JP4014290B2 - テーパ周面切削工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テーパ内周面やテーパ外周面を切削加工するために使用されるテーパ周面切削工具に関するものであり、特に加工精度あるいは加工能率の向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、エンジンのバルブシートのように、テーパ内周面を精度よく加工する必要がある場合に、従来からテーパ周面切削工具が使用されていた。このテーパ周面切削工具は、▲1▼一軸線まわりに回転可能であり、かつその一軸線に対して傾斜して形成された主案内凹部を備えた工具本体と、▲2▼主案内凹部に長手方向に移動可能かつ長手方向と直角な方向には実質的に移動不能に嵌合された傾斜部と、その傾斜部の前記一軸線に近い側の端からその一軸線にほぼ平行に延び出して先端部に切削刃具を保持する軸方向部とを備えたスライダと、▲3▼そのスライダを前記主案内凹部に沿って移動させるスライダ駆動装置とを含むように構成される。このテーパ周面切削工具を回転主軸に同軸に取り付け、回転主軸を回転させて工具本体を回転させつつ、スライダ駆動装置にスライダを案内凹部内で移動させれば、スライダに保持された切削刃具の切刃がテーパ周面の軌跡を描き、被加工物にテーパ周面を形成する。スライダが工具本体の先端側へ向かうに従って一軸線(工具本体の回転中心線)に接近する方向に移動させられる場合にはテーパ内周面が加工され、一軸線から離間する方向に移動させられる場合にはテーパ外周面が加工される。
【0003】
エンジンのバルブシートを加工するバルブシート切削工具は、テーパ周面切削工具の一種であるが、工具本体に、スライダに保持される切削刃具である主刃具とは別に、第一副刃具および第二副刃具が取り付けられる。バルブシートは、第一のテーパ内周面であるシート面と、そのシート面の外周側に位置する第二テーパ内周面と内側に位置する第三テーパ内周面とを備えるのが普通である。第二テーパ内周面はシート面よりテーパ値が大きく、第三テーパ内周面はシート面よりテーパ値が小さい。シート面は実際にバルブが着座する面であり、テーパ値や最大,最小直径等の要求精度が高いため、切削刃具をスライダに保持させ、スライダを工具本体と共に回転させつつ傾斜方向に移動させることにより加工することが行われているのである。
【0004】
テーパ周面切削工具においては、前述のように、スライダが傾斜部と軸方向部とを含むものとされ、傾斜部は工具本体により実質的に長手方向にのみ移動可能に支持されるが、軸方向部はその傾斜部の一端から片持状に延び出し、工具本体により支持されないため支持剛性が不足し勝ちであり、主案内凹部と傾斜部との小さな嵌合クリアランスに基づいて軸方向部が比較的大きくがたつき、あるいは切削抵抗により軸方向部が弾性変形して、加工精度低下の原因になる。加工精度の低下を回避しようとして切削工具の切込みや送りを小さくするために、加工能率が低下することもある。
バルブシート切削工具はテーパ内周面を加工するものであるが、工具本体の案内凹部の傾斜方向を逆にすることにより、テーパ外周面を加工するテーパ周面切削工具を得ることができ、この工具においても同様の問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用および効果】
本発明はこの問題を解決すべく、軸方向部の弾性変形を良好に防止し得るテーパ周面切削工具を得ることを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様のテーパ周面切削工具が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。各項に記載の特徴の組合わせの可能性の理解を容易にするためである。なお、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下のものに限定されると解釈されるべきではない。
(1)一軸線まわりに回転可能であり、かつその一軸線に対して傾斜して形成された主案内凹部を備えた工具本体と、
