JP4581188B2 - 平角線構造及び平角線の巻線方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、トランスやモータの磁気コアに巻付ける導線として用いられる断面矩形状の平角線の構造及び平角線の巻線方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、トランスやモータの磁気コアに形成されるコイルは、巻付ける導線の密度(占積率)が高いほど性能を高めることができ、これによりトランスやモータを用いた電気機器の小型化や高性能化を図ることが可能となる。そこで、従来より、導線を効率良く巻付けるための装置が提案されており、例えば、特開昭64−43046号公報に開示されたものがあった。
【0003】
上記公報に記載された装置は、被巻付け部材に対して巻付け軸方向に個別に移動可能な一対の導線案内部材を備えており、被巻付け部材に導線が1周巻かれると一方の導線案内部材が1ピッチ分だけ移動し、この導線案内部材に添って2周目の導線の巻付けを行い、同様の動作を繰り返して被巻付け部材の片側半分に導線を巻付ける。その後、導線の巻付けと他方の導線案内部材の1ピッチ毎の移動とを繰り返して被巻付け部材の残りの半分に導線の巻付けを行い、このように一対の導線案内部材で導線の巻付け位置を規制することにより、被巻付け部材に対して導線を整列状態に巻付けるようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したように導線を整列状態で巻付ける場合には、1層目の巻付けが終了すると、その巻終わりの上側に導線を重ねて2層目の巻付けを開始することになる。しかしながら、従来の装置にあっては、導線案内部材を1ピッチ分移動させてから導線の巻付けを行うことから、導線案内部材を移動させた際に上側の導線が横にずれることがあり、とくに、導線が断面矩形状を成す平角線の場合には横へのずれが発生しやすいものとなり、これにより導線の整列状態が乱れて占積率が低下するという問題点があった。また、従来の装置にあっては、導線案内部材等の巻線補助手段を多く必要とするものであったため、装置が複雑であるとともに大型で高価なものになるという問題点もあり、これらの問題点を解決することが課題になっていた。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、とくに、被巻付け部材に対して整列状態で複数層に巻付けられる断面矩形状の平角線を対象とし、積層した際に上側となる平角線のずれを防止して高い占積率を得ることができる平角線構造および平角線の巻線方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる平角線構造は、請求項1として、断面矩形状を成す平角線を被巻付け部材に対して整列状態で複数層に巻付けた構造であり、被巻付け部材は、巻付け軸に直交する断面形状が、平角線の巻付け方向に曲率が変化する部分であるコーナー部を有する矩形状の部材であって、前記被巻付け部材に平角線を複数層に巻付けた状態において、平角線が、少なくとも前記コーナー部の前後にわたって巻付けた範囲に、積層状態で互いに係合して積層上側となる平角線の幅方向の動きを規制する凹凸状の保持部を備えている構成とし、請求項2として、平角線の幅方向の中央に保持部を設けた構成とし、請求項3として、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の幅方向の断面において対称的に表れるテーパ面を有する形状である構成とし、請求項4として、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の幅方向の断面における段差部分を曲線により連続させた形状である構成とし、請求項5として、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の長手方向の断面において対称的に表れるテーパ面を有する形状である構成とし、請求項6として、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の長手方向の断面における段差部分を曲線により連続させた形状である構成とし、請求項7として、巻付けの際に平角線の外周側となる面に、凸状の保持部を設けた構成としており、上記構成をもって課題を解決するための手段としている。
【0007】
また、本発明に係わる平角線の巻線方法は、請求項8に記載したように、断面矩形状の平角線を被巻付け部材に対して整列状態で複数層に巻付けるに際し、被巻付け部材は、巻付け軸に直交する断面形状が、平角線の巻付け方向に曲率が変化する部分であるコーナー部を有する矩形状の部材であって、被巻付け部材を回転させると共に、平角線に、被巻付け部材の回転角度に基づいて、少なくとも前記コーナー部の前後にわたって巻付けられる範囲に、積層状態で互いに係合して積層上側となる平角線の幅方向の動きを規制する凹凸状の保持部を形成したのち、この平角線を被巻付け部材に巻付ける構成としており、上記構成をもって課題を解決するための手段としている。
【0009】
なお、本発明に係わる平角線構造及び平角線の巻線方法では、平角線としては、単一の素材で形成されたもののほか、金属製の芯材に絶縁被膜を施したものも含まれる。このような絶縁被膜を有する平角線は、トランスやモータ等の磁気コアに巻付けてコイルを形成する導線として用いられる。
【0010】
【発明の作用】
