JP2002285235A - 竪形連続焼鈍装置 - Google Patents

竪形連続焼鈍装置

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JP2002285235A
JP2002285235A JP2001092205A JP2001092205A JP2002285235A JP 2002285235 A JP2002285235 A JP 2002285235A JP 2001092205 A JP2001092205 A JP 2001092205A JP 2001092205 A JP2001092205 A JP 2001092205A JP 2002285235 A JP2002285235 A JP 2002285235A
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preheating
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属帯の予熱温度を高めることが可能であ
り、かつ薄ゲージ通板時のしわの発生を防止することが
可能な竪形連続焼鈍装置を提供する。 【解決手段】 高耐熱性ゴムから成る被覆層を有する第
1および第2トップロール21,24を設け、焼鈍され
た金属帯13の冷却に使用された雰囲気ガスを吸引して
第1および第2予熱ノズル手段17,18に供給する第
1および第2予熱用ファン39,40を、その雰囲気ガ
ス吸引口が第1および第2冷却ノズル手段36,37の
近傍になるように設け、金属帯13の予熱に使用された
雰囲気ガスを吸引して各冷却ノズル手段36,37に供
給する第1および第2冷却用ファン50,51をその雰
囲気ガス吸引口が各予熱ノズル手段17,18の近傍に
なるように設け、各冷却用ファン50,51の雰囲気ガ
ス吸引口と各予熱ノズル手段17,18との間に第1お
よび第2クーラ56,57を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属帯を雰囲気ガ
ス中で連続的に焼鈍する竪形連続焼鈍装置および金属帯
の焼鈍方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、冷間圧延を行ったステンレス
鋼帯などの金属帯には、加工硬化した素地を軟化させる
ために焼鈍処理が施される。また金属帯の表面の光沢が
重要視される場合には、還元性雰囲気ガス中で光輝焼鈍
処理が施される。金属帯の連続雰囲気焼鈍装置に関連す
る先行技術として、特公平5−14773号公報が開示
されている。
【0003】図6は、特公平5−14773号公報の図
1に示される竪形連続焼鈍装置の構成を簡略化して示す
系統図である。金属帯1は上向きに通板され、トップロ
ール2で通板方向が下向きに反転される。下向きに反転
された金属帯1は、焼鈍炉3で加熱され、さらに複数の
冷却装置4で冷却される。冷却装置4では、金属帯1に
還元性雰囲気ガス(以後、雰囲気ガスと呼ぶ)が吹付け
られ、金属帯1が冷却されるとともに、吹付けられた雰
囲気ガスが金属帯1から熱を奪って加熱される。加熱さ
れた雰囲気ガスは、高温送風機5によって回収され、ト
ップロール2の下方で、かつ入側シュート8の上部に設
けられている予熱装置6に供給される。予熱装置6では
金属帯1に雰囲気ガスが吹付けられ、金属帯が予熱され
るとともに、吹付けられた雰囲気ガスが金属帯1に熱を
奪われて冷却される。抜熱された雰囲気ガスは、入側シ
ュート8の下部に設けられた低温送風機7によって吸引
されて入側シュート8の下部から回収される。これによ
って、吸引された雰囲気ガスは入側シュート8内を下向
きに流れ、上向きに通板される金属帯1と向流接触する
ので、金属帯1を充分に予熱することができるととも
に、金属帯1によってさらに抜熱されて冷却される。低
温送風機7によって入側シュート8の下部から吸引され
た雰囲気ガスは、冷却器9で冷却されて複数の冷却装置
4のうちで焼鈍炉3に近い上流側の冷却装置4に戻され
る。
【0004】このように、この先行技術では金属帯1が
予熱されるので、金属帯1を焼鈍炉3で焼鈍する際に要
する加熱用エネルギを削減することができる。また予熱
に使用された雰囲気ガスが充分に抜熱されるので、冷却
器9の冷却負荷を減少させることができる。さらに抜熱
されて温度の低下した雰囲気ガスが冷却器9でさらに冷
却された後、冷却装置4で金属帯1に吹付けられるの
で、金属帯1の板厚が比較的厚い厚ゲージ通板時には金
属帯1を効率良く冷却することができる。この先行技術
にはこのような利点がある反面、比較的板厚が薄い薄ゲ
ージ通板時には、入側シュート8の下部から吸引される
雰囲気ガスの温度が低いので、冷却器9を休止しても冷
却装置4で金属帯1に吹付けられる雰囲気ガスの冷却能
が過大となり、金属帯1が急冷されて金属帯1にしわが
発生しやすいという問題がある。
【0005】しわの発生は、金属帯1にとって致命的な
欠陥であるので、薄ゲージ通板時には、予熱経路を閉じ
て予熱を行わないで、すなわち予熱に使用された温度の
低下した雰囲気ガスを金属帯1に吹付けないで通板する
必要がある。このように、予熱経路を閉じて通板すれ
ば、緩冷却を行うことが可能となり、しわの発生を防止
することができるけれども、薄ゲージ通板から厚ゲージ
通板に切換える場合、滞留ガスによるテンパカラーが発
生しやすくなるという新たな問題が生じる。
【0006】この滞留ガスによるテンパカラーの発生防
止および緩冷却に関連する先行技術として特開平11−
236623号公報が開示されている。この先行技術に
は、金属帯の予熱および冷却を行う循環経路と、金属帯
の冷却に使用された雰囲気ガスを冷却帯から回収し、昇
温させて冷却帯に戻すための昇温経路と、前記循環経路
と前記昇温経路とを金属帯の板厚に応じて切換えて使用
する切換弁群とを含む連続還元性雰囲気焼鈍装置の構成
