JP4575624B2 - テニスラケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テニスラケットに関し、詳しくは、ラケットフレームの重量及び重量バランスに影響を与えずに、プレー時の不快な音鳴りや、打撃時の振動減衰性を改良する軽量テニスラケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
中空部を有するラケットフレームからなるテニスラケットでは、製造過程で生じるバリのうち中空部内に脱落したバリ屑や、ガット孔の穿設時に生じる破片(カス)は、グリップ部後端開口を閉鎖するエンドキャップを取り付ける前に、該グリップ部後端開口から排出している。
【0003】
しかしながら、テニスラケットの使用を開始すると、打球時に発生する衝撃で残存するバリが脱落してバリ屑となり、また、完全に除去されずに残っていたカスが中空部内に溜まることがある。これらが、ラケットスイング等のプレー時にフレームの中空部内を動き回って音鳴りを起こし、プレーに不快感を与え、プレーを妨げる問題がある。
【0004】
従来のラケットでは、グリップ部の後端側に外嵌固定されるエンドキャップが一体で成形されている。このため、エンドキャップを一旦グリップエンドに取り付けてしまうと、ラケットフレームの中空部に発生してプレー中に移動する上記バリ屑やカスを除去するためには、グリップレザーを剥がした後、エンドキャップを取り外す必要があり、作業に手間がかかるという問題がある。
【0005】
上記問題に対して、従来、種々の提案がなされている。例えば、特開平5−269223号では、エンドキャップのグリップ部後端開口に当たる位置に、別体の蓋を取り外し自在に取り付けたものが提案されており、蓋を取り外して音鳴りの原因となるバリ屑やかすを中空部から取り出せるようにしている。
【0006】
また、特開平8−52241号では、エンドキャップに蓋を取り外し可能とせずに両者を一体的に設ける一方、グリップ部後端開口に当たる位置の中空側に粘着部分を設け、バリ屑やカスを該粘着部分に粘着させて中空部内で動き回るのを防ぎ、不快な音の発生を抑制するラケットが提案されている。
【0007】
一方、近年、ラケットフレームの打球面の面外方向に厚みを持たせた所謂「厚ラケ」が提供されている。該厚ラケを必要とするユーザーは、女性やシニア層といった少ない力で飛び性能を要求する層であり、軽量で飛び性能の良いテニスラケットが求められている。しかしながら、テニスラケットを軽量とすると、打球時にテニスラケットに負荷される衝撃が大きくなり、プレーヤーが不快な振動を感じると共に衝撃が肘に伝わりやすくテニスエルボーの原因となることがある。このため、軽量で、かつ振動吸収性の高いテニスラケットが望まれている。
【0008】
特に、繊維強化樹脂製のラケットフレームにおいては、繊維強化樹脂の重量が5g程度変わっただけで、ラケットフレームの耐久性が大きく変化することが判っており、重量と強度の調整が重要である。また、中空部を有するテニスラケットは、軽量であるがために衝撃振動がプレーヤーに伝わり易くてプレーヤーへのダメージが大きい。従って、軽量テニスラケットの振動減衰性、衝撃吸収性の改善が望まれている。
【0009】
従来、振動減衰性を改良するために、動吸振器(ダイナミックダンパー)機能を利用し、振動を減衰させるものが提案されている。例えば、特公昭52−13455号では、先端に重りを取り付けた鋼ワイヤの基端がテニスラケットのグリップの末端に埋設固定されたダンパー(運動具)が提案されている。また、特開昭52−156031号では、テニスラケットのスロート部に基部を固定し、該基部より首部を介して本体が連結されたダンパーからなる振動吸収装置が提案されている。
【0010】
さらに、特開2000−24140号では、振動重錘を備え、打撃用具のグリップ部分の自由端に振動の波腹の近傍で装着され、振動重錘はグリップエンドを取り囲む可撓性キャップの空洞内に受容され、該重錘がグリップエンドから距離をおいて存在するバイブレーションダンパーが提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、バリ屑やカス等の除去を目的として、特開平5−269223号で提案された、蓋を取り外し可能としたエンドキャップは、6ナイロン、12ナイロン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で構成されるため、成形収縮等により寸法が合わなくなり蓋とキャップ本体間でズレを起こし、蓋が十分に固定されず、打球時(インパクト時)に蓋が振動してプレーヤーに不快感を与えるという問題が生じる。さらに、蓋の取り外しを繰り返すことにより、蓋が外れやすくなったり、破損を起こすことも考えられる。
【0012】
また、特開平8−52241号のエンドキャップの中空部開口に当たる面に粘着性材を設けた場合、粘着材が経時変化して粘着性が劣化したり、エンドキャップに発生する振動により、粘着したバリ屑やカスがエンドキャップから脱落し、再度、打球時に、フレーム本体の中空部内を動きまわり不快音を発生する恐れがある。
【0013】
