JP4564727B2 - 工具ホルダの自動着脱方法,工具ホルダの自動着脱システムおよび工具収納装置 - Google Patents
工具ホルダの自動着脱方法,工具ホルダの自動着脱システムおよび工具収納装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工工具装置の工具ホルダを、工具収納具あるいは工具収納装置を利用して自動でかつ繰り返して工具保持軸に着脱する方法およびシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
加工工具を保持する工具ホルダを工具保持軸に自動で着脱する装置としては既に種々のものが提案されている。例えば、後記特許文献1に、回転する工具保持軸に限られた深さまで嵌合可能なホルダ本体と、そのホルダ本体に回転可能に保持され、常には解除位相に保たれているが、ホルダ本体が工具保持軸に前記限られた深さまで嵌合されれば回転部材付勢手段の付勢力により固定位相へ回転させられて工具ホルダを工具保持軸に固定する回転部材とを含む回転固定式工具ホルダを工具保持軸に着脱するための工具ホルダ着脱治具が記載されている。この治具は、(a)ホルダ本体の回転を防止する状態と回転を許容する状態とで工具ホルダを保持する工具ホルダ保持装置と、(b)その工具ホルダ保持装置がホルダ本体の回転を許容する状態で工具ホルダを保持する状態で、回転部材の軸方向の移動を許容しつつ回転部材の回転を阻止する回転部材回転阻止装置とを含む。
【0003】
この工具ホルダ着脱治具によれば、工具ホルダの工具保持軸への取付けの前に、工具ホルダが工具ホルダ着脱治具に保持された状態と、一旦工具保持軸に保持された工具ホルダが再び工具ホルダ着脱治具に戻されて工具保持軸から取り外された状態とでは、工具ホルダの位相が異なり、その戻された工具ホルダを再び自動で工具保持軸に保持させることができず、工具保持軸への工具ホルダの着脱を繰り返して行うことができない。そのため、工具ホルダは、作業者の手作業によって、工具ホルダ着脱治具に保持させられることが必要なのであるが、この工具ホルダ着脱治具は、工具ホルダに保持された加工工具が摩耗等によって使用限度に達した場合に、工具ホルダを工具保持軸から自動で取り外すことを目的としたものであるため、それで差し支えないのである。
【0004】
また、例えば、後記特許文献2に記載の工具ホルダ着脱装置は、(a)ホルダ本体と、(b)相対回転防止部材と、(c)付勢手段とを含む工具ホルダを工具保持軸に着脱する工具ホルダ着脱装置であって、▲1▼工具保持軸と平行に延びる軸方向穴を備えた装置本体と、▲2▼その装置本体の軸方向穴に、工具保持軸に接近する向きの前進と反対向きの後退とが可能であり、かつ相対回転可能な状態で嵌合された可動部材と、▲3▼その可動部材に設けられ、工具ホルダを、その工具ホルダの一定角度以上の相対回転を阻止するとともに、相対回転防止部材のホルダ本体に対する後退を許容しつつホルダ本体を前進させ得、かつホルダ本体の相対回転防止部材に対する前進を許容しつつ相対回転防止部材を後退させ得る状態で保持するホルダ保持装置と、▲4▼可動部材を常には装置本体に対する軸方向の基準位置に保ち、少なくとも可動部材が基準位置から後退させられることを許容するとともに基準位置への付勢力を発生する後退許容手段と、▲5▼装置本体と可動部材との間に両者の軸方向の移動を許容する状態で設けられ、常には両者の相対回転を阻止しているが、少なくとも装置本体と工具保持軸とが、ホルダ本体と工具保持軸とを第一相対位相から第二相対位相へ相対回転させる方向に相対回転させられる際、両者の相対回転トルクが設定トルクを超えれば相対回転を許容するトルクリミッタとを含むように構成される。
【0005】
この工具ホルダ着脱装置によれば、工具ホルダを工具保持軸に繰り返し着脱することができる。また、工具ホルダの工具保持軸への着脱開始時に、工具保持軸が任意の位相で停止させられればよいようにされており、工具ホルダの着脱のために工具保持軸を予め定められた位相で停止させる装置が不要である利点がある。しかしながら、工具ホルダの工具保持軸に対する着脱のために必要な工具保持軸の回転角度が大きくなる(例えば180度より大きな角度)不利があり、また、トルクリミッタを設ける必要があるために装置の構成が複雑になる不利がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−156610号公報
【特許文献2】
特開平6−262410号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
本発明は、以上の事情を背景とし、工具ホルダを工具保持軸に自動でかつ繰り返して着脱することを可能とすること、あるいはさらに、工具ホルダの工具保持軸に対する着脱のために必要な工具保持軸の回転角度が小さくて済むようにすることを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の工具ホルダの自動着脱方法,工具ホルダの自動着脱システムおよび工具収納装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能なのである。
なお、以下の態様項の中には、特許請求の範囲に記載の発明でも、それの下位概念の発明でもないものも存在するが、特許請求の範囲に記載の発明を理解する上で有益な記載を含んでいるため、そのまま残すこととする。
【0008】
なお、以下の各項において、(2)項が請求項1に、(3)項が請求項2に、(4)項が請求項3に、(10)項が請求項4にそれぞれ相当する。
【0009】
(1)工具保持軸と工具ホルダとを含み、
前記工具保持軸が、第1嵌合部および第1係合部を有して回転可能であるとともに予め定められた位相で停止可能であり、
前記工具ホルダが、(i)加工工具を保持する工具保持部,第2嵌合部および第2係合部を有するホルダ本体部と、(ii)そのホルダ本体部に軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合され、ホルダ本体部と前記工具保持軸とに跨って係合してそれらホルダ本体部と工具保持軸の相対回転を防止する相対回転防止位置と、その相対回転を許容する相対回転許容位置とに移動可能な相対回転防止部材と、(iii)その相対回転防止部材を前記相対回転防止位置へ付勢する付勢装置とを備え、かつ、それら工具保持軸と工具ホルダとが、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが互いに嵌合して工具保持軸と工具ホルダとの心合わせを行い、かつ、前記第1係合部と前記第2係合部とが離脱不能位相にあって軸方向に離脱不能に係合するとともに、前記相対回転防止部材が前記付勢装置の付勢力により前記相対回転防止位置に保たれている取付状態と、
前記相対回転防止部材が前記付勢装置の付勢力に抗して前記相対回転許容位置に保たれるとともに、前記第1係合部と前記第2係合部とが軸方向に離脱可能な離脱可能位相にあって前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との軸方向の離脱が許容された取外し可能状態と
を取り得る加工工具装置において、前記工具ホルダを、工具収納具を利用して自動でかつ繰り返して前記工具保持軸に着脱する方法であって、
前記工具ホルダを前記工具保持軸に取り付ける前における前記工具収納具による工具ホルダの保持位相と、工具ホルダを一旦工具保持軸に取り付けた後、工具収納具に再び収納した場合の工具収納具による工具ホルダの保持位相とを実質的に同じにしたことを特徴とする工具ホルダの自動着脱方法。
【0010】
工具ホルダを工具保持軸に取り付ける前における工具収納具による工具ホルダの保持位相と、工具ホルダを一旦工具保持軸に取り付けた後、工具収納具に再び収納した場合の工具ホルダの保持位相とを実質的に同じにすれば、工具ホルダの工具保持軸への着脱を繰り返しても、工具収納具による工具ホルダの収納位相が実質的に変化しない。そのため、工具収納具を利用して自動でかつ繰り返して工具ホルダを工具保持軸に着脱することが容易になる。なお、工具ホルダの工具保持軸への着脱の前後における工具ホルダの工具収納具に対する相対位相を「実質的に同じにする」とは、相対位相を実際に同じにする場合は勿論、実際には変わるのであるが、実質的には変わらないのに等しいようにすることも含むものとする。この点に関しては、後にさらに詳細に説明する。
【0011】
(2)第1嵌合部および第1係合部を備えて回転可能であるとともに予め定められた位相で停止可能な工具保持軸に、加工工具を保持する工具保持部,第2嵌合部,第2係合部および相対回転防止部材を備えた工具ホルダを自動でかつ繰り返して着脱する方法であって、
前記工具ホルダを、回転抵抗付与装置および軸方向移動抑制装置を備えた工具収納具に、その工具収納具に対する前記相対回転防止部材の相対回転が可能であり、かつ、その相対回転に対する回転抵抗が前記回転抵抗付与装置により付与されるとともに、前記軸方向移動抑制装置により軸方向移動が抑制された状態で保持させる収納工程と、
前記工具保持軸と前記工具収納具とを予め設定された設定相対位相で工具保持軸の軸方向において接近させて、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを嵌合して工具保持軸と工具ホルダとの心合わせを行うとともに、前記第1係合部と前記第2係合部とを前記軸方向における設定相対位置に位置させる取付け前進工程と、
それら第1、第2係合部が前記設定相対位置にあり、かつ、前記回転抵抗付与装置により前記相対回転防止部材と前記工具収納具との相対回転が抑制された状態で、前記工具保持軸を回転させることにより、前記第1係合部と前記第2係合部とを前記軸方向には離脱不能な状態に係合させるとともに、前記相対回転防止部材を前記工具ホルダと前記工具保持軸との相対回転を防止する状態とする保持軸係合回転工程と、
前記工具保持軸と前記工具収納具とを前記軸方向に離間させて、前記工具ホルダを前記工具収納具から離脱させる取付け後退工程と、
前記工具収納具と前記工具ホルダを保持した前記工具保持軸とを前記軸方向に接近させて、工具ホルダを工具収納具に保持させる取外し前進工程と、
前記相対回転防止部材の軸方向移動が軸方向移動抑制装置により抑制されるとともに前記回転抵抗付与装置により回転抵抗が付与された状態で、前記工具収納具と前記工具保持軸とを前記軸方向に設定距離離間させて、前記相対回転防止部材による相対回転防止状態を解除して相対回転可能状態とする相対回転防止解除工程と、
