JP2000329628A - 自動車用電動パワーステアリング - Google Patents

自動車用電動パワーステアリング

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JP2000329628A
JP2000329628A JP13665999A JP13665999A JP2000329628A JP 2000329628 A JP2000329628 A JP 2000329628A JP 13665999 A JP13665999 A JP 13665999A JP 13665999 A JP13665999 A JP 13665999A JP 2000329628 A JP2000329628 A JP 2000329628A
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steering force
auxiliary steering
torque sensor
auxiliary
calculating means
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JP13665999A
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Yoshiyuki Ideno
義之 出野
Takahiro Suzuki
隆広 鈴木
Kenichi Azuma
賢一 東
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Suzuki Motor Corp
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Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トルクセンサの駆動電源に電圧低下や瞬断等
の異常が生じた場合であっても、違和感のない運転感覚
を維持することのできる自動車用電動パワーステアリン
グを提供すること。 【解決手段】 電圧監視回路3もしくはフェール・スイ
ッチ2のセルフオフ機能でトルクセンサ108の電源V
1の異常を検知することにより、補助操舵力演算手段1
のゲインを徐々に減少させ、補助操舵装置に補助操舵力
を付与する電動機へのトルク指令Tsを徐々に減少させ
る。従って、補助操舵力が作用している状態で電源V1
に異常が生じても補助操舵力が直ちに消失することはな
い。補助操舵力が徐々に減衰するため、運転者は、突然
ステアリング・ハンドルが重くなるといった違和感を感
じることなく、安定したハンドル操作を継続することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用電動パワ
ーステアリングの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】ステアリング・ハンドルに作用する運転
者の操舵力を検出し、この操舵力に応じた力を指令値と
して補助操舵装置の電動機を駆動することによって補助
操舵力を得るようにした自動車用電動パワーステアリン
グが公知である。
【0003】自動車用電動パワーステアリングを駆動す
るための回路構成の一例について図6に簡単に示す。こ
こでは、一例として、ステアリング・ハンドルに作用す
る運転者の操舵力を磁歪式トルクセンサ108によって
検出するものについて示している。
【0004】磁歪式トルクセンサ108のトルク検出部
109は、磁歪性を有するハンドル軸の外周にその軸心
に対して約45度の角度で斜交して取りつけられた一対
の磁気異方性部材(図示せず)と、この磁気異方性部材
の各々に取りつけられた一対の検出コイル100a,1
00b、および、検出コイル100a,100bの各々
に対応して設けられた一対の励磁コイル101a,10
1bによって構成される。
【0005】図6に示されるように、励磁コイル101
a,101bには、交流電源となる発振回路102およ
び電流増幅回路となるバッファ103を介して励磁電流
が供給されるようになっている。また、検出コイル10
0a,100bの各々は、ステアリング・ハンドルの操
作に伴ってハンドル軸に生じる微小な捩れを磁気異方性
部材の透磁率の変化として検出し、これを電圧信号とし
て出力する。検出コイル100a,100bから出力さ
れた電圧信号は、整流回路104a,104bで整流さ
れて比較回路105に入力される。そして、比較回路1
05は2つの電圧信号の偏差、つまり、ステアリング・
ハンドルに作用する操舵力の大きさと操舵方向に関する
情報を求め、更に、ローパス・フィルタ等で構成される
平滑回路106で電圧偏差からノイズの影響を除去し、
磁歪式トルクセンサ108の最終的な検出出力として補
助操舵力演算手段107に渡す。
【0006】補助操舵力演算手段107には図示しない
温度補償回路やパワーステアリング用コントローラ(以
下、単にEPSコントローラという)等を始めとする公
知の回路が接続されている。また、この補助操舵力演算
手段107には、温度変化等によってトルク検出部10
9に生じるドリフトを吸収し、ステアリング・ハンドル
に作用する操舵力が「0」であるときに補助操舵力演算手
段107から出力される指令値が実質的に「0」になるよ
うに出力の中点電圧を調整する中点電圧調整機能と、ト
ルク検出部109の検出出力の感度に関する特性変化を
吸収して適切な指令値が得られるように補助操舵力演算
手段107の出力ゲインを調整するゲイン調整機能とが
付与されている。
【0007】そして、補助操舵力演算手段107は、磁
歪式トルクセンサ108からの検出出力に現時点での温
度環境に適したゲインを乗じて増幅処理を行うと共に適
正な中点電圧調整を施して補助操舵力の最終的な指令値
Tsを求め、この値Tsを前述のEPSコントローラに
補助操舵力の指令値として出力する。また、これを受け
たEPSコントローラは、指令値Tsを目標値として補
助操舵装置の電動機の駆動トルクをフィードバック制御
