JP4575612B2 - 竪形連続焼鈍装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属帯を雰囲気ガス中で連続的に焼鈍する竪形連続焼鈍装置および金属帯の焼鈍方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、冷間圧延を行ったステンレス鋼帯などの金属帯には、加工硬化した素地を軟化させるために焼鈍処理が施される。また金属帯の表面の光沢が重要視される場合には、還元性雰囲気ガス中で光輝焼鈍処理が施される。金属帯の連続雰囲気焼鈍装置に関連する先行技術として、特公平5−14773号公報が開示されている。
【0003】
図6は、特公平5−14773号公報の図1に示される竪形連続焼鈍装置の構成を簡略化して示す系統図である。金属帯1は上向きに通板され、トップロール2で通板方向が下向きに反転される。下向きに反転された金属帯1は、焼鈍炉3で加熱され、さらに複数の冷却装置4で冷却される。冷却装置4では、金属帯1に還元性雰囲気ガス(以後、雰囲気ガスと呼ぶ)が吹付けられ、金属帯1が冷却されるとともに、吹付けられた雰囲気ガスが金属帯1から熱を奪って加熱される。加熱された雰囲気ガスは、高温送風機5によって回収され、トップロール2の下方で、かつ入側シュート8の上部に設けられている予熱装置6に供給される。
予熱装置6では金属帯1に雰囲気ガスが吹付けられ、金属帯が予熱されるとともに、吹付けられた雰囲気ガスが金属帯1に熱を奪われて冷却される。抜熱された雰囲気ガスは、入側シュート8の下部に設けられた低温送風機7によって吸引されて入側シュート8の下部から回収される。これによって、吸引された雰囲気ガスは入側シュート8内を下向きに流れ、上向きに通板される金属帯1と向流接触するので、金属帯1を充分に予熱することができるとともに、金属帯1によってさらに抜熱されて冷却される。低温送風機7によって入側シュート8の下部から吸引された雰囲気ガスは、冷却器9で冷却されて複数の冷却装置4のうちで焼鈍炉3に近い上流側の冷却装置4に戻される。
【0004】
このように、この先行技術では金属帯1が予熱されるので、金属帯1を焼鈍炉3で焼鈍する際に要する加熱用エネルギを削減することができる。また予熱に使用された雰囲気ガスが充分に抜熱されるので、冷却器9の冷却負荷を減少させることができる。さらに抜熱されて温度の低下した雰囲気ガスが冷却器9でさらに冷却された後、冷却装置4で金属帯1に吹付けられるので、金属帯1の板厚が比較的厚い厚ゲージ通板時には金属帯1を効率良く冷却することができる。この先行技術にはこのような利点がある反面、比較的板厚が薄い薄ゲージ通板時には、入側シュート8の下部から吸引される雰囲気ガスの温度が低いので、冷却器9を休止しても冷却装置4で金属帯1に吹付けられる雰囲気ガスの冷却能が過大となり、金属帯1が急冷されて金属帯1にしわが発生しやすいという問題がある。
【0005】
しわの発生は、金属帯1にとって致命的な欠陥であるので、薄ゲージ通板時には、予熱経路を閉じて予熱を行わないで、すなわち予熱に使用された温度の低下した雰囲気ガスを金属帯1に吹付けないで通板する必要がある。このように、予熱経路を閉じて通板すれば、緩冷却を行うことが可能となり、しわの発生を防止することができるけれども、薄ゲージ通板から厚ゲージ通板に切換える場合、滞留ガスによるテンパカラーが発生しやすくなるという新たな問題が生じる。
【0006】
この滞留ガスによるテンパカラーの発生防止および緩冷却に関連する先行技術として特開平11−236623号公報が開示されている。この先行技術には、金属帯の予熱および冷却を行う循環経路と、金属帯の冷却に使用された雰囲気ガスを冷却帯から回収し、昇温させて冷却帯に戻すための昇温経路と、前記循環経路と前記昇温経路とを金属帯の板厚に応じて切換えて使用する切換弁群とを含む連続還元性雰囲気焼鈍装置の構成が記載されている。この先行技術では、雰囲気ガスの滞留が生じないので、滞留ガスによるテンパカラーの発生を防止することが可能であり、かつ昇温経路が設けられるので、薄ゲージ通板時に緩冷却を行うことができる。この先行技術にはこのような利点がある反面、昇温経路および切換弁群などを設ける必要があり、構成が複雑になるという問題がある。
【0007】
また前記2つの先行技術には、ともにトップロールにゴム被覆ロールを使用する場合、金属帯の予熱温度がゴムの耐熱温度によって制限されるので、予熱温度を充分に高めることができないという問題がある。すなわち、予熱温度の上昇による加熱用エネルギーの削減を充分に図ることができないという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単な構成で確実に、金属帯の予熱温度を高めて省エネルギーを図ることが可能であり、かつ金属帯の板厚が薄い場合でも緩冷却を行ってしわの発生を防止することができる竪形連続焼鈍装置および金属帯の焼鈍方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属帯を上向きに通板させる入側シュートに設けられ、金属帯に雰囲気ガスを吹付けて予熱する予熱帯と、入側シュートの頂部で反転されて下向きに通板される金属帯に対して焼鈍のための加熱を行う加熱帯と、加熱帯の下方に設けられ、焼鈍された金属帯に雰囲気ガスを吹付けて冷却する冷却帯とを備える竪形連続焼鈍装置において、
予熱帯および冷却帯の上方に設けられ、金属帯の通板方向を上向きから下向きに反転させる高耐熱性材料から成るトップロールと、
