しかしながら、この特許文献1に提案された装置では、電動モータの駆動が制限されてしまい、充分な操舵アシストが得られない。特に、エンジンが自動再始動されるときには車載バッテリからエンジンスタータに大電流が流れて車載電源電圧が大きくドロップするため、このときに操舵操作が行われると電動モータへの通電量が減少し操舵ハンドルの回動操作にひっかかり感が発生する。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、アイドリングストップ機能によりエンジンが自動停止あるいは自動再始動しているときでも、充分な操舵アシストが得られるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、バッテリおよびエンジンの回転により発電するオルタネータを有する車載電源と、前記バッテリからの給電によりエンジンを始動するスタータと、予め設定されたアイドリングストップ条件に基づいてエンジンを自動停止・自動再始動させるアイドリングストップ制御装置とを備えた車両に適用され、前記車載電源から電源供給されてステアリング機構に対して操舵アシスト力を付与する電動モータと、運転者による操舵ハンドルの操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、前記検出した操舵状態に基づいて、前記電動モータの通電を制御するアシスト制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置において、前記車載電源により充電される副電源と、前記アイドリングストップ制御装置の制御状態情報であるアイドリングストップ情報を取得するアイドリングストップ情報取得手段と、前記アイドリングストップ情報取得手段により取得したアイドリングストップ情報がエンジンの自動停止中あるいは自動再始動中であることを表す情報である場合には、前記副電源を前記電動モータの電源供給路に接続して、前記車載電源と前記副電源との両方にて前記電動モータに電源供給する電源制御手段とを備えたことにある。
この発明は、アイドリングストップ制御装置を備えた車両に適用される電動パワーステアリング装置であって、エンジンの自動停止中および自動再始動中においても充分な操舵アシスト力を付与できるように副電源を備えている。アイドリングストップ情報取得手段は、アイドリングストップ制御装置からその制御状態情報であるアイドリングストップ情報を取得し、取得したアイドリングストップ情報が、エンジン自動停止中あるいはエンジン自動再始動中であることを表す情報である場合、つまり、アイドリングストップ制御が行われていることを表す情報である場合には、副電源を操舵アシスト用の電動モータの電源供給路に接続する。
運転者は、アイドリングストップ制御が行われている状態であっても、操舵ハンドルを回動操作する場合がある。アシスト制御手段は、操舵状態検出手段により検出した操舵状態に基づいて電動モータの通電を制御するが、アイドリングストップ制御が行われているとき(エンジン自動停止中あるいはエンジン自動再始動中)にはオルタネータが発電していないため、車載電源としてはバッテリしか利用できない。そこで、本発明では、アイドリングストップ制御中において、車載電源に加えて副電源からも電動モータに電源供給する。このため、電動モータに充分な通電を行うことができ、操舵アシスト不足を招かないようにすることができる。特に、アイドリングストップ制御中における操舵操作は、ほとんどの場合、据え切り操作となるため電動モータの必要通電量が大きいが、副電源によるバックアップにより電動モータを良好に駆動することができる。
また、エンジン自動再始動中においては、スタータが作動して車載電源のバッテリから大電流を引き出して車載電源電圧が変動するが、そのとき操舵操作が行われても、副電源が車載電源電圧の変動を補償して操舵アシスト用の電動モータに通電するため、良好な操舵アシストを得ることができる。
尚、操舵状態検出手段は、例えば、操舵ハンドルに入力される操舵トルクを検出し、アシスト制御手段は、例えば、検出した操舵トルクの増加にしたがって電動モータの通電量を増加させるように制御して操舵アシストトルクを制御する。
また、本発明の他の特徴は、前記電源制御手段は、前記操舵状態検出手段により運転者が操舵ハンドルを回動操作していることが検出されていることを条件として、前記副電源を前記電動モータの電源供給路と接続することにある。
本発明によれば、エンジンの自動停止中および自動再始動中に、操舵アシストが必要なときにだけ副電源を電動モータの電源供給路に接続するため、副電源の充電量の低下を抑えることができる。尚、操舵状態検出手段は、例えば、操舵トルクと操舵速度とを検出し、操舵トルクが基準トルク以上あり、かつ、操舵速度が基準速度以上ある場合に、運転者が操舵ハンドルを回動操作していると判定するようにするとよい。
また、本発明の他の特徴は、前記副電源の充電度合いを検出する充電状態検出手段を備え、前記電源制御手段は、前記充電状態検出手段により検出した副電源の充電度合いが予め設定した基準値以上であることを条件として、前記副電源を前記電動モータの電源供給路に接続することにある。
