JP4570213B2 - パラジウムめっき液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパラジウムめっき液に関し、更に詳しくは、熱履歴後におけるはんだ濡れ性が良好なパラジウムめっきを実現することができ、また厚めっきを行っても良好な外観を呈し、かつ接触抵抗の経時変化も少ないパラジウムめっきを実現することができ、電気・電子部品用のリードフレームや接点材料へのパラジウムめっきを行うときに用いて有効なパラジウムめっき液に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体チップが搭載されるリードフレームは、従来、銅または銅合金を基材とし、そのアウターリードにははんだめっき、インナーリードには銀めっきを施して製造されているのが通例であるが、このリードフレームには次のような特性が要求されている。すなわち、熱履歴後のはんだ濡れ性、展延性、ワイヤボンディング性が良好であり、耐マイグレーション性や耐食性も良好で、更には相手材とのはんだ接合後における接合信頼性が高いなどの諸特性である。
【0003】
そして、近年、このリードフレームの製造に当たっては、上記基材へのめっきをはんだや銀のめっきに代わってパラジウムめっきで行うことが注目を集めている。
このパラジウムめっきに関しては、例えば、特開昭52−54627号公報で開示されている方法が知られている。この先行技術では、塩化パラドサミン、塩化アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、および亜硫酸ナトリウムを必須成分とするめっき液を用いてパラジウムめっきが行われている。
【0004】
また、特開昭63−111194号公報には、可溶性パラジウム塩、可溶性セレン塩、およびピリジンスルホン酸もしくはそのアルカリ塩を必須成分とするめっき液を用いるパラジウムめっきが開示されている。
しかしながら、上記したような従来のパラジウムめっきでリードフレームを製造した場合、前記した要求特性にある程度応えられるとはいえ、熱履歴後のはんだ濡れ性に関しては充分に満足のいくレベルに達しないという問題がある。
【0005】
また、上記したようなめっき液は、長期間使用していると液劣化が進み、その結果、要求特性を示すパラジウムめっき層を同一のめっき液で長期間に亘り安定して形成することが困難になるという問題もある。
ところで、パラジウムめっきの場合、高純度の析出パラジウムで構成されるめっき層はその内部応力が高くなりやすい。そのため、厚めっきを行うと、めっき層にはカケやクラックが発生しやすく、また良好な展延性が得にくいという問題がある。このようなことから、パラジウムめっきの厚みは、一般に、1.0μm程度までとされている。
【0006】
一方、電子部品用の接点材料にパラジウムめっきを行った場合、そのめっき層には、耐食性や耐摩耗性に優れているという特性とともに、接触抵抗の経時変化が少ないという特性が要求されている。しかしながら、先行技術として示したような従来のパラジウムめっき液では、上記した要求特性を充分に満たすようなめっき層を形成することは困難であり、いまだに、めっき液としての実用的な課題が残されている状況にある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来のパラジウムめっき液における上記した問題を解決し、熱履歴後におけるはんだ濡れ性が優れているパラジウムめっき層を形成することができ、同時に液劣化も起こしづらい新規なパラジウムめっき液の提供を第1の目的とする。
【0008】
また、本発明はパラジウムの厚めっきが可能であり、耐食性や耐摩耗性が良好で、また相手材との接触抵抗の経時変化が少ないパラジウムめっき層の形成を可能にするパラジウムめっき液の提供を第2の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、1〜60g/L(ただし、パラジウム換算量)の水溶性パラジウム化合物、1.0〜50g/Lの亜硫酸またはその塩、0.1〜100g/Lのスルファミン酸またはその塩、および、0.1〜200g/Lのリン酸塩を必須成分として含み、前記リン酸塩は、リン酸ナトリウム及びリン酸カリウムのうちの少なくとも1種であることを特徴とするパラジウムめっき液が提供される。
【0010】