主案内凹部に長手方向に移動可能かつ長手方向と直角な方向には実質的に移動不能に嵌合された傾斜部と、その傾斜部の前記一軸線に近い側の端からその一軸線にほぼ平行に延び出して先端部に切削刃具を保持する軸方向部とを備えたスライダと、
そのスライダを主案内凹部に沿って移動させるスライダ駆動装置と
を含むテーパ周面切削工具において、
前記軸方向部に前記主案内凹部に平行な副被案内部を設ける一方、その副被案内部と、その副被案内部の長手方向に相対移動可能かつ幅方向には実質的に相対移動不能に嵌合して副被案内部を案内する副案内部を前記工具本体に設けたテーパ周面切削工具(請求項1)。
主案内凹部により案内される傾斜部から片持状に延び出す軸方向部に、副被案内部を設け、その副被案内部を案内する副案内部を工具本体に設ければ、傾斜部のみならず軸方向部も工具本体に支持されることとなり、軸方向部の支持剛性が増大する。したがって、主案内凹部と傾斜部との嵌合クリアランスに基づく軸方向部のがたつきや、切削抵抗に基づく軸方向部の弾性変形が少なくて済み、切削刃具によるテーパ周面加工の加工精度が向上する効果が得られる。加工精度が従来と同じでよければ、従来より重切削を行うことが可能となり、加工能率が向上する効果が得られる。なお、副案内部と副被案内部とは、主案内凹部に平行に形成されているため、スライダの傾斜部が主案内凹部に案内されて移動する際、軸方向部が共に移動することを妨げることはない。
(2)前記副被案内部が、少なくとも、互いに摺動可能に嵌合する嵌合突部と嵌合溝との一方を備え、前記副案内部が、少なくとも、嵌合突部と嵌合溝との他方を備えた (1)項に記載のテーパ周面切削工具。
副案内部と副被案内部との一方が1つの嵌合突部を備え、他方が1つの嵌合溝を備える態様が典型的な態様であるが、一方が複数の嵌合突部を、他方が複数の嵌合溝をそれぞれ備えるようにすることも可能である。
(3)前記副被案内部と前記副案内部とが、互いに摺動可能に嵌合する副案内突部と副案内溝との両方をそれぞれ備えた (1)項に記載のテーパ周面切削工具。
副案内部と副被案内部との一方が1つずつの嵌合突部と嵌合溝とを備え、他方が1つずつの嵌合突部と嵌合溝とを備え、一方の嵌合突部と嵌合溝とが、他方の嵌合溝と嵌合突部とそれぞれ嵌合する態様が典型的な態様であるが、前記 (2)項における、一方が複数の嵌合突部を備え、他方が複数の嵌合溝を備える態様も本態様の一種であると考えることができる。例えば、一方に互いに平行な2つの案内溝を形成し、他方にそれら案内溝に嵌合する2つの案内突部を形成すれば、結果として、上記2つの案内溝の間に1つの案内突部が、上記2つの案内突部の間に1つの案内溝がそれぞれ形成され、2つずつの案内溝と案内突部とを嵌合させれば、必然的に上記結果として形成される1つずつの案内突部と案内溝とも嵌合されることになるのである。
(4)前記副案内部が、前記工具本体の主要構成部材である主本体部材とは別体に製作され、主本体部材に組み付けられて工具本体の一部となる案内部材により構成された (1)ないし (4)項のいずれか1つに記載のテーパ周面切削工具(請求項2)。
主本体部材に直接副案内部を形成することも可能であるが、本態様によれば、単純な形状の案内部材に案内部を形成すればよく、形状が複雑になり易い工具本体に案内部を形成する場合に比較して加工が容易になる利点がある。
(5)前記主本体部材の、前記一軸線に平行に延びて前記軸方向部の側面に対向する平面を形成する部分に、前記一軸線に平行な中心線を有しかつ半径が前記平面から中心線までの距離より大きい円形穴が形成される一方、前記案内部材が、前記円形穴に円柱状部材を嵌合させた場合に、前記平面から前記軸方向部側へ突出する部分に、前記傾斜部に平行な複数の切欠が形成されることによりそれら切欠の間に前記副案内部が形成された (4)項に記載のテーパ周面切削工具(請求項3)。
本態様によれば、案内部材を取り付けるために主本体部材に形成すべき収容凹部を単純な円形穴とするととができ、主本体部材の加工が容易になるとともに、円形穴は高精度で加工することが容易であるため、主本体部材への案内部材の取付精度、ひいては工具本体に対する案内部の形成精度が向上する効果が得られる。