一方、振動減衰性の向上を図った、特公昭52−13455号のダンパーは、ラケットの特定の振動モードの減衰にしか寄与しない上に、ラケットのグリップエンドから外方へ延長されて取り付けられた場合には、プレーヤーのスイングの妨げになったり、ワイヤと錘とにより重量が増加するという問題がる。
【0014】
また、特開昭52−156031号の振動吸収装置は、ラケットの特定の振動モードの減衰にしか寄与しない上に、振動吸収装置がプレー時に邪魔になったり、テニスラケットの重量バランスが悪くなるという問題がある。
【0015】
さらに、特開2000−24140号のバイブレーションダンパーは、補助重錘によって、固有振動数を調整するものであり、重量が大きく増加し、エンドキャップの構造自体も蓋体有する構造とはしにくいため、中空体内に発生した破片による音鳴りの防止が不十分である。
【0016】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、ラケットフレームの重量を増加させることなく、ラケットフレームの中空部内に残存するバリ屑やカスによる音鳴りを低減すると共に、ラケットフレームの各種振動の振動減衰性を向上させたテニスラケットを提供することを課題としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、中空部を有するパイプで、ヘッド部、スロート部、シャフト部、グリップ部を順次構成しているラケットフレームからなるテニスラケットにおいて、
上記グリップ部の中空部内に、ラケットエンドから0.6cm以上13cm以下の位置に、ラケットフレーム長手方向に対して垂直な断面方向に発泡体を配置し、該発泡体で上記グリップ部内の中空部を断面方向において完全に閉鎖し、閉鎖した空間との境界表面となる前記発泡体の表面を粘着性材で被覆していることを特徴とするテニスラケットを提供している。
【0018】
このように、グリップ部の中空部内に発泡体を有しており、該発泡体において中空部内の空間との境界表面を粘着性材で覆っているため、中空部内に残存するバリ屑やカス等の破片を上記粘着性材により粘着捕捉することができ、バリ屑やカス等に起因する音鳴りを防止することができる。また、グリップ部の中空部内において、発泡体がバネとなり各種振動モードに対応した動吸振器としての機能を有するため、面外1次、面外2次、面内等の各種振動の振動減衰性を向上することができる。上記のように、音鳴りの防止と振動減衰性の向上は、非常に軽量な上記発泡体をグリップ部の中空部内に挿入することで実現しているため、ラケットフレームの重量増加を招くことがなく、軽量テニスラケットに適用することができる。
【0019】
粘着性材は、上記発泡体において少なくとも、グリップ部の中空部内の空間と発泡体との境界面(発泡体を中空部内に配置した際、中空部の内周面と接触しない発泡体上の面)となる発泡体表面を覆うようにしている。これにより、中空部内に発生する破片等を効率良く粘着捕捉することができる
【0020】
また、上記境界面となる発泡体表面において、粘着性材は、その表面全体あるいは、一部を覆うような構成にすることができるが、粘着効率を上げるには粘着性材の面積はできるだけ大きい方が好ましい。さらに、発生する破片等の量はラケットフレームの先端側の方が多いため、発泡体のラケットフレーム先端(ヘッド部)側の表面においては、特に、粘着性材の面積が大きい方が好ましい。
【0021】
上記発泡体は、グリップ部の中空部の断面(ラケットフレーム長手方向に垂直な断面)に平行に、かつ、グリップ部内の上記断面方向において中空部を完全に閉鎖するように配置することが好ましい。これにより、ラケットフレームの重量バランスを保つことができ、慣性モーメントを維持しテニスラケットの操作性を低下させずに、振動減衰性を向上することができると共に、上記破片等による不快な音鳴りを防止することができる。
【0022】
上記ラケットフレームの重量は280g以下、好ましくは100g以上260g以下としている。これは、ラケットフレームの重量が280gより大きいとラケットの軽量化に反するためである。また、ラケットフレームの重量が100gより小さいとラケット強度が不足するという問題があるためである。
【0023】
上記発泡体のラケットフレーム長さ方向の厚みを2mm以上13mm以下、さらに好ましくは2mm以上mm以下としている。
上記範囲としているのは、上記厚みがmmより小さいと発泡体自身の耐久性が低いため、発泡体が破損する恐れがあるからであり、一方、上記厚みが13mmより大きいと発泡体と共に重量体を装着した場合に、発泡体の厚みが厚いことにより重量体の振動が抑制されてしまい、十分な振動減衰性能が得られないためである。
【0024】
上記発泡体のラケットエンド側端部は、前記のように、ラケットエンドからの距離を0.6cm以上13cm以下としている。
上記発泡体の配置位置は、各種振動モードに対して振動減衰性を得るために、面外1次振動モード、面外2次振動モードの腹の位置にあたるグリップエンド(ラケットエンド)が好ましいが、エンドキャップに触れないよう配置することが好ましい。これは、発泡体がエンドキャップに振れると、発泡体及び重量体の振動の妨げになり、振動吸収性の向上効果が得にくくなるためである。従って、発泡体のラケットエンド側端部は、ラケットエンドからの距離が0.6cm以上としている。発泡体のラケットエンド側端部は、ラケットエンドからの距離が1cm以下としているのは、1cmを越えると発泡体が、面外1次、面外2次の振動の節に近づくことになり、振動減衰効果が小さくなるためである。