その相対回転可能状態において、前記工具保持軸を前記工具収納具に対して、前記第1係合部と前記第2係合部とが前記軸方向に離脱可能な相対位相となる位相へ回転させる保持軸係合解除回転工程と、
前記工具保持軸と前記工具収納具とを前記軸方向に離間させて、前記軸方向移動抑制装置により軸方向移動が抑制された工具ホルダの第2嵌合部を前記工具保持軸の第1嵌合部から離脱させる取外し後退工程と、
その工具保持軸から離脱させられて前記工具収納具に収納されている工具ホルダに対して前記取付け前進工程ないし取付け後退工程を実行することにより、その工具ホルダを再び前記工具保持軸に保持させる再取付け工程と
を含むことを特徴とする工具ホルダの自動着脱方法。
【0012】
上記軸方向移動抑制装置を、前記工具ホルダの相対回転防止部材に係合してその工具ホルダと前記工具収納具との軸方向の相対移動に抵抗を付与する移動抵抗付与装置とすることができる。そのようにした場合には、次項に記載の自動着脱方法におけるように、工具保持軸をホルダ係合解除回転工程とホルダ係合回転工程とにおいても回転させる必要がなく、その分、工具ホルダの着脱のために必要な工具保持軸の回転運動が少なくて済む。また、移動抵抗付与装置と回転抵抗付与装置とを兼用とすることも可能であり、そのようにした場合には、工具収納具の構成を単純化することができる。この態様の自動着脱方法においては、工具ホルダを一旦工具保持軸に取り付けた後、取り外すために、工具保持軸が保持軸係合回転工程と保持軸係合解除回転工程とにおいて回転させられる。その際、工具ホルダの工具収納具に対する相対回転は、回転抵抗付与装置により付与される回転抵抗により防止されており、工具ホルダの工具収納具に対する相対位相は変化しない。
【0013】
上記態様の自動着脱方法においては、工具ホルダが工具保持軸に取り付けられる際、取付け前進工程と取付け後退工程との間において、工具保持軸が保持軸係合回転工程において1回回転させられる。また、工具ホルダが工具保持軸から取り外される際、取外し前進工程と取外し後退工程との間において、工具保持軸が保持軸係合回転工程において1回回転させられる。したがって、上記1回の回転の角度が360度の整数倍でない限り、工具保持軸と工具収納具との接近時(相対的な前進時)と離間時(相対的な後退時)とにおける工具保持軸の停止位相は互いに異なることとなり、工具保持軸は少なくとも2つの位相で停止させられ得ることが必要である。
【0014】
上記1回の回転の角度は小さいほど、回転に要する時間が短くて済み、工具ホルダの着脱に要する時間を短縮し得る。したがって、不可欠というわけではないが、以下の説明においては、1回の回転角度は90度以下の大きさであるものとする。また、上記保持軸係合回転工程と保持軸係合解除回転工程とにおける工具保持軸の回転方向は互いに逆にすることも同じにすることも可能であって、前者の場合には、取付け前進工程と取外し後退工程とにおける工具保持軸の停止位相が同じとなり、工具保持軸は2つの位相で停止させられればよいこととなる。それに対し、後者の場合には、取付け前進工程と取外し後退工程とにおける工具保持軸の停止位相が互いに異なることとなる。ただし、例えば、工具ホルダおよび工具保持軸がそれの中心軸線を対称軸とする軸対称構造を有し、等角度ずつで同じ構造が繰り返される場合には、工具保持軸と工具ホルダとが上記等角度ずつ何回回転しても、互いに同じ状態となり、実質的に回転しないのと同じことになる。そのため、保持軸係合回転工程と保持軸係合解除回転工程とにおける回転角度が上記等角度の2分の1に等しければ、両工程における工具保持軸の回転方向が同じであっても、それら同じ方向の2回の回転により、工具保持軸は上記等角度に等しい角度回転することとなり、実際は工具保持軸の停止位相が変わるのであるが、実質的には変わらないのと同じことになる。したがって、工具保持軸は、上記等角度ずつ回転した複数の停止位相のいずれかと、その停止位相から等角度の2分の1の角度回転した停止位相とに停止させられるようにされればよい。例えば、1回の回転角度が90度である場合には、0度と90度、90度と180度、180度と270度、270度と0度のいずれかの組合わせの2停止位相で停止させられればよいのである。工具保持軸の回転駆動装置が、工具保持軸をそれら2停止位相で停止させ得るものとされればよいのである。
【0015】
なお付言すれば、次項に記載の態様も本項に記載の自動着脱方法の一態様であって、この態様においては、工具保持軸が、保持軸係合回転工程と保持軸係合解除回転工程との他に、さらにホルダ係合解除回転工程とホルダ係合回転工程とにおいても回転させられ、これら両工程においては工具ホルダも工具保持軸と共に回転させられる。工具ホルダの工具収納具に対する相対位相が変わるのであり、それにもかかわらず、工具ホルダの工具保持軸への着脱を繰り返しても、工具ホルダの工具収納具に対する相対位相が、実質的に変わらないに等しいようにすることが可能であり、そのようにすれば、工具保持軸の停止制御が複雑になることを回避しつつ、工具ホルダの自動着脱を繰り返し実施することが可能となる。この点に関しては、実施形態の項において、さらに具体的に説明する。
【0016】
本発明に従って、工具ホルダを工具保持軸に取り付ける前における工具収納具による工具ホルダの保持位相と、工具収納具に再び収納して工具保持軸から取り外された後の工具ホルダの保持位相とを実質的に同じ相対位相にすれば、工具保持軸の回転停止制御が複雑になることを回避しつつ、工具ホルダの工具保持軸に対する自動着脱を繰り返し実施することが可能となる。また、前記特開平6−262410号公報に記載の発明に比較して、工具ホルダの着脱のための工具保持軸の回転角度を小さくすることが容易であり、また、トルクリミッタのような複雑な機構を設ける必要がなくなって、簡単な構成の装置で目的を達成することが可能となる。
【0017】
(3)前記軸方向移動抑制装置として、第1相対位相では前記工具ホルダの前記工具収納具からの離脱を許容し、その第1相対位相とは異なる第2相対位相では許容しない離脱阻止装置を使用し、前記保持軸係合回転工程と前記取付け後退工程との間に、前記工具ホルダと前記工具収納具とを前記第2相対位相から前記第1相対位相に変化させるべく前記工具保持軸を前記工具ホルダと共に回転させるホルダ係合解除回転工程を含み、かつ、前記取外し前進工程と前記相対回転防止解除工程との間に、前記工具ホルダと前記工具収納具とを前記第1相対位相から前記第2相対位相に変化させるべく前記工具保持軸と前記工具ホルダとを共に回転させるホルダ係合回転工程を含む(2)項に記載の工具ホルダの自動着脱方法。
【0018】
本発明に係る工具ホルダの自動着脱方法は、工具ホルダを工具保持軸に保持せた状態で工具収納具から離間させる前に、第2相対位相から第1相対位相に回転させるホルダ係合解除回転工程を含み、工具保持軸に保持された工具ホルダを工具収納具に保持させた後であって、工具保持軸と工具ホルダとの係合を解除して工具保持軸を工具収納具から離間させる前に、第1相対位相から第2相対位相に回転させるホルダ係合回転工程を含む。このように、ホルダ係合解除回転工程とホルダ係合回転工程とを設ければ、軸方向移動抑制装置として、工具ホルダの工具収納具からの離脱を阻止する離脱阻止装置を採用することが可能となり、工具ホルダを確実に工具収納具に残して工具保持軸を後退させることが可能となる。
【0019】
(4)(A)工具保持軸と工具ホルダとを含み、
前記工具保持軸が、第1嵌合部および第1係合部を有して回転可能であるとともに予め定められた位相で停止可能であり、
前記工具ホルダが、(i)加工工具を保持する工具保持部,第2嵌合部および第2係合部を有するホルダ本体部と、(ii)そのホルダ本体部に軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合され、ホルダ本体部と前記工具保持軸とに跨って係合してそれらホルダ本体部と工具保持軸の相対回転を防止する相対回転防止位置と、その相対回転を許容する相対回転許容位置とに移動可能な相対回転防止部材と、(iii)その相対回転防止部材を前記相対回転防止位置へ付勢する第1付勢装置とを備え、かつ、前記工具保持軸と前記工具ホルダとが、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが互いに嵌合して工具保持軸と工具ホルダとの心合わせを行い、かつ、前記第1係合部と前記第2係合部とが離脱不能位相にあって軸方向に離脱不能に係合するとともに、前記相対回転防止部材が前記第1付勢装置の付勢力により前記相対回転防止位置に保たれている取付状態と、
前記相対回転防止部材が前記第1付勢装置の付勢力に抗して前記相対回転許容位置に保たれるとともに、前記第1係合部と前記第2係合部とが軸方向に離脱可能な離脱可能位相にあって前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との軸方向の離脱が許容された取外し可能状態と
を取り得る加工工具装置と、
(B)工具収納装置本体と、
その工具収納装置本体に軸方向に移動可能に保持され、自身の前部に、前記工具ホルダの前記相対回転防止部材の外側に嵌合して工具ホルダを収納する収納部を備えた収納部材と、
その収納部材を前記収納装置本体に対して前進方向に付勢する第2付勢装置と、
前記収納部に設けられ、その収納部に嵌合された前記相対回転防止部材に回転抵抗を付与する回転抵抗付与装置と、
前記収納部に設けられ、少なくとも前記相対回転防止部材と前記収納部とが設定相対位相にある状態で、相対回転防止部材の収納部からの離脱方向の軸方向移動を抑制する軸方向移動抑制装置と
を含む工具収納装置と
を含むことを特徴とする工具ホルダの自動着脱システム。
(1)項に記載の工具ホルダの自動着脱方法を実施するのに好適な工具ホルダの自動着脱システムが得られる。(1)項についての説明は本項にもそのまま当てはまる。
【0020】
(5)前記軸方向移動抑制装置が、前記相対回転防止部材と前記収納部との第1相対位相では相対回転防止部材の収納部からの離脱を許容するが、その第1相対位相とは異なる第2相対位相では阻止する離脱阻止装置を含む (4)項に記載の工具ホルダの自動着脱システム。
