JP4569099B2 - 中炭素鋼のスラブ連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中炭素鋼のスラブ連続鋳造に関し、特に従来懸念された縦割れの発生なしに高速鋳造を可能ならしめることにより、生産性の有利な向上を図ると共に、得られるスラブひいてはそれを素材とする製品板の表面品質の向上を図ろうとするものである。
C含有量が0.07〜0.22mass%のいわゆる中炭素鋼を対象とする連続鋳造では、連続鋳造時に鋳片表面に縦割れが発生し易いという問題があった。
そこで、従来から、かような縦割れの発生機構およびその防止対策について種々の研究がなされている。
中炭素鋼において縦割れが発生し易いのは、C含有量が0.07〜0.22mass%の包晶変態域にあるためで、鋼の凝固過程における変態応力の発生により凝固シェルの成長の遅い部分と速い部分に大きな差が生じること、すなわち凝固シェルの成長の不均一度が大きくなることが原因であることが明かとなっている。
ここに、上記した凝固シェルの不均一度は、鋳型内における初期放熱量との間に相関があり、
(1) 鋳型内で緩冷却化する、
(2) 鋳型内抜熱の不均一要因であるエアギャップを解消する、
(3) 鋳型と凝固シェル間におけるモールドフラックスフィルムの厚みの変動を抑制する
ことで緩和できることが既に公知となっている。
この点に関する先行技術として、例えば特許文献1には、表面きずの少ない広幅連続鋳造鋳片を製造する方法として、オイルキャスティング法とモールドフラックスキャスティング法とを併用することにより、鋳型内溶鋼の不均一冷却に起因した表面縦割れを防止する技術が開示されている。
また、特許文献2には、連続鋳造用鋳型として、鋳型内の上部表面に適正な形状寸法になる複数の縦溝を形成したものを用い、ここに中炭素鋼の溶湯を供給して鋳型の上部のみで緩冷却することにより、凝固シェルを均一に冷却して表面割れを回避する連続鋳造技術が開示されている。
さらに、モールドフラックスに関する先行技術として、特許文献3には、モールドフラックスを均一に流入させて凝固シェルの不均一冷却を回避すべく、かかるフラックスの粘度および結晶化温度を低く設定し、それを鋳型の中央部のみに適用する技術が開示されている。
また、特許文献4や特許文献5には、モールドフラックスの塩基度ならびに凝固温度を上昇させて、鋳型と鋳片間のモールドフラックス層における固相厚さを増加させ、輻射熱流束を減少させることによって割れの防止を図る技術が提案されている。
一方、非特許文献1には、モールドフラックスの塩基度を 1.2程度に維持し、ZrO2を3%程度添加し、さらに高凝固点化することで輻射熱伝熱の低滅ならびに鋳型とフラックス凝固層間の接触熱抵抗の上昇によって緩冷却化を図り、割れの防止を図る技術が開示されている。
その他、Tiを一定量以上含有するステンレス鋼の連続鋳造においては、鋳造中のモールドフラックス中へのTiO2濃化によってフラックス物性が変化し、フラックスそのものに起因した鋼板の表面欠陥、あるいは潤滑が損なわれることによる凝固シェルの鋳型への拘束の原因となることが、非特許文献2に示されている。
そして、報告者は、かような問題の解決策として、CaOとSiO2との比すなわち塩基度を 0.5〜0.6 に低減することを提案している。
特開昭50−59229 号公報 特開昭61−92756 号公報 特開昭63−235054号公報 特開平8−197214号公報 特開平5−277680号公報 「CAMP−ISIJ,6(1993),P.283 」 「製鉄研究第324 号(1987), P.10」
しかしながら、上記した従来技術にはいずれも、以下に述べるような問題があった。
特許文献1に開示の技術は、中炭素鋼以外の鋼種において現在一般的になっているモールドフラックスキャスティングのための設備の他に、オイルキャスティング用の設備を新設する必要があるため、作業員の増加や設備コストの上昇が避けられないという問題があった。
