JP4571961B2 - L−リボースイソメラーゼとその製造方法並びに用途 - Google Patents
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Description
<A 細胞形態>
肉汁寒天培養、27℃
通常1.0乃至1.5×1.5乃至2.5μm桿菌。単独。運動性あり
(回転あるいは振動)。無胞子。鞭毛あり。グラム陰性。
(1) 肉汁寒天平板培養、27℃
形状 : 円形。大きさは2日間培養で0.1乃至1mm。
周縁 : 全縁
隆起 : 半レンズ状
光沢 : 鈍光
表面 : 平滑
色調 : 不透明、淡い黄色
(2) 肉汁寒天斜面培養、27℃
生育度 : 良好
形状 : 糸状
(3) トリプトソーヤ寒天斜面培養、27℃
生育度 : 良好
形状 : 糸状
(4) 肉汁ゼラチン穿刺培養、27℃
液化しない。
(1) 硝酸塩の還元性 : 陽性
(2) ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積: 陰性
(3) メチルレッド試験 : 陰性
(4) VP試験 : 陰性
(5) インドールの生成 : 陰性
(6) 硫化水素の生成 : 陰性
(7) 澱粉の加水分解 : 陰性
(8) クエン酸の利用 : 陽性
(9) 色素の生成 : なし
(10) オキシダーゼ : 陰性
(11) カタラーゼ : 陽性
(12) 生育の温度範囲 : 20乃至37℃
(13) 酸素に対する態度 : 好気性
(14) D−グルコースからの酸の生成: 陽性
(15) 溶血性 : 陰性
(16) β−キシロシダーゼ : 陰性
(17) 炭素源の利用: グルタル酸、マロン酸、フェニル乳酸、アゼライン酸、
D−リンゴ酸、エタノール、2,3−ブタンジオール、
アコニット酸、D−リボース、D−キシロース、L−ア
ラビノース及びD−グルコースを利用する。
(18) 窒素源の利用: L−フェニルアラニン、L−ヒスチジン、L−アスパラ
ギン酸、L−ロイシン、L−チロシン、β−アラニン、
L−アルギニン及びL−オルニチンを利用する。
ヒスタミンを利用しない。
(19) DNase : 陽性
(20) 3−ケトラクトースの生成: 陰性
(21) DNAのG−C含量 : 42%
酵母エキス0.5w/v%、ポリペプトン0.5w/v%、食塩0.5w/v%及び水からなる液体培地をpH7.0に調整した。この培地2lを2.5l容ジャーファーメンターに入れ、オートクレーブで120℃、20分間滅菌し、冷却して、あらかじめD−リキソースを単一炭素源とした培養基に4日間前培養したアシネトバクター・カルコアセティカスLR7C(FERM BP−5335)を接種し、30℃で14時間通気撹拌培養した。培養液を遠心分離して、菌体を培地1l当たり湿質量約15gを採取し、これを、常法に従って、アルミナ粉末とともに磨砕し、0.05Mトリス・塩酸緩衝液(pH7.5)を加えて酵素を抽出し遠心分離して上清(粗酵素液)200mlを得た。本液は、活性量2870単位、比活性1.73単位/mg蛋白質であった。
実験1で得た粗酵素液を、氷冷し、これに0.01M塩化マンガンを添加し、30分間放置したあと不溶物を遠心分離して除去した。次いで、ポリエチレングリコール粉末を15w/v%になるように加え、撹拌溶解し、生じた不溶物を遠心分離して除去した。得られた上清にポリエチレングリコールを終末25w/v%になるように加え、撹拌溶解し、生じた不溶物を遠心分離し、沈殿を採取した。
実験2−1で得た沈殿物を0.05Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に溶解し、不溶物を遠心分離して除去し、上清13mlを得た。本上清を弱塩基性陰イオン交換樹脂(東ソー製、商品名『DEAE−トヨパール650M』)を充填したカラムにかけて本酵素を吸着させ、次いで、塩化カリウムによる0乃至0.5Mの濃度勾配で溶出し、L−リボースイソメラーゼ画分を採取した。
実験2−2で得た活性画分を濃縮し、これをビーズ状デキストランゲル(ファルマシア社製、商品名『セファデックス G−150』)を充填したカラムにかけ、0.05Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出し、L−リボースイソメラーゼ活性画分を採取した。上述の各精製工程における蛋白質量、酵素活性量、回収率、精製倍率を表1に示す。
実験2の方法で得た精製L−リボースイソメラーゼを用いて、その理化学的性質を調べた。
活性測定法に準じて、L−リボースに作用させるとL−リブロースを生成し、L−リブロースに作用させるとL−リボースが生成する。この反応は可逆的であり平衡反応である。
活性測定法に準じて、各種アルドースを基質に活性を測定した。L−リボースを100とした時の各種アルドースに対する相対活性を表2に示す。
(1) ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(以下、「SDS−PAGE」と略記する。)で約25,000乃至35,000ダルトンを示す。
