JP4572283B2 - チャック及び管継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャック及び管継手に関し、特に、管継手の生産性の向上と管継手の小型軽量化を促進させる上で好適なチャック及び管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、管継手は、例えば図15に示すように、管状の第1の管継手部材300と、該第1の管継手部材300に結合される管状の第2の管継手部材302と、第1及び第2の管継手部材300及び302の結合部分に取り付けられ、これら第1及び第2の管継手部材300及び302の結合、解除を行わしめるスリーブ304と、該スリーブ304を第1及び第2の管継手部材300及び302が互いに結合される方向に付勢する圧縮コイルばね306と、第1及び第2の管継手部材300及び302とを互いに係合させる複数の球体308を有して構成されている。
【0003】
第1の管継手部材300は、その前部がスリーブ304内に挿入され、かつ、後部に雌ねじ310が切られた筒状部材312と、該筒状部材312の前記雌ねじ310にねじ込まれる円筒状の結合部材314とを有して構成され、該結合部材314の前部には、弁体316を収容するための収容空間318が形成されている。また、筒状部材312と結合部材314との間には、弁体316の一部を挿通させるためのスリット322が設けられた閉塞板324が装着され、前記収容空間318には、弁体316を常時閉塞板324の方向に付勢して、前記スリット322を弁体316のフランジ部326で閉塞するための圧縮コイルばね328が挿入されている。
【0004】
スリーブ304は、その端面304aが第1の管継手部材300における筒状部材312の端面312aと面一になるように装着されている。このスリーブ304は、圧縮コイルばね306により、第1の管継手部材300から第2の管継手部材302に向かって離間する方向に常時弾発付勢されているが、筒状部材312の端面312a近傍に設置されたリング状のストッパ部材330により、第1の管継手部材300からの離脱が抑止されている。
【0005】
第1の管継手部材300の筒状部材312は、その前端部(第2の管継手部材302と重なる部分)に複数の孔部332が、該筒状部材312の円周方向に沿って等間隔の位置に形成されている。これら孔部332は、筒状部材312の中心軸に向かって縮径とされ、それぞれ球体308が挿入されるようになっている。球体308は、筒状部材312の中空部に第2の管継手部材302を挿入したとき、その一部が第2の管継手部材302の表面に形成された環状溝334に挿入、係合されるようになっている。なお、図15では、前記孔部332及び球体308をそれぞれ2個だけ図示した例を示している。
【0006】
前記球体308は、通常はスリーブ304により筒状部材312の中心軸に向かって押圧されているが、スリーブ304に対して外力を加え、該スリーブ304を第1の管継手部材300の軸方向に沿って結合部材314側へ移動させたときスリーブ304の押圧から解放されることとなる。このとき、弁体316においては、圧縮コイルばね328の付勢によってそのフランジ部326が閉塞板324に当接してスリット322を閉塞し、弁体316は閉状態となる。
【0007】
この段階から、第2の管継手部材302を第1の管継手部材300における前記筒状部材312の中空部内に挿入すれば、該第2の管継手部材302の端面によって弁体316が圧縮コイルばね328の付勢に抗して後方に移動され、弁体316は開状態となる。
【0008】
そして、スリーブ304に加えた外力を除けば、該スリーブ304は圧縮コイルばね306の弾性復帰により弾発付勢され、スリーブ304の端面304aと筒状部材312の端面312aとが面一になる位置に復帰する。
【0009】
このとき、球体308が再びスリーブ304によって筒状部材312の中心軸に向かって押圧され、その結果、該球体308は第2の管継手部材302に設けられた環状溝334に係合する。
【0010】
球体308の前記係合により、第2の管継手部材302は第1の管継手部材300から離脱することができなくなり、これら第1及び第2の管継手部材300及び302は強固に結合されることになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した管継手を製造する場合、その製造工程が煩雑であるために製造コストの低廉化を図ることができないという不都合がある。
【0012】
具体的に説明すると、従来の管継手は上述したように4個の球体308と、これら球体308を管継手の中心軸に向かって押圧するためのスリーブ304を備えるが、このような管継手を組み立てる場合、(1)第1の管継手部材300を構成する筒状部材312への孔部332の形成、(2)孔部332への球体308の挿入、(3)球体308が孔部332から離脱しないように、これら球体308を治具で押さえながらスリーブ304を装着するという煩雑な作業を行わなければならず、しかも、これらの作業に長時間を要する。
【0013】
また、第1の管継手部材300における筒状部材312と結合部材314とはそれぞれ別部材であり、これらの接続(ねじ回し作業)も煩雑であり、面倒である。従って、管継手の生産効率を向上させることは容易ではなく、管継手の製造コストの上昇を招いている。
【0014】
また、管継手には、従来から小型軽量化が要請されている。管継手が大型であると、管の配置の自由度が制限されるとともに、管継手と管とを接続する際に、管継手が他の管や機器等に干渉して接続作業が困難となる場合があるからである。後者の場合、管と管継手との接続が不完全となる可能性があり、シール性が充分でなくなるおそれがある。
【0015】
また、管継手が大重量であると、該管継手の重量によって、該管継手が接続された管に撓みを生じてしまう場合がある。この場合、やはり管と管継手との接続が不完全となって充分なシール性が得られなくなるおそれがある。
【0016】
上述した従来の管継手においては、球体308を挿入するスペースを確保するため、第1の管継手部材300、特に筒状部材312の軸方向に沿った寸法を充分に長くする必要があり、しかも、筒状部材312の後部には結合部材314がねじ込みにより結合されることから必然的に管継手の軸方向に沿った長さが大きくなり、それに応じて重量も増加する。