予熱帯に設けられ、焼鈍された金属帯の冷却に使用された雰囲気ガスを金属帯に吹付ける予熱ノズル手段と、
冷却帯に設けられ、金属帯の予熱に使用された雰囲気ガスを焼鈍された金属帯に吹付ける冷却ノズル手段と、
金属帯の予熱に使用された雰囲気ガスを吸引して冷却ノズル手段に流量調整可能に供給する冷却用雰囲気ガス供給手段であって、雰囲気ガスの吸引口が予熱ノズル手段の近傍に設けられ、前記予熱ノズル手段と前記雰囲気ガスの吸引口とを接続するバイパス経路を有する冷却用雰囲気ガス供給手段と、
冷却用雰囲気ガス供給手段の雰囲気ガス吸引口と、予熱ノズル手段との間に設けられ、金属帯の予熱に使用された雰囲気ガスを通過させて冷却するクーラと、クーラを通過する雰囲気ガスの流量を調整可能なシャッタとを有する雰囲気ガス冷却手段と、
焼鈍された金属帯の冷却に使用された雰囲気ガスを吸引して予熱ノズル手段に流量調整可能に供給する予熱用雰囲気ガス供給手段であって、雰囲気ガスの吸引口が冷却ノズル手段の近傍に設けられる予熱用雰囲気ガス供給手段とを含むことを特徴とする竪形連続焼鈍装置である。
【0010】
本発明に従えば、雰囲気ガスは冷却帯で冷却ノズル手段から焼鈍された金属帯に吹付けられて、金属帯を冷却するとともに、金属帯から熱を奪って加熱される。金属帯の冷却に使用されて加熱された雰囲気ガスは、予熱用雰囲気ガス供給手段によって冷却ノズル手段の近傍に設けられた雰囲気ガスの吸引口を介して吸引され、予熱ノズル手段に供給される。予熱ノズル手段に供給された雰囲気ガスは、予熱帯で予熱ノズル手段から金属帯に吹付けられて金属帯を予熱するとともに金属帯に熱を奪われて冷却される。金属帯の予熱に使用されて温度の低下した雰囲気ガスは、雰囲気ガス冷却手段のクーラによって冷却され、シャッタによって流量調整された後、冷却用雰囲気ガス供給手段によって予熱ノズル手段の近傍に設けられた雰囲気ガスの吸引口を介して吸引され、冷却ノズル手段に供給される。
【0011】
予熱用および冷却用雰囲気ガス供給手段の雰囲気ガス吸引口は、予熱および冷却ノズル手段の近傍にそれぞれ設けられているので、金属帯の冷却に使用されて加熱された予熱用雰囲気ガスと、金属帯の予熱に使用された後、さらに雰囲気ガス冷却手段によって冷却されて温度の低下した冷却用雰囲気ガスはその温度をほぼ保った状態で吸引されて予熱および冷却ノズル手段にそれぞれ供給される。これによって、予熱用および冷却用雰囲気ガスは金属帯を効率的に予熱および冷却することができる。また、たとえばバイパス経路を設けて金属帯の予熱に使用された雰囲気ガスが雰囲気ガス冷却手段を通過しないようにすれば、雰囲気ガスの温度低下を金属帯の抜熱分のみに止どめることができるので、雰囲気ガスの温度を比較的高目に保つことが可能となり、金属帯を緩冷却することができる。したがって、板厚の薄い金属帯を通板するときでも、しわの発生を防止することができる。またトップロールが高耐熱性材料から成るので、金属帯の予熱温度を高めることができる。したがって、加熱帯に導入される金属帯の温度を高めることが可能となり、加熱に要するエネルギを削減することができる。
【0012】
また本発明は、トップロールは、耐熱温度180℃以上のゴムから成る被覆層を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、トップロールが耐熱温度の高いゴムから成る被覆層を有するので、金属帯の予熱温度を高めることができるとともに、金属帯の表面光沢の低下を防止することができる。これによって、金属帯の表面光沢を保ったまま加熱エネルギの削減を図ることが可能となる。
【0014】
また本発明は、冷却用および予熱用雰囲気ガス供給手段は遠心送風機を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、雰囲気ガスを吸引方向に対して垂直な方向に吐出する遠心送風機が備えられるので、金属帯の予熱に使用された雰囲気ガスおよび金属帯の冷却に使用された雰囲気ガスを金属帯の幅方向に沿って吸引し、金属帯の板面に対して垂直な方向に吐出することができる。したがって、雰囲気ガスを最短距離で冷却および予熱ノズル手段にそれぞれ供給することが可能となり、冷却用および予熱用雰囲気ガス供給手段の構成をコンパクトにすることができる。
【0016】
また本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の竪形連続焼鈍装置を準備し、金属帯に雰囲気ガスを吹付けて予熱した後、予め定める温度になるように加熱し、引続き雰囲気ガスを吹付けて冷却する金属帯の焼鈍方法であって、
予熱用雰囲気ガス供給手段から供給される予熱用雰囲気ガス流量と、冷却用雰囲気ガス供給手段から供給される冷却用雰囲気ガス流量とが等しくなるように調整されることを特徴とする金属帯の焼鈍方法である。
【0017】
