqがゲイン可変後電流指令値iq'(この場合、iq'=iq)としてそのまま電流制御部30dに出力される。
ゲイン可変後電流指令値iq'(=iq)が入力された電流制御部30dでは、電流センサ37により検出された実際のモータ電流との差に相当する信号に基づいて、PI制御値やPID制御値を演算し、この制御値をPWM演算部30eに出力する。PWM演算部30eでは、この制御値に応じたPWM演算を行い、その演算結果であるPWM制御信号をモータ駆動回路35に出力する。この結果、モータ駆動回路35では、これらの制御信号に基づいてモータMを駆動制御することでモータMによる適正なアシスト力を発生させることが可能となる。
ここで、ECU30による異常時復帰処理部30cの処理概要を図2〜図6に基づいて説明する。この異常時復帰処理部30cは、例えば図3に示す異常時復帰処理をECU30のMPUにより1トリップ中、継続的に実行することによって実現されるものである。なお、この図3に示す異常時復帰処理は、MPUのメモリに格納されている異常時復帰プログラムを実行することにより実現される。また「1トリップ」とは、当該車両のイグニッションスイッチがオンされてから当該イグニッションスイッチがオフされるまでの期間のことをいう。
図3に示すように、異常時復帰処理では、まずステップS101により初期化処理が行われる。即ち、MPUのメモリ(DRAM、SRAM、レジスタ等)や入出力インターフェイスI/F等の異常の有無を確認するセルフテストや、異常時復帰処理に用いられる制御変数や作業領域として当該メモリに確保される所定領域に所定の初期値を設定する処理を行う。これにより、カウンタCNT の値には「0」(ゼロ)が設定され、また可変ゲインGvは「1」に設定される。図2に示す異常時復帰処理部30cにおいては記憶部30c3が当該メモリに相当する。
次のステップS102では、現在の電流指令値iqをメモリに記憶する処理が行われる。即ち、図2に示す電流指令値演算部30bにより演算された電流指令値iqを記憶部30c3(メモリ)に記憶する処理を行う。これにより、後述するステップS121やS131によって異常発生前の電流指令値iqを当該メモリから読み出すことが可能となる。なお、このステップS102および記憶部30c3は、特許請求の範囲に記載の「記憶手段」に相当し得るものである。
続くステップS103では、トルクセンサ24等のハードウェアに異常が発生しているか否かを検出する処理が行われる。この処理は、例えば、トルクセンサ24からMPUに入力される操舵トルクThのデータ値が所定範囲を超えているか否かを監視することにより行う。また、車速センサや電流センサ37等の各センサから入力されるデータ値についても同様に監視を行い、さらにECU30自体の異常については、例えば、ステップS101による初期化処理において行われたセルフテストの結果に基づいてメモリや入出力インターフェイスI/F等に異常があるか否かを検出する。なお、ステップS103による異常検出の対象は、トルクセンサ24、ECU30、モータ回転角センサ33、モータ駆動回路35、電流センサ37およびこれらを電気的に接続するワイヤハーネスWH、コネクタ等のハードウェアで、これらは特許請求の範囲に記載の「ハードウェア」に相当し得るものである。また、このステップS103は、特許請求の範囲に記載の「異常検出手段」に相当し得るものである。
ステップS105では、ステップS103による異常検出の結果に基づいて、異常発生の有無を判断する処理が行われる。そして、当該異常が発生している場合には(S105でYes)、ステップS106に処理を移行し、当該異常が発生していない場合には(S105でNo)、ステップS102に処理を移行する。これにより、トルクセンサ24等のハードウェアに異常が発生していない場合には(S105でNo)、再度、ステップS103によってハードウェアに異常が発生しているか否かを検出する処理が行われる。
ステップS106では、カウンタCNT を起動する処理が行われる。このカウンタCNT は、本ステップにより起動され、その後、ステップS112により停止されることで、その間の時間、つまり異常継続時間tを計測可能にするものである。これにより、例えば、図4(A) に示す異常発生から正常確定までの異常継続時間t1や図4(B) に示す異常発生から正常確定までの異常継続時間t2を計測することができる。なお、このカウンタCNT 、ステップS106、S112は、特許請求の範囲に記載の「計時手段」に相当し得るものである。