が記載されている。この先行技術では、雰囲気ガスの滞
留が生じないので、滞留ガスによるテンパカラーの発生
を防止することが可能であり、かつ昇温経路が設けられ
るので、薄ゲージ通板時に緩冷却を行うことができる。
この先行技術にはこのような利点がある反面、昇温経路
および切換弁群などを設ける必要があり、構成が複雑に
なるという問題がある。
【0007】また前記2つの先行技術には、ともにトッ
プロールにゴム被覆ロールを使用する場合、金属帯の予
熱温度がゴムの耐熱温度によって制限されるので、予熱
温度を充分に高めることができないという問題がある。
すなわち、予熱温度の上昇による加熱用エネルギーの削
減を充分に図ることができないという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、簡単
な構成で確実に、金属帯の予熱温度を高めて省エネルギ
ーを図ることが可能であり、かつ金属帯の板厚が薄い場
合でも緩冷却を行ってしわの発生を防止することができ
る竪形連続焼鈍装置および金属帯の焼鈍方法を提供する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属帯を上向
きに通板させる入側シュートに設けられ、金属帯に雰囲
気ガスを吹付けて予熱する予熱帯と、入側シュートの頂
部で反転されて下向きに通板される金属帯に対して焼鈍
のための加熱を行う加熱帯と、加熱帯の下方に設けら
れ、焼鈍された金属帯に雰囲気ガスを吹付けて冷却する
冷却帯とを備える竪形連続焼鈍装置において、予熱帯お
よび冷却帯の上方に設けられ、金属帯の通板方向を上向
きから下向きに反転させる高耐熱性材料から成るトップ
ロールと、予熱帯に設けられ、焼鈍された金属帯の冷却
に使用された雰囲気ガスを金属帯に吹付ける予熱ノズル
手段と、冷却帯に設けられ、金属帯の予熱に使用された
雰囲気ガスを焼鈍された金属帯に吹付ける冷却ノズル手
段と、金属帯の予熱に使用された雰囲気ガスを吸引して
冷却ノズル手段に流量調整可能に供給する冷却用雰囲気
ガス供給手段であって、雰囲気ガスの吸引口が予熱ノズ
ル手段の近傍に設けられる冷却用雰囲気ガス供給手段
と、冷却用雰囲気ガス供給手段の雰囲気ガス吸引口と、
予熱ノズル手段との間に設けられ、金属帯の予熱に使用
された雰囲気ガスを温度調整可能に冷却する雰囲気ガス
冷却手段と、焼鈍された金属帯の冷却に使用された雰囲
気ガスを吸引して予熱ノズル手段に流量調整可能に供給
する予熱用雰囲気ガス供給手段であって、雰囲気ガスの
吸引口が冷却ノズル手段の近傍に設けられる予熱用雰囲
気ガス供給手段とを含むことを特徴とする竪形連続焼鈍
装置である。
【0010】本発明に従えば、雰囲気ガスは冷却帯で冷
却ノズル手段から焼鈍された金属帯に吹付けられて、金
属帯を冷却するとともに、金属帯から熱を奪って加熱さ
れる。金属帯の冷却に使用されて加熱された雰囲気ガス
は、予熱用雰囲気ガス供給手段によって冷却ノズル手段
の近傍に設けられた雰囲気ガスの吸引口を介して吸引さ
れ、予熱ノズル手段に供給される。予熱ノズル手段に供
給された雰囲気ガスは、予熱帯で予熱ノズル手段から金
属帯に吹付けられて金属帯を予熱するとともに金属帯に
熱を奪われて冷却される。金属帯の予熱に使用されて温
度の低下した雰囲気ガスは、雰囲気ガス冷却手段によっ
て冷却された後、冷却用雰囲気ガス供給手段によって予
熱ノズル手段の近傍に設けられた雰囲気ガスの吸引口を
介して吸引され、冷却ノズル手段に供給される。
【0011】予熱用および冷却用雰囲気ガス供給手段の
雰囲気ガス吸引口は、予熱および冷却ノズル手段の近傍
にそれぞれ設けられているので、金属帯の冷却に使用さ
れて加熱された予熱用雰囲気ガスと、金属帯の予熱に使
用された後、さらに雰囲気ガス冷却手段によって冷却さ
れて温度の低下した冷却用雰囲気ガスはその温度をほぼ
保った状態で吸引されて予熱および冷却ノズル手段にそ
れぞれ供給される。これによって、予熱用および冷却用
雰囲気ガスは金属帯を効率的に予熱および冷却すること
ができる。また、たとえばバイパス経路を設けて金属帯
の予熱に使用された雰囲気ガスが雰囲気ガス冷却手段を
通過しないようにすれば、雰囲気ガスの温度低下を金属
帯の抜熱分のみに止どめることができるので、雰囲気ガ
スの温度を比較的高目に保つことが可能となり、金属帯
を緩冷却することができる。したがって、板厚の薄い金
属帯を通板するときでも、しわの発生を防止することが
できる。またトップロールが高耐熱性材料から成るの
で、金属帯の予熱温度を高めることができる。したがっ
て、加熱帯に導入される金属帯の温度を高めることが可
能となり、加熱に要するエネルギを削減することができ
る。
【0012】また本発明は、トップロールは、耐熱温度
180℃以上のゴムから成る被覆層を有することを特徴
とする。
【0013】本発明に従えば、トップロールが耐熱温度
の高いゴムから成る被覆層を有するので、金属帯の予熱
温度を高めることができるとともに、金属帯の表面光沢
の低下を防止することができる。これによって、金属帯
の表面光沢を保ったまま加熱エネルギの削減を図ること
が可能となる。
【0014】また本発明は、冷却用および予熱用雰囲気
ガス供給手段は遠心送風機を備えることを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、雰囲気ガスを吸引方向に
対して垂直な方向に吐出する遠心送風機が備えられるの
で、金属帯の予熱に使用された雰囲気ガスおよび金属帯
の冷却に使用された雰囲気ガスを金属帯の幅方向に沿っ
て吸引し、金属帯の板面に対して垂直な方向に吐出する
ことができる。したがって、雰囲気ガスを最短距離で冷
却および予熱ノズル手段にそれぞれ供給することが可能
となり、冷却用および予熱用雰囲気ガス供給手段の構成
をコンパクトにすることができる。
【0016】また本発明は、請求項1〜3のいずれかに
記載の竪形連続焼鈍装置を準備し、金属帯に雰囲気ガス
