JP2019043864A - ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体、該化合物を含有する重合性組成物およびその硬化物、当該硬化物の製造方法 - Google Patents

ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体、該化合物を含有する重合性組成物およびその硬化物、当該硬化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ランプから放出される365nm等の光を効率よく吸収してラジカルを発生できる光重合性と、熱により効率よくラジカルを発生できる熱重合性を併せ持つペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体を提供すること。【解決手段】一般式(1):(式(1)中、R1およびR2は独立してメチル基またはエチル基を表し、R3は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R4は水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、R5は独立した置換基であって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または塩素原子を表し、nは0から3の整数を表し、また、−X−は存在してもよく、−X−が存在する場合、単結合、−O−または−S−を表す。)で表されるペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体。【選択図】なし

Description

本発明は、ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体、該化合物を含有する重合開始剤とラジカル重合性化合物を含有する重合性組成物およびその硬化物と、当該硬化物の製造方法に関する。
高分子等を合成するために、重合開始剤として、熱または光、酸化−還元によりラジカルを発生させるラジカル重合開始剤が広く用いられている。特に、光重合開始剤は、光等の活性エネルギー線を吸収することで、結合開裂や水素引き抜き反応によりラジカルを発生させることができ、ラジカル重合性化合物の重合開始剤として利用される。例えば、α−ヒドロキシアセトフェノン誘導体やα−アミノアセトフェノン誘導体、アシルホスフィンオキサイド誘導体、ハロメチルトリアジン誘導体、ベンジルケタール誘導体等が利用されている。
上記のような光重合開始剤とラジカル重合性化合物からなる光重合性組成物は、光照射により速やかに硬化するため、速硬化性や低VOC等の観点から、コーティング剤や塗料、印刷インキ、感光性印刷版、接着剤、各種フォトレジスト等の用途に適用されている。
一方、特許文献1には、光または熱によりラジカルを発生する分子内に過酸化結合(−O−O−)を有する3,3’,4,4’−テトラキス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)を有効成分とする重合開始剤が開示されている。また、特許文献2には、BTTBとラジカル重合性化合物からなる接着剤組成物が開示されており、常温での光の照射による硬化と、その後の150℃で2時間の加熱による硬化を行なうデュアルキュアにより、接着剤が強固な接着強度と高い耐熱性を発揮している。
このように光重合性と熱重合性を併せ持つデュアルキュアタイプの重合性組成物は、加熱による暗部硬化性の向上においても活用することができる。このようなデュアルキュアタイプの重合性組成物は、例えば、光を吸収や散乱する顔料やフィラーが高濃度に配合された重合性組成物の硬化や、フラットパネルディスプレイの製造工程における保護カバー周辺の黒枠やタッチパネル電極の下部等の光が届かない箇所の硬化、炭素繊維強化プラスチックの硬化に有効である。
特開昭59−197401号公報 特開2000−96002号公報
しかしながら、特許文献2に記載されているBTTBを含む重合性組成物を加熱により硬化する場合、BTTBの熱分解温度が高いために、2時間程度でBTTBをほぼ完全に分解させるためには140℃以上の加熱が必要であった。このため、非常に高い耐熱性を有する金属やポリイミドを基材に使用することはできるが、ディスプレイの前面板やレンズ用途等に有用なポリカーボネート樹脂等を基材に使用することができなかった。このため、重合開始剤としては、高圧水銀ランプやLEDから放射される365nm等の光により効率よく分解し、かつ、100℃程度の加熱により効率よく分解することが課題として挙げられる。
従って、上記課題を解決すべく、本発明は、ランプから放出される365nm等の光を効率よく吸収してラジカルを発生できる光重合性と、熱により効率よくラジカルを発生できる熱重合性を併せ持つペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体を提供するものである。
さらに、本発明は、上記のペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体を含む重合開始剤とラジカル重合性化合物を含有する重合性組成物およびその硬化物と、当該硬化物の製造方法を提供するものである。
即ち、本発明は、一般式(1):
Figure 2019043864
(式(1)中、RおよびRは独立してメチル基またはエチル基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Rは独立した置換基であって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または塩素原子を表し、nは0から3の整数を表し、また、−X−は存在してもよく、−X−が存在する場合、単結合、−O−または−S−を表す。)で表されることを特徴とするペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体、に関する。
また、本発明は、前記ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体を含む(a)重合開始剤および(b)ラジカル重合性化合物を含有する重合性組成物、および該重合性組成物から形成される硬化物と、当該硬化物の製造方法、に関する。
本発明のペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体は、ランプから放出される365nm等の光に対して効率よくラジカルを発生でき、かつ分子内に過酸化物結合を有するので、光および熱重合開始剤として有用なものである。ベンゾフェノン骨格、キサントン骨格、及びチオキサントン骨格にかかる誘導体は、365nmの光を吸収し、ベンゾフェノン骨格、キサントン骨格、チオキサントン骨格の順序で、吸収スペクトルが長波長シフトし、365nmの吸光度が優れる。よって、当該ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体を含む(a)重合開始剤と(b)ラジカル重合性化合物を含む重合性組成物は、光の照射により良好に硬化でき、かつ光の届かない暗部でも熱により良好に硬化することができる。さらに、重合性組成物の表面から光の照射により重合反応を開始し、重合熱の拡散によりペルオキシエステル基の分解が促進されることにより、外部から加熱を行うことなく、重合性組成物の硬化反応を深部に至るまで継続させるフロンタル重合を行うことができる。
<ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体>
本発明のペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体は、一般式(1)で表すことができる。
Figure 2019043864
(式(1)中、RおよびRは独立してメチル基またはエチル基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Rは独立した置換基であって、炭素数1〜4の炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または塩素原子を表し、nは0から3の整数を表し、また、−X−は存在してもよく、−X−が存在する場合、単結合、−O−または−S−を表す。)
前記一般式(1)中、RおよびRは独立してメチル基またはエチル基を表す。RおよびRは、前記ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体の合成が容易である観点から、メチル基が好ましい。
前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表す。前記アルキル基は、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2,2−ジメチルプロピル基が挙げられる。これらの中でも、前記ベンゾフェノン誘導体の合成が容易である観点から、メチル基、エチル基、プロピル基であることが好ましい。ランプの光に対する感度が高い点から、メチル基、エチル基であることがより好ましい。
前記一般式(1)中、Rは水素原子、メチル基、またはエチル基を表す。Rは熱により容易にラジカルを発生する及びフロンタル重合が置き易い観点からメチル基、エチル基であることが好ましい。前記ベンゾフェノン誘導体の合成が容易である観点から、Rはメチル基であることがより好ましい。
前記一般式(1)中、ペルオキシエステル基の置換位置は、特に限定されないが、ベンゾフェノン骨格の場合、ランプの光に対する感度が高い点から、3位、または4位に置換されていることが好ましく、前記ベンゾフェノン誘導体の合成が容易である観点から、3位に置換されていることがより好ましく、フルオレノン骨格、キサントン骨格、チオキサントン骨格の場合、ランプの光に対する感度が高い点から2位、3位、または4位に置換されていることが好ましく、合成が容易である観点から、2位または3位に置換されていることがより好ましい。
前記一般式(1)中、Rは独立した置換基であって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または塩素原子を表す。使用するランプの発光波長に対して、これら置換基にかかるプッシュ・プル効果により、ペルオキシエステルの光の吸収特性を調整することができ、ランプの光を効率よく吸収することができる。
前記一般式(1)中、nは0から3の整数を表す。前記ベンゾフェノン誘導体の合成が容易である観点から、nは0から2の整数が好ましく、0または1がより好ましく、0がさらに好ましい。
前記一般式(1)中、nが1から3の整数の場合、前記Rの置換位置は、特に限定されないが、ベンゾフェノン骨格の場合、ランプの光に対する感度が高い点から、ペルオキシエステル基が置換されたベンゼン環とは別のベンゼン環の3’位、または4’位に置換されていることが好ましく、前記ベンゾフェノン誘導体の合成が容易である観点から、3’位に置換されていることがより好ましく、フルオレノン骨格、キサントン骨格、チオキサントン骨格の場合、ランプの光に対する感度が高い点から6位、または7位に置換されていることが好ましく、合成が容易である観点から、7位に置換されていることがより好ましい。
前記Rの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等のアルコキシ基;塩素原子等が挙げられる。
前記一般式(1)中、−X−は存在してもよく、−X−が存在する場合、単結合、−O−または−S−を表す。ランプの光を効率よく吸収する観点から、−X−は、−O−または−S−であることが好ましい。なお、−X−が存在しない場合、−X−に係るベンゼン環の炭素原子は、独立して、無置換であってもよく、Rで置換されていてもよい。
以下に本発明のペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2019043864
本発明のペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体としては、好ましくは化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6、化合物7、化合物8、化合物9、化合物11が挙げられ、より好ましくは化合物3、化合物4、化合物5、化合物9、化合物11が挙げられる。
<ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体の製造方法>
前記一般式(1)で表されるペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体の製造方法は、例えば、下記反応式のように、カルボン酸体と、塩化チオニル、三塩化リン、ホスゲン等の塩素化剤を反応させることにより、酸クロライド体を得る工程(以下、工程(A)とも称す)と、続いて、得られた酸クロライド誘導体と、ヒドロペルオキシドを、アルカリの存在下で、反応させる工程(以下、工程(B)とも称す)を含む方法が挙げられる。なお、上記の工程(A)および/または(B)の後には、余剰の塩素化剤等を減圧留去(除去)する工程や、精製工程を含んでもよい。なお、前記工程(B)およびそれ以降の工程は、特開昭51−115411号公報等に記載の公知のペルオキシエステルの合成法に準じて合成することもできる。
Figure 2019043864
(上記反応式において、R、R、R、R、R、nおよび−X−は前記一般式(1)と同じである。)
前記工程(A)において、前記カルボン酸体は、市販品を利用できる。なお、市販品がない場合、Organic Lettrer,8(6),1057−1060(2006)等に記載の公知の合成法に準じて合成することができる。塩素化剤は、前記カルボン酸体1モルに対して、目的物の収率性を高める観点から、1モル以上反応させることが好ましく、1.1モル以上反応させることがより好ましく、そして、溶媒を兼ねて大過剰量を使用して反応させることもできるが、10モル以下反応させることが好ましく、5モル以下反応させることが好ましい。
前記工程(A)において、反応温度は、目的物の収率性を高める観点から、0℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、そして、150℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
前記工程(A)において、反応時間は、原料や反応温度等によって異なるので一概には決定できないが、通常、目的物の収率性を高める観点から、30分以上20時間以下である。