本発明に従えば、予熱用および冷却用雰囲気ガス供給手段の雰囲気ガス流量が同一であるので、予熱用雰囲気ガス供給手段から供給される雰囲気ガス流量が相対的に大きいときに生じる不具合、すなわち雰囲気ガスが入側シュートの頂部を介して加熱帯に流入し、加熱帯の雰囲気温度を低下させる不具合の発生を防止することができる。また冷却用雰囲気ガス供給手段から供給される雰囲気ガス流量が相対的に大きいときに生じる不具合、すなわち雰囲気ガスが加熱帯上部からトップロール室に流入し、トップロール室の温度上昇によるトップロールの焼損事故などの不具合の発生を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である竪形連続焼鈍装置11の構成を簡略化して示す系統図である。この竪形連続焼鈍装置11は、冷間圧延されたステンレス鋼帯などの金属帯13を還元性雰囲気ガス中で連続的に光輝焼鈍を行う装置である。還元性雰囲気ガス(以後、雰囲気ガスと呼ぶ)は、たとえば水素75%、窒素25%から成る。竪形連続焼鈍装置11は、入側シュート14を備える。入側シュート14は、ほぼ鉛直に立設され、焼鈍されるべき金属帯13を上向きに通板させる。入側シュート14の上下方向途中位置には、予熱帯15が設けられており、予熱帯15には、第1および第2予熱ノズル手段17,18が設けられている。第1および第2予熱ノズル手段17,18は、金属帯13の一方および他方表面から間隔をあけて金属帯13を挟んで対向配置されており、金属帯13の一方および他方表面に対してほぼ垂直に雰囲気ガスを吹付けて金属帯13を予熱する。
【0019】
入側シュート14の上部には、第1トップロール室20が設けられており、第1トップロール室20には、金属帯13の通板方向を上向きから水平方向に転換する第1トップロール21が設けられている。第1トップロール室20の近傍には、水平方向に間隔をあけて第2トップロール室23が対向配置されており、第2トップロール室23には、金属帯13の通板方向を水平方向から下向きに転換する第2トップロール24が設けられている。第1および第2トップロール室20,23は、連結室25を介して連結されている。第1および第2トップロール室20,23の側壁の外面には水冷ジャケット26がそれぞれ設けられており、第1トップロール室20の入口および第2トップロール室23の出口にはシャッタ部材27がそれぞれ設けられている。水冷ジャケット26は、第1および第2トップロール室20,23の雰囲気温度の上昇を抑制し、第1および第2トップロール21,24を保護する。シャッタ部材27は、ライン休止時に閉じて炉内雰囲気ガスの循環を防止するとともに、後述する加熱帯29からの輻射熱による第2トップロール24の焼損を防止する。
【0020】
第2トップロール室23の下部には、出側シュート28が接続されている。出側シュート28は、ほぼ鉛直に立設され、金属帯13を下向きに通板させる。出側シュート28には、加熱帯29と、徐冷帯30と、冷却帯31と、強制冷却帯33とが上方から下方に向けてこの順序に配設されている。加熱帯29は、電力ヒータ34を備える。金属帯13は、加熱帯29で電力ヒータ34によって予め定める温度に加熱されて焼鈍される。徐冷帯30は、焼鈍された金属帯13を放冷して金属帯13の温度を緩やかに低下させる。冷却帯31は、第1および第2冷却ノズル手段36,37を備える。第1および第2冷却ノズル手段36,37は、金属帯13の一方および他方表面から間隔をあけて金属帯13を挟んで対向配置されており、金属帯13の一方および他方表面に対してほぼ垂直に雰囲気ガスを吹付けて金属帯13を冷却する。冷却帯31は、予熱帯15とほぼ同一の上下方向位置に設けられている。
【0021】
冷却帯31で金属帯13の冷却に使用された雰囲気ガスは、遠心送風機である第1および第2予熱用遠心ファン(以後、第1および第2予熱用ファンと呼ぶ)39,40によって吸引経路41,42を介してそれぞれ吸引され、第1および第2予熱ダクト43,44を経由して第1および第2予熱ノズル手段17,18にそれぞれ供給される。第1および第2予熱ダクト43,44には、第1および第2予熱風量調整ダンパ45,46がそれぞれ設けられている。第1および第2予熱風量調整ダンパ45,46は第1および第2予熱ノズル手段17,18に供給される雰囲気ガスの流量を調整する。第1および第2予熱用ファン39,40と、吸引経路41,42と、第1および第2予熱ダクト43,44と、第1および第2予熱風量調整ダンパ45,46とは予熱用雰囲気ガス供給手段48を構成する。
【0022】
予熱帯15で金属帯13の予熱に使用された雰囲気ガスは、遠心送風機である第1および第2冷却用遠心ファン(以後、第1および第2冷却用ファンと呼ぶ)50,51によって吸引経路52,53を介して吸引され、第1および第2冷却ダクト54,55を経由して第1および第2冷却ノズル手段36,37にそれぞれ供給される。吸引経路52,53には、第1および第2クーラ56,57がそれぞれ設けられており、第1および第2クーラ56,57には第1および第2シャッタ58,59がそれぞれ設けられている。第1および第2シャッタ58,59は、第1および第2クーラ56,57を通過する雰囲気ガスの流量を調整する。吸引経路52,53には、第1および第2クーラ56,57を通過しないバイパス経路60,61が接続されている。
【0023】
第1および第2冷却ダクト54,55には、第1および第2冷却風量調整ダンパ63,64がそれぞれ設けられている。第1および第2冷却風量調整ダンパ63,64は、第1および第2冷却ノズル手段36,37に供給される雰囲気ガスの流量を調整する。第1および第2冷却用ファン50,51と、吸引経路52,53と、バイパス経路60,61と、第1および第2冷却ダクト54,55と、第1および第2冷却風量調整ダンパ63,64とは冷却用雰囲気ガス供給手段65を構成する。第1および第2クーラ56,57と、第1および第2シャッタ58,59とは雰囲気ガス冷却手段62を構成する。
【0024】