本発明の請求項1に係わる平角線構造では、被巻付け部材が、巻付け軸に直交する断面形状がコーナー部を有する矩形状を成す部材になっている。この場合、被巻付け部材に平角線を巻付けると、積層した際に上側となる平角線の幅方向のずれは、巻付け方向に曲率が変化する部分であるコーナー部で発生しやすい。そこで、当該平角線構造では、平角線に対して、少なくともコーナー部の前後にわたって巻付けられる範囲に、積層状態で互いに係合して積層上側となる平角線の幅方向の動きを規制する凹凸状の保持部を設けることにより、とくにコーナー部で発生しやすい平角線のずれを防止することとなり、ずれによる隙間を生じることなく平角線が整列状態で複数層に巻付けられる。
【0012】
本発明の請求項2に係わる平角線構造では、平角線の幅方向の中央に保持部を設けているので、次の層に移行する際の折り返し方向が左右のいずれであっても積層した上下の平角線の係合状態が左右で同一になる。
【0013】
本発明の請求項3に係わる平角線構造では、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の幅方向の断面において対称的に表れるテーパ面を有する形状であることから、凹凸状の保持部を互いに係合させる際にテーパ面によって幅方向のセンタリングが行われる。
【0014】
本発明の請求項4に係わる平角線構造では、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の幅方向の断面における段差部分を曲線により連続させた形状であることから、例えば、平角線が芯材に絶縁被膜を施したものであり、この平角線に塑性加工によって保持部を形成する場合に、絶縁被膜へのダメージが少ないものとなる。
【0015】
本発明の請求項5に係わる平角線構造では、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の長手方向の断面において対称的に表れるテーパ面を有する形状であることから、凹凸状の保持部を互いに係合させる際にテーパ面によって長手方向のセンタリングが行われる。
【0016】
本発明の請求項6に係わる平角線構造では、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の長手方向の断面における段差部分を曲線により連続させた形状であることから、例えば、平角線が芯材に絶縁被膜を施したものであり、この平角線に塑性加工によって保持部を形成する場合に、絶縁被膜へのダメージが少ないものとなる。
【0017】
本発明の請求項7に係わる平角線構造では、巻付けの際に平角線の外周側となる面に凸状の保持部を設けているので、被巻付け部材と平角線との間に発生する隙間が最小限になる。
【0019】
本発明の請求項8に係わる平角線の巻線方法では、被巻付け部材が、巻付け軸に直交する断面形状がコーナー部を有する矩形状を成す部材になっている。この場合、被巻付け部材に平角線を巻付けると、積層した際に上側となる平角線の幅方向のずれは、巻付け方向に曲率が変化する部分であるコーナー部で発生しやすい。そこで、当該平角線の巻線方法では、被巻付け部材を回転させると共に、平角線に、被巻付け部材の回転角度に基づいて、少なくともコーナー部の前後にわたって巻付けられる範囲に凹凸状の保持部を形成する。このとき、保持部は、積層した際に上側となる平角線の幅方向の動きを規制するものであり、例えば、平角線が金属製である場合には成形型や成形用ローラ等の塑性加工手段を用いて形成される。このようにして、当該平角線の巻線方法では、平角線に保持部を形成してから被巻付け部材に巻付けるので、とくに被巻付け部材のコーナー部において、上側となる平角線のずれが保持部によって防止されることとなり、ずれによる隙間を生じることなく平角線が整列状態で複数層に巻付けられる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わる平角線構造によれば、被巻付け部材に対して複数層に巻付けられる断面矩形状の平角線において、少なくとも、平角線のずれが発生しやすい被巻付け部材のコーナー部に対して、積層した際に上側となる平角線の幅方向の動きを規制する保持部を設けたことにより、平角線を巻付け位置に規制する機械的な巻線補助手段を何ら用いることなく、保持部を設ける範囲を必要最小限としたうえで、2層目以降に巻付けられる平角線のずれを防止することができ、ずれによる隙間を発生させることなく平角線を整列させて高い占積率を得ることができる。
【0032】
本発明の請求項2に係わる平角線構造によれば、請求項1と同様の効果を得ることができるうえに、保持部を平角線の幅方向の中央に設けたことにより、次の層に移行する際の折り返し方向が左右のいずれであっても、保持部による係合状態を左右で同一にして平角線のずれを防止することができる。
【0033】
本発明の請求項3に係わる平角線構造によれば、請求項1および2と同様の効果を得ることができるうえに、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が幅方向の断面において対称的に表れるテーパ面を有する形状としたことにより、保持部を互いに係合させる際にテーパ面で幅方向のセンタリングを行うことができ、保持部同士の係合を容易に且つ確実に行うことができる。
【0034】
本発明の請求項4に係わる平角線構造によれば、請求項1および2と同様の効果を得ることができるうえに、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が平角線の幅方向の断面における段差部分を曲線により連続させた形状としたことにより、例えば平角線が芯材に絶縁被膜を施したものであり、この平角線に塑性加工によって保持部を形成する場合に、絶縁被膜へのダメージを軽減することができ、絶縁信頼性のさらなる向上に貢献することができる。