本発明によれば、副電源の充電度合いが予め設定した基準値以上となる場合、つまり、副電源の充電量が基準量以上と推測される場合、エンジンの自動停止中および自動再始動中に副電源を電動モータの電源供給路に接続するため、副電源の充電状態の悪化を抑制することができる。尚、副電源の充電度合いは、例えば、副電源の出力電圧(電源電圧)に基づいて検出することができる。この場合、電源制御手段は、副電源の出力電圧が予め設定した基準電圧以上となることを条件として、副電源を電動モータの電源供給路に接続する。
また、本発明の他の特徴は、車速を検出する車速検出手段を備え、前記電源制御手段は、前記充電状態検出手段により検出した副電源の充電度合いが予め設定した基準値に満たない場合であっても、前記車速検出手段により検出した車速が予め設定した設定速度以上である場合には、前記副電源を前記電動モータの電源供給路に接続することにある。
本発明によれば、副電源の充電度合いが基準値に満たない場合、つまり、副電源の充電量が基準量未満と推定される場合であっても、車速が設定速度以上である場合には、エンジンの自動停止中および自動再始動中に副電源を電動モータの電源供給路に接続する。アイドリングストップ制御は、車両が停止すると予測される場合には、車両停止前からエンジンを停止することもできる。こうした走行中におけるアイドリングストップ制御時においては、副電源の充電量が低下していても、副電源を電動モータの電源供給路に接続することにより、できるだけ操舵フィーリングを変化させないようにして安全を図ることができる。
本発明の他の特徴は、前記副電源の充電度合いを検出する充電状態検出手段と、前記アイドリングストップ情報取得手段により取得したアイドリングストップ情報がエンジンの作動中を表す情報である場合には、前記充電状態検出手段により検出した前記副電源の充電度合いが予め設定した充電要否判定値を下回っている場合に、前記車載電源により前記副電源を充電する充電制御手段とを備えたことにある。
本発明によれば、副電源の充電度合いが充電要否判定値を下回っている場合、つまり、副電源の充電量が不十分な場合には、アイドリングストップ制御が行われていないエンジン作動中に車載電源により副電源を充電する。この結果、次のアイドリングストップ制御時において、操舵アシスト用の電動モータに充分な電力を供給することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置について図面を用いて説明する。図1は、同実施形態として車両の電動パワーステアリング装置の概略構成を表している。
本実施形態の車両の電動パワーステアリング装置は、操舵ハンドル11の操舵操作により転舵輪を転舵するステアリング機構10と、ステアリング機構10に組み付けられ操舵アシストトルクを発生する電動モータ20と、電動モータ20を駆動制御するアシスト制御装置30と、電動モータ20の電源供給を補助する副電源50とを主要部として備えている。
ステアリング機構10は、操舵ハンドル11の回転操作により左右前輪FWL,FWRを転舵するための機構で、操舵ハンドル11を上端に一体回転するように接続したステアリングシャフト12を備える。このステアリングシャフト12の下端には、ピニオンギヤ13が一体回転するように接続されている。ピニオンギヤ13は、ラックバー14に形成されたラック歯と噛み合って、ラックバー14とともにラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の両端には、タイロッド15L,15Rを介して左右前輪FWL,FWRのナックル(図示略)が操舵可能に接続されている。左右前輪FWL,FWRは、ステアリングシャフト12の軸線回りの回転に伴うラックバー14の軸線方向の変位に応じて左右に操舵される。
ラックバー14には、操舵アシスト用の電動モータ20が組み付けられている。電動モータ20の回転軸は、ボールねじ機構16を介してラックバー14に動力伝達可能に接続されていて、その回転により左右前輪FWL,FWRの操舵をアシストする。ボールねじ機構16は、減速機および回転−直線変換器として機能するもので、電動モータ20の回転を減速するとともに直線運動に変換してラックバー14に伝達する。
ステアリングシャフト12には、操舵トルクセンサ21が設けられる。操舵トルクセンサ21は、操舵ハンドル11の回動操作によってステアリングシャフト12に作用する操舵トルクに応じた信号を出力する。この操舵トルクセンサ21から出力される信号により検出される操舵トルクの値を、以下、操舵トルクTxと呼ぶ。操舵トルクTxは、正負の値により操舵ハンドル11の操作方向が識別される。本実施形態においては、操舵ハンドル11の右方向への操舵時における操舵トルクTxを正の値で、操舵ハンドル11の左方向への操舵時における操舵トルクTxを負の値で示す。従って、操舵トルクTxの大きさは、その絶対値の大きさとなる。