(6)前記主案内凹部が、
前記工具本体の主要構成部材である主本体部材に、前記一軸線に対して傾斜して形成された矩形の断面形状を有する傾斜溝と、
その傾斜溝の開口を覆う状態で前記主本体部材に取り外し可能に固定され、案内面において前記傾斜部の頂面と面接触するカバーと
を含む(1) ないし(5) 項のいずれか1つに記載のテーパ周面切削工具。
工具本体に断面形状がT字形のT溝を形成して主案内凹部とすることも可能であるが、矩形の断面形状を有する溝とすれば、加工が容易となる上、スライダやカバーの摺動面が摩耗した場合の補修が容易となる利点がある。しかし、スライダの支持剛性がやや低下する場合があり、その場合に本発明に従って軸方向部に被案内部を設ければ、特に顕著な効果が得られる。
(7)前記工具本体と前記スライダとの間に、スライダを前記主案内凹部の片側へ弾性的に押し付ける押付装置が設けられた (1)ないし (6)項のいずれか1つに記載のテーパ周面切削工具。
主案内凹部の内側面とスライダの外側面との間に転がり軸受を設ければ、スライダの工具本体への嵌合クリアランスを零または負にすることができるが、転がり軸受を設けない場合には、スライダの摺動を許容するために嵌合クリアランスを正にすることが不可欠であり、スライダが主案内凹部内で僅かにがたつくことを避け得ない。押付装置を設ければこのがたつきを防止し、あるいは低減させることができる。
(8)前記押付装置が、前記スライダの摺動方向に平行な面に、その面に直角な方向には相対移動可能かつ平行な方向には相対移動不能に取り付けられた摺動板と、その摺動板をスライダから離間する向きに付勢する弾性部材とを含む (7)項に記載のテーパ周面切削工具。
摺動板を取り付けられたスライダが主案内凹部に嵌合されれば、弾性部材の付勢力により摺動板が主案内凹部の内側面に押し付けられ、その反力でスライダが主案内凹部の内側面の反対向きの部分に押し付けられる。スライダが主案内凹部内を移動する際、摺動板もスライダと共に移動し、主案内凹部の内側面上を摺動する。
(9)前記押付装置が、ねじ部材の一端面からボールの一部が突出し、そのボールが弾性部材により突出方向に付勢されてなるボールプランジャを含み、そのボールプランジャが前記スライダの摺動方向に平行な面に、ほぼ直角に形成されたねじ穴に、前記ボールを外向きにして螺合された (7)項または (8)項に記載のテーパ周面切削工具。
ボールプランジャが取り付けられたスライダが主案内凹部に嵌合されれば、ボールプランジャのボールが弾性部材の付勢力により主案内凹部の内側面の一部に弾性的に押し付けられ、その反力によりスライダが主案内凹部の内側面の反対側の部分に押し付けられる。スライダが移動する際には、ボールプランジャのボールが主案内凹部の内側面上を転がるため、ボールおよび内側面の摩耗が少なくて済む。
(10)前記工具本体に、前記スライダに保持される切削刃具である主刃具とは別に、第一副刃具および第二副刃具が取り付けられ、それら第一,第二副刃具がそれぞれ、主刃具により切削される第一のテーパ内周面であるシート面の外周側にそのシート面よりテーパ値の大きい第二テーパ内周面を、またシート面の内周側にそのシート面よりテーパ値の小さい第三テーパ内周面を形成する相対位置に配置された (1)ないし (9)項のいずれか1つに記載のテーパ周面切削工具(請求項5)。
本態様のテーパ周面切削工具によれば、エンジンのバルブシートの加工を能率よく行うことができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をテーパ周面切削工具の一種であるバルブシート切削工具に適用した場合の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1ないし図4において、10は工具本体である。工具本体10は概して段付きの円筒状を成している。工具本体10の後端部側(図1および図4において右方)が中径の嵌合部11、前端部側(図1および図4において左方)が小径部とされるとともに、軸方向の中央部には大径のフランジ部12が形成されている。
