JP2009136909A - 連続鋳造鋳片の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鋳片厚み中心部の中心偏析が軽微であり、且つ、鋳片上面側の1/4厚位置付近の介在物が少ない鋼鋳片を安定して製造する。
【解決手段】 複数対の圧下ロールからなる軽圧下帯16を備えた垂直曲げ型連続鋳造機1を用い、鋳片12の厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から前記軽圧下帯にて0.6〜1.5mm/minの範囲内の圧下速度で鋳片の圧下を開始し、鋳片に圧下力を付与しながら軽圧下帯の範囲内で凝固完了させて鋼の連続鋳造鋳片を製造するに際し、鋳型直下の垂直部では鋳片長辺面の表面温度が800℃以下となるまで冷却するとともに、前記垂直部に続く曲げ部17以降で復熱させて鋳片長辺面の表面温度を900℃以上に確保し、鋳片長辺面の表面温度が900℃以上のままで前記軽圧下帯にて鋳片に圧下力を付与する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、連続鋳造鋳片の製造方法に関し、詳しくは、鋳片厚み中心部の中心偏析が軽微であり、且つ、鋳片上面側の鋳片厚の1/4位置付近の酸化物系非金属介在物が少ない鋼鋳片を製造することのできる、連続鋳造鋳片の製造方法に関するものである。
鋼の凝固現象では、炭素、燐、硫黄などの溶質元素は、凝固時の再分配により未凝固の液相側に濃化される。これがデンドライト樹間に形成されるミクロ偏析である。鋳片が凝固する際の凝固収縮や、連続鋳造機のロール間で発生するバルジング(「ロール間バルジング」と称す)などによって、鋳片中心部に空隙が形成されたり、負圧が生じたりすると、このミクロ偏析によって濃縮された溶鋼が流動し、鋳片中心部に集積して凝固する。このようにして形成された偏析スポットは、溶鋼の初期濃度に比べ格段に高濃度となっている。これを一般にマクロ偏析と呼び、その存在部位から、中心偏析と呼んでいる。
このような中心偏析は、一般に、鋼製品の品質を劣化させる。例えば、石油・天然ガス輸送用のラインパイプ材においては、サワーガスの作用により中心偏析を起点として水素誘起割れが発生する。また、飲料用の缶製品に用いられる深絞り材においては、成分の偏析により加工性に異方性が出現することもある。
そのために、鋳造工程から圧延工程に至るまで、鋳片の中心偏析を低減する対策が多数提案されている。そのなかで、安価に且つ効果的に鋳片の中心偏析を低減する手段として、連続鋳造機内で、凝固末期の鋳片を鋳片の凝固収縮量に見合った圧下量で徐々に圧下する方法(以下、「軽圧下」と称す)が実施されている。この軽圧下技術は、圧下量が鋳片の凝固収縮量と熱収縮量とを加えた収縮量と同等の値となるように鋳片を徐々に圧下して未凝固相の体積を減少させ、鋳片中心部における空隙の形成を防止すると同時に濃化溶鋼の流動を防止し、これによって鋳片の中心偏析を軽減することを目的としている。
この軽圧下技術として、例えば、特許文献1には、鋳片に軽圧下を付与するにあたり、鋳片表面温度を800〜900℃に制御しつつ、毎分0.3〜0.5%の歪速度の圧下力を鋳片に付与することが提案されている。また、特許文献2には、鋳片の液相線クレータエンド相当位置から固相線クレータエンド相当位置までの間の所定範囲で鋳片を一旦バルジングさせ、このバルジングの相当分を軽圧下するにあたり、鋳型直下から鋳片矯正点までの範囲の鋳片表面温度を1000℃以上に制御するとともに、前記矯正点から圧下開始位置までの鋳片表面温度を1000℃以下に制御することが提案されている。