【0035】
本発明の請求項5に係わる平角線構造によれば、請求項1〜4と同様の効果を得ることができるうえに、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が長手方向の断面において対称的に表れるテーパ面を有する形状としたことにより、保持部を互いに係合させる際にテーパ面で長手方向のセンタリングを行うことができ、保持部同士の係合を容易に且つ確実に行うことができる。
【0036】
本発明の請求項6に係わる平角線構造によれば、請求項1〜4と同様の効果を得ることができるうえに、凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が平角線の長手方向の断面における段差部分を曲線により連続させた形状としたことにより、例えば平角線が芯材に絶縁被膜を施したものであり、この平角線に塑性加工によって保持部を形成する場合に、絶縁被膜へのダメージを軽減することができ、絶縁信頼性のさらなる向上に貢献することができる。また、長手方向の断面において段差部分が曲線で連続する形状の保持部は、とくに凹状の保持部の場合、例えば成形用ローラを用いて連続的に形成することが容易であると共に、凹状の保持部の形成と同時に反対側の面に凸状の保持部を形成することも可能である。
【0037】
本発明の請求項7に係わる平角線構造によれば、請求項1〜6と同様の効果を得ることができるうえに、巻付けの際に平角線の外周側となる面に凸状の保持部を設けたことにより、被巻付け部材と平角線との間のデッドスペースを最小限にすることができ、平角線の充分な占積率を確保することができる。
【0039】
本発明の請求項8に係わる平角線の巻線方法によれば、断面矩形状の平角線を被巻付け部材に対して整列状態で複数層に巻付ける際に、少なくとも、平角線のずれが発生しやすい被巻付け部材のコーナー部に対して、積層した際に上側となる平角線の幅方向の動きを規制する保持部を形成してから平角線の巻付けを行うことにより、平角線を巻付け位置に規制する機械的な巻線補助手段を何ら用いることなく、保持部を設ける範囲を必要最小限としたうえで、2層目以降に巻付けられる平角線のずれを防止することができ、ずれによる隙間を発生させることなく平角線を整列させて高い占積率を得ることができる。また、当該平角線が芯材に絶縁被膜を施したものであって、この平角線がモータ等の磁気コアに巻付ける導線である場合には、磁界による振動や機械的原因による振動を受けた際に、保持部により平角線同士の振動を充分に抑制することができ、これにより絶縁被膜の擦過を防止して長期的な絶縁信頼性を確保することができる。
【0050】
【実施例】
以下、図面に基づいて、本発明に係わる平角線構造、平角線の巻線方法およびこの巻線方法が適用可能な巻線装置の一実施例を説明する。
【0051】
図1に示す平角線の巻線装置は、被巻付け部材であるモータの磁気コアCに、金属製の芯材に絶縁被膜を施した断面矩形状の平角線Wを整列状態で複数層に巻付けるものであって、基台1に、平角線Wを予め巻付けたボビン2と、平角線Wに所定の張力を付与するテンショナー3と、平角線Wに後記する保持部を形成する保持部形成手段4と、磁気コアCを回転可能に保持する巻取り手段5と、保持部形成手段4および巻取り手段5を制御するための制御手段6を直列に配置した構成になっており、制御手段6の近傍には、巻取り手段5に対して磁気コアCを着脱するハンドリング手段7を備えている。
【0052】
ボビン2は、平角線Wを自由に引き出すことができるように回転可能に保持されている。テンショナー3は、基台1に設置した本体部8に、水平軸回りに回転する上下一対のローラ8A,8Bを備えると共に、この実施例では上側のローラ8Aに制動付与手段9を備えている。制動付与手段9には、モータや磁力式カップリングが用いられる。このテンショナー3は、ボビン2から引き出した平角線Wを上下のローラ8A,8Bにより所定圧力で挟んだ状態にし、さらに、同平角線Wを磁気コアCに連結して巻付ける際に、制動力付与手段9で上側のローラ8Aに制動力を付与することにより、巻取り手段5との間で平角線Wに所定の張力を付与し、これにより平角線Wの巻付け性や保持部の加工性を良好にする。
【0053】
保持部形成手段4は、基台1に設置したフレーム10内に、基台1側に固定された下型11Aと、下型11Aに対向し且つ図示しない駆動源により昇降可能な上型11Bとから成る成形型11を備えている。成形型11は、上型11Aと下型11Bとの間で平角線Wを加圧し、平角線Wを塑性変形させて保持部を形成するものである。
【0054】
成形型11の下型11Aは、図2に示すように、平角線Wの送り方向の前後に支持台12,12が設けてあり、各支持台12には、平角線Wの両側を案内し且つ保持部を形成する際に成形型11の両側で平角線Wを保持する左右一対のローラ13,13が設けてある。また、下型11Aは、巻取り手段5側の下部にも支持台14が設けてある。この支持台14には、保持部を形成した後の平角線Wの反りや歪みを矯正するための上下一対のガイドローラ15A,15Bが設けてあり、上側のガイドローラ15Aには、平角線Wの送り量を検出するためのセンサ16が取付けてある。このセンサ16には、例えばロータリエンコーダが用いられる。
【0055】
