JP4463648B2 - 光ラジカル発生剤、感光性樹脂組成物及び、物品 - Google Patents

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Description

本発明は、七員環イミド構造を有する化合物の光ラジカル発生剤としての利用、当該光ラジカル発生剤を含有する感光性樹脂組成物、及び、該感光性樹脂組成物を用いて作製した物品に関するものである。
さらに詳しくは、耐熱性及び安定性が高く、モノマー等の他の成分との相溶性や溶剤への溶解性が良く、透明性が高く、ラジカル反応後に低分子量の分解物や不安定な未反応体の残留が非常に少ない光ラジカル発生剤に関する。また本発明は、当該光ラジカル発生剤を含有し、感度が高く、保存安定性が良く、光照射時に開始剤に起因する揮発成分及び臭気の発生が少ない感光性樹脂組成物、さらには、該感光性樹脂組成物により少なくとも一部分が形成された、開始剤由来の低分子又は不安定残留物が非常に少ない、高耐熱性、高安定性、高品質の物品に関する。
紫外線等の放射線の照射によって硬化するか又は溶解性が変化する感光性樹脂は、一般に、露光部の溶解性が良好なもの(ポジ型)と、未露光部の溶解性が良好なもの(ネガ型)の2種に分類される。ネガ型の場合、感光性樹脂自体が露光により硬化し不溶になることから、感光性樹脂が基材上に残存し機能膜として製品の一部となる場合が多い。
ネガ型の感光性樹脂は当初、例えば塗料、印刷インキ、オーバーコート層、接着剤、印刷原版等に用いられてきたが、近年、プリント配線板の配線保護用のソルダーレジストや、層間絶縁膜、カラーフィルターの画素、反射防止膜、ホログラム等を形成するためのレジスト等にまで用途が広がってきている。
一般に多く用いられるネガ型の感光性樹脂の一つに、エチレン性不飽和結合を一つ以上有する化合物、光照射によりラジカルを発生させる光ラジカル開始剤、及び、必要に応じて、現像性や塗膜の柔軟性等を付与する高分子化合物、無機フィラー、顔料等を配合した樹脂組成物がある。この組成物に放射線を照射すると、エチレン性不飽和結合を有する化合物がラジカル反応により結合し、大分子量化して硬化する。この硬化反応の際に、架橋反応により3次元網目構造が発達することにより、得られる硬化物の硬度、強度、密着性、耐溶剤性、耐熱性が向上する。
光ラジカル開始剤は、自己開裂型と水素引抜き型に概ね分類される。前者の場合、特定波長の光(放射線)を吸収することで、その波長に対応した部位の結合が切断され、その際に分断された各々の部位にラジカルが発生し、そこからラジカル反応が始まる。後者の場合、ある特定の波長の放射線を吸収し励起状態になると、周囲にある水素ドナーから水素を引き抜き、その際に引き抜いた方、引き抜かれた方の各々にラジカルが発生する。
一般に自己開裂型は、感度やラジカル発生効率は良好なものの、熱に対して不安定であり、これを含有する感光性樹脂組成物の耐熱性、安定性、保存性等に問題がある。一方、水素引抜き型は、水素ドナーが励起された開始剤の近傍に存在する必要がある事や、水素を引き抜く際のエネルギー障壁の大きさによってラジカル発生効率が決まるため、感度は比較的低いが、励起状態になり水素を引き抜かないとラジカルが発生しないため、樹脂組成物の安定性、保存性は高い。
プリント配線板の表面被覆に用いられるソルダーレジストには、耐熱性や難燃性付与のため有機顔料やフィラーを混合されていたり、カラーフィルターの画素形成用レジストには、色表示のための顔料が混合されている。これらの顔料は光を吸収する成分であることから、感光性樹脂の感度を高めるために、主に自己開裂型の光ラジカル開始剤を用い、しかもラジカル反応に充分利用されない分を見込んで多量に混合させている。ここで、ラジカル反応に利用されない分には、照射によっても開裂しなかった未反応の開始剤と、開裂によりラジカル化しても固相での反応ゆえに被反応物との接近が阻害されて失活する分とがある。
露光後の硬化物中には、開始剤由来の残存物が多量に存在するが、そのうち未開裂の光ラジカル開始剤は、露光後にも反応性を残していることから製品を変質させる。また、未開裂の光ラジカル開始剤、及び、開裂したがラジカル反応で消費されずに失活した分解物は、マトリックスの架橋構造に結合しておらず、独立した成分として製品中に存在することから膜物性を阻害する。そのため、開始剤由来の残存物をそのまま放置すると、耐光性の悪化、着色や退色、塗膜のはがれやクラックの発生等を引き起こし、最終製品、例えば電子部品用の層間絶縁膜やソルダーレジスト、カラーフィルター用画素形成用レジストの信頼性を低下させる原因になるという問題がある。
自己開裂型の光ラジカル開始剤は昇華性が強く、熱により分解するため、露光、現像後の製品を百数十℃以上の温度でポストベークすることにより製品から除去することができる。しかしながら、ポストベーク時に開始剤由来の昇華物が加熱装置内に多量に付着し、それが硬化により得られた製品上に落下して製品不良の原因となり、問題となっていた。また、加熱装置の周囲では雰囲気中に開始剤の分解物等が含まれるため、作業安全性の観点からも問題があった。
ポストベークの条件を、より高温で、より長時間にすることによってラジカル開始剤由来の残存物をより多く除去することが可能であるが、固体中からの揮発の為、完全に除去することは困難である。より多くのラジカル開始剤由来の不純物を除去する為に条件を厳しくすると、その条件が、かえって製品不良を起こす原因となる。
一方、剥離膜として用いられる電子部材の加工用レジスト及びドライフィルムレジスト等も、同様の放射線による硬化システムが用いられている。加工用レジストは、最終的には剥離され製品には残らないが、その銅配線形成等の加工工程において、加工に用いる塩化第二鉄や塩化第二銅等の薬液中にレジスト膜から開始剤由来の残存物が溶出し、薬液の寿命を短くするという問題があった。
さらに、建築物の壁紙や壁の表面を保護する保護膜用塗料として、感光性樹脂が用いられる際には、シックハウス症候群対策等の観点から、建材全体から出て来る溶媒成分や臭気成分の削減が求められているが、揮発性の高い開始剤を用いることで、塗膜硬化後も臭気が発生するという問題があった。
これらの問題点から、ポストベーク時や光硬化後に蒸発せず、しかも、塗膜中に独立して残存するラジカル発生剤由来の成分が実質的にないような、ラジカル発生剤及び樹脂組成物が望まれている。
これらを解決する手段として、ESACURE KIP 150(商品名)(日本シイベルヘグナー株式会社製)等は、ポリマー骨格の側鎖に光ラジカル発生部位を導入している。このようにすれば光ラジカル発生剤は一分子内に複数のラジカル発生部位を有するため、当該分子内のどこか1箇所がラジカル化して塗膜のマトリックスと結合していれば、同じ分子内にある未反応のラジカル発生部位もポリマー骨格を介してマトリックスに結合するので、ポストベーク時に揮発せず、塗膜中を移動する事も無いため、最終製品での信頼性を低下させることが少ない。
しかしながら、この場合、側鎖に導入されている光ラジカル発生部位が自己開裂型であり、加熱によって容易に分解してラジカルを発生させてしまうため、これを含有する感光性樹脂組成物の耐熱性、安定性、保存性等に問題があることに変わりない。また、ラジカル発生部位のうち開裂後にポリマー骨格に残る部分はマトリックス構造と結合しているが、光ラジカル反応及びポストベークによりポリマー骨格から開裂した分解物の一部は、マトリックス構造には結合していない独立した低分子不純物として残存するため、そのまま放置すると塗膜物性に悪影響を与え、また、ポストベークを行っても完全に昇華除去させることが困難である。
また、特許文献1及び特許文献2では、マレイミド基を有する(メタ)アクリレートが提案されている。これらは、マレイミドが電磁波を吸収することで、ビニルエーテルとは電子受容体として反応し、ラジカルを発生させる。また、水素を引き抜くことでもラジカルを発生させることができる(非特許文献1)。しかし、マレイミドはエチレン性2重結合を有するため、マレイミド基と(メタ)アクリル基を両方有するモノマーをラジカル重合すると、架橋反応が進行しゲル化してしまう。そのため、上記特許文献1及び2では、マレイミド基にシクロヘキシル基等の置換基を導入し、立体障害によりマレイミド基の反応性を低下させることにより、上記の課題を克服している。しかしながら、その反面マレイミド部位の反応性が低下するため、ラジカル反応開始効率も低下するという問題があった。また、酸無水物とアミンを反応させてマレイミド基を形成する反応は脱水反応で行なうため、触媒を用いずに効率よく反応させるためには100℃以上の高い温度が必要であり、マレイミド基の形成時に直接エチレン性不飽和結合の導入を行なおうとすると、エチレン性不飽和結合の重合が起こってしまうという合成上の問題があった。また、無水酢酸等の脱水触媒を用いて脱水反応を行なうこともできるが、コスト増の原因となると共に、その後の精製工程が複雑になる等、いずれにしろ合成上の問題があった。
一方、1999年久保らにより、N−メチル−1,8−ナフタルイミドとp−キシレン等の芳香族化合物をアセトニトリル溶液中でメタノール存在下紫外線を照射すると、高収率でナフタルイミドと芳香族化合物の反応物が得られると報告されている(非特許文献2)。その中で、その反応のメカニズムとして、紫外線により1重項励起されたナフタルイミドが芳香族化合物とエキサイプレックスを形成し、その後、水素を引き抜くことによりラジカルを発生し、ナフタルイミドと芳香族化合物の間で結合が形成されると記載されている。しかしながら、この文献では溶液中での反応であると共に、ナフタルイミドと一部の低分子の芳香族化合物との反応のみしか記載されていない。
そこで本発明者は、上述した知見をもとに、6員環構造イミド基であるナフタルイミド構造含有基を有する光ラジカル重合開始剤と、それを用いた感放射線性樹脂組成物を提案した(特願2003−88582、但し現在未公開)。ナフタルイミド構造含有基は、水素引抜き型の光ラジカル発生部位として機能するので光ラジカル発生過程において分解せずにラジカルを発生させ、一般的な加熱工程ではラジカルを発生させない。また、ナフタルイミド構造自体も耐熱性の高い構造である。さらにナフタルイミド構造は比較的温和な条件で合成可能である。従って、ナフタルイミド構造含有基を有する光ラジカル重合開始剤は、耐熱性が高く、ラジカル反応後の生成物(特に、硬化後の塗膜)中に低分子の分解物や不安定な未反応体が残存することない。しかも、ナフタルイミド構造含有基を有する光ラジカル重合開始剤は、比較的容易に製造することができる。
