JP3691957B2 - クランプ装置,固定装置およびバルブシート加工工具装置 - Google Patents

クランプ装置,固定装置およびバルブシート加工工具装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工工具等のクランプ対象物を主軸等の保持部材に保持させるために迅速にクランプし得るクランプ装置、およびそのクランプ装置を備えたバルブシート加工工具装置、ならびに2つの部材が互いに固定される固定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のクランプ装置は、例えば、加工工具を工作機械の工具保持部に迅速に着脱するために使用されている。そのクランプ装置の一種に、互いに偏心した第1軸部と第2軸部とを備えた偏心軸部材を利用するものがある。嵌合孔と第1クランプ面とを備えた第1部材と、その第1部材の嵌合孔にその嵌合孔の中心線に平行な方向に相対移動可能に嵌合する嵌合突部と、その嵌合突部が嵌合孔に嵌合された状態で第1クランプ面と互いに逆向きとなる第2クランプ面とを備えた第2部材とに跨がって偏心軸部材を設けるのであり、具体的には、第1部材に形成した主嵌合孔に、第2部材の嵌合突部を軸方向に相対移動可能に嵌合するとともに、第1部材に主嵌合孔と直交する状態で形成した副嵌合孔に偏心軸部材の第1軸部を回転可能に嵌合する一方、嵌合突部にその嵌合突部の軸線と直交する状態で設けた係合面に第2軸部の外周面を係合させるのである。
【0003】
偏心軸部材を回転させれば第2軸部が第1軸部の軸線を中心として旋回し、その第2軸部の外周面が係合面に係合して嵌合突部を主嵌合孔内に引き込み、第1部材の第1クランプ面と第2部材のクランプ面との間にクランプ対象物たる加工工具をクランプするのである。
【0004】
この種のクランプ装置は、偏心軸部材を小角度回転操作するのみで第1,第2の両部材の間にクランプ対象物をクランプし、あるいはアンクランプすることができ、例えば、工具ホルダをアダプタに対して迅速に着脱することができる。
しかし、この種のクランプ装置には、偏心軸部材等の摩耗によってクランプ不能になり易く、耐久性に欠ける欠点がある。上記のように偏心軸部材の回転操作につれて、第2軸部が係合面に係合してそれを押すことにより、クランプ力が発生させられ、その状態で、第2軸部の外周面と係合面との間および第1軸部の外周面と副嵌合孔の内周面との間の摩擦力により偏心軸部材がその回転位置に維持されることによって、クランプ力が維持されるのであるため、偏心軸部材が第2軸部のデッドポイントの直前、すなわち、第2軸部の軸線が、第1軸部の軸線から係合面への垂線上に位置する直前の状態で作動させられることが望ましいのであるが、上記各摺動面、特に第2軸部の外周面と係合面との摩耗により第2軸部がデッドポイントを通過してしまうようになり易く、耐久性に欠けるのである。
【0005】
また、従来から、エンジンのバルブシートを加工するために特殊なバルブ加工工具装置が使用されていたが、この工具装置は、軸線まわりに回転する主軸の先端面に複数のボルトにより固定されており、着脱に長時間を要するという問題があった。バルブシートは、バルブが着座するテーパシート面とバルブステムが嵌合されるステム孔との同心度、ならびに上記テーパシート面の角度や面あらさ等に対する要求が厳しく、刃具を傾斜方向に移動させて行うテーパシート面の切削加工とリーマによるステム孔の仕上加工とを同一工程で行う必要があるため、バルブ加工工具装置はホルダ本体に対して相対移動する部材が複数あり、構造が複雑である。そのため、従来は一般に、バルブ加工工具装置のホルダ本体が複数本のボルトによって主軸の先端部に固定されており、着脱に長時間を要していたのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用および効果】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その課題は、偏心軸部材を含むクランプ装置の耐久性を向上させることである。
この課題は下記態様のクランプ装置によって解決される。なお、以下の説明において、本発明の各態様を、それぞれに項番号を付して請求項と同じ形式で記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用することの可能性を明示するためである。
(1)嵌合孔と第1クランプ面とを備えた第1部材と、
その第1部材の嵌合孔にその嵌合孔の中心線に平行な方向に相対移動可能に嵌合する嵌合突部と、その嵌合突部が前記嵌合孔に嵌合された状態で前記第1クランプ面と互いに逆向きとなる第2クランプ面とを備えた第2部材と、
前記第1部材に前記嵌合孔と直交する状態で形成された断面形状が円形の収容孔と、
その収容孔の内周面に外周面において相対回転可能に嵌合し、その外周面に対して偏心した内周面を有する偏心リングと、
その偏心リングの内周面に相対回転可能に嵌合する第1軸部とその第1軸部に対して偏心した第2軸部とを備えた偏心軸部材と、
前記第2部材の前記嵌合突部にその嵌合突部の軸線と直交する状態で設けられ、前記第2軸部の外周面と係合する係合面と、
前記偏心リングの前記収容孔内における回転を許容する状態と防止する状態とをとり得る回転防止装置と
を含み、前記偏心軸部材の回転に伴う前記第2軸部と前記係合面との係合により生じさせられる前記第1部材と前記第2部材との前記嵌合孔の中心線に平行な方向の相対移動によって、前記第1クランプ面と前記第2クランプ面との間にクランプ対象物をクランプすることを特徴とするクランプ装置(請求項1)。
この構成のクランプ装置においては、収容孔内で偏心リングを回転させることによって、その偏心リングの内周面に嵌合された第1軸部の軸線の、嵌合孔の中心線に平行な方向の位置を変更することができる。すなわち、第2軸部の係合面に対する相対位置を変更することができるのであり、クランプ,アンクランプの繰返しによって各摺動面、特に第2軸部の外周面と係合面とが摩耗し、第2軸部がデッドポイントを通過してしまいそうになった場合には、回転防止装置による偏心リングの回転防止を解除し、偏心リングを、第1軸部を係合面に接近させる向きに回転させれば、第2軸部の外周面や係合面の摩耗量に相当する距離だけ第2軸部を係合面に接近させ、クランプ機能を回復させることができる。その後、回転防止装置を再び作用状態にすれば、偏心リングの自由な回転が防止され、クランプ機能が正常に維持される。このように、本クランプ装置は、構成が簡単で安価に製造し得るとともに、簡単な操作によってクランプ機能を回復させ、寿命を延長することができる。
(2)前記第1部材が前記嵌合孔の中心線に直角な前記第1クランプ面を備えた本体部材であり、前記第2部材が、特定位相では前記クランプ対象物と軸方向に嵌合,離脱可能であり、その特定位相から一定角度相対回転した係合位相では前記クランプ対象物と軸方向に離脱不能に係合するクランプ用係合部を備えたクランプ部材であり、そのクランプ用係合部の前記第1クランプ面とは反対向きの面が前記第2クランプ面をなす(1)項に記載のクランプ装置(請求項2)。
本クランプ装置においては、偏心軸部材,偏心リング,係合面等により、クランプ部材が本体部材に対して軸方向に移動させられるが、このクランプ部材はクランプ用係合部を備えているため、この部分にクランプ対象物を係合させておけば、クランプ部材を介してクランプ対象物が本体部材に引きつけられ、クランプされる。クランプ部材が偏心軸部材および偏心リングと共同して、クランプ対象物を装置本体にクランプするのであるが、見方を変えれば、クランプ部材がクランプ対象物を本体部材との間に挟んでクランプすると考えることもでき、その意味でクランプ部材が (1)項のクランプ装置における第2部材に相当すると言い得る。