ステップS107では、急減処理が行われる。即ち、異常時復帰処理部30cの可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により減少目標値を0(ゼロ)または略0(ほぼゼロ)に設定し、異常時復帰処理部30cにより出力されるゲイン可変後電流指令値iq'が当該急減目標値に到達するまで電流制御部30dに出力するゲイン可変後電流指令値iq'を減増処理部30c1により急速に絞る処理を行う。これにより、モータ駆動回路35からモータMに対して出力されるモータ電流が急激に減少するので、図4(A) や図4(B) に示すように、当該ハードウェアの異常発生後、モータMによるアシスト力のレベル(以下「アシストレベル」という。)が直ちに減少するようにアシスト制御を行うことができる。なおこのステップS107および減増処理部30c1は、特許請求の範囲に記載の「異常時制御手段」に相当し得るものである。
次のステップS109では、トルクセンサ24等のハードウェアに異常が発生しているか否かを検出する処理が行われる。この処理は、前述したステップS103とほぼ同様で、例えば、各センサのデータ値が所定範囲を超えているか否か等の監視を行うことによって、ステップS103により一旦、異常が発生したと判断されても、正常状態に戻る可能性があるのでその有無を検出する。なお、このステップS109は、特許請求の範囲に記載の「異常検出手段」に相当し得るものである。
即ち、ステップS109による異常検出の対象であるハードウェア(トルクセンサ24、ECU30、モータ回転角センサ33、モータ駆動回路35、電流センサ37およびこれらを電気的に接続するワイヤハーネスWH、コネクタ等)の異常は、例えば、コネクタの接触不良や回路部品等のはんだ付け不良等により振動や温湿度変化の状況によっては必ずしも常に発生するという性質のものではなく、その時々の条件によって異常が発生したりしなかったりするし、またワイヤハーネスWHは、断線しかかった状態からセンサ信号等の導通を不能にする完全に断線した状態に至るまでには、導通・不通を数回繰り返し得る。そのため、例えば、数ミリ秒〜数秒程度の期間において「異常→正常→異常→正常…」の各状態を繰り返す可能性があるので、本ステップS109によりハードウェアの異常を再度検出するようにしている。
続くステップS111では、正常確定したか否かの判断処理が行われる。即ち、ステップS109により検出されたハードウェアの異常の有無に基づいて当該ハードウェアが正常状態に復帰したか否かを判断する。そして、もし所定期間以上正常状態に復帰していれば正常確定と判断し(S111でYes)、次のステップS112に処理を移行する。一方、異常状態を維持しており、正常確定と判断することができない場合には(S111でNo)、ステップS109に処理を移行して、再度、ハードウェアの異常を検出する。
ステップS112では、ステップS106により起動したカウンタCNT を停止させる処理が行われる。このカウンタCNT の値から異常継続時間t、即ちトルクセンサ24等のハードウェアの電気的異常が検出されてからその電気的異常が検出されなくなるまでに経過した時間が得られる。
続くステップS113では、ステップS112により得た異常継続時間tと予め設定されている所定閾値時間thとの関係を判断する処理が行われる。即ち、異常継続時間tが所定閾値時間th未満であるか(S113で「<」)、異常継続時間tが所定閾値時間th以上であるか(S113で「≧」)を判断する。そして、異常継続時間tが所定閾値時間th未満である場合には(S113で「<」)、ステップS121に処理を移行し、また異常継続時間tが所定閾値時間th以上である場合には(S113で「≧」)、ステップS131に処理を移行する。なお、所定閾値時間thは、例えば1秒に設定される。またこの所定閾値時間thは、特許請求の範囲に記載の「所定時間」に相当し得るものである。
ステップS121〜S123は、異常継続時間tが所定閾値時間th未満である場合に行われる処理で、モータMによるアシスト力の出力を復帰目標値(所定の復帰値)まで直ちに増加させる処理が行われる。これにより、例えば、図4(B) に示すように、異常継続時間t2が極めて短い場合(例えば数ミリ秒間)には、モータMによるアシスト力の出力が復帰目標値まで急峻に増加するので、ステアリングホイール21が急に重くなるような操舵感覚を与えることを防止可能にする。