(6)前記離脱阻止装置が、前記収納部の内周面から半径方向内向きに突出した係合突起を含み、その係合突起が、前記相対回転防止部材の外周面に、その相対回転防止部材の前端面から前記外周面の中間部まで軸方向に平行に延びる軸方向溝部とその軸方向溝の端から周方向に延びる周方向溝部とを備えて形成された係合溝と係合する (5)項に記載の工具ホルダの自動着脱システム。
係合突起は、相対回転防止部材と収納部とが第1相対位相にある状態では軸方向溝部に嵌入し、第2相対位相にある状態では周方向溝部に嵌入する。係合突起と係合溝とが共同して離脱阻止装置を構成すると考えることもでき、その場合には、収納部と相対回転防止部材とにまたがって離脱阻止装置が設けられていることになる。
(7)前記回転抵抗付与装置が、前記相対回転防止部材の外周面に弾性的に接触することにより回転抵抗を付与するものである (4)項ないし (6)項のいずれかに記載の工具ホルダの自動着脱システム。
相対回転防止部材の外周面に弾性的に接触する部材自体が外周面との間に摩擦抵抗を生じさせるものでも、外周面に弾性的に接触することによって外周面を収納部の内周面に押し付け、主として外周面と内周面との間に摩擦抵抗を生じさせるものであってもよい。前者の場合には、周方向に等角度間隔に複数設けられることが望ましく、後者の場合には周方向の1個所に設けられればよい。また、相対回転防止部材の外周面に係合凹部を設け、回転抵抗付与装置をその係合凹部に係合する向きに付勢された係合部材を有するものとすれば、一定の相対位相において大きい回転抵抗を付与することができる。回転抵抗付与装置としては、例えば、ボールプランジャの商品名で市販されているものを採用可能である。これは、ねじ部材の先端面から軸方向に形成された収容孔内にボールとそのボールを突出方向に付勢するばね部材とが収容され、収容孔の開口部にボールの突出限度を規定する突出限度規定部が設けられた収容孔からの離脱を防止する離脱防止部が設けられたものである。
(8)前記工具収納装置が、前記収納部材,前記第2付勢装置,前記回転抵抗付与装置および前記軸方向移動抑制装置を複数組含む (4)項ないし (7)項のいずれかに記載の工具ホルダの自動着脱システム。
収納部材,第2付勢装置,回転抵抗付与装置および軸方向移動抑制装置を含む工具収納具は構成が単純であるため、安価に製造し得、かつ、小形化が容易である。そのため、工具ホルダを複数収納する工具収納装置用として特に好適である。例えば、工具ホルダに保持された加工工具が使用限度に達した際に、新たな加工工具を保持した工具ホルダと交換するのではなく、複数種類の加工工具を保持した複数の工具ホルダを準備しておき、加工個所が変わる度に工具ホルダを交換する場合の工具収納装置として特に好適なのである。
(9)前記工具収納装置が、前記複数組を少なくとも一直線に沿って並んだ状態で含む (8)項に記載の工具ホルダの自動着脱システム。
【0021】
(10)工具保持軸と工具ホルダとを含み、
前記工具保持軸が、第1嵌合部および第1係合部を有して回転可能であるとともに予め定められた位相で停止可能であり、
前記工具ホルダが、(i)加工工具を保持する工具保持部,第2嵌合部および第2係合部を有するホルダ本体部と、(ii)そのホルダ本体部に軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合され、ホルダ本体部と前記工具保持軸とに跨って係合してそれらホルダ本体部と工具保持軸の相対回転を防止する相対回転防止位置と、その相対回転を許容する相対回転許容位置とに移動可能な相対回転防止部材と、(iii)その相対回転防止部材を前記相対回転防止位置へ付勢する第1付勢装置とを備え、かつ、前記工具保持軸と前記工具ホルダとが、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが互いに嵌合して工具保持軸と工具ホルダとの心合わせを行い、かつ、前記第1係合部と前記第2係合部とが離脱不能位相にあって軸方向に離脱不能に係合するとともに、前記相対回転防止部材が前記第1付勢装置の付勢力により前記相対回転防止位置に保たれている取付状態と、
前記相対回転防止部材が前記第1付勢装置の付勢力に抗して前記相対回転許容位置に保たれるとともに、前記第1係合部と前記第2係合部とが軸方向に離脱可能な離脱可能位相にあって前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との軸方向の離脱が許容された取外し可能状態と
を取り得る加工工具装置の、前記工具ホルダを、自動でかつ繰り返して前記工具保持軸に着脱可能に収納する工具収納装置であって、
その工具収納装置の本体と、
その工具収納装置本体に軸方向に移動可能に保持され、自身の前部に、前記工具ホルダの前記相対回転防止部材の外側に嵌合して工具ホルダを収納する収納部を備えた収納部材と、
その収納部材を前記収納装置本体に対して前進方向に付勢する第2付勢装置と、
前記収納部に設けられ、その収納部に嵌合された前記相対回転防止部材に回転抵抗を付与する回転抵抗付与装置と、
少なくとも前記相対回転防止部材と前記収納部とが設定相対位相にある状態で、相対回転防止部材の収納部からの離脱方向の軸方向移動を抑制する軸方向移動抑制装置と
を含むことを特徴とする工具収納装置。
前記 (5)項ないし (9)項の各々に記載の特徴は本項の工具収納装置にも適用可能である。
(11)前記相対回転防止部材が、前記ホルダ本体部と前記工具保持軸との等角度ずつ隔たった複数の相対位相において、それらホルダ本体部と工具保持軸とに跨って係合可能であり、前記工具保持軸の第1係合部と前記ホルダ本体部の第2係合部との1つ以上ずつが、前記複数の相対位相において互いに軸方向に離脱不能に係合可能であり、かつ、前記工具保持軸を前記複数の相対位相の角度間隔と同じ角度ずつ回転した複数の位相とそれら複数の位相の各中間の位相とで停止させ得る回転駆動装置を含む (4)項ないし(10)項のいずれかに記載の工具ホルダの自動着脱システム。
次項に記載の態様は本項に記載の自動着脱システムの望ましい態様であるが、本項の発明はこれに限定されるわけではない。例えば、回転阻止突起の数を回転阻止用係合凹部の数より減らすことが可能である。具体的には、例えば、回転阻止突起を1つとし、その1つの回転阻止突起が複数の回転阻止用係合凹部のいずれかと選択的に係合するようにしてもよいのである。同様に、第1係合部と第2係合部との一方を他方の数より少なくすることも可能である。
(12)前記相対回転防止部材が前記ホルダ本体部と前記工具保持軸とに跨って係合する回転阻止突起を等角度間隔で複数備え、前記工具保持軸がそれら回転阻止突起とそれぞれ係合する回転阻止用係合凹部と前記第1係合部とを前記回転阻止突起と同じ角度間隔で回転阻止突起と同数備え、前記ホルダ本体部が前記第2係合部を前記回転阻止突起と同じ角度間隔で回転阻止突起と同数備え、かつ、前記回転駆動装置が、前記回転阻止突起の角度間隔と同じ角度ずつ回転した複数の位相とそれら複数の位相の各中間の位相とで前記工具保持軸の回転を停止させ得るものである(11)項に記載の工具ホルダの自動着脱システム。
回転阻止突起は、相対回転防止部材と別部材とされても、一体のものとされてもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2には、本発明の一実施形態である工具収納装置を備える工具ホルダの自動着脱システムが示されている。工具収納装置は、工具ホルダ12と工具保持軸14とを含む加工工具装置において、工具ホルダ12を、自動でかつ繰り返して工具保持軸14に着脱可能に収納するものである。図1には、工具収納装置に収納されている工具ホルダ12が二点鎖線で示されている。
【0023】
工具ホルダ12のホルダ本体20は、図3ないし図5に示すように、加工工具を保持する工具保持部22と、工具保持軸14の概して円筒状を成すスリーブ24の嵌合穴26(図7参照)に着脱可能に嵌合される軸部28とを備えている。
ホルダ本体20は概して円筒状を成しており、図3に示すように、中心軸線の方向に延びる工具挿入穴30を有している。工具挿入穴30の一部は雌ねじ穴32とされており、内部にはアジャスト部材34が螺合されている。アジャスト部材34には、工具挿入穴30の後端側(工具保持部22とは反対側)の端部に工具係合穴が形成されており、工具挿入穴30の後端部側から工具を挿入してアジャスト部材34を回転操作することにより、アジャスト部材34を軸方向に移動させることができる。雌ねじ穴32にはまた、工具駆動部材52が軸方向に移動可能に嵌合されている。工具駆動部材36は端面においてアジャスト部材34に当接させられる一方、端面とは反対側の端面に工具係合溝38を備えており、加工工具のタングと相対回転不能に係合するとともに軸方向において互いに当接するようになっている。
【0024】
工具駆動部材36の外周面には、一対のピン40(図3には一方のみ示す)が固定的に設けられており、その突出端部が雌ねじ穴32の内周面に軸方向に延びて形成された案内溝42に係合させられることにより、工具駆動部材36の軸方向の案内が行われるとともに、工具駆動部材36の雌ねじ穴32内での回転が阻止される。したがって、ホルダ本体20に加えられる回転トルクが、ピン40および工具駆動部材36を介して加工工具に伝達される。また、工具の軸方向の位置は、アジャスト部材34の位置を変更することにより調整される。
【0025】
工具挿入穴30の軸方向の先端部はテーパ穴50とされており、コレット52(二点鎖線で図示)が嵌合されている。テーパ穴50は先端側ほど径が大きくされており、コレット52は、テーパ穴50の内周面に対応して形成されたテーパ外周面においてテーパ穴50に嵌合される一方、軸方向に平行に形成された内周面において、工具のシャンク部の外周面に密着してこれを把持し、切削時に工具が受ける軸方向力を受けるようになっている。
【0026】
コレット52の先端部にはコレットキャップ54が被せられている。また、工具保持部22の外周面には、雄ねじ部58が形成されており、この雄ねじ部58にクランプナット60がホルダ本体20と同軸に螺合されている。これらコレットキャップ54およびクランプナット60は、特開平9−225712号公報に記載のものと同じ構成とされており、詳細な説明は省略する。これらクランプナット60とコレットキャップ54とは、互いに相対回転可能、かつ軸方向移動不能とされている。したがって、クランプナット60が雄ねじ部58に締め込まれる方向に回転操作された場合には、コレットキャップ54がホルダ本体20に向かって移動させられるとともに、コレット52がテーパ穴50内へ押し込まれて、弾性的に縮径させられる。それにより、コレット52の内周面に工具のシャンク部が把持されるとともに、把持状態においては、ホルダ本体20に対するコレット52の相対回転が摩擦力によって防止される状態となる。