(2) ゲル濾過法で約110,000乃至130,000ダルトンを示す。
ゲル濾過法による分子量結果が、SDS−PAGEによる分子量結果の約4倍になることから、L−リボースイソメラーゼは、4量体で存在していることが推察される。
アガロースプレートを用いる等電点電気泳動法で、pI約4.0乃至5.5を示す。
L−アラビトールやリビトールの共存下で活性がわずかに阻害される。
活性測定法に準じて調べた。結果は、図1に示すように、pH9.0、10分間反応で、約30℃が至適である。
活性測定法に準じて調べた。結果は、図2に示すように、30℃、10分間反応で、pH約8乃至9が至適である。図中、○、●及び△は、緩衝液として、それぞれ、クエン酸塩緩衝液、ベルナール緩衝液及びグリシン・水酸化ナトリウム緩衝液を用いて活性測定した結果を示す。
活性測定法に準じて調べた。結果は、図3に示すように、pH9.0、10分間保持で、30℃付近まで安定である。
活性測定法に準じて調べた。結果は図4に示すように、4℃、24時間保持で、pH約7乃至9が安定であった。図中、○、●、△及び▲は、緩衝液として、それぞれ、クエン酸塩緩衝液、リン酸緩衝液、トリス・塩酸緩衝液及びグリシン・水酸化ナトリウム緩衝液を用いて活性測定した結果を示す。
実験2−3の方法で得た精製酵素標品の一部を蒸留水に対して透析した後、蛋白質量として約80マイクログラムをN末端部の部分アミノ酸配列分析用の試料とした。アミノ酸配列は、『プロテインシーケンサー モデル473A』(アプライドバイオシステムズ社製造、米国)を用い、N末端から5残基まで分析した。N末端から得られた配列は、配列表における配列番号1に示すアミノ酸配列であった。さらに、同じ試料を、同じ方法に供してより詳細に分析したところ、当該酵素はN末端部の部分アミノ酸配列として、配列表における配列番号2に示すアミノ酸配列を含んでいることが判明した。
実験2の方法で調製した精製L−リボースイソメラーゼを用いて、アルドースからケトースを製造した。アルドースとして、L−リボース、D−リキソース、D−タロース、D−マンノース、L−アロース及びL−グロースを用いた。0.05Mアルドース溶液10mlをpH9に維持しつつ、これに精製L−リボースイソメラーゼ50単位を加えて30℃で10時間反応させた。この反応液を活性炭処理、脱イオン処理の後、カルシウム型の陽イオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにより分画し、生産物の画分を減圧濃縮することによって純粋な生産物を得た。高速液体クロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィーで分析したところ、原料のアルドースと生産物のケトースとの関係は表3と同じであった。
実験2の方法で調製した精製L−リボースイソメラーゼを用いて、ケトースからアルドースを製造した。ケトースとして、L−リブロース、D−キシルロース、D−タガトース、D−フラクトース、L−プシコース及びL−ソルボースを用いた。0.05Mケトース溶液10mlをpH9に維持しつつ、これに精製L−リボースイソメラーゼ50単位を加えて30℃で10時間反応させた。この反応液を活性炭処理、脱イオン処理の後、ナトリウム型の陽イオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにより分画し、生産物の画分を減圧濃縮することによって純粋な生産物を得た。高速液体クロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィーで分析したところ、原料のケトースと生産物のアルドースとの関係は表3と同じであった。
実施例2の方法に準じて、0.1M L−リブロース25mlに精製L−リボースイソメラーゼ10単位を加え、30℃で15時間反応させ、L−リブロースをL−リボースに変換させた。次いで、反応液を常法に従って活性炭で脱色し、H型、炭酸型イオン交換樹脂で脱塩精製し、更に40℃に保温した亜硫酸水素型の陰イオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにより分画し、純粋なL−リボースの標品を得た。本精製L−リボースのL−リブロースに対する収率は、約60%であった。本品は、甘味料、品質改良剤、保湿剤、核酸の複製阻害剤などとして、食品、化粧品、医薬品、又はそれらの原料などに有利に使用できる。
実施例2の方法に準じて、0.1M D−タガトース50mlに精製L−リボースイソメラーゼ10単位を加え、30℃で20時間反応させ、D−タガトースをD−タロースに変換させた。次いで、反応液を常法に従って活性炭で脱色し、H型、炭酸型のイオン交換樹脂で脱塩し、カルシウム型の陽イオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにより分画し、生産物の画分を濃縮し、D−タロースの結晶を得た。本D−タロースのD−タガトースに対する収率は、約10%であった。本品は、甘味料、品質改良剤、保湿剤、核酸の複製阻害剤などとして、食品、化粧品、医薬品、又はそれらの原料などに有利に使用できる。