特許文献2に開示の技術は、中炭素鋼を鋳造するための専用の鋳型を用いる必要があり、鋳型交換等のダウンタイムを考慮した場合に製造コストの面で不利になる。また、鋳型表面温度が推定 400℃以上となるため、鋳型自身およびめっき層の劣化が著しく、鋳型寿命の点で実現が困難である。
特許文献3に開示の技術は、2種類のモールドフラックスを、鋳片の長辺面中央部から200 mm程度のところを境にして使用するため、この領域でのモールドフラックスの混合に起因した不安定な抜熱が起こり、縦割れの抑制効果は認められるものの、その改善度合いは極めて軽微にすぎない。
特許文献4、特許文献5および非特許文献1に開示の高凝固点フラックスを用いる技術では、鋳造開始初期においてはほぼ問題なく鋳造を行うことが可能であるが、鋳造時間の経過とともに浮上介在物あるいは溶鋼との直接の反応によりモールドフラックス組成が初期組成から乖離し、均一な結晶生成による均一緩冷却効果が得られないという現象が数多く確認された。特に鋳造速度が 2.0 m/min超の高速鋳造では、不均一冷却に伴う縦割れの発生が著しくなる傾向が見られた。
なお、上記の観点から、予めCaOとSiO2の比(塩基度)を例えば1.8 程度に高く設定すれば成分変化後の結晶化特性を維持することは十分可能ではあるが、鋳造初期には凝固温度が高すぎて鋳型と鋳片間の潤滑が維持できない状態となり、凝固シェルが破断してブレークアウトに到るため、対策として実用的でない。
非特許文献2の提示に従い、CaOとSiO2との比すなわち塩基度を 0.5〜0.6 に低減した場合、鋳造速度の上昇と共にモールドフラックス流入の不均一さが顕著となり、鋳型内幅方向の冷却が著しく不均一となるため、やはり満足いくほどの縦割れ防止は達成できなかった。
これは、塩基度が低いため、流入したモールドフラックスが結晶化せずにガラス状になってしまい、鋳型との接触が伝熱的に強固になることに起因する。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、浮上介在物あるいは溶鋼との直接の反応に伴うモールドフラックス組成の初期組成からの乖離を効果的に防止して、均一な結晶生成を可能ならしめると共に、凝固シェルに脱酸生成物やモールドフラックス等が捕捉されるのを有利に回避することにより、2.0 m/min 超の高速連続鋳造においても、縦割れや上記脱酸生成物等に起因した表面欠陥の発生を有利に回避して、表面品質に優れた連続鋳造鋳片を効率良く生産することができる中炭素鋼のスラブ連続鋳造方法を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、包晶変態域にある中炭素鋼の連続鋳造における特有の問題、すなわち表面割れの防止および鋳型と鋳片の潤滑性の向上について種々の実験と検討を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
すなわち、脱酸方法により異なるが、鋳造中、モールドフラックス中における組成変化の著しい Al2O3, MnO, TiO2などの脱酸生成物あるいはフラックス中のSiO2による還元生成物に起因した酸化物は、モールドフラックス自身の結晶生成を抑制し、組成設計上目指すところの均一緩冷却特性の維持を妨げるが、その弊害は複数の脱酸生成物が組み合わさることで著しく助長される。これを回避するには、予め結晶生成を抑制する上記酸化物をある程度の量添加した上で、結晶生成が十分となるように主にCaOとSiO2の相成比、さらにはNaやF, MgO濃度を調整すればよい。
また、脱酸生成物やモールドフラックス等に起因した表面欠陥を防止するには、2.0 m/min 超の高速連続鋳造の下では、連続鋳造設備の鋳型内鋳造空間の短辺長さを 150〜240mmの範囲に制御することが有効である。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.連続鋳造設備を用いて、C含有量が0.07〜0.22mass%の中炭素鋼スラブを製造するに際し、