強制冷却帯33は、第1〜第3強制冷却室66,67,68を備える。第1強制冷却室66は、第1および第2強制冷却ノズル手段69,70を備える。第1および第2強制冷却ノズル手段69,70は、金属帯13の一方および他方表面から間隔をあけて金属帯13を挟んで対向配置されており、金属帯13の一方および他方表面に対してほぼ垂直に雰囲気ガスを吹付けて金属帯13を強制冷却する。金属帯13の強制冷却に使用された雰囲気ガスは、強制冷却用遠心ファン71によって吸引経路73およびクーラ74を介して吸引され、冷却ダクト75を経由して第1および第2強制冷却ノズル手段69,70に供給される。このように雰囲気ガスは第1強制冷却室66近辺の限られた領域で自己循環される。第2および第3強制冷却室67,68の構成は、第1強制冷却室66の構成と同一である。
【0025】
入側および出側シュート14,28の下部には、入口シールロール77および出口シールロール78がそれぞれ設けられている。入口および出口シールロール77,78は、金属帯13の導入および導出を行いながら、入側および出側シュート14,28の下部をシールし、入側シュート14、第1トップロール室20、連結室25、第2トップロール室23および出側シュート28の内部空間を還元性雰囲気に保つ。出側シュート28の近傍には、雰囲気ガス供給源80が設けられている。雰囲気ガス供給源80は、前記内部空間内の雰囲気ガスの圧力が大気圧よりもわずかに高くなるように雰囲気ガスを供給し、入口および出口シールロール77,78から前記内部空間内への大気の侵入を防止する。
【0026】
金属帯13は、入口シールロール77を介して入側シュート14内に導入され、上向きに通板されて予熱帯15で予熱される。予熱された金属帯13は、さらに上向きに通板されて第1トップロール室20に導入され、第1トップロール21に巻掛けられて水平方向に通板方向を転換される。水平方向に通板される金属帯13は、連結室25を経て第2トップロール室23に導入され、第2トップロール24に巻掛けられて下向きに通板方向を転換される。下向きに通板される金属帯13は加熱帯29で加熱され、徐冷帯30で徐冷され、冷却帯31で冷却され、強制冷却帯33で強制冷却される。強制冷却された金属帯13は、出口シールロール78を介して出側シュート28から導出される。
【0027】
第1および第2トップロール21,24は、高耐熱性ゴムから成る被覆層を有するロールであり、鋼製ロールにゴムスリーブを外嵌して接着剤で接着することによって製造される。被覆層の高耐熱性ゴムは、耐熱温度:180℃以上,硬さ:70〜95の特性を有することが好ましい。硬さは、日本工業規格K6301に規定される試験方法によって測定される。耐熱温度の下限値が180℃に限定されるのは、下限値未満の耐熱温度では金属帯13の予熱温度を充分に高めることが困難であり、加熱帯29における電力原単位を低減して省エネルギを図ることができないからである。耐熱温度の上限値は、特に限定する必要はないけれども、ゴムとしての制約から実質的に300℃に限定される。硬さの下限値が70に限定されるのは、下限値未満の硬さではゴム被覆層の摩耗速度が速くなり、耐久性が低下するからである。硬さの上限値が95に限定されるのは、上限値を超える硬さのゴムを被覆すると金属帯13にスリップ傷が発生しやすくなるからである。ゴム材質はシリコーンゴムでもよく、フッ素ゴムでもよく、その他の特殊合成ゴムでもよい。
【0028】
図2は、図1に示す第1および第2予熱ノズル手段17,18付近の構成と、第1および第2冷却ノズル手段36,37付近の構成とを対向する位置を上下左右にずらして簡略化して示す斜視図であり、図3は図1に示す予熱帯15および冷却帯31の構成を簡略化して示す正面断面図であり、図4は図3の切断面線IV−IVから見た平面断面図であり、図5は図3の切断面線V−Vから見た平面断面図である。
【0029】
第1および第2予熱ノズル手段17,18は、ノズルヘッダ部材17a,18aと、複数のノズル部材17b,18bとをそれぞれ備える。ノズルヘッダ部材17a,18aは金属帯13の通板方向および幅方向に延在し、複数(本実施の形態では5)のノズル部材17b,18bに雰囲気ガスを分配する。ノズル部材17b,18bは、ノズルヘッダ部材17a,18aに通板方向に間隔をあけて、かつ幅方向に延在して設けられ、ノズル孔から雰囲気ガスを噴射して金属帯13に吹付ける。ノズル部材17bとノズル部材18bとは通板方向に相互にずれた位置に設けられている。
【0030】
第1および第2予熱ノズル手段17,18の上下方向下部で、かつ幅方向一端部(図4および図5の上側)の外方には、短い間隔をあけて第1冷却用ファン50が設けられている。第1冷却用ファン50は、予熱帯15の側壁に設けられ、その吸引口50aは金属帯13、第1および第2予熱ノズル手段17,18の幅方向一端部を臨む位置に開口している。第1および第2予熱ノズル手段17,18の幅方向一端部と、第1冷却用ファン50の吸引口50aとの間の空間は、吸引経路52を形成する。
【0031】
吸引経路52には、第1クーラ56が設けられており、第1クーラ56の第1冷却用ファン50側には第1シャッタ58が近接して設けられている。第1クーラ56は上第1クーラ56aと、下第1クーラ56bとから成る。上および下第1クーラ56a,56bは上下方向に間隔をあけて設けられており、第1冷却用ファン50によって吸引される雰囲気ガスを冷却する。第1シャッタ58は、上第1シャッタ58aと下第1シャッタ58bとから成る。上および下第1シャッタ58a,58bは上および下第1クーラ56a,56bにそれぞれ対応して設けられている。第1シャッタ58は、開度調整可能に構成されており、その開度調整によって第1クーラ56を通過する雰囲気ガスの流量を調整して雰囲気ガスの温度を調整することができる。