しかし、ナフタルイミド構造含有基を有する光ラジカル重合開始剤は、ネガ型感光性樹脂組成物に一般的に用いられているアクリル系多官能モノマーへの相溶性や、汎用溶剤への溶解性があまり高くないため、感光性樹脂組成物に高濃度に含有させると光ラジカル重合開始剤が析出してしまうという問題があった。
国際公開WO98/58912号公報 特開2002−3559号公報 ラジカル重合ハンドブック 株式会社エヌ・ティー・エス 刊 1999年 312ページ p.175 Chemistry Letters 1999
本発明は、上記ナフタルイミド構造含有基を有する光ラジカル発生剤にとって問題であった相溶性又は溶解性の点を改善した新規の水素引抜き型光ラジカル発生剤、及び、当該光ラジカル発生剤を用いた感光性樹脂組成物、さらには当該感光性樹脂組成物を用いて少なくとも一部を形成した物品を提供することを目的とする。
より具体的には、本発明の第一の目的は、ナフタルイミド構造含有基を有する光ラジカル発生剤と同様に、光ラジカル発生過程では低分子分解物を発生させずにラジカルを発生させ、加熱工程ではラジカルを発生させず、硬化後塗膜等のラジカル反応結果物中において化学的に安定した状態で存在する、耐熱性、安定性、保存性が高い水素引抜き型光ラジカル発生剤であって、特に相溶性又は溶解性の点で優れ、その他の点でもナフタルイミド構造含有基を有する光ラジカル発生剤と同等以上の性能を有する光ラジカル発生剤を提供することにある。
本発明の第二の目的は、上記本発明に係る光ラジカル発生剤を用いて、ラジカル重合後に開始剤由来の低分子分解物が発生せず、実用的な波長に対し感度が高く、光照射時に揮発成分や臭気が発生せず、安定性、保存性が高い感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第三の目的は、上記本発明に係る感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されていて、開始剤由来の低分子又は不安定残留物が非常に少ない、高耐熱性、高安定性、高品質の物品を提供することにある。
本発明は、これらの目的のうち少なくともひとつを解決するものである。
上記課題を解決するための本発明に係る光ラジカル発生剤は、下記式(1)で表される7員環イミド構造含有基を有する化合物(a)からなることを特徴とする。
Figure 0004463648
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、互いに結合した環構造であってもよい。)
本発明の光ラジカル開始剤は、化合物(a)の7員環イミド構造含有基が水素引抜き型のラジカル発生部位として機能するので、光ラジカル重合開始剤として好適に用いることができる。
7員環イミド構造含有基によって発生したラジカルは水素引抜きのメカニズムを経るため、エチレン性不飽和結合等の一般的なラジカル重合性基だけでなく、芳香環等種々の化合物とも反応可能である。従って、化合物(a)は、一般的な光ラジカル重合開始剤として用いられるだけでなく、様々なラジカル反応の開始剤又は促進剤として用いることが可能であり、例えば低分子量の芳香族化合物や芳香族ポリマーを含有する樹脂組成物の架橋剤として用いることができる。
7員環イミド構造含有基は光照射によってラジカルを発生させるが、水素引抜き型であるから実用的な範囲の加熱によってはラジカルを発生させない。また、本発明の光ラジカル発生剤の7員環イミド構造含有基は安定性が高く、6員環のイミド構造と同様に熱分解を生じにくい。従って、本発明の光ラジカル発生剤は、ラジカル発生機構の点から、さらにはラジカル発生部位の化学構造の点からも耐熱性、安定性、保存性が高い。本発明の光ラジカル発生剤は、6員環であるナフタルイミド構造含有基を有する化合物とほぼ同等の耐熱性を有している。
本発明の光ラジカル発生剤は、特に相溶性及び溶解性の点で6員環であるナフタルイミド構造含有基を有する化合物と比べて優れており、多官能モノマーやアクリル系樹脂等の他の成分との混合比の自由度が大きい。また、本発明の光ラジカル発生剤は、透明性の点でも6員環であるナフタルイミド構造含有基を有する化合物と比べて優れている。本発明の光ラジカル発生剤は、高い透明性を持ちながら感度も良好である。
また、上記化合物(a)からなる光ラジカル発生剤は水素引抜き型であり、自己開裂型開始剤(Type I型)を用いる場合とは異なり、ラジカル反応後に低分子分解物が残留しないため、ポストベーク時に揮発させる必要がない。しかも、化合物(a)の未反応体が残留しても安定な状態で存在する。
従って、本発明の光ラジカル発生剤は、光ラジカル開始剤に由来する反応後の分解物や未反応体に起因する様々な問題、例えば、作業安全性の問題や、耐熱性・耐光性の悪化や、着色や退色、塗膜のはがれやクラックの発生等、最終製品の信頼性を低下させる問題や、薬液寿命を短くする問題や、臭気(アウトガス)が発生する問題も全て解決することができる。
次に、本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記式(1)で表される7員環イミド構造含有基を有する化合物(a)、及び、エチレン性不飽和基を有する化合物(b)を含有することを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性が高く、しかも溶剤や他の配合成分に対する溶解性、相溶性が極めて高い化合物(a)からなる光ラジカル発生剤を開始剤として含有するので、樹脂組成物の状態での耐熱性、安定性、保存性が高い。
この樹脂組成物を用いてパターンや成形体を作製する場合には、ラジカル発生剤に由来する揮発性の低分子分解物や不安定な未反応体が、樹脂組成物の硬化物中に残存する問題が生じない。その結果、硬化後の成形体や膜が高耐熱性、高安定性となる効果があり、最終製品の信頼性を低下させる問題も解決する。また、光照射時やその後の加熱工程において臭気(アウトガス)の発生がない為、作業環境が向上する。
また、化合物(a)は、高い透明性を持ちながら実用的な波長に対し感度が高いので、本発明の樹脂組成物を用いる場合には、最終製品の透明性を向上させる効果も期待できる。
本発明の樹脂組成物を、パターン形成材料として、或いは、塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料の形成材料として用いる場合には、製品や膜が高耐熱性、高安定性となる効果がある。また、露光時の臭気の発生がない為、作業環境が向上する。
以上のように、7員環イミド構造含有基を有する化合物(a)からなる本発明の光ラジカル発生剤は、水素引抜き型ラジカル機構によりラジカルを発生させてラジカル重合反応やラジカル架橋反応等の様々なラジカル反応を開始又は進行させ、反応後には不安定な未反応体や揮発性の低分子分解物等の問題となる成分を残留させない。
しかも、類似の構造を有する6員環構造のイミド基を有する化合物とほぼ同等の耐熱性、安定性、保存性を有しながら、従来は充分と言えなかった相溶性、溶解性が著しく優れており、さらに、透明性も高いことから、利用価値が極めて高い。
上記化合物(a)からなる光ラジカル発生剤を含有する本発明の感光性樹脂組成物は、6員環構造のイミド基を有する化合物と耐熱性の点で同等であり、しかも溶剤や他の配合成分に対する溶解性、相溶性が極めて高い化合物(a)を開始剤として含有するので、樹脂組成物の状態での耐熱性、安定性、保存性が極めて高い。また、化合物(a)の溶解性、相溶性が極めて高いので、開始剤である化合物(a)の配合量を広範囲に渡り自由に調節でき、使いやすい。さらに、光照射時には実用的な波長に対し感度が高く、ラジカル反応進行中は揮発成分や臭気が発生せず、最終製品の品質、信頼性も高い。
本発明に係る樹脂組成物は、パターン形成材料(レジスト)、コーティング材、印刷インキ、接着剤、充填剤、電子材料、成形材料、3次元造形等、活性エネルギー線の照射によって硬化したり又は溶解性が変化する材料が用いられている公知の全ての分野・製品に利用できるが、特に、耐熱性が必要で高度の信頼性を要求される、塗料、印刷インキ、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料を形成するのに適している。
本発明に係る印刷物、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料は、高耐熱性、高安定性の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されているため、製品や膜としても高耐熱性、高安定性であり、そのため生産の歩留まりも高いというメリットがある。
以下において本発明を詳しく説明する。なお、本発明において光ラジカル発生過程を引き起こすために用いられる照射光は、光ラジカル開始剤のラジカル発生部位をラジカル化し又は感光性樹脂組成物にラジカル反応を引き起こさせることが可能なものであればよく、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。樹脂組成物の硬化には、主に、波長が2μm以下の電磁波、電子線、電離放射線等が使用される。
先ず、本発明に係る光ラジカル発生剤について説明する。本発明に係る光ラジカル発生剤は、下記式(1)で表される7員環イミド構造含有基を有する化合物(a)からなることを特徴とする。
Figure 0004463648
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、互いに結合した環構造であってもよい。)
本発明に係る光ラジカル発生剤に電磁波や粒子線等の光を照射すると、上記7員環イミド構造含有基が光を吸収して励起しラジカルを発生させ、ラジカル反応を起こしたり、ラジカル重合を開始したり、高分子を架橋することもできる。この光ラジカル発生過程において7員環イミド構造含有基は、ラジカル発生機構としては水素引抜き型のラジカル発生部位として機能するものと推定される。
水素引抜き型のラジカル発生部位とは、ベンゾインエーテル系化合物の様に、単結合が開裂する事で1つの分子が分解し、2分子のラジカルが発生し重合を開始するラジカル発生機構ではなく、ベンゾフェノンに代表される機構のように、分子構造の分解を伴わずにラジカルを発生させるラジカル発生機構を持つ部位のことをいう。一般には、ベンゾインエーテル系化合物の様に、単結合が開裂する事で1つの分子が分解し、2分子のラジカルが発生し重合を開始するラジカル発生機構に属するものはType Iのラジカル発生剤と分類され、ベンゾフェノンに代表される水素引き抜き機構のように、分解を伴わずにラジカルを発生させるラジカル発生機構をもつものはType IIのラジカル発生剤と分類されている(光硬化技術、39頁、技術情報協会、2000年)。従って、この分類によれば、本発明の光ラジカル発生剤はType IIに属する。