上記連続鋳造設備の鋳型内鋳造空間の短辺長さ:150〜240 mm、鋳造速度:2.0 m/min超の条件下で、モールドフラックスとして、TiO2:0.5〜8.0 mass%、MnO:0.6〜4.0 mass%および Al2O3:2.0〜6.0 mass%を含有し、かつNa 2 O換算で 4.0〜12.0mass%のNa、6.0〜15.0mass%のFおよび0〜2.0 mass%のMgOを含有し、さらに残余成分のうちCaOとSiO2の比が1.4〜2.0 の範囲を満足するフラックスを使用することを特徴とする中炭素鋼のスラブ連続鋳造方法。
.前記鋳造速度を 2.4 m/min以上とすることを特徴とする上記1記載の中炭素鋼のスラブ連続鋳造方法。
本発明によれば、2.0 m/min 超という高速連続鋳造においても、縦割れや脱酸生成物等に起因した表面欠陥の発生を有利に防止することができ、その結果、表面品質に優れた中炭素鋼スラブを効率良く生産することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
さて、連続鋳造用鋳型内の上部のいわゆるメニスカス近傍域で、凝固シェルが形成されつつある状況は次のとおりである。
鋳型内における溶鋼ならびに凝固シェルの抜熱は、すべて凝固シェルと鋳型の間のモールドフラックスを介して行われる。そして、モールドフラックスの鋳型に接した部分では固相の層(凝固層)を形成し、凝固シェルに接した部分では、フラックスの凝固温度を超えているので液相を形成している。かようなフラックス層を介して行われる熱伝達は、その寄与率からいって50%以上が鋳型とフラックス凝固層間の伝熱抵抗、すなわち両者の接触状況で決定される。
従って、適切なモールドフラックスを用いることによって、鋳型側に液相から結晶相を生じさせ、10μm 程度の凝固層凹凸に相当する鋳型面との熱抵抗を形成させてやれば、均一緩冷却が達成される。
そこで、発明者らは、かようなモールドフラックスとしては、どのようなフラックスが好適であるのかについて鋭意検討を重ねた。
その結果、従来の考えに反して、モールドフラックス自身の結晶化を抑制するとされていた Al2O3, MnO, TiO2などを、予めフラックス中に適量含有させておくことが好ましいとの知見を得た。
すなわち、上記した Al2O3, MnO, TiO2などの脱酸生成物、あるいはSiO2による還元生成物は、その濃化が必ずしも幅方向に均一に進行しないため、通常であれば鋳造時間の経過とともにモールドフラックスの結晶化特性が劣化し、冷却の不均一度が増加するのであるが、かような Al2O3, MnO, TiO2をモールドフラックス中に予め適量含有させておけば、これらの濃化変化が効果的に緩和され、その結果、鋳造初期から終了にいたるまで結晶化特性の劣化程度が許容範囲でにおさまり、縦割れの発生が皆無となることが究明されたのである。
ここに、上記した Al2O3, MnO, TiO2のモールドフラックス中における適正含有量は次のとおりである。
TiO2:0.5 〜8.0 mass%、MnO:0.6 〜4.0 mass%および Al2O3:2.0 〜6.0 mass%
上記の酸化物はいずれも、含有量が下限に満たないと、鋳造時間の経過に伴ってやはりモールドフラックスの結晶化特性の劣化を招き、一方上限を超えるとモールドフラックスの結晶化抑制効果が強くなりすぎて、モールドフラックスの結晶化が困難となり、いずれの場合も冷却の不均一度が増加する不利が生じる。
TiO2, MnOおよびAl2O3 はいずれも、モールドフラックスの結晶化を阻害する方向に作用するが、初期(使用前)に各々下限量を含有していないと、使用開始直後やTiO2, MnO,Al2O3 のいずれかが濃化し始めた時期に、フラックスの結晶化挙動あるいは凝固速度が大きく変化してしまい、設計通りの伝熱、潤滑特性が安定して得られない。
また、CaOとSiO2の比(塩基度)は 1.4〜2.0 の範囲に制御する必要がある。