【0017】
更に、内部に弁体316を具備した管継手においては、流体の大流量化が望まれている。大流量化を実現するためには管継手の内径の拡大化が有効であり、従来の管継手では、第1の管継手部材300における筒状部材312の肉厚を薄くすることが考えられる。この場合、球体308の直径を小さくする必要があるが、これにより、球体308の環状溝334への係合が不十分となって、第2の管継手部材302が第1の管継手部材300から容易に離脱するおそれがある。従って、従来の管継手では、その大流量化を図ることもまた容易ではない。
【0018】
本発明は、上記した種々の問題を解決するためになされたもので、例えば管継手に適用した場合において、管継手の生産効率の向上、製造コストの低廉化、管継手の小型軽量化並びにその大流量化を容易に達成させることができるチャックを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明の他の目的は、管継手の生産効率の向上、製造コストの低廉化、管継手の小型軽量化並びにその大流量化を容易に達成させることができる管継手を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るチャックは、少なくとも一方の部材が挿通される円環部と、前記円環部から該円環部の中心軸に沿って延出し、前記一方の部材に係合する第1の係合部と、前記円環部から該円環部の中心軸に沿って延出し、他方の部材に弾性的に係合する第2の係合部とを有して構成される。
【0021】
つまり、このチャックは、円環部を基部として、一方の部材に係合する第1の係合部と、他方の部材に弾性的に係合する第2の係合部を有し、これらの部位が一体構成となっている。
【0022】
これにより、第1の部材と第2の部材を結合させるためのチャックの部品点数が少なくて済み、それに伴って、これら第1及び第2の部材の結合作業が容易になり、第1及び第2の部材を有する部品の製造コストを低廉化させることができる。
【0023】
従って、この発明に係るチャックを例えば管継手に適用した場合、管継手の生産効率の向上、製造コストの低廉化、管継手の小型軽量化並びにその大流量化を容易に達成させることができる。
【0024】
そして、前記構成において、前記第1の係合部を、前記円環部に設けられた複数の板片を有して構成し、前記第2の係合部を、前記円環部に設けられ、かつ、前記第1の係合部の前記板片よりも長尺に形成された複数の板ばね部を有して構成するようにしてもよい。
【0025】
また、前記構成において、前記板ばね部に、前記円環部の中心軸方向へ指向して傾斜した傾斜部を有するようにしてもよい。
【0026】
また、前記構成において、前記第1の係合部を構成する板片を前記円環部に等間隔に設け、前記第2の係合部を構成する板ばね部は、前記板片と異なる位置で、かつ、前記円環部に等間隔に設けるようにしてもよい。
【0027】
また、前記構成において、前記板ばね部の先端部をロール状に形成するようにしてもよいし、前記板ばね部に切込みを形成するようにしてもよい。また、前記円環部にフランジ部を設けるようにしてもよい。
【0028】
次に、本発明に係る管継手は、第1の管継手部材と、前記第1の管継手部材に結合される第2の管継手部材と、前記第1及び第2の管継手部材の結合部分に取り付けられ、これら第1及び第2の管継手部材の結合、解除を行わしめるスリーブ部材と、前記スリーブ部材を第1及び第2の管継手部材が互いに結合される方向に付勢する弾発部材と、前記第1及び第2の管継手部材とを互いに係合させるチャックとを具備して構成されるもので、前記チャックとして、前記第1の管継手部材が挿通される円環部と、前記円環部から該円環部の中心軸に沿って延出し、前記第1の管継手部材に係合する第1の係合部と、前記円環部から該円環部の中心軸に沿って延出し、前記第2の管継手部材に弾性的に係合する第2の係合部とを一体に設けて構成する。
【0029】
これにより、まず、チャックは、第2の係合部が第2の管継手部材に対して弾性的に係合するため、第2の管継手部材に対する係合が不十分になるということがなく、従来から用いられてきた球体を使用する必要がなくなる。
【0030】
また、円環部を基部として、第1の管継手部材に係合する第1の係合部と、第2の管継手部材に弾性的に係合する第2の係合部を有し、これらの部位が一体構成となっている。
【0031】
このように、球体を使用する必要がないため、球体を保持するための別部材を設ける必要がなくなり、球体を含む構成部品の点数を減らすことができる。その結果、管継手の組立工程が簡略化され、部品点数の低減と相俟って製造コストの低廉化を図ることができる。しかも、第1の管継手部材に前記別部材を保持するための構造を採用する必要がなくなるため、管継手の軸方向の長さを短尺化することが可能となり、前記部品点数の低減と相俟って、管継手の小型軽量化を図ることができる。
【0032】
また、例えば管継手の太さを一定としたとき、前記別部材を設ける必要がなくなる分、管継手の管径を大きくすることができるため、大流量化を図ることができる。
【0033】
そして、前記管継手において、前記チャックにおける前記第1の係合部を、前記円環部に設けられた複数の板片を有して構成し、前記チャックにおける前記第2の係合部を、前記円環部に設けられ、かつ、前記第1の係合部の前記板片よりも長尺に形成された複数の板ばね部を有して構成するようにしてもよい。
【0034】
また、前記構成において、前記板ばね部に、前記円環部の中心軸方向へ指向して傾斜した傾斜部を有するようにしてもよい。
【0035】
また、前記管継手において、前記第1の係合部を構成する板片を、前記円環部に等間隔に設けることが好ましい。この場合、チャックは、あらゆる方向において均等な力で第1の管継手部材に固定されることになる。
【0036】
また、前記管継手において、前記第2の係合部を構成する板ばね部を、前記板片と異なる位置で、かつ、前記円環部に等間隔に設けることが好ましい。この場合も、チャックは、あらゆる方向において均等な力で第2の管継手部材に固定されることになる。
【0037】
また、前記管継手において、前記板ばね部の先端部をロール状に形成するようにしてもよいし、前記板ばね部に切込みを形成するようにしてもよい。また、前記管継手において、前記円環部にフランジ部を設け、該フランジ部に前記弾発部材の一端を当接させるようにしてもよい。なお、前記第1の管継手部材の内部に弁体を配するようにしてもよい。
