JP2005153709A - 電気式動力舵取装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 操舵感覚を向上し得る電気式動力舵取装置を提供する。
【解決手段】 電気式動力舵取装置20では、モータM、トルクセンサ24、ECU30、モータ駆動回路35およびこれらを電気的にそれぞれ接続するワイヤハーネスWHを含めたハードウェアの少なくとも1つの異常が検出された場合、モータMによるアシスト力の出力が減少するように漸増・漸減処理部30c1等によってモータ駆動回路35を制御する。そして、当該ハードウェアの異常の検出後、当該異常が検出されなくなった場合、当該異常の検出直前に記憶部30c3に記憶された電流指令値iq* に基づいてモータMが出力可能なアシスト力よりも減少させた復帰後抑制アシスト力までモータMによるアシスト力の出力が増加するように漸増・漸減処理部30c1、可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2等によってモータ駆動回路35を制御する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、モータのアシスト力により操舵を補助する電気式動力舵取装置に関するものである。
電気式動力舵取装置は、一般に、ステアリングホイールによる操舵を補助可能なアシスト力を出力するモータと、ステアリングホイールによる操舵トルクを検出するトルクセンサと、操舵トルクに基づいてモータの電流指令値を演算する演算手段と、電流指令値に基づいてモータによるアシスト力の発生を制御する制御手段と、により構成されており、例えば、演算手段はECU(Electronic Control Uint )により、また制御手段はモータ駆動回路により、それぞれ実現されている。そして、トルクセンサとECUとの間、またECUとモータ駆動回路との間、さらにモータ駆動回路とモータとの間、はそれぞれワイヤハーネス(接続手段)によって電気的に接続され、これらの間で送受されるセンサ信号や各種制御信号等のやりとりを可能にしている。
ところで、このようなモータ、トルクセンサ、ECU、モータ駆動回路、ワイヤハーネス等のハードウェアにより構成される当該電気式動力舵取装置は、通常、車両に搭載されていることから、エンジンや路面から受ける振動、周囲環境から受ける温湿度変化、排気ガス、砂塵等あるいは経年経時によりこれらのハードウェアの電気的特性に影響を与え、ハードウェアの異常に至ることがある。特に、ワイヤハーネス同士を接続するコネクタやワイヤハーネスとECU等の回路基板とを接続するコネクタについては、振動や経年変化によって電気的な接触不良を招くことがあり、また砂利道等を走行中、車輪により跳ね上げられた小石等によってワイヤハーネスを傷つけそれが原因で当該ワイヤハーネスの断線に至たることも想定され得る。
例えば、コネクタの接触不良や回路部品等のはんだ付け不良等を原因とするハードウェアの異常は、振動や温湿度変化の状況によっては必ずしも常に発生するという性質のものではなく、その時々の条件によって異常が発生したりしなかったりする。またワイヤハーネスの断線についても、切れかかった状態からセンサ信号等の導通を不能にする完全に切れた状態に至るまでには、導通・不通を数回繰り返すことがある。つまり「異常→正常→異常→正常…」の各状態を繰り返した後、電気式動力舵取装置の故障に至る場合がある。
そのため、このような電気式動力舵取装置においては、例えば、下記特許文献1に開示される「電動パワーステアリング制御装置」のように、アシスト制御に関する回路、例えば、トルクセンサのセンサ用電源回路やモータに、異常が検出された際、モータ駆動回路等の制御手段によるモータのアシスト制御を抑制している。そして、このアシスト制御が抑制された期間内に「アシスト制御に関する回路」が復帰した際には、当該アシスト制御の抑制を解除するようにも構成されている。
特開2003−182608号公報(第1頁〜第11頁、図1〜8)
しかしながら、上記特許文献1に開示される「電動パワーステアリング制御装置」によると、アシスト制御に関する回路が正常に復帰した際には、フェイルセーフ時になる直前に記憶したアシスト電流指令値を読み出してアシスト制御の抑制を解除したときの値から当該アシスト電流指令値に収束するようにアシスト力を漸増させている(特許文献1の請求項6、段落番号0074等)。そのため、異常状態においてはアシスト制御の抑制によりアシスト力が制限され重くなったような操舵感覚を受けていた当該車両の運転者には、正常状態への復帰とともにステアリングホイールが急に軽くなったような操舵感覚、つまり「舵(だ)が抜けた」ような操舵感覚を与えることとなり、操舵感覚の悪化を招くという課題がある。
また、「異常→正常→異常→正常…」の状態を繰り返した後に、いずれは電気式動力舵取装置の故障に至るとしても、当該故障の早期発見という観点からすれば「異常→正常→異常→正常…」の各状態を繰り返すというような当該電気式動力舵取装置が故障に至る前兆を運転者が把握できた方が望ましい。ところが、「舵が抜けた」ような操舵感覚の悪化をそれほど気に掛けない運転者やそれに気がつかない運転者に対しては、当該故障発生の前兆等を把握させることができないという課題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、操舵感覚を向上し得る電気式動力舵取装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、運転者に対して当該電気式動力舵取装置の故障発生の前兆等を告知し得る電気式動力舵取装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1記載の手段を採用する。