【0027】
ホルダ本体20のスリーブ24からの突出端部となる部分には、半径方向外向きに延び出すフランジ部70が形成されている。フランジ部70の工具保持部22側の端部の外周面には、先端側ほど径が漸減するテーパ面74が形成されている。また、フランジ部70の軸部28側の端面76は、ホルダ本体20の軸方向にほぼ直角な面とされている。また、フランジ部70には、図4および図6に示すように、直径方向に隔たった2個所にそれぞれ、軸方向に貫通する係合切欠78が形成されている。
【0028】
ホルダ本体20のフランジ部70と、クランプナット60が螺合された部分との間には、図3に示すように、係合部材80が軸方向に限られた範囲内で相対移動可能に嵌合されている。係合部材80は、軸部28側ほど外径および内径が大径となる段付き円筒状を成し、工具保持部22側の小径部がホルダ本体20の外側に軸方向に移動可能に嵌合される嵌合部82であり、軸部28側の大径部84の内周面の直径方向に隔たった2個所にはそれぞれ、図4に示すように、半径方向内向きに延び出す内向き突起88が一体的に設けられている。
【0029】
図3に示すように、嵌合部82の周方向に隔たった複数個所にはそれぞれ、半径方向に貫通する貫通穴92が形成されるとともに、それぞれ伝達子たる鋼球94が嵌合部82の半径方向に移動可能に嵌合されている。鋼球94の一部がフランジ部70のテーパ面74に接触させられた状態で、鋼球94の別の一部が貫通穴92の外周側の開口から外へ突出した状態となるようにされている。鋼球94はテーパ面74に対向させられ、係合部材80の大径部84が係合切欠78から突出する向きの移動限度は、鋼球94とテーパ面74との係合により規定される。係合部材80の大径部84の内向き突起88を有する端部は、フランジ部70の軸部28側の端面76から常に突出する状態で設けられている。嵌合部82の貫通穴92とは周方向の位相を異にするとともに、嵌合部82の直径方向に隔たった2個所には、軸方向に延びる係合溝(図示省略)がそれぞれ形成されている。
【0030】
ホルダ本体20にはまた、相対回転防止部材110が軸方向に相対移動可能に嵌合されている。相対回転防止部材110は、図3に示すように、円筒状を成し、その内側には嵌合部116が設けられている。嵌合部116は、円筒状を成す円筒状部120を備え、その外周部が相対回転防止部材110の内周面に取り付けられている。別部材である嵌合部116は相対回転防止部材110と一体的に設けられているのであり、相対回転防止部材110の構成要素であると考えることができる。円筒状部120は、係合部材80の嵌合部82の外周側に嵌合され、嵌合部82の外周面によって軸方向の移動が案内される。嵌合部116の円筒状部120の一端面の直径方向に隔たった2個所には、図6に示すように軸方向に平行に延びる回転阻止突起122が突設されている。相対回転防止部材110は、係合部材80に被せられ、回転阻止突起122が、係合部材80の前記係合溝と、フランジ部70の係合切欠78とに軸方向に相対移動可能に嵌合されている。それにより相対回転防止部材110および嵌合部116と係合部材80およびホルダ本体20との相対回転が阻止されるとともに、一対の回転阻止突起122と、一対の内向き突起88との回転方向の位相がそれぞれ互いにほぼ90度ずらされた状態に保たれる。また、相対回転防止部材110の軸方向のほぼ中間部における内周面は、回転阻止突起122から離れるほど直径が漸減するテーパ内周面126とされている。テーパ内周面126は、フランジ部70に形成されたテーパ面74と同じ方向に傾斜させられている。相対回転防止部材110は、ホルダ本体20に取り付けられたスプリング受部130と、嵌合部116の円筒状部120に形成された有底穴134の底面との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング136により、テーパ内周面126が鋼球94に係合する向きに付勢されている。回転阻止突起122が係合切欠78から突出する向きの移動限度は、鋼球94とテーパ内周面126との係合により規定され、回転阻止突起122は、フランジ部72の軸部28側の端面76から突出させられている。
【0031】
相対回転防止部材110の外周面には、図4および図5に示すように、周方向に等角度間隔に隔たった複数個所(本実施形態の場合直径方向に隔たった2個所)において係合溝140が形成されている。係合溝140は、相対回転防止部材110の工具保持部22側の前端面から中間部まで軸方向に平行に延びる軸方向溝部142と、その軸方向溝部142の上記中間部側の端から周方向に設定角度(本実施形態の場合約90度)延びる周方向溝部144とを備えている。また、周方向溝部144の軸方向溝部142につながる側の端とは反対側の端から、軸方向に後端側に延びる軸方向溝部146が形成されている。一対の係合溝140の周方向溝部144の延びる方向は共に同じ方向とされている。係合溝140は、相対回転防止部材110の周壁の外周面に開口するが、その周壁の内周面には開口せず、かつ、前端面に開口するものである。
【0032】
相対回転防止部材110の外周面にはまた、上記係合溝140と周方向の位相を異にし、かつ、周方向に等角度間隔で隔たった複数個所(本実施形態の場合互いに直径方向に隔たった2個所)において係合凹部150が形成されている。係合凹部150は、横断面形状が円弧状を成し、相対回転防止部材110の軸部28側の後端面から軸方向に平行に延びる軸方向溝とされている。係合凹部150は、相対回転防止部材110の周壁の外周面に開口するが、その周壁の内周面には開口せず、かつ、後端面に開口する。
【0033】
前記スリーブ24の先端部には、図7に示すように、外周面に開口する円環状の嵌合溝170が形成され、それによりスリーブ24の先端には半径方向外向きに突出する外向きフランジ172が形成されている。外向きフランジ172は、スリーブ24の嵌合溝170より後側(図7において左側)の部分より径が小さく、嵌合溝170の外向きフランジ172を確定する溝側面は係合面174を構成している。外向きフランジ172の直径方向に隔たった2個所にはそれぞれ、嵌合穴26の周壁の外周面である外向きフランジ172の外周面から内周面に貫通し、かつ、端面175に開口し、軸方向に延びるとともに嵌合溝170に至る深さの嵌合切欠178が形成されている。
【0034】
このように構成されるスリーブ24を含む工具保持軸14は、図示を省略する回転駆動装置により、予め定められた位相で停止可能である。また、工具保持軸14は、図示しない進退装置により、工具保持軸14の軸方向に任意の距離進退させられるようになっている。
【0035】
自動着脱システムの工具収納装置について説明する。図1および図2に示すように、工具収納装置は、工具収納装置本体200(以下、「装置本体200」と略称する。)を含む。装置本体200は、組付けの都合上複数に分割された部材がそれぞれ保持部材201に位置決めされた状態で固定されることにより一体の装置本体200として機能する。装置本体200の後部(図1における右側の部分)は、有底円筒状を成すスプリング受部202とされている。スプリング受部202の底壁の中心部には、軸方向に貫通する工具挿入穴204が形成され、工具ホルダ12に保持された加工工具を挿入可能である。装置本体200の前部(図1における左側の部分)は、収納部材206が軸方向に移動可能に保持される収容部208とされている。収容部208の後端部は、円筒状を成し、スプリング受部202の内周面に嵌合されており、それらスプリング受部202および収容部208の内部には、軸方向に延びる段付状の嵌合穴210が形成されている。嵌合穴210は、その軸方向の中間部が小径穴部211とされ、小径穴部211の軸方向の両側にはそれより大径の大径穴部212,213が形成されている。それら小径穴部211および大径穴部212,213の間にはそれぞれ肩面214,215が形成されている。上記保持部材201,スプリング受部202および収容部208によって装置本体200が構成されていると考えることもできる。
【0036】
収納部材206の後部(図1における右側の部分)は、段付円筒状の嵌合部216とされ、前記嵌合穴210に軸方向に移動可能に嵌合されている。嵌合部216の後端には、加工工具を受ける工具受部217が一体的に設けられている。
嵌合部216の後端部にはまた、半径方向外向きに延び出すフランジ部218が一体的に設けられ、大径穴部212に嵌合されている。また、嵌合部216の前端部は、嵌合部216の軸方向の中間部である小径部220より大径の大径部222とされ、大径穴部213において軸方向に移動可能に嵌合されている。フランジ部218の後端面(受面として機能する)とスプリング受部202の底面との間には、付勢装置の一種である弾性部材たる圧縮コイルスプリング226が配設されており、スプリング226の付勢力によって、収納部材206が装置本体200に対して前進する(突出する)向きに付勢されている。収納部材206の前進範囲は、フランジ部218の前端面と、肩面214との当接により規定される。収納部材206の装置本体200に対する後退範囲は、嵌合穴210の大径穴部213と小径穴部211との間に形成された肩面215と、大径部222と小径部220との間に形成された肩面228との当接により規定される。フランジ部218と肩面214とが前進範囲規定装置として機能し、また、肩面215,228が後退範囲規定装置として機能している。
【0037】
収納部材206は、その前部に、工具ホルダ12の相対回転防止部材110の外側に嵌合して工具ホルダ12を収納する収納部230を備えている。収納部230は、嵌合部216より高さ方向(図1および図2における上下方向)の寸法が大きくされた直方体状(あるいは、円筒の外周面に互いに90度の位相差を以て2対の二面取り部が形成された形状)を成し、その内部に段付きの円形断面(部分円形断面も含む)を有する収容穴232が形成されている。収容穴232は、嵌合部216および嵌合部216と一体的に設けられた工具受部217の内部も軸方向に貫通して形成され、スプリング受部202の内部空間と連通している。収容穴232は、収納部230の先端側(前端側)ほど直径が大きくされており、工具ホルダ12の他の部分より外径の大きい相対回転防止部材110を含む部分を収納可能な大径穴部236と、工具ホルダ12の工具保持部22のクランプナット60を含む部分を収納可能な小径穴部238とを備えている。大径穴部236と小径穴部238との間には、ストッパとして機能する肩面239が形成されている。大径穴部236は、先端(開口端)側ほど大径となる段付穴である。