トリプトソーヤブイヨン2w/v%、グリセロール1w/v%及び脱イオン水からなる培養液100mlずつを500ml容振盪フラスコ10本にとり、120℃20分間オートクレーブし、冷却した後、グルコノバクター・フラテウリ(Guluconobacter frateurii)(IFO3254)を1白金耳ずつ植菌し、30℃で2日間振盪培養した。培養後、遠心分離により集菌し、得られた生菌体約10gをリビトール5w/v%を含有する0.05Mトリス・塩酸緩衝液(pH7.0)100mlに加え混合し、この混合液100mlを500ml容振盪フラスコに分注し、30℃で20時間振盪し、リビトールをL−リブロースに変換させた。次いで遠心分離して細菌を除去した。この上清を、常法に従って、活性炭を用いて脱色し、次いで、『ダイヤイオンSK1B』(H型、三菱化成工業株式会社製造の商品名)及び『ダイヤイオンWA30』(OH型、三菱化成工業株式会社製造の商品名)を用いて脱塩し、減圧濃縮して濃度約60%の透明なシラップを得た。さらに、『ダウエックス50WX4』(カルシウム型の陽イオン交換樹脂、ダウケミカル社製造の商品名)を用いるカラムクロマトグラフィーにより分画し、L−リブロース高含有画分を採取し、濃縮して、濃度約70%のシラップを得た。『MCIGEL CK−08EC』(カルシウム型、8×300mm、三菱化学製造)カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、本品はL−リブロースを固形物当たり97%以上含有していることが確認された。L−リブロースのリビトールに対する収率は、固形物当たり約90%であった。
トリプトソーヤブイヨン2w/v%、グリセロール1w/v%及び水からなる培養液100mlずつを500ml容振盪フラスコ2本にとり、120℃で20分間オートクレーブし、冷却した後、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)(IFO3281)を1白金耳ずつ植菌し、30℃で2日間振盪培養して、種培養を行った。ポリペプトン1.1w/v%、『ハイニュートSMP』(不二製油株式会社製造の商品名)0.2w/v%、燐酸2水素カリウム1.68w/v%、グリセリン1w/v%及び水からなる培養液16.8lを30l容ジャーファメンターに入れ、120℃20分間オートクレーブし、30℃に冷却した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH7.2に調整した。この培地に対し種培養液を1v/v%加え、温度30℃で22時間通気攪拌培養した後、これに別途120℃20分間オートクレーブしたリビトール水溶液3.2l(リビトールを2kg含有)を加え、27時間通気攪拌してリビトールをL−リブロースに変換させた。精密膜瀘過して濾液を採取した。この濾液を実施例5に記載の高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、L−リブロースを固形物当たり97%以上含有していることが確認された。
Claims (4)
- アシネトバクター・カルコアセティカス由来の、L−リボースを異性化してL−リブロースを生成し、また、逆に、L−リブロースを異性化してL−リボースを生成する作用を有し、且つ、SDS−PAGEにおいて分子量25,000乃至35,000ダルトンを示すL−リボースイソメラーゼを、L−リブロース、D−キシルロース、D−タガトース、D−フラクトース、L−プシコース及びL−ソルボースから選ばれるケトースに作用させる工程と、生成したそれぞれ対応するL−リボース、D−リキソース、D−タロース、D−マンノース、L−アロース及びL−グロースから選ばれるアルドースを採取する工程とを含んでなるアルドースの製造方法。
- アシネトバクター・カルコアセティカスが、アシネトバクター・カルコアセティカスLR7C(FERM BP−5335)又はその変異株である請求項1記載のアルドースの製造方法。
- アシネトバクター・カルコアセティカス由来の、L−リボースを異性化してL−リブロースを生成し、また、逆に、L−リブロースを異性化してL−リボースを生成する作用を有し、且つ、SDS−PAGEにおいて分子量25,000乃至35,000ダルトンを示すL−リボースイソメラーゼを、L−リボース、D−リキソース、D−タロース、D−マンノース、L−アロース及びL−グロースから選ばれるアルドースに作用させる工程と、生成したそれぞれ対応するL−リブロース、D−キシルロース、D−タガトース、D−フラクトース、L−プシコース及びL−ソルボースから選ばれるケトースを採取する工程とを含んでなるケトースの製造方法。
- アシネトバクター・カルコアセティカスが、アシネトバクター・カルコアセティカスLR7C(FERM BP−5335)又はその変異株である請求項3記載のケトースの製造方法。
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