し、運転者によるステアリング・ハンドルの操舵量に応
じて補助操舵装置を作動させる。従って、補助操舵装置
に与えられる駆動力は、運転者がステアリング・ハンド
ルに与えた操舵力と比例した力となり、この補助操舵力
によって自動車の旋回操作がパワーアシストされること
になる。
【0008】また、磁歪式トルクセンサ108や補助操
舵力演算手段107を構成する各種回路に対する電源の
接続状態は図6に示す通りであり、磁歪式トルクセンサ
108を構成する発振回路102,バッファ103,整
流回路104a,104b,比較回路105,平滑回路
106等のアナログ回路に対しては電圧V1(例えば8
ボルト)が自動車のバッテリおよびEPSコントローラ
内のレギュレータ等を介して駆動電圧として印加され、
また、CPU等で構成される補助操舵力演算手段107
に対してはV2の電圧(例えば5ボルト)が自動車のバ
ッテリおよびEPSコントローラ内のレギュレータ等を
介して駆動電圧として印加されるようになっている。な
お、前述したEPSコントローラはアナログ回路とCP
Uを共に備えるため、電圧V1および電圧V2が内部の
レギュレータ回路により変圧され、各回路および磁歪式
トルクセンサに供給される。
【0009】図7は、これらの構成要素に対する駆動電
源の投入タイミングやCPUの動作開始タイミング等に
ついて示すタイミングチャートである。EPSコントロ
ーラに対する電圧V1と電圧V2の供給は図7(a),
図7(b)に示されるようにイグニッションキーによる
電源ONの操作と同時に開始され、また、磁歪式トルク
センサ108の各構成要素に対する電圧V1の供給と補
助操舵力演算手段107に対する電圧V2の供給も図7
(d),図7(e)に示されるようにイグニッションキ
ーによる電源ONの操作と同時に開始される。
【0010】そして、磁歪式トルクセンサ108の各構
成要素に対する電圧V1の供給が開始されると同時に図
7(g)に示されるように補助操舵力演算手段107か
らの指令値Tsの出力も開始されるが、電源投入直後の
段階では、図7(f)に示されるように補助操舵力演算
手段107を構成するCPUの動作は開始されておら
ず、中点電圧調整機能やゲイン調整機能も適切に作動し
ていない。従って、補助操舵力演算手段107から出力
される補助操舵力の指令値Tsの値も平滑回路106か
らの出力そのもの、つまり、トルク検出部109に対す
る温度の影響等を含んだものであって、必ずしも適切な
値とはならない。しかし、イグニッションキーによる電
源ONの操作と同時に実際の走行に関連したステアリン
グ・ハンドルの操作が行われるといったことは現実には
有り得ないので、この点は実用上の問題とはならない。
【0011】そして、図7(f)に示されるように、補
助操舵力演算手段107を構成するCPUの正常な動作
が開始されると、補助操舵力演算手段107の中点電圧
調整機能およびゲイン調整機能が適切に作動を開始し、
図7(g)に示されるように補助操舵力演算手段107
からの補助操舵力Tsの出力も適切なものとなる。
【0012】図7(g)の例ではステアリング・ハンド
ルに作用する操舵力が「0」であるときに補助操舵力演算
手段107から出力される補助操舵力の指令値Tsが中
点電圧2.5ボルトと一致するように設定されており、
この2.5ボルトの出力が実質的な補助操舵力の指令値
「0」に相当する。つまり、補助操舵力演算手段107か
らの出力Tsが中点電圧2.5ボルトであるときにEP
Sコントローラから補助操舵装置の電動機に与えられる
実質的なトルク指令値が「0」となる。この状態で、補助
操舵装置には電動機による補助操舵力が作用せず、従っ
て、電動パワーステアリングによるパワーアシストも実
施されない。
【0013】EPSコントローラ側のCPUの動作は、
図7(c)に示されるように、補助操舵力演算手段10
7を構成するCPUの動作開始よりも僅かに遅れるが、
前述したように、イグニッションキーによる電源ONの
操作と同時に実際の走行に関連したステアリング・ハン
ドルの操作が行われるといったことはないので、この遅
れは実用上の問題とはならない。
【0014】そして、最終的に、図7(c)においてE
PSコントローラ側のCPUの動作が開始された段階
で、電動パワーステアリングのパワーアシスト機能を利
用した操舵作業が実施可能となる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】まず、ステアリング・
ハンドルの操作に対応した補助操舵力出力Tsの変化の
一例を図7(g)に示す。図7(g)の例では、ステア
リング・ハンドルを左旋回させた場合に中点電圧2.5
ボルト以下の指令値Tsが出力され、また、ステアリン
グ・ハンドルを右旋回させた場合には中点電圧2.5ボ
ルト以上の指令値Tsが出力される。そして、この指令
値Tsに応じてEPSコントローラが補助操舵装置の電
動機をトルク制御することで、運転者のステアリング・
ハンドル操作力に応じた補助操舵力で自動車の操舵輪が
ステアリングされるようになっている。
【0016】前述した通り、補助操舵力演算手段107
による中点電圧の調整およびゲイン調整が自動的に行わ
れるので、温度変化等の外乱があった場合でも、その変
化に影響されることなく、運転者によるステアリング・
ハンドルの操舵力に応じた力で常に安定的に自動車の操
舵輪を操作することができる。
【0017】しかし、場合によっては磁歪式トルクセン
サ108の回路各部を駆動するための電源V1に異常や
瞬断が生じる可能性がある。
【0018】このような現象が生じると磁歪式トルクセ
ンサ108から出力される検出信号に異常が生じ、正常
なパワーアシストが行われなくなる可能性がある。従っ
て、従来の自動車用電動パワーステアリングにおいて
は、このような現象が生じた場合、磁歪式トルクセンサ
108とは別系統の駆動電圧V2で作動する補助操舵力
演算手段107側の処理によって補助操舵力の指令値T
sを中点電圧に保持して電動機によるパワーアシストを
事実上無効にするか、または、EPSコントローラ側に