【0038】
前記管継手において、前記スリーブ部材の後方への変位を選択的に規制するロック機構を有するようにしてもよい。この場合、前記ロック機構は、前記第1の管継手部材の前部に被せられる筒状のホルダと、前記ホルダの外周上を摺動する筒状のロック部材とを有し、前記ロック部材は内方に突出する少なくとも2つの突起を有し、前記ホルダは、前記ロック部材を回転させたときに、該ロック部材がホルダの後半部の周面上を前後方向に回転しながら摺動するような形状に形成されたガイド溝を有するようにしてもよい。
【0039】
これにより、第1の管継手部材と第2の管継手部材とを結合した後におけるスリーブ部材の後方への不測の変位を防止することができ、しかも、これら第1及び第2の管継手部材を強固に結合することができる。
【0040】
また、前記ホルダは、その前端部に、外径が前記スリーブ部材における後部の内径とほぼ同じとなるように外方に膨出され、かつ、前記スリーブ部材の内壁に接触するガイド部を設け、前記ガイド部を前記スリーブ部材の内壁に沿って前方に延在させるようにしてもよい。これにより、スリーブ部材の前後方向への摺動を円滑に、かつ、安定にすることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るチャックの実施の形態例と、この実施の形態に係るチャックを管継手に適用した実施の形態例について図1〜図14を参照しながら説明する。
【0042】
まず、第1の実施の形態に係る管継手10Aは、図1に示すように、金属製の筒状の第1の管継手部材12と、該第1の管継手部材12に結合される金属製の筒状の第2の管継手部材14と、第1及び第2の管継手部材12及び14の結合部分に取り付けられ、これら第1及び第2の管継手部材12及び14の結合、解除を行わしめる金属製のスリーブ16と、該スリーブ16を第1及び第2の管継手部材12及び14が互いに結合される方向に付勢する圧縮コイルばね18と、第1及び第2の管継手部材12及び14を互いに係合させる本実施の形態に係るチャック20とを具備して構成されている。
【0043】
以下の説明では、方向を特定するために、第1の管継手部材12において、第2の管継手部材14が挿入される部分を前部、また、第1の管継手部材12からみて第2の管継手部材14側の方向を前方とし、第2の管継手部材14において、第1の管継手部材12に挿入される部分を後部、また、第2の管継手部材14からみて第1の管継手部材12側の方向を後方として記す。
【0044】
第1の管継手部材12は、その中央部30が六角柱状に形成され、その後部32に雄ねじが切られて、中空部34を有するボルト部材としての構造を有し、前記雄ねじ部分32に図示しない管が接続されるようになっている。また、この第1の管継手部材12は、その前部36のうち、外径の大きい根元部分38に、円周方向に沿って第1の環状溝40が形成され、該根元部分38よりも前方の外径の小さい部分42に、円周方向に沿って第2の環状溝44が形成されている。
【0045】
また、この第1の管継手部材12は、図2に示すように、軸方向に沿って貫通する前記中空部34が形成されている。この中空部34のうち、その前端部の開口から雄ねじ部分32の始端に対応する部分にかけて形成された空間が、少なくとも後述する弁体48と第2の管継手部材14の後部50の一部が挿入される収容空間34aとして形成され、雄ねじ部分32の始端から中空部34の後部の開口52にかけて形成された空間が貫通孔34bとして形成されている。
【0046】
前記収容空間34aの径は、貫通孔34bの径よりも大に設定されており、特に、収容空間34aと貫通孔34bとの間は該貫通孔34bに向かって縮径するテーパ面46として形成されている。
【0047】
弁体48は、図1に示すように、筒状の台座部60と、該台座部60の中空部62から後方に延在する断面十字状の支持体64と、該支持体64の後端部に丸みを帯びた突出部66とが一体に形成された弁本体68と、該弁本体68に圧縮コイルばね70を介して装着された可動部材72とを備え、これらは共に合成樹脂で構成されている。弁本体68の突出部66の根元部分に設けられた環状溝74にはOリング76が装着され、可動部材72に設けられた環状溝78にはOリング80が装着される。
【0048】
従って、この弁体48は、自然状態では、図3に示すように、圧縮コイルばね70の弾発付勢によって弁本体68における突出部66の根元部分と可動部材72の後端部内壁とが前記Oリング76を介して互いに当接して押圧し合い、該Oリング76により弁本体68と可動部材72との間のシール性が確保されるようになっている。即ち、弁体48は閉状態となる。
【0049】
そして、図2に示すように、圧縮コイルばね70の付勢に抗して台座部60を可動部材72に対して相対的に接近する方向に移動させると、前記突出部66の根元部分と可動部材72の後端部内壁とが離間することになるため、突出部66側の空間と台座部60側の空間とが支持体64を通じて連通することとになり、弁体48は開状態となる。
【0050】
このようにして構成された弁体48は、第1の管継手部材12の収容空間34a内に圧入され、弁本体68が前後方向に移動自在とされた状態で該収容空間34a内に嵌合される。なお、弁体48の可動部材72は、収容空間34aの内壁に設けられた環状突起82によってそれ以上の圧入(貫通孔34bの方向への圧入)が阻止されている。
【0051】
前記収容空間34aには、その前端内壁に沿って円筒状のカラー部材84が取り付けられるようになっている。このカラー部材84は、その外周面に環状突起86が形成され、この環状突起86は、カラー部材84が第1の管継手部材12に圧入される際のストッパとして機能する。このカラー部材84の後部端面と弁本体68の台座部60との間には、Oリング88が介在され、これにより、カラー部材84と台座部60との間のシール性が確保される。
【0052】
カラー部材84は、その外径が、第1の管継手部材12の前部36における内径とほぼ等しく設定されている。従って、カラー部材84を第1の管継手部材12の前部36の開口内に圧入することにより、該カラー部材84を第1の管継手部材12に嵌合することができる。
【0053】
