JP2008180732A - 磁歪式トルクセンサと電動ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両に搭載され、磁歪に起因する磁気特性の変化に基づいてトルクを検出する磁歪式トルクセンサ30であって、磁場変化を検出または推定する磁場変化検出手段41を備え、磁場変化検出手段41により検出された磁場変化の大きさが所定値以上のときには磁歪式トルクセンサ30の出力の一部または全部を無効にし、磁歪式トルクセンサ30の誤検出を防止する。
【選択図】図1
Description
この種の磁歪式トルクセンサには、磁気異方性を異にする2つの磁歪膜を回転シャフトに設けるとともに、各磁歪膜に対向してそれぞれ検出コイルを配置して構成されたものがある(特許文献2参照)。この磁歪式トルクセンサの原理は、回転シャフトにトルクが加えられると磁歪膜の透磁率が変化し、これに応じて検出コイルのインダクタンスが変化し、この変化に基づいてトルクを検出する。
前述した2つの磁歪膜を備えた磁歪式トルクセンサの場合においては、トルクを検出するときには一方の検出コイルの検出出力(以下、第1検出出力VT1と称す)と他方の検出コイルの検出出力(以下、第2検出出力VT2と称す)の差に基づいてトルク検出出力VT3を算出し、故障を検出するときには第1検出出力VT1と第2検出出力VT2の和に基づいて故障検出出力VTFを算出し閾値との比較から故障を検出する。
VT3=k・(VT1−VT2)+V0 ・・・ (1)式
VTF=|VT1+VT2|−C ・・・ (2)式
また、磁場変化により第1検出出力VT1と第2検出出力VT2が図3において点線で示すように変化した場合には、トルク検出出力VT3は第1検出出力VT1と第2検出出力VT2の差動出力であることから、磁場変化による影響を殆ど受けない。このような場合には、磁場変化があってもトルク検出出力VT3は正しい値となる。
そこで、この発明は、誤検出を防止することができる磁歪式トルクセンサと、操舵フィーリングの悪化を防止することができる電動ステアリング装置を提供するものである。
このように構成することにより、アクチュエータ作動時のみならず、磁場変化に起因して磁歪式トルクセンサが誤検出するのを防止することができる。
このように構成することにより、電動ステアリング装置の操舵トルクを検出するための磁歪式トルクセンサが、正常であるにもかかわらず磁場変化に起因して誤検出しても、操舵への悪影響を防止することができる。
このように構成することにより、磁歪式トルクセンサで検出される操舵トルクが、アクチュエータ作動時の磁場変化の影響を受けた場合に、補助操舵力を低減させることができる。
このように構成することにより、磁歪式トルクセンサで検出される操舵トルクが磁場変化の影響を受けた場合に、補助操舵力を低減させることができる。
このように構成することにより、磁歪式トルクセンサで検出される操舵トルクが磁場変化の影響を受けた場合に、補助操舵力を低減させることができる。
請求項3に係る発明によれば、磁歪式トルクセンサで検出される操舵トルクが、アクチュエータ作動時の磁場変化の影響を受けた場合にも、補助操舵力を低減させて誤検出の影響を操舵系に与えないフェールセーフを実現することができ、また、操舵フィーリングの悪化を防止することができる。
請求項4に係る発明によれば、磁歪式トルクセンサで検出される操舵トルクが、磁場変化の影響を受けた場合にも、補助操舵力を低減させて誤検出の影響を操舵系に与えないフェールセーフを実現することができ、また、操舵フィーリングの悪化を防止することができる。
図1に示すように、車両用電動パワーステアリング装置(電動ステアリング装置)100はハンドル(操舵手段)2に連結されたステアリングシャフト1を備えている。ステアリングシャフト1は、ハンドル2に一体結合されたメインステアリングシャフト3と、ラック&ピニオン機構のピニオン7が設けられたピニオン軸5とが、ユニバーサルジョイント4によって連結されて構成されている。