異常検出信号を送ってEPSコントローラ側の処理を中
止させるようにしていた。
【0019】しかし、このような構成では、図7(d)
および図7(g)に一例を示すように、補助操舵装置の
パワーアシストが作動している状態で電圧V1の供給異
常や瞬断が発生すると、それまでステアリング・ハンド
ルの操舵力に応じてEPSコントローラに送られていた
指令値Tsの値が瞬間的に中点電圧に復帰し、補助操舵
装置によるパワーアシストが突然機能しなくなるといっ
た欠点がある。
【0020】そして、このような現象が生じると、それ
までパワーアシストによって補償されていた補助操舵力
の分に相当する反力が操舵輪および操舵装置を介してス
テアリング・ハンドルにキックバックし、運転者に感覚
的な不快感、例えば、突然ステアリング・ハンドルが重
くなる等の違和感を与える問題が発生する。
【0021】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、前記従来技術
の欠点を解消し、トルクセンサの駆動電源に電圧低下や
瞬断等の異常が生じた場合であっても、違和感のない運
転感覚を維持することのできる自動車用電動パワーステ
アリングを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の自動車用電動パ
ワーステアリングは、前記課題を達成するため、トルク
センサの駆動電源に異常が生じるとトルクセンサとパワ
ーステアリング用コントローラとの間で開路してトルク
センサの検出出力に基づく補助操舵力の指令値がパワー
ステアリング用コントローラに入力されるのを禁止する
フェール・スイッチと、前記フェール・スイッチの開路
動作を検出してパワーステアリング用コントローラへの
補助操舵力の指令値の入力を徐々に減少させる補助操舵
力調整手段とを備えたことを特徴とする構成を有する。
トルクセンサの駆動電源に異常が生じるとトルクセンサ
とパワーステアリング用コントローラとの間でフェール
・スイッチが開路し、トルクセンサの検出出力に基づく
補助操舵力の指令値がパワーステアリング用コントロー
ラに入力されるのを禁止する。従って、トルクセンサの
電源異常によってトルクセンサの操舵力検出機能に問題
が生じた場合であっても、誤った補助操舵力の指令値が
パワーステアリング用コントローラに入力されることは
ない。そして、フェール・スイッチが開路すると補助操
舵力調整手段がこれを検出し、パワーステアリング用コ
ントローラに対する補助操舵力の指令値の入力を徐々に
減少させていく。従って、電源異常によってフェール・
スイッチが開路した場合であっても、補助操舵力の指令
値が直ちに「0」となることはなく、パワーステアリング
用コントローラで制御される補助操舵装置によるパワー
アシストの力も徐々に減衰していく。よって、操舵装置
によるパワーアシスト機能を利用しているときにトルク
センサの駆動電源に突然の異常が発生したような場合で
あっても、運転者側におけるステアリング・ハンドル操
作に違和感を生じることなく、安定した運転感覚を維持
することができる。例えば、ステアリング・ハンドルの
操作中にトルクセンサの電源異常が生じても、運転者が
パワーアシストの瞬断による衝撃を感知したり、ステア
リング・ハンドルが急に重くなる不快感を覚えたりする
ことはない。
【0023】また、フェール・スイッチはトルクセンサ
と補助操舵力演算手段との間に配備することができ、補
助操舵力調整手段の一部は補助操舵力演算手段によって
兼ねさせることが可能である。例えば、トルクセンサと
補助操舵力演算手段との間にフェール・スイッチを配備
し、トルクセンサの駆動電源が正常に作動する間はトル
クセンサと前記補助操舵力演算手段との間の電気的な接
続を閉路する一方、トルクセンサの駆動電源に異常が生
じるとトルクセンサと補助操舵力演算手段との間の電気
的な接続を開路するように構成する。また、補助操舵力
調整手段は、フェール・スイッチの開路動作を検出する
と補助操舵力演算手段における実質的な補助操舵力の指
令値が零になるまでの間、補助操舵力演算手段のゲイン
を徐々に減少させるように構成する。この構成によれ
ば、補助操舵力演算手段はフェール・スイッチが開路す
る直前にトルクセンサから出力されていた検出出力をそ
のまま保持し、その後、補助操舵力演算手段から出力さ
れる実質的な補助操舵力の指令値が零になるまでの間、
検出出力に乗ずるゲインの値を徐々に減少させていく。
従って、フェール・スイッチの開路動作と共に補助操舵
装置によるパワーアシストの力が徐々に減衰していくこ
とになる。
【0024】また、トルクセンサやパワーステアリング
用コントローラに関連する回路各部の入出力電圧の異常
を検出する電圧監視手段と、この電圧監視手段からの異
常検出信号を受けてフェール・スイッチを開路するスイ
ッチ制御手段とを設けることにより、周辺回路の電源異
常に伴う電動パワーステアリングの誤動作を防止するこ
とができる。スイッチ制御手段によってフェール・スイ
ッチが開路されてからの補助操舵力調整手段や補助操舵
力演算手段の動作に関しては前記と同様である。
【0025】更に、電圧監視手段からの異常検出信号が
解消したことを検出してフェール・スイッチを閉路する
機能をスイッチ制御手段に持たせ、また、フェール・ス
イッチの閉路動作を検出して補助操舵力演算手段におけ
るゲインを徐々に増大させて設定値まで戻す機能を補助
操舵力調整手段に持たせることにより、トルクセンサの
電源の正常復帰を自動的に検出して電動パワーステアリ
ングの機能を回復させることができる。この場合も、補
助操舵力演算手段のゲインは瞬間的に設定値に戻される
のではなく、実質的な指令値が「0」の状態から徐々に本
来の設定値まで戻されるようにしているので、補助操舵
装置によるパワーアシストを利用しているときにトルク
センサの駆動電源が正常復帰したような場合であって
も、運転者側におけるステアリング・ハンドルの操作に
違和感を生じることなく、安定した運転感覚を維持する
ことが可能である。例えば、ステアリング・ハンドルの