【0038】
収納部230には、工具ホルダ12が収納部230内に収納されているか否かを検出する工具ホルダ検出装置として機能する近接センサが設けられている。本実施形態では、収納部230の軸方向に互いに隔たった2個所の周壁にそれぞれ、近接センサ240,242が固定されている。近接センサ240は、工具ホルダ12が収納部230に予め定められた軸方向位置まで挿入された状態で、工具ホルダ12のクランプナット60を検出し得る軸方向位置に配設されている。また、近接センサ242は、工具ホルダ12が予め定められた軸方向位置にあり、かつ、予め定められた位相にある状態で、工具ホルダ12の相対回転防止部材110に一体的に設けられた被検出部244(図4参照)を検出し得る軸方向位置および位相で配設されている。この工具ホルダ12の軸方向位置および位相については後に詳しく説明する。
【0039】
収納部材206の収納部230にはまた、回転抵抗付与装置250および離脱阻止装置252がそれぞれ設けられている。回転抵抗付与装置250は、収納部230の周壁の周方向に等角度間隔に隔たった複数個所(本実施形態の場合互いに直径方向に隔たった2個所)にそれぞれ設けられた係合部材260を備えている。係合部材260は、ねじ部材262の収容孔に収容されたボール264が、ばね部材(図示省略)によって収容孔の開口から突出する方向に付勢されたボールプランジャとすることができる。ねじ部材262が収納部230の周壁内に相対回転不能かつ相対移動不能に設けられている。上記ばね部材によって、ボール264の一部が収容穴232の大径穴部236の先端側の内周面から突出する向きに付勢されており、そのボール264の突出部が、工具ホルダ12の前記係合凹部150に係合する係合部として機能し、ボール264が係合凹部150に係合した状態で、工具ホルダ12の相対回転防止部材110に回転抵抗を付与する。
【0040】
離脱阻止装置252は、軸方向移動抑制装置の一種であり、収納部230の周壁の周方向に等角度間隔に隔たった複数個所(本実施形態の場合互いに直径方向に隔たった2個所)にそれぞれ設けられた係合ピン270を備えている。係合ピン270は、収納部230の前記係合部材260より軸方向において嵌合部216(小径穴部238)側に、係合部材260とは周方向に位相が異なる位相で配設されている。一対の係合ピン270は、その先端部が大径穴部236の内周面から半径方向内向きに突出する向きで収納部230の周壁内に相対回転不能かつ相対移動不能に設けられている。一対の係合ピン270の大径穴部236の内周面からの突出部は、収容穴232内に挿入された工具ホルダの相対回転防止部材110に形成された係合溝140が係合可能な直径および軸方向長さを有し、係合突起272として機能する。
【0041】
前記保持部材201には、前記収納部材206,圧縮コイルスプリング226,回転抵抗付与装置250および離脱阻止装置252等が複数組保持されており、工具収納装置を構成している。図17はその一例を示すものであり、複数組の収納部材206等が一直線に沿って並んだ状態で保持されている。図17に示す工具収納装置は、複数本の工具保持軸14(主軸)が一直線に沿って並ぶ多軸工作機械(加工工具装置の一種)に使用可能であり、また、工作機械が工具保持軸14(主軸)を1本のみ備えるものである場合に、工具保持軸14に複数種類の加工工具を保持する工具ホルダ12を順次着脱させる際にも使用できる。保持部材201は、2本のガイドロッド300に案内され、図示しない昇降装置により昇降させられることによって、収納部材206の各々を選択的に工具保持軸14と対向させる着脱位置と、それより上方の退避位置とに移動させられる。保持部材201が着脱位置にある状態で、工具保持軸14が収納部材206に対して相対的に進退させられることにより、工具ホルダ12の工具保持軸14に対する着脱が行われる。工具保持軸14に工具ホルダ12が取り付けられた後、保持部材201が退避位置へ移動させられることにより、工具保持軸14が保持部材201の位置を越えて加工領域へ前進することが許容される。
【0042】
以上のように構成された工具収納装置を使用した工具ホルダ12のスリーブ24への取付けおよび取外しについて図7ないし図16に基づいて説明する。
まず、工具ホルダ12の収納部材206への装着を説明する。この作業は作業者によって行われる。工具ホルダ12には、収納部材206への装着に先立って加工工具が保持されている。工具ホルダ12の収納部230の収容穴232への挿入時には、同じ状態を図10に示すように、相対回転防止部材110の一対の係合溝140の軸方向溝部142が上下方向に延びて収納部230に設けられた係合ピン270に係合可能な状態とされ、一対の係合凹部150は、係合部材260とは周方向の位相が異ならされている。このように、相対回転防止部材110の収納部230への挿入および収納部230からの離脱を許容する相対位相を、第1相対位相と称する。この第1相対位相で工具ホルダ12が、工具保持部22側から収容穴232の大径穴部236に嵌入させられる。この時、軸方向溝部142が係合ピン270に案内されて、工具ホルダ12が収納部230に対して軸方向に相対移動可能かつ相対回転は実質的に阻止された状態とされることにより、工具ホルダ12がこの第1相対位相を保って収容穴232内へ嵌入させられる。また、係合部材260は、ボール264が相対回転防止部材110の外周面によってばね部材の付勢力に抗して収容孔内に押し戻され、ボール164が相対回転防止部材110の外周面に弾性力によって接触させられた状態で挿入が進行する。クランプナット60(工具保持部22)が小径穴部238に嵌入され、工具ホルダ12のスプリング受部130の前端面が大径穴部236と小径穴部238との間に形成された肩面239に当接させられることにより、工具ホルダ12の軸方向の挿入限度が規定される。この時、近接センサ240がクランプナット60を検出することにより、工具ホルダ12が所定の軸方向位置まで挿入されたことが確認される。工具ホルダ12の軸方向位置が決められた状態では、係合突起272が軸方向溝部142の周方向溝部144につながる端部に位置する状態となり、工具ホルダ12が収納部230に対して一定角度の範囲内で相対回転可能な状態となる。
【0043】
そして、工具ホルダ12が回転させられることにより、周方向溝部144が係合突起272に対して移動し、図7に示すように、工具ホルダ12の位相が、収納部230に対して、周方向溝部144の軸方向溝部142側の端とは反対側の端の、軸方向溝部146に対応する部分が、係合突起272に対応する位置にある状態となる。この位相を第2相対位相と称する。この第2相対位相では、前述のように、相対回転防止部材110に設けられた被検出部244が近接センサ242により検出され、工具ホルダ12が第2相対位相にあることが確認される。
第2相対位相では、工具ホルダ12の収納部230に対する離脱方向(軸方向)の移動が阻止される。工具ホルダ12の収納部230に対する軸方向の移動が抑制された状態とは、係合突起272の軸方向溝部146(あるいは周方向溝部144の端部)との係合によって、工具ホルダ12の収納部230に対する離脱方向の移動が実質的に阻止された状態である。ただし、相対回転防止部材110のホルダ本体20および収納部230に対する圧縮コイルスプリング136の付勢力に抗した前進方向の一定距離の移動は許容されている。また、第2相対位相では、図7に示す係合部材260のボール264と係合凹部150との位相が一致させられ、ばね部材の付勢力によってボール264が係合凹部150に係合させられることにより、相対回転阻止部材110に回転抵抗が付与される。相対回転阻止部材110とホルダ本体20および係合部材80とは、回転阻止突起122の係合によって互いに相対回転不能とされているため、係合部材260の相対回転阻止部材110への係合によって、工具ホルダ12の収納部材206に対する回転が抑制される。収納工程は、以上のようにして収納部材206に工具ホルダ12を保持させる工程、あるいは保持させた状態を維持する工程である。工具ホルダ12の第2相対位相では、一対の内向き突起88が、図7において、二点鎖線で示すように上下方向に延びる直径の方向に隔たった状態(この状態を上下方向において互いに対向する状態と称する)となり、かつ、一対の回転阻止突起122が上記内向き突起88とは90度位相を異にする左右方向において互いに対向する状態となる。図1および図2には、上記第2相対位相で工具ホルダ12が収納部材206に保持されている状態が二点鎖線で示されている。
【0044】
上述のようにして収納部材206内に保持されている工具ホルダ12が自動で工具保持軸14に取付けられる。工具保持軸14が収納部材206に対して予め設定された設定相対位相で停止させられた状態で、軸方向に収納部材206に向かって前進させられ、嵌合穴26と工具ホルダ12の軸部28とが嵌合される。
この設定相対位相では、図7に示すように、工具保持軸14のスリーブ24の一対の嵌合切欠178が上下方向において互いに対向する状態にあり、工具ホルダ12の係合部材80に設けられた一対の内向き突起88の位相(周方向位置)が工具保持軸14の嵌合切欠178と一致しているため、工具保持軸14の嵌入は妨げられない。なお、内向き突起88と嵌合切欠178とは、図4に示すように、工具ホルダ12と工具保持軸14との相対位相が小角度ずれている状態でも工具保持軸14の挿入を妨げないように、嵌合切欠178の周方向寸法(幅)が内向き突起88の周方向寸法よりやや大きくされている。嵌合穴26と軸部28との嵌合により、工具保持軸14と工具ホルダ12との心合わせが行われる。
【0045】
