JP4416203B2 - 溶接封口電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型携帯用の溶接封口電池に関し、特にレーザ封口型角形イオン電池の封口蓋の形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯用の小型密閉型電池においては、例えば特願平7−26710号公報、同8−53032号公報にて本願出願人が開示しているがごとく、発電要素が収納された電池外装缶の開口縁(端)部に封口蓋をレーザー溶接して封口するが、この際、発電要素の最外周部分に正極板又は負極板のいずれかの芯体を配置し、更にこの芯体の露出部に略U字状の切込み(切断線)を入れて、この切込みを電池外装缶の開口側方向へ繰り返して集電タブとなし、この集電タブを電池外装缶開口縁と封口蓋との間にはさみ込み、この状態でこれら三つをレーザ溶接することにより封口し、併せて発電要素の正極あるいは負極と電池外装缶との一層の電気的接触を図っている。
【0003】
以下、本発明の趣旨に直接関係するのでこの電池の一例を、図を参照しつつ少し詳しく説明する。
【0004】
図4に、正極板20の構造を示す。
図4(a)は正極板の側面図であり、同図(b)は正面図である。これらの図に示すように、正極板は長さ335mm、幅38m、厚さ20μmの細長く薄いアルミ箔製正極芯体21の、原則としてその両面に、LiCoO2 を主成分としその他黒鉛、カーボンブラック、N−メチル−2ピロリドンに溶かしたポリフッ化ビニリデンから成る正極活物質(スラリー)22を塗布し、これを圧延し、真空乾燥により付着させたものである。そして、電池外装缶体内に挿入される、あるいは挿入された状態ではその最外周となる側にほぼUあるいはコの字形の切込み23が設けられている。
【0005】
なお、この切込み23を設けた部分の正極芯体21には、当然正極活物質が付着されておらず、更にその近くの電池外装缶側に位置する面に正極活物質が付着されていないのは、芯体と電池外装缶との一層の電気的接触を図るためである。
【0006】
図5に、負極板の構造30を示す。
図5(a)は負極板の側面図であり、同図(b)は正面図である。これらの図に示すように、負極板は長さ315mm、幅39mm、厚さ18μmの負極芯体31の細長く薄い銅箔の両面に天然黒鉛粉末を主成分とし、その他N−メチル−2ピロリドンに溶かしたポリフッ化ビニリデンからなる負極活物質32を塗布し、乾燥、圧延により付着させ、更に後で説明する巻込中心部の負極芯体の銅箔に直接ニッケルからなるリード33を負極集電体として取り付けたものである。
【0007】
図6に、渦巻電極体40の構造を示す。
本図に示すように、渦巻電極体40は、正極板20と負極板30とを両者より多少幅広のポリエチレン製のセパレータ41を介して巻き回したものである。なおこの場合、前述の理由により正極板の正極活物質を塗布していない片面露出部が渦巻電極体の最外周部に位置するように巻回される。そしてこのもとで、巻終部分には粘着テープ(図示せず)が貼られ、また底部は電池缶体との接触防止のため絶縁テープ(図示せず)で覆われる。
【0008】
なおここで、正極集電タブは、図4に示す切込み部23を切り起こして形成されるが、この際電池の内部巻込中心側に同一極性の電極板が位置する所に設けているのは、切込み部23のバリにより万一セパレータ41の損傷が生じても内部短絡が発生しないようにするためである。
【0009】
図7〜図9に、封口蓋50の構造を示す。
図7は封口蓋を斜め下方からみた斜視図、図8(a)は封口板を除いた封口蓋を電池上方(缶蓋側)から見た上面図、同図(b)は下方から見た下面図、同図(c)は長手方向中心断面図、同図(d)は中央部の短手方向断面図、図9は電池キャップを除いた封口蓋の部分断面図(側面)である。
【0010】
図7〜図9に示すように、封口蓋50は、中央付近に透孔を有した封口板51と、該透孔に絶縁性ガスケット52を介して配置される金属製の中空キャップ53と、中空キャップ53の上端に電気的に接続される電池キャップ(図示せず、負極外部端子を兼ねるもの)と、中空キャップ53に電気的に接続された集電端子板54と、封口板51と集電端子板54との間に介在されて両者を電気的に絶縁する絶縁板55とよりなる。
【0011】
そして、絶縁性ガスケット52、絶縁板55及び集電端子板54は、中空キャップ53の上端及び下端をかしめることによって、封口板51に固定されている。また、絶縁板55の両端には、スペーサ56が配置されている。このスペーサ56は、絶縁板55と一体成形されたものであり、封口板51と渦巻電極体40との間に配置されて、渦巻電極体40が上下方向に揺動しないようにするものである。また、集電端子板54は、その一部が下方向に切り起こされており、この部分に先に説明した負極芯体31に接続されたリード33が電気的に接続される。更に、封口蓋50には、正極集電タブ24のたるみを吸収するための切り欠き部57が形成されている。
【0012】
図10に、この電池の組立て手順を示す。
【0013】
(a)電池外装缶底との接触防止、巻きほぐれ防止等のため粘着テープを要所にはった渦巻電極体40の上方に、封口蓋50の封口板51を位置させる。本図において、33は負極リードである。
