JP4574971B2 - 光ラジカル重合開始剤、それを用いた感光性樹脂組成物及び物品 - Google Patents

光ラジカル重合開始剤、それを用いた感光性樹脂組成物及び物品 Download PDF

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Description

本発明は、非分解型光ラジカル発生部位と共に複数のエチレン性不飽和基とを有する感光性多官能化合物、及び、それを含む感光性樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、それ自体が光ラジカル開始剤としての機能と重合性化合物としての機能を持ち、特に耐熱性が高く、硬化後の製品中には光ラジカル開始剤由来の低分子成分が独立して残存せず、光ラジカル発生部位を硬化後のマトリックス中に固定する能力が高く、モノマー成分との相溶性にも優れた感光性化合物、当該感光性化合物を含有する感光性樹脂組成物、及び当該感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている高耐熱性、高安定性の物品に関する。
紫外線等の放射線の照射によって硬化するか又は溶解性が変化する感光性樹脂は、一般に、露光部の溶解性が良好なもの(ポジ型)と、未露光部の溶解性が良好なもの(ネガ型)の2種に分類される。ネガ型の場合、感光性樹脂自体が露光により硬化し不溶になることから、感光性樹脂が基材上に残存し機能膜として製品の一部となる場合が多い。
ネガ型の感光性樹脂は当初、例えば塗料、印刷インキ、オーバーコート層、接着剤、印刷原版等に用いられてきたが、近年、プリント配線板の配線保護用のソルダーレジストや、層間絶縁膜、カラーフィルターの画素、反射防止膜、ホログラム等を形成するためのレジスト等にまで用途が広がってきている。
一般に多く用いられるネガ型の感光性樹脂の一つに、エチレン性不飽和結合を一つ以上有する化合物、光照射によりラジカルを発生させる光ラジカル開始剤、及び、必要に応じて、現像性や塗膜の柔軟性等を付与する高分子化合物、無機フィラー、顔料等を配合した樹脂組成物がある。この組成物に放射線を照射すると、エチレン性不飽和結合を有する化合物がラジカル反応により結合し、大分子量化して硬化する。この硬化反応の際に、架橋反応により3次元網目構造が発達することにより、得られる硬化物の硬度、強度、密着性、耐溶剤性、耐熱性が向上する。
光ラジカル開始剤は、自己開裂型と水素引き抜き型に概ね分類される。前者の場合、特定波長の光(電磁波又は粒子線)を吸収することで、その波長に対応した部位の結合が切断され、その際に分断された各々の部位にラジカルが発生し、そこからラジカル反応が始まる。後者の場合、ある特定の波長の電磁波を吸収し励起状態になると、周囲にある水素ドナーから水素を引き抜き、その際に引き抜いた方、引き抜かれた方の各々にラジカルが発生する。
一般に自己開裂型は、感度やラジカル発生効率は良好なものの、熱に対して不安定であり、これを含有する感光性樹脂組成物の耐熱性、安定性、保存性等に問題がある。一方、水素引き抜き型は、水素ドナーが励起された開始剤の近傍に存在する必要がある事や、水素を引き抜く際のエネルギー障壁の大きさによってラジカル発生効率が決まるため、感度は比較的低いが、励起状態になり水素を引き抜かないとラジカルが発生しないため、樹脂組成物の安定性、保存性は高い。
プリント配線板の表面被覆に用いられるソルダーレジストには、耐熱性や難燃性付与のため有機顔料やフィラーを混合されていたり、カラーフィルターの画素形成用レジストには、色表示のための顔料が混合されている。これらの顔料は光を吸収する成分であることから、感光性樹脂の感度を高めるために、主に自己開裂型の光ラジカル開始剤を用い、しかもラジカル反応に充分利用されない分を見込んで多量に混合させている。ここで、ラジカル反応に利用されない分には、照射によっても開裂しなかった未反応の開始剤と、開裂によりラジカル化しても固相での反応ゆえに被反応物との接近が阻害されて失活する分とがある。
露光後の硬化物中には、開始剤由来の残存物が多量に存在するが、そのうち未開裂の光ラジカル開始剤は、露光後にも反応性を残していることから製品を変質させる。また、未開裂の光ラジカル開始剤、及び、開裂したがラジカル反応で消費されずに失活した分解物は、マトリックスの架橋構造に結合しておらず、独立した成分として製品中に存在することから膜物性を阻害する。そのため、開始剤由来の残存物をそのまま放置すると、耐光性の悪化、着色や退色、塗膜のはがれやクラックの発生等を引き起こし、最終製品、例えば電子部品用の層間絶縁膜やソルダーレジスト、カラーフィルター用画素形成用レジストの信頼性を低下させる原因になるという問題がある。
自己開裂型の光ラジカル開始剤は昇華性が強く、熱により分解するため、露光、現像後の製品を百数十℃以上の温度でポストベークすることにより製品から除去することができる。しかしながら、ポストベーク時に開始剤由来の昇華物が加熱装置内に多量に付着し、それが硬化により得られた製品上に落下して製品不良の原因となり、問題となっていた。また、加熱装置の周囲では雰囲気中に開始剤の分解物等が含まれるため、作業安全性の観点からも問題があった。
ポストベークの条件を、より高温で、より長時間にすることによってラジカル開始剤由来の残存物をより多く除去することが可能であるが、固体中からの揮発の為、完全に除去することは困難である。より多くのラジカル開始剤由来の不純物を除去する為に条件を厳しくすると、その条件が、かえって製品不良を起こす原因となる。
一方、剥離膜として用いられる電子部材の加工用レジスト及びドライフィルムレジスト等も、同様の放射線による硬化システムが用いられている。加工用レジストは、最終的には剥離され製品には残らないが、その銅配線形成等の加工工程において、加工に用いる塩化第二鉄や塩化第二銅等の薬液中にレジスト膜から開始剤由来の残存物が溶出し、薬液の寿命を短くするという問題があった。
さらに、建築物の壁紙や壁の表面を保護する保護膜用塗料として、感光性樹脂が用いられる際には、シックハウス症候群対策等の観点から、建材全体から出て来る溶媒成分や臭気成分の削減が求められているが、揮発性の高い開始剤を用いることで、塗膜硬化後も臭気が発生するという問題があった。
これらの問題点から、ポストベーク時や光硬化後に蒸発せず、しかも、塗膜中に独立して残存するラジカル発生剤由来の成分が実質的にないような、ラジカル発生剤及び樹脂組成物が望まれている。
これらを解決する手段として、ESACURE KIP 150(商品名)(日本シイベルヘグナー株式会社製)等は、ポリマー骨格の側鎖に光ラジカル発生部位を導入している。このようにすれば光ラジカル発生剤は一分子内に複数のラジカル発生部位を有するため、当該分子内のどこか1箇所がラジカル化して塗膜のマトリックスと結合していれば、同じ分子内にある未反応のラジカル発生部位もポリマー骨格を介してマトリックスに結合するので、ポストベーク時に揮発せず、塗膜中を移動する事も無いため、最終製品での信頼性を低下させることが少ない。
しかしながら、この場合、側鎖に導入されている光ラジカル発生部位が自己開裂型であり、加熱によって容易に分解してラジカルと低分子分解物を発生させてしまうため、これを含有する感光性樹脂組成物の耐熱性、安定性、保存性等に問題があることに変わりない。また、ラジカル発生部位のうち開裂後にポリマー骨格に残る部分はマトリックス構造と結合しているが、光ラジカル反応及びポストベークによりポリマー骨格から開裂した分解物の一部は、マトリックス構造には結合していない独立した低分子残留物として残存するため、そのまま放置すると塗膜物性に悪影響を与え、また、ポストベークを行っても完全に昇華除去させることが困難である。
また、特許文献1及び特許文献2では、マレイミド基を有する(メタ)アクリレートが提案されている。これらは、マレイミドが電磁波を吸収することで、ビニルエーテルとは電子受容体として反応し、ラジカルを発生させる。また、水素を引き抜くことでもラジカルを発生させることができる(非特許文献1)。しかし、マレイミドはエチレン性2重結合を有するため、マレイミド基と(メタ)アクリル基を両方有するモノマーをラジカル重合すると、架橋反応が進行しゲル化してしまう。そのため、上記特許文献1及び2では、マレイミド基にシクロヘキシル基等の置換基を導入し、立体障害によりマレイミド基の反応性を低下させることにより、上記の課題を克服している。しかしながら、その反面マレイミド部位の反応性が低下するため、ラジカル反応開始効率も低下するという問題があった。また、酸無水物とアミンを反応させてマレイミド基を形成する反応は脱水反応で行なうため、触媒を用いずに効率よく反応させるためには100℃以上の高い温度が必要であり、マレイミド基の形成時に直接エチレン性不飽和結合の導入を行なおうとすると、エチレン性不飽和結合の重合が起こってしまうという合成上の問題があった。また、無水酢酸等の脱水触媒を用いて脱水反応を行なうこともできるが、コスト増の原因となると共に、その後の精製工程が複雑になる等、いずれにしろ合成上の問題があった。
そこで、上記問題点を解決する為に本発明者は、非分解型(非開裂型)光ラジカル発生部位として機能するナフタルイミド構造含有基と、エチレン性不飽和基を持ち、耐熱性が高く、塗膜中に低分子の光ラジカル発生剤又はその分解物が独立して残存することなく、しかも、比較的温和な条件で合成可能な光ラジカル発生剤とそれを含んだ樹脂組成物の発明に至った(特願2003−88522、未公開)。
この特願2003−88522に開示されている化合物は、非分解型光ラジカル発生部位とエチレン性不飽和基を有するので、光照射によって重合が始まると光ラジカル発生部位が周囲のマトリックス中にエチレン性不飽和基の化学結合を介して固定され塗膜の一部となる。この為、開始剤由来の低分子不純物を含まない光硬化性塗膜を形成できる。
しかし、この化合物は、エチレン性不飽和基を一分子につき一つしか有していないため、多官能モノマーやアクリル系樹脂に対する溶解性が、それほど高くない。そのため、上記化合物を樹脂組成物中に、高濃度に含有させようとすると、アクリル系樹脂の構造によっては析出してしまうという問題があった。
また、この化合物がエチレン性不飽和基を一つしか有していないため、それを用いて調製した樹脂組成物を露光した時にエチレン性不飽和結合基の反応率が低い場合は、露光後に塗膜のマトリックス構造と結合していない分子が残存し、その結果、ラジカル発生部位をマトリックスに固定する能力が充分ではないと言う問題もあった。この問題は、例えば、感光性樹脂組成物が高粘度のためエチレン性不飽和結合の反応率が80%以上にならない場合などにおいて顕著である。