上記の工程(A)で得られた酸クロライド体と、ヒドロペルオキシドを、アルカリの存在下で、反応させる工程(B)により、ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体が得られる。ヒドロペルオキシドは、酸クロライド体1モルに対して、目的物の収率性を高める観点から、0.8モル以上反応させることが好ましく、1.0モル以上反応させることがより好ましく、そして、3.0モル以下反応させることが好ましく、1.5モル以下反応させることが好ましい。なお、ヒドロペルオキシドは、市販品を利用でき、市販品がない場合、特開昭58−72557号公報等に記載の公知の合成法に準じて合成することができる。
前記工程(B)において、反応温度は、目的物の収率性を高める観点から、−10℃以上であることが好ましく、0℃以上であることがより好ましく、そして、40℃以下であることが好ましく、30℃以下であることがより好ましい。
前記工程(B)において、反応時間は、原料や反応温度等によって異なるので一概には決定できないが、通常、目的物の収率性を高める観点から、10分以上6時間以下である。
前記工程(B)において、使用するアルカリは、特に制限はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ピリジン、α―ピコリン、γ―ピコリン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。アルカリは、ヒドロペルオキシド1モルに対して、目的物の収率性を高める観点から、0.8モル以上使用することが好ましく、0.9モル以上使用することがより好ましく、そして、2.0モル以下使用することが好ましく、1.5モル以下使用することが好ましい。
前記工程(B)では、酸クロライド誘導体が液状である場合は、有機溶媒を用いずに反応を行うことができる。また、酸クロライドが固体である場合は、有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒としては、ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体の種類により溶解度が異なるため、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。前記有機溶媒は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記有機溶媒の使用量は、通常、原料の合計量100質量部に対して30〜500質量部程度である。有機溶媒は工程(B)の後に留去することで、ペルオキシシンナメート誘導体を取り出してもよく、取り扱い性の向上や熱分解時の危険性を低減させるため、ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体を有機溶媒の希釈品として使用してもよい。
前記工程(A)および(B)は、常圧下で、空気下で行うことができるが、窒素気流下又は窒素雰囲気下で行ってもよい。
前記精製工程としては、余剰の原料や副生物を除去するために、例えば、イオン交換水や、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液を用いて洗浄し、目的物を精製する工程が挙げられる。
<重合性組成物>
本発明の重合性組成物は、(a)重合開始剤および(b)ラジカル重合性化合物を含有する。さらに、重合性組成物は、(c)アルカリ可溶性樹脂を含有することで現像性を付与することができる。また、重合性組成物は、その他の成分を適宜組み合わせて含有させることができる。
<(a)重合開始剤>
本発明の(a)重合開始剤は、前記一般式(1)で表されるペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体を含有する。(a)重合開始剤は、活性エネルギー線または熱により分解し、発生したラジカルが(b)ラジカル重合性化合物の重合(硬化)を開始する働きを有する。ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
また、前記(a)重合開始剤は、ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体以外の重合開始剤(以下、他の重合開始剤とも称す)を含有することができる。吸収帯の異なる他の重合開始剤を使用することで、例えば、高圧水銀ランプ等の複数の波長の光が放射されるランプに対し、重合性組成物の高感度化を図ることができる。また、重合性組成物に含まれる(b)ラジカル重合性化合物の重合性、重合性組成物に含まれる光を吸収や散乱する顔料等の種類、硬化物の膜厚等を考慮して、他の重合開始剤を用いることで、重合性組成物の表面硬化性や深部硬化性、透明性等を改良することができる。
前記他の重合開始剤としては、公知のものが使用でき、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒロドキシ−1−(4−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン等のα―ヒドロキシアセトフェノン誘導体;2−メチル−4’−メチルチオ−2−モルホリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−(N,N−ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン等のα―アミノアセトフェノン誘導体;ジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(メシチルカルボニル)フェニルホスフィナート等のアシルホスフィンオキサイド誘導体;1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[({1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エチリデン}アミノ)オキシ]エタノン、等のオキシムエステル誘導体;2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等のハロメチルトリアジン誘導体;2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノン等のベンジルケタール誘導体;イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;3−ベンゾイルー7−ジエチルアミノクマリン、3,3‘−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)等のクマリン誘導体;2−(2−クロロフェニル)−1−[2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニル−1,3−ジアゾール−2−イル]−4,5−ジフェニルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;3,3‘、4,4’−テトラキス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジベンゾイルペルオキシド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;カンファーキノン等が挙げられる。他の重合開始剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記(a)重合開始剤の含有量は、(b)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.1から40質量部であることが好ましく、0.5から20質量部であることがより好ましく、1から15質量部であることがさらに好ましい。(a)重合開始剤の含有量は、(b)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部未満では硬化反応が進行しないため好ましくない。また、(a)重合開始剤の含有量は、(b)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、40質量部より多い場合、(b)ラジカル重合性化合物への溶解度が飽和に達し、重合性組成物の成膜時に(a)重合開始剤の結晶が析出し、皮膜表面の荒れが問題になる場合や、(a)重合開始剤の分解残渣の増加により、硬化物の塗膜の強度が低下する場合があるため、好ましくない。