【0032】
さらに詳しく述べると、第1シャッタ58を全閉にすれば、すなわち第1クーラ56を通過する雰囲気ガスの流量を零にすれば、雰囲気ガスは上および下第1クーラ56a,56bの上下方向の隙間を通過する。したがって、雰囲気ガスの温度低下は生じない。前記隙間は第1クーラ56を通過しない雰囲気ガスのバイパス経路60(以後、バイパス経路と呼ぶ)を形成する。これに対して、第1シャッタ58を全開にすれば、第1クーラ56の全冷却面とバイパス経路60とを雰囲気ガスが通過するので、雰囲気ガスの温度低下量は最大となる。
【0033】
第1冷却用ファン50の吐出口50bは、第1冷却ダクト54の一端部に接続されている。第1冷却ダクト54はほぼ水平に延在し、その他端部は第1冷却ノズル手段36に接続されている。第1冷却ダクト54の他端部付近は、複数(本実施の形態では5)の経路に仕切られており、仕切られた各経路には第1冷却風量調整ダンパ63がそれぞれ設けられている。各第1冷却風量調整ダンパ63には、ダンパ調整モータ83がそれぞれ取付けられている。各ダンパ調整モータ83によって各第1冷却風量調整ダンパ63を駆動して各経路の開度を調整すれば第1冷却ダクト54を通過する雰囲気ガスの流量を調整することができる。
【0034】
第1および第2予熱ノズル手段17,18の上下方向上部で、かつ幅方向他端部の外方には短い間隔をあけて第2冷却用ファン51が設けられている。第2冷却用ファン51は予熱帯15の側壁に設けられ、その吸引口51aは金属帯13、第1および第2予熱ノズル手段17,18の幅方向他端部を臨む位置に開口している。第1および第2予熱ノズル手段17,18の幅方向他端部と、第2冷却用ファン51の吸引口51aとの間の空間は、吸引経路53を形成する。吸引経路53には、第2クーラ57が設けられており、第2クーラ57の第2冷却用ファン51側には第2シャッタ59が近接して設けられている。第2クーラ57は、第1クーラ56と同様に上第2クーラ57aと下第2クーラ57bとから成り、第2シャッタ59は、第1シャッタ58と同様に上第2シャッタ59aと下第2シャッタ59bとから成る。上および下第2クーラ57a,57bの上下方向の隙間はバイパス経路61を形成する。
【0035】
第2冷却用ファン51の吐出口51bは、第2冷却ダクト55の一端部に接続されている。第2冷却ダクト55はほぼ水平に延在し、その他端部は第2冷却ノズル手段37に接続されている。第2冷却ダクト55の他端部付近は、第1冷却ダクト54の他端部付近と同一の構成を有しており、5つの経路に仕切られている。5つに仕切られた各経路には、第2冷却風量調整ダンパ64がそれぞれ設けられており、各第2冷却風量調整ダンパ64にはダンパ調整モータ84がそれぞれ取付けられている。
【0036】
第1および第2冷却ノズル手段36,37は、第1および第2予熱ノズル手段17,18と同一の構成を有しており、ノズルヘッダ部材36a,37aと、5つのノズル部材36b,37bとをそれぞれ備える。第1および第2冷却ノズル手段36,37の上下方向上部で、かつ幅方向一端部の外方には、短い間隔をあけて第1予熱用ファン39が設けられている。第1予熱用ファン39は冷却帯31の側壁に設けられ、その吸引口39aは金属帯13、第1および第2冷却ノズル手段36,37の幅方向一端部を臨む位置に開口している。第1および第2冷却ノズル手段36,37の幅方向一端部と第1予熱用ファン39の吸引口39aとの間の空間は、吸引経路41を形成する。
【0037】
第1予熱用ファン39の吐出口39bは第1予熱ダクト43の一端部に接続されている。第1予熱ダクト43はほぼ水平に延在し、その他端部は第1予熱ノズル手段17のノズルヘッダ部材17aに接続されている。第1予熱ダクト43の他端部付近は5つの経路に仕切られており、各経路には第1予熱風量調整ダンパ45がそれぞれ設けられており、各第1予熱風量調整ダンパ45にはレバー86が取付けられている。レバー86によって手動で各第1予熱風量調整ダンパ45を駆動して各経路の開度を調整すれば第1予熱ダクト43を通過する雰囲気ガスの流量を調整することができる。
【0038】
第1および第2冷却ノズル手段36,37の上下方向下部で、かつ幅方向他端部の外方には、短い間隔をあけて第2予熱用ファン40が設けられている。第2予熱用ファン40は冷却帯31の側壁に設けられ、その吸引口40aは金属帯13、第1および第2冷却ノズル手段36,37の幅方向他端部を臨む位置に開口している。第1および第2冷却ノズル手段36,37の幅方向他端部と、第2予熱用ファン40の吸引口40aとの間の空間は、吸引経路42を形成する。第2予熱用ファン40の吐出口40bは第2予熱ダクト44の一端部に接続されている。第2予熱ダクト44は、ほぼ水平に延在し、その他端部は第2予熱ノズル手段18のノズルヘッダ部材18aに接続されている。第2予熱ダクト44の他端部付近は、第1予熱ダクト43の他端部付近と同一の構成を有しており、5つの経路に仕切られている。5つに仕切られた各経路には、第2予熱風量調整ダンパ46がそれぞれ設けられており、各第2予熱風量調整ダンパ46にはレバー87が取付けられている。
【0039】
第1および第2冷却ノズル手段36,37から噴射された雰囲気ガスは焼鈍された金属帯13に吹付けられて金属帯13を冷却するとともに、焼鈍された金属帯13から奪った熱によって加熱される。この金属帯13の冷却に使用されて温度の高くなった雰囲気ガスは第1および第2予熱用ファン39,40によって吸引され、第1および第2予熱ダクト43,44を介して第1および第2予熱ノズル手段17,18に供給される。