電動モータ20には、回転角センサ22が設けられる。この回転角センサ22は、電動モータ20内に組み込まれ、電動モータ20の回転子の回転角度位置に応じた検出信号を出力する。この回転角センサ22の検出信号は、電動モータ20の回転角および回転角速度の計算に利用される。一方、この電動モータ20の回転角は、操舵ハンドル11の操舵角に比例するものであるので、操舵ハンドル11の操舵角としても共通に用いられる。また、電動モータ20の回転角を時間微分した回転角速度は、操舵ハンドル11の操舵角速度に比例するものであるため、操舵ハンドル11の操舵速度としても共通に用いられる。以下、回転角センサ22の出力信号により検出される操舵ハンドル11の操舵角の値を操舵角θxと呼び、その操舵角θxを時間微分して得られる操舵角速度の値を操舵速度ωxと呼ぶ。操舵角θxは、正負の値により操舵ハンドル11の中立位置に対する右方向および左方向の舵角をそれぞれ表す。本実施形態においては、操舵ハンドル11の中立位置を「0」とし、中立位置に対する右方向への舵角を正の値で示し、中立位置に対する左方向への舵角を負の値で示す。
尚、本願明細書においては、操舵トルクTx、操舵速度ωxについて設定値と比較するが、この比較にあたっては、その大きさ、つまり、絶対値を使って比較する。
アシスト制御装置30は、電動モータ20を駆動するためのモータ駆動回路31と、モータ駆動回路31の通電量を制御して操舵アシストトルクを制御する操舵アシスト用電子制御装置32とを備えている。以下、操舵アシスト用電子制御装置32をEPS-ECU32と呼ぶ。
モータ駆動回路31は、MOS−FETからなる6個のスイッチング素子により3相インバータ回路を構成したものであり、上アームと下アームとの間から電動モータ20への電源供給ライン33が引き出されている。モータ駆動回路31には、電流センサ34が設けられている。電流センサ34は、各相(U相,V相,W相)に流れる電流をそれぞれ検出(測定)し、その検出した電流値に対応した検出信号をEPS-ECU32に出力する。以下、この検出された電流値を、モータ電流iuvwと呼び、電流センサ34をモータ電流センサ34と呼ぶ。
モータ駆動回路31の各スイッチング素子は、それぞれゲートがEPS-ECU32に接続され、EPS-ECU32からのPWM制御信号によりデューティ比が制御される。これにより電動モータ20の駆動電圧が目標電圧に調整される。
次に、電動パワーステアリング装置の電源供給系統について説明する。
電動パワーステアリング装置は、主電源100から電源供給される。主電源100は、定格出力電圧12Vの一般的な車載バッテリである主バッテリ101と、エンジンの回転により発電する定格出力電圧14Vのオルタネータ102とを並列接続して構成される。従って、主電源100は、14V系の車載電源を構成している。
この主電源100は、電動パワーステアリング装置だけでなく他の車載電気負荷への電源供給も共通して行うもので本発明の車載電源に相当する。主電源100のプラス端子には電源供給元ライン103が接続され、接地端子には接地ライン104が接続される。電源供給元ライン103と接地ライン104との間には、エンジンの始動時に駆動されるエンジンスタータ105が設けられる。このエンジンスタータ105は、エンジン制御装置(以下、エンジンECUと呼ぶ)200からの駆動信号により、内蔵された電動モータ(図示略)を作動させてエンジンを始動させる。
電源供給元ライン103は、制御系電源ライン106と駆動系電源ライン107とに分岐する。制御系電源ライン106は、EPS−ECU32、エンジンECU200、アイドリングストップECU201など車両に設けられた制御システムの中枢である電子制御装置(ECU)への電源供給ラインとなる。一方、駆動系電源ライン107は、モータ駆動回路31などの車載大電力負荷への電源供給ラインとなる。
制御系電源ライン106には、電源バックアップ用昇圧回路108(図中においてはBBCと表示)が設けられる。車両に設けられる各ECUはマイクロコンピュータを備えているため、電源電圧が変動して最低作動電圧を下回ってしまうと適正に動作しなくなる。そこで、電源バックアップ用昇圧回路108を設けることにより、主電源100から供給される電源の電圧が一時的にドロップした場合であっても、制御系電源ライン106に接続される負荷に対して安定した電圧の電源を供給する。尚、図1においては、各ECUの接地ラインの記載を省略している。
駆動系電源ライン107と接地ライン104とは、モータ駆動回路31の電源入力部に接続される。また、駆動系電源ライン107および接地ライン104には、副電源ライン109および副電源接地ライン110が分岐して設けられる。副電源ライン109は副電源50のプラス端子に接続され、副電源接地ライン110は副電源50の接地端子に接続される。
副電源50は、主電源100により充電され、後述するアイドリングストップ制御時にモータ駆動回路31への電源供給を補助する蓄電装置である。本実施形態においては、急速充放電可能な蓄電ディバイスであるキャパシタ(電気二重層コンデンサ)を用いるが、他の蓄電装置を用いることもできる。
副電源ライン109の途中には、スイッチ111が設けられる。このスイッチ111は、EPS−ECU32から出力される開閉制御信号により回路を開閉するもので電磁リレーや半導体スイッチング素子などを用いることができる。スイッチ111は、EPS−ECU32からオン信号を入力したときに、駆動系電源ライン107と副電源50とを接続して副電源50を充放電可能状態にし、EPS−ECU32からオフ信号を入力したときに、駆動系電源ライン107と副電源50との接続を遮断して副電源50を充放電不能状態にする。