そして、図3に示すように、第1の管継手部材12に第2の管継手部材14が挿入されていない状態では、弁本体68の台座部60とカラー部材84及びその間に介在するOリング88が弁体48の圧縮コイルばね70の付勢によって前方に変位され、カラー部材84の前端部によって後述するチャック20の板ばね部132を互いに外方に展開する方向に押圧することとなる。このとき、弁体48の突出部66に設けられたOリング76が可動部材72の内壁に当接し、弁体48は閉状態となる。
【0054】
第2の管継手部材14は、その内部に前端開口から後端開口まで貫通する中空部100が形成されている。また、この第2の管継手部材14は、その中央部102が六角柱状に形成され、その前部104に雄ねじが切られて、中空部100を有するボルト部材としての構造を有し、前記前部(雄ねじ部分)104に図示しない管が接続されるようになっている。また、この第2の管継手部材14は、その後部50のうち、外径の大きい根元部分106に、円周方向に沿って環状溝108が形成されている。
【0055】
また、この第2の管継手部材14の前記後部50における外径の小さい部分110は、その外径がカラー部材84の内径とほぼ同じに設定され、その軸方向に沿った長さは、弁本体68の台座部60の端面60aからカラー部材84の前端面84aまでの距離とほぼ同じに設定されている。
【0056】
そして、本実施の形態に係るチャック20は、図4及び図5に示すように、例えば金属により構成され、前記第1の管継手部材12が挿通される円環部120と、該円環部120から該円環部120の中心軸m(図5参照)に沿って延出し、第1の管継手部材12に係合する第1の係合部122と、前記円環部120から該円環部120の中心軸mに沿って延出し、第2の管継手部材14に弾性的に係合する第2の係合部124とを有して構成されている。
【0057】
具体的には、円環部120は、その内径が第1の管継手部材12の前部36における外径の小さい部分42の外径とほぼ同じとされ、該外径の小さい部分42の根元部分に装着されるようになっている。
【0058】
第1の係合部122は、前記円環部120に設けられた複数の板片130を有して構成され、第2の係合部124は、前記円環部120に設けられ、かつ、第1の係合部122の板片130よりも長尺に形成された複数の板ばね部132を有して構成されている。
【0059】
第1の係合部122を構成する板片130は前記円環部120に等間隔に設けられ、第2の係合部124を構成する板ばね部132は前記板片130と異なる位置で、かつ、円環部120に等間隔に設けられている。図4では、円環部120に、8つの板片130が等間隔に、円環部120の中心に対して点対称の位置に設けられ、8本の板ばね部132が等間隔に、円環部120の中心に対して点対称の位置に設けられた例を示す。
【0060】
各板ばね部132は、円環部120の中心軸mの方向へ指向して傾斜した傾斜部134を有し、その先端部はロール状に形成されたロール部136とされている。このロール部136は、板ばね部132を外方に例えば2ターンほど巻回することにより形成されたものである。
【0061】
そして、図2に示すように、このチャック20を第1の管継手部材12の前記前部36の外径の小さい部分42に装着した状態で、第2の管継手部材14を第1の管継手部材12に挿入した際に、前記ロール部136が板ばね部132の弾性によって第2の管継手部材14の後部50に形成された環状溝108に係合するようになっている。
【0062】
また、このとき、第1の係合部122を構成する板片130が、第1の管継手部材12の前部36における第2の環状溝44に係合し、これによって、チャック20が第1の管継手部材12に固定されることになる。
【0063】
また、円環部120の端部から板ばね部132に向かって切込み138が形成されている。この切込み138は、その先端が板ばね部132の2/3の高さまで達している。この切込み138の形成によって、板ばね部132の可撓性が向上し、板ばね部132の弾性変形がより容易になる。
【0064】
また、円環部120にはその端部にフランジ部140を有する。このフランジ部140は、円環部120の端部を外側に屈曲変形することにより形成され、図2に示すように、圧縮コイルばね18の一端が当接するようになっている。この圧縮コイルばね18の当接によって、前記チャック20は更に強固に第1の管継手部材12に固定されることになる。
【0065】
一方、スリーブ16は、筒状に形成され、かつ、その前端開口から後端開口にかけて貫通する中空部150は、第1の管継手部材12と第2の管継手部材14との結合部分を挿通できる程度の径を有する。
【0066】
そして、このスリーブ16の前端近傍には、内方に突出し、かつ、第1の管継手部材12に装着されたチャック20のロール部136を第2の管継手部材14の軸方向に向かって押圧する環状突起152が一体に形成され、該スリーブ16の後端近傍には、第1の管継手部材12の前部における第1の環状溝40を前後方向に摺動する環状突起154が一体に形成されている。前記中空部150の前端近傍に設けられた環状突起152の後面は、圧縮コイルばね18の他端が当接されるようになっている。
【0067】
従って、第1の管継手部材12に第2の管継手部材14を挿入した際において、前記スリーブ16は、自然状態では、前記圧縮コイルばね18によって、第1の管継手部材12から第2の管継手部材14に向かって離間する方向に常時弾発付勢され、このとき、中空部150の後端近傍の環状突起154が第1の環状溝40の前方側壁に当接され、中空部150の前端近傍の環状突起152によってチャック20のロール部136が第2の管継手部材14の内方に押圧されることとなる。
【0068】
また、このとき、第2の管継手部材14の後端部が弁本体68の台座部60を後方に押圧することから、弁体48は開状態となる。
【0069】
次に、第1の実施の形態に係る管継手10Aの使用方法を簡単に説明する。まず、第1の管継手部材12に第2の管継手部材14が挿入されていない状態で、スリーブ16に外力を加え、該スリーブ16を第1の管継手部材12の後方に向けて変位させる。これにより、ロール部136がスリーブ16の押圧から解放される。この状態で、第2の管継手部材14をその後端面が弁本体68の台座部60に当接するまで挿入する。このとき、カラー部材84の前端面84aが第2の管継手部材14の段差部分に当接することになる。この状態では、カラー部材84の前端部がチャック20の板ばね部132を僅かに互いに展開するように押圧する位置にあり、弁体48は依然閉状態にある。