国際公開WO98/58912号公報 特開2002−3559号公報 ラジカル重合ハンドブック 株式会社エヌ・ティー・エス 刊 1999年 312ページ
本発明は、非分解型光ラジカル発生部位とエチレン性不飽和基をあわせ持つ化合物について、他成分に対する相溶性と、硬化後のマトリックス中での光ラジカル発生部位の固定能力を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明により提供される光ラジカル重合開始剤は、下記式(1a)で表される、1分子中に1個以上の非分解型光ラジカル発生部位、及び、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物からなり、157nm以上2μm以下の可視領域及び非可視領域の波長の電磁波を吸収することによりラジカルを発生する、光ラジカル重合開始剤である。
Figure 0004574971
(ただし、式(1a)においてR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、飽和又は不飽和炭化水素基、飽和又は不飽和ハロゲン化炭化水素基、又は、飽和又は不飽和ヒドロキシ炭化水素基である。X1は、3価以上の基である。A1は、下記式(3)で表されるナフタルイミド構造含有基である。aは1以上の整数であり、bは2以上の整数であり、aとbの和はX1の価数である。一分子内に複数のナフタルイミド構造含有基が存在する場合、ナフタルイミド構造含有基は互いに同一構造であっても異なる構造であっても良い。一分子内に存在する複数のエチレン性不飽和基は互いに同一であっても異なっていても良い。)
Figure 0004574971
(ただし、式(3)においてR 、R 、R 、R 、R 及びR は、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、互いに結合した環構造であってもよい。)
本発明に係る光ラジカル重合開始剤は、非分解型光ラジカル発生部位と共に、ラジカル重合性部位であるエチレン性不飽和基を有しているので、光ラジカル発生剤として用いられるだけでなく、それ自体が光ラジカル開始作用をもつ硬化反応性成分として好適に用いられる。
本発明に係る光ラジカル重合開始剤に光を照射すると、その非分解型光ラジカル発生部位は、低分子分解物の発生を伴わずにラジカル化し、かつ、ラジカル化した非分解型光ラジカル発生部位だけでなく、未反応のまま残留した非分解型光ラジカル発生部位も、樹脂組成物の硬化塗膜中において、エチレン性不飽和基の反応によりマトリックスの化学構造の一部となり、化学的に安定した形で塗膜中に存在する。そのため、塗膜の変質を引き起こしにくい。
しかも、本発明の光ラジカル重合開始剤は、エチレン性不飽和基を一分子内に2個以上有しているので、多官能モノマーやアクリル系樹脂等の他の成分との相溶性が良くなり、他の成分との混合比の自由度が大きい。従って、樹脂組成物中にラジカル発生部位を多量に含ませて感度を向上させることができる。さらに、本発明の光ラジカル重合開始剤は、エチレン性不飽和基の反応率が低い場合であっても、その一分子内に存在する複数のエチレン性不飽和基の一つが反応物のマトリックス構造と結合しさえすれば、同じ分子に存在するラジカル発生部位もマトリックス構造の一部となるので、ラジカル発生部位をマトリックスに固定する能力が高い。
ナフタルイミド構造含有基は、水素引き抜き型のラジカル発生部位として機能し、ラジカル反応を起こしたり、ラジカル重合を開始したり、さらに一分子内にナフタルイミド構造含有基を2個以上有する場合には高分子を架橋することもできる。ナフタルイミド構造含有基は、自己開裂型よりも安定性が高い水素引き抜き型であり、しかも耐熱性が良好なナフタレン骨格を有するため、光ラジカル重合開始剤が、この構造を非分解型光ラジカル発生部位として含む場合には、耐熱性、安定性、保存性が高い。
また、ナフタルイミド構造含有基は、エチレン性不飽和結合だけでなく芳香環等種々の化合物とも反応可能であり、エチレン性不飽和結合を有さない樹脂組成物であっても、高分子を架橋したり或いはラジカル重合を開始することができる。従って、ナフタルイミド構造含有基を非分解性光ラジカル発生部位として持つ感光性多官能化合物は、一般的な光ラジカル重合開始剤として用いられるだけでなく、様々なラジカル反応の開始剤又は促進剤として用いることが可能であり、例えば低分子量の芳香族化合物や芳香族ポリマーを含有する樹脂組成物の架橋剤として用いることができる。
次に、本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記本発明に係る光ラジカル重合開始剤、及び水素供与体を必須成分として含有することを特徴とする。
本発明に係る樹脂組成物を所定のパターンに塗布するか或いは所定の形状に成形した後に光を照射すると、光ラジカル反応が開始され、配合成分によってラジカル二量化反応や、ラジカル性架橋反応等、さまざまなラジカル反応が進行し、硬化及び/又は溶解性の変化を引き起こすことができる。このラジカル反応の際に、光ラジカル重合開始剤の非分解型光ラジカル発生部位は、低分子分解物の副生を伴わずにラジカルを発生させた後、硬化物のマトリックスの化学構造の一部となる。また、光ラジカル重合開始剤の非分解型光ラジカル発生部位が未反応のままでも、同じ分子内のエチレン性不飽和基がマトリックス構造と結合することにより、樹脂組成物の化学構造の一部となる。従って、従来のようにラジカル発生剤が樹脂組成物の硬化物中に遊離の形で残存する問題が生じない。その結果、成形体や膜が高耐熱性、高安定性となる効果があり、最終製品の信頼性を低下させる問題も解決する。また、露光時の臭気(アウトガス)の発生がない為、作業環境が向上する。
特に、本発明に係る樹脂組成物は、他の配合成分に対する光ラジカル重合開始剤の相溶性が高いので、光ラジカル重合開始剤の配合割合を大きくして、例えば、固形分濃度30質量%以上としても光ラジカル反応の感度を向上させることができる。しかも、この樹脂組成物は、反応終了後において未反応のまま残存した非分解型光ラジカル発生部位を硬化物中に固定する能力が高い。
また、本発明に係る樹脂組成物に、非分解型光ラジカル発生部位としてナフタルイミド構造含有基を持つ光ラジカル重合開始剤を配合する場合には、当該樹脂組成物の耐熱性、安定性、保存性を高くすることができる。また、この樹脂組成物は、光ラジカル重合開始剤のナフタルイミド構造含有基によって発生したラジカルが、エチレン性不飽和結合だけでなく芳香環等種々の化合物とも反応可能なため、エチレン性不飽和結合を含有しない樹脂組成物であっても、高分子を架橋したり或いはラジカル反応をすることができ、硬化及び/又は溶解性の変化を引き起こすことができる。
前記感光性樹脂組成物を、パターン形成材料として、或いは、塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料の形成材料として用いる場合には、製品や膜が高耐熱性、高安定性となる効果がある。また、露光時の臭気の発生がない為、作業環境が向上する。
本発明に係る感光性多官能化合物は、光ラジカル開始剤に由来する反応後の分解物や未反応物に起因する様々な問題、例えば、作業安全性の問題や、耐熱性・耐光性の悪化や、着色や退色、塗膜のはがれやクラックの発生等、最終製品の信頼性を低下させる問題や、薬液寿命を短くする問題や、臭気(アウトガス)が発生する問題も全て解決することができる。
また、本発明に係る感光性多官能化合物は、一分子内にラジカル発生部位と共にエチレン性不飽和基をただ一つしか持たない化合物を用いる場合と比べて、相溶性が高いため樹脂組成物中に高濃度で配合することができ、反応率が大きくならない樹脂系においてもラジカル発生部位の固定能力が優れているため、臭気(アウトガス)の発生が非常に少ない。さらに、本発明の感光性多官能化合物は、エチレン性不飽和基を2つ以上有する多官能化合物であり、架橋結合を形成することが可能なので、硬化後の架橋密度を高くする効果もある。
特に、本発明に係る感光性多官能化合物が、非分解型光ラジカル発生部位としてナフタルイミド構造含有基を持つ場合には、ナフタルイミド構造含有基が自己開裂型よりも安定性が高い水素引き抜き型であり、しかも耐熱性が良好なナフタレン骨格を有するため、耐熱性、安定性、保存性が高い。さらに、感光性多官能化合物がナフタルイミド構造含有基を持つ場合には、一般的な光ラジカル重合開始剤として用いられるほか、様々なラジカル反応の開始剤又は促進剤として用いることが可能であり、例えばメチルベンゼンのような低分子量の芳香族化合物やPETのような芳香族部位を有する芳香族ポリマーを含有する樹脂組成物の架橋剤として用いて硬化後の耐溶剤性を向上させることが可能である。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、従来の光硬化性樹脂組成物と異なり、ラジカル発生剤が樹脂組成物の硬化物中に遊離の形で残存する問題が生じない。そのため、成形体や膜が高耐熱性、高安定性となる効果があり、最終製品の信頼性を低下させる問題も解決する。また、露光時の臭気の発生がない為、作業環境が向上する。
特に、本発明に係る樹脂組成物は、他の配合成分に対する感光性多官能化合物の相溶性が高いので、感光性多官能化合物の配合割合を大きくして光ラジカル反応の感度を向上させることができ、しかも、反応終了後において未反応のまま残存した非分解型光ラジカル発生部位を硬化物中に固定する能力が高い。
また、本発明に係る樹脂組成物に、非分解型光ラジカル発生部位としてナフタルイミド構造含有基を持つ感光性多官能化合物を配合する場合には、当該樹脂組成物の耐熱性、安定性、保存性を高くすることができる。
本発明に係る樹脂組成物は、パターン形成材料(レジスト)、コーティング材、印刷インキ、接着剤、充填剤、電子材料、成形材料、3次元造形等、光の照射によって硬化したり又は溶解性が変化する材料が用いられている公知の全ての分野・製品に利用できるが、特に、耐熱性が必要で高度の信頼性を要求される、塗料、印刷インキ、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料を形成するのに適している。
本発明に係る印刷物、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料は、高耐熱性、高安定性の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されているため、製品や膜としても高耐熱性、高安定性であり、そのため生産の歩留まりも高いというメリットがある。
以下において本発明を詳しく説明する。なお本発明において照射光は、感光性多官能化合物のラジカル発生部位をラジカル化し又は感光性樹脂組成物にラジカル反応を引き起こさせることが可能なものであれば良く、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。樹脂組成物の硬化には、主に、波長が2μm以下の電磁波、電子線、電離放射線等が使用される。