副電源50には、その電源電圧を検出する電圧センサ112が設けられる。この電圧センサ112は、検出した電圧値に対応した検出信号をEPS−ECU32に出力する。以下、この検出された電圧値を副電源電圧vsubと呼び、電圧センサ112を副電源電圧センサ112と呼ぶ。
EPS−ECU32は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として構成され、その機能から、アシスト制御部32aと電源制御部32bとに大別される。アシスト制御部32aと電源制御部32bとは、互いに制御指令や制御データ等の授受が可能に設けられる。アシスト制御部32aは、操舵トルクセンサ21、回転角センサ22、モータ電流センサ34、車速センサ23を接続し、操舵トルクTx、操舵角θx、モータ電流iuvw、車速Vxを表すセンサ信号を入力する。アシスト制御部32aは、これらのセンサ信号に基づいて、後述する操舵アシスト制御ルーチンを実行することにより、モータ駆動回路31にPWM制御信号を出力して電動モータ20を駆動制御し、運転者の操舵操作をアシストする。また、アシスト制御部32aは、電源制御部32bに対して車速Vx、操舵トルクTx、操舵速度ωxを表すデータを出力するように構成されている。
電源制御部32bは、アイドリングストップECU201と副電源電圧センサ112とスイッチ111とを接続している。電源制御部32bは、アイドリングストップECU201から出力されるアイドリングストップ制御フラグF(以下、単にフラグFと呼ぶ)と、副電源電圧センサ112から出力される副電源電圧vsubと、アシスト制御部32aから出力される車速Vx、操舵トルクTx、操舵速度ωxとを入力し、後述する電源供給切替制御ルーチンを実行することによりスイッチ111を開閉制御する。
アイドリングストップECU201は、マイクロコンピュータを主要部として構成され、予め設定されたアイドリングストップ条件にしたがって、エンジンECU200に対してエンジンの停止指令と再始動指令とを出力するもので、本発明のアイドリングストップ制御装置に相当する。アイドリングストップECU201は、車速センサ23や図示しないブレーキペダルセンサ、クラッチペダルセンサ、シフトポジションセンサ、エンジン回転数センサ等を接続する。そして、これらのセンサ信号に基づいて車両の停止状態あるいは車両の停止が予測される状態を検出したときにエンジンECU200に停止指令を出力してエンジンを自動停止させ、運転者の発進操作を検出したときにエンジンECU200に再始動指令を出力してエンジンを自動再始動させる。
アイドリングストップ条件は、エンジンの自動停止条件と自動再始動条件とからなりアイドリングストップECU201のROM内に記憶されている。アイドリングストップ条件は、オートマチックトランスミッション車(AT車)とマニュアルトランスミッション車(MT車)とで異なっている。AT車においては、例えば、車速がゼロで、かつ、ブレーキペダルが踏まれていることを検出したときにエンジンの自動停止条件が満たされてエンジンECU200に停止指令を出力する。また、エンジンの自動停止中においては、ブレーキペダルが開放されたことを検出したときエンジンの自動再始動条件が満たされてエンジンECU200に再始動指令を出力する。
また、MT車においては、例えば、車速が基準速度未満で、かつ、クラッチペダルが踏まれているかシフトポジションがニュートラルになっており、かつ、エンジン回転数がアイドリング回転数にまで低下していることを検出したときにエンジンの自動停止条件が満たされてエンジンECU200に停止指令を出力する。この場合、車速条件となる基準速度は、本実施形態においては、ゼロより大きな値に設定されている。従って、車両の停止が予測される状態を検出している。また、エンジンの自動停止中においては、クラッチペダルによる半クラッチ操作、あるいは、開放されていたクラッチペダルが踏まれたことを検出したときにエンジンの自動再始動条件が満たされてエンジンECU200に再始動指令を出力する。
尚、アイドリングストップ条件は、他の条件を使用したり組み合わせたりすることもできる。例えば、エアコンディショナーの負荷が高い場合には、エンジンの自動停止を許可しないようにしてもよい。
また、アイドリングストップECU201は、その制御状態を表す情報としてフラグFをEPS−ECU32の電源制御部32bに出力する。このフラグFは、エンジンECU200に停止指令を出力しているとき(エンジンの自動停止中)に「1」に設定され、エンジンECU200に再始動指令を出力しているとき(エンジンの自動再始動中)に「2」に設定され、エンジンの始動完了を確認した後の通常作動時に「0」に設定されるもので、本発明におけるアイドリングストップ情報に相当する。尚、本実施形態においては、EPS−ECU32は、アイドリングストップ情報をアイドリングストップECU201から取得するが、エンジンECU200から取得するようにしてもよい。
次に、EPS−ECU32のアシスト制御部32aが行う操舵アシスト制御処理について説明する。図2は、アシスト制御部32aにより実施される操舵アシスト制御ルーチンを表し、EPS−ECU32のROM内に制御プログラムとして記憶される。操舵アシスト制御ルーチンは、イグニッションスイッチ(図示略)がオンされて初期診断が完了した後に起動し、所定の短い周期で繰り返される。