を吹付けて予熱した後、予め定める温度になるように加
熱し、引続き雰囲気ガスを吹付けて冷却する金属帯の焼
鈍方法であって、予熱用雰囲気ガス供給手段から供給さ
れる予熱用雰囲気ガス流量と、冷却用雰囲気ガス供給手
段から供給される冷却用雰囲気ガス流量とが等しくなる
ように調整されることを特徴とする金属帯の焼鈍方法で
ある。
【0017】本発明に従えば、予熱用および冷却用雰囲
気ガス供給手段の雰囲気ガス流量が同一であるので、予
熱用雰囲気ガス供給手段から供給される雰囲気ガス流量
が相対的に大きいときに生じる不具合、すなわち雰囲気
ガスが入側シュートの頂部を介して加熱帯に流入し、加
熱帯の雰囲気温度を低下させる不具合の発生を防止する
ことができる。また冷却用雰囲気ガス供給手段から供給
される雰囲気ガス流量が相対的に大きいときに生じる不
具合、すなわち雰囲気ガスが加熱帯上部からトップロー
ル室に流入し、トップロール室の温度上昇によるトップ
ロールの焼損事故などの不具合の発生を防止することが
できる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある竪形連続焼鈍装置11の構成を簡略化して示す系統
図である。この竪形連続焼鈍装置11は、冷間圧延され
たステンレス鋼帯などの金属帯13を還元性雰囲気ガス
中で連続的に光輝焼鈍を行う装置である。還元性雰囲気
ガス(以後、雰囲気ガスと呼ぶ)は、たとえば水素75
%、窒素25%から成る。竪形連続焼鈍装置11は、入
側シュート14を備える。入側シュート14は、ほぼ鉛
直に立設され、焼鈍されるべき金属帯13を上向きに通
板させる。入側シュート14の上下方向途中位置には、
予熱帯15が設けられており、予熱帯15には、第1お
よび第2予熱ノズル手段17,18が設けられている。
第1および第2予熱ノズル手段17,18は、金属帯1
3の一方および他方表面から間隔をあけて金属帯13を
挟んで対向配置されており、金属帯13の一方および他
方表面に対してほぼ垂直に雰囲気ガスを吹付けて金属帯
13を予熱する。
【0019】入側シュート14の上部には、第1トップ
ロール室20が設けられており、第1トップロール室2
0には、金属帯13の通板方向を上向きから水平方向に
転換する第1トップロール21が設けられている。第1
トップロール室20の近傍には、水平方向に間隔をあけ
て第2トップロール室23が対向配置されており、第2
トップロール室23には、金属帯13の通板方向を水平
方向から下向きに転換する第2トップロール24が設け
られている。第1および第2トップロール室20,23
は、連結室25を介して連結されている。第1および第
2トップロール室20,23の側壁の外面には水冷ジャ
ケット26がそれぞれ設けられており、第1トップロー
ル室20の入口および第2トップロール室23の出口に
はシャッタ部材27がそれぞれ設けられている。水冷ジ
ャケット26は、第1および第2トップロール室20,
23の雰囲気温度の上昇を抑制し、第1および第2トッ
プロール21,24を保護する。シャッタ部材27は、
ライン休止時に閉じて炉内雰囲気ガスの循環を防止する
とともに、後述する加熱帯29からの輻射熱による第2
トップロール24の焼損を防止する。
【0020】第2トップロール室23の下部には、出側
シュート28が接続されている。出側シュート28は、
ほぼ鉛直に立設され、金属帯13を下向きに通板させ
る。出側シュート28には、加熱帯29と、徐冷帯30
と、冷却帯31と、強制冷却帯33とが上方から下方に
向けてこの順序に配設されている。加熱帯29は、電力
ヒータ34を備える。金属帯13は、加熱帯29で電力
ヒータ34によって予め定める温度に加熱されて焼鈍さ
れる。徐冷帯30は、焼鈍された金属帯13を放冷して
金属帯13の温度を緩やかに低下させる。冷却帯31
は、第1および第2冷却ノズル手段36,37を備え
る。第1および第2冷却ノズル手段36,37は、金属
帯13の一方および他方表面から間隔をあけて金属帯1
3を挟んで対向配置されており、金属帯13の一方およ
び他方表面に対してほぼ垂直に雰囲気ガスを吹付けて金
属帯13を冷却する。冷却帯31は、予熱帯15とほぼ
同一の上下方向位置に設けられている。
【0021】冷却帯31で金属帯13の冷却に使用され
た雰囲気ガスは、遠心送風機である第1および第2予熱
用遠心ファン(以後、第1および第2予熱用ファンと呼
ぶ)39,40によって吸引経路41,42を介してそ
れぞれ吸引され、第1および第2予熱ダクト43,44
を経由して第1および第2予熱ノズル手段17,18に
それぞれ供給される。第1および第2予熱ダクト43,
44には、第1および第2予熱風量調整ダンパ45,4
6がそれぞれ設けられている。第1および第2予熱風量
調整ダンパ45,46は第1および第2予熱ノズル手段
17,18に供給される雰囲気ガスの流量を調整する。
第1および第2予熱用ファン39,40と、吸引経路4
1,42と、第1および第2予熱ダクト43,44と、
第1および第2予熱風量調整ダンパ45,46とは予熱
用雰囲気ガス供給手段48を構成する。
【0022】予熱帯15で金属帯13の予熱に使用され
た雰囲気ガスは、遠心送風機である第1および第2冷却
用遠心ファン(以後、第1および第2冷却用ファンと呼
ぶ)50,51によって吸引経路52,53を介して吸
引され、第1および第2冷却ダクト54,55を経由し
て第1および第2冷却ノズル手段36,37にそれぞれ
供給される。吸引経路52,53には、第1および第2
クーラ56,57がそれぞれ設けられており、第1およ
び第2クーラ56,57には第1および第2シャッタ5
8,59がそれぞれ設けられている。第1および第2シ
ャッタ58,59は、第1および第2クーラ56,57
を通過する雰囲気ガスの流量を調整する。吸引経路5
2,53には、第1および第2クーラ56,57を通過
しないバイパス経路60,61が接続されている。