操作中に突然ハンドルが軽くなるような違和感を感じる
ことがない。
【0026】また、補助操舵力演算手段と独立したアナ
ログ電圧発生回路によって補助操舵力調整手段を構成す
ることも可能である。このアナログ電圧発生回路に要求
される機能は、フェール・スイッチの開路動作を検出し
てパワーステアリング用コントローラへの補助操舵力の
指令値を徐々に減少させる機能である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態について説明する。図1は本発明を適用した一
実施形態の自動車用電動パワーステアリングの回路構成
について示すブロック図である。磁歪式トルクセンサ1
08を構成する発振回路102,バッファ103,整流
回路104a,104b,比較回路105,平滑回路1
06の構成に関しては図6で示した従来例と同様である
ので、ここでは説明を省略する。
【0028】また、補助操舵力演算手段1には、この補
助操舵力演算手段1から出力された指令値Tsを受けて
補助操舵装置の電動機の駆動トルクを制御するように構
成されたEPSコントローラや温度補償回路等が従来と
同様にして接続されている。
【0029】更に、この補助操舵力演算手段1には、温
度環境等の変化に起因するトルク検出部109の温度ド
リフト等を吸収する中点電圧調整機能、および、トルク
検出部109の感度の特性変化等を吸収して適切な補助
操舵力の指令値を得るためのゲイン調整機能とが備えら
れている。図6に示した従来例と同様、補助操舵力演算
手段1は、磁歪式トルクセンサ108を構成する回路各
部の駆動電源V1(例えば8ボルト)とは異なる別の駆
動電源V2(例えば5ボルト)によって駆動される。
【0030】更に、本実施形態においては、磁歪式トル
クセンサ108の最終出力部である平滑回路106と補
助操舵力演算手段1との間にフェール・スイッチ2が配
備されている。このフェール・スイッチ2は、図1に示
される通り、磁歪式トルクセンサ108と共通の駆動電
源V1からの電圧印加を受けて強制的に閉路される常閉
接点によって構成されるが、駆動電源V1自体に重大な
異常が生じた場合、例えば、駆動電源V1からの電力供
給が断たれたり、または、駆動電源V1の出力電圧が極
端に低下したような場合には、自動的に開路して磁歪式
トルクセンサ108の検出出力が補助操舵力演算手段1
に入力されるのを禁止する。図1に示す通り、EPSコ
ントローラは補助操舵力演算手段1よりも信号伝達経路
上で下流側に位置するので、フェール・スイッチ2が開
路すれば必然的に磁歪式トルクセンサ108からEPS
コントローラへの信号の伝達は行われなくなる。
【0031】本実施形態における電圧監視手段は、制御
部5の一部である電圧監視回路3によって構成され、ま
た、補助操舵力調整手段とスイッチ制御手段は、制御部
5のCPU4によって構成される。
【0032】電圧監視回路3は、図示しないA/D変換
器を介して所定のサンプリング周期毎に前述の駆動電源
V1,V2やEPSコントローラ用のその他の駆動電
源、更には、平滑回路106から出力される電圧信号
(c点の電圧)、および、補助操舵力演算手段1から出
力される指令値Tsの電圧(d点の電圧)等をはじめ、
磁歪式トルクセンサ108やEPSコントローラに関連
した回路各部の入出力電圧(e点の電圧)を検出する。
【0033】また、CPU4は動作プログラムや各種パ
ラメータ等を格納するためのROMおよび演算データを
一時記憶するためのRAM等を有し、更に、適切な入出
力回路や駆動回路を備えて、フェール・スイッチ2の開
閉状態の検出やフェール・スイッチ2の開閉操作、およ
び、電圧監視回路3で検出された電圧データの読み込み
作業等を行う。更に、温度条件等に対応して適切なゲイ
ンを選択するためのデータファイルを格納したEEPR
OMを備え、図示しない温度補償回路からの補正情報を
受けて適切なゲインを選択し、補助操舵力演算手段1に
設定する機能を有する。
【0034】アナログ電圧発生回路6のON/OFF切
り替え、および、アナログ電圧発生回路6に対する出力
電圧の設定はCPU4によって制御される。
【0035】図2は、これらの構成要素に対する駆動電
源の投入タイミングやCPU4の動作開始タイミング等
について示すタイミングチャートである。EPSコント
ローラに対する電圧V1と電圧V2の供給は図2
(a),図2(b)に示されるようにイグニッションキ
ーによる電源ONの操作と同時に開始され、補助操舵力
演算手段1に対する電圧V2の供給も、図2(e)に示
されるように、イグニッションキーによる電源ONの操
作と同時に開始される。この点に関しては図7に示した
従来例と同様である。
【0036】但し、本実施形態においては、図2(f)
に示されるように、イグニッションキーの操作を検出し
たCPU4が動作を開始した段階で電源異常等の検出に
関わる自己診断処理を実施し、電源に異常がないことを
確認してから図2(d)に示されるようにして磁歪式ト
ルクセンサ108の各構成要素に対する電圧V1の供給
を開始するようにしているので、磁歪式トルクセンサ1
08に対する電圧V1の供給開始タイミングに関して
は、図7(d)に示した従来例に比べ、自己診断処理の
所要時間分に相当する遅れを生じる。既に何度も述べた
通り、イグニッションキーによる電源ONの操作と同時
に実際の走行に関連したステアリング・ハンドルの操作
が行われるといったことはないので、この程度の動作遅
れは実用上の問題とはならない。
【0037】また、EPSコントローラ側のCPUの動
作開始タイミングに関しては、図2(c)に示す通り、
図7(c)の従来例と同様である。
【0038】そして、本実施形態においては、ステアリ
ング・ハンドルに作用する操舵力が「0」であるときに補
助操舵力演算手段1から出力される補助操舵力の指令値
Tsの値が中点電圧2.5ボルトと一致するように設定
されており、この2.5ボルトの出力が実質的な補助操
舵力の指令値「0」に相当する。つまり、EPSコントロ
ーラに入力される補助操舵力指令値Tsが中点電圧2.