本制御ルーチンが起動すると、アシスト制御部32aは、まず、ステップS11において、車速センサ23によって検出された車速Vxと、操舵トルクセンサ21によって検出した操舵トルクTxとを読み込む。
続いて、ステップS12において、図3に示すアシストトルクテーブルを参照して、入力した車速Vxおよび操舵トルクTxに応じて設定される基本アシストトルクTasを計算する。アシストトルクテーブルは、EPS−ECU32のROM内に記憶されるもので、操舵トルクTxの増加にしたがって基本アシストトルクTasも増加し、しかも、車速Vxが低くなるほど大きな値となるように設定される。尚、図3のアシストトルクテーブルは、右方向の操舵トルクTxに対する基本アシストトルクTasの特性を表すが、左方向の特性については方向が反対になるだけで絶対値でみれば同じである。
続いて、アシスト制御部32aは、ステップS13において、この基本アシストトルクTasに補償トルクを加算して目標指令トルクT*を計算する。この補償トルクは、操舵角θxに比例して大きくなるステアリングシャフト12の基本位置への復帰力と、操舵速度ωxに比例して大きくなるステアリングシャフト12の回転に対向する抵抗力に対応した戻しトルクとの和として計算する。この計算に当たっては、回転角センサ22にて検出した電動モータ20の回転角(操舵ハンドル11の操舵角θxに相当)を入力して行う。また、操舵速度ωxについては、操舵ハンドル11の操舵角θxを時間で微分して求める。尚、操舵速度ωxについては、電動モータ20で発生する逆起電力から推定してもよい。
次に、アシスト制御部32aは、ステップS14において、目標指令トルクT*に比例した目標電流ias*を計算する。目標電流ias*は、目標指令トルクT*をトルク定数で除算することにより求められる。
続いて、アシスト制御部32aは、ステップS15において、電動モータ20に流れるモータ電流iuvwをモータ電流センサ34から読み込む。続いて、ステップS16において、このモータ電流iuvwと先に計算した目標電流ias*との偏差Δiを計算し、この偏差Δiに基づくPI制御(比例積分制御)により目標指令電圧v*を計算する。尚、目標指令電圧v*の計算に当たっては、3相のモータ電流iuvwを3相/2相変換によりd−q座標系の2相電流(d軸電流、q軸電流)に変換し、2相の目標電流ias*(d軸目標電流、q軸目標電流)との偏差を計算する。そして、2相/3相変換により2相の電流偏差に応じた3相の目標指令電圧v*を計算する。
そして、アシスト制御部32aは、ステップS17において、目標指令電圧v*に応じたPWM制御信号をモータ駆動回路31に出力して本制御ルーチンを一旦終了する。本制御ルーチンは、所定の速い周期で繰り返し実行される。従って、本制御ルーチンの実行により、モータ駆動回路31のスイッチング素子のデューティ比が制御されて、運転者の操舵操作に応じた所望のアシストトルクが得られる。尚、この操舵アシスト制御ルーチンを実行するアシスト制御部32aおよびモータ駆動回路31が本発明のアシスト制御手段に相当する。また、操舵トルクセンサ21、および、操舵角センサ22により検出される操舵角θxから操舵速度ωxを演算するアシスト制御部32aの機能部が本発明の操舵状態検出手段に相当する。
こうした操舵アシスト制御の実行中においては、特に、停車時でのハンドル操作(据え切り操作)や、速いハンドル回動操作したときには大きな電力が必要とされる。ところが、アイドリングストップECU201によりアイドリングストップ制御が行われているとき(エンジン自動停止中あるいはエンジン自動再始動中)には、オルタネータ102が発電していないため、主電源100としては主バッテリ101しか利用できない。このため、アイドリングストップ制御中に操舵ハンドル11の回動操作が行われた場合には、電動モータ20への通電量不足を生じるおそれがある。特に、エンジンの自動再始動中においては、エンジンスタータ105が作動して主バッテリ101から大電流を引き出すため、主電源電圧が大きく低下し電動モータ20へ充分な通電を行うことができない。従って、運転者に対して操舵操作に引っ掛かり感を与えてしまう。
そこで、本実施形態においては、副電源50を備え、操舵アシスト制御ルーチンとは独立して電源制御部32bが電源供給切替制御処理を実行することにより、こうした不具合を解消する。
以下、EPS−ECU32の電源制御部32bが行う電源供給制御処理について説明する。図4は、電源制御部32bにより実施される電源供給切替制御ルーチンを表すフローチャートである。この電源供給切替制御ルーチンは、EPS−ECU32のROM内に制御プログラムとして記憶される。電源供給切替制御ルーチンは、イグニッションスイッチ(図示略)がオンされてエンジンが始動された後に起動し、所定の短い周期で繰り返される。