先ず、本発明に係る感光性多官能化合物について説明する。本発明に係る感光性多官能化合物には、下記式(1a)で表される第一の化合物(以下「化合物(1a)」という場合がある)と、下記式(1b)で表される第二の化合物(以下「化合物(1b)」という場合がある)とがある。上記いずれの化合物も、1分子中に1個以上の非分解型光ラジカル発生部位及び2個以上のエチレン性不飽和基を有しており、ラジカル発生剤としての機能と、硬化反応性化合物としての機能を兼ね備えている。
Figure 0004574971
(ただし、式(1a)においてR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機基である。X1は、3価以上の基である。A1は、分子構造の分解を伴わずに光を吸収しラジカルを発生することができる非分解型光ラジカル発生部位である。aは1以上の整数であり、bは2以上の整数であり、aとbの和はX1の価数である。一分子内に複数の非分解型光ラジカル発生部位が存在する場合、非分解型光ラジカル発生部位は互いに同一構造であっても異なる構造であっても良い。一分子内に存在する複数のエチレン性不飽和基は互いに同一であっても異なっていても良い。)
Figure 0004574971
(ただし、式(1b)においてR〜Rは、前記式(1a)と同様である。X2は、2価の基である。A2は、分子構造の分解を伴わずに光を吸収しラジカルを発生することができる2価以上の非分解型光ラジカル発生部位である。cはA2の価数である。一分子内に存在する複数のエチレン性不飽和基は互いに同一であっても異なっていても良い。)
本発明において感光性多官能化合物の非分解型光ラジカル発生部位とは、ベンゾインエーテル系化合物の様に、単結合が開裂する事で1つの分子が分解し、2分子のラジカルが発生し重合を開始するラジカル発生機構ではなく、ベンゾフェノンに代表される水素引き抜き機構のように、分解を伴わずにラジカルを発生させるラジカル発生機構を持つ部位のことをいう。一般には、前者に属するラジカル発生剤はType Iのラジカル発生剤、後者に属するラジカル発生剤はType IIのラジカル発生剤と分類されている(光硬化技術、39頁、技術情報協会、2000年)。
本発明の感光性多官能化合物は、光を照射して非分解型光ラジカル発生部位を励起させることによりラジカル反応を起こしたり、ラジカル重合を開始したりすることができる。さらに感光性多官能化合物が一分子内に非分解型光ラジカル発生部位を2つ以上有する場合には、当該ラジカル発生部位の反応形式によっては高分子を架橋することもできる。
非分解型光ラジカル発生部位、すなわち化合物(1a)の構造A1又は化合物(1b)の構造A2としては、例えば、ベンゾフェノン及びその誘導体、ナフタルイミド及びその誘導体、マレイミド及びその誘導体、チオキサントン及びその誘導体、アクリジン及びその誘導体、1,2−ジケトン及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、トリアジン及びその誘導体のうちいずれかの化合物から、X1又はX2と結合すべき1箇所又は2箇所以上の位置から水素原子を取り除いた構造を例示することができる。
特に、化合物(1a)の場合には、構造A1が下記式(3)で表されるナフタルイミド構造含有基であることが好ましい。
Figure 0004574971
(ただし、式(3)においてR、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、互いに結合した環構造であってもよい。)
ナフタルイミド構造含有基によるラジカル発生機構は、ナフタルイミド構造が電磁波や粒子線等の光を吸収して励起することによって水素引き抜き型のラジカル発生部位として機能し、ラジカル反応を起こしたり、ラジカル重合を開始したり、さらに一分子内にナフタルイミド構造含有基を2つ以上有する場合には高分子を架橋することもできる。ナフタルイミド構造含有基は、自己開裂型よりも安定性が高い水素引き抜き型であり、しかも耐熱性が良好なナフタレン骨格を有するため、感光性多官能化合物が、この構造を非分解型光ラジカル発生部位として含む場合には、耐熱性、安定性、保存性が高い。
ナフタルイミド構造含有基等の水素引き抜き型光ラジカル発生部位は、エチレン性不飽和結合だけでなく芳香環等種々の化合物とも反応可能であり、エチレン性不飽和結合を有さない樹脂組成物であっても、高分子を架橋したり或いはラジカル重合を開始することができる。従って、本発明に係る感光性多官能化合物が、水素引き抜き型の光ラジカル発生部位を有する場合には、一般的な光ラジカル重合開始剤として用いられるほか、様々なラジカル反応の開始剤又は促進剤として用いることが可能であり、例えば低分子量の芳香族化合物や芳香族ポリマーを含有する樹脂組成物の架橋剤として用いて硬化後の耐溶剤性を向上させることが可能である。
上記ナフタルイミド構造含有基のR、R、R、R、R及びRは、例えば、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、置換基を有していてもよい1価の有機基、又は、それらが互いに結合した環構造であり、R〜Rは互いに同一であっても、異なっていても良い。また、置換基を有していてもよい1価の有機基としては、飽和又は不飽和のアルキル基、飽和又は不飽和のハロゲン化アルキル基、フェニル、ナフチル等の芳香族基、アリル基等が挙げられる。
ナフタルイミド構造含有基上で置換基が互いに結合した環構造とは、シクロヘキシル基等の脂肪族性の環構造だけでなく、例えば、R、Rに芳香環が結合してアントラセン構造をとるものや、R、Rに芳香環が結合してフェナントレン構造をとるものや、同様にしてピレン構造をとるものやペリレン構造をとるもの等、R乃至Rの位置においてナフタレン環に結合してナフタレンより大きい縮合環炭化水素となっているものも、イミド環が6員環構造になってさえいれば、ナフタルイミド構造含有基に含まれる。また、環構造は芳香族性の縮合環であっても、脂肪族性の環構造であっても良く、さらに環構成原子としてC以外の異種原子を含んでいても良い。
感光性多官能化合物を樹脂組成物中に配合する時の溶解性を向上させる点から、ナフタルイミド構造含有基に導入される置換基としては、炭素数1〜15の飽和及び不飽和アルキル基、炭素数1〜15の飽和及び不飽和アルコキシ基、ブロモ基、クロロ基、フルオロ基等が好ましい。
感光性多官能化合物に含まれるエチレン性不飽和基上のR、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は、飽和又は不飽和の一価有機基である。一価の有機基は、異種原子及び/又は置換基を含んでいても良い。好ましいR、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又は、飽和又は不飽和ヒドロキシアルキル基であり、特に好ましくは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基である。特に、価格やラジカル反応の速度の観点、最終的な塗膜の物性の観点から、エチレン性不飽和基は、Rが水素原子、ハロゲン原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基であり、且つ、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子であることが最も好ましい。
エチレン性不飽和基の好ましい例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、2−トリフルオロメチルアクリロイル基、及び、無置換のビニル基が挙げられる。
非分解型光ラジカル発生部位とエチレン性不飽和基を連結している構造X1又はX2は、必要な価数をもつものであれば如何なる化学構造でも良いが、代表的には炭化水素骨格を含む有機基である。化合物(1a)に含まれる構造X1は3価以上の基であり、下記式(2a)中のY1とZ1が連結した化学構造とすることができる。また、化合物(1b)に含まれる構造X2は2価の基であり、下記式(2b)中のY2とZ2が連結した化学構造とすることができる。
Figure 0004574971
(ただし、式(2a)においてY1は、前記X1と同じ価数をもつ有機基である。b個のZ1は、それぞれ独立して単結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、又は、チオカルバメート結合のいずれかである。なお、R〜R、A1、a、及び、bは前記と同じである。)
Figure 0004574971
(ただし、式(2b)においてc個のY2は、2価の有機基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。c個のZ2は、それぞれ独立して単結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、又は、チオカルバメート結合のいずれかである。なお、R〜R、A2、及び、cは前記と同じである。)
上記Y1及びY2は、必要な価数を持つ有機基であれば特に限定されない。具体的には直鎖、分岐、又は、環状の飽和炭化水素基が挙げられ、いずれも炭素数が1〜15程度のものが好ましい。但し、これらの飽和炭化水素基は、炭素骨格の途中に、脂肪族又は芳香族の環状の部位、及び/又は、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、チオカルバメート結合、カルボジイミド結合、又は、カーボネート結合等の付加的構造を1種又は2種以上含んでもよい。
また、Z1及びZ2は、エチレン性不飽和部位に結合する事が可能な結合であれば良く、公知の2価の結合であれば特に限定されないが、特に、価格や入手のしやすさ、合成の簡便さ等の点から単結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、チオカルバメート結合、カルボジイミド結合、又は、カーボネート結合等が好ましい。
有機基以外の化学構造X1又はX2としては、例えば、シロキサン、シラン、ボラジン等の骨格が挙げられる。
化学構造X1又はX2は、特に、価格や入手のしやすさ、合成の簡便さ、溶解性の観点からは、直鎖、又は分岐のアルキル基が好ましく、その内部にエステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合を含むものがさらに好ましい。また、耐熱性の観点からは、飽和又は不飽和の環状構造を有するような直鎖、又は分岐の炭化水素基が好ましく、その内部にエステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合を含むものがさらに好ましい。