【0070】
次いで、第2の管継手部材14を第1の管継手部材12に向かって押圧すれば、カラー部材84と弁本体68が第1の管継手部材12の後方に向かって変位する。このとき、チャック20のロール部136は、第2の管継手部材14に形成された環状溝108に達し、板ばね部132の弾性によって該環状溝108に係合する。また、このとき、弁本体68の台座部60が第1の管継手部材12の後方に向かって押圧され、弁本体68の突出部66に設けられたOリング76が可動部材72から離間して第1の管継手部材12における中央部30(六角柱状の部分)のほぼ中央に位置した状態となる。これによって、弁体48は開状態となる。
【0071】
次いで、スリーブ16から外力を除けば、該スリーブ16が圧縮コイルばね18の弾発付勢によって、該スリーブ16の環状突起154が第1の管継手部材12における第1の環状溝40の前方側壁に当接するまで前方に変位し、該スリーブ16の環状突起152によってチャック20のロール部136が第2の管継手部材14の軸方向に押圧されるようになる。この押圧によりロール部136が環状溝108内に堅牢に係合され、ロール部136が第2の管継手部材14を把持するに至る。これによって、第2の管継手部材14が第1の管継手部材12に強固に結合されることとなる。
【0072】
第2の管継手部材14を第1の管継手部材12から離脱させるには、スリーブ16に外力を加え、該スリーブ16を第1の管継手部材12の後方に向けて変位させることによって、チャック20のロール部136をスリーブ16の押圧から解放すればよい。この際に、カラー部材84及び弁本体68が圧縮コイルばね70により弾発付勢され、弁本体68の突出部66に設けられたOリング76が可動部材72に再び当接する。これにより、弁本体68と可動部材72との間がシールされ、弁体48は閉状態となる。
【0073】
なお、チャック20は、板片130が第1の管継手部材12における第2の環状溝44に係合されており、しかも、チャック20のフランジ部140には圧縮コイルばね18の一端が当接していることから、第1の管継手部材12に強固に固定され、第2の管継手部材14の離脱の際にチャック20も離脱するという不都合は生じない。
【0074】
このように、本実施の形態に係るチャック20においては、円環部120と、該円環部120から該円環部120の中心軸mに沿って延出する第1の係合部122と、前記円環部120から該円環部120の中心軸mに沿って延出する第2の係合部124とを一体に構成するようにしたので、チャック20の部品点数が1つとなり、それに伴って、チャック20を使用して行う結合作業が容易になり、該チャック20を有する部品の製造コストを低廉化させることができる。
【0075】
従って、この実施の形態に係るチャック20を例えば管継手10Aに適用した場合、管継手10Aの生産効率の向上、製造コストの低廉化、管継手10Aの小型軽量化並びにその大流量化を容易に達成させることができる。
【0076】
また、第1の実施の形態に係る管継手10Aにおいては、第1及び第2の管継手部材12及び14を結合するためのチャック20において、第2の係合部124が第2の管継手部材14に対して弾性的に係合するため、第2の管継手部材14に対する係合が不十分になるということがなく、従来から用いられてきた球体を使用する必要がなくなる。
【0077】
また、チャック20は、円環部120を基部として、第1の管継手部材12に係合する第1の係合部122と、第2の管継手部材14に弾性的に係合する第2の係合部124を有し、これらの部位が一体構成となっている。
【0078】
このように、球体を使用する必要がないため、球体を保持するための別部材を設ける必要がなくなり、球体を含む構成部品の点数を減らすことができる。その結果、管継手10Aの組立工程が簡略化され、部品点数の低減と相俟って製造コストの低廉化を図ることができる。
【0079】
しかも、第1の管継手部材12に前記別部材を保持するための構造を採用する必要がなくなるため、管継手10Aの軸方向の長さを短尺化することが可能となり、前記部品点数の低減と相俟って、管継手10Aの小型軽量化を図ることができる。
【0080】
また、例えば管継手10Aの太さを一定としたとき、前記別部材を設ける必要がなくなる分、管継手10Aの管径を大きくすることができるため、大流量化を図ることができる。
【0081】
特に、本実施の形態においては、チャック20において、第2の係合部124を構成する板ばね部132を互いに等間隔で円環部120に設けるようにしたので、第2の管継手部材14は、あらゆる方向において均等な力で板ばね部132に把持されることになる。この均等な把持により、カラー部材84と第2の管継手部材14との間のシール性が確保される。
【0082】
一方、第1の係合部122を構成する板片130もまた互いに等間隔で円環部120に設けるようにしたので、チャック20は、あらゆる方向において均等な力で第1の管継手部材12に固定される。
【0083】
また、チャック20の第2の管継手部材14への係合は板ばね部132の先端に設けられたロール部136を通じて行うようにしているため、従来技術に係る管継手の球体と同様に、第2の管継手部材14に形成された環状溝108に堅牢に係合されることとなる。これにより、スリーブ16の変位過程においても、第1の管継手部材12から第2の管継手部材14が容易に離脱するという不都合を回避することができる。
【0084】
更に、第1の管継手部材12内に配される弁体48及びカラー部材84を合成樹脂にて構成するようにしたので、管継手10Aの一層の軽量化が図られる。
【0085】
上述の実施の形態に係るチャック20においては、円環部120の端部から板ばね部132に向かって切込み138を形成するようにしたが、その他、図6に示すように、切込み138を形成しなくてもよい。
【0086】
本実施の形態に係るチャック20(図1参照)のように切込みが形成されたものを使用するか、他の実施の形態に係るチャック20(図6参照)のように切込みが形成されていないものを使用するかは、管継手10Aのサイズや流体の種類等によって適宜選択すればよい。
【0087】
次に、第2の実施の形態に係る管継手10Bについて図7〜図14を参照しながら説明する。なお、第1の実施の形態に係る管継手10Aと対応する部材については同符号を付してその重複説明を省略する。