この手段によると、異常検出手段により、モータ、トルクセンサ、演算手段、制御手段およびこれらを電気的にそれぞれ接続する接続手段を含めたハードウェアの少なくとも1つの電気的異常を検出し、この異常検出手段によりハードウェアの電気的異常が検出された場合、モータによるアシスト力の出力が減少するように異常時制御手段によって制御手段を制御する。そして、異常検出手段によるハードウェアの電気的異常の検出後、異常検出手段により当該電気的異常が検出されなくなった場合、当該電気的異常の検出直前に記憶手段に記憶された電流指令値に基づいてモータが出力可能なアシスト力よりも減少させた復帰後抑制アシスト力までモータによるアシスト力の出力が増加するように復帰時制御手段によって制御手段を制御する。
これにより、モータやトルクセンサ等のハードウェアに一旦は電気的異常が発生しモータによるアシスト力の出力が減少しても、その後、何らかの理由により当該電気的異常が解消した場合には、当該電気的異常の検出直前に記憶手段に記憶された電流指令値に基づいてモータが出力可能なアシスト力よりも減少させた復帰後抑制アシスト力までモータによるアシスト力の出力が増加する。そのため、当該電気的異常の検出直前の電流指令値に基づくアシスト力までモータの出力が増加しないので、アシスト力の減少によって当該ハードウェアの正常時よりも必要な操舵力の増加を強いられていた運転者に対して、ステアリングホイールが急に軽くなる、つまり「舵が抜ける」というような操舵感覚を与えることを防止できる。
特許請求の範囲に記載の請求項2記載の手段を採用することによって、復帰時制御手段は、ハードウェアの電気的異常の発生回数の増加に従い復帰後抑制アシスト力の減少量を増加させることから、ハードウェアの電気的異常の発生回数が増えるほど、当該電気的異常が解消してもモータによるアシスト力の出力が減少する。これにより、当該電気的異常の発生回数が増えることで、正常復帰後のアシスト力が段階的に減少するので、運転者に対してステアリングホイールが急に軽くなる「舵が抜ける」ような操舵感覚を与えないばかりか、「異常→正常→異常→正常…」の繰り返しから、徐々にステアリングホイールが重くなる操舵感覚を与えることができる。
特許請求の範囲に記載の請求項3記載の手段を採用することによって、第1の計数手段によりハードウェアの電気的異常の発生回数をカウントし、この第1の計数手段によりカウントした電気的異常の発生回数が第1の所定回数を超えた場合、モータによるアシスト力の出力をゼロまたは略ゼロにするように不能時制御手段により制御手段を制御する。これにより、当該電気的異常の発生回数が第1の所定回数を超えると、その後の状態にかかわらず、アシスト力の出力がゼロまたは略ゼロに減少させるので、運転者に対して「舵が重くなった」という操舵感覚を与えることができる。
特許請求の範囲に記載の請求項4記載の手段を採用することによって、第2の計数手段によりハードウェアの電気的異常の発生回数をカウントし、この第2の計数手段によりカウントした電気的異常の発生回数が第2の所定回数を超えた場合、ハードウェアの電気的異常の発生を告知する警告情報を出力手段により出力する。これにより、当該電気的異常の発生回数が第2の所定回数を超えると、その後の状態にかかわらず、警告情報が出力されるので、運転者に対して当該ハードウェアの異常を知らせることができる。
請求項1の発明では、モータやトルクセンサ等のハードウェアに一旦は電気的異常が発生しモータによるアシスト力の出力が減少しても、その後、何らかの理由により当該電気的異常が解消した場合には、当該電気的異常の検出直前に記憶手段に記憶された電流指令値に基づいてモータが出力可能なアシスト力よりも抑制された復帰後抑制アシスト力までモータによるアシスト力の出力が増加する。そのため、当該電気的異常の検出直前の電流指令値に基づくアシスト力までモータの出力が増加しないので、アシスト力の減少によって当該ハードウェアの正常時よりも必要な操舵力の増加を強いられていた運転者に対して、ステアリングホイールが急に軽くなる「舵が抜ける」というような操舵感覚を与えることを防止できる。したがって、異常時のアシストから正常時のアシストにスムースに移行できるので、操舵感覚を向上することができる。
請求項2の発明では、当該電気的異常の発生回数が増えることで、正常復帰後のアシスト力が段階的に減少するので、運転者に対してステアリングホイールが急に軽くなる「舵が抜ける」ような操舵感覚を与えないばかりか、「異常→正常→異常→正常…」の繰り返しごとに徐々に段階的にステアリングホイールの重さの度合が増す操舵感覚を当該車両の運転者に与えることができる。したがって、運転者に対して当該電気式動力舵取装置の故障発生の前兆等を告知することができる。
請求項3の発明では、当該電気的異常の発生回数が第1の所定回数を超えると、その後の状態にかかわらず、アシスト力の出力がゼロまたは略ゼロに減少させるので、運転者に対して「舵が重くなった」という操舵感覚を与えることができる。したがって、ステアリングホイールが重くなったという操舵感覚を介し、運転者に対して当該電気式動力舵取装置の故障発生の前兆等を告知することができる。
請求項4の発明では、当該電気的異常の発生回数が第2の所定回数を超えると、その後の状態にかかわらず、警告情報が出力されるので、運転者に対して当該ハードウェアの異常を知らせることができる。したがって、当該警告情報を介し運転者に対して当該電気式動力舵取装置の故障発生の前兆等を告知することができる。
