JP4578002B2 - 溶接封口電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型携帯用の溶接封口電池に関し、特にレーザ封口型角形イオン電池の封口蓋の形状に関し、特にレーザ封口型角形イオン電池の集電タブの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯用の小型密閉型電池においては、例えば特開平9−171809号公報にて本願出願人が開示しているがごとく、発電要素が収納された電池外装缶の開口縁(端)部に封口蓋をレーザー溶接して封口するのであるが、この際、図16(a)に示すように、発電要素106の最外周部分に正極板又は負極板のいずれかの芯体101を配置し、更にこの芯体101の露出部に略U字状の切込み(切断線)102を入れた後、図16(b)に示すように、この切込み102を電池外装缶の開口側方向へ折り返して集電タブ103となし、その後、図17に示すように、上記集電タブ103を電池外装缶104の開口縁104aと封口蓋105との間にはさみ込み、この状態でこれら三つをレーザ溶接することにより封口していた。
【0003】
この場合、落下等の衝撃が電池に加えられて、集電タブにストレスが加わった場合に、集電タブ103の根元部分103aで集電タブ103が切断されて、電池の内部抵抗が上昇するのを防止するために、集電タブ103と切込み102の一部に、それらを覆うような切断防止用のテープ107を貼着していた。
【0004】
上述のごとく、切断防止用のテープ107が貼着されていれば、集電タブ103の根元部分103aで集電タブ103が切断されるのを防止することができる。ところが、この場合には、落下等の衝撃が電池に加えられて、集電タブにストレスが加わると、図18に示すように、発電要素106が下方(図中A方向)移動しようとするため、集電タブ103が下方に引っ張られる。このため、溶接部108の近傍で集電タブ103のタブ切れが生じ、電池の内部抵抗が上昇するという新たな課題が生じる。
【0005】
このようなことを考慮して、図19に示すように、集電タブ103に弛み部110を設けるような構造のものが提案されている。しかしながら、このような構造では、上下方向(図中B方向)の力が働く場合には十分に対応することができるが、横方向(図中C方向)の力が働く場合や、捻じれ方向(図中D方向)の力が働く場合には十分に対応することができず、やはり集電タブ103のタブ切れが生じ、電池の内部抵抗が上昇するという課題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題を考慮してなされたものであって、電池を落下させる等の振動が加えられて、集電タブにどのような方向からストレスが加わった場合であっても、集電タブのタブ切れが生じるのを防止して、電池の内部抵抗が上昇するのを抑制し、信頼性を向上させることができる溶接封口電池の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明においては、正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した渦巻電極体と、この渦巻電極体及び電解液を収納する電池外装缶と、上記渦巻電極体の最外周部分に位置する正極板又は負極板の芯体露出部に略U状の切込みを入れ、この切込みを切りおこして上記電池外装缶の開口側方向へ折り返すことにより形成される集電タブと、上記電池外装缶の開口部を封口する封口蓋とを有し、且つ、上記集電タブを上記電池外装缶の開口縁と上記封口蓋との間にはさみ込んだ状態で、集電タブと電池外装缶と封口蓋とが溶接される構造の溶接封口電池において、上記集電タブには弛み部が設けられ、且つ、上記集電タブの弛み部から、上記集電タブが形成された面とは反対側の最外周面にかけて、集電タブを固定するための耐電解液性を有する補強部材が貼着されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成であれば、電池を落下させる等の振動が加えられた場合に、集電タブのみならず、補強部材によっても支持されることになる。即ち、集電タブと補強部材との2点支持構造となるので、荷重分散が生じ、集電タブへの衝撃が分散されることになる。この結果、集電タブにいかなる方向からストレスが加わった場合であっても、集電タブへの衝撃が分散されることにより、集電タブのタブ切れが生じるのを抑制することが可能となる。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記補強部材の幅が集電タブの幅より大きくなるように構成されることを特徴とする。
上記構成であれば、補強部材が貼着されている集電タブの部分は露出することがないので、電池内での短絡を抑制することができるという効果もある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図15に基づいて、以下に説明する。
図1は本発明に係る溶接封口電池の部分断面図である。
【0011】
図1に示すように、本発明の溶接封口電池は有底方形筒状の電池外装缶60を有しており、この電池外装缶60内には、正極と、負極と、これら両電極を離間するイオン透過性のセパレータとから成る偏平渦巻き状の渦巻電極体40が収納されている。上記電池外装缶60の開口端には、負極端子70を備えた封口蓋50が溶接されており、これによって電池が封口される。また、上記渦巻電極体40の最外周の正極芯体露出部21には切込み部23が形成されており、この切込み部23を切り起こすことにより正極集電タブ24が形成されている。この正極集電タブ24は上記電池外装缶60の内壁に沿って電池開口端にまで延設されており、上記封口蓋50と上記電池外装缶60の内壁面とで挟み込むようにした状態でレーザー溶接されている。