工具ホルダ12の工具保持軸14への挿入が進行すれば、図8に示すように、工具保持軸14の端面175が回転阻止突起122の端面に当接する。そして、工具保持軸14が収納部材206内へさらに挿入されることにより、相対回転防止部材110が、圧縮コイルスプリング136の付勢力に抗してホルダ本体20および係合部材80に対して肩面239側に前進させられる。この時、スプリング受部130によって収納部材206がスプリング受部202の底面に向かって軸方向に押されるが、圧縮コイルスプリング226の予荷重が圧縮コイルスプリング136の付勢力より大きく設定されているため、収納部材206が実際に移動することはない。また、相対回転防止部材110のテーパ内周面126が、内径のより大きい部分で、係合部材80に保持された鋼球94に対向する状態となり、係合部材80がホルダ本体20に対して相対的に後退することが許容される。スリーブ24の端面175がホルダ本体20のフランジ部70の端面76に当接させられれば、係合部材80の内向き突起88が外向きフランジ172の係合面174をこえて嵌合溝170内に位置させられる。内向き突起88と係合面174との上記軸方向位置が設定相対位置である。上記のようにスリーブ24の端面175がフランジ部70の端面76に当接した後は、スリーブ24の前進に伴ってホルダ本体20が相対回転防止部材110と共に前進することとなるが、この前進は、収納部材206が、工具収納装置本体200との間に設けられた圧縮コイルスプリング226を圧縮しつつ後退することによって許容される。以上の工程が取付け前進工程である。
【0046】
工具保持軸14と工具ホルダ12とが前記設定相対位置にあり、かつ、回転抵抗付与装置250によって工具ホルダ12と収納部材206との相対回転が抑制された状態で、図9(a)に示すように、工具保持軸14が時計方向である正方向に回転させられる。図示の例の場合、収納部材206および工具ホルダ12に対して、工具保持軸14が90度(例えば、0度の停止位相から90度の停止位相)回転させられる。それにより、図9(b)に示すように、まず内向き突起88と係合面174とが軸方向には離脱不能な状態に係合させられる。内向き突起88と係合面174との係合は、両者の少なくとも一方に形成された案内面により案内される。その後さらに工具保持軸14が回転させられ、回転阻止突起122と嵌合切欠178との位相が合致したとき、圧縮コイルスプリング136の付勢力により相対回転防止部材110がスリーブ24側へ移動させられ、回転阻止突起122が嵌合切欠178に嵌入させられることによって、工具ホルダ12と工具保持軸14との相対回転が防止された状態となる。これが保持軸係合回転工程である。
【0047】
相対回転防止部材110が圧縮コイルスプリング136の付勢力により移動させられるとき、テーパ内周面126が鋼球94に係合してそれを内周側へ押すため、鋼球94がテーパ面74に沿って、テーパ面74とは反対側の端面76から離れる向きに移動する。それにより係合部材80が内向き突起88が端面76に接近する向きに移動させられて、外向きフランジ172の係合面174に係合し、端面175を端面76に押し付ける。圧縮コイルスプリング136が相対回転防止部材110を付勢する付勢力が鋼球94,テーパ内周面126およびテーパ面74により倍力されて係合部材80に加えられる。そのため、端面175と端面76とは強固に押し付けられ、工具ホルダ12のスリーブ24からの離間が確実に防止される。相対回転防止部材110は、圧縮コイルスプリング136の付勢力により相対回転防止位置に保たれて、工具ホルダ12と工具保持軸14とが取付状態に保たれる。また、スリーブ24の回転は、回転阻止突起122と嵌合切欠178およびフランジ部70の係合切欠78との係合により、工具ホルダ12に伝達される。回転阻止突起122が工具保持軸14と工具ホルダ12とに跨って係合することにより、回転トルクの伝達を行うのである。
【0048】
このようにして工具保持軸14に工具ホルダ12が保持されれば、図10に示すように、工具ホルダ12と収納部材206との相対位相を、前記第1相対位相から前記第2相対位相に変化させるべく、回転駆動装置の駆動により、工具保持軸14が工具ホルダ12と共に回転させられる。本実施形態では収納部材206に対して90度(例えば、90度の停止位相から0度の停止位相へ)回転させられる。また、相対回転防止部材110の係合凹部150の側面によって係合部材260のボール264が前記ばね部材の付勢力に抗して押し戻され、ボール264が相対回転防止部材110の外周面に押し付けられた状態で工具ホルダ12が回転させられる。そして、工具保持軸14および工具ホルダ12の回転が停止させられた状態では、係合部材260のボール264が相対回転防止部材110の外周面に接触させられるとともに、係合ピン270が軸方向溝部142内に位置しており、工具保持軸14および工具ホルダ12の収納部材206に対する軸方向移動が許容された状態となる。以上がホルダ係合解除回転工程である。
【0049】
工具保持軸14に保持された工具ホルダ12が上記第2相対位相にある状態で、図11に示すように、工具保持軸14および工具ホルダ12を収納部材206から軸方向に離間させることにより、工具保持軸14に保持された工具ホルダ12が収納部材206から離脱させられる。この工程が取付け後退工程である。
【0050】
以上のようにして工具保持軸14に取り付けられた工具ホルダ12が、被加工物の加工に使用されるが、被加工物の種類が変わり、あるいは加工個所が変わって別の工具ホルダが必要になれば、工具ホルダの交換が行われる。そのためには、まず、工具ホルダ12を工具保持軸14から取り外す必要があり、この取外しも工具収納装置を使用して自動で行われる。図12に示すように、工具ホルダ12を保持した工具保持軸14が、工具ホルダ12が前記第2相対位相にある状態で軸方向に収納部材206に接近させ、工具ホルダ12を収納部材206に保持させる。これが取外し前進工程であり、この時、工具ホルダ12は収納部材206に対して第2相対位相にあるため、工具ホルダ12の収容穴232への挿入が、係合突起272により妨げられることなく許容される。
【0051】
次に、工具ホルダ12を収納部材206に係合させるホルダ係合回転工程を実施すべく、回転駆動装置の駆動により工具保持軸14と工具ホルダ12とが共に回転させられ、工具ホルダ12が収納部材206に対して上記第2相対位相から第1相対位相に変えられる。本実施形態では、工具保持軸14が90度(例えば、0度の停止位相から90度の停止位相へ)回転させられる。したがって、図13に示すように、工具ホルダ12が第1相対位相となって、係合部材260の係合凹部150への係合と、係合突起272の軸方向溝部146(あるいは周方向溝部144の端部)への係合とによって、工具ホルダ12の収納部材206に対する回転が阻止されるとともに、工具ホルダ12の収納部230に対する離脱方向の軸方向移動は阻止されるが、相対回転防止部材110のホルダ本体20および収納部230に対する圧縮コイルスプリング136の付勢力に抗した前進方向の一定距離の移動は許容された状態となる。この状態では、一対の回転阻止突起122および嵌合切欠178が図13における左右方向において互いに対向する状態となる。
【0052】
そして、相対回転防止解除工程において、図14に示すように、工具保持軸14が収納部材206から軸方向に設定距離離間(後退)させられる。この時、相対回転防止部材110は、係合部材260の係合によって回転抵抗が付与されるとともに軸方向の移動が抑制された状態にある一方、工具保持軸14は、係合部材80の内向き突起88が外向きフランジ172の係合面174に係合させられた状態にあるため、工具保持軸14と共にホルダ本体20および係合部材80が相対回転防止部材110に対して後退方向に相対移動させられる。その結果、一対の回転阻止突起122が嵌合切欠178から離脱させられ、相対回転防止部材110に対する工具保持軸14の相対回転防止状態が解除されて、相対回転可能状態となる。上記相対回転防止部材110に対するホルダ本体20の後退により、テーパ内周面126の鋼球94への押込み作用が解除され、係合部材80によるスリーブ24の引付けが解除される。上述のように工具保持軸14が相対回転防止部材110に対して相対的に後退させられることは、相対回転防止部材110が工具保持軸14に対して相対回転許容位置に移動させられることなのである。
【0053】
上記のように相対回転防止部材110が相対回転許容位置に保たれた状態(相対回転可能状態)で、図15に示すように、工具保持軸14が収納部材206に対して時計方向に90度(例えば、90度の停止位相から180度の停止位相へ)回転させられる。それにより、工具保持軸14の収納部材206に対する相対位相が、前記設定相対位相と実質的に等しい相対位相となる。つまり、スリーブ24の一対の嵌合切欠178が図15において上下方向において互いに対向し、同じく上下方向において互いに対向する一対の内向き突起88から軸方向に離脱可能な離脱可能位相となり、工具ホルダ12が工具保持軸14から取外し可能な状態となる。また、回転阻止突起122は、スリーブ24の端面175と対向させられる。本工程が保持軸係合解除回転工程である。上述のように内向き突起88と嵌合切欠178との位相が一致すれば、工具ホルダ12は圧縮コイルスプリング136の付勢力により、スリーブ24から離脱させられる。
【0054】
上記保持軸係合解除回転工程の後、図16に示すように、工具保持軸14が収納部材206から軸方向に離間させられる。このとき、工具ホルダ12は、係合ピン270の相対回転防止部材110の軸方向溝部146への係合によって収納部材206からの離脱が防止されており、工具ホルダ12を確実に収納部材206に残して工具保持軸14を後退させることができる。工具保持軸14から取り外された工具ホルダ12の収納部材206による保持位相は、本実施形態では、前記収納工程時の工具ホルダ12の保持位相から180度回転させられることにより、実際には、前記収納工程時の保持位相とは180度異なっているのであるが、工具ホルダ12が180度毎に同じ構成が繰り返される軸対称構造とされているため、実質的には保持位相が異ならないのと同じことになる。したがって、後に再び工具ホルダ12を工具保持軸14に取り付けることが必要になった場合に、前記取り付け前進工程ないし前記取付け後退工程(再取付け工程)を実行すれば、工具ホルダ12を工具保持軸14に再び保持させることができる。
【0055】
なお、保持軸係合解除回転工程において、工具保持軸14が工具ホルダ12に対する90度の停止位相から0度の停止位相まで反時計方向に回転させられるように、回転駆動装置を制御することも可能であり、そのようにすれば、収納工程時の工具ホルダ12の収納部材206による保持位相が、工具保持軸14から取り外された工具ホルダ12の収納部材206によって保持された際の保持位相と同じとなる。工具ホルダ12の工具保持軸への自動着脱を繰り返しても、収納部材206による工具ホルダ12の保持位相が実際に変わらないこととなるのである。