フランジ部12の工具本体10の後側端面14は、工具本体10の軸方向と直交する面とされているが、前側端面16は工具本体10の前端部へ向かって次第に小径となるテーパ面とされている。
【0007】
工具本体10は嵌合部11が図示しない工作機械の主軸に形成された嵌合穴に精度よく嵌合され、フランジ部12の後側端面14が主軸の端面に当接させられることにより、主軸に同軸にかつ軸方向に位置決めされて取り付けられる。
図2ないし図4に示すように、フランジ部12には前側端面16から後側端面14へ軸方向に貫通する段付きのボルト穴20が等角度間隔に4個所形成されている。4つのボルト穴20のうちの1つは、後側端面14側に形成された円弧状の長穴22に連通させられている。これらボルト穴20にそれぞれボルトが挿通されて主軸に形成された雌ねじ穴に締め込まれることにより、工具本体10が主軸に固定される。
【0008】
また、主軸側にはドライブピンが設けられており、ドライブピンが長穴22に嵌入した状態で、工具本体10が、ドライブピンが長穴22のボルト穴20とは反対側の位置決め端部に当接するまで回転させられることにより、ボルト穴20に挿通されたボルトと主軸の雌ねじ穴との位置が合致させられ、ボルトが容易に締め込まれ得る。
上記のようにドライブピンが長穴22の位置決め端部に当接することにより、ドライブピンを介して主軸の回転トルクが工具本体10に伝えられ、工具本体10がその軸心回りに回転させられる。すなわち、被加工物たるバルブシート26(図1,図4および図5に二点鎖線で示す)に対して一軸線回りに相対回転させられるのである。
【0009】
図1および図2に示すように、工具本体10の後端面30からは、軸方向に延びる有底円筒状のガイド穴32が形成されている。ガイド穴32には可動部材たるプランジャ34が軸方向に移動可能に嵌合されている。ガイド穴32の内周面には軸方向に延びる矩形断面のキー溝38が形成される一方、プランジャ34の外周面に形成されたキー溝には平行キー40が取り付けられており、その平行キー40がキー溝38に嵌入させられることにより、プランジャ34のガイド穴32内での相対回転が防止されている。また、プランジャ34の外周面には複数の潤滑溝42が形成されており、工具本体10に取り付けられたグリースニップル46から潤滑剤としてのグリースが供給されることにより、プランジャ34が滑らかに摺動するようにされている。
【0010】
プランジャ34の後端面50からは、プランジャ34を軸方向に貫通する貫通穴52が形成されている。貫通穴52の軸方向の中央よりやや後端面50に近い部分には大径穴部54が形成されている。また、貫通穴52の後端面50側の開口部には、図2に示すように、軸方向に延びて大径穴部54に連通する複数個(図示の例では4個)の嵌合溝部56が等角度間隔で形成されている。これら大径穴部54と嵌合溝部56との形成により、貫通穴52の後部が花弁形係合凹部58を成している。
【0011】
一方、図1に二点鎖線で示すように、工作機械の主軸側には第一可動軸60が設けられている。第一可動軸60は図示しないアクチュエータにより軸方向に移動させられるようになっている。第一可動軸60の前端部には、花弁形係合凹部58と係合可能な花弁形係合突部62が形成されており、プランジャ34の花弁形係合凹部58と係合させられる。第一可動軸60が前進端位置へ移動させられた状態で、工具本体10が、主軸側の前記ドライブピンが工具本体10の長穴22の前記位置決め端部とは反対側の端部近傍に嵌入可能な位相で主軸に取り付けられると、花弁形係合突部62が花弁形係合凹部58内に嵌入し、その後、ドライブピンが長穴22の前記位置決め端部と当接するまで工具本体10が回転させられれば、花弁形係合突部62と花弁形係合凹部58とが軸方向にほぼ相対移動不能に係合する。これにより第一可動軸60がプランジャ34に連結され、第一可動軸60の前進,後退によってプランジャ34がガイド穴32内を軸方向、すなわち工具本体10の軸心と平行な方向に摺動させられる。
【0012】