【0088】
この第2の実施の形態に係る管継手10Bは、図7及び図8に示すように、上述した第1の実施の形態に係る管継手10A(図1及び図2参照)とほぼ同様の構成を有するが、スリーブ16が金属のプレス成形によって、第1の実施の形態に係る管継手10Aのスリーブ16よりも薄肉の円筒状に形成されている点と、スリーブ16の後方への変位を規制するためのロック機構200を有する点で異なる。
【0089】
具体的には、前記スリーブ16は、その前端開口から後端開口にかけて貫通する中空部150を有し、該中空部150は、第1の管継手部材12と第2の管継手部材14との結合部分を挿通できる程度の径を有する。
【0090】
そして、このスリーブ16の前端近傍には、内方に突出し、かつ、第1の管継手部材12に装着されたチャック20のロール部136を第2の管継手部材14の軸方向に向かって押圧するための屈曲部202が一体に形成され、該スリーブ16の後端近傍には、内方に一部屈曲し、かつ、後述するロック機構200のホルダ210と係合する係合片204が一体に形成されている。
【0091】
このスリーブ16の前端部206は、内方に丸みを帯びるように折り曲げて形成されている。これは、取り扱いの利便性を考慮し、更に、第2の管継手部材14をスリーブ16の中空部150(正確には第1の管継手部材12の中空部34)内にスムーズに挿入できるようにし、また、スリーブ16の強度を大きくとれるようにしたものである。
【0092】
ロック機構200は、第1の管継手部材12の前部36に被せられる円筒状のホルダ210と、該ホルダ210の外周上を摺動する円筒状のロック部材212とを有する。ホルダ210は、その前端部に圧縮コイルばね18の他端がはまり込む環状の溝214が形成されている。
【0093】
また、ホルダ210の前端部は、その外径がスリーブ16における後部の内径とほぼ同じとなるように外方に膨出され、かつ、スリーブ16の内壁に接触するガイド部216を有する。このガイド部216は、スリーブ16の内壁に沿って前方に延在され、これにより、スリーブ16の前後方向への摺動が円滑に、かつ、安定にできるようになっている。
【0094】
そして、図9に示すように、第1の管継手部材12に第2の管継手部材14が挿入されていない状態であって、かつ、スリーブ16を後方に変位させた状態においては、ホルダ210におけるガイド部216の後端面とスリーブ16における係合片204の前端面との間に、第1の管継手部材12とスリーブ16との相対移動距離分の隙間が形成されている。従って、図10に示すように、第1の管継手部材12に第2の管継手部材14を挿入したとき、第1の管継手部材12がスリーブ16に対して相対的に後方に移動し、ホルダ210におけるガイド部216の後端面に、スリーブ16における係合片204の前端面とが当接することになる。
【0095】
また、このホルダ210の後半部には、図7に示すように、2つのガイド溝220が設けられている。このガイド溝220の詳細については後述する。
【0096】
一方、ロック部材212は、例えば樹脂にて円筒状に形成されている。このロック部材212は、スリーブ16の後部とロック機構200におけるホルダ210が挿入できる程度の中空部222を有し、該中空部222の前端部から中央部にかけての内径は、スリーブ16の係合片204を含む後部を被覆できる程度の径に設定され、前記中空部222における後部の内径は、前記中空部222の前端部から中央部にかけての内径よりも小に設定されている。
【0097】
特に、図11及び図12に示すように、ロック部材212の後部の内壁には、内方に突出し、かつ、先端面が矩形状とされた2つの突起224a及び224bが一体に形成されている。これら2つの突起224a及び224bは互いに対向する位置に形成されている。
【0098】
そして、前記ホルダ210の後半部に形成されたガイド溝220は、前記ロック部材212を回転させたときに、該ロック部材212がホルダ210の後半部の周面上を前後方向に回転しながら摺動するような形状に形成されている。
【0099】
ここで、ロック部材212の後端とホルダ210の後端とがほぼ一致した状態にあるロック部材212の位置を初期位置と定義したとき、前記ガイド溝220は、ホルダ210の後半部の外周に沿って斜め方向に形成され、ロック部材212が初期位置にある状態で該ロック部材212を右ネジ方向に回転させた場合に、該ロック部材212がスリーブ16の後端に向かって回転しながら摺動し、ロック部材212がスリーブ16の後端に近接する位置(終端位置)に到達した段階で、前記摺動が停止するようになっている。
【0100】
具体的には、図13に示すように、前記ガイド溝220は、ロック部材212が初期位置P1にあるとき、該ロック部材212の各突起224a及び224bが位置する部分にこれら突起224a及び224bが入り込む例えば矩形状の第1の溝226と、ロック部材212が終端位置P2にあるとき、該ロック部材212の各突起224a及び224bが位置する部分にこれら突起224a及び224bが入り込む例えば矩形状の第2の溝228と、これら第1の溝226と第2の溝228との間を連通し、ホルダ210の外周に対して斜め方向に延在して形成された連通溝230とを有する。
【0101】
更に、図7及び図14に示すように、前記ガイド溝220の底部には、第1の溝226と連通溝230との間に断面ほぼ三角形状の第1の微小突起232が形成され、第2の溝228と連通溝230との間に断面ほぼ三角形状の第2の微小突起234が形成されている。従って、ロック部材212は、初期位置P1あるいは終端位置P2に位置しているとき、これら第1の微小突起232あるいは第2の微小突起234によって、変位が規制され、外力が付与されていない場合は、初期位置P1あるいは終端位置P2に保持されることになる。
【0102】
そして、前記ロック部材212を初期位置P1から終端位置P2へ、あるいは終端位置P2から初期位置P1へ変位させる場合は、ロック部材212に外力(例えば使用者の指による外力)を付与して、ロック部材212の突起224a及び224bが第1及び第2の微小突起232及び234を乗り越えるようにする。このときの振動が使用者の指に伝わるため、使用者は、ロック部材212が初期位置P1から連通溝230に変位した過程(状態)あるいは連通溝230から終端位置P2に変位した過程(状態)、又はロック部材212が終端位置P2から連通溝230に変位した過程(状態)あるいは連通溝230から初期位置P1に変位した過程(状態)を容易に認識することができ、操作性が向上することになる。