5ボルトであるときに補助操舵装置の電動機に与えられ
る実質的なトルク指令値が「0」であり、このとき補助操
舵装置によるパワーアシストが非作動の状態となる。
【0039】一方、ステアリング・ハンドルを左旋回さ
せた場合に補助操舵力演算手段1から出力される指令値
Tsは中点電圧2.5ボルトよりも低く、また、ステア
リング・ハンドルを右旋回させた場合に補助操舵力演算
手段1から出力される指令値Tsは中点電圧2.5ボル
トよりも高くなる。そして、その指令値Tsの大きさ、
より具体的には指令値Tsと中点電圧2.5ボルトとの
間の差の大小に応じてEPSコントローラが補助操舵装
置の電動機をトルク制御し、運転者によるステアリング
・ハンドルの操作に応じた方向と力で自動車の操舵輪が
左または右に操舵される。
【0040】図3〜図5は補助操舵力調整手段およびス
イッチ制御手段としてのCPU4によって実施される処
理の概略を示すフローチャートである。以下、これらの
フローチャートを参照して本実施形態における補助操舵
力調整手段およびスイッチ制御手段の機能について詳細
に説明する。
【0041】まず、ステップs1のイグニッションキー
のONにより、EPSコントローラに対する電圧V1と
電圧V2の供給および補助操舵力演算手段1に対する電
圧V2の供給を開始する。このタイミングは、図2
(a),図2(b),図2(e)に示す通りである。ま
た、電圧V1の起電力が所定値に達していれば、この段
階でフェール・スイッチ2が自動的に閉路される。
【0042】次いで、CPU4は、供給電圧V1,V2
の起電力の現在値と、補助操舵力演算手段1から出力さ
れている電圧信号dの現在値、要するに、指令値Tsを
読み込み(ステップs9)、各々の値が予め設定された
許容値の範囲内にあるか否かを判別する(ステップs1
0)。
【0043】もし、電源投入直後のこの段階で供給電圧
V1,V2の起電力が許容値の範囲内になければ、根本
的な電源異常があることを意味する。また、図2(d)
に示されるように、この段階では未だ磁歪式トルクセン
サ108の回路各部に電源が投入されておらず、磁歪式
トルクセンサ108からの出力は「0」である筈なので、
磁歪式トルクセンサ108自体の異常によってd点の出
力異常が生じるとは考えにくい。もし、それでも、補助
操舵力演算手段1の電圧信号dが許容値の範囲内にない
とすれば、それは、補助操舵力演算手段1の中点電圧調
整機能かゲイン調整機能の異常、もしくは、電圧監視回
路3の異常に起因するものと考えるのが妥当である。
【0044】いずれの場合も問題を修復するのは容易で
ないので、ステップs10の判別結果が偽となってこれ
らの異常が検出された場合には、CPU4は、補助操舵
力演算手段1の作動を停止させ、アナログ発生回路6に
Hiレベル(5ボルト)またはLoレベル(0ボルト)
の電圧信号の出力を指令し、この信号を指令値Tsに代
わる異常検出信号としてEPSコントローラに入力する
(ステップs11)。
【0045】異常検出信号を受けたEPSコントローラ
は、この異常検出信号が消えるまでの間、補助操舵装置
の電動機のトルク制御に関する一切の処理を中止する。
従って、起動時に重大な異常が検出された場合には、電
動パワーステアリングによるパワーアシストは初めから
実施されない。即ち、ステップs9〜ステップs11の
処理は、本実施形態における自己診断処理である。
【0046】一方、ステップs10の判別結果が真とな
った場合、つまり、電源異常等に関わる根本的な問題が
検出されなかった場合には、CPU4はステップs2の
処理に移行し、ステップs2〜ステップs5の判別処理
を繰り返し実行し、電圧異常等を検出するための張り込
み処理を継続する。
【0047】この間、磁歪式トルクセンサ108および
補助操舵力演算手段1は前述した通常の処理を実施す
る。即ち、磁歪式トルクセンサ108がステアリング・
ハンドルに作用する運転者の操舵力を検出する。また、
閉じられたフェール・スイッチ2を介して磁歪式トルク
センサ108からの信号を受けた補助操舵力演算手段1
は、中点電圧の調整とゲイン調整を実施して適切な補助
操舵力の指令値Tsを求め、この指令値TsをEPSコ
ントローラに出力する。そして、指令値Tsを受けたE
PSコントローラは、指令値Ts、即ち、運転者による
ステアリング・ハンドルの操舵力と操舵方向とに応じて
補助操舵装置の電動機の駆動トルクを制御し、電動パワ
ーステアリングによるパワーアシストを実施する。
【0048】正常時における磁歪式トルクセンサ108
や補助操舵力演算手段1および補助操舵装置の動作に関
しては図6の従来例と同様である。
【0049】そして、駆動電源V1自体に極端な電圧低
下や電力の瞬断等の重大な異常が発生すると、フェール
・スイッチ2がセルフ・オフ機能によって自動的に開路
し、補助操舵力調整手段としてのCPU4は、ステップ
s2の判別処理でフェール・スイッチ2の開路を検出す
る。
【0050】フェール・スイッチ2の開路を検出したC
PU4は、電源異常フラグFをセットして電源異常の発
生を記憶した後(ステップs6)、現時点で補助操舵力
演算手段1に設定されている出力ゲインの値を読み込ん
で、その値から所定の減衰量設定値Δgを減じ、この値
を改めて補助操舵力演算手段1に出力ゲインとして設定
する(ステップs12)。次いで、CPU4は、現時点
で補助操舵力演算手段1から出力されている補助操舵力
の指令値Tsを読み込み(ステップs13)、その値が
中点電圧の2.5ボルトと一致しているか否かを判別す
る(ステップs14)。
【0051】そして、補助操舵力の指令値Tsが中点電
圧の2.5ボルトと一致していなければ、補助操舵力調
整手段としてのCPU4は、指令値Tsの値が中点電圧
の2.5ボルトに一致するまでの間、前記と同様にして
ステップs12〜ステップs14の処理を繰り返し実行
し、補助操舵力演算手段1に設定されている出力ゲイン
の値を徐々に減少させていく。