【0056】
本実施形態によれば、工具収納装置を使用して、工具保持軸14への工具ホルダ12の着脱を自動でかつ繰り返して行うことができる。また、工具ホルダ12の工具保持軸14に対する取付けおよび取外しのために、工具保持軸14はそれぞれ90度の回転運動を2回(0度から90度の停止位相への回転と90度から0度の停止位相への回転、あるいは、0度から90度の停止位相への回転と90度から180度の停止位相への回転)行えばよく、工具ホルダの着脱に必要な工具保持軸14の回転角度が小さくて済む。また、工具保持軸14の回転運動が全て90度であるため、回転駆動装置の制御が単純で済む。さらに、上述のように、工具保持軸14への工具ホルダ12の着脱を自動でかつ繰り返して行うことができることにより、工具保持軸14を1軸のみ備える工作機械によって、直径の異なる等複数種類の加工工具を保持する工具ホルダ12を順次工具保持軸14に着脱し、それぞれによって種々の加工を実施できる。あるいは、本実施形態を複数本の工具保持軸14を備える多軸工作機械に適用する場合、稼働率を低下させることなく、全軸同時に工具ホルダ12の交換を行うことが可能となる。
【0057】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、工具保持軸14のスリーブ24の嵌合切欠178が回転阻止用係合凹部として機能する。また、工具保持軸14の嵌合穴26が第1嵌合部を、外向きフランジ172が第1係合部をそれぞれ構成し、また、工具ホルダ12の軸部28が第2嵌合部を、内向き突起88が第2係合部をそれぞれ構成している。さらに、軸部28を有するホルダ本体20と、内向き突起88を有する係合部材80と、工具保持部22とがホルダ本体部を構成し、そのホルダ本体部が、回転阻止突起122を備えた相対回転防止部材110および弾性部材たる圧縮コイルスプリング136と共に工具ホルダ12を構成している。そして、その工具ホルダ12が工具保持軸14と共同して加工工具装置を構成している。圧縮コイルスプリング136が第1付勢装置を構成し、圧縮コイルスプリング226が第2付勢装置を構成している。離脱阻止装置252が軸方向移動抑制装置を構成し、また、収納部材206ないしは収納部230が収納具を構成している。
【0058】
上記実施形態においては、工具ホルダ12と収納部材206とを第1相対位相から第2相対位相に変化させるホルダ係合解除工程と、第2相対位相から第1相対位相に変化させるホルダ係合回転工程とにおける工具保持軸14の回転角度が90度とされていたが、90度以外の角度、例えば60度とすることも可能である。その場合、係合溝140の周方向溝部144が周方向に60度分延びるものとされ、第1相対位相から第2相対位相に回転させられた状態で、係合部材260のボール264が相対回転防止部材110の係合凹部150に係合させられるように、係合部材260および係合凹部150等の位置が設定される。工具保持軸14(厳密にはそれを回転駆動する回転駆動装置)の回転角度の制御は、前記近接センサ242のように工具ホルダ12の第1相対位相と第2相対位相との少なくとも一方を検出し得る検出装置によって検出することで制御してもよいし、回転駆動装置の駆動モータをサーボモータとして、回転角度を制御することも可能である。
【0059】
上記実施形態においては、相対回転防止部材110の回転阻止突起122や係合部材80の内向き突起88が等角度間隔(180度間隔)で2つずつ設けられ、かつ、工具保持軸14の嵌合切欠178が回転阻止突起122等と同じ180度間隔で同数(2つ)設けられていたが、回転阻止突起等を2つより多く設けてもよい。例えば、回転阻止突起等を120度間隔で3つ設けてもよいのである。
その場合、回転阻止突起の嵌合させられる嵌合切欠も、120度間隔で3つ設けられることが望ましい。本形態の場合、工具保持軸を回転させる回転駆動装置は、回転阻止突起および嵌合切欠の角度間隔と同じ角度ずつ回転した複数の位相と、その中間の位相とで停止させられる。例えば、1回の回転角度が60度とされ、0度と60度、60度と120度、120度と180度等のいずれかの組み合わせの停止位相で停止させられれば、工具ホルダの工具保持軸からの着脱を自動で繰り返し行うことができる。
【0060】
回転抵抗付与装置および軸方向移動抑制装置はそれぞれ、前記回転抵抗付与装置250および離脱阻止装置252以外にも、種々の構成を採用可能である。回転抵抗付与装置および軸方向移動抑制装置のその他の実施形態を図18に基づいて説明する。なお、収納部材206,工具ホルダ12および工具保持軸14は、前記実施形態と同様の構成とすることができ、同様に構成される部分には同じ符号を付して説明を省略する。図18に概略的に示すように、本実施形態における工具収納装置は、回転抵抗付与装置390および軸方向移動抑制装置392を備えている。
【0061】
回転抵抗付与装置390は、前記係合部材260と同様に構成される係合部材400を1つ以上備えるものである。係合部材400は、ボール402と、ボール402を収容穴232の内周面から半径方向内向きに突出する向きに付勢する付勢装置の一種であるばね部材404とを含む。係合部材400のボール402が、工具ホルダ12の相対回転防止部材110の外周面に設けられた横断面形状が弓形を成す係合凹部410に係合させられることにより、工具収納装置に保持された工具ホルダ12に回転抵抗を付与する。係合凹部410は、相対回転防止部材110の軸部28側の後端面に開口し、その後端面から軸方向に平行に延びており、等角度間隔で2つ以上設けられることが望ましい。係合凹部410は等角度間隔で複数設けられ、係合部材400は係合凹部410の角度間隔の整数倍の角度間隔で1個以上設けられることが望ましいのである。上記整数が1の場合には、係合部材400と係合凹部410とが同数設けられることとなる。
【0062】
軸方向移動抑制装置392は、係合部材420を1つ以上備える。係合部材420も、係合部材260と同様に構成され、ボール422と、ボール422を収容穴232の内周面から半径方向内向きに突出する向きに付勢する付勢装置の一種であるばね部材424とを含む。ボール422が、相対回転防止部材110の外周面に設けられた周方向に延びる円環状溝430に係合させられれば、相対回転防止部材110の収納部材206に対する回転が許容されつつ、軸方向の移動が円環状溝430の両側面との係合によって抑制される。
【0063】
なお、係合部材400と係合部材420とが同数設けられる場合には、軸方向移動抑制装置392のばね部材424の付勢力が、回転抵抗付与装置390のばね部材404の付勢力より大きくされるか、あるいは、係合部材420のボール422の円環状溝430への係合深さが、係合部材400のボール402の係合凹部410への係合深さよりも大きくされる等により、軸方向移動抑制装置392による相対回転防止部材110の軸方向移動抑制力が、回転抵抗付与力よりも大きくされ、工具ホルダ12の収納部材206からの離脱が容易に許容されないようにされることが望ましい場合が多い。相対回転防止部材110のホルダ本体20に対する相対回転は、両者の摩擦抵抗に打ち勝てば可能であるのに対し、相対回転防止部材110のホルダ本体20に対する軸方向の移動を生じさせるには、両者間の摩擦抵抗と圧縮コイルスプリング136の付勢力との和に打ち勝つ必要があり、後者の方が大きい力を要する場合が多いからである。
【0064】
本実施形態においては、上記保持位相において工具ホルダ12に回転抵抗が付与されるとともに、軸方向の移動が抑制された状態で、工具ホルダ12の工具保持軸14からの取り外しが行われる。つまり、本実施形態においては、前記実施形態において説明した収納工程,取付け前進工程,保持軸係合回転工程,取付け後退工程と、取外し前進工程,相対回転防止解除工程,保持軸係合解除回転工程,取外し後退工程とを同様に実行することにより、工具ホルダ12の工具保持軸14に対する着脱を行うことができる。前記実施形態のように、前記ホルダ係合解除工程およびホルダ係合回転工程において工具保持軸14を回転させる必要がないのであり、その分、工具ホルダ12の着脱のために必要な工具保持軸14の回転運動が少なくて済む。しかも、工具ホルダ12を工具保持軸14に取り付ける前の収納部材206による工具ホルダ12の保持位相と、工具ホルダ12を一旦工具保持軸14に取り付けた後、収納部材206に再び収納した場合の収納部材206による工具ホルダ12の保持位相とは、共に係合部材400のボール402が係合凹部410に係合する位相であり、実質的に同じである。工具ホルダ12の着脱を自動でかつ繰り返して行い得る工具収納装置の構成が単純で済むのである。
【0065】
工具ホルダの相対回転防止部材に、回転抵抗付与装置や軸方向移動抑制装置の係合部材のボールが係合し得る係合凹部を設けることは不可欠ではない。ボールと係合凹部との係合によって、回転抵抗付与の効果が特に良好に得られるのであるが、ボールが相対回転防止部材110の外周面にばね部材の付勢力によって係合させられる状態であっても、回転抵抗付与や軸方向移動抑制の効果はある程度は得られるからである。また、回転抵抗付与装置と軸方向移動抑制装置との少なくとも一方を、相対回転防止部材の摩擦面(内周面でも外周面でもよく、回転抵抗付与装置においては端面でもよい)に、その摩擦面に直角な方向に移動可能に保持された摩擦材を弾性的に押し付けて、摩擦抵抗を付与するものとすることもできる。
【0066】
以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である工具収納装置を備えた工具ホルダの自動着脱システムを、工具ホルダと共に示す正面断面図である。
【図2】上記工具収納装置の左側面図である。
【図3】前記工具ホルダの正面図(一部断面)である。
【図4】上記工具ホルダの左側面図である。
【図5】上記工具ホルダの相対回転防止部材を示す正面図である。
【図6】上記工具ホルダの回転阻止突起を示す正面図である。
【図7】前記自動着脱システムにおける工具ホルダの工具保持軸に対する取付け動作の一作動図である。
【図8】上記自動着脱システムにおける工具ホルダの工具保持軸に対する取付け動作の別の作動図である。
【図9】上記自動着脱システムにおける工具ホルダの工具保持軸に対する取付け動作のさらに別の作動図である。
【図10】上記自動着脱システムにおける工具ホルダの工具保持軸に対する取付け動作のさらに別の作動図である。