また、プランジャ34の貫通穴52には、工作機械の主軸側に設けられた第二可動軸70(図1に二点鎖線で示す)が進入させられるようになっている。第二可動軸70の前端部には図示しない把持装置たるコレットチャックが取り付けられている。コレットチャックの操作リングは外周面に歯が形成されたギヤ付ナット72とされており、ギヤ付ナット72が回転させられることによりコレットが縮径させられて、図示を省略するリーマの基端部がコレットチャックに把持されるようになっている。ギヤ付ナット72は、第二可動軸70が図示しないアクチュエータにより前進させられることにより、貫通穴52の大径穴部54を経てプランジャ34の前端面74側の開口近傍に位置させられるようになっている。
【0013】
工具本体10の軸線上には、その前端面からガイド穴32の底面へ貫通する軸方向穴80が形成されている。軸方向穴80とガイド穴32およびプランジャ34の貫通穴52とは同心とされており、軸方向穴80はガイド穴32および貫通穴52と連通している。軸方向穴80には、工具本体10の前端部側から、超硬合金製のスリーブ82が挿入されている。スリーブ82にはリーマが挿通される。工具本体10には、図1に破線で示すように、工具本体10の軸方向と直交する方向に延びて軸方向穴80に連通する雌ねじ穴が形成されており、位置決め用ボルト86が締め込まれ、その先端部がスリーブ82の周壁に形成された嵌合穴88に嵌入させられることにより、スリーブ82の工具本体10からの抜け出しおよび相対回転が防止されている。
軸方向穴80のガイド穴32への開口端部には、円筒状のキャップ90が嵌合されている。キャップ90の一端部には半径方向外向きのフランジ部が形成されており、図2に示すように、フランジ部の2個所においてボルト92によりキャップ90がガイド穴32の底面に固定されている。
【0014】
また、工具本体10には軸方向穴80と平行に延びる段付きの嵌合穴100が形成されている。嵌合穴100は、一端部がガイド穴32の底面に開口する一方、他端部が工具本体10の前端部に形成された切欠102の端面に開口する貫通穴とされている。嵌合穴100には、ギヤ部材104が回転可能かつ軸方向移動可能に嵌合されている。ギヤ部材104は、ギヤ付ナット72と噛み合うギヤ部106と軸部108とから成っており、軸部108が嵌合穴100に嵌合されて、その端部が嵌合穴100から工具本体10の前端側へ突出させられている。
【0015】
ギヤ部材104の軸部108の外周面と嵌合穴100の内周面との間にはブッシュ112が嵌装されており、ねじ部材114により固定されている。また、ブッシュ112の前端面と軸部108に固定されたスプリングリテーナとの間には弾性部材たる圧縮コイルスプリング120が配設されている。したがって、常には、スプリング120によりギヤ部106がブッシュ112を介して工具本体10に当接させられ、ギヤ部材104の軸部108が工具本体10の切欠102から突出させられている。
【0016】
また、ギヤ部材104の軸部108の前端面には、図1に破線で示すように、軸方向に延びる工具係合用の六角穴122が形成されている。この六角穴122に六角レンチ等の回転操作工具を係合させ、スプリング120の付勢力に抗してギヤ部材104をガイド穴32側へ移動させることにより、プランジャ34の貫通穴52内においてギヤ部106が第二可動軸70のギヤ付ナット72と噛み合わせられる。そして、両者の噛合状態においてギヤ部材104が回転させられることにより、ギヤ付ナット72が回転させられ、コレットの把持,解放が行われる。
【0017】
したがって、アクチュエータにより第二可動軸70が前進させられてコレットが貫通穴52内に進入させられた状態で、スリーブ82の前端部からリーマが挿入され、そのシャンクがキャップ90を経て貫通穴52内でコレットチャックに嵌入させられた後、ギヤ部材104の操作によりコレットチャックが縮径させられれば、リーマが第二可動軸70に固定される。
リーマが固定された状態で第二可動軸70が後退させられれば、リーマがスリーブ82に案内されつつ軸方向に移動し、工具本体10内に収容される。それに対して、切削加工時には、第二可動軸70が前進させられることにより、リーマの前端部がスリーブ82から突出する加工位置へ移動させられる。
【0018】