クランプ対象物は、特定位相においてクランプ部材のクランプ用係合部と軸方向に嵌合させ、一定角度相対回転させれば軸方向に離脱不能となり、逆の操作で取り外し得るため、クランプ対象物をクランプ部材に係合させる操作も簡単であり、クランプ対象物を本体部材に対して迅速に着脱することができる。
(3)クランプ部材が断面形状が概して円形の部材であり、前記嵌合孔から突出した突出部の外周面から半径方向に突出した複数のクランプ用係合突部を備える (2)項に記載のクランプ装置。
クランプ部材は断面形状が概して円形であればよく、中実の軸状部材でも、中空の円筒状部材でもよい。また、断面形状は概して円形であればよく、クランプ部材の本体部材に対する相対回転を防止するために、両者間にキー,スプライン等の相対回転防止手段が設けられてもよい。
(4)前記第1部材が、軸線まわりに回転する主軸の先端部に着脱可能に固定されるアダプタである (1)ないし (3)のいずれか1つに記載のクランプ装置。
本クランプ装置においては、アダプタを主軸の先端部に固定しておけば、このアダプタに対してクランプ対象物としての工具ホルダを迅速に着脱することができ、通常の工作機械の主軸への加工工具の着脱を迅速に行うことができる。
(5)嵌合孔とその嵌合孔の軸線に直角な当接面とを備えた本体部材と、
嵌合突部において前記嵌合孔にその嵌合孔の中心線に平行な方向に移動可能に嵌合されるとともに、特定位相ではクランプ対象物と軸方向に嵌合,離脱可能であり、その特定位相から一定角度相対回転した係合位相ではクランプ対象物と軸方向に離脱不能に係合するクランプ用係合部を備えたクランプ部材と、
前記本体部材に前記嵌合孔と直交する状態で形成された断面形状が円形の収容孔と、
その収容孔の内周面に外周面において相対回転可能に嵌合して収容孔に収容され、外周面に対して偏心した内周面を有する偏心リングと、
その偏心リングの内周面に相対回転可能に嵌合する第1軸部とその第1軸部に対して偏心した第2軸部とを備えた偏心軸部材と、
前記クランプ部材の前記嵌合突部に、その嵌合突部の軸線と直交する状態でかつ前記本体部材の当接面と同じ向きで設けられ、前記第2軸部の外周面と係合する係合面と、
前記偏心リングの前記収容孔内における回転を許容する状態と防止する状態とをとり得る回転防止装置と
を含み、前記偏心軸部材の回転に伴う前記第2軸部と前記係合面との係合により生じさせられる前記本体部材と前記クランプ部材との前記嵌合孔の中心線に平行な方向の相対移動によって、前記クランプ用係合部と係合した前記クランプ対象物を前記本体部材の前記当接面に押し付けることにより、前記クランプ対象物を装置本体に固定するクランプ装置。
(6)前記第2部材または前記クランプ部材が、第1係合面としての前記係合面と、その第1係合面に前記第2軸部の直径より僅かに大きい距離を隔てて対向する状態で形成された第2係合面とを備えた(1)ないし (5)項のいずれか1つに記載のクランプ装置(請求項3)。
本態様においては、偏心軸部材が正方向に回転させられるとき第2軸部の外周面が第1係合面に係合してクランプ力を発生させ、偏心軸部材が逆方向に回転させられるとき第2軸部の外周面が第2係合面に係合してアンクランプ力を発生させる。第1,第2の両係合面が形成されている第2部材またはクランプ部材を、クランプ対象物にクランク力のみならずアンクランプ力をも伝達可能にしておくことによって、クランプ対象物が第1部材(本体部材,アダプタ)から押し離される。したがって、例えば、クランプ対象物が第1部材に対してテーパ嵌合孔とテーパ嵌合突部との締まり嵌合により心出しされる場合には、アンクランプ力によって締まり嵌合が解かれ、クランプ対象物が第1部材に切削液等の液体により付着している場合には、アンクランプ力によって付着が解かれることとなって、クランプ対象物を容易に第1部材から取り外すことができる。
(7)前記第1および第2係合面が、前記第2軸部の直径より僅かに大きい幅を有して前記嵌合突部の軸線と直交する方向に長く形成された長穴の両側面である (6)項に記載のクランプ装置。
嵌合突部の外周面に断面形状が矩形の円環溝を形成し、その円環溝の両側面をそれぞれ第1係合面,第2係合面とすることも可能であるが、本態様におけるように長穴の両側面を両係合面とすることも可能であり、この場合には嵌合突部の横断面積の減少を少なく抑えることができる。
(8)前記回転防止装置が、
前記偏心リングにその偏心リングの前記外周面の中心線を中心として等角度ピッチで設けられた複数の回転防止用第1係合部と、
それら複数の回転防止用第1係合部の少なくとも1個と係合,離脱可能な回転防止用第2係合部を備え、前記第1部材またはアダプタに取り付けられる回転防止部材と
を含む (1)ないし (7)項のいずれか1つに記載のクランプ装置。
本態様においては、偏心リングを回転防止用第1係合部の角度ピッチの整数倍の角度回転させることによって、偏心軸部材の位置を変更することができる。位置の変更は離散的であるが、偏心リングの回転は強固に防止することができ、クランプ装置の信頼性を高め得る。
(9)前記回転防止用第1係合部が、前記偏心リングに形成された第1かみ合い歯部であり、前記回転防止用第2係合部が、前記第1部材またはアダプタに着脱可能に固定される回転防止部材に、その回転防止部材が第1部材等に固定された状態では前記第1かみ合い歯部とかみ合って偏心リングの回転を防止し、回転防止部材が第1部材等から取り外されれば、第1かみ合い歯部から離脱して偏心リングの回転を許容する状態で設けられた第2かみ合い歯部である (8)項に記載のクランプ装置。
偏心リングの回転が第1かみ合い歯部と第2かみ合い歯部とのかみ合いによって防止されるため、一層強固に回転を防止することができる。
(10)前記第1かみ合い歯部と前記第2かみ合い歯部とが、前記偏心リングと前記回転防止部材との互いに対向する面に形成された (9)項記載のクランプ装置。
第1かみ合い歯部と前記第2かみ合い歯部とは互いに嵌合する凹部と突部との内周面と外周面とに形成することも可能であるが、互いに対向する面に形成すれば、比較的小さい偏心リングに比較的大きな第1かみ合い歯部を形成することができ、回転防止強度を高めることができる。
(11)前記偏心軸部材と前記偏心リングとの軸方向の相対移動を防止する軸方向移動防止装置を含む (1)ないし(10)項に記載のクランプ装置。
偏心軸部材と偏心リングとの軸方向の相対移動はC形止め輪等の簡単な手段によって防止することができ、両者の軸方向の相対移動を防止しておけば、偏心軸部材と偏心リングとの一方の第1部材に対する相対移動を防止するのみで、他方の相対移動も防止することができる。
(12)前記収容孔が大径孔部と小径孔部とを備えた段付孔であり、前記偏心リングが大径孔部に収容されて大径孔部と小径孔部との間の段付面に受けられ、前記回転防止部材が偏心リングの前記段付面からの浮き上がりを防止する浮き上がり防止部を有する (8)ないし(11)項のいずれか1つに記載のクランプ装置。
(13)前記回転防止部材が前記大径孔部の開口を閉塞するカバー部を備えた(12)項に記載のクランプ装置。
(14)前記偏心軸部材が外端面に横断面形状が非円形である工具係合穴を備え、前記回転防止部材の前記カバー部の前記工具係合穴に対応する部分に工具の挿入を許容する開口が形成された(13)項に記載のクランプ装置。
【0007】
本発明の別の課題は、バルブシート加工装置の主軸に対する着脱を迅速に行い得るバルブシート加工工具装置を得ることであり、この課題は、バルブシート加工工具装置を下記(15)項および(16)項に記載の構成とすることによって解決される。
(15)第1当接面とその第1当接面に直角な嵌合孔とを備えて、主軸の先端部に固定されるアダプタと、