とくに、本発明においては、前記した第1の目的を達成するために好適なめっき液として、前記水溶性パラジウム化合物の含有量が1〜40g/L(ただし、パラジウム換算量)であり、前記スルファミン酸またはその塩の含有量が0.1〜60g/Lであるパラジウムめっき液が提供される。
【0011】
そして、前記水溶性パラジウム化合物が、パラジウムのアンミン錯塩の塩化物、臭化物、沃化物、硫化物、硝酸塩、亜硝酸塩、および亜硫酸塩の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、また、めっき液には、更に、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、しゅう酸塩、酒石酸塩、水酸化物、ほう酸、ほう酸塩、および炭酸塩の群から選ばれる少なくとも1種の導電性電解質が含まれていることを好適とするパラジウムめっき液が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のめっき液は、水溶性パラジウム化合物、亜硫酸またはその塩、およびスルファミン酸またはその塩を必須成分として含有するものである。そして、厚めっきの目的とする場合には、更にリン酸またはその塩を必須成分として含有せしめる。リン酸またはその塩を含有せしめると、高い電流密度でめっきを行ってもワレ、カケが発生せず、焼けも起こらなくなる。
【0013】
ここで、めっき液の主剤である水溶性パラジウム化合物としては、パラジウムのアンミン錯塩の塩化物、臭化物、沃化物、硫化物、硝酸塩、亜硝酸塩、および亜硫酸塩を好適例としてあげることができる。具体的には、ジクロロテトラアンミンパラジウム(Pd(NH3)4Cl2)、ジブロモテトラアンミンパラジウム(Pd[NH3]4Br2)、ジイオドテトラアンミンパラジウム(Pd[NH3]4I2)、ジニトライトテトラアンミンパラジウム(Pd[NH3]4(ONO)2)、ジニトレイトテトラアンミンパラジウム(Pd[NH3]4(NO3)2)、ジサルファイトテトラアンミンパラジウム(Pd[NH3]4(SO3)2)、ジサルフェイトテトラアンミンパラジウム(Pd[NH3]4(SO4)2)、ジニトロテトラアンミンパラジウム(Pd[NH3]4(NO2)2)のようなテトラアンミンパラジウム化合物;ジクロロジアミンパラジウム(Pd(NH3)2Cl2)、ジブロモジアンミンパラジウム(Pd[NH3]2Br2)、ジイオドジアンミンパラジウム(Pd[NH3]2I2)、ジニトライトジアンミンパラジウム(Pd[NH3]2(ONO)2)、ジニトレイトジアンミンパラジウム(Pd[NH3]2(NO3)2)、ジサルファイトジアンミンパラジウム(Pd[NH3]2(SO3)2)、ジサルフェイトジアンミンパラジウム(Pd[NH3]2(SO4)2)のようなジアンミンパラジウム化合物などを使用することもできる。これらの水溶性パラジウム化合物は単独で用いてもよく、また2種以上を適宜に組み合わせて用いてもよい。
【0014】
めっき液において、水溶性パラジウム化合物の濃度は、パラジウム換算量にして1〜60g/Lに設定される。この濃度が1g/Lより低い場合は、パラジウムが電着しなくなったり、また仮にめっき層が形成されても、析出速度の低下、めっき層の光沢不良や展延性の著しい低下、耐食性や耐摩耗性の低下などの問題が生じてくる。
【0015】
また、60g/Lより高濃度にすると、水溶性パラジウム化合物が溶解しにくくなってめっき液の均質性に問題が生ずるとともに、めっきの過程でめっき液の持ち出しに基づくPd成分のロスが起こって不経済になる。
このような理由に基づいて、本発明のめっき液における水溶性パラジウムの濃度の上限値は規制されることになるが、その規制の範囲内において、めっき目的に対応して水溶性パラジウム化合物の濃度を次のように設定することが好ましい。
【0016】
すなわち、厚めっきを目的としない場合には、水溶性パラジウム化合物の濃度は1〜40g/Lに設定することが好ましい。そして、例えば電子部品用の接点材料の製造のために厚めっきが目的とされる場合には、めっき液に後述するリン酸またはその塩を含有せしめると同時に、水溶性パラジウム化合物の濃度を4〜60g/Lと高濃度にすることが好ましい。前者のより好ましい濃度は4〜20g/Lであり、後者のより好ましい濃度は4〜40g/Lである。
【0017】