【0025】
上記発泡体としては、ポリウレタン系、ポリエチレン系、ポリビニルアルコール系、酢酸ビニル系、ポリスチレン系、ポリエステル系等が挙げられる。中でも、汎用性があり、比重が軽いため、ポリウレタン系、ポリエステル系の発泡体が特に好ましい。
【0026】
上記発泡体の比重は、0.01以上0.14以下であることが好ましい。上記範囲としているのは、発泡体の比重が0.01より小さいと発泡体自身の強度が弱くなるためであり、一方、比重が0.14を越えると発泡体が重くなったり、発泡体自身に剛性が出てしまうため、重量体が振れにくくなるためである。
【0027】
上記粘着性材の引き剥がし粘着力は15g/cm以上、好ましくは15g/cm以上50g/cm以下であるのが良い。上記範囲としているのは、15g/cmより小さいと粘着力が弱くて、経時変化により粘着力が低下した場合、付着した破片が遊離するためであり、一方、50g/cmを越えると、発泡体の外周全面を粘着性材で覆い、該発泡体をパイプ状のラケットフレーム中空部内へ挿入して設置する場合に、粘着力が強すぎて挿入が困難になるためである。
【0028】
上記引き剥がし粘着力はJISZ0237に準拠して測定される値とする。具体的には、温度23±2℃,湿度65±15%RHの環境下、以下の条件で測定している。
試験片の大きさ:20mm×150mm
試験機:引っ張り試験機(テンシロン)
被着体:ステンレス
圧着:2kgローラ(5mm/秒 1往復)
測定:圧着20分以上放置後引張速度300mm/分で180°方向引き剥がし。
【0029】
上記粘着性材としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤を好適に用いることができる。特にアクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤は、両面テープ等にも使用され汎用性が大きく、適度な接着力があり接着した破片が離れにくい上に、発泡体をグリップ部内に装着する際のグリップ部内での移動が可能な程度の接着力であるためである。
【0030】
粘着性材は、両面テープ、スプレー、ハケ等による直接塗布、ディッピング等により発泡体に取り付けることができる。
【0031】
上記粘着性材として、具体的には、日東電工製両面テープが挙げられ、アクリル系粘着剤(No.532、MC−2030)、ゴム系粘着剤(VR−5311、5321)、シリコン系粘着剤(No.5302A)、また、アクリルゴム(3M Design Bond)等を使用できる。
【0032】
グリップ部の中空部の内周面と発泡体との接触面において、発泡体を粘着性材で覆わない場合には、発泡体とグリップ部との固定は、ピン等をグリップ部の外側から打ち込むことにより行うことができる。
【0033】
上記発泡体内には、重量体を装着していることが好ましい。このように、発泡体と重量体とを合わせてグリップ部の中空部内に配置することで、発泡体がバネとなると共に、発泡体内で重量体が振動し、動吸振器機能によって、さらなる振動減衰効果を発揮することができる。
【0034】
具体的には、発泡体を2枚にカットし、重量体を2枚の発泡体内に挟み込むことにより発泡体内に装着することができる。また、発泡体に切れ目を入れ、重量体を該切れ目より発泡体内に装着することもできる。重量体の外表面は全て発泡体により覆われていてもよいし、重量体の一部が発泡体に覆われずに露出していてもよく、発泡体がバネとなり、重量体が振動することにより振動減衰効果を発揮することができる構成で装着されていればよい。
【0035】
上記重量体は、グリップ部の断面(ラケットフレーム長手方向に垂直な断面)の中心に位置することが好ましい。このように、グリップ部断面の中心に位置することにより、重量体が3次元的に振動することが可能となり、面外、面内の各種振動の振動減衰に寄与することができる。重量体の形状は、平板状、シート状、角柱状、球状等種々の形状とすることができるが、装着性と成形性の点より平板状、シート状が好ましい。
【0036】
上記重量体の重量は5g以下、好ましくは2g以上4g以下であるのが良い。これは、5gよりも大きいと全体重量が重くなる上に、特にグリップ部の重量が増加するためテニスラケットがトップライト(トップが軽く)となりすぎて、結果的に慣性モーメントが小さくなり、テニスラケットの振り抜きが悪く、ボールの飛びが得られないためである。
【0037】
上記重量体としては、金属製材料、あるいは、高比重金属粉末と樹脂、ゴム、エラストマー等の高分子材料とを主成分とし該高比重金属粉末が該高分子材料に混練分散された混合物材料等が挙げられる。中でも、入手のし易さや成形性の観点より鉛、タングステンが好ましい。
上記重量体の比重は5〜22、好ましくは7〜20であるのが良い。上記範囲としているのは、比重が5より小さいと質量体の効果を得るには体積を大きくする必要があり、発泡体内での配置が困難になるためであり、一方、比重が22より大きい材料を得るには、金属材料の入手や成形上の問題点等があるためである。
【0038】