巻取り手段4は、基台1に設置したギアボックス17と、駆動源であるモータ18を備えると共に、図3に示すように、ギアボックス17に、磁気コアCを装着するための水平な出力軸19を備えており、この出力軸19には、磁気コアCの回転角度を検出するためのロータリーエンコーダ20が設けてある。なお、詳細な図示は省略したが、巻取り手段5は、ガイドローラ15A,15Bから送り出された平角線Wの端部を自動的に把持し且つ磁気コアCに対して位置決めを行うクランプを備えている。また、出力軸19は、磁気コアCに平角線Wを整列状態で巻付けるために軸線方向に往復動可能である。さらに、巻取り手段5は、保持部形成手段4側に、磁気コアCの近傍で平角線Wを切断するカッター21を備えると共に、ギアボックス17の上部には、磁気コアCに巻付けた平角線Wにワニスを滴下させるためのワニス供給部22が設けてある。
【0056】
ここで、磁気コアCは、巻付け軸に直交する断面が概略矩形状を成している。
このような磁気コアCに対して平角線Wを整列状態で複数層に巻付ける場合、1層目の巻終わりの上側に重なる2層目の巻付け開始部分において平角線Wが幅方向(横方向)にずれることがあり、このようなずれは、巻付け方向において曲率が大きく変化する部分、つまり断面概略矩形状を成す磁気コアCではコーナー部で発生しやすい。
【0057】
これに対して、当該平角線の巻線装置では、保持部形成手段4において、平角線Wに対して、磁気コアC巻付けて積層した際に上側となる平角線Wの幅方向の動きを規制する保持部を形成するのであり、この際、平角線Wの長手方向全体にわたって保持部を形成することももちろん可能であるが、上記したように磁気コアCのコーナー部(曲率変化部)で平角線Wのずれが発生しやすいことから、コーナー部の前後にわたって巻付けられる範囲に保持部を形成する。なお、保持部の形成は、全てのコーナー部に対応する部分に行うのではなく、2層目の巻付けが開始されるコーナー部に対応する部分に行えば良い。
【0058】
制御手段5には、保持部形成手段4において平角線Wの送り量を検出するセンサ16からの信号、および巻取り手段5において磁気コアCの回転角度を検出するロータリエンコーダ20からの信号が入力される。この制御手段5は、巻取り手段5の出力軸19を制御する一方で、磁気コアCの回転角度および巻取り手段5と保持部形成手段4の距離に基づいて、所定のコーナー部の前後にわたって巻付けられる範囲に保持部が形成されるように保持部形成手段4を作動させ、この際、センサ16で検出した実際の平角線Wの送り量も加えることで制御をより正確に行うようにしている。この制御手段による制御の詳細は後で説明する。
【0059】
ハンドリング手段7は、例えば多軸制御式のロボットであって、所定位置に用意された磁気コアCを巻取り手段5の出力軸19に所定の姿勢で取付け、また、平角線Wの巻付けが終了した磁気コアCを出力軸19から取外して別の位置に搬送する。
【0060】
次に、上記構成を備えた平角線の巻線装置の動作ならびに本発明に係わる平角線の巻線方法を図4および図5に示すフローチャートとともに説明する。
【0061】
制御手段6には各種定数を入力する。巻線装置に関する定数としては、図1に示すように、保持部形成手段におけるガイドローラ15A,15Bの中心から成形型11の中心までの水平距離aと、同じくガイドローラ15A,15Bの中心から巻取り手段5における磁気コアCの回転中心までの水平距離bがある。
【0062】
磁気コアCに関する定数としては、図6(a)に示すように、突極の高さHwと突極の幅Wwがある。平角線Wに関する定数としては、図6(a)に示すように、高さ(厚さ)Hcと幅Wcがあり、また、図6(b)に示すように、始点リード線長さLsと終点リード線長さLeがある。さらに、巻付け形態に関する定数としては、n層目の巻数Nnとn層目の1周分の長さLnがある。
【0063】
巻線装置において磁気コアCに平角線Wの巻付けを行うには、まず、図4のステップS1〜S12において、磁気コアの突極の高さHwおよび突極の幅Ww、平角線Wの高さHcおよび幅Wc、始点リード線長さLsおよび終点リード線長さLe、n層目の巻数Nnおよびn層目の1周分の長さLnを制御手段6に入力する。ここで、この実施例では、磁気コアCに平角線Wを3層巻付ける場合を示している。
【0064】
ステップS13においては、図7に示すグラフから平角線Wの高さHcに対応する補正係数Cを求める。この補正係数Cは、層が増えるにしたがって周長が増大することから、先に入力した各層毎の1周長さの値を平角線Wの高さに基づいて補正するものである。
【0065】
次に、ステップS14において、ハンドリング手段7により磁気コアCを巻取り手段5の出力軸19に装着するべく横向きに移動させ、その一方では、ボビン2から引出した平角線Wをテンショナー3および保持部形成手段4に通し、ステップS15において、平角線Wに所定の張力を付与するテンショナー3を作動させる。さらに、ステップS16において、ガイドローラ15Aに設けたセンサ16をリセットし、これにより、ステップS17において、ガイドローラ15Aの回転数から算出される平角線Wの送り量Lと出力軸19に設けたロータリエンコーダ20から求められる巻数カウンタNをリセットする。
【0066】
そして、ステップS18において、ガイドローラ15A,15Bに平角線Wの先端をセットし、さらに、ステップS19において、磁気コアCを固定するための治具ならびに磁気コアCをセットし、磁気コアCを巻付け開始の姿勢に位置決めする。この際、平角線Wはガイドローラ15A,15Bの位置まで送り出されている。
【0067】