以下、本発明の電気式動力舵取装置に係る一実施形態を図1〜5に基づいて説明する。まず本実施形態の電気式動力舵取装置20のハードウェア構成を図1(A) 、図1(B) を参照して説明する。
図1(A) に示すように、電気式動力舵取装置20は、主に、ステアリングホイール21、ステアリング軸22、ピニオン入力軸23、トルクセンサ24、減速機27、ラックアンドピニオン28、ロッド29、モータM、ECU30、モータ回転角センサ33等から構成されている。
図1(A) に示すように、ステアリングホイール21には、ステアリング軸22の一端側が接続されており、このステアリング軸22の他端側にはトルクセンサ24の入力側が接続されている。またこのトルクセンサ24の出力側には、ラックアンドピニオン28のピニオン入力軸23の一端側が接続されている。トルクセンサ24は、図略のトーションバーとこのトーションバーを挟むようにトーションバーの両端に取り付けられた2つのレゾルバとからなり、トーションバーの一端側を入力、他端側を出力とする入出力間で生じるトーションバーの捻れ量等を当該2つのレゾルバにより検出することで、ステアリングホイール21による操舵トルクThや操舵角θHを検出し得るように構成されている。
トルクセンサ24の出力側に接続されるピニオン入力軸23の途中には、減速機27が連結されており、モータMから出力されるアシスト力をこの減速機27を介してピニオン入力軸23に伝達し得るように構成されている。モータMには、モータMの回転角θMを検出可能なモータ回転方向検出手段としてのモータ回転角センサ33が取り付けられており、このモータ回転角θMやトルクセンサ24による操舵トルクTh、操舵角θH等に基づいてECU30によるモータMの駆動制御が行われている。
一方、このピニオン入力軸23の他端側には、ラックアンドピニオン28を構成する図略のラック軸のラック溝に噛合可能なピニオンギヤが形成されている。このラックアンドピニオン28では、ピニオン入力軸23の回転運動をラック軸の直線運動に変換可能にしており、またこのラック軸の両端にはロッド29が連結され、さらにこのロッド29の端部には図略のナックル等を介して操舵輪FR、FLが連結されている。これにより、ピニオン入力軸23が回転すると、ラックアンドピニオン28、ロッド29等を介して操舵輪FR、FLの実舵角θTir を変化させることができるので、ピニオン入力軸23の回転量および回転方向に従った操舵輪FR、FLの操舵を可能にしている。
ECU30は、図1(B) に示すように、主に、A/D変換器等の周辺LSIや半導体メモリ装置等を備えたMPU(Micro Processor Unit)、トルクセンサ24やモータ回転角センサ33あるいは図略の車速センサ等による各種センサ情報(操舵トルク信号、操舵角信号、モータ回転角信号、車速信号)等を入出力可能な入出力インタフェイスI/F、およびMPUから出力されるモータ電流指令に基づいてPWM制御によるモータ電流をモータMに供給可能なモータ駆動回路35から構成されている。なおこのMPUの半導体メモリ装置(以下「メモリ」という。)には、後述する異常時復帰処理を可能にする異常時復帰プログラム等が格納されている。
トルクセンサ24、モータ回転角センサ33や車速センサ等とECU30との間、ECU30のモータ駆動回路35とモータMとの間あるいはECU30とバッテリ(直流電源装置)との間は、ワイヤハーネスWHや図略のコネクタによって電気的に接続されている。なお、図1(B) に示す符号37は、モータMに実際に流れるモータ電流を検出し得る電流センサ37であり、この電流センサ37により検出されたモータ電流に関するセンサ情報は、モータ電流信号として入出力インタフェイスI/Fを介してMPUに入力され得るように、ECU30と電流センサ37との間もワイヤハーネスWHやコネクタにより電気的に接続されている。これらのワイヤハーネスWHやコネクタは、特許請求の範囲に記載の「接続手段」に相当し得るものである。
このように構成することにより、車両に搭載された電気式動力舵取装置20では、ステアリングホイール21による操舵トルクThをトルクセンサ24により検出し、また車速センサにより車両の走行速度(車速)Vを検出する。そして、この操舵トルクThおよび車速Vに応じたモータ電流指令値iq* をECU30のMPUにより演算し、さらにこのモータ電流指令値iq* に基づいてモータMによるアシスト力の発生をモータ駆動回路35により制御する。これにより、電気式動力舵取装置20は、操舵トルクThおよび車速Vに応じて発生するモータMのアシスト力により当該車両の運転者のステアリングホイール21による操舵を補助可能にしている。
次に、このECU30およびモータ駆動回路35によるアシスト力の制御処理の概要を図2に基づいて説明する。ECU30のMPUにより行われるアシスト力の制御は、位相補償部30a、電流指令値演算部30b、異常時復帰処理部30c、電流制御部30dおよびPWM演算部30eにより構成されている。なお、異常時復帰処理部30cは、トルクセンサ24、ECU30、モータ回転角センサ33、モータ駆動回路35、電流センサ37およびこれらを電気的に接続するワイヤハーネスWH、コネクタ等のハードウェアの少なくとも1つに電気的異常(以下「異常」という。)が発生した場合に、異常時復帰処理(図3)により制御されるものである。そのため、ここでは異常時復帰処理部30cによる制御内容の詳細な説明は行わず、図3に示す異常時復帰処理の説明と併せて行う。