上記式(1)で表される7員環イミド構造含有基のうち、式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、互いに結合した環構造であってもよい。
上記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、置換基を有していてもよい1価の有機基、又はそれらが互いに結合した環構造が挙げられる。置換基を有していてもよい1価の有機基としては、例えば、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又はフェニル基、ナフチル基等の芳香族基、アリル基、等が挙げられる。R乃至Rは、互いに同一であっても、異なっていても良い。
乃至Rが水素原子又は上記例示の置換基である場合には、原料調達の容易性、合成の簡便性の点から好ましい。
また、7員環イミド構造含有基上で置換基が互いに結合した環構造とは、シクロヘキシル基等の脂肪族性の環構造だけでなく、例えば、R、Rが結合してナフタレン構造をとるもの等、R、R、R、R、R、R、R及びRにおいて式(1)の7員環イミド構造含有基に結合して、当該式(1)の骨格よりも大きい縮合環炭化水素となっているものも、イミド環が7員環構造になっていれば、本発明の7員環イミド構造含有基に含まれる。また、環構造は芳香族性の縮合環であっても、脂肪族性の環構造であっても良く、さらに環構成原子としてC以外の異種原子を含んでいても良い。
光ラジカル発生剤を感光性樹脂組成物中に配合する時の溶解性を向上させる点から、7員環イミド構造含有基に導入される置換基としては、炭素数1〜15の飽和及び不飽和アルキル基、炭素数1〜15の飽和及び不飽和アルコキシ基、ブロモ基、クロロ基、フルオロ基、ニトロ基、1級〜3級アミノ基等が好ましい。
上記化合物(a)において7員環イミド構造含有基のNが結合する部分をXで表すと、化合物(a)は下記式(2)で表すことができる。
Figure 0004463648
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは式(1)と同じであり、Xは1価の化学構造である)
上記式(2)に含まれる化学構造Xは1価のいかなる化学構造を持つものでも良いが、代表的には有機基である。有機基としては、例えば、直鎖、及び/又は分岐、及び/又は環状の飽和、不飽和のアルキル基、アリール基、アリル基等の炭化水素基が挙げられ、さらに、これらの炭化水素基の内部に単結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、チオカルバメート結合、カルボジイミド結合、カーボネート結合等の結合を1つ以上有しても良い。
7員環イミド構造含有基の水素引き抜き能力を充分に発揮させるためには、化学構造Xが非芳香族骨格を有し、当該非芳香族骨格の部分が7員環イミド構造含有基の窒素原子と結合していることが好ましい。ここで非芳香族骨格とは、7員環イミド構造含有基の窒素原子に直接結合している原子が芳香環の一部でないことを意味しており、この要件を満たしていれば化学構造Xに芳香族構造を含んでいても良い。
また、7員環イミド構造含有基の水素引き抜き能力をさらに向上させる点から、化学構造Xの末端部が、7員環イミド構造含有基のNに直接結合している上記非芳香族骨格に隣接して、さらに水素供与性原子を有していることが好ましい。化学構造Xの末端部近傍に水素供与性原子が存在し、この水素供与性原子が化学構造Xの末端部である非芳香族骨格を介して7員環イミド構造含有基のNに結合している場合には、7員環イミド構造含有基と化学構造Xの水素供与性原子の間で水素の授受が行われ、水素引き抜き能力が向上する。
7員環イミド構造含有基のNに直接結合している上記非芳香族骨格としては、例えば、メチレン基やエチレン基のような直鎖骨格部分の炭素数が1個から20個の炭化水素鎖を例示することができる。また、水素供与性原子としては、エーテル、アミン、チオエーテル等の構造の隣に位置するメチル基やメチレン基を例示することができる。
具体的には、下記式に示すような構造が挙げられる。式(3)、(4)及び(5)において、*1を付したメチレン基は、化学構造Xの、7員環イミド構造含有基のNに直接結合している非芳香族骨格構造を有する末端部分である。また、*2を付したメチレン基又はメチル基は、エーテル構造の酸素、アミン構造の窒素又はチオエーテル構造の硫黄に隣接し、且つ、少なくとも非芳香族骨格を介して7員環イミド構造含有基のNに結合している水素供与性原子である。
Figure 0004463648
また化学構造Xは、(メタ)アクリレート骨格のようなエチレン性不飽和結合を1つ以上含有する基(エチレン性不飽和基)であってもよい。式(1)で表される7員環イミド構造含有基にエチレン性不飽和基が連結した構造を持つ化合物は、光ラジカル発生剤としての機能と共に、ラジカル重合性化合物としての機能を持っているので、感光性樹脂組成物のモノマー成分として好適に用いられる。また、ラジカル発生剤自体がエチレン性不飽和基を介してラジカル反応結果物のマトリックス構造に結合するので、硬化後のラジカル発生剤の安定性が極めて高くなるという効果がある。加えて構造中に含まれるエチレン性不飽和結合の数が多くなればなるほど、多官能アクリルモノマーなどとの相溶性が向上し、硬化膜の物性も硬度や耐熱性が良好なものとなる。構造中に含まれるエチレン性不飽和結合の数が少ない場合には、比較的柔軟な塗膜となる傾向がある。
1価の化学構造であって有機基以外のものとしては、例えば、シロキサン、シラン、ボラジン等が挙げられる。
上記化合物(a)は、式(1)で表される7員環イミド構造含有基を2つ以上有していてもよい。7員環イミド構造含有基を2つ以上有する化合物は、7員環イミド構造含有基を一つだけ有する化合物よりも光照射時の感度が高い。
化合物(a)のなかで7員環イミド構造含有基を2つ以上有する化合物としては、例えば、式(2)で表される化合物の化学構造Xが、式(1)で表される7員環イミド構造含有基をさらに1つ以上有する構造のものがある。化合物(a)が7員環イミド構造含有基を2つ以上有する場合、当該化合物(a)一分子内に含まれる7員環イミド構造含有基は互いに同じであっても異なっていてもよい。
化合物(a)は、主に7員環イミド構造含有基の部分が耐熱性を向上させ、主に化学構造Xの部分が溶剤への溶解性及び樹脂組成物中の他の固形成分との相溶性を向上させると考えられ、化学構造Xのサイズが大きくなるほど溶剤への溶解性及び樹脂組成物中の他の固形成分との相溶性が高くなるが、その反面、耐熱性は低くなる傾向をもっている。
そのため、化合物(a)を含有する樹脂組成物の耐熱性と溶解性・相溶性を向上させる観点から、化合物(a)の分子量を、当該化合物(a)一分子に含まれる7員環イミド構造含有基の数で割った値が2000以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましい。
特に、化合物(a)が式(2)で表される化合物であり、その化学構造Xが、式(1)で表される7員環イミド構造含有基をさらに1つ以上有する構造である場合には、当該化合物(a)の分子量を7員環イミド構造含有基の数で割った値が、上記2000以下となるようにXのサイズを調節しながら合成することが好ましい。
特に、価格や入手のしやすさ、合成の簡便さ、溶解性の観点からは、直鎖、又は分岐のアルキル基が好ましく、その内部にエステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合を含むものがさらに好ましい。また、耐熱性の観点からは、飽和または不飽和の環状構造を有するような直鎖、又は分岐のアルキル基が好ましく、その内部にエステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合を含むものがさらに好ましい。
本発明の光ラジカル発生剤である化合物(a)の照射感度を向上させるためには、当該化合物(a)に含まれる7員環イミド構造含有基が光照射によって励起し、ラジカルを発生させ易い化学構造となるようにラジカル発生部位上の置換基R乃至R及び、Nに結合するXを選定することが有効と考えられる。
実用的な感度を得るためには、上記した置換基R乃至RやXの選定により、化合物(a)の吸収波長の一部が、プロセスにおける露光光源(照射光源)に含まれるいずれかの波長の発光波長と重なる様にすることが好ましく、特に、化合物(a)の吸収極大が、該吸収極大に最も近い発光波長の値の±20%以内に入ることが好ましく、±10%以内に入ることがさらに好ましい。
同じく感度の点から、プロセスにおける露光光源(照射光源)の発光のいずれかの波長において、化合物(a)のモル吸光係数が0.1以上であることが好ましい。ここでモル吸光係数εとは、Lambert−Beerの法則から導き出される関係で、以下の式で表される。
A=εcb
A=吸光度
b=試料中の光路長(cm)
c=溶質の濃度(mol/L)
通常、同じ濃度の溶液を用い、同じ光路長のセルによって、入射波長を変化させながら吸光度の変化を記録すると、波長によって吸光度が変化し、測定対象とされる化合物に固有の波長において最大モル吸光係数εMAXを示す。上記露光波長における前記化合物のモル吸光係数が0.1以上とは、当該化合物を用いて露光を行う際に採用する波長のいずれかで測定した時のモル吸光係数が0.1以上と言う意味であり、最大モル吸光係数εMAXが0.1以上と言う意味ではない。
一般的な高圧水銀ランプの場合、365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)の3つの大きな発光があるが、実際は、333nm等にも発光があるため、これらの波長付近に光架橋性化合物の吸収極大があれば良い。また、F2エキシマレーザー(157nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)等で照射を行なう場合には、これらの波長付近に吸収を有していればよい。具体的には、365nm付近の吸収極大は365±73nmの範囲に入るのが好ましく、365±37nmの範囲に入るのがさらに好ましい。
上記した微細パターンを形成するための主要な発光波長である157nm、193nm、248nm、365nm、405nm、436nmのいずれかの波長の少なくとも一つと重なる領域に吸収波長が重なる場合には、露光波長として利用するのに便利であり、その波長におけるモル吸光係数が0.1以上であることが特に好ましい。