その後、図5に示すステップS20において、平角線Wを送り出したときに、同平角線Wの先端を磁気コアCの近傍でクランプするか保持部の形成を先に行うかの比較演算を行う。これは、磁気コアCの形状や、ガイドローラ15Aを基準位置とした巻取り手段5までの距離、および保持部形成手段4までのの距離に依存するものであり、先に入力した平角線Wおよびその巻付け形態に関するパラメータや巻線装置に関するパラメータに基づいて判断を行う。このステップS20における数式の左辺は平角線Wの先端から保持部の形成位置までの距離を示し、右辺は平角線Wの先端からクランプする位置までの距離を示している。
【0068】
ステップS20で平角線Wの先端のクランプを先に行うと判断した場合には、ステップS21において平角線Wの送り出しを開始すると共に、ステップS22において、平角線Wの送り出し量Lが先端からクランプ位置までの距離に到達したかを判断し、到達したことを判断すると、ステップS23において平角線Wの送り出しを停止し、ステップS24において平角線の先端(始点)をクランプする。
【0069】
そして、ステップS25において平角線Wの送り出しを再び開始し、ステップS26において、送り出し再開後の平角線Wの送り出し量Lが初期における先端から保持部形成位置までの距離に到達したかを判断し、到達したことを判断すると、ステップS27において平角線の送り出しを停止し、ステップS28において保持部形成手段4を起動し、ステップS29において平角線Wに保持部を形成する。
【0070】
また、ステップS20で平角線Wの保持部の形成を先に行うと判断した場合には、ステップS30において平角線Wの送り出しを開始すると共に、ステップS31において、平角線Wの送り出し量Lが先端から保持部形成位置までの距離に到達したかを判断し、その距離に到達すると、ステップS32において平角線Wの送り出しを停止し、ステップS33において保持部形成手段4を起動し、ステップS34において平角線Wの保持部を形成する。
【0071】
そして、ステップS35において平角線Wの送り出しを再び開始し、ステップS36において、送り出し再開後の平角線Wの送り出し量Lが初期における先端からクランプ位置までの距離に到達したかを判断し、その距離に到達すると、ステップS37において平角線の送り出しを停止し、ステップS38において平角線Wの先端をクランプする。
【0072】
なお、上記の過程において、クランプ前における平角線Wの送り出しは、例えば、ガイドローラ15A,15Bをモータで回転駆動する構成として、このガイドローラ15A,15Bで行うことが可能であり、さらに、クランプ後における平角線Wの送り出しは、モータ18を駆動源とする巻取り手段5において出力軸19とともに磁気コアCを回転させ、この磁気コアCに平角線Wを巻き取ることで行われる。
【0073】
上記のように平角線Wの先端のクランプおよび最初の保持部の形成が行われると、図4のステップS39においてガイドローラ15Aのセンサ16により検出される平角線Wの送り量Lをリセットし、ステップS40において平角線Wの送り出し(磁気コアCの回転に伴う巻き取り)を行い、ステップS41において、平角線Wの送り出し量Lが磁気コアCへの1周分の巻付け量に到達するまで比較しながら巻付けを行い、平角線Wを1周分巻付けたところで、ステップS42において平角線Wの送り出しを停止し、ステップS42において保持部形成手段4を作動させて平角線Wに保持部を形成する。
【0074】
その後は、ステップS44において1層目の巻付け数に到達したかの比較演算を行い、順次巻付けを継続すると共に、ステップS45およびS46において、2層目さらには3層目の巻付け数に到達したかの比較演算を行い、各層毎に規定の回数の巻付けを終了した後に、ステップS47においてカッター21により平角線Wを磁気コアCの近傍で切断し、ステップS48においてハンドリング手段7により磁気コアCを搬出する。
【0075】
また、ステップS49においては、ボビン2に平角線Wの充分な残量があるか否かを判断し、残量がある場合には、ステップS50において所定数の磁気コアCを生産したか否かを判断し、所定数に達していない場合はステップS19に戻って次の磁気コアCのセットを行い、所定数に達した場合は生産を終了する。なお、ステップ49において平角線Wの残量が不足している場合は、ステップS51においてボビン2の交換を行い、ステップ50に移行する。
【0076】
このようにして磁気コアCに平角線Wを巻付ける巻線装置では、磁気コアCに曲率が大きく変化するコーナー部(曲率変化部)があり、平角線Wを積層した際に、コーナー部において上側となる平角線Wが幅方向にずれることがあるのに対して、コーナー部の前後にわたって巻付けられる範囲に保持部、すなわち積層した際に上側となる平角線Wの幅方向の動きを規制する保持部を形成するので、平角線Wのずれが保持部により確実に防止され、ずれによる隙間を生じることなく平角線Wが整列状態で複数層に巻付けられて充分な占積率が確保されるうえに、ほとんどの工程を自動的に行い得るものとなっている。
【0077】
また、平角線W自体に保持部を形成するので、装置側には磁気コアCにおける巻付け位置を規制するための巻線補助手段が不要であり、その分構造を簡略化し得ることが明らかである。さらに、上記実施例の巻線装置では、平角線Wが芯材に絶縁被膜を施したものであることから、保持部を形成した際に絶縁被膜が部分的に薄くなることがあるが、巻取り手段5においてワニス供給部22から平角線Wの保持部にワニスを滴下して絶縁被膜を保護するようにし、良好な絶縁性の維持を図ることができる。
【0078】
なお、上記の巻線装置において平角線Wが巻付けられた磁気コアCは、複数個を円形に連結することでモータのステータを構成する。この際、平角線Wは、モータ作動中に発生する磁歪振動や機械的振動を受けることとなるが、保持部により幅方向の動きが確実に規制されるので平角線W同士が擦れることも無く、これにより絶縁被膜の擦過を防止して高い絶縁信頼性を得ることができる。