【0040】
第1および第2予熱ノズル手段17,18に供給された雰囲気ガスは、ノズル部材17b,18bから噴射されて金属帯13に吹付けられる。金属帯13に吹付けられた雰囲気ガスは、金属帯13を予熱するとともに金属帯13によって熱を奪われて冷却される。この金属帯13の予熱に使用されて温度の低下した雰囲気ガスは第1および第2冷却用ファン50,51によって吸引され、第1および第2クーラ56,57によってさらに冷却されて第1および第2冷却ダクト54,55を介して第1および第2冷却ノズル手段36,37に供給される。予熱帯15および冷却帯31において金属帯13に吹付けられる雰囲気ガスの流量は、第1および第2予熱風量調整ダンパ45,46と、第1および第2冷却風量調整ダンパ63,64とによって調整される。また冷却帯31において金属帯13に吹付けられる雰囲気ガスの温度は第1および第2シャッタ58,59によって調整される。
【0041】
このように、雰囲気ガスの流量および温度を調整することができるので、金属帯13の予熱および冷却を効率的に行うことができる。また前述のように第1および第2冷却用ファン50,51の吸引口50a,51aが第1および第2予熱ノズル手段17,18の近傍に開口しているので、第1および第2クーラ56,57の第1および第2シャッタ58,59を全閉にすれば金属帯13の予熱に使用されて温度の低下した雰囲気ガスをそれ以上の温度低下が生じないうちに吸引することができる。これによって、第1および第2冷却ノズル手段36,37に供給される雰囲気ガスの温度を比較的高目に維持することができる。したがって、金属帯13の板厚が薄いときでも、緩冷却を行うことが可能となり、金属帯13のしわの発生を防止することができる。
【0042】
また同様に第1および第2予熱用ファン39,40の吸引口39a,40aが第1および第2冷却ノズル手段36,37の近傍に開口しているので、焼鈍された金属帯の冷却に使用されて温度の上昇した雰囲気ガスを温度低下が生じないうちに吸引することができる。これによって、第1および第2予熱ノズル手段17,18に供給される雰囲気ガスの温度を高目に維持することができるので、金属帯13の予熱を効率的に行うことができる。
【0043】
また予熱帯15および冷却帯31の上下方向高さがほぼ同一であり、かつ第1および第2予熱ダクト43,44と第1および第2冷却ダクト54,55とがほぼ水平に延在しており、さらに雰囲気ガスが遠心ファンによって金属帯3の幅方向に沿って吸引され、吸引方向に垂直な方向に吐出されるので、雰囲気ガスを最短距離で供給することが可能となり、ダクト長を最短にすることができる。これによって、雰囲気ガスの輸送中の温度低下を低減することが可能となり、前述のような保温効果をさらに高めることができるとともに、構成のコンパクト化を図ることが可能となる。また前述のように予熱帯15に第1および第2冷却用ファン50,51と、第1および第2クーラ56,57とが設けられ、冷却帯31に第1および第2予熱用ファン39,40が設けられているので、構成のコンパクト化をさらに図ることができる。
【0044】
また第1および第2トップロール21,24が高耐熱性ゴムから成る被覆層を有するので、金属帯13の予熱温度を高めることが可能となる。これによって、加熱帯29の電力ヒータ34の電力原単位を低減することができる。また金属帯13の表面光沢の低下を防止することができる。
【0045】
次に竪形連続焼鈍装置11における金属帯13の焼鈍方法について説明する。
冷間圧延された状態の金属帯13は竪形連続焼鈍装置11に導入され、予熱帯15で予熱される。前述のように第1および第2トップロール21,24は高耐熱性ゴムから成る被覆層を有するので、金属帯13の予熱温度を従来よりも高目に設定することができる。また第1および第2トップロール21,24の水冷ジャケット26の冷却能力を低減することができる。予熱された金属帯13は、加熱帯29で予め定める焼鈍温度になるように加熱され、引続き徐冷帯30、冷却帯31および強制冷却帯33で順次冷却されて焼鈍される。
【0046】
予熱帯15では、冷却帯31において金属帯13の冷却に使用された雰囲気ガス、すなわち焼鈍された高温の金属帯13から熱を奪って温度が高くなった雰囲気ガスが前述のようにそれ以上の温度低下が生じないように第1および第2予熱用ファン39,40によって金属帯13に吹付けられる。これによって、金属帯13は効率的に予熱される。冷却帯31では、予熱帯15において金属帯13の冷却に使用された雰囲気ガス、すなわち金属帯13によって熱を奪われて温度が低下した雰囲気ガスがさらに第1および第2クーラ56,57で冷却された後、第1および第2冷却用ファン50,51によって吸引および輸送されて金属帯13に吹付けられる。これによって、金属帯13は効率的に冷却される。
【0047】
また金属帯13の板厚が薄くて冷却帯31で緩冷却を行う必要があるときは、前述のように第1および第2クーラ56,57の第1および第2シャッタ58,59を全閉にすれば金属帯13の予熱に使用された雰囲気ガスの温度がそれ以上低下しないように第1および第2冷却用ファン50,51によって吸引および輸送されて金属帯13に吹付けられる。これによって金属帯13が緩冷却され、しわの発生を防止することが可能となる。
【0048】