【0023】第1および第2冷却ダクト54,55に
は、第1および第2冷却風量調整ダンパ63,64がそ
れぞれ設けられている。第1および第2冷却風量調整ダ
ンパ63,64は、第1および第2冷却ノズル手段3
6,37に供給される雰囲気ガスの流量を調整する。第
1および第2冷却用ファン50,51と、吸引経路5
2,53と、バイパス経路60,61と、第1および第
2冷却ダクト54,55と、第1および第2冷却風量調
整ダンパ63,64とは冷却用雰囲気ガス供給手段65
を構成する。第1および第2クーラ56,57と、第1
および第2シャッタ58,59とは雰囲気ガス冷却手段
62を構成する。
【0024】強制冷却帯33は、第1〜第3強制冷却室
66,67,68を備える。第1強制冷却室66は、第
1および第2強制冷却ノズル手段69,70を備える。
第1および第2強制冷却ノズル手段69,70は、金属
帯13の一方および他方表面から間隔をあけて金属帯1
3を挟んで対向配置されており、金属帯13の一方およ
び他方表面に対してほぼ垂直に雰囲気ガスを吹付けて金
属帯13を強制冷却する。金属帯13の強制冷却に使用
された雰囲気ガスは、強制冷却用遠心ファン71によっ
て吸引経路73およびクーラ74を介して吸引され、冷
却ダクト75を経由して第1および第2強制冷却ノズル
手段69,70に供給される。このように雰囲気ガスは
第1強制冷却室66近辺の限られた領域で自己循環され
る。第2および第3強制冷却室67,68の構成は、第
1強制冷却室66の構成と同一である。
【0025】入側および出側シュート14,28の下部
には、入口シールロール77および出口シールロール7
8がそれぞれ設けられている。入口および出口シールロ
ール77,78は、金属帯13の導入および導出を行い
ながら、入側および出側シュート14,28の下部をシ
ールし、入側シュート14、第1トップロール室20、
連結室25、第2トップロール室23および出側シュー
ト28の内部空間を還元性雰囲気に保つ。出側シュート
28の近傍には、雰囲気ガス供給源80が設けられてい
る。雰囲気ガス供給源80は、前記内部空間内の雰囲気
ガスの圧力が大気圧よりもわずかに高くなるように雰囲
気ガスを供給し、入口および出口シールロール77,7
8から前記内部空間内への大気の侵入を防止する。
【0026】金属帯13は、入口シールロール77を介
して入側シュート14内に導入され、上向きに通板され
て予熱帯15で予熱される。予熱された金属帯13は、
さらに上向きに通板されて第1トップロール室20に導
入され、第1トップロール21に巻掛けられて水平方向
に通板方向を転換される。水平方向に通板される金属帯
13は、連結室25を経て第2トップロール室23に導
入され、第2トップロール24に巻掛けられて下向きに
通板方向を転換される。下向きに通板される金属帯13
は加熱帯29で加熱され、徐冷帯30で徐冷され、冷却
帯31で冷却され、強制冷却帯33で強制冷却される。
強制冷却された金属帯13は、出口シールロール78を
介して出側シュート28から導出される。
【0027】第1および第2トップロール21,24
は、高耐熱性ゴムから成る被覆層を有するロールであ
り、鋼製ロールにゴムスリーブを外嵌して接着剤で接着
することによって製造される。被覆層の高耐熱性ゴム
は、耐熱温度:180℃以上,硬さ:70〜95の特性
を有することが好ましい。硬さは、日本工業規格K63
01に規定される試験方法によって測定される。耐熱温
度の下限値が180℃に限定されるのは、下限値未満の
耐熱温度では金属帯13の予熱温度を充分に高めること
が困難であり、加熱帯29における電力原単位を低減し
て省エネルギを図ることができないからである。耐熱温
度の上限値は、特に限定する必要はないけれども、ゴム
としての制約から実質的に300℃に限定される。硬さ
の下限値が70に限定されるのは、下限値未満の硬さで
はゴム被覆層の摩耗速度が速くなり、耐久性が低下する
からである。硬さの上限値が95に限定されるのは、上
限値を超える硬さのゴムを被覆すると金属帯13にスリ
ップ傷が発生しやすくなるからである。ゴム材質はシリ
コーンゴムでもよく、フッ素ゴムでもよく、その他の特
殊合成ゴムでもよい。
【0028】図2は、図1に示す第1および第2予熱ノ
ズル手段17,18付近の構成と、第1および第2冷却
ノズル手段36,37付近の構成とを対向する位置を上
下左右にずらして簡略化して示す斜視図であり、図3は
図1に示す予熱帯15および冷却帯31の構成を簡略化
して示す正面断面図であり、図4は図3の切断面線IV
−IVから見た平面断面図であり、図5は図3の切断面
線V−Vから見た平面断面図である。
【0029】第1および第2予熱ノズル手段17,18
は、ノズルヘッダ部材17a,18aと、複数のノズル
部材17b,18bとをそれぞれ備える。ノズルヘッダ
部材17a,18aは金属帯13の通板方向および幅方
向に延在し、複数(本実施の形態では5)のノズル部材
17b,18bに雰囲気ガスを分配する。ノズル部材1
7b,18bは、ノズルヘッダ部材17a,18aに通
板方向に間隔をあけて、かつ幅方向に延在して設けら
れ、ノズル孔から雰囲気ガスを噴射して金属帯13に吹
付ける。ノズル部材17bとノズル部材18bとは通板
方向に相互にずれた位置に設けられている。
【0030】第1および第2予熱ノズル手段17,18
の上下方向下部で、かつ幅方向一端部(図4および図5
の上側)の外方には、短い間隔をあけて第1冷却用ファ
ン50が設けられている。第1冷却用ファン50は、予
熱帯15の側壁に設けられ、その吸引口50aは金属帯
13、第1および第2予熱ノズル手段17,18の幅方
向一端部を臨む位置に開口している。第1および第2予
熱ノズル手段17,18の幅方向一端部と、第1冷却用
ファン50の吸引口50aとの間の空間は、吸引経路5
2を形成する。
【0031】吸引経路52には、第1クーラ56が設け