【0079】
図8は、本発明に係わる平角線の巻線方法が適用可能な巻線装置の他の実施例を示す図である。
【0080】
図示の平角線の巻線装置は、基本的構成は先の実施例の巻線装置(図1参照)と同一であるが、保持部形成手段4が、平角線Wに対して進退可能な成形用ローラ31A〜31Cを備えている点で異なっている。
【0081】
すなわち、保持部形成手段4は、図9(a)および(b)に示すように、平角線Wの上面中央に対して進退可能な中央の成形用ローラ31Aと、平角線Wの下面両側を保持する左右の保持ローラ31B,31Cを備えており、中央ローラ31Aを前進(降下)させることによって主として平角線Wの上面中央に凹状の保持部を形成する。なお、平角線Wの材質、中央成形用ローラ31Aの断面形状および加圧の度合いによっては、上面中央に凹状の保持部を形成するのと同時に、下面中央に凸状の保持部を形成することも可能である。
【0082】
このように、成形用ローラ31A〜31Cを備えた保持部形成手段4を採用すれば、成形型を備えた保持部形成手段では保持部形成の際に平角線Wの送りを停止させるのに対して、平角線Wの送りを停止させずに保持部を連続的に形成することが可能である。また、凹状の保持部を形成した場合、平角線Wの長手方向の断面において保持部の段差部分が曲線で連続した状態に形成されるので、とくに平角線Wが芯材に絶縁被膜を施したものである場合には、絶縁被膜へのダメージが大幅に軽減されることになる。
【0083】
図10は、本発明に係わる平角線の巻線方法が適用可能な巻線装置のさらに他の実施例を示す図である。
【0084】
図示の平角線の巻線装置は、ボビン2とテンショナー3の間に、加熱により平角線Wを軟化させる加熱手段32と、平角線Wに被膜を施す被膜供給手段33を備えている。この実施例では、絶縁被膜を施していない平角線Wを対象にしており、被膜供給手段33は、例えば銅製の平角線Wを樹脂製の絶縁剤でコーティングするものである。
【0085】
上記の平角線の巻線装置は、ボビン2から引出した平角線Wを加熱手段32で加熱することによって同平角線Wを軟化させ、続いて被膜供給手段33で絶縁剤をコーティングすることで、平角線Wが曲りやすくなって磁気コアCのコーナー部に対する密着性が向上し、当然コーナー部以外の部分でも密着性が良好となって磁気コアCとの隙間が生じにくくなる。これにより、平角線Wと磁気コアCとの熱伝達性が向上し、性能を高めることが可能になる。また、平角線Wを軟化させることにより、保持部の加工性もきわめて良好になる。
【0086】
図11(a)は、本発明に係わる平角線の巻線方法が適用可能な巻線装置のさらに他の実施例を示す図である。
【0087】
図示の平角線の巻線装置は、ボビン2とテンショナー3の間に、平角線Wに被膜を施す手段として絶縁テープTを供給する被膜供給手段34を備えている。この実施例では、図11(b)に示すように、平角線Wが芯材Aに絶縁被膜Bを施したものであり、この平角線Wの上面に絶縁テープTを貼り付けるものとなっている。
【0088】
上記の平角線の巻線装置では、平角線Wの長手方向全体に絶縁テープTを貼り付けるのではなく、保持部の形成部分や磁気コアCの4つのコーナー部に対応する部分、すなわち絶縁被膜Bが大きな応力を受ける部分に絶縁テープTを貼り付けようにしており、これにより、保持部やコーナー部での絶縁性能がより確実に得られるようにしている。
【0089】
なお、上記被膜供給手段34は、例えば保持部形成手段4と巻取り手段5の間に設け、保持部を形成した部分に絶縁テープTを貼り付けるようにしても良く、この場合には絶縁テープTの変形が少なくなってより高い絶縁性能を確保し得ることとなる。
【0090】
また、被膜供給手段33,34を備えた巻線装置においては、その下流側にローラを配置し、絶縁剤のコーティング後あるいは絶縁テープTの貼り付け後にローラを押付けることで絶縁被膜の厚さを部分的に調整することも可能である。
【0091】
次に、保持部を設けた平角線構造の具体例を説明する。
【0092】
図12(a)および図13(a)は、断面矩形状を成す平角線Wの上面片側に凸状の保持部H1を形成した例を示している。この平角線Wを被巻付け部材である磁気コアCに巻付けるには、図14において例えば左下の位置を巻始めとし、図中の仮想線で示すように磁気コアCの後方から上部を経て前方に巻付ける。つまり、1層目は、図の左右方向となる巻付け軸方向において図中右方向に平角線Wを整列させる。次に、2層目は、巻終わりの上側に平角線Wを積層し、図中の仮想線で示すように磁気コアCの後方から上部を経て前方に巻付けるので、図中左方向に平角線Wを整列させる。したがって、この例の平角線Wは、1層目における保持部H1の位置と2層目における保持部H1の位置が逆になっており、1層目の保持部H1に2層目の平角線Wの角を係合させることで、2層目の平角線Wの幅方向の動きを規制している。
【0093】
なお、積層の上側となる平角線Wのずれは、2層目に積層した平角線Wを次の列に移行させた際に発生し、また、先の実施例でも述べたように磁気コアCのコーナー部(曲率変化部)で発生しやすいので、コーナー部の前後にわたって巻付けられる範囲に保持部H1を設けており、下側に示すそれ以外の部分には保持部を形成していない。
【0094】