エンジンのバルブシートを切削加工するバルブシート加工用の切削刃具を保持するとともに前記第1当接面と当接する第2当接面を備え、前記アダプタに着脱される工具ホルダと、
前記アダプタの嵌合孔にその嵌合孔の中心線に平行な方向に移動可能に嵌合する嵌合突部と、特定位相では前記工具ホルダと軸方向に嵌合,離脱可能であり、その特定位相から一定角度相対回転した係合位相では工具ホルダと軸方向に離脱不能に係合するクランプ用係合部とを備えたクランプ部材と、
前記アダプタに前記嵌合孔と直交する状態で形成された収容孔と、
その収容孔の内周面に外周面において相対回転可能に嵌合して収容孔に収容され、自身の外周面に対して偏心した内周面を有する偏心リングと、
その偏心リングの内周面に相対回転可能に嵌合する第1軸部とその第1軸部に対して偏心した第2軸部とを備えた偏心軸部材と、
前記クランプ部材の前記嵌合突部に、その嵌合突部の軸線と直交する状態で設けられ、前記第2軸部の外周面と係合する係合面と、
前記偏心リングの前記収容孔内における回転を許容する状態と防止する状態とをとり得る回転防止装置と
を含み、前記偏心軸部材の回転に伴う前記第2軸部と前記係合面との係合により生じさせられる前記アダプタと前記クランプ部材との前記嵌合孔の中心線に平行な方向の相対移動によって、前記クランプ用係合部と係合した前記工具ホルダの前記第1当接面が前記アダプタの前記第2当接面に押し付けられることにより、前記工具ホルダが前記アダプタに固定されることを特徴とするバルブシート加工工具装置(請求項4)。
本バルブシート加工工具装置においては、アダプタをバルブシート加工装置の主軸に固定しておけば、そのアダプタに対して工具ホルダを迅速に着脱することができる。アダプタにはクランプ部材が取り付けられており、このクランプ部材と工具ホルダとを特定位相において軸方向に嵌合し、一定角度相対回転させれば軸方向に離脱不能に係合する。その状態で、偏心軸部材を回転操作すれば、クランプ部材がアダプタに対して軸方向に相対移動させられ、工具ホルダの第2当接面がアダプタの第1当接面に強く当接させられて、工具ホルダがアダプタにクランプされる。工具ホルダのクランプ部材への嵌合と一定角度の回転、ならびに偏心軸部材の回転操作という簡単な操作で工具ホルダをアダプタに取り付け得るのであり、取外しも逆の簡単な操作により行い得る。
本バルブシート加工工具装置においては、アダプタの第1当接面が第1クランプ面として機能し、クランプ部材のクランプ係合部の第1当接面とは反対向きの面が第2クランプ面として機能することになる。アダプタ,クランプ部材,偏心リングおよび偏心軸部材等によって、クランプ対象物としての工具ホルダ(厳密には、工具ホルダの、クランプ係合部と係合する面と第2当接面と間の部分である被クランプ部)を上記両クランプ面間に挟んでクランプするクランプ装置が構成されているのである。
(16)さらに、
前記工具ホルダに半径方向の成分を有する方向に相対移動可能に取り付けられ、前記バルブシートのテーパシート面を加工する刃具を保持する可動刃具保持部材と、
入力部と出力部とを備えて前記工具ホルダに保持され、出力部において前記可動刃具保持部材に作動的に係合し、前記テーパシート面の加工に必要な運動を与える駆動機構と、
前記アダプタに軸方向に相対移動可能に取り付けられ、前記クランプ部材と前記工具ホルダとが前記特定位相にある状態においては前記駆動機構の入力部と軸方向に嵌合,離脱可能であり、クランプ部材と工具ホルダとが前記係合位相とされた状態では駆動機構の入力部と軸方向に離脱不能に係合する連結部材と
を含む(15)項に記載のバルブシート加工工具装置。
可動刃具保持部材が工具ホルダにテーパシート面の一母線と平行な方向に移動可能に取り付けられる態様が一般的であるが、半径方向の成分を有する方向に相対移動可能に取り付けられればよい。例えば、工具ホルダの半径方向に移動可能に取り付けることも可能である。工具ホルダの軸方向の移動と、その工具ホルダに対する可動刃具保持部材の半径方向の移動との組合わせによって可動刃具保持部材がテーパシート面の一母線と平行な方向に移動するようにすればよいのである。本バルブシート加工工具装置においては、工具ホルダのアダプタに対する着脱操作に伴って、駆動機構の入力部の連結部材への連結,解除も行われるため、複雑な構成のバルブシート加工工具を迅速にバルブシート加工装置に対して着脱することができる。
なお、前記 (3),(6)ないし(14)項に記載の構成は(15)および(16)項のバルブシート加工工具装置にも適用できる。
(17)嵌合孔と第1当接面とを備えた第1部材と、
その第1部材の嵌合孔にその嵌合孔の中心線に平行な方向に相対移動可能に嵌合する嵌合突部と、その嵌合突部が前記嵌合孔に嵌合された状態で前記第1当接面と互いに逆向きとなる第2当接面とを備えた第2部材と、
前記第1部材に前記嵌合孔と直交する状態で形成された断面形状が円形の収容孔と、
その収容孔の内周面に外周面において相対回転可能に嵌合し、その外周面に対して偏心した内周面を有する偏心リングと、
その偏心リングの内周面に相対回転可能に嵌合する第1軸部とその第1軸部に対して偏心した第2軸部とを備えた偏心軸部材と、
前記第2部材の前記嵌合突部にその嵌合突部の軸線と直交する状態で設けられ、前記第2軸部の外周面と係合する係合面と、
前記偏心リングの前記収容孔内における回転を許容する状態と防止する状態とをとり得る回転防止装置と
を含み、前記偏心軸部材の回転に伴う前記第2軸部と前記係合面との係合により生じさせられる前記第1部材と前記第2部材との前記嵌合孔の中心線に平行な方向の相対移動によって、前記第1当接面と前記第2当接面とが互いに押し付けられることにより、第1部材と第2部材とが互いに固定される固定装置(請求項5)。
前記 (3),(6)ないし(14)項に記載の構成は本項の固定装置にも適用できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態であるバルブシート加工工具装置を図面に基づいて詳細に説明する。図1において、10はアダプタであり、図示しない工作機械の主軸に取り付けられる。アダプタ10は、段付きの円筒状を成し、主軸の回転軸線に平行な方向(以下、単に軸方向と称する)に貫通する嵌合孔11が形成されている。アダプタ10は半径方向外向きのフランジ部12を備え、その前端面16と後端面18とはそれぞれ軸方向に直角な平面とされている。フランジ部12の前端面16にはフランジ部12よりやや小径の嵌合突部20が形成される一方、後端面18には取付部24が形成されている。取付部24は後端面18から遠ざかるほど径の小さいテーパ外周面26を有している。図示は省略するが、工作機械のスピンドル穴は取付部24のテーパ外周面26に対応するテーパ内周面を有しており、取付部24がこのスピンドル穴に嵌合されることにより、主軸に同軸にかつ軸方向に位置決めされて取り付けられる。
【0009】
図5に示すように、アダプタ10にはフランジ部12の前端面16から後端面18へ軸方向に貫通するボルト穴28が等角度間隔に4箇所形成されており、これらボルト穴28にボルトが挿通されて主軸に形成された雌ねじ穴に締め込まれることにより、アダプタ10が主軸に固定される。フランジ部12の前端面16には、ボルト穴28とは位相を異にする2箇所にピン穴29が形成され、いずれか一方に係合ピンが圧入されて、一部が前端面16から軸方向に突出する状態とされる。
【0010】
アダプタ10には、工具ホルダ32が着脱可能に取り付けられる。工具ホルダ32のホルダ本体34は概して円筒状の基部36と概して円錐状の先端部37とを有しており、基部36の後端面38には、アダプタ10に設けられた前記係合ピンが係合可能な係合凹部(図示省略)がホルダ本体34の中心線を中心とする円弧に沿って一定の長さで形成されている。
【0011】