図1に示すように、バルブシート26の中央部には、バルブステムを軸方向に摺動可能に保持するバルブガイド124(図1に二点鎖線で示す)が設けられるようになっている。本実施形態においては、リーマにより、バルブガイド124のガイド孔126の内周面の仕上げ加工が行われる。
キャップ90の内周面にはシール部材128が嵌装され、リーマが工具本体10内に引き込まれる際、リーマに付着した切粉がガイド穴32やプランジャ34内に侵入しないようにされている。
【0019】
工具本体10は、フランジ部12から前端部へ向かって、軸心に対して傾斜した傾斜溝130およびその傾斜溝130から軸方向に平行に延びる軸方向溝132を備えている。傾斜溝130および軸方向溝132は、図3に示すように断面形状が矩形である。
傾斜溝130および軸方向溝132には、スライダ136が摺動可能に嵌合されている。スライダ136は、図8に示すように傾斜溝130に沿った傾斜部137と軸方向溝132に沿った軸方向部138とを備えており、図3に示すように矩形の断面形状を有している。スライダ136の傾斜部137が傾斜溝130に、軸方向部138が軸方向溝132にそれぞれ嵌合される。また、図8に示すように、スライダ136の側面140,141と、傾斜溝130の底面と摺接する底面142とにはそれぞれ潤滑溝144が形成されており(側面141および底面142の潤滑溝は省略する)、潤滑溝144にグリース等の潤滑剤が供給されることにより、スライダ136が滑らかに摺動するようにされている。
【0020】
スライダ136の傾斜部137には、傾斜部137の長手方向に直交する幅方向に延びる貫通穴146が、傾斜部137の長手方向に隔たった2個所に形成されている。貫通穴146のスライダ136の側面141側の内周面は雌ねじ穴とされ、ボールプランジャ290が螺合されている。ボールプランジャ290は、図12に示すように、ねじ部材292と、ねじ部材292内に回転可能に嵌合され、その一部がねじ部材292の一端面に形成された開口から突出するボール294と、ねじ部材292内部に配設され、ボール294をねじ部材292の上記一端面から突出する向きに付勢する弾性部材としての圧縮コイルスプリング(図示省略)とを備えている。ボールプランジャ290は、ボール294の突出部がスライダ136の側面141から僅かに突出する状態でスライダ136内に固定される。
【0021】
スライダ136には、図1に示すように、工具保持部として、軸方向の前端面148から軸方向に延びる工具保持穴150が形成されており、刃具保持部材たるバイト152のシャンクが嵌合されている。バイト152の頭部には第一刃具たるスローアウェイチップ156が図示しないクランプ部材によりクランプされて保持されている。また、バイト152の軸部の端面には傾斜面が形成される一方、スライダ136の軸方向部134には、軸方向と直交する方向に延びて嵌合穴150に連通する雌ねじ穴が形成されており、調整ねじ158が螺合されている。調整ねじ158の先端には、バイト152の傾斜面に対応したテーパ面が形成されている。調整ねじ158が回転させられてテーパ面の位置が変えられることにより、バイト152の軸方向位置が変化させられ、チップ156の切刃の刃先位置の調整が可能とされているのである。
本実施形態においては、図5に拡大して示すように、チップ156により、バルブシート26の中央部の第一テーパ内周面であるシート面160の切削が行われる。チップ156が主刃具なのである。
【0022】
工具本体10には、傾斜溝130の開口部を覆う状態でカバー164が取り付けられている。カバー164には、図6および図7に示すように4個所にボルト穴166が形成されており、各ボルト穴166に挿通された頭付ボルト168が工具本体10の傾斜溝130を挟んで両側に締め込まれることにより、カバー164が工具本体10に取り外し可能に固定されている。
カバー164の内側面170、すなわちスライダ136に対向する面には、カバー164を幅方向に横切って形成された矩形断面の溝172が形成されており、この溝172内に耐摩耗性材料たるセラミックス176が溝172を埋める状態でコーティングされている。図1に示すように、セラミックス176のコーティング層のスライダ136に対向する面は、カバー164の内側面170と同一平面上に位置する平面とされており、この平面がスライダ136の傾斜部137の頂面に面接触してスライダ136の摺動を案内する案内面180とされている。