図12(b)および図13(b)は、平角線Wの上面中央に凸状の保持部H1を設けると共に、下面中央に凹状の保持部H2を設けた例を示している。この場合、凸状の保持部H1の幅に対して、凹状の保持部H2の幅が充分に大きなものとなっており、平角線Wを積層した際に、1層目の凸状の保持部H1と2層目の凹状の保持部H2との係合が容易に行える。また、保持部H1,H2を平角線Wの幅方向の中央に設けているので、図13を用いて説明した如く平角線Wの折り返し方向が左右に変わっても、左右で同一の係合状態を得ることができる。
【0095】
図12(c)および図13(c)は、平角線Wの上面中央に、平角線Wの幅方向の断面において対称的に表れるテーパ面を有する凸状の保持部H3を設けると共に、下面中央に、同じく平角線Wの幅方向の断面において対称的に表れるテーパ面を有する凹状の保持部H4を設けた例を示している。この場合には、保持部同士を係合する際にテーパ面によって幅方向のセンタリングを行うことができ、係合を容易に行うことができると共に、隙間無く係合することで平角線Wの幅方向の動きを確実に規制することができる。
【0096】
図12(d)および図13(d)は、平角線Wの上面中央に、段差部分が曲線により連続する凸状の保持部H5を設けると共に、下面中央に、同じく段差部分が曲線により連続する凹状の保持部H6を設けた例を示している。この場合にあっても、係合を容易に行えると共に、隙間無く係合することで平角線Wの幅方向の動きを確実に規制することができ、さらに、段差部分を曲線としているので、平角線Wが芯材に絶縁被膜を施したものであり且つ塑性変形により保持部H5,H6を形成する場合に、絶縁被膜へのダメージを軽減することができる。
【0097】
図12(e)および図13(e)は、平角線Wの上面中央に、半円形の凸状の保持部H7を設けると共に、下面中央に、平角線Wの断面において対称的に表れるテーパ面を有する凹状の保持部H4を設けた例を示している。この場合にあっても、テーパ面による幅方向のセンタリング機能が得られ、係合を容易に行うことができると共に、平角線Wの幅方向の動きも確実に規制することができる。
【0098】
なお、保持部の形状や1つの平角線Wに設ける2つの保持部の組合わせは、当然のことながら上記各例のみに限定されるものではなく、2層目における平角線Wの幅方向の動きを規制し得るものは全て含まれる。また、保持部は、平角線Wの長手方向に沿って形成する以外に、図12(f)に示すように、長手方向に対して傾斜した方向に形成し、これにより平角線Wのずれを防止することも可能である。さらに、図13(b)および(e)に示すように、凸状の保持部H1,H7と凹状の保持部H2,H4の間に隙間が形成されるものでは、平角線巻付け後に行われるワニスへの浸漬において、平角線同士の間にワニスが浸透しやすくなるという利点があり、ワニスによる絶縁性の向上も充分に期待できる。
【0099】
そしてさらに、図15(a)に示すように、磁気コアCに巻付けた際に外周側となる面に凸状の保持部H1を設けることにより、図15(b)に示す上下逆の場合に比べて、磁気コアCとの間のデッドスペースDが最小限になることが明らかであり、これによっても高い占積率の確保が可能になる。
【0100】
図16は、平角線Wの長手方向における保持部の形状の例を示す図である。
【0101】
図16(a)および(b)は、偏平な四角錐形を成す凹状の保持部H8を形成した例を示し、また、図16(c)は、断面逆台形の凹状の保持部H9を形成した例を示している。これらの凹状の保持部H8,H9場合は、いずれも平角線Wの長手方向の断面において対称的に表れるテーパ面を有するものとなっていて、テーパ面によって長手方向のセンタリング機能を得ることができ、係合を容易に且つ確実に行うことができる。これらの保持部H8,H9は、成形型を備えた保持部形成手段(図1参照)で形成することができ、図示は省略したが反対側の面に凸状の保持部を同時成形することが可能である。
【0102】
さらに、図16(c)は、平角線Wの長手方向の断面において段差部分が曲線で連続した凹状の保持部H10を形成した場合を示しており、この場合には、段差部分の傾斜面により長手方向のセンタリング機構を得ることができると共に、芯材Aに絶縁被膜Bを施した平角線Wでは、保持部H10を形成した際の絶縁被膜Bに対するダメージを軽減することができる。また、この保持部H10は、成形用ローラを備えた保持部形成手段(図8参照)で形成することができ、この場合も反対側の面に凸状の保持部を同時成形することが可能である。
【0103】
ここで、図17に示すように、芯材に絶縁被膜を施した平角線Wでは、保持部の形成によって形成領域Hの絶縁被膜が応力を受けており、さらに、磁気コアCへの巻付けによって形成領域Hの絶縁被膜にさらなる応力が加わり、絶縁被膜がダメージを受けやすい状態になっている。
【0104】
そこで、磁気コアCのコーナー部(曲率変化部)に保持部の形成領域Hが対応する平角線Wへの応力を緩和するために、コイルエンド部に取付ける絶縁キャップの厚みを変化させると共に、図17に示す如く形成領域Hの曲げRを大きくする。これにより、平角線Wへの応力を低減させ、絶縁被膜へのダメージを抑制することができる。このとき、絶縁被膜の厚みの変更は、手作業で行うことが可能であるが、例えば絶縁テープを供給する被膜供給手段(図11参照)を用いることも可能である。さらに、図18に示すように、ワニス供給部22から平角線Wの保持部H8にワニスQを滴下し、このワニスQによって絶縁性を高めることもきわめて有用である。
【0105】