上記金属製材料、高比重金属粉末として用いられる金属は、鉄(比重7.86)、銅(比重8.92)、鉛(比重11.3)、ニッケル(比重8.85)、亜鉛(比重7.14)、金(比重19.3)、白金(比重21.4)、オスミウム(比重22.6)、イリジウム(比重22.4)、タンタル(比重16.7)、銀(比重10.49)、クロム(比重7.19)、真鍮(比重8.5)、タングステン(比重19.3)などが挙げられる。
また、上記重量体の上記高分子材料用の樹脂としては、種々の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0039】
上記したラケットフレームは、例えば下記の方法で製造することができる。
予めラケット断面周長を考慮した平板形状のマンドレルを用意する。このマンドレルと外側に巻き付ける繊維強化樹脂材料(プリプレグ)を重ね合わせた周長が、フレーム断面周長と一致するように調整する。マンドレルには、内圧チューブを被覆する。その外周面にプリプレグを積層し、鉛直状の積層体からなるレイアップを作成する。その後、マンドレルを抜き取り、金型内に配置する。このとき、ヨークも金型内に配置する。金型を型締して、150℃、20分間の加熱を行うと同時に、ナイロンチューブ内に6〜9kgf/cmの空気圧あるいは窒素圧力を付加する。成形後には内圧チューブを引き抜くことが好ましい。その場合、ナイロンチューブからなる内圧チューブには、離型剤のフレコートHSC−4(DEXTER Co.社製)を、ウエスにより薄く塗布した後に、50℃10分間にて硬化・乾燥しておく。このナイロンチューブを使用すると、成形後に容易に抜き取ることができる。これにより、中空部を有するパイプ状のラケットフレームを製造することができる。
【0040】
上記のような製法により製造されたラケットフレームは、グリップ部において、ラケットフレーム長手方向に垂直な断面を2分するリブが、ラケットフレームの厚み方向に延在しており、グリップ部において中空部は上記リブにより2分されている。このため、グリップ部内部に発泡体を配置する際は、上記リブを必要に応じてカットすることが好ましい。上記リブは、グリップエンド(ラケットエンド)からの距離が20cmの位置まで、好ましくはグリップエンド(ラケットエンド)からの距離が15cmの位置までを、グリップエンドからカットすることが好ましい。このように、発泡体を配置する周辺において、グリップ部のリブをなくすことにより、グリップ部の断面の中心に発泡体及び重量体を配置することができるため、さらに振動減衰性を向上させることができる。また、リブをカットせず、リブにより2分されている2つの中空部の両方に、それぞれ発泡体を配置することもできる。
【0041】
ラケットフレームは、軽量性、高剛性、高強度等の観点より、繊維強化樹脂製とし、繊維強化プリプレグの積層体を中空パイプ状としたものから形成することが好ましい。なお、ラケットフレームは、その他の材質、製法により形成されてもよく、マンドレルにフィラメントワインデイングで強化繊維を巻き付けてレイアップを形成しておき、これを金型内に配置してリムナイロン等の熱可塑性樹脂を充填して形成したラケットフレームにも適用でき、金属製等あらゆる種類のラケットフレームを用いることができる。
【0042】
繊維強化樹脂として用いられる樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられるが、強度と剛性の点より、熱硬化性樹脂が好ましく、特にエポキシ系樹脂が好ましい。
【0043】
エポキシ系樹脂以外に、上記熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ケイ素樹脂等が挙げられる。また、上記熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0044】
上記繊維強化樹脂に用いられる強化繊維としては、一般に高性能強化繊維として用いられる繊維が使用でき、特に、強度と耐久性の点より、カーボン繊維が好ましい。その他、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維、超高分子ポリエチレン繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維等を用いることができる。なお、これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態のテニスラケット1を示す。ラケットフレーム2は、繊維強化樹脂製の中空部9を有するパイプからなり、カーボン繊維をマトリクス樹脂のエポキシ樹脂で含浸している繊維強化プリプレグの積層体から構成され、ガットが張架される打球面Fを囲むヘッド部3、スロート部4、シャフト部5、グリップ部6を備えている。ヘッド部3は、別部材からなるヨーク7をスロート側でラケットフレーム2と連続して打球面Fを囲む環状としている
【0046】
ラケットフレーム2の中空部9は、グリップ部6の後端面であるラケットエンド6aで開口しており、グリップ部6の後端側には樹脂製のエンドキャップ10を取り付けて、中空部9の開口を閉鎖している。ラケットフレーム2の重量は264g、全長を27.5インチ、打球面の面積を102平方インチとし、硬式用テニスラケットとしている。
【0047】