軽圧下技術では、200mm以上の厚みを有する鋳片の表面を圧下することにより、鋳片中心部の凝固界面にその圧下力を作用させているが、その圧下量の全てが厚み中心部の圧下に有効なわけではなく、鋳片の凝固した部分、つまり凝固シェルの強度・剛性などに応じて、付与した圧下力に対する凝固界面に働く圧下力の比率(この比率を「圧下効率」と称す)は、およそ10%から70%程度の範囲で変化する。特に、鋳片短辺の凝固シェルの影響が大きい。
鋳片の表面温度が低いなどの理由で、圧下効率が低いと、圧下力を付与しても、中心偏析の低減効果は十分には期待できない。それに加えて、圧下効率の低い状態で、それを補うために圧下量を増加させることは、連続鋳造機の鋳片支持ロール及びセグメントなどの構造物に負荷がかかり、設備的な不具合の原因や、ロールベアリングなどの設備寿命低下の原因になる。つまり、軽圧下技術では圧下効率が高くなる条件で鋳片を圧下することが重要となる。
この観点から、上記従来技術を検証すると、上記特許文献1は、鋳片表面温度を800〜900℃に制御するとしているが、鋳片表面温度が低く、特に下限値の800℃近傍の場合には、鋳片の表面温度が低いことから、凝固シェルの強度が高く、鋳片圧下の効果は凝固シェルを変形させることに費やされることになり、中心偏析の発生する部位である鋳片厚み中心部における圧下効率は低下する。また、特許文献2は、軽圧下時の鋳片表面温度を1000℃以下に制御するとしているが、上限を定めているのみで下限値はなく、どのように制御するのか具体的でない。
即ち、上記特許文献1〜2では、鋳片を軽圧下する場合に具体的にどのように鋳片表面温度を制御すべきかが明確でなく、改善の余地がある。
ところで、鋳片に含有される酸化物系非金属介在物(以下、単に「介在物」と記す)も前記水素誘起割れの原因となる。つまり、介在物の周囲に水素が濃化し、介在物を起点にして水素誘起割れが発生する。鋳型直下に1〜5m程度の垂直部を有し、その後、曲げ部及び曲げ戻し部を有する垂直曲げ型連続鋳造機(「垂直プログレッシブベンディング型連続鋳造機」とも称す)においては、連続鋳造機の形状の特性から、鋳片上面側のおよそ鋳片厚の1/4位置(以下、「1/4厚位置」と記す)付近に介在物が集積することが多く、この部位での水素誘起割れが問題となりやすい。
従来、鋳片の介在物を浮上・分離させる対策として、鋳型直下の二次冷却帯において、鋳片に対して直流磁界を鋳片の厚み方向に印加し、溶鋼流動を抑制して溶鋼が鋳片未凝固相の奥深くまで侵入することを抑制する方法(例えば特許文献3を参照)や、鋳片幅方向に溶鋼を回転させる電磁攪拌装置を二次冷却帯に設置し、この電磁攪拌装置で溶鋼を幅方向に攪拌させて、溶鋼が鋳片未凝固相の奥深くまで侵入することを抑制する方法(例えば特許文献4を参照)が提案されている。
しかしながら、静磁場発生装置や電磁攪拌装置を設置する場合には、設備費が必要であり、しかも、二次冷却帯に磁場発生装置を設置する際には、鋳片支持ロールの内部に電磁コイルを設置する、或いは、扁平形状などの特殊形状のコイルを設置するなどの対策が必要であり、設備費の上昇が避けられない。そのために、磁場発生装置を使用しなくても1/4厚位置付近の介在物を減少させることのできる手段が望まれていた。
特開昭63−252654号公報 特開2001−62551号公報 特開昭61−1459号公報 特開昭61−140356号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋳片厚み中心部の中心偏析が軽微であり、且つ、鋳片上面側の1/4厚位置付近の介在物が少ない鋼鋳片を安定して製造することのできる、連続鋳造鋳片の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、複数対の圧下ロールからなる軽圧下帯を備えた垂直曲げ型連続鋳造機を用い、鋳片の厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から前記軽圧下帯にて0.6〜1.5mm/minの範囲内の圧下速度で鋳片の圧下を開始し、鋳片に圧下力を付与しながら軽圧下帯の範囲内で凝固完了させて鋼の連続鋳造鋳片を製造するに際し、鋳型直下の垂直部では鋳片長辺面の表面温度が800℃以下となるまで鋳片を冷却するとともに、前記垂直部に続く曲げ部以降で復熱させて鋳片長辺面の表面温度を900℃以上に確保し、鋳片長辺面の表面温度が900℃以上のままで前記軽圧下帯にて鋳片に圧下力を付与することを特徴とするものである。