所望の波長に対して吸収波長をシフトさせる為に、どのような置換基を導入したら良いかという指針として、Interpretation of the Ultraviolet Spectra of Natural Products (A.I.Scott 1964)や、有機化合物のスペクトルによる同定法 第5版(R.M.Silverstein 1993)に記載の表を参考にすることができる。
本発明の化合物(a)は水素引抜き型光ラジカル発生剤として機能することから、ただ加熱しただけではラジカルを発生させにくく、また、ラジカル発生部位が7員環イミド骨格を含んでいるにもかかわらず、6員環イミド骨格を含むナフタルイミド構造含有基と同様に加熱による分解を起こしにくい。従って、耐熱性に優れており、感光性樹脂組成物に配合した時に該樹脂組成物の保存安定性が良好であり、最終的に得られる硬化膜の安定性も向上し、塗膜の耐光性悪化、着色や退色、塗膜の剥がれやクラックを防止することができる。
耐熱性の点から、本発明の化合物(a)の5%重量減少温度は、50℃以上であることが好ましく、130℃以上であることが更に好ましい。
ここで、5%重量減少温度とは、後述の本発明の実施例と同様の手法で、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
上記化合物(a)は、塗布適性、硬化後の透明性、露光時の感度等を向上させる点から、樹脂組成物に配合する時の溶解性が高いことが好ましい。
塗布時の塗工適性の点からは、化合物(a)は特に溶剤に対する溶解性が高いことが好ましい。具体的には、使用する溶剤、特に後述する汎用溶剤のいずれかに対する化合物(a)の溶解性が0.1重量%以上であることが好ましい。
また、溶剤を用いて透明に溶解した樹脂組成物であっても、その中に含有される固形分同士の相溶性が低い場合には、塗工時に溶剤が揮発すると乾燥中の塗膜内で析出物が生じ、充分な透明性が得られない。そのため、光学部材のように透明性が高い塗膜又は成形体が要求される場合には、樹脂組成物中の他の固形成分、特にエチレン性不飽和結合を有する化合物等の重合性化合物との相溶性が高い化合物(a)を用いることが好ましい。高い透明性が求められる場合には、樹脂組成物を硬化させて形成した塗膜の膜厚が10μmの時に、全光線透過率(JIS K7105)が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが更に好ましい。
化合物(a)の重合性化合物に対する溶解性が高い場合には、開始剤としての作用が向上するので、露光時の感度にも優れる。この点から、モノマー成分の代表としてアクリル酸メチルを用いて溶解性を評価したときに、化合物(a)の20℃におけるアクリル酸メチルに対する飽和濃度が、0.01mol/L以上であることが好ましい。
化合物(a)の溶解性又は相溶性は、7員環イミド構造含有基に置換基を導入することによって向上させることができる。この観点からは、7員環イミド構造含有基の置換基としては、炭素数1〜15の飽和又は不飽和のアルキル基、同じく炭素数1〜15の飽和又は不飽和のアルコキシ基、ブロモ基、クロロ基、フルオロ基、ニトロ基、1級〜3級アミノ基等が好ましい。また、上記式(2)のXの構造を変更するか又は、このXに置換基を導入することでも、化合物(a)の溶解性又は相溶性を向上させることができる。化合物(a)の7員環イミド構造含有基又はX構造に導入される置換基又は施される構造変更は、溶解させたい溶剤又は相溶させたい他の固形成分によって種々選択される。例えば、置換基としてカルボキシル基を選択した場合には、水や有機極性溶剤に溶解し易くなり、エステルを導入した場合には、エステル結合を有する溶剤や化合物への溶解性が向上する。
本発明における7員環イミド構造含有基を有する化合物(a)は、公知の種々の手法を用いて合成することができる。例えば、ジフェニック酸無水物又はその誘導体を種々のアミンと反応させてイミド化することにより合成しても良いし、ジフェニック酸無水物をイミド化した後、目的とする機能に応じて置換基を導入することにより合成しても良い。また、イミド化反応の際の脱水閉環反応は、熱的に行ってもよいし、無水酢酸等の脱水触媒を用いて行なっても良い。
化合物(a)を合成する手法を、これより具体的に例示するが、本発明は特にこの方法に限定されるものではない。
先ず、ジフェニック酸無水物をN,N,−ジメチルホルムアミドに投入し攪拌する。そこへ、2−メトキシエチルアミンをジフェニック酸無水物と等モル滴下し、0℃から70℃の温度範囲で1〜15時間程度、攪拌する。この時に用いる反応溶媒は、ジメチルホルムアミドに限定されず、有機極性溶媒等、最終生成物が溶解する溶媒であればよい。ジフェニック酸無水物は溶解性が比較的乏しく一般の溶媒には溶解しづらいが、アミンと反応することで溶解するようになる。
先に述べた様に、ここで用いる酸無水物はジフェニック酸無水物だけでなく、目的に応じて予め置換基R乃至Rが導入されたものを用いても良い。また、光の吸収波長をシフトさせたり、吸光係数を変化させる目的で式(1)で表される7員環イミド構造含有基のR〜Rに置換基を導入する場合、イミド化反応を行う前に導入しても良いし、イミド化反応後に導入しても良い。
一方、ここで用いるアミン化合物も2−メトキシエチルアミンに限定されず、目的に応じて種々のアミン、ジアミン、トリアミン、ポリアミン化合物等を用いることができる。例えば、以下に例示される様なアミンを用いることができるが特に限定されない。
水酸基を有するアミンとしては、2−アミノエタノール、プロパノールアミン、ヘキサノールアミン等のオキシアルキルアミン、エトキシエタノールアミン、プロポキシプロパノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール等の置換オキシアルキルアミンが挙げられる。
カルボキシル基を有するアミンとしては、α―アラニン、β―アラニン、セリン、グリシン等のアミノ酸化合物等が挙げられる。
また、2級、及び3級アミノ基を有するアミンとしては、N,N−ジメチルアミノエチレンジアミン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。
エーテル結合を有するアミンとしては、2−アミノ−1−メトキシプロパンや、アミノメチルビニルエーテル、アミノエチルビニルエーテル、アミノブチルエーテル、アミノヘキシルビニルエーテル、アミノシクロヘキシルビニルエーテル、アミノノニルビニルエーテル、及びそれらのビニル基のα位又はβ位に、アルキル又はアリール基が置換されたものが挙げられる。より具体的には、アミノアルキルプロペニルエーテル、アミノアルキルイソプロペニルエーテル及びアミノアルキルスチリルエーテル等を例示できるが特に限定されない。
その他に、メルカプト基を有する2−アミノエタンチオール、スルホン酸基を有する2−アミノエチルヒドロゲンサルフェート、リン酸基を含むものとしては、2−アミノエチルジヒドロゲンホスフェート等が挙げられる。
このように、所定温度で数時間攪拌した後、脱水剤として無水酢酸を過剰量投入し、80℃〜150℃程度で1〜15時間攪拌する。その反応液を、ロータリーエバポレーターを用い溶媒と無水酢酸を留去する。そこにDMFを加え、水に投入し再沈殿を行ない、濾過により固体を取り出す。これを所望の溶媒にて再結晶を行なうことで、7員環イミドをほぼ定量的に得ることができる。精製の方法は、再結晶に限定されず、昇華精製やカラムクロマトグライフィー等、公知のあらゆる方法を用いることが可能であるが、コストの観点から再結晶、または再沈殿が好ましい。
また、ここに例示されている様に、熱イミド化ではなく脱水触媒を用いた化学的イミド化をする際の脱水触媒としては、無水酢酸に限らず、プロピオン酸無水物、n−酪酸無水物、安息香酸無水物等が挙げられるが、特に限定されない。
このようにして得られる本発明の光ラジカル開始剤は、化合物(a)の7員環イミド構造含有基が水素引抜き型のラジカル発生部位として機能するので、電磁波や粒子線等の光を照射して励起させることによりラジカル反応を起こすことができ、光ラジカル開始剤として好適に用いることができる。
7員環イミド構造含有基は光照射によってラジカルを発生させるが、水素引抜き型であるから実用的な範囲内での加熱によってはラジカルを発生させない。また、7員環イミド構造は一般的には6員環の構造と比べて安定性が低いと考えられているが、本発明の光ラジカル発生剤の7員環イミド構造含有基は安定性が高く、熱分解を生じにくい。従って、本発明の光ラジカル発生剤は、ラジカル発生機構の点から、さらにはラジカル発生部位の化学構造の点からも耐熱性、安定性、保存性が高い。
上記7員環イミド構造含有基の安定性が高いことの理由としては、ビフェニルの2,2'の位置にカルボキシル基を有するジフェニック酸無水物から誘導される七員環イミド構造は、ビフェニル構造に含まれる2つの芳香環がねじれることにより安定な構造を取る事ができるためと推測される(図1、図2)。なお、図1は、化合物(a)の一例を芳香環上部から見た立体構造モデルであり、図2は同じ化合物を芳香環と芳香環をつなぐ軸方向から見た立体構造モデルである。
本発明の光ラジカル発生剤は、特に相溶性及び溶解性の点で6員環であるナフタルイミド構造含有基を有する化合物と比べて優れており、多官能モノマーやアクリル系樹脂等の他の成分との混合比の自由度が大きい。例えば、本発明の光ラジカル発生剤を感光性樹脂組成物中に30重量%以上の割合で含有させることも可能である。
従って、本発明の光ラジカル発生剤は、樹脂組成物中にラジカル発生部位を多量に含ませて感度を向上させることができる。相溶性及び溶解性が優れている理由としては、7員環イミド構造含有基に含まれる芳香環のπ平面がねじれていることから、ねじれのない広いπ平面を持つ6員環のナフタルイミドよりもπ―πスタッキングを形成しにくいためと推測される。
また、本発明の光ラジカル発生剤は、透明性の点でも6員環であるナフタルイミド構造含有基を有する化合物と比べて優れている。透明性が優れている理由としては、7員環イミド構造含有基に含まれる芳香環がねじれていることから、分子内のπ共役が切断されるため、紫外線の吸収が比較的短波長側にシフトするためと推測される。なお、透明性が高い場合には、一般的には紫外線等の照射波長に対する感度があまり良くない傾向が見られるが、本発明の光ラジカル発生剤は、高い透明性を持ちながら感度も良好である。従って、特に、可視光に対する透明性を感光性樹脂組成物及び最終製品に求めるような用途の場合には本発明の光ラジカル発生剤を用いることが有利であり、化合物(a)を可視光領域には吸収を持たない様に分子設計することにより光ラジカル発生剤の透明性をさらに高めることも可能である。