グリップ部6を形成する2本のパイプが接合する繊維強化樹脂層の間に存在するリブ11は、ラケットエンド6aから15cmの位置までを、ラケットエンド6aからカットしている。グリップ部6のリブ11がカットされた中空部9A内に、中空部9内の空間との境界表面が粘着性材12で覆われた発泡体13を配置している。
【0048】
図2、図3に示すように、発泡体13は、比重が0.024の発泡ポリウレタン製とし、その断面は、グリップ部6の断面(ラケットフレーム2の長手方向に垂直な断面)形状と同形状の八角形状であり、グリップ部6のリブがカットされた中空部9Aの断面に平行で、かつ、グリップ部6内の断面方向においてリブがカットされた中空部9Aを完全に閉鎖するように配置している。発泡体の厚みt(ラケットフレーム2の長さ方向)は2mmとし、発泡体13のラケットエンド6a側の端面は、ラケットエンド6aからの距離が2cmとなるように、発泡体13を配置している。
【0049】
粘着性材12は、発泡体13において、グリップ部6の中空部内の空間と発泡体13との境界面、即ち、発泡体を中空部内に配置した際、中空部の内周面と接触しない発泡体13上の表面全体に渡って取り付けられている。具体的には、引き剥がし粘着力が37g/cmであるアクリル系粘着剤からなる両面テープからなる粘着性材12を、グリップ部6のリブがカットされた中空部9Aの断面形状と同形状に打ち抜き、発泡体13の両面13a、13bに取り付けている。
【0050】
発泡体13内には、重量体14が装着されており、重量体14の外表面は全て発泡体13により覆われている。具体的には、平板状の鉛からなる重量体14を、所定厚さにカットした2枚の発泡体13A、13Bにより両側から挟みこみ発泡体13内に重量体14を配置している。重量体14の重量は4gとし、グリップ部6の断面の中心に位置するように配置されている。
【0051】
発泡体13とグリップ部6との固定は、図4に示すように、エンドキャップ10を取り付ける前に、発泡体13をグリップ部6の中空部9の開口から中空部9内の所定の位置まで挿入し、所定の固定位置にてグリップ部6の外側から4本のピンPを打ち込むことにより行っている。このように、テニスのプレー時においても、発泡体13はグリップ部6内でガタつかないような構成としている。
【0052】
これにより、中空部9内に残存し、打球時に中空部9内を動くバリ屑やカス等の破片は、粘着性材12により粘着捕捉され動かなくなるため、バリ屑やカス等に起因する音鳴りを防止することができる。また、グリップ部6の中空部9内において、重量体14を備えた発泡体13を規定の位置に配置しているため、発泡体13がバネとなり各種振動モードに対応した動吸振器としての機能を有し、面外1次、面外2次、面内等の各種振動の振動減衰性を向上することができる。
【0053】
非常に軽量な発泡体13をグリップ部6の中空部9内に挿入することで、上記のように、音鳴りの防止と振動減衰性の向上を実現しているため、ラケットフレーム2の重量増加を招くことがない上に、ラケットフレーム2の重量バランスを保つことができる。従って、軽量テニスラケットにおいて、テニスラケットの操作性を低下させずに、ラケットフレーム2の中空部9内に残存するバリ屑やカスによる音鳴りを低減すると共に、ラケットフレーム2の各種振動の振動減衰性を向上させることができる。
【0054】
ラケットフレーム2は、以下に示す工程で作成している。
図5に示すように、略平板状のマンドレル30を用意し、それぞれ66ナイロン(厚さ約80μm)からなる内圧チューブ31を被せる。所要のカーボン繊維プリプレグ32を積層後、マンドレル30を抜き出して、鉛直状の積層体からなるレイアップ33を作成する。
【0055】
上記レイアップ33を、グリップ部においてレイアップが接合するように成形用金型34のキャビテイ34aに充填し、ヨークもキャビテイ34aに配置する。金型を型締して、150℃、20分間の加熱を行うと同時に内圧チューブ31内に6〜9kgf/cmの空気圧あるいは窒素圧力を付加し、成形後には内圧チューブ31を引き抜いている。これにより中空部を有するパイプ状のラケットフレームを得ている。その後、ラケットエンドから15cmの位置までのグリップ部内のリブをカットしている。
【0056】
上記実施形態において、発泡体13をグリップ部6の中空部内に配置する際、粘着性材12は、中空部の内周面と接触しない発泡体上の表面全体に取り付けているが、発泡体13の表面の一部あるいは複数個所に分けて取り付けても良く、図6(A)に示すように、粘着性材12’を発泡体13の断面積の片側半分を覆うように取り付けても良いし、図6(B)に示すように、粘着性材12”を発泡体13の断面の中心部に取り付けても良い。
【0057】
また、上記実施形態では、グリップ部6の断面において、グリップ部6を形成する2本のパイプが接合する繊維強化樹脂層の間に存在するリブ11をなくしているが、リブ11をカットせず、図7(A)に示すように、ラケットフレーム2の成形初期の状態であり、グリップ部6においてリブ11により2分されている2つの中空部9a、9bの両方に、それぞれ発泡体23A、23Bを配置することもできる。具体的には、2つの中空部9a、9bを2つの発泡体23A、23Bでそれぞれ閉鎖し、図7(B)に示すように、発泡体23A、23Bの表面全体に粘着性材22を取り付けても良いし、図7(C)に示すように、2つの発泡体23A、23Bの断面において、その中心線付近に粘着性材22’を取り付けても良い。なお、発泡体23A、23Bは、配置時にグリップ部6の中空部9a、9bの内周面と接触する発泡体23A、23Bの外周面に、予め発泡体固定用の粘着性材25を取り付けておき、発泡体23A、23Bをグリップ内の配置位置まで挿入し、配置位置において粘着性材25によりグリップ部6と固定している。