本発明の感光性多官能化合物(化合物(1a)又は(1b))の照射感度を向上させるためには、当該化合物に含まれるラジカル発生部位が放射線によって励起し、ラジカルを発生させ易い化学構造となるようにラジカル発生部位上の置換基、エチレン性不飽和基上の置換基R乃至R、及びこれらを連結するX1又はX2を選定することが有効と考えられる。
本発明の感光性多官能化合物(化合物(1a)又は(1b))の非分解型光ラジカル発生部位が、ナフタルイミド構造含有基等の水素引き抜き型構造を持つ場合には、通常、π結合が多く連結していることから吸収波長がマレイミドよりも長波長化している為、高圧水銀灯の主要な発光波長である365nmの波長に対し吸収を持ちやすく、感度が良好である。
実用的な感度を得るためには、上記した置換基や連結部分Xの選定により、感光性多官能化合物の吸収波長の一部が、プロセスにおける露光光源(照射光源)に含まれるいずれかの波長の発光波長と重なる様にすることが好ましく、特に、感光性多官能化合物の吸収極大が、該吸収極大に最も近い発光波長の値の±20%以内に入ることが好ましく、±10%以内に入ることがさらに好ましい。
同じく感度の点から、プロセスにおける露光光源(照射光源)の発光のいずれかの波長において、感光性多官能化合物のモル吸光係数が0.1以上であることが好ましい。ここでモル吸光係数εとは、Lambert−Beerの法則から導き出される関係で、以下の式で表される。
A=εcb
A=吸光度
b=試料中の光路長(cm)
c=溶質の濃度(mol/L)
通常、同じ濃度の溶液を用い、同じ光路長のセルによって、入射波長を変化させながら吸光度の変化を記録すると、波長によって吸光度が変化し、測定対象とされる化合物に固有の波長において最大モル吸光係数εMAXを示す。上記露光波長における前記感光性化合物のモル吸光係数が0.1以上とは、当該感光性多官能化合物を用いて露光を行う際に採用する波長のいずれかで測定した時のモル吸光係数が0.1以上と言う意味であり、最大モル吸光係数εMAXが0.1以上と言う意味ではない。
また、ナフタルイミド化合物の最大モル吸光係数の点から考えると、ナフタルイミド化合物は、π−π遷移による励起状態を経る事で、ラジカルが発生していると考えられる。非分解型光ラジカル発生部位がナフタルイミド構造を持つ場合には、この構造が、π−π遷移を起こすことが重要である。有機化合物のスペクトルによる同定法 第5版(R.M.Silverstein 1993)によれば、π−π遷移は、10,000以上のモル吸光係数によって特徴付けられるとあるが、実際は、フェノールの様にモル吸光係数が数千程度でもπ−π遷移を起こすものもあるので、ナフタルイミドの最大モル吸光係数が2,000以上であれば、ラジカルの発生や架橋反応をしやすいと考えられる。従って、本発明の感光性多官能化合物がナフタルイミド構造を持つ場合には、当該感光性多官能化合物の最大モル吸光係数εMAXは2000以上であることが好ましい。
一般的な高圧水銀ランプの場合、365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)の3つの大きな発光があるが、実際は、333nm等にも発光があるため、これらの波長付近に感光性多官能化合物の吸収極大があれば良い。また、F2エキシマレーザー(157nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)等で照射を行なう場合には、これらの波長付近に吸収を有していればよい。具体的には、365nm付近の吸収極大は365±73nmの範囲に入るのが好ましく、365±37nmの範囲に入るのがさらに好ましい。
上記した汎用性の高い露光光原の主要な発光波長である157nm、193nm、248nm、365nm、405nm、436nmのいずれかの波長の少なくとも一つと重なる領域に吸収波長が重なる場合には、露光波長として利用するのに便利であり、その波長におけるモル吸光係数が0.1以上であることが特に好ましい。
所望の波長に対して吸収波長をシフトさせる為に、どのような置換基を導入したら良いかという指針として、Interpretation of the Ultraviolet Spectra of Natural Products (A.I.Scott 1964)や、有機化合物のスペクトルによる同定法 第5版(R.M.Silverstein 1993)に記載の表を参考にすることができる。
本発明の感光性多官能化合物の光ラジカル発生部位は非分解型なので、分解型(すなわちType I)とは異なり、硬化反応後にラジカル開始剤又はラジカル開始部位に由来する低分子の残留物が残らず、従って、最終的に得られる硬化膜の耐熱性、安定性、品質等に優れている。特に、感光性多官能化合物の非分解型光ラジカル発生部位が水素引き抜き型構造を持つ場合には、実用的な範囲内で加熱しただけではラジカルを発生させにくいため、化合物自体が耐熱性に優れている。従って、水素引き抜き型の光ラジカル発生部位を持つ感光性多官能化合物を感光性樹脂組成物に配合する場合には、該樹脂組成物の保存安定性が特に良好であり、最終的に得られる硬化膜の安定性も向上し、塗膜の耐光性悪化、着色や退色、塗膜の剥がれやクラックを防止することができる。水素引き抜き型構造のなかでも、特に基本骨格がナフタルイミド骨格のものは加熱による分解を起こしにくいため、光ラジカル発生部位として好適である。
耐熱性の点から、本発明に係る感光性多官能化合物の5%重量減少温度は、50℃以上であることが好ましく、130℃以上であることが更に好ましい。
ここで、5%重量減少温度とは、後述の本発明の実施例と同様の手法で、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
上記感光性多官能化合物は、塗布適性、硬化後の透明性、露光時の感度等を向上させる点から、樹脂組成物に配合する時の溶解性が高いことが好ましい。
塗布時の塗工適性の点からは、感光性多官能化合物は特に溶剤に対する溶解性が高いことが好ましい。具体的には、使用する溶剤、特に後述する汎用溶剤のいずれかに対する感光性多官能化合物の溶解性が0.1重量%以上であることが好ましい。
また、溶剤を用いて透明に溶解した樹脂組成物であっても、その中に含有される固形分同士の相溶性が低い場合には、塗工時に溶剤が揮発すると乾燥中の塗膜内で析出物が生じ、充分な透明性が得られない。そのため、光学部材のように透明性が高い塗膜又は成形体が要求される場合には、樹脂組成物中の他の固形成分、特にエチレン性不飽和結合を有する化合物等の重合性化合物との相溶性が高い感光性多官能化合物を用いることが好ましい。高い透明性が求められる場合には、樹脂組成物を硬化させて形成した塗膜の膜厚が10μmの時に、全光線透過率(JIS K7105)が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが更に好ましい。
感光性多官能化合物の重合性化合物に対する溶解性が高い場合には、開始剤としての作用が向上するので、露光時の感度にも優れる。この点から、モノマー成分の代表としてアクリル酸メチルを用いて溶解性を評価したときに、感光性多官能化合物の20℃におけるアクリル酸メチルに対する飽和濃度が、0.01mol/L以上であることが好ましい。
感光性多官能化合物の溶解性又は相溶性は、非分解型光ラジカル発生部位に置換基を導入することによって向上させることができる。例えば、非分解型光ラジカル発生部位がナフタルイミド構造含有基の場合には、ナフタルイミド環上の置換基として、炭素数1〜15の飽和又は不飽和のアルキル基、同じく炭素数1〜15の飽和又は不飽和のアルコキシ基、ブロモ基、クロロ基、フルオロ基等が好ましい。また、上記式(1a)又は(1b)のX部分(すなわちX1又はX2の部分)の構造を変更するか又は、このX部分に置換基を導入することでも、感光性多官能化合物の溶解性又は相溶性を向上させることができる。感光性多官能化合物の非分解型光ラジカル発生部位又はX部分に導入される置換基又は施される構造変更は、溶解させたい溶剤又は相溶させたい他の固形成分によって種々選択される。例えば、置換基としてカルボキシル基を選択した場合には、水や有機極性溶剤に溶解し易くなり、エステルを導入した場合には、エステル結合を有する溶剤や化合物への溶解性が向上する。
本発明における感光性多官能化合物は、公知の種々の手法を用いて合成することができる。例えば、非分解型光ラジカル発生部位がナフタルイミド骨格を持つ化合物を合成する場合には、ナフタル酸無水物とエチレン性不飽和結合を複数有するアミンとを反応させる手法や、ナフタル酸無水物に複数の水酸基を有するようなアミノアルコールを反応させて、N−ヒドロキシアルキルナフタルイミドを合成した後、メタクリル酸やアクリル酸と脱水縮合させたり、或いは、メタクリル酸クロライドやアクリル酸クロライドと反応させる手法、また、ナフタル酸無水物とβ―アラニンのようなアミノ酸を反応させて、N−カルボキシアルキルナフタルイミドを合成した後、塩化チオニルによって酸クロライドとし、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどの複数のエチレン性不飽和結合を有するアルコールと反応させる手法等が挙げられるが、特に限定されない。
上記合成手法における原料としては、1,8−ナフタル酸無水物、4−ブロモ−1,8−ナフタル酸無水物等の酸無水物の他に、その誘導体を用いても良い。光の吸収波長を、シフトさせたり、吸光係数を変化させる目的で式(3)で表されるナフタルイミド構造含有基のR〜Rに置換基を導入する場合、イミド化反応を行う前に導入しても良いし、イミド化反応後やエチレン性不飽和基と結合させた後に、導入しても良い。
一方、エチレン性不飽和基を導入する原料としては、エチレン性不飽和結合を有すると共に、ナフタルイミド構造含有基と結合させることが可能な官能基を有するものを適宜選択する。エチレン性不飽和基上の置換基R〜Rは、原料化合物に予め導入されていても良いし、或いはエチレン性不飽和基とナフタルイミド構造含有基を結合させた後に導入しても良い。
本発明の感光性多官能化合物を合成する手法をこれより具体的に例示するが、本発明は下記方法により限定されるものではない。
先ず、1,8−ナフタル酸無水物をN,N,−ジメチルホルムアミドに投入し攪拌する。そこへβ―アラニンをナフタル酸無水物と等モル添加し、室温で1〜15時間程度攪拌し、さらに100℃〜130℃で1〜10時間程度、攪拌する。この時、用いる反応溶媒は、ジメチルホルムアミドに限定されず、最終生成物が溶解する溶媒であればよく、各種の有機極性溶媒が好適に用いられる。ナフタル酸無水物は溶解性に乏しく一般の溶媒には溶解しづらいが、アミンと反応することで溶解するようになる。