まずトルクセンサ24により検出された操舵トルクThは、入出力インタフェイスI/Fを介してMPUに入力されると、電気式動力舵取装置20の安定性を高めるために位相補償部30aにより位相補償処理が行われた後、電流指令値演算部30bに出力される。位相補償された操舵トルクThが入力される電流指令値演算部30bには、図略の車速センサにより検出された車速Vも入力されるので、電流指令値演算部30bでは、MPUのメモリに予め記憶されているアシストマップに基づいて、操舵トルクThおよび車速Vに対応した電流指令値iq* を演算する。この電流指令値演算部30bでは、操舵トルクThのみならず車速Vにも対応した電流指令値iq* の演算を行っているので、例えば、車速Vが小さいときには大きなアシスト力を出力するように、また車速Vが大きいときには小さなアシスト力を出力するように、電流指令値iq* を演算する、いわゆる車速依存型の電流指令値演算が行われている。
トルクセンサ24等のハードウェアが正常な場合(異常でない場合)であって、当該車両のイグニッションスイッチのオン後からそれまでに当該ハードウェアに異常が発生していない場合(カウンタ値CNT=0)には、後述する可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により可変ゲインGvに1が設定されるので(図4参照)、電流指令値演算部30bにより演算された電流指令値iq* に可変ゲインGv(=1)を乗じた演算を可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により行うことによって、漸増・漸減処理部30c1によりゲイン可変後電流指令値iq'*が電流制御部30dに出力される。これにより、当該イグニッションスイッチのオン後から当該ハードウェアに全く異常が発生していない場合には、実質的に異常時復帰処理部30cでは何も行われることなく、電流指令値演算部30bから出力された電流指令値iq* がゲイン可変後電流指令値iq'*(この場合、iq'*=iq* )としてそのまま電流制御部30dに出力される。
ゲイン可変後電流指令値iq'*(=iq* )が入力された電流制御部30dでは、電流センサ37により検出された実際のモータ電流との差に相当する信号に基づいて、PI制御値やPID制御値を演算し、この制御値をPWM演算部30eに出力する。PWM演算部30eでは、この制御値に応じたPWM演算を行い、その演算結果であるPWM制御信号をモータ駆動回路35に出力する。この結果、モータ駆動回路35では、これらの制御信号に基づいてモータMを駆動制御することでモータMによる適正なアシスト力を発生させることが可能となる。
ここで、ECU30による異常時復帰処理部30cの処理概要を図2〜図5に基づいて説明する。この異常時復帰処理部30cは、例えば図3に示す異常時復帰処理をECU30のMPUにより1トリップ中、継続的に実行することによって実現されるものである。なお、この図3に示す異常時復帰処理は、MPUのメモリに格納されている異常時復帰プログラムを実行することにより実現される。また「1トリップ」とは、当該車両のイグニッションスイッチがオンされてから当該イグニッションスイッチがオフされるまでの期間のことをいう。
図3に示すように、異常時復帰処理では、まずステップS101により初期化処理が行われる。即ち、MPUのメモリ(DRAM、SRAM、レジスタ等)や入出力インタフェイスI/F等の異常の有無を確認するセルフテストや、異常時復帰処理に用いられる制御変数や作業領域として当該メモリに確保される所定領域に所定の初期値を設定する処理を行う。これにより、例えば、カウンタ値CNTは「0(ゼロ)」を設定され、また可変ゲインGvは「1」に設定される。図2に示す異常時復帰処理部30cにおいては記憶部30c3が当該メモリに相当する。
なお、カウンタ値CNTは、トルクセンサ24等のハードウェアに異常が発生した回数を数えるためのもので、ステップS107とともに特許請求の範囲に記載の「第1の計数手段」に相当し得るものである。また可変ゲインGvは、後述する漸増・漸減処理部30c1に用いられるもので、ステップS121、S131により演算され、0以上1以下の値をとるものである。
続くステップS103では、現在の電流指令値iq* をメモリに記憶する処理が行われる。即ち、図2に示す電流指令値演算部30bにより演算された電流指令値iq* を記憶部30c3(メモリ)に記憶する処理を行う。これにより、後述するステップS119によって異常発生前の電流指令値iq* を当該メモリから読み出すことが可能となる。なお、このステップS103および記憶部30c3は、特許請求の範囲に記載の「記憶手段」に相当し得るものである。
次のステップS105では、トルクセンサ24等のハードウェアに異常が発生しているか否かを検出する処理が行われる。この処理は、例えば、トルクセンサ24からMPUに入力される操舵トルクThのデータ値が所定範囲を超えているか否かを監視することにより行う。また、車速センサや電流センサ37等の各センサから入力されるデータ値についても同様に監視を行い、さらにECU30自体の異常については、例えば、ステップS101による初期化処理において行われたセルフテストの結果に基づいてメモリや入出力インタフェイスI/F等に異常があるか否かを検出する。なお、ステップS105による異常検出の対象は、トルクセンサ24、ECU30、モータ回転角センサ33、モータ駆動回路35、電流センサ37およびこれらを電気的に接続するワイヤハーネスWH、コネクタ等のハードウェアで、これらは特許請求の範囲に記載の「ハードウェア」に相当し得るものである。また、このステップS105は、特許請求の範囲に記載の「異常検出手段」に相当し得るものである。
