JP4578272B2 - 積層鉄心の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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かしめは、積層鉄心の製造装置に設けられた押圧保持リング(スクイズリング又は側圧かしめ手段ともいう)による側圧によって行われる。具体的には、パンチとダイにより外形抜きされた鉄心片が、ダイの下方に設けられている鉄心片の外形より僅かに小形の開口部を有する押圧保持リング内に、パンチにより押し込まれて保持され、この鉄心片の上に、新たに外形抜きされた鉄心片を押圧保持リング内に押し込むことにより、鉄心片同士をかしめ部を介して結合(固着)し積層する。このかしめを行う装置には、押圧保持リングの下方に、シリンダによって昇降する受け台が配置され、この受け台が積層鉄心の下面に当接するようになっており、受け台に当接した積層鉄心は受け台を押し下げながら下降する。このため、積層鉄心には、シリンダにより上向きの圧力となる背圧が働き、この背圧により積層鉄心のかしめがより強固となる。なお、受け台を昇降させるシリンダには油圧が使用されており、設定以上の圧力を受けると、リリーフバルブが開いて油圧が開放され、シリンダの押し下げがなされる(例えば、特許文献1参照)。
特に、近年では、モータ特性の向上を狙って、鉄心の製造に0.5mm以下の薄板材料を多く採用している。このため、従来のかしめ方法では、十分なかしめ強度をもって鉄心片を積層することが困難となっており、かしめ強度の不足に起因し、例えば、平行度不良又は層間隙間の増大が生じ、積層鉄心の著しい品質低下を招いている。
また、鉄心片を積層する際に、鉄心を載置する受け台を水平に保持する保持力が小さいため、受け台の水平度が保持できず、このため、鉄心の垂直度を維持することができず、また、安定したかしめ締結力を得ることができなかった。
更に、打抜きされた鉄心片を順次かしめ積層して、積層鉄心を設定した厚みにする工程において、予め測定した板材の厚みとストローク数の積算値に基づいて積層を行っているので、板材の厚みのばらつきやかしめ深さのばらつきに起因して、設定した厚みとの差異が大きくなるという問題もあった。
前記パンチにより打抜かれた鉄心片を、予め打抜かれて前記受け台の支持プレートに積まれた鉄心片にかしめ積層する時に、前記支持プレートの下部に設けられ載置台上に配置された弾性部材によってこれらの鉄心片に、前記パンチの押圧方向とは逆方向の力を付与させ、
前記パンチが下死点に到達して鉄心片のかしめ積層が行われた後、前記パンチが上昇する前に、前記支持プレートが下降した移動量分だけ、前記載置台を下降手段により下降させる。
請求項1記載の積層鉄心の製造方法において、弾性部材としては、各鉄心片をかしめ積層する時に、鉄心片に必要十分な背圧を発生させることができるものであればよく、例えば、コイルばね、皿ばね、又はガススプリング(ガスが封入されたシリンダにピストンを摺動可能に嵌装したもの)がある。
請求項2記載の積層鉄心の製造方法において、距離センサとしては、例えば、リニアセンサ又はマグネセンサ(ソニー・プレシジョン・テクノロジー株式会社製)がある。
また、距離センサの設置位置としては、支持プレートの下降量を確認できる位置であれば、受け台の近傍、例えば、受け台の移動空間部であってもよい。
前記受け台は、昇降可能な載置台と、該載置台の上に弾性部材を介して設けられた支持プレートと、該支持プレートが下降した移動量を検知するための距離センサと、該距離センサで検知した前記支持プレートの移動量に応じて前記載置台を下降させる制御手段とを有する。
請求項4記載の積層鉄心の製造装置において、弾性部材としては、各鉄心片をかしめ積層する時に、鉄心片に必要十分な背圧を発生させることができるものであればよく、例えば、コイルばね、皿ばね、又はガススプリングがある。
また、距離センサとしては、例えば、リニアセンサ又はマグネセンサがある。
これにより、例えば、薄板の鉄心片で構成された大型の積層鉄心であっても、十分なかしめ強度を得ることができると共に、積層鉄心の平行度不良及び層間隙間の発生を防止することができる。
また、鉄心片のかしめ積層が行われた後、しかもパンチが上昇する前に、弾性部材が配置された載置台を下降させるので、弾性部材によって支持プレートが元の状態に戻ろうとする力により、鉄心片が押圧保持リングから突出することを確実に防止できる。