【0052】補助操舵力演算手段1は、フェール・スイ
ッチ2が開路する直前の段階で磁歪式トルクセンサ10
8の平滑回路106から出力されていた電圧信号の値を
そのまま保持し、その値に出力ゲインを乗じることによ
って補助操舵力の指令値Tsを求めるように構成されて
いる。従って、前述したステップs12〜ステップs1
4の処理で補助操舵力演算手段1の出力ゲインの値が徐
々に小さな値に書き換えられていけば、これにつれて補
助操舵力の指令値Tsの値も徐々に減衰し、最終的には
中点電圧の2.5ボルトに収束する。
【0053】従って、例えば、電動パワーステアリング
によるパワーアシスト機能が作動している状況下で駆動
電源V1に瞬断が生じたような場合であっても、図7
(d)および図7(g)に示した従来例とは相違し、補
助操舵力が急激に失われるといったことはない。本実施
形態においては、図2(d)および図2(g)に示す例
のように、補助操舵力が飽くまでも徐々に減衰していく
ことになる。従って、電動パワーステアリングによるパ
ワーアシスト機能が作動している状況下で駆動電源V1
に瞬断が生じたとしても、運転者がステアリング・ハン
ドルから瞬間的にパワーアシスト相当分の強い反力を感
じ取ることはない。また、ステアリング・ハンドルが急
激に重くなったりすることもないので、運転者は、ステ
アリング・ハンドルの操作に関わる違和感を感じること
なく、安定した運転操作を継続することができる。
【0054】なお、フェール・スイッチ2が開路する直
前の電圧信号を補助操舵力演算手段1に保持するための
手段としては、適当なコンデンサの並列接続を利用して
もよいし、または、磁歪式トルクセンサ108側の処理
により所定の書き込み周期毎に該センサ108の出力を
補助操舵力演算手段1の入力バッファに書き込むように
構成しておき、フェール・スイッチ2の開路によってこ
の書き込み処理を無効にするようにしてもよい。
【0055】そして、補助操舵力の指令値Tsが中点電
圧の2.5ボルトと一致したことがステップs14の判
別処理で検出されると、CPU4は、補助操舵力演算手
段1の作動を停止させ、アナログ発生回路6にHiレベ
ル(5ボルト)またはLoレベル(0ボルト)の電圧信
号の出力を指令し、この信号を指令値Tsに代わる異常
検出信号としてEPSコントローラに出力する(ステッ
プs15)。
【0056】この異常検出信号は原因が取り除かれるま
で出力され続けるので、例えば、図2(g)の区間Xに
実線で示すように、EPSコントローラの入力信号はス
テアリング・ハンドルの操作の有無に関わりなくフラッ
トな状態に保持され、この間、補助操舵装置によるパワ
ーアシストが非実行となる。なお、図2(g)では異常
検出信号としてLoレベル(0ボルト)の信号を利用す
る例について示しているが、EPSコントローラ側の仕
様によってはHiレベル(5ボルト)の信号を異常検出
信号とする場合もある。
【0057】次いで、CPU4は、磁歪式トルクセンサ
108に用いられている電源V1の起電力が適正な値に
復帰しているか否かを判別するが(ステップs16)、
起電力V1が適正な値に復帰していない場合には、ステ
ップs16の判別処理を繰り返し実行してそのまま待機
する。
【0058】待機期間中はLoレベル(0ボルト)の異
常検出信号がEPSコントローラに入力され続けるの
で、パワーアシストは実施されない。
【0059】そして、この待機期間中に電源V1の起電
力が適正な値に復帰してステップs16の判別処理が真
となった場合には、CPU4は、更に、電源異常フラグ
Fがセットされているか否か、即ち、今回検出された異
常がV1電源の切断もしくは電圧低下によるものである
か否かを判別する(ステップs17)。ステップs17
の判別結果が真となった場合、つまり、今回検出された
異常がV1電源の切断もしくは電圧低下であった場合に
は、CPU4は、更に、磁歪式トルクセンサ108から
の最終出力であるc点電圧が規定範囲内にあるか否かを
判別し(ステップs18)、規定範囲内になければ、ス
テップs18の判別処理を繰り返し実行してそのまま待
機する。
【0060】待機期間中はLoレベル(0ボルト)の異
常検出信号がEPSコントローラに入力され続けるの
で、パワーアシストは実施されない。なお、電源電圧V
1が正常に復帰してもc点電圧が適正とならない場合
は、磁歪式トルクセンサ108自体に問題があると考え
られる。
【0061】一方、ステップs18の判別結果が真とな
った場合、つまり、電源電圧V1が正常に復帰し、か
つ、磁歪式トルクセンサ108の出力cも適正な範囲内
にあると判定された場合には、今回の電源異常が一時的
なものであり、磁歪式トルクセンサ108にも異常がな
いことを意味する。従って、スイッチ制御手段としての
CPU4は、電源異常フラグFをリセットして(ステッ
プs19)、フェール・スイッチ2を閉じ(ステップs
20)、更に、アナログ発生回路6によるLoレベル
(0ボルト)の異常検出信号の出力を停止させる(ステ
ップs21)。
【0062】異常検出信号の消失によりEPSコントロ
ーラによる補助操舵装置の電動機のトルク制御が再開さ
れるが、この段階では、補助操舵力演算手段1から出力
される指令値Tsの値が中点電圧2.5ボルトと一致す
るように調整されたままの状態、つまり、ゲインの値が
「0」となったままの状態であるので、実質的なパワーア
シスト動作、つまり、操舵装置の電動機に対する駆動制
御が行われることはない。
【0063】次いで、補助操舵力調整手段としてのCP
U4は、現時点で補助操舵力演算手段1に設定されてい
る出力ゲインの値を読み込み、その値に所定の減衰量設
定値Δgを加算して、この値を改めて補助操舵力演算手
段1に出力ゲインとして設定し(ステップs22)、更
新設定した出力ゲインの値が規定値と一致しているか否
かを判別する(ステップs23)。なお、ここで言う規
定値とは、温度条件等に対応してゲイン調整機能により