ステップS107では、ステップS105による異常検出の結果に基づいて、異常発生の有無を判断する処理が行われる。そして、当該異常が発生している場合には(S107でYes)、ステップS109に処理を移行し、当該異常が発生していない場合には(S107でNo)、ステップS103に処理を移行する。これにより、トルクセンサ24等のハードウェアに異常が発生していない場合には(S107でNo)、再度、ステップS103によって現在の電流指令値iq* が記憶部30c3(メモリ)に記憶されるので、実質的に当該異常の発生直前の電流指令値iq* を記憶部30c3(メモリ)に記憶することができる。
ステップ109では、カウンタ値CNTをカウントアップする処理(CNT←CNT+1)が行われる。即ち、このステップS109によって処理される場合には、前のステップS107によりトルクセンサ24等のハードウェアに異常が発生していると判断されているので(S107でYes)、当該カウンタ値CNTに1を加算する処理を行う。図2に示す異常時復帰処理部30cにおいては、記憶部30c3として当該加算後のカウンタ値CNTを記憶する。
続くステップS111では、カウンタ値CNTが3を超えているか否かの判断処理が行われる。即ち、ステップS109によりカウンタ値CNTをカウントアップした結果、当該カウンタ値CNTが3を超えているか否かを判断することによって、トルクセンサ24等のハードウェアの異常発生回数が3回を超えている場合には(S111でYes)、当該ハードウェアの異常を原因とする電気式動力舵取装置20の故障発生の前兆を当該車両の運転者に対して告知する必要から、ステップS131に処理を移行して後述するように所定の漸減処理等を行う。一方、当該ハードウェアの異常発生回数が3回を超えていない場合には(S111でNo)、ステップS113に処理を移行する。
ステップS113では漸減処理が行われる。即ち、異常時復帰処理部30cの可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により漸減目標値(漸減目標電流指令値)を0(ゼロ)または略0(ほぼゼロ)に設定し、異常時復帰処理部30cにより出力されるゲイン可変後電流指令値iq'*が当該漸減目標値に到達するまで電流制御部30dに出力するゲイン可変後電流指令値iq'*を漸増・漸減処理部30c1により絞る処理を行う。これにより、モータ駆動回路35からモータMに対して出力されるモータ電流が徐々に減少するので、図5に示すように、当該ハードウェアの異常発生後から徐々にアシストレベルが減少するようにアシスト制御を行うことができる。なおこのステップS113および漸増・漸減処理部30c1は、特許請求の範囲に記載の「異常時制御手段」に相当し得るものである。
次のステップS115では、トルクセンサ24等のハードウェアに異常が発生しているか否かを検出する処理が行われる。この処理は、前述したステップS105とほぼ同様で、例えば、各センサのデータ値が所定範囲を超えているか否か等の監視を行うことによって、ステップS105により一旦、異常が発生したと判断されても、正常状態に戻る可能性があるのでその有無を検出する。なお、このステップS115は、特許請求の範囲に記載の「異常検出手段」に相当し得るものである。
即ち、ステップS105による異常検出の対象であるハードウェア(トルクセンサ24、ECU30、モータ回転角センサ33、モータ駆動回路35、電流センサ37およびこれらを電気的に接続するワイヤハーネスWH、コネクタ等)の異常は、例えば、コネクタの接触不良や回路部品等のはんだ付け不良等により振動や温湿度変化の状況によっては必ずしも常に発生するという性質のものではなく、その時々の条件によって異常が発生したりしなかったりするし、またワイヤハーネスWHは、断線しかかった状態からセンサ信号等の導通を不能にする完全に断線した状態に至るまでには、導通・不通を数回繰り返し得る。そのため、例えば、2秒〜6秒程度の期間において「異常→正常→異常→正常…」の各状態を繰り返す可能性があるので、本ステップS115によりハードウェアの異常を再度検出するようにしている。
続くステップS117では正常確定したか否かの判断処理が行われる。即ち、ステップS115により検出されたハードウェアの異常の有無に基づいて当該ハードウェアが正常状態に復帰したか否かを判断する。そして、もし所定期間以上正常状態に復帰していれば正常確定と判断し(S117でYes)、次のステップS119に処理を移行する。一方、異常状態を維持しており、正常確定と判断することができない場合には(S117でNo)、ステップS113に処理を移行して引き続き漸減目標値を0(ゼロ)等に向かって漸減処理を行う。これにより、ステップS113による漸減処理が繰り返し行われることによって、図5に示すように、アシストレベルが0%になるまで徐々にアシスト力の出力を減少させることができる。なお、図5ではアシストレベルが0%(アシスト力の出力が0(ゼロ))になった後に、正常状態が確定した例を挙げている。
次のステップS119では、異常発生前の電流指令値iq* をメモリから読み出す処理が行われる。即ち、ステップS103により、当該ハードウェアに異常が検出される直前の正常時における電流指令値iq* をメモリに記憶しているので、これを当該メモリから読み出す処理を行う。