【0058】
発泡体とグリップ部との固定は、上記第1実施形態のピン以外に、以下の方法が挙げられる。発泡体とグリップ部の中空部の内周面との接触面に、予め発泡体固定用の粘着性材を取り付けておき、中空部の開口から発泡体をグリップ部内へ挿入することにより発泡体とグリップ部とを固定することができる。この場合、発泡体固定用の粘着性材の引き剥がし粘着力は発泡体を挿入可能で、かつ挿入後の充分な固定が得られる程度であることが好ましい。なお、発泡体配置位置における、グリップ部の中空部の内周面側に予め発泡体固定用の粘着性材を取り付けておいてもよい。
また、粘着性材は、両面テープ以外に、スプレー、ハケ等による直接塗布、ディッピング等により発泡体に塗りつけることもできる。なお、グリップ部及び中空部の形状、発泡体及び重量体の個数、形状、配置位置は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0059】
以下、本発明のテニスラケットの実施例1〜11及び比較例1、2について詳述する。
【0060】
実施例及び比較例のテニスラケットは、下記の手順で作製した。
66ナイロン製チューブに直径14mmのマンドレルを通し、ナイロンチューブの上からエポキシ樹脂含浸カーボン繊維プリプレグを積層して積層体を得た。この積層体と、ヨーク部材をラケットフレームキャビティを備えた金型に配置し、ヨークとの連結部にはCFプリプレグを巻き付けて補強した。この状態で型締めをして150℃で40分間加熱して加熱加圧成形により成形体を得た。なお、ヨークは、エポキシ樹脂含浸カーボン繊維プリプレグをポリスチレン樹脂に巻き付けて同時に成形し、ラケットフレームを作製した。
【0061】
上記方法により作製したラケットフレームのグリップ部において、グリップ部の断面を2分するリブが厚み方向に延在するが、本実施例、比較例のラケットフレームは、グリップエンドから15cmまでは、リブが無いように、積層リブをカットしてリブが無い状態とした。
【0062】
グリップ部内に配置する発泡体はポリウレタン製の市販品(スポンジタワシ、キクロン(株)製、比重0.024)を、グリップ部のリブがない状態での断面形状に合わせ、各実施例、比較例に応じた厚み毎にカットした。発泡体には、その厚み方向の中心で、かつグリップ部断面の中心に、平板状の鉛を挟み込んで重量体として装着させた。
【0063】
粘着性材として、日東電工製両面テープ(アクリル系粘着剤 MC−2030)を用いた。粘着性材の引き剥がし粘着力は37g/cmとし、粘着性材は、中空部の内周面と接触しない発泡体上の表面全体に取り付けた。発泡体とグリップ部とは、ピンにより固定した。
【0064】
実施例、比較例ともに全て、ラケット形状、長さ、打球面の面積は同一とし、全長を27.5インチ、フレーム最大厚みを26mm、フレーム最大幅を14mm、打球面の面積を102平方インチとした。発泡体、重量体、ラケットフレーム重量、フレームバランス(グリップ端からバランスポイントまでの距離)を、それぞれ下記の表1の通り設定した。
【0065】
【表1】
Figure 0004575624
【0066】
(実施例1〜実施例11)
実施例1〜4では、発泡体の配置位置(ラケットエンドから2cm)と厚み(2mm)を一定とする一方、発泡体に装着させた重量体の重量を0g〜6gの範囲で適宜設定(0g、2g、4g、6g)した。
実施例2、5、6、7、8では、重量体2gを装着した、厚み2mmの発泡体の配置位置についてラケットエンドからの距離を0.6cm〜13cmの範囲で適宜設定(0.6cm、2cm、5cm、9cm、13cm)した。
実施例2、9、10、11では、発泡体の配置位置(ラケットエンドから2cm)と重量体の重量(2g)を一定とする一方、発泡体の厚みを0mm〜13mmの範囲で適宜設定(2mm、5mm、9mm、13mm)した。
【0067】
(比較例1)
グリップ部の中空部内に発泡体を配置しなかった。
【0068】
(比較例2)
グリップ部の中空部内にポリウレタン製の発泡体に代わり、発泡体でないPP樹脂からなる樹脂成形体を配置した。
【0069】
上記実施例1〜11及び、比較例1、2のテニスラケットについて、それぞれ、スイング方向慣性モーメント(グリップ端を支点とする打球面外への慣性モーメント)、面外1次、面外2次、面内の各振動の減衰率の測定を行った。また、実打評価、音鳴り評価を行った。上記各項目値は後述する方法により測定し、結果は上記表1の通りとなった。
【0070】
(慣性モーメント測定)
図8に示すように、上記ラケットフレームに所要の付属部品を取り付け、実施例及び比較例の各テニスラケットTRを慣性モーメント測定器で、テニスラケットTRのグリップを上端として吊り下げ、スイング周期Tsを測定した。下記の数式により、テニスラケットの操作性の指標となる、グリップ端を支点とする打球面外へのスイング方向の慣性モーメントの値Isを計算した。
グリップ端を支点とする打球面外へのスイング方向:Is[g・cm