ホルダ本体34は、先端部37のテーパ外周面に沿って先端側ほど軸心に接近する向きに傾斜した傾斜T溝40およびその傾斜T溝40から軸方向に平行に延びる軸方向溝42を備えている。傾斜T溝40は断面形状がT字形であり、互いに直角な複数の溝面を有している。一方、軸方向溝42は断面形状が矩形である。傾斜T溝40および軸方向溝42には、T字形スライダ(以下、単にスライダと称する)44が摺動可能に嵌合されている。スライダ44は、断面形状が概してT字形を成しており、傾斜T溝40に嵌合される傾斜部と軸方向溝42に嵌合される軸方向部とを備えている。
【0012】
スライダ44には工具保持部として、軸方向の前端面48から軸方向に延びる工具保持穴50が形成されており、バイト52が嵌合されている。バイト52の刃具保持部材としてのシャンクが工具保持穴50に嵌合されているのであり、その先端には刃具としてのスローアウェイチップが保持されている。また、バイト52のシャンクの後端面には傾斜面が形成されている。スライダ44の傾斜部には、軸方向と直交する方向に延びて工具保持穴50に連通する雌ねじ穴53が形成されており、調整ねじ54が螺合されている。調整ねじ54の先端には、バイト52の傾斜面に対応したテーパ面が形成されている。調整ねじ54が回転させられてテーパ面の位置が変えられることにより、バイト52の軸方向位置が変化させられ、チップの切刃の位置が調整されるようになっているのである。
【0013】
スライダ44の傾斜部には、スライダ44の頂面55から底面46へ貫通する嵌合穴56が形成されている。嵌合穴56には底面46側から駆動部材58が嵌合されている。駆動部材58は、その本体部60が後述するプランジャ62の外周面の一部に形成された切欠64にボルトおよび位置決めピンにより相対移動不能に固定される一方、本体部60から延び出す係合部66が傾斜T溝40の底面に形成された長穴を貫通してスライダ44の嵌合穴56に嵌合されている。この長穴は、傾斜T溝40の長手方向に延びており、その方向の係合部66の移動を許容する。嵌合穴56の外部への開口は、閉塞部材68により閉塞されて切粉やクーラント等の侵入が防止されている。
【0014】
ホルダ本体34の後端面38からは、軸方向に延びる有底円筒状のガイド穴72が形成されている。ガイド穴72にはプランジャ62が軸方向に移動可能に嵌合されている。ガイド穴72の内周面には軸方向に延びるキー溝74が形成され、プランジャ62の外周面に固定された駆動部材58の本体部60の一部がこのキー溝74に嵌入させられることにより、プランジャ62のガイド穴72内での相対回転が防止されている。
【0015】
プランジャ62は概して円筒状を成し、軸方向に貫通する貫通穴78が形成されている。貫通穴78の軸方向の中央よりやや後端面80に近い部分には大径穴部が形成されている。また、貫通穴78の後端面80側の開口部には、軸方向に延びて大径穴部に連通する複数個(本実施形態の場合4個)の嵌合溝部が等角度間隔で形成されている。これら大径穴部と嵌合溝部との形成により、貫通穴78の後部が花弁形係合凹部84を成している。
【0016】
主軸側には第1可動軸90が設けられている。第1可動軸90は概して円筒状を成し、図示しないアクチュエータにより軸方向に移動させられる。第1可動軸90はキー91により主軸に対する相対回転を防止されている。第1可動軸90の前端部には、プランジャ62の花弁形係合凹部84と係合可能な花弁形係合突部92が形成されている。花弁形係合凹部84と花弁形係合突部92とを軸方向にほぼ相対移動不能に係合させることにより、第1可動軸90がプランジャ62に連結され、第1可動軸90の前進,後退によってプランジャ62がガイド穴72内を軸方向に摺動させられる。したがって、第1可動軸90が移動させられるとき、駆動部材58の係合部66の外周面とスライダ44の嵌合穴56の内周面との間に生じる斜面の効果により、スライダ44が傾斜T溝40に沿って主軸回転軸線に対して傾斜した方向に移動させられる。駆動部材58が第1可動軸90の軸方向の移動をスライダ44の移動に変換するのである。
【0017】
図2および図3に示すように、ホルダ本体34において、工具保持穴50とはそれぞれ位相を異にする2箇所には、工具保持穴100,102が形成され、バイト52同様、先端にチップを保持したバイト104,105がそれぞれ嵌合されている。バイト104,105も調整ねじ108,109によりチップの切刃の位置が調整されるようになっている。バイト52,104,105は、それぞれエンジンのバルブシートのテーパ内周面を加工するものであり、バルブシートの軸方向において互いに隣接する3箇所にそれぞれ角度の異なるテーパ内周面を形成する。このとき、最も精度の要求される中央のテーパ内周面(シート面と称する)はバイト52により切削される。
【0018】
ホルダ本体34の軸線上には、その前端面からガイド穴72の底面へ貫通する軸方向穴110が形成されている。軸方向穴110とガイド穴72およびプランジャ62の貫通穴78とは同心とされており、軸方向穴110はガイド穴72および貫通穴78と連通している。軸方向穴110には、ホルダ本体34の前端部側から、スリーブ112が挿入されている。スリーブ112にはリーマ114が挿通される。ホルダ本体34には、軸方向と直交する方向に延びて軸方向穴110に連通する雌ねじ穴が形成されており、ボルトが締め込まれ、その先端部がスリーブ112の周壁に形成された嵌合穴に嵌入させられることにより、スリーブ112のホルダ本体34からの抜け出しおよび相対回転が防止されている。軸方向穴110のガイド穴72への開口端部には、中空円筒状のキャップ116が嵌合されている。キャップ116はボルトによりガイド穴72の底面に固定されている。
【0019】
前記第1可動軸90内には、第2可動軸120が回転不能かつ軸方向に移動可能に嵌合されている。第2可動軸120は円筒状を成し、軸方向に延びる工具挿入穴121を有している。第2可動軸120の後端部は図示しないリーマ移動装置に連結される。工具挿入穴121の軸方向の先端部は大径穴部とされており、コレットチャック122が配設されている。コレットチャック122は、コレット124および第1,第2コレット受け126,128を備えている。コレット124は、図1に示すように、大径部130と小径部132とを有し、大径部130側の端面から軸方向に小径部132側の端面近傍まで延びるスリットと、小径部132側の端面から軸方向に大径部130側の端面近傍まで延びるスリットとが、互いに位相を異にする位置に形成されたものであり、軸方向のあらゆる部分において縮径が可能である。また、大径部130および小径部132の各端部の外周面はそれぞれ、端面側ほど径が漸減するテーパ外周面138,139とされている。
【0020】
第1コレット受け126は円筒状を成し、コレット124の小径部132が嵌合されるストレート穴140と、テーパ外周面139に対応する傾斜のテーパ内周面を備えたテーパ穴142とを有する。また、第2コレット受け128も同様に円筒状を成し、リーマ114のシャンクが嵌合される嵌合孔144が形成されるとともに、嵌合孔144の前端側には、テーパ外周面138に対応する傾斜のテーパ内周面を備えたテーパ穴146が形成されている。第1,第2コレット受け126,128は、工具挿入穴121の前記大径穴部内に嵌合されている。コレット124は小径部132において第1コレット受け126に嵌合され、大径部130は第2コレット受け128のテーパ穴146に嵌合されている。
コレットチャック122の操作リングは外周面に歯が形成されたギヤ付きナット150とされており、ギヤ付きナット150の後端部が第2可動軸120の内周面に形成された雄ねじ部に螺合され、ギヤ部を備えた先端部が第2可動軸120から突出している。ギヤ付きナット150はスラストベアリングを介して第1コレット受け126と軽快に相対回転可能に当接させられている。