まず、ステップS121により、異常発生前の電流指令値iqをメモリから読み出す処理が行われる。即ち、ステップS102により、当該ハードウェアに異常が検出される直前の正常時における電流指令値iqを記憶部30c3(メモリ)に記憶しているので、これを当該メモリから読み出す処理を行う。
次に、ステップS122により急増目標値を演算する処理が行われ、さらにステップS123により急増処理が行われる。即ち、記憶部30c3(メモリ)から読み出された異常発生前の電流指令値iqに基づいて可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により異常発生直前のアシストレベルを急増目標値(所定の復帰値)として設定し(ステップS122)、異常時復帰処理部30cにより出力されるゲイン可変後電流指令値iq'が当該急増目標値に到達するまで電流制御部30dに出力するゲイン可変後電流指令値iq'を減増処理部30c1により直ちに増加させる処理を行う(S123)。これにより、モータ駆動回路35からモータMに対して出力されるモータ電流が急激に増加するので、図4(B) に示すような特性となる(同図の符号β)。
一方、ステップS131〜S133は、異常継続時間tが所定閾値時間th以上である場合に行われる処理で、モータMによるアシスト力の出力を復帰目標値(所定の復帰値)まで徐々に増加させる処理が行われる。これにより、例えば、図4(A) に示すように、異常継続時間t1が極めて長い場合(例えば数秒間)には、モータMによるアシスト力の出力が復帰目標値まで緩慢に増加するので、ステアリングホイール21がある程度重くなっても、その後のアシスト力の緩やかな増加によりステアリングホイール21の回転が急に軽くなる、つまり「急に舵が抜ける」というような操舵感覚を与えることを防止可能にする。
まず、ステップS131により、異常発生前の電流指令値iqをメモリから読み出す処理が行われる。この処理は、前述したステップS121と同様で、記憶部30c3に記憶されているハードウェアの異常検出直前の正常時における電流指令値iqを読み出す。
次に、ステップS132により漸増目標値を演算する処理が行われ、さらにステップS133により漸増処理が行われる。即ち、記憶部30c3(メモリ)から読み出された異常発生前の電流指令値iqに基づいて可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により異常発生直前のアシストレベルを漸増目標値(所定の復帰値)として設定し(ステップS132)、異常時復帰処理部30cにより出力されるゲイン可変後電流指令値iq'が当該漸増目標値に到達するまで電流制御部30dに出力するゲイン可変後電流指令値iq'を減増処理部30c1により徐々に増加させる処理を行う(S133)。これにより、モータ駆動回路35からモータMに対して出力されるモータ電流が緩慢に増加するので、図4(A) に示すような特性となる(同図の符号α)。
なお、これらのステップS121、S122、S123、S131、S132、S133、減増処理部30c1および可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2は、特許請求の範囲(請求項1)に記載の「復帰時制御手段」に相当し得るものである。
このように本実施態様に係る電気式動力舵取装置20によると、ECU30のMPUに実行される異常時復帰処理によって、モータM、トルクセンサ24、ECU30、モータ駆動回路35およびこれらを電気的にそれぞれ接続するワイヤハーネスWHを含めたハードウェアの少なくとも1つの異常を検出し(S103)、当該異常が検出された場合(S105でYes)、モータMによるアシスト力の出力が急減するように減増処理部30c1、電流制御部30d、PWM演算部30eによってモータ駆動回路35を制御する(ステップS107)。