というのは、この塩基度が 1.4に満たないと、モールドフラックスが鋳型−鋳片間に流入し液相および固相の膜を形成する際、固相が十分結晶化せず、不均一に鋳型と接触するようになることから、容易に縦割れが発生してしまい、一方 2.0を超えると、必要以上に結晶化が促進され、潤滑に必要な液相が維持できなくなり、凝固シェルの拘束ひいてはブレークアウトを引き起こすことがあるからである。
さらに、モールドフラックス中に適量のNaやF, MgOを含有させることによって、均一緩冷却特性を向上させることができる。
Na:Na2O換算で 4.0〜12.0mass%
Naは、モールドフラックスの結晶化を促進する方向に作用し、その効果は4.0 mass%から顕著となる。しかしながら、12.0mass%を超えて過剰に含有されるとモールドフラックスの凝固点が低下し、記載される均一冷却の効果が得られなくなる。
F:6.0 〜15.0mass%
Fも、Naと同様な作用がある。すなわち、6.0 mass%以上含有させることで結晶化を促進し、一方15.0mass%を超えて含有すると凝固温度、粘度の低下を招き、伝熱、潤滑上望ましい特性が得られなくなる。
MgO:0〜2.0 mass%
MgOは、上述した2成分とは異なり、モールドフラックスの結晶化を阻害する作用がある。このため、2.0 mass%以下の範囲で含有させる。
ところで、本発明では、鋳造速度が 2.0 m/min超の高速鋳造を前提としているが、かような高速鋳造の下では、連続鋳造設備の鋳型内鋳造空間の短辺長さを適正範囲に制御することによって、脱酸生成物やモールドフラックス等(以下、単に異物という)が凝固シェルに捕捉されるのを有利に回避することができ、その結果かような異物に起因した表面欠陥を有利に防止できることも併せて究明された。
以下、この点の解明経緯について説明する。
(1) 異物捕捉場所の減少
鋳造速度Vc を速くすることにより、メニスカス部初期凝固シェル、いわゆる「爪」の生成が著しく抑制される。これは、湯面下同一深さでの凝固シェル厚がVc の増加につれてより薄くなるため、溶鋼静圧の影響で鋳型側に押しつけられる力が、凝固シェル厚に依存するシェルの熱収縮により溶鋼側へ爪が倒れ込もうとする力よりも大きくなるためである。また、スラブ厚みが薄くなると、厚み方向のシェル収縮量の絶対値(=スラブ厚×温度差×線膨張係数) が小さくなるので、溶鋼側への倒れ込みがより一層抑制され、その結果、爪の倒れ込み抑制効果が一層顕著になる。
(2) 異物吸着の抑制
凝固に伴い、凝固界面に濃化する溶質の偏析に起因して界面張力勾配が発生し、この力により、凝固シェル界面に異物が吸引・捕捉され易くなる現象が生じる。このため、異物を吸引・捕捉する力を大きくする溶質元素として特に影響の大きいSやTi等の濃度を低下させる試みも実施されている。しかしながら、成分を操作することは、コストアップ(低S化)や材質劣化(Ti低減)につながるという問題がある。
本発明では、鋳造速度Vcをより大きくすることにより、異物の凝固シェルへの吸引・捕捉する力の増大を抑制する。すなわち、(1) のような高速鋳造では、メニスカス部の凝固量がより減少するため、偏析量も減少し、よって、異物の吸引力となる界面張力勾配も小さくなる。その結果、凝固シェル側に吸着・捕捉される異物の量も抑制されるのである。
(3) 異物捕捉厚みの減少
本発明の条件で連続鋳造を行うと、異物は湯面下20mm以内でシェルに捕捉され、さらに鋳造速度の増加につれて捕捉深さは浅くなり、鋳造速度Vc >2.0 m/min では、スラブ表面からの捕捉深さhは1mm以下となる。
この深さ以下になると、異物がシェルに捕捉されても、その後の熱延→冷延工程を経て製品になる過程で、異物は鋳片表面の酸化スケールと共に脱落・除去される。従って、スラブ手入れを行うことなしに、無欠陥の製品とすることができる。なお、鋳造速度が 2.4m/min 以上では爪深さが 0.7mm以下、つまり異物捕捉厚みhもそれ以下となるので、鋳造速度は 2.4 m/min以上とすることがより好適である。
(4) 異物捕捉確率の減少