先に述べた様に、ここで用いる酸無水物は1,8−ナフタル酸無水物だけでなく、目的に応じて4位にブロモ基を有した4−ブロモ−1,8−ナフタル酸無水物のように予め置換基が導入されたものを用いても良い。
1,8−ナフタル酸無水物は、室温でアミンと混合し攪拌するのみでイミド結合を形成する場合がある。さらに反応を加速させるために、室温〜200℃までの範囲で加温しても良い。また、反応の際に発生する水を除去するために、トルエン等の共沸溶媒を混合させて用いても良い。
また、ここで用いるアミン化合物もβ―アラニンに限定されず、目的に応じて種々のアミン化合物を用いることができる。例えば、以下に例示される様なアミンを用いてもよい:グリシン、アラニン、カプロン酸、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、II−メチルアラニン、フェニルアラニン、バリン等の置換アミノ酸。
このように、数時間攪拌された反応液の溶媒を留去、または、水等に投入することで除去し、固体を取り出す。これを、所望の溶媒にて再結晶を行なうことで、N−置換ナフタルイミド化合物を得ることができる。精製の方法は、再結晶に限定されず、昇華精製やカラムクロマトグライフィー等、公知のあらゆる方法を用いることが可能であるが、コストの観点から再結晶が好ましい。
1,8−ナフタル酸無水物にβ―アラニンを反応させて合成した、N−2―カルボキシエチルナフタルイミドは、種々の方法でエチレン性不飽和結合を導入することができる。
一例を挙げると、N−2―カルボキシエチルナフタルイミドを、トルエン溶媒中、チオニルクロライドと1〜4時間還流させる。反応終了後、溶媒のトルエンとチオニルクロライドを留去し、酸クロライドとする。その酸クロライドを、ペンタエリスリトールトリアクリレートと、1.2モル等量の4−ジメチルアミノピリジンを、脱水したトルエン等の溶媒に溶解させた中に徐々に滴下し、1〜15時間室温で攪拌する。分液ろうとで、1N・HClで処理し、4−ジメチルアミノピリジンを水層に移動させる。水層と油層に分離した後、油層を、さらに飽和NaHCO水溶液を用い処理し、未反応のアクリル酸クロライド由来のアクリル酸を水層に移動させ、油層と水層を分離する。このようにして、得られた油層を硫酸マグネシウム等の適当な脱水剤で脱水し、ろ過を行なう。このろ液から溶媒を留去した物をカラムクロマトグラフィーや再結晶等で精製して目的とする感光性多官能化合物が得られる。
上記反応に用い得る、エチレン性不飽和結合を複数有する化合物としては、複数のエチレン性不飽和結合と酸クロライドと反応し結合を形成できる水酸基やアミノ基等の官能基を有していれば良く、上記ペンタエリスリトールトリアクリレートに限定されない。
本発明に係る感光性多官能化合物は、非分解型光ラジカル発生部位と共に、ラジカル重合性部位であるエチレン性不飽和基を有しているので、光を照射して励起させることによりラジカル反応を起こしたり、ラジカル重合を開始するための光ラジカル発生剤として用いられるだけでなく、それ自体が光ラジカル開始作用をもつ硬化反応性成分として好適に用いられる。
本発明に係る感光性多官能化合物に光を照射すると、非分解型光ラジカル発生部位が励起してラジカルが発生し光ラジカル反応が進行するが、その際に分子構造の分解を伴わないので低分子の分解物を遊離させない。また、非分解型光ラジカル発生部位は、同じ分子内に存在するエチレン性不飽和基がラジカル重合により反応物のマトリックス構造に結合すると、この結合を介して非分解型光ラジカル発生部位もマトリックス構造の一部となる。
このように、本発明の感光性多官能化合物の非分解型光ラジカル発生部位は、低分子分解物の発生を伴わずにラジカル化し、かつ、ラジカル化した非分解型光ラジカル発生部位だけでなく、未反応のまま残留した非分解型光ラジカル発生部位も樹脂組成物の硬化塗膜中においてマトリックスの化学構造の一部となり、化学的に安定した形で塗膜中に存在する。
しかも、本発明の感光性多官能化合物は、エチレン性不飽和基を一分子内に2個以上有しているので、多官能モノマーやアクリル系樹脂等の他の成分との相溶性が良くなり、他の成分との混合比の自由度が大きい。従って、樹脂組成物中にラジカル発生部位を多量に含ませて感度を向上させることができる。
さらに、本発明の感光性多官能化合物は、エチレン性不飽和基の反応率が低い場合であっても、その一分子内に存在する複数のエチレン性不飽和基の一つが反応物のマトリックス構造と結合しさえすれば、同じ分子に存在するラジカル発生部位もマトリックス構造の一部となるので、ラジカル発生部位をマトリックスに固定する能力が高い。従って、本発明に係る感光性多官能化合物は、光ラジカル開始剤に由来する反応後の分解物や未反応物に起因する様々な問題、例えば、作業安全性の問題や、耐熱性・耐光性の悪化や、着色や退色、塗膜のはがれやクラックの発生等、最終製品の信頼性を低下させる問題や、薬液寿命を短くする問題や、臭気(アウトガス)が発生する問題も全て解決することができる。本発明に係る感光性多官能化合物は、一分子内にラジカル発生部位と共にエチレン性不飽和基をただ一つしかもたない化合物を用いる場合と比べて、樹脂組成物中に高濃度で配合することができ、架橋密度を高くすることができ、反応率が大きくならない樹脂系においてもラジカル発生部位の固定能力に優れている。
特に、感光性多官能化合物の非分解型光ラジカル発生部位がナフタルイミド構造含有基である場合には、水素引き抜き型のラジカル発生部位として機能し、ラジカル反応を起こしたり、ラジカル重合を開始したり、さらに一分子内にナフタルイミド構造含有基を2つ以上有する場合には高分子を架橋することもできる。ナフタルイミド構造含有基は、自己開裂型よりも安定性が高い水素引き抜き型であり、しかも耐熱性が良好なナフタレン骨格を有するため、感光性多官能化合物が、この構造を非分解型光ラジカル発生部位として含む場合には、耐熱性、安定性、保存性が特に高い。
また、ナフタルイミド構造含有基は、エチレン性不飽和結合だけでなく芳香環等種々の化合物とも反応可能であり、エチレン性不飽和結合を有さない樹脂組成物であっても、高分子を架橋したり或いはラジカル重合を開始することができる。従って、本発明に係る感光性多官能化合物は、一般的な光ラジカル重合開始剤として用いられるほか、例えば芳香族ポリマーを含有する樹脂組成物の架橋剤として用いて硬化後の耐溶剤性を向上させることが可能である。
また、ナフタルイミド構造を合成する反応ではマレイミド構造の合成に比べて脱水縮合反応が速やかに進行し、合成が非常に簡便であり、合成上有利である。そのため、収率、反応速度、管理面、コスト面を含めて生産性が上がる。
次に、本発明に係る感光性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という。)について説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、上述した感光性多官能化合物を必須成分として含有し、必要に応じてラジカル反応性化合物又はその他の硬化反応性化合物、高分子量のバインダー成分、水素供与体、化合物(1a)又は(1b)以外のラジカル発生剤、又は、その他の成分を含有してもよい。
本発明に係る樹脂組成物を所定のパターンに塗布するか或いは所定の形状に成形した後に光照射を行うと、光ラジカル反応が開始され、配合成分によってラジカル二量化反応や、ラジカル性架橋反応等、さまざまなラジカル反応が進行し、硬化及び/又は溶解性の変化を引き起こす。このラジカル反応の際に、感光性多官能化合物の非分解型光ラジカル発生部位は、低分子分解物の副生を伴わずにラジカルを発生させた後、硬化物のマトリックスの化学構造の一部となる。また、感光性多官能化合物の非分解型光ラジカル発生部位が未反応のままでも、同じ分子内のエチレン性不飽和基がマトリックス構造と結合することにより、樹脂組成物の化学構造の一部となる。従って、ラジカル発生剤に由来する揮発性の低分子分解物や不安定な未反応体が樹脂組成物の硬化物中に残存するという従来の問題は、本発明では生じない。その結果、成形体や膜が高耐熱性、高安定性となる効果があり、最終製品の信頼性を低下させる問題も解決する。また、露光時の臭気の発生がない為、作業環境が向上する。
特に、本発明に係る樹脂組成物は、他の配合成分に対する感光性多官能化合物の相溶性が高いので、感光性多官能化合物の配合割合を大きくして、例えば、固形分濃度30質量%以上として、光ラジカル反応の感度を向上させることができ、しかも、反応終了後において未反応のまま残存した非分解型光ラジカル発生部位を硬化物中に固定する能力が高い。
さらに、感光性多官能化合物(1a)又は(1b)は、一分子内にエチレン性不飽和基を2個以上有しているため、ラジカル反応性化合物として機能し、架橋密度も高い。従って、他のラジカル反応性化合物を混合しなくても樹脂組成物を調製することができる。
ここで、架橋とは、架橋結合を生成することをいい、架橋結合とは、鎖状に結合した原子からなる分子のうちの任意の2原子間に橋をかけるようにして形成された結合をいい、この場合の結合は、同一分子内でも他分子間でも良い(化学辞典 東京化学同人 p.1082)。
また、本発明に係る樹脂組成物に、非分解型光ラジカル発生部位としてナフタルイミド構造含有基を持つ感光性多官能化合物を配合する場合には、感光性多官能化合物自体の耐熱性が高いので、当該樹脂組成物の耐熱性、安定性、保存性を高くすることができる。
エチレン性不飽和結合を有する化合物(エチレン性不飽和基を有する化合物)は、ラジカル重合可能な硬化反応性化合物として従来から広く利用されており、応用範囲が広いことから、本発明においても好適に用いられる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合を1つ又は2つ以上有する化合物、及び、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合と共に他の官能基を有する化合物を用いることができ、例えば、前述したエチレン性不飽和基含有化合物、更に、アミド系モノマー、(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、スチレン等の芳香族ビニル化合物を挙げることができる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれであっても良いことを意味する。
