JP5082739B2 - 電動パワーステアリング装置のモータ制御装置、及びこれを用いた電動パワーステアリング装置 - Google Patents
電動パワーステアリング装置のモータ制御装置、及びこれを用いた電動パワーステアリング装置 Download PDFInfo
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Description
一方、電動パワーステアリング装置は、上述のように、車載バッテリに対して補助的に用いられる補助電源を有しているので、この補助電源に蓄電された電力によって電動パワーステアリング装置を駆動することが考えられる。
しかし、この場合、車載バッテリが故障した直後から、当該車両の運転者が車両を安全な場所にまで移動させるまでの間については、補助電源からのみ電力が供給されることとなるので、前記補助電源に蓄電されている電力が消費され電圧が低下してしまうと、車両を安全な場所に移動させるまでに、電動パワーステアリング装置による操舵補助力が失われてしまう。このため、運転者が、車両を安全な場所に移動させるための運転操作を適切に行う上で支障をきたすおそれがあった。
また、本発明は、車両の操舵機構に対して操舵補助力を発生させるモータを駆動するための電力を供給する主電源と、前記モータを駆動するための電力を供給することができる補助電源と、前記補助電源による前記モータへの供給電力を制御する制御部と、を備えた電動パワーステアリング装置のモータ制御装置において、前記制御部は、前記主電源が故障したか否かを判定し、前記主電源が故障したと判定した場合、前記補助電源に前記モータへの電力供給を行わせる主電源故障判定部を有しており、前記補助電源は、前記制御部によって前記主電源が故障したと判定されたときから前記車両を安全な位置まで移動させるまでに必要な操舵補助力を発生させるための電力を前記モータに供給することができる蓄電容量に設定されており、前記主電源故障判定部は、前記主電源の供給可能な電力を検知し、前記電力の値に基づいて前記主電源が故障したか否かを判定し、前記電力の値が所定値以下であることによって前記主電源が故障したと判定した場合、前記主電源による電力供給に加え、前記補助電源に前記モータへの電力供給を行わせることを特徴としている。
上記のように構成された電動パワーステアリング装置によれば、上述のように、主電源が故障したとしても、補助電源に蓄電された電力がモータに供給されることにより、車両を安全な位置に移動させるまでの一定時間の間、継続して操舵補助力を発生させることができる。
操舵部10の操舵機構12は、当該車両の運転者の操作に応じて操舵輪を操舵するための、ハンドルが一体に取り付けられたステアリングシャフト(図示せず)や、ステアリングギヤ(ラックピニオンやラックシャフト)等(図示せず)を有している。
モータ11は、前記ステアリングシャフト又は前記ステアリングギヤ等を駆動するように構成されており、前記ステアリングシャフトに取り付けられたトーションバー式等のトルクセンサの出力(操舵トルク)に基づいて駆動制御され、運転者の操舵に応じて操舵補助力を発生させ、運転者の操舵に対してアシストが行われる。モータ11への電力の供給はモータ制御装置20のモータ駆動回路21により行われる。
主電源22は、車載バッテリ22aと、オルタネータ22bとによって構成されている。オルタネータ22bは、車両のエンジンによって駆動され、車載バッテリ22aに電力を供給する。車載バッテリ22aは、オルタネータ22bからの電力を随時蓄電する。
また、モータ制御装置20は、さらに、補助電源23、及び補助電源23による放電を制御するための放電制御回路24を有している。
補助電源23は、電気二重層コンデンサやリチウムイオン電池で構成されており、車載バッテリ22aに対して直列に接続されている。補助電源23の給電電路(高電位側電路)25は、放電制御回路24を介してモータ駆動回路21に接続されている。放電制御回路24は、MOS−FET等の半導体スイッチにより構成されており、オン状態では、補助電源23とモータ駆動回路21とを接続し、オフ状態では、補助電源23の高電位側を切断し、車載バッテリ22aの非接地側電路26と、モータ駆動回路21とを直接接続する。従って、放電制御回路24は、そのオンオフ動作によって、補助電源23にモータ駆動回路21へ放電させるか否かを制御することができ、モータ駆動回路21への給電を、車載バッテリ22aのみによって行うか、車載バッテリ22aと補助電源23とによって行うか、のいずれかを切り替えることができる。
また、車載バッテリ22aの非接地側電路26と、接地側電路29との間には、電圧計30が接続されている。この電圧計30は、主電源22が現状供給可能な電力を電圧値Vとして出力する。
制御部31は、前記トルクセンサから出力される操舵トルクや当該車両の車速等に基づいて必要な操舵補助力を発生させるためにモータ11に供給すべき電力(消費電力)を決定し、これに基づいてモータ駆動回路21を制御することによってモータ11に必要な操舵補助力を発生させる。
一方、主電源22のみの給電では必要な電力が不足する程度にモータ11の消費電力が大きい場合には、制御部31は、放電制御回路24をオン状態とし、補助電源23に放電させることで、主電源22に加えて補助電源23にも給電させる。
制御部31は、上記の制御(通常制御)を行うことで、モータ11の消費電力が大きい場合にも、供給電力が不足しないようにしつつ、主電源22の負荷を軽減することができる。
なお、ここで、「主電源22の故障」とは、例えば、オルタネータ22bや、バッテリ22aが、その機能を損ない、モータ11を駆動するために必要な電力が供給不能となる程度にまで主電源22の電力が低下した状態をいう。
ここで、所定値としては、上記のように、モータ11を駆動することができず、主電源22が故障していると判断することができる程度にまで低下している電圧値Vに設定される。すなわち、主電源故障判定部31aは、電圧計30の電圧値Vが所定値よりも大きいか否かを判断することによって、主電源22が故障したか否かを判定する。