7員環イミド構造含有基によって発生したラジカルは水素引抜きのメカニズムを経るため、エチレン性不飽和結合等の一般的なラジカル重合性基だけでなく、芳香環等種々の化合物とも反応可能である。従って、化合物(a)は、一般的な光ラジカル重合開始剤としてだけでなく、様々なラジカル反応の開始剤又は促進剤として用いることが可能であり、例えばメチルベンゼンのような低分子量の芳香族化合物やPETのような芳香族部位を有する芳香族ポリマーを含有する樹脂組成物の架橋剤として用いて硬化後の耐溶剤性を向上させることができる。
また、上記化合物(a)からなる光ラジカル発生剤は水素引抜き型であり、ラジカル反応により生じる重合体等の反応物と結合し、反応物の化学構造の一部となる。そのため、化合物(a)を光ラジカル発生剤として用いる場合には、自己開裂型開始剤(Type I型)を用いる場合とは異なり、ラジカル反応後に低分子分解物が遊離の形で残存せず、ポストベーク時に揮発させる必要がない。しかも、化合物(a)は未反応のまま残存しても、ラジカル発生部位が耐熱性の高い7員環イミド構造を有しているので、その後の工程ではラジカルを発生させない。
すなわち、上記化合物(a)からなる本発明の光ラジカル発生剤に由来する残存物は、ラジカル反応により消費された部分及び未反応の部分のいずれも感光性樹脂組成物の硬化塗膜中において化学的に安定した形で存在し、揮発性の残存物も生成しない。
従って、本発明の光ラジカル発生剤は、光ラジカル開始剤に由来する反応後の分解物や未反応体に起因する様々な問題、例えば、作業安全性の問題や、耐熱性・耐光性の悪化や、着色や退色、塗膜のはがれやクラックの発生等、最終製品の信頼性を低下させる問題や、薬液寿命を短くする問題や、臭気(アウトガス)が発生する問題も全て解決することができる。
以上のように、7員環イミド構造含有基を有する化合物(a)からなる本発明の光ラジカル発生剤は、水素引抜き型ラジカル機構によりラジカルを発生させてラジカル重合反応やラジカル架橋反応等の様々なラジカル反応を開始又は進行させ、反応後には不安定な未反応体や揮発性の低分子分解物等の問題となる成分を残留させない。
しかも、上記化合物(a)は、従来から耐熱性が良好と言われている6員環構造のイミド基を有する化合物とほぼ同等の耐熱性、安定性、保存性を有しながら、従来は充分と言えなかった相溶性、溶解性が著しく優れており、さらに、透明性も高いことから、利用価値が極めて高い。
次に、本発明に係る感光性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という。)について説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、前記下記式(1)で表される7員環イミド構造含有基を有する化合物(a)、及び、エチレン性不飽和基を有する化合物(b)を必須成分として含有することを特徴とし、必要に応じて水素供与体、化合物(b)以外の硬化反応性化合物、化合物(a)以外のラジカル発生剤、高分子量のバインダー成分、又は、その他の成分をさらに含有してもよい。
本発明に係る樹脂組成物は、上記化合物(a)からなる光ラジカル重合開始剤の7員環イミド構造含有基が水素引抜き型のラジカル発生部位として機能し、電磁波や粒子線等の光を照射して励起させることによりラジカル化し、樹脂組成物中でラジカル反応を起こさせる。樹脂組成物中のエチレン性不飽和結合を有する化合物(b)はラジカル重合を引き起こし、樹脂組成物を硬化させたり、溶解性を変化させたりする。
樹脂組成物が、硬化反応性化合物又は高分子量のバインダー成分として、エチレン性不飽和結合を有する化合物(b)以外のラジカル反応性化合物をさらに含有する場合には、これらのラジカル反応性化合物は、当該化合物の種類によって、ラジカル発生剤である化合物(a)とのラジカル二量化反応や、ラジカル性架橋反応等、様々なラジカル反応を引き起こすので、上記化合物(b)と共に、樹脂組成物を硬化させたり、溶解性を変化させたりする。
ここで、架橋とは、架橋結合を生成することをいい、架橋結合とは、鎖状に結合した原子からなる分子のうちの任意の2原子間に橋をかけるようにして形成された結合をいい、この場合の結合は、同一分子内でも他分子間でも良い(化学辞典 東京化学同人 p.1082)。
エチレン性不飽和結合を有する化合物(b)は、ラジカル重合可能な硬化反応性化合物として従来から広く利用されており、応用範囲が広いことから、本発明の感光性樹脂組成物においては必須の硬化反応性化合物として用いられる。エチレン性不飽和結合を有する化合物(b)としては、エチレン性不飽和結合を1つ又は2つ以上有する化合物、及び、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合と共に他の官能基を有する化合物を用いることができ、例えば、アミド系モノマー、(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、スチレン等の芳香族ビニル化合物を挙げることができる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれであっても良いことを意味する。
アミド系モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン等のアミド化合物がある。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、ヘキサヒドロフタルイミドエチルアクリレート、コハクイミドエチルアクリレート等のイミドアクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノールのアルキレンオキシド付加物のアクリレート類及びそのハロゲン核置換体;エチレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート等の、グリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールおよびそのアルキレンオキサイドの(メタ)アクリル酸エステル化物、イソシアヌール酸EO変性ジまたはトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネートの反応物に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。
ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等があり、低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール及び/又はポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。
また、上記ポリオールと反応させる有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とからの反応物等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸を付加反応させたもので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、フェノールあるいはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテルのジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加反応体等が挙げられる。
化合物(b)は、ラジカル重合性化合物又はラジカル重合以外のラジカル反応性化合物を3次元架橋する点からはエチレン性不飽和結合を2個以上、特に3個以上有することが好ましい。
樹脂組成物を、電子部材やカラーフィルター等の用途で露光によりパターンを形成するレジストとして用いる場合には、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性を向上させる為に、化合物(b)としてカルボキシル基やフェノール性水酸基、スルホン酸基、水酸基等のアルカリ可溶性や、親水性の官能基を有すものを用いても良い。
また、化合物(b)は、照射光に対する樹脂組成物の感度を阻害しないために、照射波長と7員環イミド構造含有基の吸収波長が重なる波長領域に吸収を持たないことが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、当該組成物の未硬化状態での成膜性及び硬化後の塗膜物性を調節するために、バインダー樹脂として高分子化合物又はラジカル反応以外の反応形式を持つ硬化反応性化合物を配合しても良い。なお、7員環イミド構造含有基によって発生したラジカルは、エチレン性不飽和結合だけでなく芳香環等種々の化合物とも反応可能なため、バインダー樹脂として配合した高分子化合物がエチレン性不飽和結合を有しない場合でも、当該高分子化合物をラジカル反応により架橋することができる。
上記バインダー樹脂としては、公知のあらゆる高分子化合物又はラジカル反応以外の硬化反応性化合物を用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネート;酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル又はビニル化合物の重合体及び共重合体;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ホルマール樹脂やブチラール樹脂等のアセタール樹脂;シリコーン樹脂;フェノキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂等に代表されるエポキシ樹脂;ポリウレタン等のウレタン樹脂;フェノール樹脂;ケトン樹脂;キシレン樹脂;ポリアミド樹脂及びその前駆体;ポリイミド樹脂及びその前駆体;ポリエーテル樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリベンゾオキサゾール樹脂;環状ポリオレフィン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリスチレン樹脂;ノボラック樹脂;ポリカルボジイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリノルボルネン等の脂環式高分子;シロキサン系高分子等の公知のあらゆる高分子化合物又は硬化反応性化合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で用いても、2種以上を組合わせて用いても良い。これらの高分子化合物は、樹脂組成物の用途にもよるが重量平均分子量が通常、3000以上であることが好ましい。また、分子量が大きすぎると、溶解性や加工特性の悪化を招くことから、重量平均分子量が通常、10,000,000以下であることが好ましい。