第2の発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、第1の発明において、前記曲げ部以降の鋳片長辺面の表面温度が900℃以上の状態で、ガイドロール群の鋳片厚み方向の間隔を広げて鋳片をバルジングさせ、バルジングさせた後に前記軽圧下帯にて鋳片に圧下力を付与することを特徴とするものである。
本発明によれば、垂直曲げ型連続鋳造機の鋳型直下の垂直部において、鋳片長辺面の表面温度を800℃以下となるまで冷却するので、生成する凝固シェルの冷却速度が高まり、それによりデンドライト凝固組織が微細化されて、当該デンドライト凝固組織に捕捉される介在物が減少するとともに、捕捉される介在物のサイズが小さくなり、鋳片上面側の1/4厚位置付近の介在物を低減させることができる。また、一旦800℃以下まで冷却した後、垂直部に続く曲げ部以降で復熱させて鋳片長辺面の表面温度を900℃以上とし、鋳片長辺面の表面温度を900℃以上に保持した状態で鋳片に圧下力を付与するので、凝固シェルの変形抵抗は低く、圧下力は固界面に効率良く作用し、鋳片の中心偏析を大幅に低減することができる。これによって、近年の厳しい品質要求にも対処可能な鋳片を安定して製造することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明では、複数対の圧下ロールからなる軽圧下帯を備え、且つ、鋳型直下に1〜5m程度の垂直部を有し、その後、曲げ部及び曲げ戻し部を有する垂直曲げ型連続鋳造機で溶鋼を連続鋳造する際に、鋳型直下の垂直部において、鋳片長辺面を、その表面温度が鋳片長辺面幅方向全体にわたって800℃以下になるまで二次冷却水によって冷却する。これによって生成する凝固シェルの冷却速度が高まり、デンドライト凝固組織(「樹枝状晶」とも称す)が微細化され、凝固界面での隣り合うデンドライト樹枝の幹(「一次アーム」とも称す)と幹との間隔(「一次デンドライトアーム間隔」とも称す)が緻密化する。
浸漬ノズルからの吐出流に伴って鋳片未凝固相の奥深くまで侵入した、溶鋼中に懸濁する介在物や気泡は、一次デンドライトアーム間隔に応じて凝固シェルへの捕捉のしやすさが変化する。これは、一次デンドライトアーム間隔は、通常、百ないし数百ミクロンの範囲であり、鋳片未凝固相の奥深くまで侵入する可能性のある介在物や気泡のサイズの上限とほぼ一致しており、介在物や気泡は、隣り合うデンドライト樹枝の幹と幹との間隙に捕捉されやすく、従って、一次デンドライトアーム間隔に応じて介在物や気泡の捕捉のされ方が変わることによる。つまり、一次デンドライトアーム間隔が狭いほど、捕捉される介在物や気泡は少なくなり、且つ小さくなる。
鋳片に捕捉される介在物や気泡は、当然サイズが大きいほど鋼品質に対する悪影響が大きい。従って、垂直部において鋳片長辺面を800℃以下になるまで冷却することによって、生成するデンドライト樹枝の一次デンドライトアーム間隔を狭めることは、鋳片上面側の1/4厚位置付近に捕捉される介在物及び気泡が少なく、高品質の鋳片を製造する上で、極めて有効である。尚、凝固シェル厚みがおよそ1/4厚程度となる時点は、垂直部から曲げ部に移る位置あたりに該当する。換言すれば、垂直部から曲げ部に移る位置あたりで捕捉される介在物や気泡が、鋳片上面側の1/4厚位置付近の介在物集積帯を形成する。また、気泡には介在物が付着していることが多く、気泡の捕捉は介在物の捕捉と同等とみることができる。この気泡は、浸漬ノズルを流下する溶鋼中に吹き込まれるArガスである。