ピニオン軸5はその下部、中間部、上部を軸受6a,6b,6cによって支持されており、ピニオン7はピニオン軸5の下端部に設けられている。ピニオン7は、車幅方向に往復動し得るラック軸8のラック8aに噛合し、ラック軸8の両端には、タイロッド9,9を介して転舵輪としての左右の前輪10,10が連結されている。この構成により、ハンドル2の操舵時に通常のラック&ピニオン式の転舵操作が可能であり、前輪10,10を転舵させて車両の向きを変えることができる。ここで、ラック軸8、ラック8a、タイロッド9,9は転舵機構を構成する。
磁歪式トルクセンサ30は、ピニオン軸5の外周面に周方向全周に亘って環状に設けられた2つの磁歪膜31,32と、各磁歪膜31,32に対向配置された第1検出コイル33と第2検出コイル34と、第1検出コイル33および第2検出コイル34にそれぞれ接続された検出回路35,36を主要構成としている。
磁歪膜31,32は、歪みの変化に対して透磁率の変化が大きい素材からなる金属膜であり、例えば、ピニオン軸5の外周にメッキ法で形成したNi−Fe系の合金膜からなる。
第1検出コイル33は磁歪膜31の周囲にこれと所定の隙間を有した状態で同軸状に配置されており、第2検出コイル34は磁歪膜32の周囲にこれと所定の隙間を有した状態で同軸状に配置されている。
第1検出コイル33は変換回路を備えた検出回路35に接続され、第2検出コイル34は変換回路を備えた検出回路36に接続されており、これら検出回路35,36において各検出コイル33,34のインダクタンス変化は電圧変化に変換されて電子制御装置(ECU)50に出力される。
ここで、トルク検出電圧VT3と故障検出電圧VTFは、検出回路35からの出力電圧をVT1、検出回路36からの出力電圧をVT2としたときに、(3)式、(4)式に基づいて算出する。なお、(3)式、(4)式において、k、V0,Cは定数である。
VT3=k・(VT1−VT2)+V0 ・・・ (3)式
VTF=|VT1+VT2|−C ・・・ (4)式
そして、ECU50は、検出されたトルク検出電圧VT3に応じて電動機11の目標電流を設定し、該目標電流によって電動機11を駆動して補助操舵力を発生させ、車両を転舵させる。また、ECU50は、故障検出出力VTFが所定の閾値Aを超えたときに磁歪式トルクセンサ30が故障であると判定する。
このように磁場変化により出力電圧VT1,VT2が変化した場合、前述したように、トルク検出電圧VT3を誤検出する場合がある。また、トルク検出電圧VT3は出力電圧VT1,VT2の差動出力であることから磁場変化による影響を殆ど受けず、ほぼ正しいトルク検出電圧VT3が得られているときにも、故障検出電圧VTFは出力電圧VT1,VT2の和動出力であることから磁場変化による影響を受けることとなり、場合によっては図5において点線で示すように故障検出電圧VTFが故障検出閾値から外れてしまい、磁歪式トルクセンサが正常であるにも関わらず故障と判定される虞がある。
詳述すると、前記アクチュエータのうちパワーウインドウ装置、照明装置、リヤデフロスター装置、ブロアモータ、ワイパー装置等の比較的作動電流が小さく(数十アンペア以下)磁気的な影響の小さいものは、故障検出電圧VTFを無効にするがトルク検出電圧VT3は無効にしないで制御を通常通り続け、また、スタータモータのような大電流(数百アンペア以上)のものは、トルク検出電圧VT3および故障検出電圧VTFを無効にしてこれら検出電圧VT3,VTFを制御信号に用いない。
このように設定することにより、アクチュエータ作動時の磁場変化に起因して磁歪式トルクセンサが誤検出するのを防止することができ、その結果、磁歪式トルクセンサの信頼性が向上する。
実施例1では、アクチュエータ作動検出手段40が前記アクチュエータの作動を検出または推定したときには、ECU50は、故障検出電圧VTFは無効とするが、各検出回路35,36の出力電圧VT1,VT2に基づいてトルク検出電圧VT3の算出は実行し、アクチュエータの作動が検出されている間は、電動機11の目標電流を、トルク検出電圧VT3に対応する目標電流値よりも低減させて、電動機11を駆動するようにした。