樹脂組成物中における化合物(a)の量は、良好な硬化速度と高い架橋密度を確保し、塗膜の強度やガラス転移温度を向上させるためには充分なラジカル発生量を得る必要があり、かかる点から樹脂組成物の固形分全体の0.1重量%以上であることが好ましい。さらに、照射感度や塗膜の物性の点から、化合物(a)の量は、樹脂組成物の固形分全体の1重量%以上であることが好ましい。この場合、化合物(b)に対する化合物(a)の混合割合は、目的に応じて諸物性を考慮の上、適宜選択できる。なお、感光性樹脂組成物の固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
また、硬化反応性化合物として、化合物(b)と共に他のラジカル反応性化合物を組み合わせて用いる場合には、組み合わせるラジカル反応性化合物の種類及び量に応じて化合物(a)の量を適宜調節する。
化合物(b)は、充分な光硬化性を得るために、樹脂組成物の固形分全体の1重量%以上であることが好ましい。樹脂組成物が、化合物(b)以外の高分子量のバインダー成分を含有する場合には、用途に応じて、樹脂組成物全体の固形分の1重量%以上97重量%以下が好ましい。エチレン性不飽和結合を含まない高分子量バインダー成分が97重量%よりも多い場合は、光による硬化性が低下しやすい。
また、化合物(a)は水素引抜き型のラジカル発生剤であるので、よりラジカルの発生効率が向上し感度が良くなる点から、本発明の樹脂組成物中に水素供与体が含まれていることが好ましい。化合物(a)の種類によっては、水素供与体によりラジカル発生効率が著しく向上する場合があり、その場合には水素供与体を用いることが特に効果的である。
水素供与体の水素供与性基としては、アルキル基のように炭素に直接水素がついている官能基や、一般に水素供与性基として用いられているアミン、チオール、水酸基、又は、エーテル結合を有する有機基等が挙げられる。特に、水素を供与しやすいチオール、アミン、水酸基、及び、エーテル結合を有する有機基が感度の点から好ましい。エーテル結合は、該エーテル結合の隣りの炭化水素構造(アルカン、アルケン)の水素が引き抜かれ易いと言われている。従って、エーテル結合を含む水素供与基は、そのような水素を有する構造であることが好ましい。
水素供与体として用いられるアミンとしては、1級、2級又は3級アミンを用いることができる。3級アミンの例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルトルイジン、ペンタメチルジエチルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、モルホリン或いはピリジン等が挙げられる。
水酸基等の官能基を有する3級アミンの例としては、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール等が挙げられる。さらに、2,2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を持つ反応性モノマーでもある3級アミンを用いても良い。
水素供与体に含まれる水素供与性基の配合割合は、感度の点からは、樹脂組成物に含まれている7員環イミド部位のモル数と同じかそれ以上が好ましいが、感度と最終的に得られる塗膜の物性との関係により、適宜、適正な値を選択できる。
本発明の樹脂組成物を光照射により硬化させる際には、ラジカル反応を促進するために、必要に応じて上記化合物(a)と共に、その他の光ラジカル発生剤を使用しても良い。他の光ラジカル発生剤を併用する場合には、当該他の光ラジカル発生剤が分解物を生じさせ、硬化膜の変色や物性、分解物の揮発、樹脂組成物の安定性、保存性等の問題を起こす可能性がある。しかしながら、化合物(a)の併用によって他の光ラジカル発生剤の使用量を少なくすることができるので、他の光ラジカル発生剤しか用いない場合と比べて、上記諸問題は発生し難く、仮に発生したとしても程度が軽いので、充分なラジカル反応性を引き出しながらも、光ラジカル発生剤による問題を実用的に許容できる程度に抑えることができる。
その他の光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のモノアシルホスフィンオキシドあるいはビスアシルホスフィンオキシド;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;並びにキサントン類等が挙げられる。
これらの光ラジカル発生剤は単独で使用することも、安息香酸系、アミン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて使用することもできる。これら他の光ラジカル発生剤の好ましい配合割合は、樹脂組成物の固形分全体に対して0.1重量%以上35重量%以下で、より好ましくは、1重量%以上10重量%以下である。
本発明に係る樹脂組成物に加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子、増感剤等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
これら任意成分の配合割合は、樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、95重量%を越えると、樹脂組成物の特性が最終生成物に反映されにくい。
照射光を吸収してしまうような成分を樹脂組成物中に多量に配合する場合には、光ラジカル発生剤である化合物(a)に光が十分到達しなくなり、感度が低下する。そのため、樹脂組成物の感度を重視する点から、照射光源の発光波長と樹脂組成物に混合されている本発明の光ラジカル発生剤の吸収波長が重なる波長領域における、その他の成分の透過率が20%以上であることが好ましい。
また、本発明に係る樹脂組成物は、溶剤を用いて適切な濃度に希釈しても良い。溶剤としては各種の汎用溶剤、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、修酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。また、反応性希釈剤として、常温で液体のエチレン性不飽和化合物等、反応性基を構造中に有するような化合物を溶剤として用いても良い。これらの溶媒は単独もしくは組み合わせて用いられる。また、これら溶剤は、通常例えば孔径0.05μm〜0.2μm程度のフィルター等、既知の種々の方法で不純物を濾過して用いても良い。
樹脂組成物は、必須成分である化合物(a)からなる光ラジカル発生剤と、エチレン性不飽和基を有する化合物(b)に、硬化反応性化合物、高分子量のバインダー成分等の任意成分を用途等を考慮して適宜配合することにより調製できる。
このようにして得られる本発明の樹脂組成物は、耐熱性が高く、しかも溶剤や他の配合成分に対する溶解性、相溶性が極めて高い化合物(a)を光ラジカル発生剤として含有するので、樹脂組成物の状態での耐熱性、安定性、保存性が高い。
この樹脂組成物を所定のパターンに塗布するか或いは所定の形状に成形した後に光照射を行うと、化合物(a)からなる光ラジカル発生剤がラジカルを発生させて反応が開始され、配合成分によってラジカル二量化反応や、ラジカル性架橋反応等、さまざまなラジカル反応が進行し、硬化及び/又は溶解性の変化が引き起こされる。この光ラジカル反応の際に、化合物(a)の7員環イミド構造含有基は低分子分解物の副生を伴わずにラジカルを発生させた後、化合物(b)等の硬化性成分と結合し、硬化物のマトリックスの化学構造の一部となる。また、化合物(a)の7員環イミド構造含有基が未反応のままでも、その後の加熱工程では一般的な加熱温度の範囲内であればラジカルを発生させない。
従って、ラジカル発生剤に由来する揮発性の低分子分解物や不安定な未反応体が樹脂組成物の硬化物中に残存するという従来の問題は、本発明では生じない。その結果、硬化後の成形体や膜が高耐熱性、高安定性となる効果があり、最終製品の信頼性を低下させる問題も解決する。また、光照射時やその後の加熱工程において臭気(アウトガス)の発生がない為、作業環境が向上する。
また、化合物(a)は、高い透明性を持ちながら実用的な波長に対し感度が高いので、最終製品の透明性を向上させる効果も期待できる。
本発明に係る樹脂組成物は、パターン形成材料(レジスト)、コーティング材、印刷インキ、接着剤、充填剤、電子材料、成形材料、3次元造形等、活性エネルギー線の照射によって硬化したり又は溶解性が変化する材料が用いられている公知の全ての分野・製品に利用できるが、特に、耐熱性が必要で高度の信頼性を要求される、塗料、印刷インキ、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料を形成するのに適している。
例えば、カラーフィルターの場合には、画素部、当該画素部の境界に設けられる遮光部(ブラックマトリックス)、保護膜、セルギャップを維持するためのスペーサーを上記感光性樹脂組成物の硬化物により形成することができる。
電子部品の場合には、例えば、半導体装置のアンダーフィル剤、封止剤、等が例示できる。
層間絶縁膜としては、耐熱性、絶縁信頼性が要求されるビルドアップ基板用の層間絶縁膜や燃料電池における層間絶縁膜、自動車部品や家電製品の絶縁コーティング、等を上記感光性樹脂組成物の硬化物により形成することができる。
また、配線保護膜としては、プリント配線板の表面の配線保護層であるソルダーレジストや、電線の表面被覆、等が例示できる。
光学部材の場合には、各種光学レンズのオーバーコートや、反射防止膜、光導波路、分波装置等の光回路部品、レリーフ型、及び体積型のホログラム、等が例示できる。
建築材料の場合には、壁紙、壁材、床材その他の揮発成分の少ない表皮材料、接着・粘着材料、インキ等が例示できる。
本発明に係る印刷物、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料は、高耐熱性、高安定性の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されているため、高耐熱性、高安定性であり、そのため生産の歩留まりも高いというメリットがある。
(実施例1)