【図11】上記自動着脱システムにおける工具ホルダの工具保持軸に対する取付け動作のさらに別の作動図である。
【図12】上記自動着脱システムにおける工具ホルダの工具保持軸に対する取外し動作の一作動図である。
【図13】上記自動着脱システムにおける工具ホルダの工具保持軸に対する取外し動作の別の作動図である。
【図14】上記自動着脱システムにおける工具ホルダの工具保持軸に対する取外し動作のさらに別の作動図である。
【図15】上記自動着脱システムにおける工具ホルダの工具保持軸に対する取外し動作のさらに別の作動図である。
【図16】上記自動着脱システムにおける工具ホルダの工具保持軸に対する取外し動作のさらに別の作動図である。
【図17】上記自動着脱システムにおいて、複数組の収納部材,回転抵抗付与装置および軸方向移動抑制装置が保持部材に保持された状態を示す概略図である。
【図18】本発明の別の実施形態である自動着脱システムの回転抵抗付与装置および軸方向移動抑制装置と工具ホルダとを概略的に示す正面図である。
【符号の説明】
12:工具ホルダ 14:工具保持軸 26:嵌合穴 28:軸部 88:内向き突起 110:相対回転防止部材 122:回転阻止突起 136:圧縮コイルスプリング 140:係合溝 142:軸方向溝部 144:周方向溝部 174:係合面 178:嵌合切欠 200:工具収納装置本体 206:収納部材 226:圧縮コイルスプリング 230:収納部 250:回転抵抗付与装置 252:離脱阻止装置 260:係合部材 272:係合突起 390:回転抵抗付与装置 392:軸方向移動抑制装置
Claims (4)
- 第1嵌合部および第1係合部を備えて回転可能であるとともに予め定められた位相で停止可能な工具保持軸に、加工工具を保持する工具保持部,第2嵌合部,第2係合部および相対回転防止部材を備えた工具ホルダを自動でかつ繰り返して着脱する方法であって、
前記工具ホルダを、回転抵抗付与装置および軸方向移動抑制装置を備えた工具収納具に、その工具収納具に対する前記相対回転防止部材の相対回転が可能であり、かつ、その相対回転に対する回転抵抗が前記回転抵抗付与装置により付与されるとともに、前記軸方向移動抑制装置により軸方向移動が抑制された状態で保持させる収納工程と、
前記工具保持軸と前記工具収納具とを予め設定された設定相対位相で工具保持軸の軸方向において接近させて、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを嵌合して工具保持軸と工具ホルダとの心合わせを行うとともに、前記第1係合部と前記第2係合部とを前記軸方向における設定相対位置に位置させる取付け前進工程と、
それら第1、第2係合部が前記設定相対位置にあり、かつ、前記回転抵抗付与装置により前記相対回転防止部材と前記工具収納具との相対回転が抑制された状態で、前記工具保持軸を回転させることにより、前記第1係合部と前記第2係合部とを前記軸方向には離脱不能な状態に係合させるとともに、前記相対回転防止部材を前記工具ホルダと前記工具保持軸との相対回転を防止する状態とする保持軸係合回転工程と、
前記工具保持軸と前記工具収納具とを前記軸方向に離間させて、前記工具ホルダを前記工具収納具から離脱させる取付け後退工程と、
前記工具収納具と前記工具ホルダを保持した前記工具保持軸とを前記軸方向に接近させて、工具ホルダを工具収納具に保持させる取外し前進工程と、
前記相対回転防止部材の軸方向移動が軸方向移動抑制装置により抑制されるとともに前記回転抵抗付与装置により回転抵抗が付与された状態で、前記工具収納具と前記工具保持軸とを前記軸方向に設定距離離間させて、前記相対回転防止部材による相対回転防止状態を解除して相対回転可能状態とする相対回転防止解除工程と、
その相対回転可能状態において、前記工具保持軸を前記工具収納具に対して、前記第1係合部と前記第2係合部とが前記軸方向に離脱可能な相対位相となる位相へ回転させる保持軸係合解除回転工程と、
前記工具保持軸と前記工具収納具とを前記軸方向に離間させて、前記軸方向移動抑制装置により軸方向移動が抑制された工具ホルダの第2嵌合部を前記工具保持軸の第1嵌合部から離脱させる取外し後退工程と、
その工具保持軸から離脱させられて前記工具収納具に収納されている工具ホルダに対して前記取付け前進工程ないし取付け後退工程を実行することにより、その工具ホルダを再び前記工具保持軸に保持させる再取付け工程と
を含むことを特徴とする工具ホルダの自動着脱方法。 - 前記軸方向移動抑制装置として、第1相対位相では前記工具ホルダの前記工具収納具からの離脱を許容し、その第1相対位相とは異なる第2相対位相では許容しない離脱阻止装置を使用し、前記保持軸係合回転工程と前記取付け後退工程との間に、前記工具ホルダと前記工具収納具とを前記第2相対位相から前記第1相対位相に変化させるべく前記工具保持軸を前記工具ホルダと共に回転させるホルダ係合解除回転工程を含み、かつ、前記取外し前進工程と前記相対回転防止解除工程との間に、前記工具ホルダと前記工具収納具とを前記第1相対位相から前記第2相対位相に変化させるべく前記工具保持軸と前記工具ホルダとを共に回転させるホルダ係合回転工程を含む請求項1に記載の工具ホルダの自動着脱方法。
- (A)工具保持軸と工具ホルダとを含み、
前記工具保持軸が、第1嵌合部および第1係合部を有して回転可能であるとともに予め定められた位相で停止可能であり、
前記工具ホルダが、(i)加工工具を保持する工具保持部,第2嵌合部および第2係合部を有するホルダ本体部と、(ii)そのホルダ本体部に軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合され、ホルダ本体部と前記工具保持軸とに跨って係合してそれらホルダ本体部と工具保持軸との相対回転を防止する相対回転防止位置と、その相対回転を許容する相対回転許容位置とに移動可能な相対回転防止部材と、(iii)その相対回転防止部材を前記相対回転防止位置へ付勢する第1付勢装置とを備え、かつ、前記工具保持軸と前記工具ホルダとが、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが互いに嵌合して前記工具保持軸と前記工具ホルダとの心合わせを行い、かつ、前記第1係合部と前記第2係合部とが離脱不能位相にあって軸方向に離脱不能に係合するとともに、前記相対回転防止部材が前記第1付勢装置の付勢力により前記相対回転防止位置に保たれている取付状態と、
前記相対回転防止部材が前記第1付勢装置の付勢力に抗して前記相対回転許容位置に保たれるとともに、前記第1係合部と前記第2係合部とが軸方向に離脱可能な離脱可能位相にあって前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との軸方向の離脱が許容された取外し可能状態と
を取り得る加工工具装置と、
(B)工具収納装置本体と、
その工具収納装置本体に軸方向に移動可能に保持され、自身の前部に、前記工具ホルダの前記相対回転防止部材の外側に嵌合して工具ホルダを収納する収納部を備えた収納部材と、
その収納部材を前記収納装置本体に対して前進方向に付勢する第2付勢装置と、
前記収納部に設けられ、その収納部に嵌合された前記相対回転防止部材に回転抵抗を付与する回転抵抗付与装置と、
前記収納部に設けられ、少なくとも前記相対回転防止部材と前記収納部とが1つ以上の設定相対位相にある状態で、相対回転防止部材の収納部からの離脱方向の軸方向移動を抑制する軸方向移動抑制装置と
を含む工具収納装置と
を含むことを特徴とする工具ホルダの自動着脱システム。 - 工具保持軸と工具ホルダとを含み、
前記工具保持軸が、第1嵌合部および第1係合部を有して回転可能であるとともに予め定められた位相で停止可能であり、
前記工具ホルダが、(i)加工工具を保持する工具保持部,第2嵌合部および第2係合部を有するホルダ本体部と、(ii)そのホルダ本体部に軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合され、ホルダ本体部と前記工具保持軸とに跨って係合してそれらホルダ本体部と工具保持軸との相対回転を防止する相対回転防止位置と、その相対回転を許容する相対回転許容位置とに移動可能な相対回転防止部材と、(iii)その相対回転防止部材を前記相対回転防止位置へ付勢する第1付勢装置とを備え、かつ、前記工具保持軸と前記工具ホルダとが、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが互いに嵌合して前記工具保持軸と前記工具ホルダとの心合わせを行い、かつ、前記第1係合部と前記第2係合部とが離脱不能位相にあって軸方向に離脱不能に係合するとともに、前記相対回転防止部材が前記第1付勢装置の付勢力により前記相対回転防止位置に保たれている取付状態と、
前記相対回転防止部材が前記第1付勢装置の付勢力に抗して前記相対回転許容位置に保たれるとともに、前記第1係合部と前記第2係合部とが軸方向に離脱可能な離脱可能位相にあって前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との軸方向の離脱が許容された取外し可能状態と
を取り得る加工工具装置の、前記工具ホルダを、自動でかつ繰り返して前記工具保持軸に着脱可能に収納する工具収納装置であって、
その工具収納装置の本体と、
その工具収納装置本体に軸方向に移動可能に保持され、自身の前部に、前記工具ホルダの前記相対回転防止部材の外側に嵌合して工具ホルダを収納する収納部を備えた収納部材と、
その収納部材を前記収納装置本体に対して前進方向に付勢する第2付勢装置と、
前記収納部に設けられ、その収納部に嵌合された前記相対回転防止部材に回転抵抗を付与する回転抵抗付与装置と、
少なくとも前記相対回転防止部材と前記収納部とが1つ以上の設定相対位相にある状態で、相対回転防止部材の収納部からの離脱方向の軸方向移動を抑制する軸方向移動抑制装置と
を含むことを特徴とする工具収納装置。
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JP2003181375A JP4564727B2 (ja) | 2003-06-25 | 2003-06-25 | 工具ホルダの自動着脱方法,工具ホルダの自動着脱システムおよび工具収納装置 |
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-
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