【0021】
また、ホルダ本体34には軸方向穴110と平行に延びる段付きの嵌合穴160が形成されている。嵌合穴160は、一端部がガイド穴72の底面に開口する一方、他端部がホルダ本体34の先端部に形成された切欠162に開口する貫通穴とされている。嵌合穴160には、ギヤ部材164が回転可能かつ軸方向に移動可能に嵌合されている。ギヤ部材164は、ギヤ付きナット150と噛み合うギヤ部166と軸部168とから成っており、軸部168が嵌合穴160に嵌合されて、その端部が嵌合穴160からホルダ本体34の前端側へ突出させられている。
【0022】
ギヤ部材164の軸部168の外周面と嵌合穴160の内周面との間にはブッシュ170が嵌装されており、ねじ部材172により固定されている。また、ブッシュ170の前端面と軸部168に固定されたスプリングリテーナとの間には弾性部材たる圧縮コイルスプリング174が配設されている。したがって、常には、スプリング174によりギヤ部166がブッシュ170を介してホルダ本体34に当接させられ、ギヤ部材164の軸部168がホルダ本体34の切欠162内に突出させられている。
【0023】
また、ギヤ部材164の軸部168の前端面には、軸方向に延びる工具係合用の六角穴が形成されている。この六角穴に六角レンチ等の回転操作工具を係合させ、スプリング174の付勢力に抗してギヤ部材164をガイド穴72側へ移動させることにより、プランジャ62の貫通穴78内においてギヤ部166が第2可動軸120のギヤ付きナット150と噛み合わせられる。そして、両者の噛合状態においてギヤ部材164が回転させられることにより、ギヤ付きナット150が回転させられ、コレット124の縮径,拡径が行われる。
【0024】
リーマ移動装置により第2可動軸120が前進させられた状態でスリーブ112の前端部からリーマ114が挿入され、そのシャンクがキャップ116を経て工具挿入穴121に嵌入させられた後、ギヤ部材164の操作によりギヤ付きナット150が第2可動軸120の前記雄ねじ部に締め込まれる方向に回転させられ、ギヤ付きナット150および第1コレット受け126が軸方向へ後退させられるとともに、第1コレット受け126によってコレット124が第2コレット受け128のテーパ穴146内へ押し込まれて、コレット124が弾性的に縮径させられる。それにより、コレット124の内周面にリーマ114のシャンクが把持され、リーマ114の工具挿入穴121からの離脱が防止される。リーマ114が第2可動軸120に固定された状態で第2可動軸120が後退させられれば、リーマ114がスリーブ112に案内されつつ軸方向に移動し、ホルダ本体34内に収容される。それに対して、切削加工時には、第2可動軸120が前進させられることにより、リーマ114の前端部がスリーブ112から突出する加工位置へ移動させられる。
【0025】
図1に二点鎖線で示すように、バルブシートの中央部には、バルブステムを軸方向に摺動可能に保持するバルブガイド176が設けられている。本実施形態においては、リーマ114によりバルブガイド176のガイド孔178の内周面の仕上げ加工が行われる。キャップ116の内周面にはシール部材が嵌装され、リーマ114がホルダ本体34内に引き込まれる際、リーマ114に付着した切粉がガイド穴72やプランジャ62内に侵入しないようにされている。
【0026】
図4に最も明瞭に示されているように、アダプタ10のフランジ部12には、直径方向に隔たった2箇所において、嵌合孔11と直交する状態で収容孔200,202が形成され、嵌合孔11に連通している。収容孔200,202は円形断面の段付孔であり、外周側が大径孔部204、嵌合孔11側が小径孔部206とされている。また、収容孔200,202の外周側には、大径孔部204の直径より幅が大きく、かつ軸方向と直交する方向に延びる矩形溝207が形成されている。
【0027】
収容孔200,202内には偏心リング208,210が相対回転可能に嵌合されている。図6および図7に示すように、偏心リング208,210は段付きの中空円筒状を成し、その肩面212が収容孔200,202の大径孔部204と小径孔部206との間の段付面214に当接することにより偏心リング208,210の嵌入限度が規定されている。偏心リング208,210の内周面216は外周面218に対して偏心しており、偏心リング208の内周面216には偏心ピン220が相対回転可能に嵌合されている。また、偏心リング210の内周面216にはピン222が嵌合されている。
【0028】
偏心ピン220は図8および図9に示すように、概して円柱状を成し、偏心リング208の内周面216と嵌合する第1軸部226と、第1軸部226より小径で、かつ、第1軸部226の外周面227に対して偏心した外周面228を有する第2軸部230とを備えている。第1軸部226の底面231が偏心リング208の内周面216に形成された段付面233に当接することにより、偏心ピン220の嵌入限度が規定されている。偏心ピン220が偏心リング208に嵌合された状態で、第2軸部230はアダプタ10の収容孔200を通過して嵌合孔11に向かって半径方向内向きに突出している。第1軸部226の頂面234には、工具係合用の六角穴235が形成されており、この六角穴235に回転操作工具を係合させて偏心ピン220を回転させることができる。偏心ピン220が第1軸部226の軸線まわりに回転させられることにより、第2軸部230は第1軸部226の軸線を中心に旋回させられる。また、頂面234には、六角穴235に隣接してV溝236が形成されている。V溝236は、第2軸部230の外周面228が第1軸部226の外周面227に最も接近した位置に対応する位置において、第1軸部226の半径方向に延びており、第2軸部230の第1軸部226に対する偏心方向を示している。
【0029】
偏心リング208,210は、カバー部材240により収容孔200,202内での回転および収容孔200,202の段付面214からの浮き上がりを防止されるようになっている。偏心リング208,210のカバー部材240と対向する面には、複数のかみ合い歯部244が形成されている。かみ合い歯部244は、偏心リング208,210の外周面218の中心線を中心として等角度ピッチで形成されている(図7参照)。また、かみ合い歯部244の側面である係合面246は、溝部248の底面に対して直角に形成されている。かみ合い歯部244において、偏心リング208,210の内周面216が外周面218に最も接近した位置の溝部248の底面には、偏心方向を視認できるように塗料が塗布されている(図7にクロスハッチングで図示)。
【0030】
図10ないし図12に示すように、カバー部材240は、矩形板であるカバー部250を備え、中央部を貫通する円形断面の貫通穴252が形成されている。カバー部250の表面253には、長手方向の両端部ほど裏面254側に向かう向きに傾斜させられた傾斜面256が形成され、傾斜面256には裏面254へ貫通するボルト穴257が4箇所に形成されている。また、カバー部250の裏面254側には偏心リング208,210のかみ合い歯部244とかみ合いによる係合が可能な複数のかみ合い歯部258が形成されている。かみ合い歯部258は、貫通穴252の中心線を中心としてかみ合い歯部244と等角度ピッチで形成されている(図12参照)。かみ合い歯部258の側面である係合面260も、溝部262の底面に対して直角に形成されている。カバー部250の表面253の幅方向の両側には、貫通穴252の直径方向に隔たってデッドポイントを示す0マーク263とクランプ方向を示す矢印264とが設けられている。また、貫通穴252は、偏心ピン220の第1軸部226およびピン222の外径よりも僅かに大きい直径を有しており、その内周面には嵌合溝265が形成され、止め輪266が嵌合されている。