電源供給切替制御ルーチンが起動すると、電源制御部32bは、ステップS21において、アイドリングストップECU201からフラグFを読み込み、ステップS22において、フラグFが「1」であるか否かを判断する。このフラグFは、F=1によりエンジンの自動停止中を表し、F=2によりエンジンの自動再始動中を表し、F=0によりエンジンの通常作動中を表す。電源供給切替制御ルーチンの起動時においては、まだ、エンジンの自動停止が行われていないため、フラグFは「0」になっている。従って、ステップS22の判断は「No」となり、次に、ステップS23において、フラグFが「2」であるか否かについて判断するが、この判断も「No」となる。この場合、電源制御部32bは、ステップS24において、副電源50の副電源電圧vsubに関する情報を読み込む。
電源制御部32bは、電源供給切替制御ルーチンとは別に副電源電圧検出処理を実行して、副電源電圧センサ112により検出される副電源電圧vsubを定期的に読み込み、その値を図示しない不揮発性メモリ等に記憶する。従って、ステップS24は、記憶されている最新の副電源電圧vsubを読み込む処理となる。この副電源電圧vsubは、副電源50の充電度合いの判断に用いられる。副電源電圧vsubの検出にあたっては、主電源100の出力電圧の影響を受けないように、スイッチ111がオフになっているときに、副電源電圧センサ112の検出信号(副電源電圧vsub)を読み込んで行う。例えば、電源供給切替制御ルーチンの起動時においては、スイッチ111はオフ状態になっているため、起動時における副電源電圧vsubを読み込み記憶する。その後は、スイッチ111がオフ状態となっているときに副電源電圧vsubを定期的に読み込んで記憶更新する。尚、後述する副電源50の充電時においてはスイッチ111がオン状態に制御されるが、この場合も、定期的にスイッチ111を一時的にオフにして、副電源電圧vsubを読み込むようにしてもよい。
次に、電源制御部32bは、ステップS25において、副電源電圧vsubが予め設定されている基準電圧vsub1以上であるか否かを判断する。副電源50の充電度合い(充電量)は、副電源電圧vsubから推測でき、副電源電圧vsubが高いほど高くなる。そこで、本実施形態においては、副電源電圧vsubに基づいて副電源50の充電度合いを判定する。このステップS25においては、副電源50が充電を要する状態か否かを、副電源電圧vsubと基準電圧vsub1との比較に基づいて判断する。従って、基準電圧vsub1は、本発明の充電要否判定値に相当する。
電源制御部32bは、副電源電圧vsubが基準電圧vsub1以上ある場合、つまり、副電源50の充電状態が良好であり充電不要と判断される場合には、ステップS26において、スイッチ111にオフ信号を出力して電源供給切替制御ルーチンを一旦終了する。本ルーチンの起動時においては、スイッチ111はオフ状態に設定されているため、この場合には、スイッチ111のオフ状態が継続されることになる。一方、副電源電圧vsubが基準電圧vsub1を下回っていると判断した場合(S25:No)、ステップS27において、スイッチ111にオン信号を出力して電源供給切替制御ルーチンを一旦終了する。従って、スイッチ111がオンされて副電源50と主電源100とが接続され、副電源50が主電源100により充電される。
電源供給切替制御ルーチンは、所定の短い周期で繰り返される。従って、毎回、アイドリングストップECU201から出力されるフラグFの状態が読み込まれる。そして、フラグFが「1」に切り替わった場合、つまり、エンジン自動停止が開始された場合(S22:No)、電源制御部32bは、ステップS28において、アシスト制御部32aで検出している操舵トルクTxを読み込み、ステップS29において、操舵トルクTxの大きさ(絶対値)が予め設定した基準トルクT0以上であるか否かを判断する。操舵トルクTxの大きさが基準トルクT0を下回っている場合は(S29:No)、ステップS26において、スイッチ111にオフ信号を出力する。
一方、操舵トルクTxの大きさが基準トルクT0以上である場合は(S29:Yes)ステップS30において、アシスト制御部32aで検出している操舵速度ωxを読み込み、ステップS31において、操舵速度ωxの大きさ(絶対値)が予め設定した基準操舵速度ω0以上であるか否かを判断する。操舵速度ωxの大きさが基準操舵速度ω0を下回っている場合は(S31:No)、ステップS26において、スイッチ111にオフ信号を出力する。
ステップS31において、操舵速度ωxの大きさが基準操舵速度ω0以上である場合は、運転者が操舵ハンドル11を大きな力で回動操作、つまり、切り返し操作を行ったと考えられる。この場合には、運転者の操舵操作に応じた充分な操舵アシストをすべく、電源制御部32bは、その処理をステップS32に進める。一方、操舵トルク|Tx|が大きくても操舵速度|ωx|が小さい場合(S31:No)には、運転者が操舵ハンドル11を保舵している場合と考えられる。保舵中においては、アシストトルクが不足しても運転者に違和感を与えない。そこで、この場合には、スイッチ111をオフ状態にして、副電源50による電源補助を行わない。また、操舵トルク|Tx|が小さい場合(S29:No)には、目標指令トルクT*が小さく設定されるため、電動モータ20への通電不足を生じない。そこで、この場合も、スイッチ111をオフ状態にして、副電源50による電源補助を行わない。