なお、前記(a)重合開始剤に、前記他の重合開始剤を含む場合、他の重合開始剤の割合は、(a)重合開始剤中、80質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。
<(b)ラジカル重合性化合物>
本発明の(b)ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を好ましく用いることができる。(b)ラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、イタコン酸エステル類、桂皮酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、N−置換マレイミド類、N−ビニル化合物類、不飽和ニトリル類、オレフィン類等が挙げられる。これらの中でも、反応性が高い(メタ)アクリル酸エステル類を含むことが好ましい。(b)ラジカル重合性化合物は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステル類は、単官能化合物および多官能化合物を使用することができる。単官能化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2―エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と脂環族アルコールとのエステル化合物;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、水酸基末端ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有するモノマー;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート等の鎖状または環状のエーテル結合を有するモノマー等;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の窒素原子を有するモノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー;リン酸2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル等のリン原子を有するモノマー;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のケイ素原子を有するモノマー;2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有するモノマー;(メタ)アクリル酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、マレイン酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、ω−カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有するモノマー等が挙げられる。
前記多官能化合物としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル)フルオレン等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;ビス(4−(メタ)アクリロイルチオフェニル)スルフィド、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸ジルコニウム、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル類は、重合性組成物の感度の向上、酸素阻害の低減や、硬化物の機械的強度や硬度、耐熱性、耐久性、耐薬品性の向上の観点から、前記多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物が好ましく、特に、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
なお、前記重合性組成物は、前記(b)ラジカル重合性化合物から得られた共重合体を加えることができる。
<(c)アルカリ可溶性樹脂>
前記重合性組成物は、さらに(c)アルカリ可溶性樹脂を配合することにより、ネガ型レジストとして好適に使用することができる。(c)アルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に使用されるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶な樹脂であれば特に限定されないが、カルボキシル基を含む樹脂であることが好ましい。(c)アルカリ可溶性樹脂は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
本発明の(c)アルカリ可溶性樹脂には、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物、カルボキシル基含有エポキシアクリレート樹脂等が好ましく使用される。
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物は、前述の(メタ)アクリル酸エステル類の単官能化合物から選ばれる少なくとも1種(但し、前記カルボキシル基を有するモノマーを除く)と、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の二量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、マレイン酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、ω−カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、およびそれらの酸無水物等のエチレン性不飽和基含有カルボン酸から選ばれる少なくとも1種を含む共重合物である。
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物としては、例えば、メチルメタクリレートと、シクロヘキシルメタクリレートと、メタクリル酸の共重合物やベンジルメタクリレートと、メタクリル酸の共重合物等が挙げられる。さらに、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等が共重合されても良い。