【0012】
ここで、上記溶接封口電池の各構成部材等の詳細を、以下に説明する。
図2(a)は本発明に用いる正極板の側面図であり、同図(b)は正面図である。これらの図に示すように、正極板は長さ335mm、幅38mm、厚さ20μmのアルミ箔製正極芯体21の、原則としてその両面に、LiCoO2 を主成分としその他黒鉛、カーボンブラック、N−メチル−2−ピロリドンに溶かしたポリフッ化ビニリデンから成る正極スラリー22を塗布後、溶剤を乾燥し、所定の厚さに圧縮して正極活物質層22を形成した。そして、電池外装缶60内に挿入される、あるいは挿入された状態ではその最外周となる側に略Uあるいはコの字形の切込み23が設けられている。
【0013】
なお、上記切込み23を設けた部分の正極芯体21には、当然正極活物質が付着されておらず、更にその近くの電池外装缶60側に位置する面に正極活物質が付着されていないのは、正極芯体28と電池外装缶60との一層の電気的接触を図るためである。
【0014】
図3(a)は本発明に用いる負極板の側面図であり、同図(b)は正面図である。これらの図に示すように、負極板は長さ315mm、幅39mm、厚さ18μmの負極芯体31の銅箔の両面に天然黒鉛粉末を主成分とし、その他N−メチル−2−ピロリドンに溶かしたポリフッ化ビニリデンからなる負極スラリーを塗布し、乾燥後、所定の厚さに圧縮し、更に後で説明する巻込中心部の負極芯体の銅箔に直接ニッケルからなる負極集電タブ33を取り付けたものである。
【0015】
図4は本発明に用いる渦巻電極体40の構造を示す断面図である。本図に示すように、渦巻電極体40は、正極板20と負極板30とを両者より多少幅広のポリエチレン製のセパレータ41を介して巻き回したものである。なおこの場合、前述の理由により正極板20の正極活物質を塗布していない片面露出部が渦巻電極体40の最外周部に位置するように巻回される。そしてこのもとで、巻終部分には粘着テープ(図示せず)が貼られ、また底部は外装缶1との接触防止のため絶縁テープ(図示せず)で覆われる。
【0016】
図5は本発明に用いる渦巻電極体40の側面図、図6は本発明に用いる渦巻電極体40の要部平面図、図7は本発明に係る溶接封口電池の要部断面図である。
ここで、上記正極集電タブ24は、図2に示す切込み部23を切り起こして形成されるが、電池を作製する際には、図6に示すように、電池内部方向に弛み部25が形成される。この弛み部25には、図5及び図7に示すように、正極集電タブ24より若干幅狭のポリプロビレンから成る粘着テープ(補強部材)26の一端が貼着されており、この粘着テープ26の他端は、渦巻電極体40における上記正極集電タブ24が形成された面とは反対側の最外周面27に貼着されている。
【0017】
図8は本発明に用いる封口蓋の半断面図、図9は本発明に用いる封口蓋を斜め下方からみた斜視図である。
図8及び図9に示すように、封口蓋50は、中央付近に透孔を有した封口板51と、該透孔に絶縁性ガスケット52を介して配置される金属製の中空キャップ53と、中空キャップ53の上端に電気的に接続される電池キャップ(図示せず、負極外部端子を兼ねるもの)と、中空キャップ53に電気的に接続された集電端子板54と、封口板51と集電端子板54との間に介在されて両者を電気的に絶縁する絶縁板55とよりなる。
【0018】
そして、絶縁性ガスケット52、絶縁板55及び集電端子板54は、中空キャップ53の上端及び下端をかしめることによって、封口板51に固定されている。また、絶縁板55の両端には、スペーサ56が配置されている。このスペーサ56は、絶縁板55と一体成形されたものであり、封口板51と渦巻電極体40との間に配置されて、通常の電池使用時において渦巻電極体40が上下方向に揺動しないようにするものである。また、集電端子板54は、その一部が下方向に切り起こされており、この部分に先に説明した負極芯体31に接続された負極集電タブ33が電気的に接続される。
【0019】
また、上記封口蓋50と前記渦巻電極体40との間には、前記図1に示すように、前記弛み部25と上記渦巻電極体40との短絡を防止するためのスペーサ29が配置されている。
【0020】
ここで、上記構造の溶接封口電池の製造方法を、図10及び図11に基づいて説明する。
まず、図10(a)に示すように、電池外装缶底との接触防止、巻きほぐれ防止等のため粘着テープを要所にはった渦巻電極体40の上方に、封口蓋50を位置させると共に、渦巻電極体40の最外周の正極芯体露出部21に切込み部23を形成する。次いで、図10(b)に示すように、切込み23を切り起こし、上部に折り曲げて正極集電タブ24を形成する。次に、図11(a)に示すように、正極集電タブ24に弛み部25を形成した後、図11(B)に示すように、弛み部25と渦巻電極体40における正極集電タブ24が形成された面とは反対側の最外周面27とを粘着テープ26により貼着する。
【0021】
この後、アルミニウム製の方形状の電池外装缶60内に渦巻電極体40を挿入する。その際、正極板20から導出した正極集電タブ24を電池外装缶60の内壁に沿って電池開口端にまで延ばし、更にその上端部を封口蓋50の外周側面と電池外装缶60の内壁面で挟み込むようにした状態で封口蓋50を電池外装缶60の開口縁に被せる。しかる後、電池外装缶60と封口板51との嵌合部にレーザー光を照射して当該部分を溶接し、電池を封口する。そして、併せて正極集電タブ24と電池外装缶60とを電気的に強固に接続する。