これにより、高速走行時に作動するオートクルーズ装置のアクチュエータ作動によりトルク検出電圧VT3が磁場変化の影響を受けたときにも補助操舵力を低減させ操舵に与える影響を軽減できるばかりか、操舵補助力低減による操舵力のしっかり感を付与することができる。また、磁場変化の影響を受けたときにも操舵に与える影響を軽減できるフェールセーフを実現することができ、また、操舵フィーリングが悪化するのを防止することができる。
これにより、アクチュエータの作動時に限らず、道路上や外部の磁場変化に起因してトルク検出電圧VT3が誤検出されたり、磁歪式トルクセンサ30が故障であると誤検出されるのを防止することができ、その結果、磁歪式トルクセンサ30の信頼性が向上し、ひいては、電動パワーステアリング装置の信頼性が向上する。なお、「磁歪式トルクセンサ30の出力の一部または全部を無効にする」の意味するところは、前記した関連技術の場合と同じである。
これにより、車両の動力の起動時にスターターモータ等のアクチュエータによる磁場変化の影響を受けた場合にも、補助操舵力を低減または作用させないので、誤検出の影響を操舵系に与えないフェールセーフを実現することができ、操舵フィーリングの悪化を防止することができる。また、車両の動力の起動時、例えばエンジンの場合には自身に設置される発電機からの信号が利用でき、電動機(電気自動車)の場合には電動機からの信号が利用でき、いずれにしても新たなセンサを用いなくてもよい。
この発明は、前述した実施例の電動パワーステアリング装置への適用に限るものではなく、ステアリング・バイ・ワイヤ・システムの車両用ステアリング装置にも適用可能である。ステアリング・バイ・ワイヤ・システムとは、操舵手段と転舵機構とが機械的に分離されていて、操舵手段に作用する操舵トルクに応じて、転舵機構に設けられたステアリングモータを駆動して車両の転舵輪を転舵させる操舵システムであり、この操舵手段に作用する操舵トルクの検出にこの発明に係る磁歪式トルクセンサを用いることができる。
30 磁歪式トルクセンサ
41 磁場変化検出手段
100 電動パワーステアリング装置(電動ステアリング装置)
Claims (5)
- 車両に搭載され、磁歪に起因する磁気特性の変化に基づいてトルクを検出する磁歪式トルクセンサであって、
磁場変化を検出または推定する磁場変化検出手段を備え、
前記磁場変化検出手段により検出された磁場変化の大きさが所定値まではトルク検出信号を無効にせず、前記磁場変化の大きさが所定値以上のときにはトルク検出信号を無効にすることを特徴とする磁歪式トルクセンサ。 - 操舵トルクを磁歪式トルクセンサによって検出し、検出した操舵トルクに応じた目標電流によって電動機を駆動して車両を転舵させる電動ステアリング装置において、
前記磁歪式トルクセンサは請求項1に記載の磁歪式トルクセンサであることを特徴とする電動ステアリング装置。 - 操舵トルクを磁歪式トルクセンサによって検出し、検出した操舵トルクに応じた目標電流によって電動機を駆動して車両を転舵させる電動ステアリング装置において、
所定の磁場変化を発生させるアクチュエータの作動を検出または推定したときには、トルク検出信号を無効にせず、前記目標電流を前記トルク検出信号に対応する目標電流よりも低減させることを特徴とする電動ステアリング装置。 - 操舵トルクを磁歪式トルクセンサによって検出し、検出した操舵トルクに応じた目標電流によって電動機を駆動して車両を転舵させる電動ステアリング装置において、
磁場変化を検出または推定する磁場変化検出手段を備え、
前記磁場変化検出手段により検出された磁場変化の大きさが所定値まではトルク検出信号を無効にせず、前記磁場変化の大きさが所定値以上のときには、前記目標電流をトルクトルク検出信号に対応する目標電流よりも低減させることを特徴とする電動ステアリング装置。 - 操舵トルクを磁歪式トルクセンサによって検出し、検出した操舵トルクに応じた目標電流によって電動機を駆動して車両を転舵させる電動ステアリング装置において、
前記車両の動力の起動を発電機の回転数により検出または推定する起動検出手段を備え、
前記検出手段により前記動力の起動が検出されたときには、前記目標電流を低減またはゼロにすることを特徴とする電動ステアリング装置。
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