【0031】
アダプタ10の収容孔200内に偏心リング208および偏心ピン220が嵌合された状態で、カバー部250の矢印264側がアダプタ10の前端面16側に、0マーク263側がアダプタ10の後端面18側に位置するように矩形溝207にカバー部材240のカバー部250が嵌合され、かみ合い歯部244とかみ合い歯部258とがかみ合った状態で、カバー部250がボルトによりアダプタ10に固定される。したがって、偏心リング208の開口が閉塞されるとともに、偏心リング208が収容孔200内で回転不能となるのである。なお、収容孔202内に偏心リング210およびピン222が収容されてカバー部材240が取り付けられる場合においても同様であるため、説明を省略する。
【0032】
カバー部材240の貫通穴252の内周面には、偏心ピン220の第1軸部226およびピン222の各頂部が緩く嵌合しており、止め輪266とワッシャ268とによって、偏心ピン220およびピン222の抜出しが防止されている。換言すれば、偏心ピン220およびピン222は、段付面214とワッシャ268とによって両側から挟まれることにより、自身の軸線に平行な方向の移動を防止されているのである。なお、止め輪266およびワッシャ268はそれぞれリング状であり、図13に示すように、偏心ピン220およびピン222の頂面234,239はカバー部250に形成された開口269から視認可能である。
【0033】
なお、カバー部材240をアダプタ10から取り外すことにより、偏心リング208,210の回転防止は解除される。したがって、収容孔200内に偏心リング208および偏心ピン220が嵌合された状態で、偏心リング208をかみ合い歯部244の角度ピッチの整数倍の角度回転させることにより、偏心ピン220の嵌合孔11の中心線に平行な方向の位置を変更することができる。
【0034】
図4および図5に示すように、アダプタ10の嵌合孔11には、クランプ部材270が嵌合されている。クランプ部材270は概して円筒状を成し、軸方向に貫通する貫通穴272を有している。クランプ部材270は、アダプタ10内に嵌合される嵌合突部274を備えている。嵌合突部274の外周面には、図5に示すように、軸方向に長い係合凹部276が形成され、アダプタ10のボルト穴に半径方向から締め込まれたボルト277の先端が嵌入することにより、クランプ部材270はアダプタ10に対して一定距離軸方向に移動可能かつ回転不能とされている。嵌合突部274にはまた、嵌合穴276とは位相を異にする位置において、直径方向に隔たった2箇所に係合凹部278,280が形成されている。係合凹部278,280は、本実施形態では軸線と直交する方向に長い長穴とされており、半径方向に貫通して貫通穴272に連通している。係合凹部278,280の、クランプ部材270の軸線と直交する方向に形成された両側面282,284間の距離は、偏心ピン220の第2軸部230の外周面228の直径より僅かに大きくされており、第2軸部230が係合凹部278に嵌入させられている。したがって、係合凹部278は、第2軸部230の、軸線と直交する方向の相対移動は許容するが、軸方向の実質的な相対移動は許容しない。
【0035】
クランプ部材270の先端部には、半径方向外向きに突出する複数個(本実施形態の場合4個)の係合突部288を備えた花弁形係合突部290が形成されている。一方、ホルダ本体34のガイド穴72の後端面38に近い部分には大径穴部292が形成され、後端面38側の開口部には、軸方向に延びて大径穴部292に連通する複数個の嵌合溝部が等角度間隔で形成されることにより、ホルダ本体34のガイド穴72の後部がクランプ部材270の花弁形係合突部290に係合可能な花弁形係合凹部294を成している。
【0036】
花弁形係合突部290と花弁形係合凹部294とが軸方向に離脱不能に係合している係合位相において、図13に示すように、偏心ピン220を矢印264の方向(正方向と称する)に、V溝236がデッドポイント263の直前の位置、つまり第2軸部230の軸線が第1軸部226の軸線から側面282への垂線上に位置する直前の位置まで回転させれば、第2軸部230の外周面228が係合凹部278の側面282に係合してクランプ部材270をアダプタ10に対して後退させ、クランプ力を発生させる。そして、第2軸部230の外周面228と側面282との間および第1軸部226の外周面227と偏心リング208の内周面216との間の摩擦力により、偏心ピン220が上記位置に維持されることによってクランプ力が維持される。また、花弁形係合突部290と花弁形係合凹部294とが軸方向に嵌合,離脱可能な特定位相において、偏心ピン220を逆方向に回転させれば、第2軸部230の外周面228が係合凹部278の側面284に係合し、クランプ部材270がアダプタ10に対して前進させられることによりアンクランプ力が発生させられる。
【0037】
クランプ部材270の内周面には、図4に二点鎖線で示すように、軸方向に延びるキー溝296が形成されており、第1可動軸90の外周面に固定されたキー298がこのキー溝296に嵌合されることにより、第1可動軸90がクランプ部材270に対して軸方向に摺動可能かつ回転不能となっている。
なお、クランプ部材270の花弁形係合突部290および第1可動軸90の花弁形係合突部92と、ホルダ本体34の花弁形係合凹部294およびプランジャ62の花弁形係合凹部84とは、各突部および凹部の位相が一致した状態で相対回転不能とされている。
【0038】
本実施形態においては、アダプタ10が第1部材、クランプ部材270が第2部材、偏心ピン220が偏心軸部材,カバー部材240が回転防止部材をそれぞれ構成し、偏心リング208,210のかみ合い歯部244が回転防止用第1係合部,カバー部材240のかみ合い歯部258が回転防止用第2係合部,これら回転防止用第1係合部と回転防止用第2係合部とが回転防止装置をそれぞれ構成している。また、クランプ部材270の花弁形係合突部290がクランプ用係合部を構成し、クランプ部材270の係合凹部278,280の両側面282,284がそれぞれ第1係合面,第2係合面を構成している。これら第1部材,第2部材,偏心軸部材,回転防止部材,回転防止装置,第1係合面としての係合面および、収容孔200,202,偏心リング208,210が本発明におけるクランプ装置を構成している。また、アダプタ10の前端面16が第1当接面、工具ホルダ32の後端面38が第2当接面をそれぞれ構成し、スライダ44が可動刃具保持部材、プランジャ62が駆動機構、駆動部材58が駆動機構の出力部、花弁形係合凹部84が駆動機構の入力部、第1可動軸90が連結部材をそれぞれ構成している。さらに、カバー部材240のカバー部250が浮き上がり防止部を構成し、止め輪266,ワッシャ268,頂面234,段付面233および底面231等が軸方向移動防止装置を構成している。
【0039】
以上のように構成されたバルブシート加工工具装置における工具ホルダ32のアダプタ10への取付けを説明する。
まず、チップを保持したバイト52をスライダ44の工具保持穴50に取り付け、調整ねじ54を回転させてチップの切刃の軸方向の刃先位置調整を行う。また、同じくチップを保持したバイト104,105をそれぞれホルダ本体34の工具保持穴100,102に取り付け、それぞれにおいて、調整ねじ108,109を回転させてチップの切刃の軸方向の刃先位置を調整する。
【0040】