求められる適切なゲインの値、つまり、トルクセンサ1
08や補助操舵力演算手段1に何の障害もないときにゲ
イン調整機能によってEEPROMから選択される出力
ゲインの値である。
【0064】そして、設定された出力ゲインの現在値が
規定値と一致していなければ、補助操舵力調整手段とし
てのCPU4は、出力ゲインの現在値が規定値に達する
までの間、前記と同様にしてステップs22〜ステップ
s23の処理を繰り返し実行し、補助操舵力演算手段1
の出力ゲインの値を徐々に増大させていく。
【0065】このようにしてステップs22〜ステップ
s23の処理が繰り返し実行される間に補助操舵力演算
手段1の出力ゲインの値は徐々に規定値に接近し、最終
的には規定値に一致する。
【0066】従って、例えば、V1電源の異常等により
パワーアシストが禁止された状態のままで運転者がステ
アリング・ハンドルを操作していたような場合、つま
り、磁歪式トルクセンサ108からの出力cが予め大き
くなっている状態で電源電圧V1が急激に復活したよう
な場合であっても、補助操舵装置による補助操舵力が急
激に増大することはない。即ち、運転者が強い力でステ
アリング・ハンドルを操作している時にステアリング・
ハンドルの動きが急に軽くなるといった問題が発生する
ことはなく、運転者は、ハンドル操作に関わる違和感を
感じることなく、安定した運転操作を継続することがで
きる。電源異常が回復した場合の補助操舵力指令値Ts
の変化の一例を図2(g)の区間Xに破線で示す。な
お、図2(d)および図2(g)では電源V1が完全に
正常復帰してからステアリング・ハンドルを操作して左
右の切り返し旋回を行った場合の例について示してい
る。
【0067】そして、電動パワーステアリングの機能を
正常な状態に復帰させたCPU4は、再びステップs9
の処理に復帰し、前記と同様にしてステップs2〜ステ
ップs5の判別処理を繰り返し実行して、電圧異常等を
検出するための張り込み処理を継続する。
【0068】電圧監視回路3によって電源電圧V1の低
下が検出された場合の処理、つまり、ステップs3の判
別結果が真となった場合の処理も、概略において前記と
同様である。但し、フェール・スイッチ2のセルフ・オ
フ機能よりも先に電圧監視回路3によって電源電圧V1
の異常が検出された場合には、フェール・スイッチ2の
セルフ・オフ機能は作動しない。従って、スイッチ制御
手段としてのCPU4は、前記と同様にしてステップs
7の処理で電源異常フラグFをセットし、ステップs8
の処理でフェール・スイッチ2を開路させてからステッ
プs12の処理に移行することになる。ステップs12
以降の処理に関しては前記と全く同様である。
【0069】また、電圧監視回路3によって平滑回路1
06の出力電圧c,補助操舵力演算手段1の出力電圧
d,磁歪式トルクセンサ108やEPSコントローラに
関連した回路各部の入出力電圧eの異常、または、電源
電圧V1の上昇が検出された場合、要するに、ステップ
s4またはステップs5の判別処理で異常が検出された
場合には、CPU4は電源異常フラグFをセットせずに
ステップs8以降の処理を実施する。従って、この場合
はステップs17の判別結果が偽となり、ステップs1
8における磁歪式トルクセンサ108の出力電圧cのチ
ェック、および、ステップs19における電源異常フラ
グFのリセット処理は省略される。ステップs4および
ステップs5の判別処理で検出される異常の多くは電源
電圧V1の上昇に起因するものであるから、ステップs
16の判別処理によってV1電圧の正常復帰が確認され
れば十分であり、敢えてc点電圧の確認作業を実施する
必要はない。
【0070】以上、一実施形態として、運転者に要求さ
れるステアリング・ハンドル操舵力の変動を補助操舵力
演算手段1のゲイン調整によって吸収する例について述
べたが、電源異常の検出と同時にアナログ電圧発生回路
6の出力をEPSコントローラに接続し、その出力を徐
々に変化させることによっても前記と同様の効果を達成
することができる。
【0071】
【発明の効果】本発明の自動車用電動パワーステアリン
グは、運転者の操舵力を検出するトルクセンサの電源異
常を検知して補助操舵装置の補助操舵力を徐々に減少さ
せていくように構成したので、トルクセンサの電源異常
を検知して直ちにパワーアシストを打ち切る従来の自動
車用電動パワーステアリングとは相違し、ステアリング
・ハンドルの操作中にトルクセンサに異常が生じたよう
な場合であっても、運転者側におけるステアリング・ハ
ンドルの操作に違和感を生じることなく、安定した運転
感覚を維持することができる。
【0072】また、電源が正常な状態に復帰したことを
検出することにより補助操舵装置の補助操舵力を徐々に
増大させて正常な状態に戻していくようにしたので、電
源電圧の瞬断等の一時的な異常の場合には、パワーステ
アリングの自動復旧作業を実施することが可能である。
この場合も、補助操舵装置のパワーアシストは徐々に正
常な状態に戻っていくので、ステアリング・ハンドルの
操作中に電源が復旧したような場合であっても、急にパ
ワーアシストが効いてハンドル操作が軽くなる等といっ
た違和感が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施形態の自動車用電動パ
ワーステアリングの回路構成について示すブロック図で
ある。
【図2】同実施形態のトルクセンサおよび補助操舵力演
算手段とEPSコントローラに関する動作タイミングの
一例を示すタイミングチャートで、図2(a)はEPS
コントローラに対する電圧V1の供給開始タイミングを
示す図、図2(b)はEPSコントローラに対する電圧
V2の供給開始タイミングを示す図、図2(c)はEP
Sコントローラ側のCPUの動作開始タイミングを示す
図、図2(d)は磁歪式トルクセンサに対する電圧V1
の供給開始タイミングを示す図、図2(e)は補助操舵