Is=M×g×h(Ts/2/π)
なお、ここで回転の中心はプレーヤーの握り手に対してラケットが回転しようとする点を意味する。Mはラケットの重量、gは重力、hは回転中心から重心までの距離である。
【0071】
(面外1次振動減衰率の測定)
図9(A)に示すように、各実施例及び比較例のテニスラケットにおいてヘッド部3の上端を紐51で吊り下げ、ヘッド部3とスロート部4との一方の連続点に加速度ピックアップ計53をフレーム面に垂直に固定した。この状態で、図9(B)に示すように、ヘッド部3とスロート部4の他方の連続点をインパクトハンマー55で加振した。インパクトハンマー55に取り付けられたフォースピックアップ計で計測した入力振動(F)と加速度ピックアップ計53で計測した応答振動(α)をアンプ56A、56Bを介して周波数解析装置57(ヒューレットパッカード社製、ダイナミックシングルアナライザーHP3562A)に入力して解析した。解析で得た周波数領域での伝達関数を求め、テニスラケットの振動数を得た。振動減衰比(ζ)は下式より求め、面外1次振動減衰率とした。測定は、各実施例および比較例毎に、各テニスラケットについて測定した。
【0072】
ζ=(1/2)×(Δω/ωn)
To=Tn/√2
【0073】
(面外2次振動減衰率の測定)
図9(C)に示すように、ヘッド部3の上端を紐51で吊り下げ、スロート部4とシャフト部5との連続点に加速度ピックアップ計53をフレーム面に垂直に固定した。この状態で、加速度ピックアップ計53の裏側のフレームをインパクトハンマー55で加振した。そして、面外1次振動減衰率と同等の方法で減衰率を算出し、面外2次振動減衰率とした。測定は、各実施例および比較例毎に、各テニスラケットについて測定した。
【0074】
(面内2次振動減衰率の測定)
図9(D)に示すようにテニスラケットを下向きとし、シャフト部5とスロート部4との合流点を紐51で吊り下げ、ヘッド部3の最大幅位置の一側に加速度ピックアップ計53をフレーム面(打球面)に平行となるように固定した。この状態で、スロート部4をインパクトハンマー55で加振した。そして、面外1次振動減衰率と同等の方法で減衰率を算出し、面内2次振動減衰率とした。測定は、各実施例および比較例毎に、各テニスラケットについて測定した。
【0075】
(実打評価)
テニスラケットの打球時の振動・衝撃についてアンケート調査を行った。高得点ほど衝撃・振動および不快感が少なく、5点法(5点満点)で評価した。評価は、中・上級プレーヤー(テニス歴10年以上、現在も週3日以上プレーする条件を満たす女性)45名の採点結果の平均値をとった。
【0076】
(音鳴りテスト)
ラケットフレーム内に、少量のFRP(繊維強化樹脂)の破片を入れ、テニスラケットを振った時の音鳴りを確認した。音鳴りがないものを「○」、音鳴りが発生したものを「×」とした。
【0077】
測定データの対比のため、実施例1、比較例1、2のデータのみピックアップし、下記の表2に記載する。
【0078】
【表2】
Figure 0004575624
【0079】
表2に示すように、発泡体を有した実施例1は、発泡体のない比較例1と比べ、発泡体自身が非常に軽いため、重量/バランスに影響なく、発泡体の共振効果で振動減衰率も向上しており、実打テストにおいてもその効果が確認できた。また、音鳴り評価においても、破片が粘着性材に付着していることを確認でき、明らかに不快な音鳴りがしないことが確認できた。
【0080】
比較例2は、発泡体の代わりにPP樹脂(発泡なし)材を削った材料に粘着性材装着したが、発泡体でないため重量体を装着しても共振効果が得られないばかりか、PP樹脂材料自体に重量があるため、重量の増加になり、テニスラケットの軽量化に反することとなる。また、バランスが大幅に小さくなることにより、スイング方向の慣性モーメントが小さくなり、飛び性能も悪くなる。従って、グリップ部内に装着するのは、発泡させた材料が適していることが確認できた。
【0081】
測定データの対比のため、実施例1〜4のデータのみピックアップし、下記の表3に記載する。実施例1〜4では、この発泡体に重量体の重量を0g〜6gの範囲で適宜設定した。
【0082】
【表3】
Figure 0004575624
【0083】
表3に示すように、重量体の重量を増加させるにつれて、各振動減衰率は全体的に向上し、実打テストも良好であった。しかし、実施例3(重量体4g)と実施例4(重量体6g)とを比較すると、実施例4も振動減衰性、実打評価に優れているものの、実施例3の方が全体として振動減衰率が高い。また、実施例4の方がバランスが小さくなるものの、当然のことながらラケットフレーム重量が増加することとなる。以上より、装着される重量体の重量は、5g以下が好ましく、好ましくは2g以上4g以下であることが確認できた。
【0084】
測定データの対比のため、実施例2、5、6、7、8、比較例1のデータのみピックアップし、下記の表4に記載する。実施例2、5、6、7、8、比較例1では、重量体2gを装着した発泡体の配置位置についてラケットエンドからの距離を0.6cm〜13cmの範囲で適宜設定した。
【0085】
【表4】
Figure 0004575624
【0086】