なお、上記各例では、理解しやすくするために各保持部H1〜H10や絶縁被膜Bを大きく図示したが、実際の各保持部H1〜H10は図示例よりもはるかに小さく、塑性加工による形成が容易であると共に、小さくても平角線Wのずれを確実に防止し得るものであり、また、絶縁被膜Bにあっても図示例よりもはるかに薄いものである。さらに、図13において、上層部分で平角線Wの巻数を減少させているのは、複数の磁気コアCを円形に連結した際に、隣接する磁気コアCの平角線W同士を干渉させないためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる平角線の巻線方法が適用可能な巻線装置の一実施例を説明する正面図である。
【図2】 図1に示す保持部形成手段の成形型を説明する斜視図である。
【図3】 図1に示す巻取り手段の側面図である。
【図4】 図1に示す巻線装置の動作および制御手段による制御過程を説明するフローチャートである。
【図5】 図4に示すフローチャートに連続するフローチャートである。
【図6】 平角線および磁気コアの諸寸法を示す各々斜視図(a)(b)である。
【図7】 平角線を複数層に巻付ける場合の平角線の高さに対する補正係数を示すグラフである。
【図8】 本発明に係わる平角線の巻線方法が適用可能な巻線装置の他の実施例を説明する正面図である。
【図9】 図8に示す保持部形成手段の成形用ローラを説明する側面図(a)および正面図(b)である。
【図10】 本発明に係わる平角線の巻線方法が適用可能な巻線装置のさらに他の実施例を説明する正面図である。
【図11】 本発明に係わる平角線の巻線方法が適用可能な巻線装置のさらに他の実施例を説明する正面図(a)および平角線の斜視断面図(b)である。
【図12】 保持部を設けた平角線の複数の例を示す各々断面図(a)〜(e)および斜視図(f)である。
【図13】 図12(a)〜(e)に示す平角線を磁気コアに巻付けた状態を示す断面図である。
【図14】 図12(a)に示す平角線を磁気コアに巻付ける要領を示す断面図である。
【図15】 凸状の保持部を外周面に設けた平角線の巻付け状態を示す断面図(a)と、凸状の保持部を内周面に設けた平角線の巻付け状態を示す断面図(b)である。
【図16】 平角線の長手方向における保持部の形状例を示す斜視図(a)、図a中のX−X線に基づく断面図(b)、他の例を示す各々断面図(c)(d)である。
【図17】 磁気コアに対する平角線の巻付け要領の他の例を示す説明図である。
【図18】 平角線の保持部にワニスを滴下する状態を示す説明図である。
【符号の説明】
C 磁気コア(被巻付け部材)
H1〜H10 保持部
W 平角線
2 ボビン
3 テンショナー
4 保持部形成手段
5 巻取り手段
6 制御手段
7 ハンドリング手段
15A 15B ガイドローラ
16 センサ
21 カッター
31A 成形用ローラ
32 加熱手段
33 34 被膜供給手段
Claims (8)
- 断面矩形状を成す平角線を被巻付け部材に対して整列状態で複数層に巻付けた構造であり、
被巻付け部材は、巻付け軸に直交する断面形状が、平角線の巻付け方向に曲率が変化する部分であるコーナー部を有する矩形状の部材であって、
前記被巻付け部材に平角線を複数層に巻付けた状態において、
平角線が、少なくとも前記コーナー部の前後にわたって巻付けた範囲に、積層状態で互いに係合して積層上側となる平角線の幅方向の動きを規制する凹凸状の保持部を備えていることを特徴とする平角線構造。 - 平角線の幅方向の中央に保持部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の平角線構造。
- 凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の幅方向の断面において対称的に表れるテーパ面を有する形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の平角線構造。
- 凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の幅方向の断面における段差部分を曲線により連続させた形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の平角線構造。
- 凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の長手方向の断面において対称的に表れるテーパ面を有する形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の平角線構造。
- 凹状の保持部および凸状の保持部の少なくとも一方が、平角線の長手方向の断面における段差部分を曲線により連続させた形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の平角線構造。
- 巻付けの際に平角線の外周側となる面に、凸状の保持部を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の平角線構造。
- 断面矩形状の平角線を被巻付け部材に対して整列状態で複数層に巻付けるに際し、
被巻付け部材は、巻付け軸に直交する断面形状が、平角線の巻付け方向に曲率が変化する部分であるコーナー部を有する矩形状の部材であって、
被巻付け部材を回転させると共に、平角線に、被巻付け部材の回転角度に基づいて、少なくとも前記コーナー部の前後にわたって巻付けられる範囲に、積層状態で互いに係合して積層上側となる平角線の幅方向の動きを規制する凹凸状の保持部を形成したのち、この平角線を被巻付け部材に巻付けることを特徴とする平角線の巻線方法。
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