【0014】
(b)封口板50に固定された集電端子板54と負極リード33とを電気的に接続する。
【0015】
(c)他方、渦巻電極体40の最外周の正極芯体露出部21に形成した切込み部23を切り起こして上部に折り曲げて正極集電タブ24となす。
【0016】
そして、この正極集電タブ24は、この状態で上から保護テープ25を貼り付けることにより、渦巻電極体40の最外周の正極芯体露出部21に固定される。
【0017】
(d)負極リード33が電気接続された渦巻電極体40を、アルミニウム製のほぼ角形の電池外装缶60内に挿入する。その際、正極板20から導出した正極集電タブ24を電池外装缶60の内壁に沿って電池開口端にまで延ばし、更にその上端部を封口蓋50の封口板51の外周側面と電池外装缶60の内壁面で挟み込むようにした状態で封口蓋50を電池外装缶60の開口縁に被せる。また、挿入時には、切り欠き部57に沿って正極集電タブ24を屈曲させて、正極集電タブ24のたるみを吸収させる。
【0018】
(e)次いで、電池外装缶60と封口板51との嵌合部にレーザー光を照射して当該部分を溶接し、電池を封口する。そして、併せて正極集電タブ24と電池外装缶60とを電気的に強固に接続する。
【0019】
更に、その後、封口板51の透孔から電池外装缶60の内部に非水電解液を注入し、当該透孔に電池キャップ59を設置する。
以上で、電池の組立てが終了する。
【0020】
更に、実際には以上の他、種々の改良や変形がなされている。
例えば正極板の切り込み、切り起こし部の形状については、機械的強度向上の面から、図11に示すように取り付けた状態で上部蓋側が狭く下側が広い半直角台形とすることがなされている。
本図において、(a)は正極芯体21の外周部側にかかる形状の切込み231を設けた状態を示す。(b)は、この切込み部を切り起こして正極の集電タブ240とした状態を示す。なお、230は正極芯体に生じた切り欠き孔である。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとく、正極集電タブ24が電池外装缶60の開口側方向に導かれる部分に正極集電タブ24のたるみを吸収するための切り欠き部57が形成されており、この切り欠き部57に沿って正極集電タブ24を屈曲させているが、正極集電タブ24と負極板30との間には仕切りがないことから、電池を落下させる等の振動を加えた場合に正極集電タブ24と負極板30とが接触して、電池内部で短絡を生じるおそれがあるという課題を有していた。
【0022】
本発明は、上記従来の課題を考慮してなされたものであって、電池を落下させる等の振動を加えた場合であっても、電池内部で短絡を生じるのを防止して、信頼性を向上させることができる溶接封口電池の提供を目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明においては、正極板と負極板とをセパレータを介して巻いて構成した渦巻電極体と、該渦巻電極体を収納する電池外装缶と、上記渦巻電極体の最外周部分に位置する正極板又は負極板の芯体露出部に略U状の切込みを入れ該切込みを切りおこして上記電池外装缶の開口側方向へ折り返すことにより形成される集電タブと、上記集電タブが電池外装缶の開口側方向に導かれる部分に集電タブのたるみを吸収するための切り欠き部を有する封口蓋とを有し、且つ、上記集電タブを上記電池外装缶の開口縁と上記封口蓋との間にはさみ込んだ状態で、集電タブと電池外装缶と封口蓋とが溶接される構造の溶接封口電池において、上記封口蓋の切り欠き部における電池内側方向端部には、鍔部が形成されていることを特徴とする。
上記の如く、封口蓋の切り欠き部における電池内側方向端部に鍔部が形成されていれば、切り欠き部によって集電タブのたるみを吸収しつつ、鍔部により集電タブと渦巻電極体とが仕切られるので、電池を落下させる等の振動を加えた場合であっても、電池内部で短絡が生じるのを防止することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(あるいは実施例)を、図1〜図3に基づいて、以下に説明する。
【0025】
図1は、本発明に係わる溶接封口電池の渦巻電極体40と封口蓋50とを接続し、そして当然正極集電タブ24を切り起こして封口蓋側へ折り曲げた状態、すなわち電池外装缶内へ挿入する直前の状態を示す図、図2は本発明に用いる封口蓋を斜め下方からみた斜視図、図3(a)は封口板を除いた封口蓋を電池上方(缶蓋側)から見た上面図、同図(b)は下方から見た下面図、同図(c)は長手方向中心断面図、同図(d)は中央部の短手方向断面図である。
【0026】
図1〜図3に示すように、封口蓋下部の絶縁板56は、正極集電タブ24が封口蓋側へ導設される部分及び中心線を挟んで反対のセパレータがある側に下端が解放された(開かれた)切り欠き部57が設けられている。更に、正極集電タブ24はこの切り欠き部57内壁に沿って導入され、このためこの部分でいわばたるみ(遊び)241を有するようになっている(なお、念のため記すが、本図は本発明の趣旨が明瞭になるように正極集電タブ24及びその屈曲部241を肉厚に描いているが、実際にはこれは20μmの箔である)。上記切り欠き部57における電池内側方向端部には鍔部58が形成されており、これにより、正極集電タブ24と渦巻電極体40とが仕切られるので、電池を落下させる等の振動を加えた場合であっても、電池内部で短絡を生じるのを防止することができる。