また、前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物は、ネガ型レジストの現像性と耐熱性、硬度、耐薬品性等の被膜特性を両立させる観点から、エチレン性不飽和基等の反応性基が側鎖に導入されたカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物も好ましく使用される。上記の側鎖にエチレン性不飽和基を導入する方法として、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物のカルボキシル基の一部に、グリシジル(メタ)アクリレート等の分子内にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させる方法や、エポキシ基およびカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物に、メタクリル酸等のエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸を付加させる方法や、水酸基およびカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物に、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等の分子内にイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させる方法等が挙げられる。
前記カルボキシル基含有エポキシアクリレート樹脂としては、エポキシ化合物と前記エチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応物であるエポキシアクリレート樹脂に、更に酸無水物を反応させた化合物が好適である。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、(o,m,p−)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビスフェニルフルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水クロレインド酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物、ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、無水イタコン酸等が挙げられる。
さらに、カルボキシル基含有エポキシアクリレート樹脂の合成の際に、必要に応じて、無水トリメリット酸等のトリカルボン酸無水物を用いて、反応後に残った酸無水物基を加水分解することにより、カルボキシル基を増やすことができる。また、エチレン性不飽和基含有の無水マレイン酸を用いて、更にエチレン性二重結合を増やすこともできる。
前記(c)アルカリ可溶性樹脂の酸価は、20から300mgKOH/gであることが好ましく、40から180mg/KOHであることがさらに好ましい。酸価が20mgKOH/gよりも少ない場合、アルカリ水溶液への溶解性が乏しいため、未露光部の現像が困難となるため好ましくない。また、酸価が300mgKOH/gよりも多い場合、現像時に露光部も基材から脱離しやすい傾向にあるため、好ましくない。
前記(c)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、1,000から100,000であることが好ましく、1,500から30,000であることが好ましい。重量平均分子量が1,000よりも小さい場合、露光部の耐熱性や硬度等が乏しいため、好ましくない。重量平均分子量が100,000よりも大きい場合は、未露光部の現像が困難となる場合があるため、好ましくない。尚、前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)、カラムとして3本のTSKgelHZM-M(東ソー社製)を使用して、展開溶媒としてテトラヒドロフラン、カラム温度40℃、流速0.3ミリリットル/分、RI検出器、試料注入濃度0.5質量%、注入量10マイクロリットルの条件下、クロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
また、(c)アルカリ可溶性樹脂の割合は、重合性組成物の全固形分中、10から70質量%であることが好ましく、15から60質量%であることがより好ましい。前記割合が10質量%よりも少ない場合、現像性が乏しいため、好ましくない。前記割合が70質量%よりも多い場合、パターン形状の再現性や耐熱性が低下するため、好ましくない。
なお、前記(c)アルカリ可溶性樹脂は、合成反応後に有効成分であるアルカリ可溶性樹脂を単離精製したものを用いることができる他、合成反応により得られた反応溶液、その乾燥物等をそのまま用いることもできる。
<その他の成分>
前記その他の成分として、硬化促進剤を用いることで、重合性組成物の加熱による硬化を低温で行なうこともできる。硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物、チオ尿素化合物、2−メルカプトベンズイミダゾール系化合物、オルトベンゾイックスルフィミド、第4周期遷移金属化合物合物等を使用することができる。硬化促進剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記アミン化合物としては、第三級アミンが好ましく、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−メタクリロイルオキシ)エチル等が挙げられる。
前記チオ尿素としては、例えば、アセチルチオ尿素、N,N‘ジブチルチオ尿素等が挙げられる。
前記2−メルカプトベンズイミダゾール系化合物としては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−メルカプトメトキシベンズイミダゾール等が挙げられる。
前記第4周期遷移金属化合物合物としては、バナジウム、コバルト、銅等の有機酸塩または金属キレート化合物から選択することができ、例えば、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸バナジウム、銅アセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、バナジルアセチルアセトネート等が挙げられる。
前記硬化促進剤は、重合性組成物を使用する直前に配合することが好ましい。硬化促進剤の含有量は、(b)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.1から20質量部であることが好ましく、0.2から10質量部であることがより好ましい。