次に、第1可動軸90をアクチュエータにより前進端位置へ前進させた状態で、その第1可動軸90の花弁形係合突部92とプランジャ62の花弁形係合凹部84、およびクランプ部材270の花弁形係合突部290とホルダ本体34の花弁形係合凹部294とがそれぞれ軸方向に嵌合,離脱可能である特定位相において、花弁形係合突部92,290と花弁形係合凹部84,294とをそれぞれ軸方向に嵌合させるとともに、ホルダ本体34の前記係合凹部にアダプタ10に突設された前記係合ピンを嵌入させる。ホルダ本体34の後端面38がアダプタ10の前端面16に密着した状態で、ホルダ本体34とアダプタ10とを、係合ピンが係合凹部の位置決め端部に当接するまで一定角度回転させれば、花弁形係合突部92,290と花弁形係合凹部84,294とが係合位相となって、プランジャ62と第1可動軸90、ホルダ本体34とクランプ部材270とがそれぞれ連結される。
【0041】
続いて、偏心ピン220の六角穴235に外部より工具を係合してV溝236がデッドポイント263の直前に来るまで正方向に回転させれば、第2軸部230が側面282に係合してクランプ部材270の嵌合突部274がアダプタ10の嵌合孔11内に引き込まれ、工具ホルダ32の後端面38がアダプタ10の前端面16に強く当接させられ、工具ホルダ32がアダプタ10にクランプされる。工具ホルダ32がアダプタ10を介して主軸に強固に取り付けられるのである。本実施形態においては、V溝236がデッドポイント263の直前に位置することを外部から視認することによりクランプ状態を確認できる。通常は、第1可動軸90が後退端位置へ後退させられており、スライダ44が後退端位置に保たれる。
【0042】
第2可動軸120をリーマ移動装置により前進端位置に前進させ、プランジャ62の貫通穴78内に進入させる。一方、スリーブ112の前端部からリーマ114を挿入し、それのシャンクをキャップ116を経て貫通穴78内へ進入させ、コレットチャック122に嵌入させる。この状態で、ギヤ部材164の六角穴に工具を係合させて、スプリング174の付勢力に抗してギヤ部材164を貫通穴78側へ移動させ、ギヤ部166をコレットチャック122のギヤ付きナット150と噛み合わせる。そして、ギヤ部材164を回転させてギヤ付きナット150をコレット124を縮径させる方向に回転させることにより、リーマ114のシャンクをコレットチャック122に把持させる。その後、リーマ移動装置を逆方向に作動させて第2可動軸120を後退させ、リーマ114を工具ホルダ32内に収容する。
【0043】
以上で準備が完了し、バルブシートの各テーパ内周面の切削が行われる。すなわち、主軸および切削工具が回転させられつつ送り装置により軸方向に前進させられ、バイト104のチップによりシート面にガイド孔178側において隣接するテーパ内周面の切削が行われ、バイト105のチップによりシート面にガイド孔178とは反対側において隣接するテーパ内周面の切削が行われる。続いて、第1可動軸90が前進させられてバイト52のチップによるシート面の切削が行われるとともに、第2可動軸120が前進させられてリーマ114によるバルブガイド176のガイド孔178の内周面切削が行われる。このように、シート面の切削加工とバルブガイド176のガイド孔178の仕上げ加工とが主軸を移動させることなく連続的にまたは並行して行われるため、シート面とガイド孔178との同心度が確保される。また、上記のように第1可動軸90およびプランジャ62の前進によりシート面が切削される際、スライダ44が傾斜T溝40に沿って、すなわち傾斜T溝40の傾斜角度と同じ角度で精度よくシート面を切削する。
【0044】
工具ホルダ32を主軸から取り外す際には、まず、ギヤ部材164の操作によってコレットチャック122を緩め、リーマ114を取り外す。リーマ114の取外しは必ずしも不可欠ではないが、通常は行われる。次に、偏心ピン220をクランプ時とは逆方向に回転させれば、第2軸部230が係合凹部278の側面284に係合してクランプ部材270を前進させ、工具ホルダ32がアダプタ10から突き離される。その状態において、工具ホルダ32とアダプタ10とを取付時とは逆向きに回転させて、花弁形係合突部92,290と花弁形係合凹部84,294とを特定位相とすれば、アダプタ10,クランプ部材270,コレットチャック122等を主軸側に残して、工具ホルダ32を軸方向に取り外すことができる。
【0045】
以上のようにしてクランプ,アンクランプが繰り返されることにより、偏心ピン220の第2軸部230の外周面228とクランプ部材270の係合凹部278の側面282、および偏心ピン220の第1軸部226の外周面227と偏心リング208の内周面216の各摺動面が摩耗する。特に、第2軸部230の外周面228と側面282とは、高い面圧下で摺動するため摩耗し易い。摩耗によりV溝236が、つまり第2軸部230がデッドポイントを通過してしまいそうになった場合、図14に示すように、カバー部材240をアダプタ10から取り外して、偏心リング208を相対回転可能にする。そして、偏心リング208を第1軸部226が係合凹部278の側面282に接近する向き(図14においてプラス方向)に回転させれば、第2軸部230の外周面228や係合凹部278の側面282の摩耗量に相当する距離だけ第2軸部230を側面282に接近させることができ、クランプ機能を回復させることができる。その後、カバー部材240を再びアダプタ10に固定すれば、偏心リング208の自由な回転が阻止され、クランプ機能が正常に維持される。
【0046】
本実施形態においては、偏心ピン220およびクランプ部材270の係合凹部278の側面282,284を含むクランプ装置を簡単な構成で安価に製造することができる。また、第2軸部230と側面282,284との軸方向の相対位置を偏心リング208の回転により調整することができるため、簡単な構成でクランプ装置の耐久性を向上させることができる。
【0047】
また、工具ホルダ32とクランプ部材270との嵌合と一定角度の相対回転、ならびに偏心ピン220の回転操作という簡単な操作で工具ホルダ32をアダプタ10に取り付けることができるのであり、取外しも逆の簡単な操作により行うことができる。また、ホルダ本体34のアダプタ10に対する着脱動作に伴って、プランジャ62と第1可動軸90との連結,解除も行われるため、バルブシート加工工具を迅速にバルブシート加工装置に対して着脱できる。
【0048】
以上の説明においては、偏心リング208に偏心ピン220が、偏心リング210にピン222がそれぞれ嵌合されるものとしたが、偏心リング208にピン222、偏心リング210に偏心ピン220をそれぞれ嵌合して使用することも可能である。また、直径方向に隔たった2つの部分がほぼ軸対称に構成されているため、回転時の動バランスがよい。しかし、両偏心リング208,210に偏心ピン220をそれぞれ嵌合させてもよい。偏心ピン220の第1軸部226を偏心リング208,210に嵌合させ、第2軸部230をクランプ部材270の係合凹部278,280にそれぞれ嵌入させれば、直径方向に隔たった2箇所で第2軸部230と側面282あるいは側面284とが係合し、クランプ部材270の相対移動をより円滑に行うことができる。ただし、この場合には、工具ホルダ32の着脱時には、2本の偏心ピン220を少しずつ交互に回転させることが望ましい。
【0049】
偏心リング208,210のかみ合い歯部244とカバー部材240のかみ合い歯部258との各係合面は、溝部の底面に向かうにつれて互いに接近する向きに傾斜する傾斜面とすることも可能である。このようにすれば、かみ合い歯部258とかみ合い歯部244とが傾斜面に案内されて容易にかみ合う上、両かみ合い歯部258,244をしまり嵌合させて、偏心リング208,210の回転を完全に防止し、偏心ピン220によるクランプ状態をより安定に維持することが可能となる。
【0050】