られており、第1クーラ56の第1冷却用ファン50側
には第1シャッタ58が近接して設けられている。第1
クーラ56は上第1クーラ56aと、下第1クーラ56
bとから成る。上および下第1クーラ56a,56bは
上下方向に間隔をあけて設けられており、第1冷却用フ
ァン50によって吸引される雰囲気ガスを冷却する。第
1シャッタ58は、上第1シャッタ58aと下第1シャ
ッタ58bとから成る。上および下第1シャッタ58
a,58bは上および下第1クーラ56a,56bにそ
れぞれ対応して設けられている。第1シャッタ58は、
開度調整可能に構成されており、その開度調整によって
第1クーラ56を通過する雰囲気ガスの流量を調整して
雰囲気ガスの温度を調整することができる。
【0032】さらに詳しく述べると、第1シャッタ58
を全閉にすれば、すなわち第1クーラ56を通過する雰
囲気ガスの流量を零にすれば、雰囲気ガスは上および下
第1クーラ56a,56bの上下方向の隙間を通過す
る。したがって、雰囲気ガスの温度低下は生じない。前
記隙間は第1クーラ56を通過しない雰囲気ガスのバイ
パス経路60(以後、バイパス経路と呼ぶ)を形成す
る。これに対して、第1シャッタ58を全開にすれば、
第1クーラ56の全冷却面とバイパス経路60とを雰囲
気ガスが通過するので、雰囲気ガスの温度低下量は最大
となる。
【0033】第1冷却用ファン50の吐出口50bは、
第1冷却ダクト54の一端部に接続されている。第1冷
却ダクト54はほぼ水平に延在し、その他端部は第1冷
却ノズル手段36に接続されている。第1冷却ダクト5
4の他端部付近は、複数(本実施の形態では5)の経路
に仕切られており、仕切られた各経路には第1冷却風量
調整ダンパ63がそれぞれ設けられている。各第1冷却
風量調整ダンパ63には、ダンパ調整モータ83がそれ
ぞれ取付けられている。各ダンパ調整モータ83によっ
て各第1冷却風量調整ダンパ63を駆動して各経路の開
度を調整すれば第1冷却ダクト54を通過する雰囲気ガ
スの流量を調整することができる。
【0034】第1および第2予熱ノズル手段17,18
の上下方向上部で、かつ幅方向他端部の外方には短い間
隔をあけて第2冷却用ファン51が設けられている。第
2冷却用ファン51は予熱帯15の側壁に設けられ、そ
の吸引口51aは金属帯13、第1および第2予熱ノズ
ル手段17,18の幅方向他端部を臨む位置に開口して
いる。第1および第2予熱ノズル手段17,18の幅方
向他端部と、第2冷却用ファン51の吸引口51aとの
間の空間は、吸引経路53を形成する。吸引経路53に
は、第2クーラ57が設けられており、第2クーラ57
の第2冷却用ファン51側には第2シャッタ59が近接
して設けられている。第2クーラ57は、第1クーラ5
6と同様に上第2クーラ57aと下第2クーラ57bと
から成り、第2シャッタ59は、第1シャッタ58と同
様に上第2シャッタ59aと下第2シャッタ59bとか
ら成る。上および下第2クーラ57a,57bの上下方
向の隙間はバイパス経路61を形成する。
【0035】第2冷却用ファン51の吐出口51bは、
第2冷却ダクト55の一端部に接続されている。第2冷
却ダクト55はほぼ水平に延在し、その他端部は第2冷
却ノズル手段37に接続されている。第2冷却ダクト5
5の他端部付近は、第1冷却ダクト54の他端部付近と
同一の構成を有しており、5つの経路に仕切られてい
る。5つに仕切られた各経路には、第2冷却風量調整ダ
ンパ64がそれぞれ設けられており、各第2冷却風量調
整ダンパ64にはダンパ調整モータ84がそれぞれ取付
けられている。
【0036】第1および第2冷却ノズル手段36,37
は、第1および第2予熱ノズル手段17,18と同一の
構成を有しており、ノズルヘッダ部材36a,37a
と、5つのノズル部材36b,37bとをそれぞれ備え
る。第1および第2冷却ノズル手段36,37の上下方
向上部で、かつ幅方向一端部の外方には、短い間隔をあ
けて第1予熱用ファン39が設けられている。第1予熱
用ファン39は冷却帯31の側壁に設けられ、その吸引
口39aは金属帯13、第1および第2冷却ノズル手段
36,37の幅方向一端部を臨む位置に開口している。
第1および第2冷却ノズル手段36,37の幅方向一端
部と第1予熱用ファン39の吸引口39aとの間の空間
は、吸引経路41を形成する。
【0037】第1予熱用ファン39の吐出口39bは第
1予熱ダクト43の一端部に接続されている。第1予熱
ダクト43はほぼ水平に延在し、その他端部は第1予熱
ノズル手段17のノズルヘッダ部材17aに接続されて
いる。第1予熱ダクト43の他端部付近は5つの経路に
仕切られており、各経路には第1予熱風量調整ダンパ4
5がそれぞれ設けられており、各第1予熱風量調整ダン
パ45にはレバー86が取付けられている。レバー86
によって手動で各第1予熱風量調整ダンパ45を駆動し
て各経路の開度を調整すれば第1予熱ダクト43を通過
する雰囲気ガスの流量を調整することができる。
【0038】第1および第2冷却ノズル手段36,37
の上下方向下部で、かつ幅方向他端部の外方には、短い
間隔をあけて第2予熱用ファン40が設けられている。
第2予熱用ファン40は冷却帯31の側壁に設けられ、
その吸引口40aは金属帯13、第1および第2冷却ノ
ズル手段36,37の幅方向他端部を臨む位置に開口し
ている。第1および第2冷却ノズル手段36,37の幅
方向他端部と、第2予熱用ファン40の吸引口40aと
の間の空間は、吸引経路42を形成する。第2予熱用フ
ァン40の吐出口40bは第2予熱ダクト44の一端部
に接続されている。第2予熱ダクト44は、ほぼ水平に
延在し、その他端部は第2予熱ノズル手段18のノズル
ヘッダ部材18aに接続されている。第2予熱ダクト4
4の他端部付近は、第1予熱ダクト43の他端部付近と
同一の構成を有しており、5つの経路に仕切られてい
る。5つに仕切られた各経路には、第2予熱風量調整ダ