そして、ステップS103によるハードウェアの異常の検出後、ステップS109により当該異常が検出されなくなった場合(S111でYes)、カウンタCNT (ステップS106、S112)により計測した異常継続時間tが所定閾値時間th未満であるときには(S113で「<」)、モータMによるアシスト力の出力が急増目標値(所定の復帰値)まで直ちに増加するように、減増処理部30c1、可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2、電流制御部30d、PWM演算部30eによってモータ駆動回路35を制御し(S121〜S123)、当該異常継続時間tが所定閾値時間th以上であるときには、モータMによるアシスト力の出力が漸増目標値(所定の復帰値)まで徐々に増加するように、減増処理部30c1、可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2、電流制御部30d、PWM演算部30eによってモータ駆動回路35を制御する(S131〜S133)。
これにより、モータMやトルクセンサ24等のハードウェアに一旦は電気的異常が発生しモータMによるアシスト力の出力が減少しても、その後、何らかの理由により当該電気的異常が解消し、この間の異常継続時間tが所定閾値時間th未満である場合には、モータMによるアシスト力の出力が急増目標値まで直ちに増加するので、ステアリングホイール21が急に重くなるような操舵感覚を与えることを防止できる。一方、当該異常継続時間tが所定閾値時間th以上である場合には、モータMによるアシスト力の出力が漸増目標値まで徐々に増加するので、ステアリングホイール21がある程度重くなっても、その後のアシスト力の緩やかな増加によりステアリングホイール21の回転が急に軽くなる、つまり「急に舵が抜ける」というような操舵感覚を与えることを防止できる。したがって、異常継続時間tの長さに応じてアシスト力の急増または漸増を決定するので、操舵感覚を向上することができる。
また、本実施形態に係る電気式動力舵取装置20では、モータMの電流指令値iqを記憶可能な記憶部30c3を備えており、これに、当該異常の検出直前の電流指令値iqを記憶している(S102)。そして、異常発生の後に記憶部30c3に記憶された異常の検出直前の電流指令値iqを読み出し(S121)、これに基づいて可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により異常発生直前のアシストレベルを急増目標値として設定しているので(ステップS122)、当該異常の検出直前の操舵感覚を運転者に与えることができる。したがって、操舵感覚を一層向上することができる。
なお、図3に示すフローチャートでは、異常継続時間tが所定閾値時間th以上である場合に行われる処理として、ステップS131により読み出された異常発生前の電流指令値iqに基づいて漸増目標値(所定の復帰値)を設定したが(ステップS132)、これに限られず、例えばステップS131を削除して異常発生前の電流指令値iqに関係なく、例えば、最大アシストレベルの80%というように、予め決定されている復帰目標値(所定の復帰値)をステップS132により設定しても良い。例えば、ハードウェアの異常が検出されてから、例えば1秒以上の時間が経過している場合には、当該異常継続時間t1の間に当該異常発生直前とは異なった操舵が運転者により行われている可能性が高い。そのため、このように当該異常発生前の電流指令値iqに関係なく、予め設定された復帰目標値まで徐々に増加させることが可能にしても(図4(A) に示す符号α’)、操舵感覚を向上することができる。
ここで、図3を参照して説明した異常時復帰処理の改変例を、図2、図5および図6に基づいて説明する。なお、図5に示す異常時復帰処理(改変例)は、図3に示す異常時復帰処理のステップS113以降を、ステップS202、S204、S206、S208に置き換えたものである。そのため、図3に示す異常時復帰処理と実質的に同一の処理内容については、同一符号を付しそれらの説明を省略する。
図5に示すように、本改変例に係る異常時復帰処理も、図3に示すものと同様に、ECU30のMPUにより1トリップ中、継続的に実行することによって実現されるもので、MPUのメモリに格納されている他の異常時復帰プログラムを実行することにより実現される。ステップS101〜S112までは、図3に示す異常時復帰処理と同様に処理されるので、ここでは、ステップS112によりカウンタCNT を停止した以後の処理について説明する。
図5に示すように、ステップS112の次のステップS202では、異常発生前の電流指令値iqをメモリから読み出す処理が行われる。この処理は、図3に示すステップS121やステップS131と同様で、記憶部30c3に記憶されているハードウェアの異常検出直前の正常時における電流指令値iqを読み出す。