本発明のめっき液における第2の必須成分である亜硫酸またはその塩は、基材へのパラジウムめっきのつきまわり性を改善し、均一な半光沢のめっき外観を得るために配合される成分である。
亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウムなどをあげることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0018】
めっき液において、亜硫酸またはその塩の濃度は、1.0〜50g/Lに設定される。濃度が1.0g/Lより低い場合は、上記した効果が充分に発揮されず、また50g/Lより高い場合は、外観の劣化やめっき液の安定性の低下のような不都合が生ずるからである。好ましい濃度は1〜30g/Lである。
第3の必須成分であるスルファミン酸またはその塩は、高い電流密度でめっきを行っても、焼けのない半光沢のめっき外観を得るために配合される成分である。
【0019】
スルファミン酸の塩としては、例えばスルファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウム、スルファミン酸アンモニウム、スルファミン酸カルシウムなどをあげることができる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
スルファミン酸またはその塩の濃度は0.1〜100g/Lに設定される。濃度が0.1g/Lより低い場合は、上記した効果が充分に発揮されず、例えば高い電流密度でめっきを行うと、めっき層に焼けなどの外観不良が発生するようになる。また、100g/Lより高濃度にすると、めっき液の化学的な安定性が低下する。
【0020】
このようなことから、本発明においては、スルファミン酸またはその塩の濃度の上限値が規制されることになるが、その規制の範囲内において、めっき目的に対応してスルファミン酸またはその塩の濃度を次のように設定することが好ましい。
すなわち、厚めっきを目的としない場合には、0.1〜30g/Lに設定することが好ましい。より好ましくは、1〜20g/Lとする。また、厚めっきを目的とする場合には、1〜100g/Lに設定することが好ましい。より好ましくは1〜60g/Lにする。
【0021】
厚めっきを目的とするめっき液を建浴するときには、リン酸またはその塩が必須成分として配合されるが、そのときに用いるリン酸塩としては、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどを上げることができる。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0022】
このリン酸またはその塩は、めっき層における内部応力を低減せしめるのでその厚めっきを可能とし、展延性のある緻密で密着性に富むめっき層の形成に資する。更に、高い電流密度を適用して、焼けのない良好な金属光沢を有するめっき層の形成に資する。
このような効果を発揮せしめるリン酸またはその塩の濃度は、0.1〜200g/Lに設定される。この濃度が0.1g/Lより低い場合は上記した効果が充分に発揮されず、厚めっきは困難になり、また200g/Lより高い場合は、電流効率の低下およびめっき光沢が失われるようになる。好ましい濃度は5〜150g/Lとする。
【0023】
本発明のめっき液に更に次のような電導性電解質を溶解せしめると、上記した効果が更に助長され、めっき時にめっき層に悪影響を与える成分が副生しなくなり、もって液劣化が抑制され、長期に亘って安定した特性のめっき層を形成できるので好適である。
このような電導性電解質としては、例えば、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムのような硝酸塩;塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムのような塩化物;硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムのような硫酸塩;リン酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムのようなリン酸塩;しゅう酸アンモニウム、しゅう酸カリウム、しゅう酸ナトリウムのようなしゅう酸塩;酒石酸アンモニウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムのような酒石酸塩;水酸化カリウム、水酸化ナトリウムのような水酸化物;ほう酸;ほう酸アンモニウム、ほう酸カリウム、ほう酸ナトリウムのようなほう酸塩;炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのような炭酸塩の1種または2種以上をあげることができる。