1L(リットル)のなす型フラスコに、ジフェニック酸無水物11.2g(0.05mol)とN,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF)300mlと触媒量のピリジンを入れ、攪拌した。そこに、2−メトキシエチルアミン 3.8g(0.05mol)を滴下し、室温で4時間攪拌した後、無水酢酸100mlを加え、120℃で5時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターによって、DMFと無水酢酸等を留去した。そのサンプルをDMFに適当な濃度で溶解させ、蒸留水へ滴下し、再沈殿によって精製した。その後、再結晶し、下記式で表される化合物1(化合物(a)の一つ)の針状結晶を13.7g得た。
Figure 0004463648
(実施例2)
使用原料のアミンを、2−エタノールアミンに変更した以外は、上記実施例1と同様の条件で反応を行った。各原料は、実施例1と同じモル数で仕込んだ。この反応では、末端に水酸基を有するアミンを用いた為、末端の水酸基が無水酢酸によってアセチル化された化合物2(化合物(a)の一つ)が定量的に得られた。
Figure 0004463648
(実施例3)
使用原料のアミンを、2−(2−アミノエトキシ)エタノールに変更した以外は、前記実施例1と同様の条件で反応を行った。各原料は、実施例1と同じモル数で仕込んだ。この反応では、末端に水酸基を有するアミンを用いた為、末端の水酸基が無水酢酸によってアセチル化された化合物3(化合物(a)の一つ)が定量的に得られた。
Figure 0004463648
(実施例4)
使用原料のアミンを、バリノールに変更した以外は、前記実施例1と同様の条件で反応を行った。各原料は、実施例1と同じモル数で仕込んだ。この反応では、末端に水酸基を有するアミンを用いた為、末端の水酸基が無水酢酸によってアセチル化された化合物4(化合物(a)の一つ)が定量的に得られた。
Figure 0004463648
(実施例5)
使用原料のアミンを、3-アミノ―1−プロパノールビニルエーテルに変更した以外は、前記実施例1と同様の条件で反応を行った。各原料は、実施例1と同じモル数で仕込んだ。その結果、下記式で表される化合物5(化合物(a)の一つ)が得られた。
Figure 0004463648
(実施例6)
使用原料のアミンを、2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタノールに変更した以外は、前記実施例1と同様の条件で反応を行った。各原料は、実施例1と同じモル数で仕込んだ。その結果、下記式で表される化合物6(化合物(a)の一つ)が得られた。
本実施例に用いた2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタノールは、以下の手法で合成した。2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール16.9g(0.1mol)とフタルイミドカリウム22.3g(0.12mol)、および、DMF 100mlを500mlのなすフラスコに投入し120℃で24時間撹拌した。反応終了後、白い沈殿物を濾過し、ロータリーエバポレーターでろ液が50ml程度になるまで濃縮し、そこに500mlのジクロロメタンを投入した。その際に、さらに白い沈殿物が生成するので濾過を行い、ろ液を濃縮し目的物の前駆物質であるエチレングリコール側鎖を有するフタルイミド化合物を得た。その前駆物質を、エタノール500mlに溶解させ、ヒドラジン1水和物5.5g(0.11mol)を加えて、撹拌しながら7時間還流した。室温まで冷却し、白い沈殿物を濾過し、2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタノールをほぼ定量的に得ることができた。
Figure 0004463648
(実施例7)
1L(リットル)のなす型フラスコに、ジフェニック酸無水物11.2g(0.05mol)と、DMF 300mlと、触媒量のピリジンを入れ、攪拌した。そこに、2−エタノールアミン 3.1g(0.05mol)を滴下し、室温で4時間攪拌した後、アクリル酸無水物100mlを加え、40℃で24時間攪拌した。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液へ滴下し、再沈殿した。その後、クロロホルムを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、下記式で表される化合物7(化合物(a)の一つ)を得た。
ここで用いたアクリル酸無水物は、乾燥させたジエチルエーテル中でアクリル酸ナトリウムとアクリル酸クロライドを反応させることにより得られた。
Figure 0004463648
(実施例8)
使用原料のアミンを、2−エタノールアミンに変更した以外は、上記実施例7と同様の条件で反応を行った。各原料は、実施例7と同じモル数で仕込んだ。この反応により化合物8(化合物(a)の一つ)が得られた。
Figure 0004463648
(実施例9)
使用原料のアミンを、2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタノールに変更した以外は、上記実施例7と同様の条件で反応を行った。各原料は、実施例7と同じモル数で仕込んだ。この反応により化合物9(化合物(a)の一つ)が得られた。
Figure 0004463648
(実施例10)
実施例7の合成の複生成物として化合物10が得られた。構造はNMRスペクトルとIRスペクトルによって確認した。
Figure 0004463648
(実施例11)
実施例8の合成の複生成物として化合物11が得られた。構造はNMRスペクトルとIRスペクトルによって確認した。
Figure 0004463648
(実施例12)
実施例9の合成の複生成物として化合物12が得られた。構造はNMRスペクトルとIRスペクトルによって確認した。
Figure 0004463648
(実施例13)
使用原料のアミンを、N,N-ジメチルエチレンジアミンに変更した以外は、前記実施例1と同様の条件で反応を行った。各原料は、実施例1と同じモル数で仕込み、化合物13が定量的に得られた。
Figure 0004463648
(実施例14)
使用原料のアミンを、N,N-ジメチルエチレンジアミンに変更した以外は、前記実施例1と同様の条件で反応を行った。各原料は、実施例1と同じモル数で仕込んだ。この反応では、末端に水酸基を、分子鎖中に2級のアミノ基を有するアミンを用いた為、末端の水酸基と分子鎖中の2級のアミノ基が無水酢酸によってアセチル化された化合物14が定量的に得られた。
Figure 0004463648
(実施例15)
(1)4,4’−ジニトロジフェン酸の合成
500mlのなすフラスコに、ジフェン酸 4.84g(20mmol)、濃硫酸150mlを入れ、氷浴で冷却しながら撹拌する。そこへ、濃硝酸5mlを反応液の液温が5℃以上にならないように注意しながらゆっくり滴下する。滴下終了後、2時間氷浴で冷却を続けた後、室温に戻し20時間撹拌する。反応終了後、1Lの氷水に反応液を投入し、沈殿物をろ過する。濾物を60mlのエタノールに湯浴で温めながら溶かし、そこへ温めながら、200mlの蒸留水を徐々に加え、再結晶を行う。室温で放置後、析出してきた結晶を濾別し、6.37gの4,4’−ジニトロジフェン酸を得た。
(2)化合物15の合成
4,4’−ジニトロジフェン酸 3.32g(10mmol)と無水酢酸50mlを100mlのナスフラスコに入れ、120℃で3時間撹拌する。その後、ロータリーエバポレーターで無水酢酸を留去し、そのまま乾燥させたDMF30mlを加え、撹拌する。そこへ、2−メトキシエチルアミンを0.75g(10mmol)加え、室温で4時間攪拌した後、無水酢酸30mlを加え、120℃で5時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターによって、DMFと無水酢酸等を留去した。そのサンプルをDMFに適当な濃度で溶解させ、蒸留水へ滴下し、再沈殿によって精製した。その後、クロロホルムを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、下記式で表される化合物15を得た。
Figure 0004463648
(比較例1)
テトラヒドロフタル酸無水物と2−アミノエタノールを、WO98/58912号公報記載されているのと同様の手法で反応させ、比較化合物1を得た。
Figure 0004463648
(比較例2)
比較化合物1 10.0g(40mmol)と、4―ジメチルアミノピリジン 5.4g(44mmol)を1Lの3つ口フラスコに投入し、中央部の口に塩化カルシウム管を取り付け、残りの2つの口はシリコンWキャップ(商品名:アズワン社製)で密閉した。そこへ予め脱水されたテトラヒドロフラン(THF)500mlをシリンジを用いて投入し室温で攪拌した。そこへ、アクリル酸クロライド4.0g(44mmol)を滴下し、室温で10時間攪拌した。その後、反応液を分液ろうとに移し、1N・HClで処理し、4−ジメチルアミノピリジンを水層に移動させた。水層と油層に分離した後、油層を、さらに、飽和NaHCO水溶液を用いて処理し、未反応のアクリル酸クロライド由来のアクリル酸を水層に移動させ、油層と水層を分離した。このようにして、得られた油層を硫酸マグネシウム等の適当な脱水剤で脱水し、ろ過を行なった。このろ液から溶媒を留去した物をクロロホルム−酢酸エチル混合溶媒で再結晶して下記式で表される比較化合物2を10.3g得た。
Figure 0004463648
(比較例3)
1Lのなす型フラスコに、1,8−ナフタル酸無水物19.8g(0.1mol)とN,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF)500mlと触媒量のピリジンを入れ、攪拌した。そこに、2−メトキシエチルアミン 8.3g(0.11mol)を滴下し、室温で5時間攪拌後、130℃で5時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターによって、DMFを一部留去し濃度を調整した上で、蒸留水へ滴下し再沈殿を行うことによって下記式で表される比較化合物3を23.5g得た。(比較化合物3)
Figure 0004463648
(評価)
(1)UV吸収評価
化合物1及び化合物15の10−5Mアセトニトリル溶液を用いUV吸収スペクトルを測定した。その結果、図3に示すように、240nm付近に極大を有し、320nm程度まで裾が伸びていることが確認された(グラフ中、実線が化合物1、点線が化合物15)。
また、化合物15はニトロ基が導入された為、吸収波長が長波長化し、一般的な露光光源である高圧水銀灯の365nmの波長にも吸収を有するようになった。
(2)耐熱性評価