【0023】
一方、図8に示すように、スライダ136の頂面のカバー164に対向する部分には凹部184が形成されている。凹部184は、スライダ136を幅方向に横切って形成された矩形断面の溝とされている。図1に示すように、凹部184には、耐摩耗性材料たる超硬合金から成る平板186が取り外し可能に嵌合されている。平板186が凹部184に嵌合された状態では、平板186のカバー164に対向する面が頂面を形成している。
また、凹部184の矩形断面を成す底面の四隅には、収容穴300が形成され、弾性部材としての圧縮コイルスプリング(図示省略)が収容されている。このスプリングの付勢力により平板186がカバー164の案内面180に押し付けられ、その反力でスライダ136の底面142が傾斜溝130の底面に押し付けられる。このようにすれば、スライダ136が傾斜溝130内を摺動する際のがたつきが防止される。
【0024】
スライダ136には、凹部184から底面142へ貫通する段付きの嵌合穴192が形成されている。嵌合穴192にはピン194が嵌合されている。ピン194は頭部である長手形状のフランジ部196と、先端側ほど細い段付状の軸部197とを有している。フランジ部196が嵌合穴192の段付部の底面198に当接させられることにより、ピン194の嵌合穴192内での軸方向位置が決められている。フランジ部196には複数のボルト穴202が形成されており、各ボルト穴202に挿通された頭付ボルト200によってピン194がスライダ136に固定される。
【0025】
工具本体10の傾斜溝130の底面には、傾斜溝130の長手方向に延び、ガイド穴32に連通する長穴208が形成されており、ピン194の軸部197が長穴208にその長手方向に移動可能に嵌合されている。一方、プランジャ34には、ピン194の嵌入を許容する嵌合穴210が形成されており、ピン194の軸部197が軸方向に移動可能に嵌合されている。
【0026】
したがって、プランジャ34が第一可動軸60によりガイド穴32内を軸方向に摺動させられることにより、ピン194の外周面と嵌合穴210の内周面とが係合してピン194が長穴208内を移動させられる。このとき、傾斜溝130の開口部はカバー164により覆われているため、ピン194が固定されたスライダ136は一直線に沿ってのみ移動可能であり、斜面の効果によって、スライダ136が傾斜溝130に沿ってピン194と一体的に移動させられる。ピン194が長穴208の端面に当接させられることにより、スライダ136の移動限度が規定される。
【0027】
スライダ136が傾斜溝130に沿って摺動させられることにより、スライダ136の軸方向部134に保持されたバイト152がスライダ136と一体的に移動させられる。それにより、バイト152に保持されたチップ156の切刃によりバルブシート26のシート面160の切削が行われる。シート面160の傾斜角度が傾斜溝130の傾斜角度により決まるのである。
【0028】
図3および図6に示すように、傾斜溝130の一方の溝側面216は傾斜溝130の長手方向に対して傾斜した傾斜面とされている。そして、溝側面216と、溝側面216に対向するスライダ136の側面141との間には、調整板220が挿入されている。調整板220の溝側面216側の面は、溝側面216の傾斜角度に対応した傾斜面222とされている。
【0029】
図7に破線で示すように、工具本体10には、傾斜溝130と直交し、溝側面216に開口する嵌合穴226が形成されている。嵌合穴226は円形断面を有している。嵌合穴226には、図6に破線で示す偏心ピン228の本体部230が回転可能に嵌合されている。偏心ピン228は本体部230と、本体部230の先端面から突出した偏心軸部232とを備えている。偏心ピン228の本体部230の外周面には図示しない円環溝が形成され、また、後端面には工具係合用の六角穴(図示省略)が形成されている。
【0030】