一方、電圧値Vが所定値以下である(主電源22が故障している)と判断した場合、制御部31は、ステップS103に進み、主電源故障判定部31aに放電制御回路24を常時オン状態となるように制御させる。その上で制御部31は他の回路を制御し、その後スタートに戻る。
つまり、主電源22が機能を損なっていると判断される程度にまで電圧値Vが低下している場合には、主電源22の供給電力のみでは、モータ11を駆動することはできないので、制御部31は、常時補助電源23に蓄電された電力をモータ11に供給させて、操舵補助力を発生させる。
また、主電源故障判定部31aは、上述のように上記ステップS101において主電源22が故障したか否かを判定し、主電源22が故障したと判定した場合、ステップS103において補助電源23にモータ11への電力供給を行わせるように構成されている。
このため、主電源22が故障し、車両を安全な場所まで移動させて停止させる必要が生じたとしても、電動パワーステアリング装置は、上記のように一定時間の間、継続して操舵補助力を発生させることができるので、当該車両の運転者は、車両を安全な場所に移動させるための運転操作を適切に行うことができる。
なお、車速が低速の場合、主電源22が故障したとしても、大きな問題とはならないため、ここでは、比較的高速で走行している場合であって、操舵補助力が必要であると考えられる2つのケース、すなわち、急激な操舵をした場合(急激操舵条件)と、ほぼ一定の舵角で継続的に操舵を行った場合(一定操舵条件)と、を想定して検討する。
また、一定操舵条件としては、車両速度0〜約40km/hの間で、いわゆるループ橋を走行する場合(この場合、橋の途中には車両の退避スペースがないと考えられるので、橋を渡りきるまで操舵補助力が必要であるとした)を想定し、このときの車両速度に対応する車載バッテリ22aの消費電力を測定した。なお、このループ橋としては、総延長1.1km、高さ45m、直径80mの2重ループ橋を走行して測定した。
また、上記両条件において車載バッテリ22aの消費電力を測定する際には、車両に搭載された他の機器類を動作させないようにすることで、電動パワーステアリング装置1による消費電力が、車載バッテリ22aの消費電力に対して大きく影響するように設定した。
また、一定操舵条件においては、車載バッテリ22aの消費電力は、車速が約40km/h付近において、最大約40Wであった。このループ橋を渡り切り、安全な場所に車両を移動させるのに要する時間を60秒であると仮定すると、約2400J(40(W)×60(秒))の電力量が必要となることが判る。
補助電源23の蓄電容量は、2500J以上となるように設定されているので、上記検討の結果から、本実施形態による電動パワーステアリング装置1及びモータ制御装置20によれば、主電源22が故障したと判定されたときから車両を安全な位置まで移動させるまでに必要な操舵補助力を発生させるための電力を、モータ11に対して確実に供給することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
11 モータ
12 操舵機構
20 モータ制御装置
22 主電源
23 補助電源
31 制御部
31a 主電源故障判定部
Claims (3)
- 車両の操舵機構に対して操舵補助力を発生させるモータを駆動するための電力を供給する主電源と、
前記モータを駆動するための電力を供給することができる補助電源と、
前記補助電源による前記モータへの供給電力を制御する制御部と、を備えた電動パワーステアリング装置のモータ制御装置において、
前記制御部は、前記主電源が故障したか否かを判定し、前記主電源が故障したと判定した場合、前記補助電源に前記モータへの電力供給を行わせる主電源故障判定部を有しており、
前記補助電源は、前記制御部によって前記主電源が故障したと判定されたときから前記車両を安全な位置まで移動させるまでに必要な操舵補助力を発生させるための電力を前記モータに供給することができる蓄電容量として、2500J以上に設定されており、
前記主電源故障判定部は、前記主電源の供給可能な電力を検知し、前記電力の値に基づいて前記主電源が故障したか否かを判定し、前記電力の値が所定値以下であることによって前記主電源が故障したと判定した場合、前記主電源による電力供給に加え、前記補助電源に前記モータへの電力供給を行わせることを特徴とする電動パワーステアリング装置のモータ制御装置。 - 車両の操舵機構に対して操舵補助力を発生させるモータを駆動するための電力を供給する主電源と、
前記モータを駆動するための電力を供給することができる補助電源と、
前記補助電源による前記モータへの供給電力を制御する制御部と、を備えた電動パワーステアリング装置のモータ制御装置において、
前記制御部は、前記主電源が故障したか否かを判定し、前記主電源が故障したと判定した場合、前記補助電源に前記モータへの電力供給を行わせる主電源故障判定部を有しており、
前記補助電源は、前記制御部によって前記主電源が故障したと判定されたときから前記車両を安全な位置まで移動させるまでに必要な操舵補助力を発生させるための電力を前記モータに供給することができる蓄電容量に設定されており、
前記主電源故障判定部は、前記主電源の供給可能な電力を検知し、前記電力の値に基づいて前記主電源が故障したか否かを判定し、前記電力の値が所定値以下であることによって前記主電源が故障したと判定した場合、前記主電源による電力供給に加え、前記補助電源に前記モータへの電力供給を行わせることを特徴とする電動パワーステアリング装置のモータ制御装置。 - 車両の操舵を行う操舵機構に対して操舵補助力を発生させるモータを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記モータは、請求項1又は2に記載のモータ制御装置によって制御されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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