【0103】
また、前記ロック部材212には、その外周にロック部材212の回転状態(位置)を知らせるための2つのV溝236が形成されている。そして、ロック部材212が初期位置P1にあるとき、各V溝236は、例えば第1の管継手部材12の中央部30に形成された初期位置P1を示す指標(図示せず)とほぼ一致するようになっている。また、ロック部材212が終端位置P2にあるとき、各V溝236は、例えば第1の管継手部材12の中央部30、あるいはホルダ210の外周に形成された終端位置P2を示す指標とほぼ一致するようになっている。
【0104】
次に、この第2の実施の形態に係る管継手10Bの使用方法を簡単に説明する。まず、図9に示すように、第1の管継手部材12に第2の管継手部材14が挿入されていない状態で、スリーブ16に外力を加え、該スリーブ16を第1の管継手部材12の後方に向けて変位させる。これにより、チャック20のロール部136がスリーブ16の押圧から解放される。このとき、ロック機構200のロック部材212は初期位置P1にある。
【0105】
この状態で、図10に示すように、第2の管継手部材14をその後端面が弁本体68の台座部60(図7又は図9参照)に当接するまで挿入し、更に、第2の管継手部材14を第1の管継手部材12に向かって押圧すれば、カラー部材84と弁本体68が第1の管継手部材12の後方に向かって変位する。このとき、チャック20のロール部136は、第2の管継手部材14に形成された環状溝108に達し、板ばね部132の弾性によって該環状溝108に係合する。
【0106】
また、このとき、弁本体68の台座部60が第1の管継手部材12の後方に向かって押圧され、弁本体68の突出部66に設けられたOリング76が可動部材72から離間して第1の管継手部材12における中央部30(六角柱状の部分)のほぼ中央に位置した状態となる。これによって、弁体48は開状態となる。
【0107】
次いで、スリーブ16から外力を除けば、該スリーブ16が圧縮コイルばね18の弾発付勢によって、該スリーブ16における係合片204の前端がロック機構200におけるホルダ210のガイド部216の後端に当接するまで前方に変位し、該スリーブ16の屈曲部202によってチャック20のロール部136が第2の管継手部材14の軸方向に押圧されるようになる。この押圧によりロール部136が環状溝108内に堅牢に係合され、ロール部136が第2の管継手部材14を把持するに至る。これによって、第2の管継手部材14が第1の管継手部材12に強固に結合されることとなる。
【0108】
このとき、前記スリーブ16が前方へ変位することによって、ロック部材212における後部の前端面とスリーブ16の後端面との間には、隙間が形成されることになる。
【0109】
その後、ロック部材212を右ネジ方向に回転させることによって、ロック部材212がホルダ210のガイド溝220(図7参照)に沿って前方に摺動し、図8に示すように、ロック部材212が終端位置P2に到達した段階で、ロック部材212における後部の前端面がスリーブ16の後端面に近接した位置あるいは接触する位置に到達することになる。このとき、ロック部材212の突起224a及び224bがそれぞれ第2の微小突起234を乗り越えて該第2の微小突起234によって終端位置P2に保持されることになるため、スリーブ16の後方への変位が規制されることになる。これによって、第1の管継手部材12と第2の管継手部材14は、強固に結合されることになる。
【0110】
反対に、第2の管継手部材14を第1の管継手部材12から離脱させるには、まず、ロック部材212を右ネジ方向とは逆の方向に回転させて、該ロック部材212が初期位置P1に位置するまで摺動させる。これによって、スリーブ16に対する後方への変位の規制が解除されることになる。
【0111】
続いて、スリーブ16に外力を加え、該スリーブ16を第1の管継手部材12の後方に向けて変位させることによって、チャック20のロール部136をスリーブ16の押圧から解放する。この際に、カラー部材84及び弁本体68が圧縮コイルばね70により弾発付勢され、弁本体68の突出部66に設けられたOリング76が可動部材72に再び当接する。これにより、弁本体68と可動部材72との間がシールされ、弁体48は閉状態となる。
【0112】
このように、第2の実施の形態に係る管継手10Bにおいては、上述した第1の実施の形態に係る管継手10Aと同様の効果を得ることができるほか、スリーブ16を金属製の薄肉の円筒で構成するようにしたので、第1の実施の形態に係る管継手10Aよりも小型軽量に作製することができる。
【0113】
また、この第2の実施の形態に係る管継手10Bにおいては、ロック機構200を設けるようにしたので、第1の管継手部材12と第2の管継手部材14とを結合した後におけるスリーブ16の後方への不測の変位を防止することができ、しかも、これら管継手部材12及び14を強固に結合することができる。
【0114】
なお、この発明に係るチャック及び管継手は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るチャックによれば、例えば管継手に適用した場合において、管継手の生産効率の向上、製造コストの低廉化、管継手の小型軽量化並びにその大流量化を容易に達成させることができる。
【0116】
また、本発明に係る管継手によれば、管継手の生産効率の向上、製造コストの低廉化、管継手の小型軽量化並びにその大流量化を容易に達成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る管継手の構成を示す分解斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る管継手の構成、特に、第1の管継手部材に第2の管継手部材を挿入した状態の構成を示す縦断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る管継手の構成、特に、第1の管継手部材に第2の管継手部材を挿入していない状態であって、スリーブを後方に変位させた状態の構成を示す縦断面図である。