ンパ46がそれぞれ設けられており、各第2予熱風量調
整ダンパ46にはレバー87が取付けられている。
【0039】第1および第2冷却ノズル手段36,37
から噴射された雰囲気ガスは焼鈍された金属帯13に吹
付けられて金属帯13を冷却するとともに、焼鈍された
金属帯13から奪った熱によって加熱される。この金属
帯13の冷却に使用されて温度の高くなった雰囲気ガス
は第1および第2予熱用ファン39,40によって吸引
され、第1および第2予熱ダクト43,44を介して第
1および第2予熱ノズル手段17,18に供給される。
【0040】第1および第2予熱ノズル手段17,18
に供給された雰囲気ガスは、ノズル部材17b,18b
から噴射されて金属帯13に吹付けられる。金属帯13
に吹付けられた雰囲気ガスは、金属帯13を予熱すると
ともに金属帯13によって熱を奪われて冷却される。こ
の金属帯13の予熱に使用されて温度の低下した雰囲気
ガスは第1および第2冷却用ファン50,51によって
吸引され、第1および第2クーラ56,57によってさ
らに冷却されて第1および第2冷却ダクト54,55を
介して第1および第2冷却ノズル手段36,37に供給
される。予熱帯15および冷却帯31において金属帯1
3に吹付けられる雰囲気ガスの流量は、第1および第2
予熱風量調整ダンパ45,46と、第1および第2冷却
風量調整ダンパ63,64とによって調整される。また
冷却帯31において金属帯13に吹付けられる雰囲気ガ
スの温度は第1および第2シャッタ58,59によって
調整される。
【0041】このように、雰囲気ガスの流量および温度
を調整することができるので、金属帯13の予熱および
冷却を効率的に行うことができる。また前述のように第
1および第2冷却用ファン50,51の吸引口50a,
51aが第1および第2予熱ノズル手段17,18の近
傍に開口しているので、第1および第2クーラ56,5
7の第1および第2シャッタ58,59を全閉にすれば
金属帯13の予熱に使用されて温度の低下した雰囲気ガ
スをそれ以上の温度低下が生じないうちに吸引すること
ができる。これによって、第1および第2冷却ノズル手
段36,37に供給される雰囲気ガスの温度を比較的高
目に維持することができる。したがって、金属帯13の
板厚が薄いときでも、緩冷却を行うことが可能となり、
金属帯13のしわの発生を防止することができる。
【0042】また同様に第1および第2予熱用ファン3
9,40の吸引口39a,40aが第1および第2冷却
ノズル手段36,37の近傍に開口しているので、焼鈍
された金属帯の冷却に使用されて温度の上昇した雰囲気
ガスを温度低下が生じないうちに吸引することができ
る。これによって、第1および第2予熱ノズル手段1
7,18に供給される雰囲気ガスの温度を高目に維持す
ることができるので、金属帯13の予熱を効率的に行う
ことができる。
【0043】また予熱帯15および冷却帯31の上下方
向高さがほぼ同一であり、かつ第1および第2予熱ダク
ト43,44と第1および第2冷却ダクト54,55と
がほぼ水平に延在しており、さらに雰囲気ガスが遠心フ
ァンによって金属帯3の幅方向に沿って吸引され、吸引
方向に垂直な方向に吐出されるので、雰囲気ガスを最短
距離で供給することが可能となり、ダクト長を最短にす
ることができる。これによって、雰囲気ガスの輸送中の
温度低下を低減することが可能となり、前述のような保
温効果をさらに高めることができるとともに、構成のコ
ンパクト化を図ることが可能となる。また前述のように
予熱帯15に第1および第2冷却用ファン50,51
と、第1および第2クーラ56,57とが設けられ、冷
却帯31に第1および第2予熱用ファン39,40が設
けられているので、構成のコンパクト化をさらに図るこ
とができる。
【0044】また第1および第2トップロール21,2
4が高耐熱性ゴムから成る被覆層を有するので、金属帯
13の予熱温度を高めることが可能となる。これによっ
て、加熱帯29の電力ヒータ34の電力原単位を低減す
ることができる。また金属帯13の表面光沢の低下を防
止することができる。
【0045】次に竪形連続焼鈍装置11における金属帯
13の焼鈍方法について説明する。冷間圧延された状態
の金属帯13は竪形連続焼鈍装置11に導入され、予熱
帯15で予熱される。前述のように第1および第2トッ
プロール21,24は高耐熱性ゴムから成る被覆層を有
するので、金属帯13の予熱温度を従来よりも高目に設
定することができる。また第1および第2トップロール
21,24の水冷ジャケット26の冷却能力を低減する
ことができる。予熱された金属帯13は、加熱帯29で
予め定める焼鈍温度になるように加熱され、引続き徐冷
帯30、冷却帯31および強制冷却帯33で順次冷却さ
れて焼鈍される。
【0046】予熱帯15では、冷却帯31において金属
帯13の冷却に使用された雰囲気ガス、すなわち焼鈍さ
れた高温の金属帯13から熱を奪って温度が高くなった
雰囲気ガスが前述のようにそれ以上の温度低下が生じな
いように第1および第2予熱用ファン39,40によっ
て金属帯13に吹付けられる。これによって、金属帯1
3は効率的に予熱される。冷却帯31では、予熱帯15
において金属帯13の冷却に使用された雰囲気ガス、す
なわち金属帯13によって熱を奪われて温度が低下した
雰囲気ガスがさらに第1および第2クーラ56,57で
冷却された後、第1および第2冷却用ファン50,51
によって吸引および輸送されて金属帯13に吹付けられ
る。これによって、金属帯13は効率的に冷却される。
【0047】また金属帯13の板厚が薄くて冷却帯31
で緩冷却を行う必要があるときは、前述のように第1お
よび第2クーラ56,57の第1および第2シャッタ5
8,59を全閉にすれば金属帯13の予熱に使用された
雰囲気ガスの温度がそれ以上低下しないように第1およ
び第2冷却用ファン50,51によって吸引および輸送