ステップS121では、カウンタ値CNTに基づいて可変ゲインGvを演算する処理が行われる。このステップS121による演算は、図2に示す異常時復帰処理部30cにおいては可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により行われるもので、例えば、図4に示す可変ゲインマップに基づいたマップ演算が行われる。例えば、図4の可変ゲインマップでは、カウンタ値CNTが「0」、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」である場合に対応して可変ゲインGvが「1」、「0.8」、「0.6」、「0.5」、「0」、「0」、「0」に設定されている。したがって、カウンタ値CNTが「1」である場合には可変ゲインGvとして「0.8」が、またカウンタ値CNTが「2」である場合には可変ゲインGvとして「0.6」が、さらにカウンタ値CNTが「3」である場合には可変ゲインGvとして「0.5」が、それぞれ当該マップにより導かれる。
なお、本ステップS121による処理では、カウンタ値CNTは1以上3以下の値をとることから、図4に示すカウンタ値CNTが「0」、「4」、「5」および「6」の場合の可変ゲインGvはこのステップS121では使用されない。そのため、ステップS121により演算される可変ゲインGvは、0<Gv<1の範囲のうちの「0.8」、「0.6」、「0.5」をとる。また、カウンタ値CNTが0〜3の間において設定される可変ゲインGvの値1〜0.5は、所定の指数関数、例えばy=e-x(eはネイピア数で2.71828…)により算出される曲線に従うものである。
続くステップS123では、電流指令値iq* と可変ゲインGvとに基づいて漸増目標値を演算する処理が行われる。このステップS123による演算も、図2に示す可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により行われるもので、例えば、ステップS119により記憶部30c3(メモリ)から読み出された当該異常の発生直前の正常時における電流指令値iq* とステップS121により演算された可変ゲインGvとに基づいて、次のステップS125による漸増処理に使用されるその目標値を求める処理を行う。具体的には、電流指令値iq* と可変ゲインGvとを乗算する。ここで可変ゲインGvは0<Gv<1の値をとるので、記憶部30c3(メモリ)に記憶された電流指令値iq* 、つまり当該異常の検出直前の電流指令値iq* よりも小さい漸増目標値(漸増目標電流指令値)が算出され、その結果、当該異常の検出直前に出力可能であったアシスト力よりも減少させた復帰後抑制アシスト力を出力可能な漸増目標値(漸増目標電流指令値)が演算される。
ステップS125では漸増処理が行われる。即ち、異常時復帰処理部30cにより出力されるゲイン可変後電流指令値iq'*が、ステップS123により演算された漸増目標値(漸増目標電流指令値)に到達するまで電流制御部30dに出力するゲイン可変後電流指令値iq'*を漸増・漸減処理部30c1により増やす処理を行う。これにより、モータ駆動回路35からモータMに対して出力されるモータ電流が当該ゲイン可変後電流指令値iq'*に達するまで徐々に増加するので、図5に示すように、ハードウェアの正常確定前に絞られていたアシストレベルによるアシスト力から復帰後抑制アシスト力まで、徐々にアシストレベルが増えるようにアシスト制御を行うことができる。そのため、トルクセンサ24等のハードウェアに異常が検出された後、当該ハードウェアが正常状態に復帰した場合であっても、当該ハードウェアの異常を検出した直前の電流指令値iq* に基づくアシスト力(例えば図5に示すα)までモータMの出力が増加することなく、それよりも減少した復帰後抑制アシスト力(例えば図5に示すβ)に留められる。したがって、当該ハードウェアの正常時よりも必要な操舵力の増加を強いられていた当該車両の運転者に対して、ステアリングホイール21が急に軽くなる「舵が抜ける」というような操舵感覚を与えることを防止できる。なお、ステップS119、S121、S123、S125、漸増・漸減処理部30c1および可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2は、特許請求の範囲に記載の「復帰時制御手段」に相当し得るものである。
なお、ステップS125による漸増処理が終了すると、再びステップS103に処理を移行する。そのため、再度実行されるステップS103においては復帰後抑制アシスト力に対する電流指令値iq* 、例えば、図5に示すβのアシストレベルに対応するアシスト力をモータMにより出力し得る電流指令値iq* が、現在の電流指令値iq* としてメモリに記憶される。これにより、当該ハードウェアの異常発生回数が増えることで、正常復帰後のアシスト力が段階的に減少するので、「異常→正常→異常→正常…」の繰り返しから、徐々にステアリングホイール21が重くなる操舵感覚を当該車両の運転者に与えることができる。したがって、ステアリングホイール21が重くなったという操舵感覚を介し、運転者に対して電気式動力舵取装置20の故障発生の前兆等を告知することができる。
また本実施形態では、図4に示すように、カウンタ値CNTの回数が1→2→3と増加するに従って可変ゲインGvの値が0.8→0.6→0.5というように減少するように可変ゲインマップを設定している。そのため、ステップS123により演算される漸増目標値(漸増目標電流指令値)は、可変ゲインGvが所定の固定値に比べて、図5に示すβのアシストレベルに対応するものよりもさらに低いγのアシストレベルに対応するものとすることができる。これにより、当該ハードウェアの異常発生回数の増加に従い復帰後抑制アシスト力の減少量を増加させることができるので、「異常→正常→異常→正常…」の繰り返しごとに徐々に段階的にステアリングホイール21の重さの度合が増す操舵感覚を当該車両の運転者に与えることができる。したがって、ステアリングホイール21がどんどんと重くなっていくという操舵感覚を介し、運転者に対して電気式動力舵取装置20の故障発生の前兆等を告知することができる。