そして、かしめ積層時に支持プレートが下降した移動量分だけ、かしめ積層後に載置台を下降させるので、順次かしめ積層される各鉄心片に対するパンチの背圧を略一定にでき、良好な品質の積層鉄心を提供できる。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の製造装置の説明図、図2は同積層鉄心の製造装置により積層鉄心を予め設定した厚みに製造するフローチャート、図3は同積層鉄心の製造装置の変形例の説明図である。
受け台16の下面には、この受け台16を支持する昇降手段であるボールねじ20が設けられ、モータ21を動作させることにより、受け台16を上下方向に移動させることができる。なお、ボールねじ20とモータ21が下降手段を構成する。
ガススプリング23は、鉄心片14をパンチ13の打抜き方向に移動可能に支持できるものであり、載置台22の中央部に設置されており、載置台22の上面周縁部には、その上端が支持プレート24の下面に取付けられた複数のガイド部材25が略等ピッチで取付けられている。
ここで、ガススプリング23は、自由状態では伸張状態にあり、支持プレート24に荷重が加わった状態では圧縮状態になる。また、ガイド部材25は、載置台22の上面に対して支持プレート24の下面を略平行に維持した状態で、支持プレート24が上下動するようにガイドする役割を有するものであり、例えば、ガイドレールを使用することが可能である。
なお、距離センサは、受け台16の他の部分、例えば載置台22に設けることも、また受け台16の近傍、例えば支持プレート24の移動量を検知可能な搬送台17の内部側壁面に設けることも可能である。
これにより、打ち抜かれた各鉄心片14を、かしめ積層時において、パンチ13によってそれぞれ略同一の押圧力を受けることが可能な位置に配置できる。
なお、搬送台17の内部側壁には、受け台16が最下部まで下降したときに、支持プレート24上に載置された積層鉄心を横方向に押し出すことが可能なプッシャー27が設けられている。
まず、パンチ13とダイ11により、鋼板12から外形抜きされた鉄心片14は、ダイ11の下方に設けられている押圧保持リング15内に、パンチ13により押し込まれて保持される。この動作を複数回繰り返すことで、押圧保持リング15内に、複数枚の鉄心片14をかしめ積層した鉄心が製造される。
そして、この鉄心の最下面が押圧保持リング15の下方から突出したときに、図1に示すように、押圧保持リング15の下端より若干低い位置に上死点が設定された受け台16の支持プレート24が、鉄心の下面に当接する。
このように、本実施の形態においては、ある程度鉄心片14の枚数が積層された状態から背圧が付与されるようにしている。
このように、載置台22の下降量は、載置台22に対して支持プレート24が下方に移動したストローク量となる。
そして、モータ21によりボールねじ20を作動させ、受け台16を元の高さ位置(支持プレート24の上端部が押圧保持リング15の僅かに下方に位置する)まで上昇させた後、前記した操作を行って、次の積層鉄心を製造する。
受け台16の支持プレート24に鉄心の最下面が当接した状態で、打ち抜き及び積層を行い(ステップS1)、距離センサ26により支持プレート24の下降量(移動量)TKを検知し(ステップS2)、この下降量TKと同一量だけ、モータ21によりボールネジ20を回動させて載置台22を下方移動(下降)させる(ステップS3)。
支持プレート24の下降した移動量の平均値(移動平均値/鉄心片一枚)TAを算出すると共に、支持プレート24の下降量TKを加算する(ステップS4)。
設定した厚みTSに達した積層鉄心の払い出しのために、支持プレート24を最下点まで下降させ、プッシャー27によりこの積層鉄心を支持プレート24上から払い出し(ステップS6)、支持プレート24を元の高さ位置まで上昇した(ステップS7)後、払い出し動作中の鉄心片の移動平均値THを加算し(ステップS8)、ステップS1に戻る。
支持プレート24の下降量TKの積算値をΣTKとし、鉄心片の処理枚数(ストローク数)をNとした場合、鉄心片一枚当たりの平均厚みtは、t=(ΣTK/N)となる。従って、払い出し動作中の移動平均値TH=t=(ΣTK/N)とする。
従って、払い出し動作中に押圧保持リング15内に積層されたn枚の鉄心片の移動平均値THの加算値ΣTHは、ΣTH=t×n=(ΣTK/N)×nとして算出する。