一方、凝固シェルの温度(凝固シェルの厚み方向平均温度)が低いと、鋳片短辺の凝固シェルの変形抵抗が高く、軽圧下帯で鋳片を圧下する際の圧下効率が低下し、中心偏析低減の効果が得られない。また、圧下効率の低い状態で、偏析低減に十分な圧下量を確保するために圧下量を増加させることは、連続鋳造機の鋳片支持ロール及びセグメントなどの構造物に過剰の負荷がかかり、設備的な不具合の原因や、ロールベアリングなどの設備寿命低下の原因になる。
そこで、本発明においては、垂直部にて鋳片長辺面の表面温度が800℃以下となるまで冷却した鋳片を、曲げ部以降で二次冷却水による冷却を弱めて復熱させ、鋳片長辺面の表面温度を900℃以上に保持させ、そして、鋳片長辺面の表面温度が900℃以上のままで、軽圧下帯にて鋳片に圧下力を付与する。鋳片の温度が高くなることで、凝固シェルの変形抵抗は低下し、圧下効率が向上して中心偏析が軽減される。
軽圧下を付与する際に、凝固完了位置を鋳片幅方向で均一化させる、或いは、鋳片短辺凝固シェルの変形抵抗を回避させるなどによって軽圧下の効率を高める目的で、鋳片を一旦意図的にバルジングさせ、その後、軽圧下を行う場合がある。この場合も、鋳片凝固シェルの温度が低いままであると、所望するバルジング量が得られ難く、バルジングさせる効果が十分に得られない。
本発明では、鋳片長辺面を一旦800℃以下まで冷却するが、その後900℃以上に復熱させるので、意図的に鋳片を一旦バルジングさせる場合にも、所望するバルジング量を容易に得ることができる。即ち、本発明の好ましい形態として、鋳片を意図的に一旦バルジングさせる技術を採用することができる。
本発明では、上記のように、垂直曲げ型連続鋳造機にて未凝固鋳片を軽圧下する際に、鋳片長辺面の表面温度を所定の値に制御するので、介在物の捕捉が抑制され、鋳片上面側の1/4厚位置付近の介在物を低減することができると同時に、軽圧下による濃化溶鋼の流動抑制効果が有効に作用し、中心偏析を効果的に低減することができる。
尚、本発明においては、軽圧下を開始する時点は鋳片の厚み中心部の固相率が0.4以下の時点であり、且つ、軽圧下帯の範囲内で凝固を完了させる必要があり、従って、これらの条件を満足させるために、伝熱計算などに基づいて鋳片引抜速度または二次冷却水量を調整する。これは、鋳片厚み中心部の固相率が0.4を越えてから軽圧下を開始しても、それ以前に濃化溶鋼の流動が発生する可能性があり、これにより中心偏析が発生して、軽圧下の効果を十分に発揮することができなく、一方、凝固完了位置が軽圧下帯を越えて下流側に伸張した場合には、圧下力が働かず、中心偏析の改善効果が得られないからである。また、軽圧下帯における圧下速度は、0.6〜1.5mm/minの範囲内とする。圧下速度が0.6mm/min未満では、中心偏析を軽減する効果が少なく、一方、圧下速度が1.5mm/minを超えると、濃化溶鋼が鋳造方向とは逆方向に絞り出され、鋳片中心部には負偏析が生成される虞があるからである。また、総圧下量は2〜6mm程度とすれば十分である。
次に、本発明の具体的な実施方法を、図面を参照して説明する。図1は、本発明を実施した垂直曲げ型スラブ連続鋳造機の側面概要図である。