続くステップS204では、復帰目標値を演算する処理が行われる。即ち、ステップS202により記憶部30c3(メモリ)から読み出された異常発生前の電流指令値iqに基づいて、可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により異常発生直前のアシストレベルを復帰目標値(所定の復帰値)として設定する処理が行われる。これにより、例えば、図6(A) に示すように、異常発生直前のアシストレベル(例えば100%)に復帰させることが可能になる。
なお、このように当該異常発生前の電流指令値iqに基づいて復帰目標値を設定するのではなく、例えば、予め決定されている別の復帰目標値(所定の復帰値)をステップS204により設定しても良い。例えば、ハードウェアの異常が検出されてから、例えば1秒以上の時間が経過している場合には、当該異常継続時間t1の間に当該異常発生直前とは異なった操舵が運転者により行われている可能性が高い。そのため、異常継続時間tの長さに基づいて、当該異常継続時間tが1秒以上であった場合には、このように当該異常発生前の電流指令値iqに関係なく、別の復帰目標値(例えば図6(A) に示す符号α’の80%のアシストレベル)を設定するというアルゴリズムを採用しても良い。これにより、操舵感覚をより向上することができる。
次のステップS206では、異常継続時間tに基づいて漸増ゲインGv’の増加度ΔGを設定する処理が行われる。即ち、図6(B) に示すように、漸増ゲインGv’は、正常確定後からの時間経過とともに所定の一定ゲインGc(例えばゲイン1.0(同図に示すGc1.0 ))まで時定数Tgで増加する特性を有する。そのため、異常継続時間tが短いほど漸増ゲインGv’の増加度ΔGが大きくなり、異常継続時間tが長いほど漸増ゲインGv’の増加度ΔGが小さくなるように、当該増加度ΔGを設定したり、あるいは異常継続時間tが短いほど漸増ゲインGv’の時定数Tgが小さくなり、異常継続時間tが長いほど漸増ゲインGv’の時定数Tgが大きくなるように、当該時定数Tgを設定する。
なお、この増加度ΔGは、単位時間当たりの漸増ゲインGv’の増加割合を表すもので、正常確定後における漸増ゲインGv’の増加分を表す傾きのことである。また、時定数Tgは、漸増ゲインGv’が所定の一定ゲインGcに達するまでに要する時間のことをいい、当該時定数Tgが小さいほど漸増ゲインGv’の増加度ΔGが大きく、当該時定数Tgが大きいほど漸増ゲインGv’の増加度ΔGが小さくなる。
図6(B) に示す例では、実線によるものが最も増加度ΔGが大きく(最も時定数Tgが小さく)、「破線によるもの」、「一点鎖線によるもの」の順番に増加度ΔGが減少し(時定数Tgが増加し)、「二点鎖線によるもの」が最も増加度ΔGが小さい(最も時定数Tgが大きい)。なお、図6(B) に示す「点線によるもの」(所定の一定ゲインGc0.8 )は、前述した異常発生前の電流指令値iqに関係なく、別の復帰目標値を設定した場合に用いられる漸増ゲインGv’の上限値ゲイン0.8である。
ステップS208では、ステップS206により設定された漸増ゲインGv’の増加度ΔGまたは時定数Tgに基づいて漸増目標値までアシストレベルを増加させる復帰処理が行われる。例えば、図6(A) に示す実線の特性のように、異常発生から正常確定までの時間が比較的短く1ミリ秒の場合には(例えば同図に示す正常確定(1) )、図6(B) に示すように、漸増ゲインGv’の増加度ΔGまた時定数Tgは、ステップS206により極めて大きくまたは時定数Tgであれば極めて小さく設定されているので、モータMによるアシスト力の出力は復帰目標値まで急激に増加する(図6(A) に示す実線βによる特性)。
これに対し、異常発生から正常確定までの時間が比較的長く数秒の場合には(例えば同図に示す正常確定(4) )、図6(B) に示す二点鎖線の特性のように、漸増ゲインGv’の増加度ΔGまた時定数Tgは、ステップS206により小さくまたは時定数Tgであれば大きく設定されているので、モータMによるアシスト力の出力は復帰目標値まで緩やかに増加する(図6(A) に示す二点鎖線α3 による特性)。