【0022】
更に、封口板51の透孔から電池外装缶60の内部に非水電解液を注入し、当該透孔に電池キャップを設置する。これによって、図1に示す溶接封口電池が作製される。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は何もこれらに限定されるものでないのは勿論である。すなわち、例えば以下のようにしてもよい。
【0023】
(1)図12及び図13に示すように、粘着テープ26を正極集電タブ24の幅より広くするような構成、或いは図14及び図15に示すように、弛み部25を大きくする(正極集電タブ24が形成された面とは反対側の最外周面27の近傍まで延設する)ような構成であっても良い。
(2)粘着テープの材質を、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド等の耐有機電解液性を有するものとする。
(3)切込み部により集電タブを形成するのは負極側である。
(4)正負極の芯体等の寸法、材質等は、他の値や材料としている。
(5)電池の発電要素の種類は他のものである。
【0024】
【実施例】
(実施例)
実施例としては、上記発明の実施の形態に示す方法と同様の方法にて作製した電池を用いた。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池Aと称する。
【0025】
(比較例)
実施例に示した粘着テープを貼らずに、従来の技術の図19に示したように、集電タブ103に弛み部110を設けるような構造のものとした他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Xと称する。
【0026】
(実験1)
上記本発明電池A及び比較電池Xに衝撃を加えた場合の不良数を調べたので、その結果を表1に示す。
尚、実験条件は、放電状態で各電池を1.5mの高さからコンクリート上に落下させるというものであり、また落下回数は、電池の各面(6面)を床面に向けて1回ずつ落下させるのを1セットとした。そして、1セット毎に電池の内部抵抗を測定し、実験の前後で抵抗が10mΩ以上変動した場合を不良とした。また、試料数は各電池100個とした。
【0027】
【表1】
【0028】
その結果、比較電池Xでは18〜26セットで不良となったのに対して、本発明電池Aでは38〜49セットまで不良が発生しないことが認められた。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本説明によれば、電池を落下させる等の振動が加えられて、集電タブにどのような方向からストレスが加わった場合であっても、集電タブのタブ切れが生じるのを防止して、電池の内部抵抗が上昇するのを抑制し、信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶接封口電池の部分断面図である。
【図2】本発明に用いる正極板の構成図である。
【図3】本発明に用いる負極板の構成図である。
【図4】本発明に用いる溶接封口電池に用いられる渦巻電極体の横(水平)断面の構成を示す図である。
【図5】本発明に用いる渦巻電極体の側面図である。
【図6】本発明に用いる渦巻電極体の要部平面図である。
【図7】本発明に係る溶接封口電池の要部断面図である。
【図8】本発明に用いる封口蓋の半断面図である。
【図9】本発明に用いる封口蓋を斜め下方からみた斜視図である。
【図10】本発明に係る溶接封口電池の製造工程を示す説明図である。
【図11】本発明に係る溶接封口電池の製造工程を示す説明図である。
【図12】本発明の他の例に係る溶接封口電池の平面図である。
【図13】本発明の他の例に係る溶接封口電池の要部拡大図である。
【図14】本発明の他の例に係る溶接封口電池の要部拡大図である。
【図15】本発明の他の例に係る溶接封口電池の要部拡大図である。
【図16】従来の溶接封口電池の製造工程を示す説明図である。
【図17】従来の溶接封口電池の部分断面図である。
【図18】従来の溶接封口電池にストレスが加わった場合の状態を示す断面図である。
【図19】従来の他の例に係る溶接封口電池の部分断面図である。
【符号の説明】
20:正極板
23:切込み部
24:正極集電タブ
25:弛み部
26:粘着テープ
30:負極板
40:渦巻電極体
41:セパレータ
50:封口蓋
60:電池外装缶
Claims (2)
- 正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した渦巻電極体と、この渦巻電極体及び電解液を収納する電池外装缶と、上記渦巻電極体の最外周部分に位置する正極板又は負極板の芯体露出部に略U状の切込みを入れ、この切込みを切りおこして上記電池外装缶の開口側方向へ折り返すことにより形成される集電タブと、上記電池外装缶の開口部を封口する封口蓋とを有し、且つ、上記集電タブを上記電池外装缶の開口縁と上記封口蓋との間にはさみ込んだ状態で、集電タブと電池外装缶と封口蓋とが溶接される構造の溶接封口電池において、
上記集電タブには弛み部が設けられ、且つ、上記集電タブの弛み部から、上記集電タブが形成された面とは反対側の最外周面にかけて、集電タブを固定するための耐電解液性を有する補強部材が貼着されていることを特徴とする溶接封口電池。 - 上記補強部材の幅が集電タブの幅より大きくなるように構成される、請求項1記載の溶接封口電池。
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