【0024】
これらの電導性電解質は、その濃度が0.1〜500g/Lとなるように溶解せしめることが好ましい。濃度が0.1g/Lより低い場合は、上記した効果が充分に発揮されず、また500g/Lより高くなると、外観の低下やめっき液の安定性の低下などの不都合が生じてくるからである。好ましい濃度は20〜400g/Lである。
【0025】
更に、本発明のめっき液には、必要に応じて、公知の非イオン系界面活性剤やカチオン系界面活性剤を添加してもよい。また、表面調整剤として、エタノール、ブタンジオール、グリセリン、エチルセルソルブのようなアルコール類、グルコース、ショ糖、でんぷん、グルコースと果糖の混合物である異性化糖のようなOH基を有する有機物;アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドのようなCHO基を有する有機物;アセトン、ピナコリン、メシチルオキシド、アセトフェノン、シクロヘキサノンのようなCO基を有する化合物;メチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、ピピリジンなどのアミノ類のようなNを有する化合物;などを、0.1〜50g/l添加してもよい。
【0026】
本発明のめっき液を用いてパラジウムめっきを行う場合には、例えばアンモニア水や希硫酸または希塩酸を用いてめっき液のpH値を7〜9、好ましくは7.5〜8.5に調整し、液温を30〜70℃、好ましくは45〜65℃に設定し、そして陰極電流密度を0.2〜30A/dm2、好ましくは1〜25A/dm2に設定して実施すればよい。
【0027】
【実施例】
参考例1
ジクロロテトラアンミンパラジウム:4g/L(パラジウム換算)、スルファミン酸カリウム:20g/L、亜硫酸カリウム:20g/Lから成るめっき液を建浴した。
このめっき液を水酸化アンモニウムと希硫酸でpH7に調整し、液温を60℃に保持し、液攪拌を行いながら、予め無光沢のNiめっきが1μm施されているハルセル銅板に対して電流密度2A/dm2で10秒間のめっきを行った。
【0028】
形成されためっき層につき、下記の仕様で特性を評価した。
▲1▼電流効率:液温60℃、電流密度2A/dm2、めっき時間10分の条件下で厚み5μmのパラジウムめっきを行い、めっき前後における重量変化を測定し、そのPdめっき量を上記条件におけるPdの理論電着量で除算して百分率を求めた。
この値が90%以上である場合を合格とした。
▲2▼めっき外観:目視でムラ、焼け、光沢の有無を観察。
▲3▼熱履歴後のはんだ濡れ性:めっき層に温度315℃で30秒間の熱履歴を与えたのち、メニスコグラフでゼロクロスタイム(秒)を測定した。この値が2秒以下である場合を合格とした。
▲4▼液寿命:10ターン経過後もめっき処理が可能である場合を合格とした。なお、ここでいう1ターンとは、建浴時におけるめっき液の単位体積中に含有されているパラジウム量(実施例1の場合は、1リットル中に4gのパラジウム量)が完全に消費された時点をいう。したがって、ターン数が大きいめっきほど長期使用時における液劣化が起こりにくいということを表す。
以上の結果を表1に示す。
【0029】
参考例2
めっき液の組成が、ジニトロテトラアンミンパラジウム:20g/L(パラジウム換算)、スルファミン酸ナトリウム:20g/L、亜硫酸ナトリウム:10g/Lであったこと、めっき液のpH値を8に調整したこと、を除いては参考例1の場合と同様にしてパラジウムめっき層を形成した。
参考例1の場合と同様にしてめっき層の評価を行った。結果を表1に示す。
【0030】
参考例3
めっき液の組成が、ジニトロテトラアンミンパラジウム:4g/L(パラジウム換算)、スルファミン酸アンモニウム:2g/L、亜硫酸アンモニウム:2g/L、硝酸ナトリウム:400g/Lであったことを除いては参考例2の場合と同様にしてパラジウムめっき層を形成した。