また、異常発生から正常確定までの時間がこれらの中間の場合には(例えば同図に示す正常確定(2) の1秒、(3) の2秒)、図6(B) に示す破線または一点鎖線の特性のように、漸増ゲインGv’の増加度ΔGまた時定数Tgは、実線によるものと二点鎖線によるものとの中間にそれぞれ設定されているので、モータMによるアシスト力の出力はそれらに従った割合で復帰目標値まで増加する(図6(A) に示す破線α1 による特性や一点鎖線α2 による特性)。
なお、これらのステップS202、S204、S206、S208、減増処理部30c1および可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2は、特許請求の範囲(請求項3)に記載の「復帰時制御手段」に相当し得るものである。
このように、図5に示す異常時復帰処理(改変例)では、そのゲインが正常確定後からの経過時間に従って増加する漸増ゲインGv’という概念を設け、ハードウェアに異常が発生した時から正常状態の確定までに要した時間(異常継続時間t)に基づいてこの漸増ゲインGv’の増加度ΔGまた時定数Tgを設定する(S206)。これにより、モータMによるアシストレベルが漸増目標値(所定の復帰値)に到達するまでに要する時間を任意に可変することができるので、例えば、当該異常継続時間tが極めて短い場合(例えば数ミリ秒間)には、モータMによるアシスト力の出力が漸増目標値(所定の復帰値)まで急峻に増加するので、ステアリングホイール21が急に重くなるような操舵感覚を与えることを防止できる。一方、当該異常継続時間tが極めて長い場合(例えば数秒間)には、モータMによるアシスト力の出力が漸増目標値(所定の復帰値)まで緩慢に増加するので、ステアリングホイール21がある程度重くなっても、その後のアシスト力の緩やかな増加によりステアリングホイール21の回転が急に軽くなる、つまり「急に舵が抜ける」というような操舵感覚を与えることを防止できる。したがって、異常継続時間tの長さに応じてアシスト力の急増または漸増を決定するので、操舵感覚を向上することができる。
なお、上述した実施形態では、図1に示すように、モータMから出力されるアシスト力を減速機27を介してピニオン入力軸23に伝達し得る、いわゆるコラム式の電気式動力舵取装置20を例示して説明したが、本発明はこれに限られることはなく、例えば、ラックアンドピニオン28にモータMおよび減速機27を内蔵し、このモータMから出力されるアシスト力を減速機27を介してラック機構に伝達し得る、いわゆるラック式の電気式動力舵取装置に適用しても良く、このようなラック式の電気式動力舵取装置でも、上述した電気式動力舵取装置20を同様の作用・効果を得ることができる。また、モータMは、ブラシレスDCモータであっても良い。
図1(A) は、本発明の一実施形態に係る電気式動力舵取装置の全体構成例を示す構成図で、図1(B) はECU等の構成例を示す回路ブロック図である。 本実施形態に係る電気式動力舵取装置のECUによる制御概要を示す制御ブロック図である。 本電気式動力舵取装置のECUを構成するMPUにより実行される異常時復帰処理の流れを示すフローチャートである。 図3に示す異常時復帰処理によって得られるアシストレベルの例を示す特性図で、図4(A) は異常継続時間t1が所定閾値時間th以上の場合の特性図で、図4(B) は異常継続時間t2が所定閾値時間thよりも短い場合の特性図である。 「図3に示す異常時復帰処理」の改変例の流れを示すフローチャートである。 図6(A) は、図5に示す異常時復帰処理(改変例)によって得られるアシストレベルの例を示す特性図で、図6(B) は漸増ゲインGv’の時間変動の様子を示す特性図である。
符号の説明
20…電気式動力舵取装置
21…ステアリングホイール
24…トルクセンサ
30…ECU(演算手段、記憶手段、異常検出手段、異常時制御手段、復帰時制御手段、計時手段)
30c…異常時復帰処理部(記憶手段、異常時制御手段、復帰時制御手段)
30c1…減増処理部(異常時制御手段、復帰時制御手段)
30c2…可変ゲイン・漸増目標値演算部(記憶手段、復帰時制御手段)
30c3…記憶部(記憶手段)
30d…電流制御部(異常時制御手段、復帰時制御手段)
30e…PWM演算部(異常時制御手段、復帰時制御手段)
35…モータ駆動回路(制御手段)
MPU…マイクロプロセッサ(演算手段、記憶手段、異常検出手段、異常時制御手段、復帰時制御手段、計時手段)
M…モータ
WH…ワイヤハーネス(接続手段)
iq…電流指令値
iq'…ゲイン可変後電流指令値