アミド系モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン等のアミド化合物がある。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、ヘキサヒドロフタルイミドエチルアクリレート、コハクイミドエチルアクリレート等のイミドアクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノールのアルキレンオキシド付加物のアクリレート類及びそのハロゲン核置換体;エチレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート等の、グリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールおよびそのアルキレンオキサイドの(メタ)アクリル酸エステル化物、イソシアヌール酸EO変性ジまたはトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネートの反応物に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。
ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等があり、低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール及び/又はポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。
また、上記ポリオールと反応させる有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とからの反応物等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸を付加反応させたもので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、フェノールあるいはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテルのジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加反応体等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する化合物は、ラジカル重合性化合物又はラジカル重合以外のラジカル反応性化合物を3次元架橋する点からはエチレン性不飽和結合を2個以上、特に3個以上有することが好ましい。
また、樹脂組成物を、電子部材やカラーフィルター等の用途で露光によりパターンを形成するレジストとして用いる場合には、樹脂組成物のアルカリ現像性を向上させるために、エチレン性不飽和結合を有する化合物としてカルボキシル基やフェノール性水酸基、スルホン酸基、水酸基等のアルカリ可溶性や、親水性の官能基を有するものを用いても良い。
また、エチレン性不飽和結合を有する化合物は、照射光に対する樹脂組成物の感度を阻害しないために、照射波長と非分解型光ラジカル発生部位の吸収波長が重なる波長領域に吸収を持たないことが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、当該組成物の未硬化状態での成膜性及び硬化後の塗膜物性を調節するために、バインダー樹脂として高分子化合物又はラジカル反応以外の反応形式を持つ硬化反応性化合物を配合しても良い。
上記バインダー樹脂としては、樹脂組成物の用途に合わせて公知のあらゆる高分子化合物又はラジカル反応以外の反応形式をもつ硬化反応性化合物を用いることができる。また、高分子化合物としては、非反応性高分子、及び、エチレン性不飽和基等の硬化性反応基を持つ高分子のいずれを用いても良い。
例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネート;酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル又はビニル化合物の重合体及び共重合体;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ホルマール樹脂やブチラール樹脂等のアセタール樹脂;シリコーン樹脂;フェノキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂等に代表されるエポキシ樹脂;ポリウレタン等のウレタン樹脂;フェノール樹脂;ケトン樹脂;キシレン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテル樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリベンゾオキサゾール樹脂;環状ポリオレフィン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリスチレン樹脂;ノボラック樹脂;ポリカルボジイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリノルボルネン等の脂環式高分子;シロキサン系高分子等の公知のあらゆる高分子化合物又は硬化反応性化合物が挙げられる。
また、本発明に係る樹脂組成物に、非分解型光ラジカル発生部位としてナフタルイミド構造含有基を持つ感光性多官能化合物を配合する場合には、感光性多官能化合物のナフタルイミド構造含有基によって発生したラジカルが、エチレン性不飽和結合だけでなく芳香環等種々の化合物とも反応可能なため、エチレン性不飽和結合を有する化合物が存在しない樹脂組成物であっても、高分子を架橋したり或いはラジカル反応をすることができ、硬化及び/又は溶解性の変化を引き起こすことができる。
従って、本発明においては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する感光性樹脂組成物を通常のラジカル重合反応により硬化させるだけでなく、例えば、ポリスチレンやポリエチレンテレフタレート(PET)等の一般的には非重合性の芳香族ポリマーを含有する感光性樹脂組成物を架橋反応により硬化させて、耐溶剤性、耐熱性、硬度、強度、密着性等の膜物性を向上させることができる。
このような用途に本発明の感光性多官能化合物を用いる場合には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等に代表されるエポキシ樹脂やポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ポリカルボジイミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール等の、エチレン性不飽和結合を有さない公知のあらゆる高分子化合物又は重合性化合物と組み合わせることができる。
これらの高分子化合物は、単独で用いても、2種以上を組合わせて用いても良い。バインダー成分である高分子化合物は、樹脂組成物の用途にもよるが重量平均分子量が通常、3000以上であることが好ましい。また、分子量が大きすぎると、溶解性や加工特性の悪化を招くことから、重量平均分子量が通常、10,000,000以下であることが好ましい。
本発明に係る樹脂組成物が充分な効果を発揮するためには、感光性多官能化合物が、樹脂組成物の固形分全体の0.1重量%以上であることが光照射による樹脂組成物の硬化速度が遅くなったり、発生するラジカルの量が少ないため架橋密度が低くなり、塗膜の強度や塗膜のガラス転移温度が低下することを防ぐ点から好ましく、感度や塗膜の物性の点から、1重量%以上であることが更に好ましい。なお、樹脂組成物の固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
エチレン性不飽和基を有する化合物に対する感光性化合物の混合割合は、樹脂組成物の用途、目標とする諸物性を考慮のうえ適宜選択できる。エチレン性不飽和基を有する化合物は、充分な光硬化性を得るために、樹脂組成物の固形分全体の1重量%以上であることが好ましい。
樹脂組成物は、エチレン性不飽和基を有する化合物以外の高分子量のバインダー成分を含んでいても良く、その場合には用途に応じて、樹脂組成物全体の固形分の1重量%以上97重量%以下が好ましい。エチレン性不飽和結合を含まない高分子量バインダー成分が97重量%よりも多い場合は、光による硬化性が低下しやすい。
また、硬化反応性化合物として、エチレン性不飽和基を有する化合物と共に他のラジカル反応性化合物を組み合わせて用いる場合には、組み合わせるラジカル反応性化合物の種類及び量に応じて感光性多官能化合物の量を適宜調節する。
また、本発明の樹脂組成物に、ナフタルイミド構造含有基等の水素引き抜き型ラジカル発生部位を持つ感光性多官能化合物を配合する場合には、水素供与体を添加することによってラジカルの発生効率を向上させ、感度をより高くすることができる。水素供与体の水素供与性基としては、アルキル基のように炭素に直接水素がついている官能基や、一般に水素供与性基として用いられているチオール、アミン、水酸基又はエーテル結合を有する有機基等が挙げられる。特に、水素を供与しやすいチオール、アミン、水酸基、及び、エーテル結合を有する有機基が感度の点から好ましい。エーテル結合は、該エーテル結合の隣りの炭化水素構造(アルカン、アルケン)の水素が引き抜かれ易いと言われている。従って、エーテル結合を含む水素供与基は、そのような水素を有する構造であることが好ましい。
水素供与体に含まれる水素供与性基の配合割合は、感度の点からは、樹脂組成物に含まれている水素引き抜き型ラジカル発生部位のモル数と同じかそれ以上が好ましいが、感度と最終的に得られる塗膜の物性との関係により、適宜、適正な値を選択できる。
本発明の樹脂組成物を光により硬化させる際には、ラジカル反応を促進するために、必要に応じて感光性多官能化合物と共に、その他の光ラジカル発生剤を使用しても良い。感光性多官能化合物と共に他の光ラジカル発生剤を併用する場合には、当該他の光ラジカル発生剤が分解物を生じさせ、硬化膜の変色や物性、分解物の揮発、樹脂組成物の安定性、保存性等の問題を起こす可能性がある。しかしながら、感光性多官能化合物の併用によって他の光ラジカル発生剤の使用量を少なくすることができるので、他の光ラジカル発生剤しか用いない場合と比べて、上記諸問題は発生し難く、仮に発生したとしても程度が軽いので、充分なラジカル反応性を引き出しながらも、光ラジカル発生剤による問題を実用的に許容できる程度に抑えることができる。
その他の光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のモノアシルホスフィンオキシドあるいはビスアシルホスフィンオキシド;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;並びにキサントン類等が挙げられる。