参考例2の場合と同様にしてめっき層の評価を行った。結果を表1に示す。
【0031】
参考例4
めっき液の組成が、ジブロモテトラアンミンパラジウム:10g/L(パラジウム換算)、スルファミン酸カルシウム:20g/L、亜硫酸カリウム:20g/L、硝酸アンモニウム:100g/L、塩化アンモニウム:200g/Lであったことを除いては参考例2の場合と同様にしてパラジウムめっき層を形成した。
参考例2の場合と同様にしてめっき層の評価を行った。結果を表1に示す。
【0032】
参考例5
めっき液の組成が、ジクロロジアンミンパラジウム:10g/L(パラジウム換算)、スルファミン酸カルシウム:10g/L、亜硫酸アンモニウム:5g/L、亜硝酸アンモニウム:150g/Lであり、表面調整剤としてグルコース:5g/Lであったことを除いては参考例2の場合と同様にしてパラジウムめっき層を形成した。
参考例2の場合と同様にしてめっき層の評価を行った。結果を表1に示す。
【0033】
比較例1
めっき液の組成が、ジクロロテトラアンミンパラジウム:4g/L(パラジウム換算)、スルファミン酸カリウム:20g/Lであったことを除いては参考例2の場合と同様にしてパラジウムめっき層を形成した。このめっき液は、本発明のめっき液における必須成分である亜硫酸またはその塩を含まないものである。
参考例1の場合と同様にしてめっき層の評価を行った。結果を表1に示す。
【0034】
比較例2
めっき液の組成が、ジニトロテトラアンミンパラジウム:4g/L(パラジウム換算)、亜硫酸アンモニウム:2g/L、硝酸ナトリウム:400g/Lであったことを除いては参考例2の場合と同様にしてパラジウムめっき層を形成した。このめっき液は、本発明のめっき液における必須成分であるスルファミン酸またはその塩を含まないものである。
参考例1の場合と同様にしてめっき層の評価を行った。結果を表1に示す。
【0035】
従来例
めっき液の組成が、塩化パラドサミン:25g/L(パラジウム換算)、塩化アンモニウム:50g/L、スルファミン酸アンモニウム:35g/L、亜硫酸ナトリウム:0.5g/L、水酸化アンモニウム:75g/Lであったことを除いては参考例1の場合と同様にしてパラジウムめっきを行い、その特性を評価した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1から明らかなように、パラジウムのアンミン錯塩とスルファミン酸塩と亜硫酸塩を同時に含有する参考例のめっき液でパラジウムめっきを行うと、形成されためっき層は、めっき外観、電流効率は良好で、熱履歴後のはんだ濡れ性はそのゼロクロスタイムが2秒以下と非常に優れたものになる。しかも、めっき液のターン数も大きく、液劣化を招くことなく安定しためっきを行うことができるという効果も得られている。
したがって、本発明の参考例のめっき液は、熱履歴後における優れたはんだ濡れ性が要求されるリードフレーム用のパラジウムのめっき液としてその工業的価値は大である。
【0038】
実施例1
ジクロロジアンミンパラジウム:20g/L(パラジウム換算)、リン酸ナトリウム:15g/L、亜硫酸アンモニウム:20g/L、スルファミン酸アンモニウム:30g/L、硝酸アンモニウム:400g/Lから成るめっき液を建浴した。
【0039】
このめっき液を水酸化アンモニウムと希硫酸でpH8に調整し、液温を60℃に保持し、液攪拌を行いながら、予め無光沢のNiめっきが1μm施されている無酸素銅板に対して電流密度15A/dm2で1分間のめっきを行った。厚み4μmのPdめっき層が形成された。
このめっき層につき、下記の仕様で特性評価を行った。
【0040】
めっき外観:参考例1〜4と同様に、目視でムラ、焼け、光沢の有無を観察した。
熱履歴後のはんだ濡れ性:参考例1〜4と同様に行い、ゼロクロスタイムが2秒以下である場合を合格とした。
耐食性:硫化水素濃度3ppm、温度40℃、相対湿度85%の腐食雰囲気中に試料を24時間放置したのち、めっき層を目視観察。外観に変化がない場合を○、何らかの腐食生成物があった場合を×として判定した。
接触抵抗値とその経時変化:上記した耐食性の評価に用いた試料のめっき層に、頭部5RのAgを荷重10gで押し当て、その状態で電流10mAを流して接触抵抗を測定した。この値が50mΩ以下である場合を○とし、50mΩより大きい場合を×とした。