異物が凝固シェルに捕捉され易い湯面下20mm以内における凝固シェルの滞留時間は、鋳造速度の増加につれて短くなる。従って、異物の量が同じでも、凝固シェルに捕捉される確率は小さくなる。例えば、Vc =3.0 m/min の場合には、Vc =1.5 m/min の場合に比べて、異物が捕捉される確率は半分になる。
そこで、本発明では、鋳造速度Vc を 2.0 m/min超、好ましくは 2.4 m/min以上に限定したのである。
(5) 短辺バルジング防止(鋳型内鋳造空間の短辺長さの上限規制理由)
短辺長さが厚くなりすぎると、鋳造速度Vc が 2.0m/min 超えの場合には、短辺バルジングに起因したスラブ形状不良やブレークアウトの問題が発生する。この点、短辺長さが小さい場合やVc が小さい場合には、鋳型を出てからのスラブ短辺の溶鋼静圧によるバルジングが小さく抑えられ、ブレークアウト発生の危険性は低い。
しかしながら、短辺長さ(すなわちスラブ厚み)が 240mm超えにおいては、鋳造速度が 2.4 m/minでもスラブ厚み増加による浸漬ノズル吐出孔からの溶鋼噴流速度の増加により、電磁ブレーキ制動による二次流速増加のため、短辺シェル成長の遅れを抑えることが困難になり、鋳型下端での短辺バルジングが顕著になり、ブレークアウトの危険性(バルジング量≧10mm)が増大する。
また、短辺長さ(すなわちスラブ厚み)が 240mm超えの場合には、上と同様の理由で、溶鋼噴流の短辺からの反転流や二次流が湯面の乱れを助長するため、モールドフラックスの巻き込みや噛み込みも発生し易くなり、またスラブ厚みの増加は、メニスカス部の特に浸漬ノズル近傍での溶鋼のよどみも発生し易くなる傾向にあるため、スラブ表面欠陥および製品欠陥が増大する。
(6) 鋳型内鋳造空間の短辺長さの下限規制理由
鋳型内鋳造空間の短辺長さ(スラブ厚み)Dが150 mm未満では、下記の理由で好ましくない。
すなわち、スラブ断面積が小さくなりすぎると、湯面制御性の問題から、同じ鋳造量の変動に対して、湯面の変動量が大きくなり、湯じわに起因した深さ:1mm以上の爪の発生頻度が増加し、上記(1) の効果が得られなくなる。また、湯面の変動に起因して、モールドフラックスの巻き込みや噛み込みも発生し易くなる。さらに、一般の浸漬ノズルの外径は、耐久性から定まる壁厚み(20mm〜)、スループット:5.4 t/min(150 mm厚、2200mm幅、Vc :2.1 m/min 〜)〜14.5 t/min(240 mm厚、2200mm幅、Vc :〜3.5 m/min )を確保する観点から決まる内径(70〜130 mm)の和で決定される。ここで、短辺長さ(スラブ厚み)Dが小さすぎると、浸漬ノズル外壁と長辺凝固シェルとの距離が狭くなりすぎ(<20mm)、この間での流動が不均一になり、縦割れの原因となる。極端な場合、凝固シェルがノズルに接触・固着し、ブレークアウトにつながる。よって、短辺長さ(スラブ厚み)Dは、 150mm(内径:70mm+外壁総厚:40mm(20×2)+浸漬ノズル外壁と長辺凝固シェルの距離:40mm(20×2))以上とする必要がある。
そこで、本発明では、鋳型内鋳造空間の短辺長さ(スラブ厚み)は、 150〜240 mmの範囲に限定したのである。
なお、鋳型内鋳造空間の長辺長さ(スラブ幅)は、特に制限されるものではなく、通常の冷延鋼板向けの長さであればよく、 900〜2200mm程度とするのが好ましい。
また、鋳型の上下方向の高さは、特に規定しないが、鋳造速度:2.0m/min 超の条件で鋳造した場合においても、鋳型内を抜けた鋳片がバルジングしない程度の厚みの凝固シェルを生成させる必要があることから、800mm から1000mm程度とするのが好ましい。
また、本発明が対象とする鋼種は、C含有量が0.07〜0.22mass%のいわゆる中炭素鋼である。
ちなみに、C以外の中炭素鋼の代表組成を掲げると、次のとおりである。
Si:0.02〜0.75mass%,Mn:0.3 〜2.1 mass%,P:0.001 〜0.095 mass%, S:0.001〜0.020 mass%, Al:0.01〜0.065 mass%, Ti:0.001 〜0.30mass%。