ステップS31において、操舵速度ωxの大きさが基準操舵速度ω0以上であると判断した場合、電源制御部32bは、ステップS32において、副電源電圧vsubを読み込み、ステップS33において、副電源電圧vsubが予め設定した基準電圧vsub0以上であるか否かを判断する。このステップS33の判断もステップS25と同様に、副電源50の充電状態が良好であるか否かを判断するものである。この基準電圧vsub0は、本発明の基準値に相当する。従って、副電源電圧vsubが予め設定した基準電圧vsub0以上の場合に、副電源50の充電度合いが基準値以上になっていると判断する。尚、基準電圧vsub0は、ステップS25で用いる基準電圧vsub1と同じ値であっても異なった値であっても良い。
電源制御部32bは、副電源電圧vsubが基準電圧vsub0以上である場合には、ステップS34において、スイッチ111にオン信号を出力して電源供給切替制御ルーチンを一旦終了する。従って、副電源50が電動モータ20の電源供給路となる駆動系電源ライン107に接続される。これにより主電源100(主バッテリ101)と副電源50とによりモータ駆動回路31に電源供給可能となる。従って、主電源100だけでは電力供給量不足を生じる場合であっても、その不足分を副電源50が補償するため、電動モータ20を適正に駆動することができる。このため、エンジンの自動停止中においても、運転者は、適切な操舵アシストを得ることができる。
一方、副電源電圧vsubが基準電圧vsub0を下回る場合には、ステップS35において、アシスト制御部32aで検出している車速Vxを読み込み、ステップS36において、車速Vxが予め設定した設定車速Vx0以上であるか否かを判断する。設定車速Vx0は、例えば、5km/h程度の低速度に設定されている。車速Vxが設定車速Vx0以上である場合(S36:Yes)には、上述したステップS34の処理を行って、スイッチ111にオン信号を出力し副電源50を駆動系電源ライン107に接続する。また、車速Vxが設定車速Vx0を下回っている場合(S36:No)には、上述したステップS26の処理を行って、スイッチ111にオフ信号を出力し副電源50と駆動系電源ライン107との接続を遮断して副電源50を充放電不能状態にする。
つまり、操舵ハンドル11の切り込み操作が行われたときには、副電源50の充電状態が良好であればスイッチ111をオン状態にして副電源50による電源供給補助を行い、副電源50の充電状態が良好でない場合には、車速Vxが設定車速Vx0以上でないかぎりスイッチ111をオフ状態にして副電源50を充放電不能にする。そして、車速Vxが設定車速Vx0以上となる場合には、副電源50の充電状態が良好でなくても、スイッチ111をオン状態にして副電源50による電源供給補助を行う。
運転者が発進操作を行わないあいだは、フラグF=1との判断によりステップS28からの処理が繰り返される。そして、運転者が発進操作を行うと、アイドリングストップECU201はエンジンECU200に対してエンジンの再始動指令を出力するとともに、フラグFを「1」から「2」に変更する。従って、電源制御部32bは、ステップS22において「No」と判断して、その処理をステップS23に進め、フラグFが「2」であるか否かを判断する。この場合、フラグFは「2」となっているため、電源制御部32bは、その処理をステップS28に進める。
従って、フラグFが「2」となるエンジンの自動再始動中においては、フラグが「1」となるエンジン自動停止中と同じ処理が行われる。エンジンの自動再始動中においては、エンジンスタータ105が作動して主バッテリ101から大電流を引き出すため、主電源電圧が大きく変動(低下)するが、上述したように副電源50が電源電圧の変動を補償してモータ駆動回路31の電源供給電圧を適正電圧に維持するため、電動モータ20の通電量不足を招かない。このため、エンジンの自動再始動と運転者の切り込み操作とが重なっても、ハンドル操作が引っ掛かるという違和感を運転者に与えない。
図5は、モータ駆動回路31の供給電源電圧の変化を表すグラフである。図中、実線が副電源50を駆動系電源ライン107に接続していない場合(スイッチ111オフ)の電圧変化を表し、破線が副電源50を駆動系電源ライン107に接続している場合(スイッチ111オン)の電圧変化を表す。モータ駆動回路31の供給電源電圧は、副電源50を駆動系電源ライン107に接続していない場合、エンジンの自動停止中においては、オルタネータ102の発電が停止するため、主バッテリ101の電源電圧(約12V)と同じ電圧となり、エンジンの自動再始動中においては、エンジンスタータ105の作動によりそこからさらに大きくドロップする。従って、このとき操舵ハンドル11の速い回動操作が行われると、電動モータ20の通電量が不足して適正な操舵アシストトルクが得られなくなり、運転者にハンドル操作の引っかかりを感じさせてしまう。
これに対して、副電源50を駆動系電源ライン107に接続している場合には、エンジンスタータ105が作動しても、主電源100の電源電圧の変動を副電源50が補償するため、モータ駆動回路31に安定した電圧の電源を供給できる。従って、適正な操舵アシストトルクが得られる。