前記その他の成分として、重合性組成物には、コーティング剤や塗料、印刷インキ、感光性印刷版、接着剤、カラーレジストやブラックレジスト等の各種フォトレジスト等の用途で一般的に使用されている添加剤を配合できる。添加剤としては、例えば、増感剤(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジブトキシアントラセン、クマリン、ケトクマリン、アクリジンオレンジ、カンファーキノン等)、重合禁止剤(p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン等)、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、接着促進剤、可塑剤、エポキシ化合物、チオール化合物、エチレン性不飽和結合を有する樹脂、飽和樹脂、着色染料、蛍光染料、顔料(有機顔料、無機顔料)、炭素系材料(炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル等)、金属酸化物(酸化チタン、酸化イリジウム、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ等)、金属(銀、銅等)、無機化合物(ガラス粉末、層状粘度鉱物、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等)、分散剤、難燃剤等が挙げられる。添加剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記添加剤の含有量は、使用目的に応じて適宜選択され、特に制限されるものではないが、通常、(b)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、500質量部以下でありことが好ましく、100質量部以下であることより好ましい。
前記重合性組成物には、粘度や塗装性、硬化膜の平滑性の改良のため、更に溶媒を加えることもできる。溶媒は、前記(a)重合開始剤、前記(b)ラジカル重合性化合物、前記(c)アルカリ可溶性樹脂、前記その他の成分を、溶解または分散することができるものであり、乾燥温度において揮発する溶媒であれば、特に制限されるものではない。
前記溶媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒、カルビトール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、ラクトン系溶媒、不飽和炭化水素系溶媒、セロソルブアセテート系溶媒、カルビトールアセテート系溶媒やプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。溶媒は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記溶媒の使用量は、重合性組成物の固形分100質量部に対して、10から1000質量部であることが好ましく、20から500質量部であることがより好ましい。
<重合性組成物の調製方法>
前記重合性組成物を調製する場合には、収納容器内に前記(a)重合開始剤、前記(b)ラジカル重合性化合物、必要に応じて、前記(c)アルカリ可溶性樹脂や前記その他の成分を投入し、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドグラインドミル、ボールミル、アトライターミル、2本ロールミル、3本ロールミル等を用いて、常法に従って溶解または分散させればよい。また、必要に応じて、メッシュまたはメンブレンフィルター等を通してもろ過してもよい。
なお、前記重合性組成物の調製において、前記(a)重合開始剤は、重合性組成物に最初から添加しておいてもよいが、重合性組成物を比較的長時間保存する場合には、使用直前に(a)重合開始剤を(b)ラジカル重合性を含む組成物中に溶解または分散させることが好ましい。
<硬化物の製造方法>
本発明の硬化物は、前記重合性組成物から形成されるものである。硬化物の製造方法は、重合性組成物を基板上に塗布後、当該重合性組成物を活性エネルギー線で照射する工程、および当該重合性組成物を加熱する工程のいずれかの工程を含む製造方法である。また、前記活性エネルギー線で照射する工程と前記加熱する工程の両方を含む工程を、デュアルキュア工程ともいう。
前記塗布方法としては、例えば、スピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法、スリットコート法、ドクターブレードコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法等の種々の方法が挙げられる。また、前記基板は、例えば、ガラス、シリコンウエハ、金属、プラスチック等のフィルムやシート、および立体形状の成形品等が挙げられ、基板の形状が制限されることは無い。
上記の重合性組成物を活性エネルギー線で照射する工程は、電子線、紫外線、可視光線、放射線等の活性エネルギー線の照射により、(a)重合開始剤を分解させて、(b)ラジカル重合性化合物を重合させることで、硬化物を得ることができるものである。
活性エネルギー線は、活性エネルギー線の波長が250から450nmの光であることが好ましく、硬化を迅速に行うことができる観点から、350から410nmの光であることがより好ましい。
前記光の照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線無電極ランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、太陽光、YAGレーザー等の固体レーザー、半導体レーザー、アルゴンレーザー等のガスレーザー等を使用することができる。なお、(a)重合開始剤の吸収が少ない可視光から赤外光の光を用いる場合には、前記添加剤として、その光を吸収する増感剤を使用することにより硬化を行なうことができる。
前記活性エネルギー線の露光量は、活性エネルギー線の波長や強度、重合性組成物の組成に応じて適宜設定すべきである。一例として、UV−A領域での露光量は、10から5,000mJ/cmであることが好ましく、30から1,000mJ/cmであることがより好ましい。なお、上記の硬化物の製造方法として、デュアルキュア工程を適用し、かつ前記活性エネルギー線で照射する工程の後に、加熱する工程を行う場合、(a)重合開始剤が、活性エネルギー線により完全に分解してしまわないように、露光量を適宜設定すべきである。
上記の重合性組成物を加熱する工程は、熱により(a)重合開始剤を分解させて、(b)ラジカル重合性化合物を重合させることで、硬化物を得ることができるものである。
前記重合性組成物を加熱する工程において、加熱する手法は、例えば、加熱、通風加熱等が挙げられる。加熱の方式としては、特に制限されることはないが、例えば、オーブン、ホットプレート、赤外線照射、電磁波照射等が挙げられる。また、通風加熱の方式としては、例えば、送風式乾燥オーブン等が挙げられる。
前記重合性組成物を加熱する工程において、加熱温度は高いほど、(a)重合開始剤の分解速度は加速される。しかし、分解速度が速すぎると、(a)重合開始剤の分解残渣が多くなる傾向を示す。一方、加熱温度は低いほど、(a)重合開始剤の分解速度は遅いため、硬化に長時間を必要とする。よって、加熱温度と加熱時間は、前記重合性組成物の組成により適宜設定すべきである。一例として、加熱温度は、50から230℃であることが好ましく、100から160℃であることがより好ましい。また、前記重合性組成物に、前記硬化促進剤を配合する場合には、その種類や配合量により、加熱温度は室温から160℃で任意に調整することができる。一方、加熱時間は1から180分であることが好ましく、5から120分であることがさらに好ましい。
前記硬化物の製造方法として、前記デュアルキュア工程を適用する場合、特に、重合性組成物を活性エネルギー線で照射する工程の後に、加熱する工程を行うことが、光を吸収や散乱する着色顔料を高濃度に含む重合組成物の塗膜の深部や、光が遮光されて光が届いていない箇所の硬化を効率よく行なうことができるため、好ましい。