押圧保持リング15の下方に配置された受け台41は、打抜かれた複数の鉄心片14が積まれる支持プレート42と、支持プレート42を回転支持し、かつ支持プレート42と共に昇降可能なシリンダー状に形成された昇降ガイド部材の一例である摺動ガイド43と、摺動ガイド43の内部に配置されボールねじ44の上面に取付けられた載置台22と、載置台22上に配置され摺動ガイド43を介して支持プレート42を支持するガススプリング(弾性部材の一例)23とを有している。モータ45を駆動することにより、ボールねじ44を介して載置台22を上下方向に移動させることができる。なお、ボールねじ44とモータ45が下降手段を構成する。
かかる構成によって、かしめ積層される複数の鉄心片14を受ける支持プレート42の水平度が確実に維持できるので、積層鉄心の垂直度が確保され、また、安定したかしめの締結力が得られる。
また、前記実施の形態においては、受け台の上死点が、押圧保持リングの下端より若干低い位置に設定してあり、ある程度鉄心片の枚数が積層された状態から背圧が付与されるようにしている。しかし、これに限らず、受け台が押圧保持リングの孔内を昇降できるようにして、抜き始めの鉄心片に対して背圧を付与することができる位置に、受け台の上死点を設定することも可能である。
そして、前記実施の形態においては、鉄心片が載置された支持プレートの移動量を、距離センサにより検知した場合について説明したが、鉄心片をかしめ積層する時に、支持プレートに加わる荷重を測定し、この荷重から載置台の下降量を決定することも可能である。
払い出し動作中の測定していない鉄心片の移動平均値THを、実際に測定した直近の(先行する)支持プレート24の移動平均値TAと同じ量と仮定したが、これに限定されず、必要に応じて、直近以外の実際に測定した支持プレートの移動平均値を用いることもできる。
Claims (5)
- パンチにより打抜きされた鉄心片を、該鉄心片を周囲から押圧しながら支持する押圧保持リング及び受け台を使用して、順次かしめ積層する積層鉄心の製造方法において、
前記パンチにより打抜かれた鉄心片を、予め打抜かれて前記受け台の支持プレートに積まれた鉄心片にかしめ積層する時に、前記支持プレートの下部に設けられ載置台上に配置された弾性部材によってこれらの鉄心片に、前記パンチの押圧方向とは逆方向の力を付与させ、
前記パンチが下死点に到達して鉄心片のかしめ積層が行われた後、前記パンチが上昇する前に、前記支持プレートが下降した移動量分だけ、前記載置台を下降手段により下降させることを特徴とする積層鉄心の製造方法。 - 請求項1記載の積層鉄心の製造方法において、前記支持プレートの下降量は、前記受け台又はその近傍に設けられた距離センサに基づき調整されることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
- 請求項1又は2記載の積層鉄心の製造方法において、前記支持プレートに積まれる前の前記押圧保持リングに支持された複数の前記鉄心片の下降した移動量は、前記支持プレートの下降量の平均値に基づいて換算して算出され、該算出された値に前記支持プレートの下降量の合計を加えた値が、設定した厚みに達するまで前記支持プレートに積まれた前記鉄心片に鉄心片をかしめ積層することを特徴とする積層鉄心の製造方法。
- ダイの下部にあって該ダイ上に載置された磁性鉄板からパンチにより打抜き形成された鉄心片を、周囲から押圧しながら支持して順次かしめ積層するための押圧保持リングと、該押圧保持リング内に抜き込まれた鉄心片を下方から支持する受け台とを有する積層鉄心の製造装置において、
前記受け台は、昇降可能な載置台と、該載置台の上に弾性部材を介して設けられた支持プレートと、該支持プレートが下降した移動量を検知するための距離センサと、該距離センサで検知した前記支持プレートの移動量に応じて前記載置台を下降させる制御手段とを有することを特徴とする積層鉄心の製造装置。 - 請求項4記載の積層鉄心の製造装置において、前記支持プレートには、前記押圧保持リングの下方に配置されたインサートプレートに対する該支持プレートの上下動をガイドする昇降ガイド部材を設けたことを特徴とする積層鉄心の製造装置。
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