エンジンの再始動が完了すると、エンジンECU200からエンジン再始動完了信号がアイドリングストップECU201に出力される。アイドリングストップECU201は、エンジン再始動完了信号を受信すると、フラグFを「2」から「0」に変更する。従って、電源制御部32bは、「0」に設定されたフラグFを読み込んで、ステップS22,S23における「No」の判定により、その処理を上述したステップS24に進める。こうして、エンジンが作動しているときには、副電源50の充電状態に基づいてスイッチ111のオン/オフ状態が切替制御される。これにより、副電源50の充電量が低下した場合には、その都度、スイッチ111がオン状態にされて副電源50が主電源100により充電され、次のアイドリングストップ制御時に確実に電源供給補助できるように備えられる。
以上説明した本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、アイドリングストップ制御中(エンジン自動停止中あるいはエンジン自動再始動中)において、操舵ハンドル11が回動操作されたときに副電源50を駆動系電源ライン107に接続するため、良好な操舵アシストを得ることができる。また、操舵ハンドル11が保舵されている状態(S31:No)においては、操舵アシストを行わなくても運転者に対して違和感を与えないため、副電源50による電源供給補助を行わないようにしている。つまり、操舵アシストが必要なときにだけ、副電源50による電源供給補助を行う。従って、副電源50の放電を節約して充電量の低下を抑えることができる。
また、副電源50の充電状態が良好である場合に、副電源50による電源供給補助を行うため、副電源50の充電状態の悪化を抑制することができる。また、充電状態が良好でなくても、車速Vxが設定車速Vx0を越えている場合には、副電源50による電源供給補助を行うため、できるだけ操舵フィーリングを変化させないようにして安全を図ることができる。
また、アイドリングストップ制御が行われていないエンジンの作動中においては、副電源50の充電状態が良好になるまで主電源100により副電源50を充電するため、次のアイドリングストップ制御時に、電動モータ20に充分な電力を供給することができる。
また、車両に設けられた各制御システムの電子制御装置(ECU)への電源供給幹線となる制御系電源ライン106に電源バックアップ用昇圧回路108を設けているため、エンジンの自動再始動時に主電源電圧が大きく変動しても各ECUに安定電源を供給することができ、車両制御システムの誤作動を防止することができる。
尚、本実施形態における電源供給切替制御ルーチンを実行する電源制御部32bが本発明の電源制御手段に相当し、電源供給切替制御ルーチンにおけるステップS21の処理を実行する電源制御部32bの機能部が本発明のアイドリングストップ情報取得手段に相当する。また、電源供給切替制御ルーチンにおけるステップS24,S25あるいはステップS32,S33の処理を実行する電源制御部32bの機能部が本発明の充電状態検出手段に相当する。また、電源供給切替制御ルーチンにおけるステップS24,S25,S27の処理を実行する電源制御部32bの機能部が本発明の充電制御手段に相当する。
以上、本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、図1に破線にて示すように、主電源100の電源供給路に昇圧回路120を設けて、主電源電圧を昇圧した電力をモータ駆動回路31と副電源50とに供給するように構成してもよい。この場合には、電動モータ20の高出力化を図ることができるとともに、副電源50を効率よく充電することができる。
また、本実施形態では、アイドリングストップ制御中においては、操舵ハンドル11の回動操作が検出されたときに副電源50を駆動系電源ライン107に接続しているが、必ずしも、操舵ハンドル11の回動操作を条件としなくてもよい。例えば、ステップS28〜S33,ステップS35〜S6の処理を省略して、アイドリングストップ制御中においては、常に、副電源50を駆動系電源ライン107に接続するようにしてもよい。
また、ステップS28〜S31、ステップS35〜S36の処理を省略し、アイドリングストップ制御中においては、副電源50の充電状態が良好であるときにスイッチ111をオン状態にし、副電源50の充電状態が良好でないときにスイッチ111をオフ状態にするように制御してもよい。この場合、ステップS33の「No」判断時は、ステップS26の処理を行うようにする。
また、本実施形態においては、副電源50としてキャパシタを用いているが、他の蓄電装置を使用することもできる。また、本実施形態においては、副電源電圧vsubにより副電源50の充電度合い(充電量)を検出しているが、例えば、副電源50の放電電流値と電圧降下値との関係や、充放電電流の積算値を使って充電度合いを精度良く検出することもできる。
10…ステアリング機構、11…操舵ハンドル、20…電動モータ、21…操舵トルクセンサ、22…回転角センサ、23…車速センサ、30…アシスト制御装置、31…モータ駆動回路、32…EPS−ECU、40…昇圧回路、50…副電源、100…主電源、101…主バッテリ、102…オルタネータ、104…接地ライン、105…エンジンスタータ、107…駆動系電源ライン、108…電源バックアップ用昇圧回路、109…副電源ライン、110…副電源接地ライン、111…スイッチ、200…エンジンECU、201…アイドリングストップECU、FWL,FWR…左右前輪。