されて金属帯13に吹付けられる。これによって金属帯
13が緩冷却され、しわの発生を防止することが可能と
なる。
【0048】前述のように予熱帯15において、第1お
よび第2予熱ノズル手段17,18から金属帯13に吹
付けられる雰囲気ガスの流量、すなわち予熱用雰囲気ガ
ス供給手段48から供給される予熱用雰囲気ガス流量
は、第1および第2予熱風量調整ダンパ45,46によ
って調整される。冷却帯31において、第1および第2
冷却ノズル手段36,37から金属帯13に吹付けられ
る雰囲気ガスの流量、すなわち冷却用雰囲気ガス供給手
段65から供給される冷却用雰囲気ガス流量は第1およ
び第2冷却風量調整ダンパ63,64によって調整され
る。
【0049】本実施の形態では、予熱用雰囲気ガス流量
と冷却用雰囲気ガス流量とは等しくなるように調整され
る。これによって、予熱帯15および冷却帯31におい
て金属帯13に吹付けられる雰囲気ガス流量と吸引され
る雰囲気ガス流量とが等しくなるので、予熱帯15およ
び冷却帯31から周囲への雰囲気ガスの流出が防止され
るとともに周囲から予熱帯13および冷却帯31への雰
囲気ガスの流入が防止される。したがって、予熱用雰囲
気ガス流量が冷却用雰囲気ガス流量よりも大きいときに
生じる不具合、すなわち金属帯13の予熱に使用された
温度の低下した雰囲気ガスが入側シュート14、第1ト
ップロール室20、連結室25および第2トップロール
室23を経由して加熱帯29内に流入して加熱帯29の
雰囲気温度を低下させる不具合の発生を防止することが
できる。また冷却用雰囲気ガス流量が予熱用雰囲気ガス
流量よりも大きいときに生じる不具合、すなわち雰囲気
ガスが加熱帯29の上部から第2トップロール室23に
流入し、第2トップロール室23の温度上昇による第2
トップロール24の焼損事故などの不具合の発生を防止
することができる。
【0050】このように、本実施の形態の金属帯13の
焼鈍方法によれば、予熱温度を高めることができるの
で、金属帯13の加熱に要する電力原単位を低減するこ
とが可能となる。また冷却帯31において、金属帯13
に吹付けられる雰囲気ガスの温度を調整することが可能
であるので、金属帯13の板厚が薄いときでもしわの発
生を防止することができる。また予熱用および冷却用雰
囲気ガス流量が等しくなるように調整されるので、加熱
帯29の雰囲気温度の低下および入側シュート14内へ
の大気の侵入を防止することができる。
【0051】(実施例1)本発明の処理条件でSUS3
04から成るステンレス冷間圧延鋼帯を焼鈍処理した実
施例1と、本発明から外れた処理条件でSUS304か
ら成るステンレス冷間圧延鋼帯を焼鈍処理した比較例1
とについて加熱用電力原単位を求めて比較した。ステン
レス冷間圧延鋼帯の寸法は、実施例1および比較例1と
も板厚:1.15mm、板幅:1252mmに設定し
た。焼鈍処理は、実施例1および比較例1とも竪形連続
焼鈍装置11において実施した。実施例1および比較例
1における第1および第2トップロール21,24のゴ
ム被覆層の耐熱温度は、180℃,160℃にそれぞれ
設定した。実施例1および比較例1の処理条件と、ステ
ンレス冷間圧延鋼帯の予熱温度と、加熱用電力の低減率
とを表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】実施例1の処理条件で第1および第2シャ
ッタ58,59の開度が50%に設定されているのは、
50%未満のシャッタ開度では予熱能力が過大となり、
ステンレス冷間圧延鋼帯の予熱温度がゴム被覆層の耐熱
温度を超える恐れがあるからである。比較例1の処理条
件で、第1および第2シャッタ58,59の開度が10
0%に設定されているのは、予熱能力を最低にしてステ
ンレス冷間圧延鋼帯の予熱温度がゴム被覆層の耐熱温度
を超えないようにするためであり、予熱用雰囲気ガス流
量が冷却用雰囲気ガス流量よりも大きくなるように設定
されているのは、過剰な予熱用雰囲気ガスによって第1
および第2トップロール21,24を冷却して保護する
ためである。加熱用電力の低減率は、実施例1および比
較例1の電力原単位の差を求め、前記求めた差の比較例
1の電力原単位に対する割合によって表した。表1か
ら、実施例1は比較例1に比べてステンレス冷間圧延鋼
帯の予熱温度が高くなり、加熱用電力原単位を10%低
減できることが判る。
【0054】(実施例2)本発明の処理条件でSUS4
30から成るステンレス冷間圧延鋼帯を焼鈍処理した実
施例2と、本発明から外れた処理条件でSUS430か
ら成るステンレス冷間圧延鋼帯を焼鈍処理した比較例2
とについて加熱用電力原単位を求めて比較した。ステン
レス冷間圧延鋼帯の寸法は、実施例2および比較例2と
も板厚:0.95mm、板幅:1030mmに設定し
た。焼鈍処理は、実施例2および比較例2とも竪形連続
焼鈍装置11において実施した。実施例2および比較例
2における第1および第2トップロール21,24のゴ
ム被覆層の耐熱温度は、180℃,160℃にそれぞれ
設定した。実施例2および比較例2の処理条件と、ステ
ンレス冷間圧延鋼帯の予熱温度と、加熱用電力の低減率
とを表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】実施例2の処理条件で第1および第2シャ
ッタ58,59の開度が0%、すなわち全閉に設定され
ているのは、予熱能力を最大にして予熱温度を高めるた
めである。実施例2のその他の処理条件および比較例2
の処理条件は、表1の実施例1および比較例1と同一で
ある。表2から、実施例2は比較例2に比べてステンレ
ス冷間圧延鋼帯の予熱温度が高くなり、加熱用電力原単
位を7.6%低減できることが判る。
【0057】以上述べたように本実施の形態では第1お
よび第2トップロール21,24は耐熱温度:180℃
以上のゴムから成る被覆層を有するように構成されてい
るけれども、金属帯の表面光沢などの表面性状に対する