また、前記重合組成物に前記溶媒を含む場合、前記硬化物の製造方法は、乾燥工程を含むことができる。特に、重合性組成物を基板上に塗布後に、続いて、前記活性エネルギー線で照射する工程を適用する場合、当該活性エネルギー線で照射する工程の前に、乾燥工程を設けることが好ましい。
前記乾燥工程において、溶媒を乾燥させる手法は、例えば、加熱乾燥、通風加熱乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。加熱乾燥の方式としては、特に制限されることはないが、例えば、オーブン、ホットプレート、赤外線照射、電磁波照射等が挙げられる。また、通風加熱乾燥の方式としては、例えば、送風式乾燥オーブン等が挙げられる。
また、前記乾燥工程において、重合性組成物の温度は、溶媒の蒸発潜熱によって、乾燥の設定温度よりも低くなるため、重合性組成物のゲル化するまでの時間を長く確保することができる。このゲル化するまでの時間は、乾燥手法や膜厚等にも影響されるため、溶媒の選定を含めて乾燥温度と時間は適宜設定すべきである。一例として、乾燥温度は、20から120℃であることが好ましく、40から100℃であることがより好ましい。乾燥時間は1から60分であることが好ましく、1から30分であることがより好ましい。また、前記重合禁止剤を使用することで、ゲル化までの時間を長く確保することもできる。なお、前記ペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体は熱により分解するが、80℃で5分の加熱した際の当該化合物の分解率は0.1%程度であるため、この程度の条件であれば重合性組成物が増粘やゲル化することはあまりない。
前記重合性組成物の乾燥膜厚(硬化物の膜厚)は、用途に応じて適宜設定されるが、0.05から300μmであることが好ましく、0.1から100μmであることがより好ましい。
<パターン形成方法>
前記重合性組成物が(c)アルカリ可溶性樹脂を含む場合、フォトリソグラフィー法によりパターンを形成することができる。前述と同様にして重合性組成物を基材に塗布し、必要に応じて、乾燥して乾燥被膜を形成する。そして、乾燥被膜にマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、露光部では(b)ラジカル重合性化合物が重合することで硬化膜となる。一方、レーザーを用いた直接描画により、マスクを介さずに高精度なパターン形状を作製することもできる。
上記の露光後、未露光部は、例えば、0.3から3質量%の炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ現像液により現像除去され、パターン化した硬化膜が得られる。さらに、硬化膜と基材との密着性を高めること等を目的に、後乾燥として180から250℃、20から90分でのポストベークが行われる。このようにして、硬化膜に基づく所望のパターンが形成される。
本発明の重合性組成物は、ハードコート剤、光ディスク用コート剤、光ファイバー用コート剤、モバイル端末用塗料、家電用塗料、木工用塗料、化粧品容器用塗料、光学素子用内面反射防止塗料、高・低屈折率コート剤、遮熱コート剤、放熱コート剤、防曇剤等の塗料・コーティング剤;オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、スクリーン印刷インキ、インクジェット印刷インキ、導電性インキ、絶縁性インキ、導光板用インキ等の印刷インキ;感光性印刷版;ナノインプリント材料;3Dプリンター用樹脂;ホログラフィー記録材料;歯科用材料;導波路用材料;レンズシート用ブラックストライプ;コンデンサ用グリーンシートおよび電極材料;FPD用接着剤、HDD用接着剤、光ピックアップ用接着剤、イメージセンサー用接着剤、有機EL用シール剤、タッチパネル用OCA、タッチパネル用OCR等の接着剤・シール剤;カラーレジスト、ブラックレジスト、カラーフィルター用保護膜、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、額縁レジスト、TFT配線用フォトレジスト、層間絶縁膜等のFPD用レジスト;液状ソルダーレジスト、ドライフィルムレジスト等のプリント基板用レジスト;半導体レジスト、バッファーコート膜等の半導体用材料等の各種用途に使用でき、その用途に特に制限は無い。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
(1)ペルオキシエステル化合物の合成
[合成例1:化合物3の合成]
50mLナスフラスコに2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸500mg(1.86mmol)とトルエン10mL、塩化チオニル5mLを加えて撹拌した。80℃に加熱し、そのまま2時間反応させた。室温に冷却後、トルエンと塩化チオニルを減圧下で留去し、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸クロライドを得た。次いで、得られた2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸クロライドにトルエン10mLとtert−ブチルヒドロペルオキシドの57質量%ベンゼン溶液445mg(2.80mmol)を加えて撹拌しながら氷浴で5℃に冷却した。ピリジン221mgを10分かけて滴下し、5℃にて2時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル30mLを添加したあと、5%塩酸および5%水酸化ナトリウム水溶液、10%食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、油相を減圧下で濃縮し、316mgの本発明の化合物3を得た。
・外観:白色結晶
・融点(℃):73
・EI−MS(m/z):268
H−NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm):1.23(s,9H,−C(CH),1.61−1.63(d,J=8.53 Hz,3H,−CH(CH)−),3.90−3.96(q,J=7.2 Hz,1H,−CH(CH)−),7.39−7.41(m,1H,Ar−H),7.48−7.52(m,2H,Ar−H),7.73−7.78(m,2H,Ar−H),8.27−8.29(m,1H,Ar−H),8.33−8.35(m,1H,Ar−H)
(2)UV吸収特性の評価
上記で得られた化合物3のアセトニトリル溶液について、UV−VISスペクトル測定装置(1.0cm石英セル、島津製作所製、UV−2450)を用いて、波長200から600nmにおけるUV−VISスペクトルを測定した。その結果を表1に示す。
<比較例1〜2>
また、比較例として、化合物R1および化合物R2の結果を表1に示す。なお、化合物R1は特開昭59−197401号公報に記載の製法に準じて合成し、EI−MSおよびH−NMRによって同定した。化合物R2はイルガキュア184(BASF製)を使用した。
Figure 2019043864
Figure 2019043864
表1において、λmaxは最大吸収波長(nm)、εmaxは最大吸収波長にけるモル吸光係数(L・mol−1・cm−1)、ε313は313nmにおけるモル吸光係数(L・mol−1・cm−1)、ε365は365nmにおけるモル吸光係数(L・mol−1・cm−1)を示す。