図1に示すように、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1には、溶鋼11を冷却して凝固させ、鋳片12の外殻形状を形成するための鋳型5が設置され、この鋳型5の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼11を鋳型5に中継供給するためのタンディッシュ2が設置されている。一方、鋳型5の下方には、サポートロール6、ガイドロール7及びピンチロール8からなる複数対の鋳片支持ロールが配置されている。このうち、ピンチロール8は、鋳片12を支持すると同時に鋳片12を引抜くための駆動ロールである。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロールの間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置された二次冷却帯が構成され、二次冷却帯のスプレーノズルから噴霧される冷却水(「二次冷却水」とも称す)によって鋳片12は引抜かれながら冷却されるようになっている。この二次冷却帯は鋳造方向で幾つかのゾーンに分割され、二次冷却水量が各ゾーンで個別に調整できるようになっている。タンディッシュ2の底部には、タンディッシュ2から鋳型5に注入される溶鋼11の流量を調整するためのスライディングノズル3が設置され、このスライディングノズル3の下面には、溶鋼11を鋳型5に注入するための耐火物製の浸漬ノズル4が設置されている。また、鋳片支持ロールの下流側には、鋳造された鋳片12を搬送するための複数の搬送ロール9が設置されており、この搬送ロール9の上方には、鋳造される鋳片12から所定の長さの鋳片12aを切断するための鋳片切断機10が配置されている。
鋳型5の出口から1mないし5m程度離れた位置に配置される複数対のガイドロール7は、鋳片12の支持・案内方向が鉛直方向から湾曲方向へと方向を変える曲げ部17を構成している。同様に湾曲部が水平線に接触する位置の近傍に配置される複数対のガイドロール7は、鋳片12の支持・案内方向が湾曲方向から水平方向へと方向を変える曲げ戻し部18を構成している。尚、図1では、曲げ部17及び曲げ戻し部18ともに複数対のガイドロール7で構成されているが、一対のガイドロールのみで構成してもよい。
鋳片12の凝固完了位置15を挟んで鋳造方向の前後には、対向するガイドロール7とガイドロール7との間隔(「ロール間隔」と称す)が鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定された、複数対のガイドロール群から構成される軽圧下帯16が設置されている。軽圧下帯16では、その全域または一部選択した領域で、鋳片12に軽圧下を行うことが可能である。軽圧下帯16の各ガイドロール間にも鋳片12を冷却するためのスプレーノズルが配置されている。尚、ロール間隔が鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定された状態を、「ロール勾配」とも称している。
この場合の、鋳型5の直下から垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1の機端までのガイドロール7のロール間隔の設定を模式的に図2に示す。図2に示すように、ロール間隔は曲げ部17の直下で拡大し始め、徐々に拡大して最大値に至っている。このロール間隔の拡大するガイドロール群で鋳片12をバルジングさせる。ロール間隔は、最大値のまま曲げ戻し部18を経過した後、軽圧下帯16において所定の圧下速度で軽圧下されるように、鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定されている。尚、本発明において、鋳片12をバルジングさせることは必須条件ではなく、バルジングさせない場合には、鋳型出口から軽圧下帯入口までのロール間隔を一定とし、軽圧下帯16で鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定すればよい。
このようにして構成される垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1において、以下のようにして鋳片12aを製造する。