【図4】本実施の形態に係るチャックの構成を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態に係るチャックの構成を示す縦断面図である。
【図6】他の実施の形態に係るチャックの構成を示す斜視図である。
【図7】第2の実施の形態に係る管継手の構成を示す分解斜視図である。
【図8】第2の実施の形態に係る管継手の構成、特に、第1の管継手部材に第2の管継手部材を挿入した状態であって、ロック機構でスリーブの後方変位を規制させた状態の構成を示す縦断面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る管継手の構成、特に、第1の管継手部材に第2の管継手部材を挿入していない状態であって、スリーブを後方に変位させた状態の構成を示す縦断面図である。
【図10】第2の実施の形態に係る管継手の構成、特に、第1の管継手部材に第2の管継手部材を挿入した状態であって、ロック機構を動作させていない状態の構成を示す縦断面図である。
【図11】ロック機構のロック部材を示す横断面図である。
【図12】図11におけるXII−XII線上の断面図である。
【図13】ロック機構の動作原理、特に、ホルダに形成されたガイド溝に対するロック部材の突起の動作を平面から見て示す説明図である。
【図14】ロック機構の動作原理、特に、ホルダに形成されたガイド溝に対するロック部材の突起の動作を側面から見て示す説明図である。
【図15】従来例に係る管継手の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10A、10B…管継手 12…第1の管継手部材
14…第2の管継手部材 16…スリーブ
18…圧縮コイルばね 20…チャック
48…弁体 84…カラー部材
120…円環部 122…第1の係合部
124…第2の係合部 130…板片
132…板ばね部 134…傾斜部
136…ロール部 138…切込み
140…フランジ部
Claims (14)
- 少なくとも一方の部材が挿通される円環部と、
前記円環部から該円環部の中心軸に沿って延出し、前記一方の部材に係合する第1の係合部と、
前記円環部から該円環部の中心軸に沿って延出し、他方の部材に弾性的に係合する第2の係合部とを有し、
前記第1の係合部は、前記円環部に設けられた複数の板片を有して構成され、
前記第2の係合部は、前記円環部に設けられ、かつ、前記第1の係合部の前記板片よりも長尺に形成された複数の板ばね部を有して構成され、
前記板ばね部の先端部がロール状に形成されていることを特徴とするチャック。 - 請求項1記載のチャックにおいて、
前記板ばね部は、前記円環部の中心軸方向へ指向して傾斜した傾斜部を有することを特徴とするチャック。 - 請求項1又は2記載のチャックにおいて、
前記第1の係合部を構成する板片は前記円環部に等間隔に設けられ、
前記第2の係合部を構成する板ばね部は前記板片と異なる位置で、かつ、前記円環部に等間隔に設けられていることを特徴とするチャック。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のチャックにおいて、
前記板ばね部に切込みが形成されていることを特徴とするチャック。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のチャックにおいて、
前記円環部はフランジ部を有することを特徴とするチャック。 - 第1の管継手部材と、
前記第1の管継手部材に結合される第2の管継手部材と、
前記第1及び第2の管継手部材の結合部分に取り付けられ、これら第1及び第2の管継手部材の結合、解除を行わしめるスリーブ部材と、
前記スリーブ部材を第1及び第2の管継手部材が互いに結合される方向に付勢する弾発部材と、
前記第1及び第2の管継手部材とを互いに係合させるチャックとを具備し、
前記チャックは、前記第1の管継手部材が挿通される円環部と、
前記円環部から該円環部の中心軸に沿って延出し、前記第1の管継手部材に係合する第1の係合部と、
前記円環部から該円環部の中心軸に沿って延出し、前記第2の管継手部材に弾性的に係合する第2の係合部とを有し、
前記チャックにおける前記第1の係合部は、前記円環部に設けられた複数の板片を有して構成され、
前記チャックにおける前記第2の係合部は、前記円環部に設けられ、かつ、前記第1の係合部の前記板片よりも長尺に形成された複数の板ばね部を有して構成され、
前記板ばね部の先端部がロール状に形成されていることを特徴とする管継手。 - 請求項6記載の管継手において、
前記板ばね部は、前記円環部の中心軸方向へ指向して傾斜した傾斜部を有することを特徴とする管継手。 - 請求項6又は7記載の管継手において、
前記第1の係合部を構成する板片は前記円環部に等間隔に設けられ、
前記第2の係合部を構成する板ばね部は前記板片と異なる位置で、かつ、前記円環部に等間隔に設けられていることを特徴とする管継手。 - 請求項6〜8のいずれか1項に記載の管継手において、
前記板ばね部に切込みが形成されていることを特徴とする管継手。 - 請求項6〜9のいずれか1項に記載の管継手において、
前記円環部がフランジ部を有し、該フランジ部に前記弾発部材の一端が当接していることを特徴とする管継手。 - 請求項6〜10のいずれか1項に記載の管継手において、
前記第1の管継手部材の内部に弁体が配されていることを特徴とする管継手。 - 請求項6〜11のいずれか1項に記載の管継手において、
前記スリーブ部材の後方への変位を選択的に規制するロック機構を有することを特徴とする管継手。 - 請求項12記載の管継手において、
前記ロック機構は、
前記第1の管継手部材の前部に被せられる筒状のホルダと、
前記ホルダの外周上を摺動する筒状のロック部材とを有し、
前記ロック部材は内方に突出する少なくとも2つの突起を有し、
前記ホルダは、前記ロック部材を回転させたときに、該ロック部材がホルダの後半部の周面上を前後方向に回転しながら摺動するような形状に形成されたガイド溝を有することを特徴とする管継手。 - 請求項13記載の管継手において、
前記ホルダは、その前端部に、外径が前記スリーブ部材における後部の内径とほぼ同じとなるように外方に膨出され、かつ、前記スリーブ部材の内壁に接触するガイド部を有し、
前記ガイド部は、前記スリーブ部材の内壁に沿って前方に延在されていることを特徴とする管継手。
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