一般に、露光波長における光重合開始剤のモル吸光係数が大きいほど、光が吸収されやすく、ラジカルの発生が起こりやすい。すなわち、光重合開始剤の高感度化には、露光波長におけるモル吸光係数が大きい化合物が好適である。例えば、高圧水銀ランプは254nmや313nm、365nm等の光を効率よく放出する。表1の結果より、ベンゾフェノン骨格の化合物R1に対して、本発明のペルオキシエステル化合物は、高圧水銀ランプ等から放出される光を同等以上に吸収することが分かる。
(3)感度の評価
<実施例2、比較例3>
<重合性組成物(A)の調製>
表2に示す量の(b)ラジカル重合性化合物、(c)アルカリ可溶性樹脂、その他の成分を混合撹拌し、(a)重合開始剤を添加してよく撹拌し、実施例2および比較例3の重合性組成物(A)を調製した。
Figure 2019043864
上記表2中、DPHAは、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(商品名:アロニックスM−402、東亞合成社製);
アクリル1は、メタクリル酸メチル/メタクリル酸/シクロヘキシルマレイミド(質量%:61/14/25)共重合物、重量平均分子量:17,000、酸価:90(合成品);
F−477は、フッ素系レベリング剤(商品名:メガファックF−477、DIC社製);
PGMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;を示す。
上記で調製した重合性組成物(A)を、スピンコーターを用いて、アルミニウム基板上に塗布した。塗布後、アルミニウム基板を90℃のクリーンオーブン中で2.5分間乾燥処理により溶媒を乾燥させ、厚さ1.5μmの均一な塗布膜を作製した。次いで、超高圧水銀灯を光源とするプロキシミティー露光機を用い、マスクパターンを介して10から2000mJ/cmの範囲で、段階露光を行った。露光後のアルミニウム基板を1.0質量%の炭酸ナトリウム水溶液に23℃で60秒間浸漬して、現像による未露光部の除去を行った。続いて純水にて30秒間洗浄を行い、パターン形状を得た。パターン形状が形成される最低露光量を「感度」として評価した。各(a)重合開始剤の評価結果を、表3に示す。
Figure 2019043864
表3の結果より、ベンゾフェノン骨格の化合物R1に対して、化合物3の感度が高いことが明らかとなった。
(4)ペルオキシエステル化合物の熱分解の評価
<実施例3、比較例4>
ステンレス鋼製密封セルに、1〜2mgの試料を入れ、示差走査型熱量計(DSC、セイコーインスツル社製、EXSTAR6200)にセットし、10℃/分の昇温速度で加熱し、測定した。分解熱による発熱曲線において、変曲点における接線とベースラインの交点を分解開始温度(℃)とした。各(a)重合開始剤の評価結果を、表4に示す。
Figure 2019043864
表4の結果より、化合物R1に対して、化合物3はより低い温度で分解できることが明らかとなった。
(5)デュアルキュア硬化特性の評価
<実施例4、比較例5〜6>
<重合性組成物(B)の調製>
表5に示す量の(b)ラジカル重合性化合物に(a)重合開始剤を添加してよく撹拌し、実施例4および比較例5〜6の重合性組成物(B)を調製した。
Figure 2019043864
表5中、UV−3310Bは、ウレタンアクリレート(商品名:紫光UV−3310B、日本合成化学工業社製);
IBOAは、イソボルニルアクリレート;
THFAは、テトラヒドロフルフリルアクリレート;
TMPTAは、トリメチロールプロパントリアクリレート;を示す。
上記で調製した重合性組成物(B)を、厚さ1mmのポリカーボネートシートに、アプリケーターにて50μmに塗布し、黒色コーティングが施されたPETフィルム(365nmの透過率は0.1%未満)を被膜の半分の領域に設置した。そして、高圧水銀ランプが設置されたコンベア式UV照射装置を使用して100mJ/cmの照射を行った。次いで、送風定温恒温機内に静置し、100℃で90分の加熱を行った。
上記の加熱後、黒色コーティングが施されたPETフィルムを取り除いて硬化膜を露出させて、その硬化膜部分を減衰全反射赤外分光法(ATR−IR)にて硬化度(%)を測定した。その際、二重結合基の面内変角振動の吸収スペクトル(1410cm−1)および露光前後で変化のないカルボニル基の吸収スペクトル(1740cm−1)のピーク面積を用いて、以下の式に基づいて硬化率(硬化度)を算出した。その結果を表6に示す。
Figure 2019043864
Figure 2019043864
表6の結果より、本発明のペルオキシエステル化合物、および当該化合物を含む重合性組成物は光硬化性と熱硬化性に優れる特長とすることが明らかである。
(6)フロンタル重合特性の評価
<実施例5>
4−アクリロイルモルホリン1.5g(東京化成工業試薬)に化合物3の0.072gを添加してよく攪拌し、実施例5の重合性組成物(C1)を調製した。
直径5mm、長さ40mmのガラスチューブに、重合性組成物(C1)を高さ約3cmまで注入し、ガラスチューブを固定した。そして、室温下で、試験管の上部のみから365nmのLEDを露光し、目視での観察において重合性組成物(C1)の上部に硬化層の形成が確認された際に、露光を止めた。
その結果、硬化層の界面はその後も徐々に下方に下がり、約9分後にガラスチューブの底部に到達し、約3cmのフロンタル重合の進行を確認した。
<比較例7>
実施例5に記載の化合物3を、化合物R1に変更し、重合性組成物(C2)を調製したこと以外は、実施例5に記載の方法に準じた。重合性組成物(C2)の上部に硬化層の形成が確認された際に、露光を止めた。
その結果、硬化層の界面が下方に下がることはなく、フロンタル重合の進行は確認できなかった。
実施例5および比較例7の結果より、本発明のペルオキシエステル化合物、および当該化合物を含む重合性組成物は光硬化性と熱硬化性に優れるため、フロンタル重合系を構築可能であることを特長とすることが明らかである。

Claims (6)

  1. 一般式(1):
    Figure 2019043864
    (式(1)中、RおよびRは独立してメチル基またはエチル基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Rは独立した置換基であって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または塩素原子を表し、nは0から3の整数を表し、また、−X−は存在してもよく、−X−が存在する場合、単結合、−O−または−S−を表す。)で表されることを特徴とするペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体。
  2. 請求項1記載のペルオキシエステル基を有するベンゾフェノン誘導体を含む(a)重合開始剤、および(b)ラジカル重合性化合物を含有することを特徴とする重合性組成物。
  3. さらに(c)アルカリ可溶性樹脂を含有することを特徴とする請求項2記載の重合性組成物。
  4. 請求項2または請求項3記載の重合性組成物から形成されることを特徴とする硬化物。
  5. 前記重合性組成物を活性エネルギー線で照射する工程を含むことを特徴とする請求項4記載の硬化物の製造方法。
  6. 前記活性エネルギー線で照射する工程の後、さらに、加熱する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の硬化物の製造方法。
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