浸漬ノズル4を介して鋳型5に溶鋼11を注入する。鋳型5に注入された溶鋼11は、鋳型5で冷却されて凝固シェル13を形成し、内部に未凝固相14を有する鋳片12として、鋳型5の下方に設けたサポートロール6、ガイドロール7及びピンチロール8に支持されつつ、ピンチロール8の駆動力により鋳型5の下方に連続的に引抜かれる。鋳片12は、これらの鋳片支持ロールを通過する間、二次冷却帯の二次冷却水で冷却され、凝固シェル13の厚みを増大させつつ、曲げ部17の直下から徐々にバルジングして厚みを増加させ、一方、軽圧下帯16では軽圧下されて徐々に厚みを減少させながら、軽圧下帯16の範囲内で中心部までの凝固を完了する。中心部までの凝固を完了する位置が凝固完了位置15である。その後、鋳片12は、鋳片切断機10によって切断されて鋳片12aとなる。
このような連続鋳造操業の種々の鋳造条件において、予め伝熱計算などを用いて鋳片長辺面の表面温度、凝固シェル13の厚み及び鋳片厚み中心部の固相率を求め、鋳片12が曲げ部17に至るまでに鋳片長辺面の表面温度が800℃以下になるとともに、曲げ部17に到達した以降は鋳片長辺面の表面温度が900℃以上となり、鋳片長辺面の表面温度が900℃以上を保持した状態のままで軽圧下帯16を通過し、且つ、軽圧下帯16に入る時点での鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下であり、軽圧下帯16の範囲内で鋳片中心部までの凝固が完了するように、鋳片引抜き速度及び二次冷却水量などの鋳造条件を調整する。軽圧下を開始する時点の鋳片厚み中心部の固相率は0.4以下であればいくらであっても構わない。鋳片12をバルジングさせる開始時点は、鋳片長辺面の表面温度が900℃以上となった以降とする。尚、軽圧下帯の設置範囲が鋳造方向に長く、軽圧下帯の中でも軽圧下を付与するロール群と軽圧下を付与しないロール群が存在する場合には、実際に軽圧下を付与するロール群のみを上記の軽圧下帯16とみなして操業すればよい。
二次冷却帯は、単一または複数のロールセグメント毎に二次冷却ゾーンが設定されており、各冷却ゾーン毎に二次冷却水量を決めることができる。この機能を用いて、曲げ部17に至るまでに鋳片長辺面の表面温度が800℃以下となり、曲げ部17以降では鋳片長辺面の表面温度が900℃以上になるように二次冷却水量を調整する。この場合、鋳片12の短辺面の表面温度も長辺面と同等に制御することが望ましい。
軽圧下帯16における圧下速度は、ロール勾配と鋳片12の引抜き速度との積で得られるので、圧下速度が0.6〜1.5mm/minの範囲内の所定の値になるように軽圧下帯16のロール勾配を設定すればよい。例えば、鋳片引抜き速度が1.5m/minの場合に圧下速度を1.2mm/minとするときには、ロール勾配は鋳造方向距離1mあたり0.8mm(0.8=1.2/1.5)となる。
このようにして鋼の連続鋳造を実施することで、鋳片12aの上面側の1/4厚位置付近の介在物を低減させることができるとともに、鋳片12には軽圧下が効果的且つ有効に作用し、凝固収縮などに伴う濃化溶鋼の流動が抑制されて、鋳片12aの中心偏析を大幅に低減することができる。
図1に示すような垂直曲げ型スラブ連続鋳造機を用い、二次冷却強度を変化させて鋳造した。そのスラブ鋳片から試験片を採取し、各試験片の1/4厚位置付近の介在物及び中心偏析を調査して、1/4厚位置付近の介在物及び中心偏析に及ぼす二次冷却強度の影響を調査した。
用いた連続鋳造機は、鋳型直下に2.8mの垂直部を有し、それに続く湾曲部の半径が10mである垂直曲げ型スラブ連続鋳造機で、軽圧下帯を鋳型内溶鋼湯面から16〜32mの範囲に設置してある。この軽圧下帯の範囲内で、鋳造条件に合わせて、軽圧下を行う位置・範囲・圧下量(圧下速度)を設定することができる。この連続鋳造機を用いて、炭素含有量が0.04〜0.05質量%の耐サワーラインパイプ用鋼を、厚み250mm、幅2000mmの鋳片として引抜き速度1.5m/分で鋳造した。