鋳造した溶鋼の組成は、C:0.10mass%、Mn:0.20mass%、Si:0.3 mass%、P:0.01mass%、S:0.01mass%およびAl:0.01mass%を含み、残部は実質的にFeの組成である。また、タンディッシュにおける溶鋼過熱度は21℃とした。モールドフラックスとしては、表1および表2に示すものを用いた。フラックスの残部は、表中の塩基度の比で示されているCaOとSiO2である。鋳造速度は 1.5〜3.0 m/min の範囲で実施したが、各々の条件で十分比較できる鋳片長さが得られた 2.1および2.4 m/min における結果を採用した。
また、調査項目は次のとおりである。
縦割れ発生と因果関係があるとされるモールドフラックスの結晶化について調査し、X線回折法によりフラックスフィルム中の結晶の比率を求めた。
本発明のような高いCaOとSiO2の組成比のフラックスを用いる場合、鋳造初期に凝固シェルが潤滑不良により鋳型内に拘束され、場合によってはブレークアウトに至ることから、初期の潤滑状態の指標として鋳片表面に凝固シェルの拘束した痕跡がどの程度存在するかを鋳片:1000m当たりの個数の百分率で示す。また、縦割れそのものの発生頻度を鋳片:1000m当たりの縦割れ個数の百分率で示す。
まず、表1を用いて説明する。同表では、比較例として、モールドフラックスのCaOとSiO2の組成比(塩基度)およびTiO2,MnO,Al2O3 量が、本発明の適合範囲よりそれぞれ大きい場合、小さい場合を掲げた。
Figure 0004569099
Figure 0004569099
Figure 0004569099
Figure 0004569099
表1に示したとおり、CaOとSiO2の組成比が 1.4に満たない場合(比較例1)には、十分な縦割れ防止効果は得られなかった。また、CaOとSiO2の組成比が 2.0を超えた場合(比較例2)には、縦割れ抑制効果は得られたものの、鋳造初期において凝固シェルの拘束が発生したことが確認された。
これに対し、発明例1および2では、安定な鋳造と縦割れ抑制が実現された。同様に、発明例3〜10に示すように、モールドフラックス中のTiO2,MnO,Al2O3 量が適合範囲を満足している場合には、縦割れ発生の頻度は皆無か、少なくとも比較例1〜34に対して著しい改善効果を示している。
次に、表2を用いて説明する。同表では、比較例として、Na2O,F,MgOが本発明の適合範囲よりそれぞれ大きい場合、小さい場合を掲げた。
Figure 0004569099
Figure 0004569099
Figure 0004569099
Na2O、F、MgOが本発明の適合範囲を外れる比較例35〜74はいずれも、凝固相中の結晶の比率が小さく、均一冷却効果が得られなかったため、縦割れ発生頻度は大きいままであった。
これに対し、発明例11〜18では、比較例に比べてフラックスフィルム中の結晶比率が高く、安定な鋳造と縦割れ抑制を実現することができた。

Claims (2)

  1. 連続鋳造設備を用いて、C含有量が0.07〜0.22mass%の中炭素鋼スラブを製造するに際し、
    上記連続鋳造設備の鋳型内鋳造空間の短辺長さ:150〜240 mm、鋳造速度:2.0 m/min超の条件下で、モールドフラックスとして、TiO2:0.5〜8.0 mass%、MnO:0.6〜4.0 mass%および Al2O3:2.0〜6.0 mass%を含有し、かつNa 2 O換算で 4.0〜12.0mass%のNa、6.0〜15.0mass%のFおよび0〜2.0 mass%のMgOを含有し、さらに残余成分のうちCaOとSiO2の比が1.4〜2.0 の範囲を満足するフラックスを使用することを特徴とする中炭素鋼のスラブ連続鋳造方法。
  2. 前記鋳造速度を 2.4 m/min以上とすることを特徴とする請求項1記載の中炭素鋼のスラブ連続鋳造方法。
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