また、本発明を、図15および図16に要部のみを示すように、アダプタ300と工具ホルダ302とがクランプ部材を介さずに直接クランプ,アンクランプされる形態のバルブシート加工工具装置に適用することも可能である。この場合には、図15に示すように、前記クランプ部材270の嵌合突部274に対応する工具ホルダ302の嵌合突部303の外周面に、前記係合凹部278に対応する周方向溝304とその周方向溝の一端部と嵌合突部302の端面306との間で軸方向に延びる軸方向溝308を形成し、工具ホルダ300の着脱時に、偏心ピン220の第2軸部230の軸方向の通過を許容することが必要である。
本実施例においては、アダプタ300が第1部材、工具ホルダ302が第2部材としてそれぞれ機能し、工具ホルダ302のアダプタ300に対する取付け(固定)および取外しが迅速に行われ得るとともに、耐久性のよい固定装置が得られる。
その他、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるクランプ装置を備え、自身も本発明の一実施形態であるバルブシート加工工具装置を示す正面断面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】上記バルブシート加工工具装置の工具ホルダを示す正面断面図である。
【図4】上記バルブシート加工工具装置のクランプ装置を示す正面(一部断面)図である。
【図5】図4の左側面図である。
【図6】上記バルブシート加工工具装置の偏心リングを示す正面断面図である。
【図7】図6の平面図である。
【図8】上記バルブシート加工工具装置の偏心ピンを示す正面図である。
【図9】図8の平面図である。
【図10】上記バルブシート加工工具装置のカバー部材を示す正面断面図である。
【図11】図10の平面図である。
【図12】図10の底面図である。
【図13】図4の一部を示す平面図である。
【図14】図13においてカバー部材が取り外された状態を示す平面図である。
【図15】 本発明の別の実施形態である固定装置の一部を示す正面断面図である。
【図16】図15に示した工具ホルダの一部を示す平面図である。
【符号の説明】
10:アダプタ 11:嵌合孔 16:前端面 32:工具ホルダ 34:ホルダ本体 38:後側端面 200,202:収容孔 208,210:偏心リング 216:内周面 218:外周面 220:偏心ピン226:第1軸部 230:第2軸部 240:カバー部材 244:かみ合い歯部 258:かみ合い歯部 270:クランプ部材 274:嵌合突部 278,280:係合凹部 282,284:側面 290:花弁形係合突部 300:アダプタ 302:工具ホルダ 303:嵌合突部 304:周方向溝 308:軸方向溝

Claims (5)

  1. 嵌合孔と第1クランプ面とを備えた第1部材と、
    その第1部材の嵌合孔にその嵌合孔の中心線に平行な方向に相対移動可能に嵌合する嵌合突部と、その嵌合突部が前記嵌合孔に嵌合された状態で前記第1クランプ面と互いに逆向きとなる第2クランプ面とを備えた第2部材と、
    前記第1部材に前記嵌合孔と直交する状態で形成された断面形状が円形の収容孔と、
    その収容孔の内周面に外周面において相対回転可能に嵌合し、その外周面に対して偏心した内周面を有する偏心リングと、
    その偏心リングの内周面に相対回転可能に嵌合する第1軸部とその第1軸部に対して偏心した第2軸部とを備えた偏心軸部材と、
    前記第2部材の前記嵌合突部にその嵌合突部の軸線と直交する状態で設けられ、前記第2軸部の外周面と係合する係合面と、
    前記偏心リングの前記収容孔内における回転を許容する状態と防止する状態とをとり得る回転防止装置と
    を含み、前記偏心軸部材の回転に伴う前記第2軸部と前記係合面との係合により生じさせられる前記第1部材と前記第2部材との前記嵌合孔の中心線に平行な方向の相対移動によって、前記第1クランプ面と前記第2クランプ面との間にクランプ対象物をクランプすることを特徴とするクランプ装置。
  2. 前記第1部材が前記嵌合孔の中心線に直角な前記第1クランプ面を備えた本体部材であり、前記第2部材が、特定位相では前記クランプ対象物と軸方向に嵌合,離脱可能であり、その特定位相から一定角度相対回転した係合位相では前記クランプ対象物と軸方向に離脱不能に係合するクランプ用係合部を備えたクランプ部材であり、そのクランプ用係合部の前記第1クランプ面とは反対向きの面が前記第2クランプ面をなすことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
  3. 前記第2部材が、第1係合面としての前記係合面と、その第1係合面に前記第2軸部の直径より僅かに大きい距離を隔てて対向する状態で形成された第2係合面とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のクランプ装置。
  4. 第1当接面とその第1当接面に直角な嵌合孔とを備えて、主軸の先端部に固定されるアダプタと、
    エンジンのバルブシートを切削加工するバルブシート加工用の切削刃具を保持するとともに前記第1当接面と当接する第2当接面を備え、前記アダプタに着脱される工具ホルダと、
    前記アダプタの嵌合孔にその嵌合孔の中心線に平行な方向に移動可能に嵌合する嵌合突部と、特定位相では前記工具ホルダと軸方向に嵌合,離脱可能であり、その特定位相から一定角度相対回転した係合位相では工具ホルダと軸方向に離脱不能に係合するクランプ用係合部とを備えたクランプ部材と、
    前記アダプタに前記嵌合孔と直交する状態で形成された収容孔と、
    その収容孔の内周面に外周面において相対回転可能に嵌合して収容孔に収容され、自身の外周面に対して偏心した内周面を有する偏心リングと、
    その偏心リングの内周面に相対回転可能に嵌合する第1軸部とその第1軸部に対して偏心した第2軸部とを備えた偏心軸部材と、
    前記クランプ部材の前記嵌合突部に、その嵌合突部の軸線と直交する状態で設けられ、前記第2軸部の外周面と係合する係合面と、
    前記偏心リングの前記収容孔内における回転を許容する状態と防止する状態とをとり得る回転防止装置と
    を含み、前記偏心軸部材の回転に伴う前記第2軸部と前記係合面との係合により生じさせられる前記アダプタと前記クランプ部材との前記嵌合孔の中心線に平行な方向の相対移動によって、前記クランプ用係合部と係合した前記工具ホルダの前記第1当接面が前記アダプタの前記第2当接面に押し付けられることにより、前記工具ホルダが前記アダプタに固定されることを特徴とするバルブシート加工工具装置。
  5. 嵌合孔と第1当接面とを備えた第1部材と、
    その第1部材の嵌合孔にその嵌合孔の中心線に平行な方向に相対移動可能に嵌合する嵌合突部と、その嵌合突部が前記嵌合孔に嵌合された状態で前記第1当接面と互いに逆向きとなる第2当接面とを備えた第2部材と、
    前記第1部材に前記嵌合孔と直交する状態で形成された断面形状が円形の収容孔と、
    その収容孔の内周面に外周面において相対回転可能に嵌合し、その外周面に対して偏心した内周面を有する偏心リングと、
    その偏心リングの内周面に相対回転可能に嵌合する第1軸部とその第1軸部に対して偏心した第2軸部とを備えた偏心軸部材と、
    前記第2部材の前記嵌合突部にその嵌合突部の軸線と直交する状態で設けられ、前記第2軸部の外周面と係合する係合面と、
    前記偏心リングの前記収容孔内における回転を許容する状態と防止する状態とをとり得る回転防止装置と
    を含み、前記偏心軸部材の回転に伴う前記第2軸部と前記係合面との係合により生じさせられる前記第1部材と前記第2部材との前記嵌合孔の中心線に平行な方向の相対移動によって、前記第1当接面と前記第2当接面とが互いに押し付けられることにより、第1部材と第2部材とが互いに固定されることを特徴とする固定装置。
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