これらの光ラジカル発生剤は単独で使用することも、安息香酸系、アミン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて使用することもできる。これら光ラジカル発生剤の好ましい配合割合は、樹脂組成物の固形分全体に対して0.1重量%以上35重量%以下で、より好ましくは、1重量%以上10重量%以下である。
本発明に係る樹脂組成物に加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子、増感剤等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
これら任意成分の配合割合は、樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、95重量%を越えると、樹脂組成物の特性が最終生成物に反映されにくい。
照射光を吸収してしまうような成分を樹脂組成物中に多量に配合する場合には、感光性多官能化合物に光が十分到達しなくなり、感度が低下する。そのため、樹脂組成物の感度を重視する点から、照射光源の発光波長と樹脂組成物に混合されている本発明の感光性多官能化合物の吸収波長が重なる波長領域における、感光性多官能化合物以外の成分の透過率が20%以上であることが好ましい。
また、本発明に係る樹脂組成物は、溶剤を用いて適切な濃度に希釈しても良い。溶剤としては各種の汎用溶剤、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、修酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。また、反応性希釈剤として、常温で液体のエチレン性不飽和化合物等、反応性基を構造中に有するような化合物を溶剤として用いても良い。これらの溶媒は単独もしくは組み合わせて用いられる。また、これら溶剤は、通常例えば孔径0.05μm〜0.2μm程度のフィルター等、既知の種々の方法で不純物を濾過して用いても良い。
樹脂組成物は、必須成分である感光性多官能化合物に、必要に応じてエチレン性不飽和基を有する化合物等の硬化反応性化合物、高分子量のバインダー成分等の任意成分を場合や用途に応じて攪拌等して混合することにより調製できる。
このようにして得られる本発明に係る樹脂組成物は、パターン形成材料(レジスト)、コーティング材、印刷インキ、接着剤、充填剤、電子材料、成形材料、3次元造形等、光の照射によって硬化したり又は溶解性が変化する材料が用いられている公知の全ての分野・製品に利用できるが、特に、耐熱性が必要で高度の信頼性を要求される、塗料、印刷インキ、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料を形成するのに適している。
例えば、カラーフィルターの場合には、画素部、当該画素部の境界に設けられる遮光部(ブラックマトリックス)、保護膜、セルギャップを維持するためのスペーサーを上記感光性樹脂組成物の硬化物により形成することができる。
電子部品の場合には、例えば、半導体装置のアンダーフィル剤、封止剤、等が例示できる。
層間絶縁膜としては、耐熱性、絶縁信頼性が要求されるビルドアップ基板用の層間絶縁膜や燃料電池における層間絶縁膜、自動車部品や家電製品の絶縁コーティング、等を上記感光性樹脂組成物の硬化物により形成することができる。
また、配線保護膜としては、プリント配線板の表面の配線保護層であるソルダーレジストや、電線の表面被覆、等が例示できる。
光学部材の場合には、各種光学レンズのオーバーコートや、反射防止膜、光導波路、分波装置等の光回路部品、レリーフ型、及び体積型のホログラム、等が例示できる。
建築材料の場合には、壁紙、壁材、床材その他の揮発成分の少ない表皮材料、接着・粘着材料、インキ等が例示できる。
本発明に係る印刷物、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料は、高耐熱性、高安定性の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されているため、高耐熱性、高安定性であり、そのため生産の歩留まりも高いというメリットがある。
1.実施例及び比較例
(実施例1)
(1)前駆体1の合成
1L(リットル)のなす型フラスコに、1,8−ナフタル酸無水物 19.8g(0.1mol)とN,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF)500mlと触媒量のピリジンを入れ、攪拌した。そこに、β―アラニン 8.9g(0.1mol)を添加し、室温で4時間攪拌した後、130℃で5時間攪拌した。ロータリーエバポレーターによって、DMFを留去し、メタノールによって再結晶をし、前駆体1の針状結晶を20.9g得た。(前駆体1)
Figure 0004574971
(2)前駆体2の合成
前駆体1 2.7g(10mmol)を乾燥させたトルエン40mlに溶解させ攪拌した。そこへ、チオニルクロライド 23.8g(200mmol)を加え、4時間還流させた。反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒のトルエンと未反応のチオニルクロライドを留去し、前駆体2を得た。
(3)化合物1の合成
ペンタエリスリトールトリアクリレート 1.5g(5mmol)と4―ジメチルアミノピリジン 1.3g(10mmol)を300mlの3つ口フラスコに投入し、中央部の口に塩化カルシウム管をつけ、残りの2つはシリコンWキャップ(商品名:アズワン社製)で密閉した。そこへ予め脱水されたテトラヒドロフラン(THF)100mlをシリンジを用い、投入し室温で攪拌する。そこへ、予め調製しておいた前駆体2を、50mlの乾燥させたTHFに溶解させたものを滴下し、室温で10時間攪拌する。その後、反応液を分液ろうとにより、1N・HClで処理し、4−ジメチルアミノピリジンを水層に移動させた。水層と油層に分離した後、油層を、さらに飽和NaHCO溶液を用い処理し、未反応のアクリル酸クロライド由来のアクリル酸を水層に移動させ、油層と水層を分離した。このようにして得られた油層を硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過を行なった。このろ液から溶媒を留去したものをクロロホルム−酢酸エチル混合溶媒を用いカラムクロマトグラフィーによって精製することで目的物(化合物1)を1.9g得た。
Figure 0004574971
(比較例1)
(1)比較前駆体1の合成
1Lのなす型フラスコに、1,8−ナフタル酸無水物 19.8g(0.1mol)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)500mlと触媒量のピリジンを入れ、攪拌した。そこに、2−アミノエタノール 6.7g(0.11mol)を滴下し、室温で15時間攪拌した。ロータリーエバポレーターによって、DMFを留去し、メタノールによって再結晶し、N−2−ヒドロキシエチルナフタルイミドの針状結晶を22.5g得た。(比較前駆体1)
Figure 0004574971
(2)比較化合物1の合成
比較前駆体1(N−2−ヒドロキシエチルナフタルイミド)9.6g(40mmol)と、4−ジメチルアミノピリジン 5.4g(44mmol)を1Lの3つ口フラスコに投入し、中央部の口に塩化カルシウム管をつけ、残りの2つはシリコンWキャップ(商品名:アズワン社製)で、密閉する。そこへ予め脱水されたTHF 500mlをシリンジを用い、投入し室温で攪拌する。そこへ、アクリル酸クロライド 4.0g(44mmol)を滴下し、室温で10時間攪拌する。その後、反応液を分液ろうとで、1N・HClで処理し、4−ジメチルアミノピリジンを水層に移動させた。水層と油層に分離した後、油層を、さらに飽和NaHCO溶液を用い処理し、未反応のアクリル酸クロライド由来のアクリル酸を水層に移動させ、油層と水層を分離した。このようにして得られた油層を硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過を行なった。このろ液から溶媒を留去した物をクロロホルム−酢酸エチル混合溶媒で再結晶して目的物(比較化合物1)を10.3g得た。
Figure 0004574971
(比較例2)
(1)比較前駆体2の合成
使用原料のアミンを、2−(2−アミノエトキシ)エタノールに変更した以外は、比較例1の比較前駆体1の合成と同様の条件で反応を行った。なお、各原料は比較比較例1と同じモル数で仕込んだ。(比較前駆体2)
Figure 0004574971
(2)比較化合物2の合成
使用原料を比較前駆体2に変更した以外は、比較例1の比較化合物1の合成と同様の条件で反応を行った。なお、各原料は比較例1と同じモル数で仕込んだ。(比較化合物2)
Figure 0004574971
2.評価試験
(1)溶解性評価
非分解型光ラジカル発生剤と2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物として、実施例1で得られた化合物1を用い、単官能モノマーであるアクリル酸メチルと、3官能モノマーであるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)の夫々に対する溶解性(飽和モル濃度)を調べた。比較の為に、化合物1と類似構造であるがエチレン性不飽和基を1つしか持たない比較化合物1と比較化合物2の溶解性も調べた。
Figure 0004574971
その結果、化合物1は室温で液状であるためアクリル酸メチルやPETAと混合させても完全に混合し合い、モル濃度の測定が不可能であった。
一方、エチレン性不飽和結合を1つしか持たない比較化合物1及び2は溶解の飽和状態が確認され、夫々モル濃度を測定できた。このことから、エチレン性不飽和結合を2つ以上有すると溶解性が向上することが分かる。溶解性が向上することで硬化型樹脂組成物とした時に混合比の自由度が向上するだけでなく、マトリックス成分との相溶性が向上するため、より透明性の高い(ヘイズの低い)塗膜を作製することができる。
(2)硬化性評価
多官能モノマーとして、水酸基含有5官能アクリレート(商品名:サートマーSR399、日本化薬(株)製)及び、6官能アクリレート(商品名:M400、東亞合成(株)製)を用い、化合物1の2重結合と多官能モノマーの2重結合とがモル比で1/100(=化合物1/多官能モノマー)となる割合で混合した溶液を調製し、ガラス基板上にスピンコートした。化合物1と比較する為に、比較化合物1及び2を用いて同様に多官能モノマーと混合した。