要求があまり厳しくない場合には、ゴム被覆層を有さな
い他の高耐熱性材料、たとえば耐熱鋼から成るトップロ
ールを用いるように構成してもよい。また冷却用および
予熱用雰囲気ガスは遠心送風機である遠心ファンによっ
て吸引および輸送されているけれども、他の型式の送風
機を用いるように構成してもよい。
【0058】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の本発明によ
れば、トップロールが高耐熱性材料から成るので、金属
帯の予熱温度を高めることができる。したがって、加熱
帯に導入される金属帯の温度を高めることが可能とな
り、加熱に要するエネルギを削減することができる。ま
た金属帯を緩冷却することができるので板厚の薄い金属
帯を通板するときでも、しわの発生を防止することがで
きる。
【0059】また請求項2記載の本発明によれば、トッ
プロールが耐熱温度の高いゴムから成る被覆層を有する
ので、金属帯の予熱温度を高めることができるととも
に、金属帯の表面光沢の低下を防止することができる。
これによって、金属帯の表面光沢を保つための加熱エネ
ルギの削減を図ることが可能となる。
【0060】また請求項3記載の本発明によれば、雰囲
気ガスを吸引方向に対して垂直な方向に吐出する遠心送
風機が備えられるので、雰囲気ガスの輸送距離を短くす
ることができる。これによって冷却用および予熱用雰囲
気ガス供給手段の構成をコンパクトにすることができ
る。
【0061】また請求項4記載の本発明によれば、予熱
用および冷却用雰囲気ガス供給手段の雰囲気ガス流量が
同一であるので、雰囲気ガスが入側シュートの頂部を介
して加熱帯に流入して加熱帯の雰囲気温度を低下させる
不具合の発生を防止することができる。またトップロー
ル焼損などの不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である竪形連続焼鈍装置
11の構成を簡略化して示す系統図である。
【図2】図1に示す第1および第2予熱ノズル手段1
7,18付近の構成と、第1および第2冷却ノズル手段
36,37付近の構成とを対向する位置を上下左右にず
らして簡略化して示す斜視図である。
【図3】図1に示す予熱帯15および冷却帯31の構成
を簡略化して示す正面断面図である。
【図4】図3の切断面線IV−IVから見た平面断面図
である。
【図5】図3の切断面線V−Vから見た平面断面図であ
る。
【図6】特公平5−14773号公報の図1に示される
竪形連続焼鈍装置の構成を簡略化して示す系統図であ
る。
【符号の説明】
11 竪形連続焼鈍装置 13 金属帯 14 入側シュート 15 予熱帯 17 第1予熱ノズル手段 18 第2予熱ノズル手段 29 加熱帯 30 徐冷帯 31 冷却帯 33 強制冷却帯 36 第1冷却ノズル手段 37 第2冷却ノズル手段 39 第1予熱用ファン 40 第2予熱用ファン 48 予熱用雰囲気ガス供給手段 50 第1冷却用ファン 52 第2冷却用ファン 56 第1クーラ 57 第2クーラ 62 雰囲気ガス冷却手段 65 冷却用雰囲気ガス供給手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属帯を上向きに通板させる入側シュー
    トに設けられ、金属帯に雰囲気ガスを吹付けて予熱する
    予熱帯と、入側シュートの頂部で反転されて下向きに通
    板される金属帯に対して焼鈍のための加熱を行う加熱帯
    と、加熱帯の下方に設けられ、焼鈍された金属帯に雰囲
    気ガスを吹付けて冷却する冷却帯とを備える竪形連続焼
    鈍装置において、 予熱帯および冷却帯の上方に設けられ、金属帯の通板方
    向を上向きから下向きに反転させる高耐熱性材料から成
    るトップロールと、 予熱帯に設けられ、焼鈍された金属帯の冷却に使用され
    た雰囲気ガスを金属帯に吹付ける予熱ノズル手段と、 冷却帯に設けられ、金属帯の予熱に使用された雰囲気ガ
    スを焼鈍された金属帯に吹付ける冷却ノズル手段と、 金属帯の予熱に使用された雰囲気ガスを吸引して冷却ノ
    ズル手段に流量調整可能に供給する冷却用雰囲気ガス供
    給手段であって、雰囲気ガスの吸引口が予熱ノズル手段
    の近傍に設けられる冷却用雰囲気ガス供給手段と、 冷却用雰囲気ガス供給手段の雰囲気ガス吸引口と、予熱
    ノズル手段との間に設けられ、金属帯の予熱に使用され
    た雰囲気ガスを温度調整可能に冷却する雰囲気ガス冷却
    手段と、 焼鈍された金属帯の冷却に使用された雰囲気ガスを吸引
    して予熱ノズル手段に流量調整可能に供給する予熱用雰
    囲気ガス供給手段であって、雰囲気ガスの吸引口が冷却
    ノズル手段の近傍に設けられる予熱用雰囲気ガス供給手
    段とを含むことを特徴とする竪形連続焼鈍装置。
  2. 【請求項2】 トップロールは、耐熱温度180℃以上
    のゴムから成る被覆層を有することを特徴とする請求項
    1記載の竪形連続焼鈍装置。
  3. 【請求項3】 冷却用および予熱用雰囲気ガス供給手段
    は遠心送風機を備えることを特徴とする請求項1または
    2記載の竪形連続焼鈍装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の竪形連
    続焼鈍装置を準備し、金属帯に雰囲気ガスを吹付けて予
    熱した後、予め定める温度になるように加熱し、引続き
    雰囲気ガスを吹付けて冷却する金属帯の焼鈍方法であっ
    て、 予熱用雰囲気ガス供給手段から供給される予熱用雰囲気
    ガス流量と、冷却用雰囲気ガス供給手段から供給される
    冷却用雰囲気ガス流量とが等しくなるように調整される
    ことを特徴とする金属帯の焼鈍方法。
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