差動型示差熱天秤(製品名:TG8120、(株)リガク製)を用いて、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で、化合物1〜15の5%重量減少温度を測定した。比較例として比較化合物2、比較化合物3、自己解裂型光ラジカル開始剤イルガキュア907(商品名、チバスペシャルティケミカルズ製)についても、同様に測定を行なった。
測定結果は下記表に示した通りである。この結果より、化合物1〜15は7員環イミド構造含有基を有しているにも拘わらず、実施例13の5%重量減少温度が若干低かったことを除けば、5員環イミド構造を有している比較化合物2よりも5%重量減少温度が高く、さらに6員環イミド構造を有している比較化合物3とほぼ同等の耐熱性を有していることが分かった。そして、7員環イミド構造含有基を有する化合物は、自己解裂型光ラジカル発生剤であるイルガキュア907よりも、5%重量減少温度が高く、耐熱性が優れていることも明らかとなった。
化合物1〜15のなかでも、化合物8の熱分解温度が特異的に高かった。化合物7と化合物8は窒素中で600℃まで加熱しても完全に分解せず炭化物が残存していた。これは、化合物7と化合物8はアクリロイル基を末端に有するため、加熱の過程で熱重合し高分子化し、分解しにくくなったものと考えられる。
また、ニトロ基を導入した化合物15は、側鎖構造が同じ無置換体である化合物1に対して、50℃以上熱分解温度が向上している。ニトロ基の導入により耐熱性が向上したのではないかと考えられる。
Figure 0004463648
(3)硬化性評価1
多官能モノマーとして3官能アクリレート(商品名:M305、東亞合成(株)製)を用い、化合物1〜14、比較化合物2、比較化合物3及び、光ラジカル発生剤イルガキュア907(商品名、チバスペシャルティケミカルズ製)をそれぞれ混合して、各光ラジカル発生剤のTHF溶液を調製した。
多官能モノマーに対する光ラジカル発生剤の割合は、多官能モノマーの2重結合の数に対して、化合物1〜14及び比較化合物2、比較化合物3の場合はイミド部位の数が1/50(イミド部位の数/多官能モノマーの数)になる様に混合し、イルガキュア907の場合はその分子数が1/50(イルガキュア907の分子の数/多官能モノマーの数)になる様に混合した。
従って、化合物10、11、12の場合は、7員環イミド構造を1分子内に2つ有する為、多官能モノマーの2重結合に対して化合物10、11、12の分子の数が1/100になるように混合した。
各溶液を、クロムをスパッタしたガラス基板上にスピンコートし、塗膜を得た。また、開始剤成分や比較化合物を含有しない3官能アクリレートのみの塗膜をブランクとした。
上記塗膜をUV露光しながら、赤外分光装置(製品名:FTS6000、BIO RAD社製)で810cm−1のピークの減少量を経時的に記録し、2重結合の消失が、どの程度進行しているか確認した。測定時のサンプル周囲の雰囲気は窒素置換した。UV露光装置はウシオ電機製UVスポットキュアSP-III型(標準反射鏡タイプ)を用い、UVランプは、USH-255BY(ウシオ電機製)を用いた。
3官能アクリレートM305との相溶性、露光時の臭気、露光量に対する2重結合の減少量(反応率)、塗膜の着色について観察した結果を表2に示す。その結果、7員環イミド構造含有基を有する化合物は、3官能アクリレートM305との相溶性が高く、露光時に臭気を発生させず、非常に透明性の良好な塗膜を得られた。これに対し、自己開裂型であるイルガキュア907を用いた場合には、露光時に臭気が発生し、得られた塗膜は黄色に着色した。
また、側鎖の末端が同じ構造のものを比較すると、完全ではないがエチレングリコール構造が長く延びて行くにしたがって反応率の向上する傾向が見うけられた。
さらに、2量体の化合物10、11,12については、比較的良好な感度を示し、水素供与体が存在しなくても高感度を示すことが明らかとなった。
Figure 0004463648
(4)硬化性評価2
さらに、7員環イミド構造含有基が水素引抜き型ラジカル発生剤であることを確認するため、前記硬化性評価1で用いた化合物1〜14と3官能アクリレートM305を含有するTHF溶液に、7員環イミド構造含有基を有する化合物と等モルのトリエタノールアミンを添加し、上記の硬化性評価1と同じ手順で塗膜を作製し、同様に評価を行った。比較例としては、比較化合物2及び3をそれぞれ用いた。結果を表3に示す。
上記表2(硬化性評価1)に示したように、水素供与体を添加しないときは光照射してもそれほど反応率が上昇していない。これは、7員環イミド構造含有基を有する化合物のUV吸収が、照射光源である高圧水銀灯の発光波長にそれほど重なっていないためではないかと考えられる。
これに対し、同じ溶液に水素供与体としてトリエタノールアミンを添加した場合には、反応率が飛躍的に向上した。この結果より、7員環イミド構造含有基が水素引抜き型の光ラジカル発生剤ではないかと考えられた。さらに、アミンに代表される水素供与性基を本発明の感光性樹脂組成物に配合することにより感度の向上が図れると考えられた。
Figure 0004463648
(4)溶解性試験
化合物1及び比較化合物3について溶解性試験を行なった。20℃において各溶媒又はモノマーに0.5mol/Lになる様にサンプルを添加し、超音波を3時間照射後に析出物のないものを○、析出物のあったものを×と判定した。下記表に示したように、7員環イミド構造を有する化合物1は、ナフタルイミド構造を有する比較化合物3と比較して、溶解性に優れることが確認できた。
Figure 0004463648
(6)透明性評価
多官能モノマーとして3官能アクリレート(商品名:M305、東亞合成(株)製)に対して、化合物1、化合物1と同じモル数のトリエタノールアミンの組み合わせ、及び、光ラジカル発生剤イルガキュア907(Irg907)を、前記硬化性評価1と同じ割合で混合させたテトラヒドロフラン溶液を、それぞれ調製した。各溶液をスピンコート法でガラス基板上に塗布し、50℃のホットプレート上で1分間加熱後、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA-1200)で、高圧水銀灯によりh線換算で2000mJ/cmの露光を行ない、膜厚 4.2±0.05μmの塗膜を得た。この塗膜の透過率を、分光測定装置(SHIMADZU製UV-2550 (PC)S GLP)にて測定した。
測定結果を図4に示す、化合物1を用いて硬化させた塗膜は、Irg907を用いて硬化させた塗膜よりも、410nm以下の光に対しての透過率が高く透明性が良好であった。同様に化合物1にアミンを添加した塗膜についても、化合物1のみの時と透過率はほぼ同じであり、透過率が良好であることがわかった。
7員環構造含有基を有する化合物の立体構造モデル(芳香環上部から見た七員環イミド)。 7員環構造含有基を有する化合物の立体構造モデル(芳香環と芳香環をつなぐ軸方向から見た七員環イミド)。 UV吸収スペクトル(化合物1)の測定結果を示すグラフである。 透過率(化合物1、化合物1+トリエタノールアミン、Irg907)の測定結果を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 下記式(1)で表される7員環イミド構造含有基を有する化合物(a)からなる光ラジカル発生剤。
    Figure 0004463648
    (式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、互いに結合した環構造であってもよい。)
  2. 前記式(1)においてR、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基、置換基を有していてもよい有機基、又はそれらが互いに結合した環構造である、請求項1に記載の光ラジカル発生剤。
  3. 前記化合物(a)が下記式(2)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の光ラジカル重合開始剤。
    Figure 0004463648
    (式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは式(1)と同じであり、Xは1価の化学構造である)
  4. 前記化合物(a)を表す式(2)において、Xが7員環イミド構造含有基のNに結合した非芳香族骨格の部分を有する構造である、請求項3に記載の光ラジカル発生剤。
  5. 前記Xが、前記非芳香族骨格の部分を介して7員環イミド構造含有基のNに結合した水素供与性原子を有する構造である、請求項4に記載の光ラジカル発生剤。
  6. 前記化合物(a)を表す式(2)において、Xが1つ以上のエチレン性不飽和結合を有する構造である、請求項3乃至5のいずれかに記載の光ラジカル発生剤。
  7. 前記化合物(a)を表す式(2)において、Xが式(1)で表される7員環イミド構造含有基をさらに1つ以上有する構造である、請求項3乃至6のいずれかに記載の光ラジカル発生剤。
  8. 前記化合物(a)の分子量を、当該化合物(a)一分子に含まれる7員環イミド構造含有基の数で割った値が2000以下である、請求項1乃至7のいずれかに記載の光ラジカル発生剤。
  9. 5%重量減少温度が、50℃以上である請求項1乃至8のいずれかに記載の光ラジカル発生剤。
  10. 下記式(1)
    Figure 0004463648
    (式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基であり、互いに結合した環構造であってもよい。)
    で表される7員環イミド構造含有基を有する化合物(a)、及び、エチレン性不飽和基を有する化合物(b)を含有する感光性樹脂組成物。
  11. 水素供与体、化合物(b)以外の硬化反応性化合物、化合物(a)以外のラジカル発生剤、及び、重量平均分子量3000以上のバインダー樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一成分をさらに含有する請求項10に記載の感光性樹脂組成物。
  12. パターン形成材料として用いられることを特徴とする、請求項10又は11に記載の感光性樹脂組成物。
  13. 塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料の形成材料として用いられる請求項10又は11に記載の感光性樹脂組成物。
  14. 前記請求項10又は11に記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料いずれかの物品。
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