【0027】
以上のもとで、図1に示す渦巻電極体40と封口蓋50とは、図示しない電池外装缶内に挿入され前述のごとく、封口蓋50の最上部の外周部、芯体を切り起こして形成された正極集電タブ24、及び電池外装缶の最上部の開孔縁壁がレーザ光にて一体的に溶接されることとなる。
【0028】
なお、実際の電池においては、渦巻電極体下部の絶縁テープ、切り起こし折り曲げて形成した正極集電タブを渦巻電極体外表面に固定し、併せて保護する粘着性保護テープ、負極集電体、更には安全弁等種々の要素、部品を有しているが、これらは本発明の趣旨に直接の関係はないこと、図示するとかえって煩雑となることのため、図1〜図3ではわざわざは図示していないが、本実施例の電池でも必要に応じてそれらを装備しているのは勿論である。
【0029】
次に、この実施例の電池に衝撃を加えた場合の、電池内部短絡の発生数を調べたので、それについて説明する。
尚、実験は、本実施例及び従来技術の電池を10cmの高さから落下させるというものである。
【0030】
その結果、従来技術の溶接封口電池にあっては、100個のうち13個が電池内部短絡が発生していたが、本実施例の電池にあっては、100個全てが電池内部短絡を発生していないことが認められた。
【0031】
以上、本発明を幾つかの実施の形態(あるいは実施例)に基づいて説明してきたが、本発明は何もこれらに限定されるものでないのは勿論である。すなわち、例えば以下のようにしてもよい。
【0032】
(1) 切込み部により集電タブを形成するのは負極側である。
(2) 正負の芯体等の寸法、材質等は、他の値や材料としている。
また、電池外装缶も必ずしも、金属のみではない。
(3) 電池の形状は、水平(横)断面の頂部が丸味を有する概長方形、その他いわゆるシート型等としている。
(4) 集電タブの切り欠き部内の曲がりの状態は、2段、3段の折れ曲がりとなっている。
(5) 電池の発電要素の種類は他のものである。
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本説明によれば、電池を落下させる等の振動を加えた場合であっても、電池内部で短絡を生じるのが防止できるので、溶接封口電池の信頼性を飛躍的に向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる溶接封口電池の概念構成図である。
【図2】本発明に用いる封口蓋を斜め下方からみた斜視図である。
【図3】本発明に用いる封口蓋の図であり、同図(a)は封口板を除いた封口蓋を電池上方(缶蓋側)から見た上面図、同図(b)は下方から見た下面図、同図(c)は長手方向中心断面図、同図(d)は中央部の短手方向断面図である。本発明に係わる溶接封口電池の概念構成図である。
【図4】従来技術に係わる溶接封口電池の正極板の構成図である。
【図5】従来技術に係わる溶接封口電池の負極板の構成図である。
【図6】従来技術に係わる溶接封口電池の渦巻電極体の横(水平)断面の構成を示す図である。
【図7】従来技術に用いる封口蓋を斜め下方からみた斜視図である。
【図8】従来技術に用いる封口蓋の図であり、同図(a)は封口板を除いた封口蓋を電池上方(缶蓋側)から見た上面図、同図(b)は下方から見た下面図、同図(c)は長手方向中心断面図、同図(d)は中央部の短手方向断面図である。
【図9】電池キャップを除いた封口蓋の部分断面図(側面)である。
【図10】従来技術に係わる溶接封口電池の芯体を切り込み、折り曲げて形成した正極集電タブと、封口蓋と、電池外装缶との溶接等を中心とした組立方法を示す説明図である。
【図11】従来技術に係わる溶接封口電池の正極芯体を利用して形成した集電タブの他の例の図である。
【符号の説明】
20:正極板
23:切り込み部
30:負極板
40:渦巻電極体
41:セパレータ
50:封口蓋
51:封口板
52:絶縁性ガスケット
53:中空キャップ
54:集電端子板
55:絶縁板
56:スペーサ
57:切り欠き部
58:鍔部
60:電池外装缶
Claims (1)
- 正極板と負極板とをセパレータを介して巻いて構成した渦巻電極体と、該渦巻電極体を収納する電池外装缶と、上記渦巻電極体の最外周部分に位置する正極板又は負極板の芯体露出部に略U状の切込みを入れ該切込みを切りおこして上記電池外装缶の開口側方向へ折り返すことにより形成される集電タブと、上記集電タブが電池外装缶の開口側方向に導かれる部分に集電タブのたるみを吸収するための切り欠き部を有する封口蓋とを有し、且つ、上記集電タブを上記電池外装缶の開口縁と上記封口蓋との間にはさみ込んだ状態で、集電タブと電池外装缶と封口蓋とが溶接される構造の溶接封口電池において、
上記封口蓋の切り欠き部における電池内側方向端部には、鍔部が形成されていることを特徴とする溶接封口電池。
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