この鋳造をシミュレートした伝熱計算を行い、各冷却条件における鋳片厚み中心部の固相率を推算した。軽圧下帯では鋳片厚み方向中心部の計算固相率が0.3ないし0.4となるまでは軽圧下せずに鋳片を支持するのみとし、それ以降のロール勾配を鋳造方向距離1mあたり0.9mm、即ち、軽圧下速度に換算すると1.35mm/min(1.35=1.5×0.9)とした。
このような鋳造条件で、二次冷却条件を、計算固相率を基準として種々変化させて鋳造し、鋳片試験片の1/4厚位置付近の介在物及び中心偏析の調査結果の比較評価を行った。試験片の1/4厚位置付近の介在物は、鋳片幅方向の三ケ所(1/4幅、1/2幅、3/4幅)から採取した鋳片幅方向200mmのC断面(横断面)試料について超音波探傷(探傷深度1mm)を行い、大きさが100ミクロン以上の介在物が1個でも存在する場合は不合格とした。また、鋳片の中心偏析は、鋳片における炭素濃度の偏析度で評価し、炭素濃度の偏析度が1.20以下を合格とした。炭素の偏析度とは、鋳片中心部の炭素濃度値を鋳片バルク部(例えば1/4厚み位置)の炭素濃度値で除算した値である。鋳片長辺面の表面温度、並びに、1/4厚位置付近の介在物及び中心偏析の調査結果を表1に示す。尚、表1に示す品質評価の欄の「○」印は合格、「×」印は不合格を表している。
Figure 2009136909
表1に示すように、鋳型直下の垂直部で鋳片長辺面の表面温度を800℃以下に冷却することで、鋳片上面の1/4厚位置付近の介在物を低減できることが確認できた。また、鋳片の中心偏析は、鋳片引抜き速度、圧下量などが同じであっても、二次冷却条件によって変化し、鋳片の表面温度を基準にして中心偏析を判別できることが判明した。
本発明を実施した垂直曲げ型スラブ連続鋳造機の側面概要図である。 ガイドロールのロール間隔の設定を模式的に示す図である。
符号の説明
1 垂直曲げ型スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 サポートロール
7 ガイドロール
8 ピンチロール
9 搬送ロール
10 鋳片切断機
11 溶鋼
12 鋳片
13 凝固シェル
14 未凝固相
15 凝固完了位置
16 軽圧下帯
17 曲げ部
18 曲げ戻し部

Claims (2)

  1. 複数対の圧下ロールからなる軽圧下帯を備えた垂直曲げ型連続鋳造機を用い、鋳片の厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から前記軽圧下帯にて0.6〜1.5mm/minの範囲内の圧下速度で鋳片の圧下を開始し、鋳片に圧下力を付与しながら軽圧下帯の範囲内で凝固完了させて鋼の連続鋳造鋳片を製造するに際し、鋳型直下の垂直部では鋳片長辺面の表面温度が800℃以下となるまで鋳片を冷却するとともに、前記垂直部に続く曲げ部以降で復熱させて鋳片長辺面の表面温度を900℃以上に確保し、鋳片長辺面の表面温度が900℃以上のままで前記軽圧下帯にて鋳片に圧下力を付与することを特徴とする、連続鋳造鋳片の製造方法。
  2. 前記曲げ部以降の鋳片長辺面の表面温度が900℃以上の状態で、ガイドロール群の鋳片厚み方向の間隔を広げて鋳片をバルジングさせ、バルジングさせた後に前記軽圧下帯にて鋳片に圧下力を付与することを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造鋳片の製造方法。
JP2007317811A 2007-12-10 2007-12-10 連続鋳造鋳片の製造方法 Active JP5045408B2 (ja)

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