ここで、前述したステップS111によりカウンタ値CNTが3を超えていると判断された場合に(S111でYes)、処理されるステップS131〜S137を説明する。
ステップS131では、カウンタ値CNTに基づいて可変ゲインGvを演算する処理が行われる。この処理は、前述したステップS121による処理とほぼ同様のもので、図2に示す異常時復帰処理部30cにおいては可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により行われる。ここでは、カウンタ値CNTは「3」を超えていることが前提となるので、通常、カウンタ値CNTは「4」に設定されている。そのため、図4に示す可変ゲインマップから可変ゲインGvとして「0」が導かれる。なお、カウンタ値CNTが「5」や「6」に設定されていても可変ゲインGvとして「0」が導かれる(図4参照)。
続くステップS133では、電流指令値iq* と可変ゲインGv(=0)とに基づいて漸減目標値を演算する処理が行われる。この処理は、前述したステップS123とほぼ同様のもので、図2に示す可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2により行われる。なお、このステップS133においては、通常、可変ゲインGvは0(ゼロ)に設定されているので、電流指令値iq* の値にかかわらず、電流指令値iq* と可変ゲインGvとを乗算することによって漸減目標値(漸減目標電流指令値)0(ゼロ)が算出される。
次のステップS135では漸増処理が行われる。この処理は、前述したステップS113とほぼ同様のもので、図2に示す異常時復帰処理部30cにより出力されるゲイン可変後電流指令値iq'*が当該漸減目標値0(ゼロ)に到達するまで電流制御部30dに出力するゲイン可変後電流指令値iq'*を漸増・漸減処理部30c1により絞る処理を行う。これにより、モータ駆動回路35からモータMに対して出力されるモータ電流が徐々に減少してやがてモータ電流が0(ゼロ)になるので、当該ハードウェアの異常発生後から徐々にアシストレベルを減少させ最後にはアシスト力が0(ゼロ)になるようにアシスト制御を行うことができる。なお、本実施形態では、最終的にアシスト力が0(ゼロ)になるように制御したが、これを略0(ほぼゼロ)となるように制御しても良い。
このようにハードウェアに異常の発生回数が例えば3回(第1の所定回数)を超えると、その後の状態にかかわらず、アシスト力の出力がゼロまたは略ゼロに減少させるので、当該車両の運転者に対して「舵が重くなった」という操舵感覚を与えることができる。したがって、ステアリングホイール21が重くなったという操舵感覚を介し、当該運転者に対して電気式動力舵取装置20の故障発生の前兆等を告知することができる。なお、これらステップS131、S133、S135および漸増・漸減処理部30c1は、特許請求の範囲に記載の「不能時制御手段」に相当し得るものである。またステップS111による判断処理の基準となる3回は、特許請求の範囲に記載の「第1の所定回数」に相当し得るもので、実施態様によって例えば4回、5回あるいは10回等々、適宜、任意の正の整数値に変更しても良い。
続くステップS137では警告情報を出力する処理が行われる。例えば、トルクセンサ24等のハードウェアに異常が発生したことを当該車両の運転者に告知する図略の警告ランプを点灯させたり、警告音を発生させたりするために必要な制御情報(警告情報)を図略の警告ランプ制御装置や警告音発生制御装置等に出力する処理を行う。これにより、異常の発生回数が例えば3回(第2の所定回数)を超えると、その後の状態にかかわらず、警告ランプの点灯や警告音を介して電気式動力舵取装置20の故障発生の前兆等を告知するので、操舵感覚の悪化等を気にしない運転者に対しても当該前兆等を告知することができる。なお、このステップS137、これを実行するMPUおよび図略の警告ランプ制御装置や警告音発生制御装置等は、特許請求の範囲に記載の「出力手段」に相当し得るものである。またステップS111による判断処理の基準となる3回は、特許請求の範囲に記載の「第2の所定回数」に相当し得るもので、実施態様によって例えば4回、5回あるいは10回等々、適宜、任意の正の整数値に変更しても良い。ステップS137による警報情報を出力する処理を完了すると、上述した一連の本異常時復帰処理を終了する。
以上説明したように本実施態様に係る電気式動力舵取装置20によると、ECU30のMPUに実行される異常時復帰処理によって、モータM、トルクセンサ24、ECU30、モータ駆動回路35およびこれらを電気的にそれぞれ接続するワイヤハーネスWHを含めたハードウェアの少なくとも1つの異常を検出し(S105)、当該異常が検出された場合(S107でYes)、モータMによるアシスト力の出力が減少するように漸増・漸減処理部30c1、電流制御部30d、PWM演算部30eによってモータ駆動回路35を制御する(ステップS113)。そして、ステップS105によるハードウェアの異常の検出後、ステップS115により当該異常が検出されなくなった場合(S117でYes)、当該異常の検出直前に記憶部30c3に記憶(S103)された電流指令値iq* に基づいてモータMが出力可能なアシスト力よりも減少させた復帰後抑制アシスト力までモータMによるアシスト力の出力が増加するように漸増・漸減処理部30c1、可変ゲイン・漸増目標値演算部30c2、電流制御部30d、PWM演算部30eによってモータ駆動回路35を制御する(S119、S121、S123、S125)。