得られた各溶液をガラス基板上にスピンコートし、塗膜を形成した。上記塗膜に、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA-1200)を用い、h線換算で2000mJ/cm照射を行った後、塗膜が硬化しているか確認した。以下の表に結果を示す。
Figure 0004574971
(3)アウトガス試験
化合物1とペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(商品名:M−305 東亞合成(株)製)を、化合物1の2重結合とPETAの2重結合がモル比で1/100(=化合物1/PETA)となる割合で混合し、さらにクロロホルムで固形分が20wt%となるように希釈した。(感光性樹脂組成物1)
上記感光性樹脂組成物1を、ガラス基板上にスピンコートし、50℃のホットプレート上で1分間加熱後、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA-1200)を用い、高圧水銀灯によりh線換算で2000mJ/cmの露光を行ない、厚さ25μmの塗膜を得た。
その塗膜が形成されたガラス基板を、1cm×1.5cmの大きさに切り出し、250℃で1時間加熱した時に発生したガスを、GC-MS((株)島津製作所製 QP-5000)を用いて分析した。その他の測定条件は以下の通りである。
捕集装置 :日本分析工業(株)キューリーポイントパージアンドトラップ(JHS-100A型)
加熱条件 :250℃×60min
吸着剤 :TENAX TA(2,6-Diphenyl-p-Phenylene Oxide) 弱極性
捕集温度 :−40℃(冷却に液体窒素使用)
熱分解温度:255℃×30s
注入口温度:250℃
カラム :5%フェニル−95%ジメチルシロキサン(PTE-5) 微極性
内径:0.25μm 長さ:30m
カラム温度:50℃×5min(保持)−10℃/min(昇温)−320℃×3min(保持)
イオン化法:電子衝突イオン化法(EI法)
検出器 :四重極型検出器
アウトガス試験の結果、多官能モノマーM-305由来の分解物が検出されたが、化合物1由来の分解物は検出されなかった。以上の事より、本発明の化合物は、加熱によって開始剤由来の分解物をガスとして発生させる事がないことが明らかとなった。

Claims (32)

  1. 下記式(1a)で表される、1分子中に1個以上の非分解型光ラジカル発生部位及び2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物からなり、157nm以上2μm以下の可視領域及び非可視領域の波長の電磁波を吸収することによりラジカルを発生する、光ラジカル重合開始剤。
    Figure 0004574971
    (ただし、式(1a)においてR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、飽和又は不飽和炭化水素基、飽和又は不飽和ハロゲン化炭化水素基、又は、飽和又は不飽和ヒドロキシ炭化水素基である。X1は、3価以上の基である。A1は、下記式(3)で表されるナフタルイミド構造含有基である。aは1以上の整数であり、bは2以上の整数であり、aとbの和はX1の価数である。一分子内に複数のナフタルイミド構造含有基が存在する場合、ナフタルイミド構造含有基は互いに同一構造であっても異なる構造であっても良い。一分子内に存在する複数のエチレン性不飽和基は互いに同一であっても異なっていても良い。)
    Figure 0004574971
    (ただし、式(3)においてR 、R 、R 、R 、R 及びR は、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、互いに結合した環構造であってもよい。)
  2. 前記式(1a)においてR〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基である請求項1に記載の光ラジカル重合開始剤。
  3. 前記式(1a)において、Rが水素原子、ハロゲン原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はヒドロキシメチル基であり、かつR及びRが水素原子である請求項2に記載の光ラジカル重合開始剤。
  4. 前記式(1a)の化合物が下記式(2a)で表される化合物から選ばれる請求項1乃至3のいずれかに記載の光ラジカル重合開始剤。
    Figure 0004574971
    (ただし、式(2a)においてY1は、前記X1と同じ価数をもつ有機基である。b個のZ1は、それぞれ独立して単結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、カルボジイミド結合、又は、チオカルバメート結合のいずれかである。なお、R〜R、A1、a、及び、bは前記と同じである。)
  5. 前記Y1は、直鎖、分岐鎖、又は、1つ以上の環構造をもつ飽和炭化水素基であって、炭素骨格の途中に、脂肪族又は芳香族の環状の部位、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、チオカルバメート結合、カルボジイミド結合、又は、カーボネート結合を含んでいても良いものである、請求項4に記載の光ラジカル重合開始剤。
  6. 前記式(3)においてR、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、置換基を有していてもよい飽和又は不飽和のアルキル基、置換基を有していてもよい飽和又は不飽和のハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基、又は、それらが互いに結合した環構造である請求項1乃至5のいずれかに記載の光ラジカル重合開始剤。
  7. 5%重量減少温度が、50℃以上である請求項1乃至のいずれかに記載の光ラジカル重合開始剤。
  8. 前記請求項1乃至のいずれかに記載の式(1a)で表される光ラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1つ、及び水素供与体を必須成分として含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物。
  9. チレン性不飽和基を有する化合物、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物以外の硬化反応性化合物、前記光ラジカル重合開始剤以外のラジカル発生剤、及び、重量平均分子量3000以上のバインダー樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一成分をさらに含有する請求項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. パターン形成材料として用いられることを特徴とする、請求項又はに記載の感光性樹脂組成物。
  11. 塗料として用いられる、請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  12. 印刷インキとして用いられる、請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  13. カラーフィルターの形成材料として用いられる、請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  14. 電子部品(電子写真感光体を除く)の形成材料として用いられる、請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  15. 層間絶縁膜の形成材料として用いられる、請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  16. 配線被覆膜の形成材料として用いられる、請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  17. 光学部材の形成材料として用いられる、請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  18. 光回路又は光回路部品の形成材料として用いられる、請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  19. 反射防止膜の形成材料として用いられる、請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  20. ホログラムの形成材料として用いられる、請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  21. 建築材料の形成材料として用いられる、請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  22. 前記請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物。
  23. 前記請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、カラーフィルター。
  24. 前記請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、電子部品(電子写真感光体を除く)。
  25. 前記請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、層間絶縁膜。
  26. 前記請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、配線被覆膜。
  27. 前記請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、光学部材。
  28. 前記請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、光回路。
  29. 前記請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、光回路部品。
  30. 前記請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、反射防止膜。
  31. 前記請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、ホログラム。
  32. 前記請求項乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、建築材料。
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