表4に示すように、この結果からは、実施例5を除き、発泡体がラケットエンドに近づくほど減衰の効果が大きくなることが確認できた。エンドキャップに接触する位置に発泡体を装着した実施例5においては、発泡体とエンドキャップとの接触により振動が規制されるため、実施例2、6、7よりも減衰効果がやや悪いが、発泡体を装着しない比較例1に比べると良好な減衰効果が確認できた。また、ラケットエンドからの距離が大きく離れる実施例8は、面外1次、面外2次の振動の節に近づくことになり、他の実施例に比べ、減衰効果がやや小さくなった。以上より、装着される発泡体及び重量体は、ラケットエンドからの距離が1cm以上10cm以下の範囲に配置するのが良く、好ましくは2cm以上9cm以下、さらに好ましくは2cm以上5cm以下の範囲が良いことが確認できた。
【0087】
測定データの対比のため、実施例2、9、10、11、比較例1のデータのみピックアップし、下記の表5に記載する。実施例2、9、10、11、比較例1では、発泡体の厚みを0mm〜13mmの範囲で適宜設定した。
【0088】
【表5】
Figure 0004575624
【0089】
表5に示すように、厚みが薄いほど重量体が共振しやすくなるため減衰効果が大きくなることが確認できた。厚みが13mmとなる実施例11では、重量体の振動が規制されてしまうため、他の実施例に比べると減衰効果が少し小さい。また、発泡体が薄すぎると発泡体自身の強度が低下することになり適さない。以上より、発泡体の厚みは1mm以上10mm以下であるのが良く、好ましくは2mm以上9mm以下、さらに好ましくは2mm以上5mm以下が良いことが確認できた。
【0090】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、グリップ部の中空部内に発泡体を有しており、該発泡体において中空部内の空間との境界表面を粘着性材で覆っているため、中空部内に残存し打球時に中空部内を動くバリ屑やカス等の破片は、粘着性材により粘着捕捉され動かなくなり、バリ屑やカス等に起因する音鳴りを防止することができる。
【0091】
また、グリップ部の中空部内において、重量体を備えた発泡体を規定の位置に配置しているため、発泡体がバネとなり各種振動モードに対応した動吸振器としての機能を有し、面外1次、面外2次、面内等の各種振動の振動減衰性を向上することができる。
【0092】
このように、非常に軽量な発泡体をグリップ部の中空部内に挿入することで、上記のように、音鳴りの防止と振動減衰性の向上を実現しているため、ラケットフレームの重量増加を招くことがない上に、ラケットフレームの重量バランスを保つことができる。従って、軽量テニスラケットにおいて、テニスラケットの操作性を低下させずに、ラケットフレームの中空部内に残存するバリ屑やカスによる音鳴りを低減すると共に、ラケットフレームの各種振動の振動減衰性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第一実施形態のテニスラケットを示し、(B)は(A)のB−B線の断面図である。
【図2】(A)(B)粘着性材で覆われた発泡体を示す図である。
【図3】(A)(B)は発泡体内での重量体の装着状態を示す図である。
【図4】(A)(B)はグリップ部と発泡体との固定状況を示す図である。
【図5】テニスラケットの製造方法を示す図である。
【図6】(A)(B)は粘着性材の他の配置形態を示すグリップ部の断面図である。
【図7】(A)はグリップ部の2つの中空部内への発泡体の配置状態を示す図、(B)(C)は2つの中空部内への発泡体の配置状態を示すグリップ部の断面図である。
【図8】スイング方向の慣性モーメントの測定方法を示す図である。
【図9】(A)〜(D)はテニスラケットの振動減衰率の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
1 テニスラケット
2 ラケットフレーム
3 ヘッド部
4 スロート部
5 シャフト部
6 グリップ部
6a ラケットエンド
9 中空部
10 エンドキャップ
11 リブ
12 粘着性材
13 発泡体
14 重量体

Claims (4)

  1. 中空部を有するパイプで、ヘッド部、スロート部、シャフト部、グリップ部を順次構成しているラケットフレームからなるテニスラケットにおいて、
    上記グリップ部の中空部内に、ラケットエンドから0.6cm以上13cm以下の位置に、ラケットフレーム長手方向に対して垂直な断面方向に発泡体を配置し、該発泡体で上記グリップ部内の中空部を断面方向において完全に閉鎖し、閉鎖した空間との境界表面となる前記発泡体の表面を粘着性材で被覆していることを特徴とするテニスラケット。
  2. 上記グリップ部の中空部内に位置するリブがラケットエンドから所要距離まで除去され、該リブの除去部分の中空部を閉鎖するように上記発泡体を配置している請求項1に記載のテニスラケット。
  3. 上記発泡体のラケットフレーム長さ方向の厚みを2mm以上13mm以下としている請求項1または請求項2に記載のテニスラケット。
  4. 上記発泡体内に重量体を装着している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のテニスラケット。
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