CNT …カウンタ(計時手段)
t、t1、t2…異常継続時間
th…所定閾値時間(所定時間)

Claims (5)

  1. ステアリングホイールによる操舵を補助可能なアシスト力を出力するモータと、
    前記ステアリングホイールによる操舵トルクを検出するトルクセンサと、
    前記操舵トルクに基づいて前記モータの電流指令値を演算する演算手段と、
    前記電流指令値に基づいて前記モータによるアシスト力の発生を制御する制御手段と、
    を備えた電気式動力舵取装置において、
    前記モータ、前記トルクセンサ、前記演算手段、前記制御手段およびこれらを電気的にそれぞれ接続する接続手段を含めたハードウェアの少なくとも1つの電気的異常を検出する異常検出手段と、
    前記異常検出手段により前記ハードウェアの電気的異常が検出された場合、前記モータによるアシスト力の出力が減少するように前記制御手段を制御する異常時制御手段と、
    前記異常検出手段により前記ハードウェアの電気的異常が検出されてから当該電気的異常が検出されなくなるまでの異常継続時間を計測する計時手段と、
    前記異常検出手段による前記ハードウェアの電気的異常の検出後、前記異常検出手段により当該電気的異常が検出されなくなった場合、前記異常継続時間が所定時間未満であるときには、前記モータによるアシスト力の出力が所定の復帰値まで直ちに増加するように前記制御手段を制御し、前記異常継続時間が前記所定時間以上であるときには、前記モータによるアシスト力の出力が前記所定の復帰値まで徐々に増加するように前記制御手段を制御する復帰時制御手段と、
    を備えることを特徴とする電気式動力舵取装置。
  2. 前記モータの電流指令値を記憶する記憶手段を備えた請求項1記載の電気式動力舵取装置であって、
    前記異常継続時間が前記所定時間未満である場合、
    前記所定の復帰値は、前記電気的異常の検出直前に前記記憶手段に記憶された前記電流指令値に基づいて出力される前記モータによるアシスト力であることを特徴とする電気式動力舵取装置。
  3. ステアリングホイールによる操舵を補助可能なアシスト力を出力するモータと、
    前記ステアリングホイールによる操舵トルクを検出するトルクセンサと、
    前記操舵トルクに基づいて前記モータの電流指令値を演算する演算手段と、
    前記電流指令値に基づいて前記モータによるアシスト力の発生を制御する制御手段と、
    を備えた電気式動力舵取装置において、
    前記モータ、前記トルクセンサ、前記演算手段、前記制御手段およびこれらを電気的にそれぞれ接続する接続手段を含めたハードウェアの少なくとも1つの電気的異常を検出する異常検出手段と、
    前記異常検出手段により前記ハードウェアの電気的異常が検出された場合、前記モータによるアシスト力の出力が減少するように前記制御手段を制御する異常時制御手段と、
    前記異常検出手段により前記ハードウェアの電気的異常が検出されてから当該電気的異常が検出されなくなるまでの異常継続時間を計測する計時手段と、
    前記異常検出手段による前記ハードウェアの電気的異常の検出後、前記異常検出手段により当該電気的異常が検出されなくなった場合、前記モータによるアシスト力の出力を所定の復帰値まで増加させる速度が、前記異常継続時間が短いほど速くなり、前記異常継続時間が長いほど遅くなるように、前記異常継続時間に基づいて前記制御手段を制御する復帰時制御手段と、
    を備えることを特徴とする電気式動力舵取装置。
  4. 前記モータの電流指令値を記憶する記憶手段を備えた請求項3記載の電気式動力舵取装置であって、
    前記異常継続時間が所定時間未満である場合、
    前記所定の復帰値は、前記電気的異常の検出直前に前記記憶手段に記憶された前記電流指令値に基づいて出力される前記モータによるアシスト力であることを特徴とする電気式動力舵取装置。
  5. 請求項4記載の電気式動力舵取装置であって、
    前記異常継続時間が前記所定時間以上である場合、
    前記所定の復帰値は、前記電気的異常の検出直前に前記記憶手段に記憶された前記電流指令値に基づいて出力される前記モータによるアシスト力よりも小さなアシスト力であることを特徴とする電気式動力舵取装置。
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