前述のように予熱帯15において、第1および第2予熱ノズル手段17,18から金属帯13に吹付けられる雰囲気ガスの流量、すなわち予熱用雰囲気ガス供給手段48から供給される予熱用雰囲気ガス流量は、第1および第2予熱風量調整ダンパ45,46によって調整される。冷却帯31において、第1および第2冷却ノズル手段36,37から金属帯13に吹付けられる雰囲気ガスの流量、すなわち冷却用雰囲気ガス供給手段65から供給される冷却用雰囲気ガス流量は第1および第2冷却風量調整ダンパ63,64によって調整される。
【0049】
本実施の形態では、予熱用雰囲気ガス流量と冷却用雰囲気ガス流量とは等しくなるように調整される。これによって、予熱帯15および冷却帯31において金属帯13に吹付けられる雰囲気ガス流量と吸引される雰囲気ガス流量とが等しくなるので、予熱帯15および冷却帯31から周囲への雰囲気ガスの流出が防止されるとともに周囲から予熱帯13および冷却帯31への雰囲気ガスの流入が防止される。したがって、予熱用雰囲気ガス流量が冷却用雰囲気ガス流量よりも大きいときに生じる不具合、すなわち金属帯13の予熱に使用された温度の低下した雰囲気ガスが入側シュート14、第1トップロール室20、連結室25および第2トップロール室23を経由して加熱帯29内に流入して加熱帯29の雰囲気温度を低下させる不具合の発生を防止することができる。また冷却用雰囲気ガス流量が予熱用雰囲気ガス流量よりも大きいときに生じる不具合、すなわち雰囲気ガスが加熱帯29の上部から第2トップロール室23に流入し、第2トップロール室23の温度上昇による第2トップロール24の焼損事故などの不具合の発生を防止することができる。
【0050】
このように、本実施の形態の金属帯13の焼鈍方法によれば、予熱温度を高めることができるので、金属帯13の加熱に要する電力原単位を低減することが可能となる。また冷却帯31において、金属帯13に吹付けられる雰囲気ガスの温度を調整することが可能であるので、金属帯13の板厚が薄いときでもしわの発生を防止することができる。また予熱用および冷却用雰囲気ガス流量が等しくなるように調整されるので、加熱帯29の雰囲気温度の低下および入側シュート14内への大気の侵入を防止することができる。
【0051】
(実施例1)
本発明の処理条件でSUS304から成るステンレス冷間圧延鋼帯を焼鈍処理した実施例1と、本発明から外れた処理条件でSUS304から成るステンレス冷間圧延鋼帯を焼鈍処理した比較例1とについて加熱用電力原単位を求めて比較した。ステンレス冷間圧延鋼帯の寸法は、実施例1および比較例1とも板厚:1.15mm、板幅:1252mmに設定した。焼鈍処理は、実施例1および比較例1とも竪形連続焼鈍装置11において実施した。実施例1および比較例1における第1および第2トップロール21,24のゴム被覆層の耐熱温度は、180℃,160℃にそれぞれ設定した。実施例1および比較例1の処理条件と、ステンレス冷間圧延鋼帯の予熱温度と、加熱用電力の低減率とを表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0004575612
【0053】
実施例1の処理条件で第1および第2シャッタ58,59の開度が50%に設定されているのは、50%未満のシャッタ開度では予熱能力が過大となり、ステンレス冷間圧延鋼帯の予熱温度がゴム被覆層の耐熱温度を超える恐れがあるからである。比較例1の処理条件で、第1および第2シャッタ58,59の開度が100%に設定されているのは、予熱能力を最低にしてステンレス冷間圧延鋼帯の予熱温度がゴム被覆層の耐熱温度を超えないようにするためであり、予熱用雰囲気ガス流量が冷却用雰囲気ガス流量よりも大きくなるように設定されているのは、過剰な予熱用雰囲気ガスによって第1および第2トップロール21,24を冷却して保護するためである。加熱用電力の低減率は、実施例1および比較例1の電力原単位の差を求め、前記求めた差の比較例1の電力原単位に対する割合によって表した。表1から、実施例1は比較例1に比べてステンレス冷間圧延鋼帯の予熱温度が高くなり、加熱用電力原単位を10%低減できることが判る。
【0054】
(実施例2)
本発明の処理条件でSUS430から成るステンレス冷間圧延鋼帯を焼鈍処理した実施例2と、本発明から外れた処理条件でSUS430から成るステンレス冷間圧延鋼帯を焼鈍処理した比較例2とについて加熱用電力原単位を求めて比較した。ステンレス冷間圧延鋼帯の寸法は、実施例2および比較例2とも板厚:0.95mm、板幅:1030mmに設定した。焼鈍処理は、実施例2および比較例2とも竪形連続焼鈍装置11において実施した。実施例2および比較例2における第1および第2トップロール21,24のゴム被覆層の耐熱温度は、180℃,160℃にそれぞれ設定した。実施例2および比較例2の処理条件と、ステンレス冷間圧延鋼帯の予熱温度と、加熱用電力の低減率とを表2に示す。
【0055】
【表2】
Figure 0004575612
【0056】
実施例2の処理条件で第1および第2シャッタ58,59の開度が0%、すなわち全閉に設定されているのは、予熱能力を最大にして予熱温度を高めるためである。実施例2のその他の処理条件および比較例2の処理条件は、表1の実施例1および比較例1と同一である。表2から、実施例2は比較例2に比べてステンレス冷間圧延鋼帯の予熱温度が高くなり、加熱用電力原単位を7.6%低減できることが判る。
【0057】