また、耐食性試験の時間を96時間として接触抵抗の変動を調べ、接触抵抗が50mΩ以下の場合を○とし、50mΩより大きくなった場合を×とした。
液寿命:10ターン経過後もめっき処理においても電流効率が90%以上であり、形成されためっきに対するがゼロクロスタイムが2秒以下であるような場合を○とし、そうでない場合を×とした。
以上の結果を表2に示す。
【0041】
実施例2
めっき液の組成が、ジクロロテトラアンミンパラジウム:40g/L(パラジウム換算量)、リン酸カリウム:7g/L、亜硫酸ナトリウム:0.3g/L、スルファミン酸ナトリウム:90g/L、塩化カリウム:300g/Lであったことを除いては実施例1と同様にして厚み4μmのめっき層を形成した。
実施例1の場合と同様にしてめっき層の評価を行い、その結果を表2に示した。
【0042】
実施例3
めっき液の組成が、ジニトロジアンミンパラジウム:60g/L(パラジウム換算量)、リン酸ナトリウム:60g/L、亜硫酸ナトリウム:50g/L、スルファミン酸ナトリウム:30g/L、臭化ナトリウム:300g/Lであったことを除いては実施例1と同様にして厚み4μmのめっき層を形成した。
実施例1の場合と同様にしてめっき層の評価を行い、その結果を表2に示した。
【0043】
実施例4
めっき液の組成が、ジニトロジアンミンパラジウム:10g/L(パラジウム換算量)、ジブロモテトラアンミンパラジウム:10g/L(パラジウム換算量)、リン酸カリウム:150g/L、亜硫酸アンモニウム:5g/L、スルファミン酸アンモニウム:30g/L、硫酸アンモニウム:40g/Lであったことを除いては実施例1と同様にして厚み4μmのめっき層を形成した。
実施例1の場合と同様にしてめっき層の評価を行い、その結果を表2に示した。
【0044】
比較例
めっき液として、実施例1のめっき液成分からリン酸カリウムを除き、また亜硫酸アンモニウムの濃度を0.1g/Lとしたものを用いたことを除いては実施例1の場合と同様にしてめっきを行い、得られためっき層を評価した。
【0045】
【表2】
【0046】
表2から明らかなように、リン酸塩を添加しためっき浴を用いると、外観が良好で、はんだ濡れ性も良好で、耐食性や接触抵抗の経時変化も優れているパラジウムの厚めっき層を形成することができる。したがって、このめっき液を用いることにより、実用性に富む電子部品用の接点材料の製造が可能になる。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明のめっき液を用いると、形成されためっき層は、めっき外観、はんだ濡れ性に優れたものになる。そして、めっき液に更にリン酸またはその塩を所定濃度で添加すると、そのめっき液を用いてパラジウムの厚めっきが可能となり、しかも形成されためっき層は、めっき外観とはんだ濡れ性に優れていることはもち論のこと、耐食性や相手材との接触抵抗の経時変化も小さくなる。したがって、そのめっき液を用いることにより、電子部品用の接点材料の製造が可能となり、工業的価値は大である。
Claims (4)
- 1〜60g/L(ただし、パラジウム換算量)の水溶性パラジウム化合物、1.0〜50g/Lの亜硫酸またはその塩、0.1〜100g/Lのスルファミン酸またはその塩、および、0.1〜200g/Lのリン酸塩を必須成分として含み、前記リン酸塩は、リン酸ナトリウム及びリン酸カリウムのうちの少なくとも1種であることを特徴とするパラジウムめっき液。
- 前記水溶性パラジウム化合物の含有量が1〜40g/L(ただし、パラジウム換算量)であり、前記スルファミン酸またはその塩の含有量が0.1〜60g/Lである請求項1のパラジウムめっき液。
- 前記水溶性パラジウム化合物が、パラジウムのアンミン錯塩の塩化物、臭化物、沃化物、硫化物、硝酸塩、亜硝酸塩、および亜硫酸塩の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2のパラジウムめっき液。
- 更に、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、しゅう酸塩、酒石酸塩、水酸化物、ほう酸、ほう酸塩、および炭酸塩の群から選ばれる少なくとも1種の導電性電解質が含まれている請求項1〜3のいずれかのパラジウムめっき液。
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