力演算手段に対する電圧V2の供給開始タイミングを示
す図、図2(f)は補助操舵力演算手段の実質的な動作
開始タイミングを示す図、図2(g)は補助操舵力演算
手段からの補助操舵力指令値の出力例について示す図で
ある。
【図3】補助操舵力調整手段およびスイッチ制御手段と
してのCPUによって実施される処理の概略を示すフロ
ーチャートである。
【図4】同CPUによって実施される処理の概略を示す
フローチャートの続きである。
【図5】同CPUによって実施される処理の概略を示す
フローチャートの続きである。
【図6】自動車用電動パワーステアリングを駆動するた
めの回路構成の一従来例について示すブロック図であ
る。
【図7】トルクセンサおよび補助操舵力演算手段とEP
Sコントローラに関する動作タイミングの一従来例を示
すタイミングチャートで、図7(a)はEPSコントロ
ーラに対する電圧V1の供給開始タイミングを示す図、
図7(b)はEPSコントローラに対する電圧V2の供
給開始タイミングを示す図、図7(c)はEPSコント
ローラ側のCPUの動作開始タイミングを示す図、図7
(d)は磁歪式トルクセンサに対する電圧V1の供給開
始タイミングを示す図、図7(e)は補助操舵力演算手
段に対する電圧V2の供給開始タイミングを示す図、図
7(f)は補助操舵力演算手段の実質的な動作開始タイ
ミングを示す図、図7(g)は補助操舵力演算手段から
の補助操舵力指令値の出力例について示す図である。
【符号の説明】
1 補助操舵力演算手段 2 フェール・スイッチ 3 電圧監視回路(電圧監視手段) 4 CPU(補助操舵力調整手段,スイッチ制御手段) 5 制御部 6 アナログ電圧発生回路 100a,100b 検出コイル 101a,101b 励磁コイル 102 発振回路 103 バッファ 104a,104b 整流回路 105 比較回路 106 平滑回路 107 補助操舵力演算手段 108 磁歪式トルクセンサ 109 トルク検出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 賢一 静岡県浜松市高塚町300番地 スズキ株式 会社内 Fターム(参考) 2F051 AA01 AB05 AC01 BA03 3D033 CA03 CA16 CA20 CA21 CA31 CA32

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリング・ハンドルに作用する操舵
    力を検出して出力するトルクセンサと、前記トルクセン
    サから渡された検出出力にゲインを乗じて補助操舵力の
    指令値として出力する補助操舵力演算手段と、前記補助
    操舵力演算手段から渡された指令値に基づいて補助操舵
    装置の電動機の駆動トルクをフィードバック制御するパ
    ワーステアリング用コントローラとを備えた自動車用電
    動パワーステアリングにおいて、 前記トルクセンサと前記パワーステアリング用コントロ
    ーラとの間に配備され、前記トルクセンサの駆動電源に
    異常が生じると前記トルクセンサと前記パワーステアリ
    ング用コントローラとの間で開路して前記トルクセンサ
    の検出出力に基づく補助操舵力の指令値が前記パワース
    テアリング用コントローラに入力されるのを禁止するフ
    ェール・スイッチと、前記フェール・スイッチの開路動
    作を検出して前記パワーステアリング用コントローラへ
    の補助操舵力の指令値の入力を徐々に減少させる補助操
    舵力調整手段とを設けたことを特徴とする自動車用電動
    パワーステアリング。
  2. 【請求項2】 前記フェール・スイッチは、前記トルク
    センサと前記パワーステアリング用コントローラとの間
    においてトルクセンサと補助操舵力演算手段との間に配
    備され、前記トルクセンサの駆動電源が正常に作動する
    間は前記トルクセンサと前記補助操舵力演算手段との間
    の電気的な接続を閉路し且つ前記トルクセンサの駆動電
    源に異常が生じると前記トルクセンサと前記補助操舵力
    演算手段との間の電気的な接続を開路する機能を有し、 前記補助操舵力調整手段は、前記フェール・スイッチの
    開路動作を検出すると、該補助操舵力演算手段における
    実質的な補助操舵力の指令値が零になるまでの間前記補
    助操舵力演算手段のゲインを徐々に減少させる機能を有
    するものであることを特徴とする請求項1記載の自動車
    用電動パワーステアリング。
  3. 【請求項3】 前記トルクセンサと前記パワーステアリ
    ング用コントローラに関連する回路各部の入出力電圧の
    異常を検出する電圧監視手段と、前記電圧監視手段から
    の異常検出信号を受けて前記フェール・スイッチを開路
    するスイッチ制御手段とを設けたことを特徴とする請求
    項1または請求項2記載の自動車用電動パワーステアリ
    ング。
  4. 【請求項4】 前記スイッチ制御手段は、前記電圧監視
    手段からの異常検出信号が解消したことを検出して前記
    フェール・スイッチを閉路する機能を有し、 前記補助操舵力調整手段は、前記フェール・スイッチの
    閉路動作を検出すると、前記補助操舵力演算手段におけ
    るゲインが設定値に戻るまでの間前記補助操舵力演算手
    段のゲインを徐々に増大させる機能を有するものである
    ことを特徴とする請求項3記載の自動車用電動パワース
    テアリング。
  5. 【請求項5】 前記補助操舵力調整手段は、前記補助操
    舵力演算手段と独立したアナログ電圧発生回路によって
    構成されていることを特徴とする請求項1または請求項
    3記載の自動車用電動パワーステアリング。
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