これにより、モータMやトルクセンサ24等のハードウェアに一旦は異常が発生しモータMによるアシスト力の出力が減少しても、その後、何らかの理由により当該異常が解消した場合には、当該異常の検出直前に記憶部30c3に記憶された電流指令値iq* に基づいてモータMが出力可能なアシスト力よりも減少させた復帰後抑制アシスト力までモータMによるアシスト力の出力が増加する。そのため、当該異常の検出直前の電流指令値iq* に基づくアシスト力までモータMの出力が増加しないので、アシスト力の減少によって当該ハードウェアの正常時よりも必要な操舵力の増加を強いられていた運転者に対して、ステアリングホイール21が急に軽くなる、つまり「舵が抜ける」というような操舵感覚を与えることを防止できる。したがって、異常時のアシストから正常時のアシストにスムースに移行できるので、操舵感覚を向上することができる。
なお、上述した本実施形態では、電流指令値演算部30bの後段に異常時復帰処理部30cを設けたが、本発明はこれに限られることはなく、例えば、電流指令値演算部30bによるアシストマップにおいて変換される操舵トルクThに対する電流指令値iq* の変換ゲインを、例えば、可変ゲインマップ(図4)や所定の演算式等に基づいて段階的に下げるような制御を行っても良い。これにより、電流指令値演算部30bの後段に異常時復帰処理部30cを設けた本実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
図1(A) は、本発明の一実施形態に係る電気式動力舵取装置の全体構成例を示す構成図で、図1(B) はECU等の構成例を示す回路ブロック図である。 本実施形態に係る電気式動力舵取装置のECUによる制御概要を示す制御ブロック図である。 本電気式動力舵取装置のECUを構成するMPUにより実行される異常時復帰処理の流れを示すフローチャートである。 図3に示すS121によって、図2に示す可変ゲイン・漸増目標値演算部の制御処理に用いられる可変ゲインマップの例を示す説明図である。 図3に示す異常時復帰処理によって得られるアシスト力のレベル例を示す特性図である。
符号の説明
20…電気式動力舵取装置
21…ステアリングホイール
24…トルクセンサ
30…ECU(演算手段、記憶手段、異常検出手段、異常時制御手段、復帰時制御手段、不能時制御手段、第1の計数手段、第2の計数手段)
30c…異常時復帰処理部(記憶手段、異常時制御手段、復帰時制御手段)
30c1…漸増・漸減処理部(異常時制御手段、復帰時制御手段)
30c2…可変ゲイン・漸増目標値演算部(異常時制御手段、復帰時制御手段)
30c3…記憶部(記憶手段)
30d…電流制御部(異常時制御手段、復帰時制御手段)
30e…PWM演算部(異常時制御手段、復帰時制御手段)
35…モータ駆動回路(制御手段)
MPU…マイクロプロセッサ(演算手段、記憶手段、異常検出手段、異常時制御手段、復帰時制御手段、不能時制御手段、第1の計数手段、第2の計数手段)
M…モータ
WH…ワイヤハーネス(接続手段)
iq* …電流指令値
iq'*…ゲイン可変後電流指令値

Claims (4)

  1. ステアリングホイールによる操舵を補助可能なアシスト力を出力するモータと、
    前記ステアリングホイールによる操舵トルクを検出するトルクセンサと、
    前記操舵トルクに基づいて前記モータの電流指令値を演算する演算手段と、
    前記電流指令値に基づいて前記モータによるアシスト力の発生を制御する制御手段と、
    を備えた電気式動力舵取装置において、
    前記電流指令値を記憶する記憶手段と、
    前記モータ、前記トルクセンサ、前記演算手段、前記制御手段およびこれらを電気的にそれぞれ接続する接続手段を含めたハードウェアの少なくとも1つの電気的異常を検出する異常検出手段と、
    前記異常検出手段により前記ハードウェアの電気的異常が検出された場合、前記モータによるアシスト力の出力が減少するように前記制御手段を制御する異常時制御手段と、
    前記異常検出手段による前記ハードウェアの電気的異常の検出後、前記異常検出手段により当該電気的異常が検出されなくなった場合、当該電気的異常の検出直前に前記記憶手段に記憶された前記電流指令値に基づいて前記モータが出力可能なアシスト力よりも減少させた復帰後抑制アシスト力まで前記モータによるアシスト力の出力が増加するように前記制御手段を制御する復帰時制御手段と、
    を備えることを特徴とする電気式動力舵取装置。
  2. 前記復帰時制御手段は、前記ハードウェアの電気的異常の発生回数の増加に従い前記復帰後抑制アシスト力の減少量を増加させることを特徴とする請求項1記載の電気式動力舵取装置。
  3. 前記ハードウェアの電気的異常の発生回数をカウントする第1の計数手段と、
    前記第1の計数手段によりカウントした前記電気的異常の発生回数が第1の所定回数を超えた場合、前記モータによるアシスト力の出力をゼロまたは略ゼロにするように前記制御手段を制御する不能時制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1または2記載の電気式動力舵取装置。
  4. 前記ハードウェアの電気的異常の発生回数をカウントする第2の計数手段と、
    前記第2の計数手段によりカウントした前記電気的異常の発生回数が第2の所定回数を超えた場合、前記ハードウェアの電気的異常の発生を告知する警告情報を出力する出力手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気式動力舵取装置。
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