以上述べたように本実施の形態では第1および第2トップロール21,24は耐熱温度:180℃以上のゴムから成る被覆層を有するように構成されているけれども、金属帯の表面光沢などの表面性状に対する要求があまり厳しくない場合には、ゴム被覆層を有さない他の高耐熱性材料、たとえば耐熱鋼から成るトップロールを用いるように構成してもよい。また冷却用および予熱用雰囲気ガスは遠心送風機である遠心ファンによって吸引および輸送されているけれども、他の型式の送風機を用いるように構成してもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の本発明によれば、トップロールが高耐熱性材料から成るので、金属帯の予熱温度を高めることができる。したがって、加熱帯に導入される金属帯の温度を高めることが可能となり、加熱に要するエネルギを削減することができる。また金属帯を緩冷却することができるので板厚の薄い金属帯を通板するときでも、しわの発生を防止することができる。
【0059】
また請求項2記載の本発明によれば、トップロールが耐熱温度の高いゴムから成る被覆層を有するので、金属帯の予熱温度を高めることができるとともに、金属帯の表面光沢の低下を防止することができる。これによって、金属帯の表面光沢を保つための加熱エネルギの削減を図ることが可能となる。
【0060】
また請求項3記載の本発明によれば、雰囲気ガスを吸引方向に対して垂直な方向に吐出する遠心送風機が備えられるので、雰囲気ガスの輸送距離を短くすることができる。これによって冷却用および予熱用雰囲気ガス供給手段の構成をコンパクトにすることができる。
【0061】
また請求項4記載の本発明によれば、予熱用および冷却用雰囲気ガス供給手段の雰囲気ガス流量が同一であるので、雰囲気ガスが入側シュートの頂部を介して加熱帯に流入して加熱帯の雰囲気温度を低下させる不具合の発生を防止することができる。またトップロール焼損などの不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である竪形連続焼鈍装置11の構成を簡略化して示す系統図である。
【図2】図1に示す第1および第2予熱ノズル手段17,18付近の構成と、第1および第2冷却ノズル手段36,37付近の構成とを対向する位置を上下左右にずらして簡略化して示す斜視図である。
【図3】図1に示す予熱帯15および冷却帯31の構成を簡略化して示す正面断面図である。
【図4】図3の切断面線IV−IVから見た平面断面図である。
【図5】図3の切断面線V−Vから見た平面断面図である。
【図6】特公平5−14773号公報の図1に示される竪形連続焼鈍装置の構成を簡略化して示す系統図である。
【符号の説明】
11 竪形連続焼鈍装置
13 金属帯
14 入側シュート
15 予熱帯
17 第1予熱ノズル手段
18 第2予熱ノズル手段
29 加熱帯
30 徐冷帯
31 冷却帯
33 強制冷却帯
36 第1冷却ノズル手段
37 第2冷却ノズル手段
39 第1予熱用ファン
40 第2予熱用ファン
48 予熱用雰囲気ガス供給手段
50 第1冷却用ファン
52 第2冷却用ファン
56 第1クーラ
57 第2クーラ
62 雰囲気ガス冷却手段
65 冷却用雰囲気ガス供給手段

Claims (4)

  1. 金属帯を上向きに通板させる入側シュートに設けられ、金属帯に雰囲気ガスを吹付けて予熱する予熱帯と、入側シュートの頂部で反転されて下向きに通板される金属帯に対して焼鈍のための加熱を行う加熱帯と、加熱帯の下方に設けられ、焼鈍された金属帯に雰囲気ガスを吹付けて冷却する冷却帯とを備える竪形連続焼鈍装置において、
    予熱帯および冷却帯の上方に設けられ、金属帯の通板方向を上向きから下向きに反転させる高耐熱性材料から成るトップロールと、
    予熱帯に設けられ、焼鈍された金属帯の冷却に使用された雰囲気ガスを金属帯に吹付ける予熱ノズル手段と、
    冷却帯に設けられ、金属帯の予熱に使用された雰囲気ガスを焼鈍された金属帯に吹付ける冷却ノズル手段と、
    金属帯の予熱に使用された雰囲気ガスを吸引して冷却ノズル手段に流量調整可能に供給する冷却用雰囲気ガス供給手段であって、雰囲気ガスの吸引口が予熱ノズル手段の近傍に設けられ、前記予熱ノズル手段と前記雰囲気ガスの吸引口とを接続するバイパス経路を有する冷却用雰囲気ガス供給手段と、
    冷却用雰囲気ガス供給手段の雰囲気ガス吸引口と、予熱ノズル手段との間に設けられ、金属帯の予熱に使用された雰囲気ガスを通過させて冷却するクーラと、クーラを通過する雰囲気ガスの流量を調整可能なシャッタとを有する雰囲気ガス冷却手段と、
    焼鈍された金属帯の冷却に使用された雰囲気ガスを吸引して予熱ノズル手段に流量調整可能に供給する予熱用雰囲気ガス供給手段であって、雰囲気ガスの吸引口が冷却ノズル手段の近傍に設けられる予熱用雰囲気ガス供給手段とを含むことを特徴とする竪形連続焼鈍装置。
  2. トップロールは、耐熱温度180℃以上のゴムから成る被覆層を有することを特徴とする請求項1記載の竪形連続焼鈍装置。
  3. 冷却用および予熱用雰囲気ガス供給手段は遠心送風機を備えることを特徴とする請求項1または2記載の竪形連続焼鈍装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の竪形連続焼鈍装置を準備し、金属帯に雰囲気ガスを吹付けて予熱した後、予め定める温度になるように加熱し、引続き雰囲気ガスを吹付けて冷却する金属帯の焼鈍方法であって、
    予熱用雰囲気ガス供給手段から供給される予熱用雰囲気ガス流量と、冷却用雰囲気ガス供給手段から供給される冷却用雰囲気ガス流量とが等しくなるように調整されることを特徴とする金属帯の焼鈍方法。
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