一方、図6に示すように、調整板220の傾斜面222には、調整板220の長手方向と直交する方向に延びる係合溝240が形成されている。係合溝240の、調整板220の長手方向の寸法は、偏心ピン228の偏心軸部232の直径より僅かに大きくされている。また、図1に示すように、調整板220の長手方向において厚さの薄い側の端部の端面には、V字形の切欠302が形成され、調整板220が工具本体10内に配設された状態では、この切欠302の一方の面が工具本体10の軸線に対して平行に、他方の面が直角となり、工具本体10の軸方向に平行に延びる雌ねじ穴304(図3参照)に螺合されたボルト(図示省略)の突出端部がこの直角な面に係合可能である。
【0031】
傾斜溝130の溝側面216とスライダ136の側面141との間に調整板220が挿入された後、嵌合穴226に偏心ピン228が挿入され、偏心軸部232が係合溝240に係合させられる。前記六角穴に六角レンチ等の工具が係合させられ、偏心ピン228が嵌合穴226内で回転させられることにより、偏心軸部232と係合溝240との係合により調整板220が長手方向に移動させられる。偏心ピン228の操作により、調整板220の長手方向の位置調整が行われるのである。その際、調整板220の切欠302に、前記雌ねじ穴304に螺合されたボルトの突出端部が係合させられることにより、この突出端部がストッパとして機能させられ、調整板220の長手方向の移動限度が規定される。調整板220の位置調整終了後、偏心ピン228の前記円環溝に図7に示すセットスクリュ242が当接させられることにより、偏心ピン228の回転が防止され、調整板220が固定される。
【0032】
また、図12に基づいて前述したように、スライダ136の傾斜部137に螺合されたボールプランジャ290の、スライダ136の側面141から突出したボール294の突出部は、調整板220の傾斜面222とは反対側の側面224(図12において二点鎖線で図示)に接触することになり、前記圧縮コイルスプリングの付勢力により調整板220が傾斜溝130の溝側面216に押し付けられ、その反力でスライダ136が傾斜溝130の調整板220とは反対側の溝側面に押し付けられる。これにより、スライダ136の摺動時の幅方向のがたつきが防止される。
【0033】
図6および図8に示すように、スライダ136の軸方向部138の側面140の、バイト152を保持する工具保持穴150に近接した部分には、傾斜溝130(スライダ136の摺動方向)と平行な方向に延びる案内溝310が軸方向に隔たって2個形成されている。
【0034】
一方、図3および図6に示すように、工具本体10には案内突部312が設けられている。工具本体10は、主本体部材313と案内部材314とが組み立てられることにより構成されており、案内部材314に形成された案内突部312が工具本体10の案内突部として機能するようになっているのである。主本体部材313には軸線に平行に円形穴315が形成されている。円形穴315は、主本体部材313の先端面から、軸方向溝132のスライダ136の案内溝310に対向する側の溝側面に沿って形成されているのであるが、円形穴315の半径が軸方向溝132の溝側面から円形穴315の中心線までの距離よりも大きくされているため、一部は軸方向溝132と重なっている。その結果、円形穴132の実際の断面形状は軸方向溝132側が欠けた部分円となっている。また、図9に示すように、主本体部材313の外周面の円形穴315に対応する位置には、軸方向に隔たった2個所にボルト穴326が形成され、円形穴315に連通している。
【0035】
円形穴315に案内部材314が嵌合されている。案内部材314は、図10および図11に示すように、円柱の直径方向に隔たった2個所が、互いに平行な平面で切り欠かれた部分円柱状を成し、一方の側部に平面316を、他方の側部に案内突部312をそれぞれ有している。案内突部312は、案内部材の平面316とは反対側の平面に、その平面の長手方向および幅方向に対して傾斜した切欠318が、長手方向に隔たった複数個(図示の実施形態においては3個)形成されることにより、各切欠318の間から突出する状態で複数個(図示の実施形態においては2個)形成されている。これら案内突部312は、案内部材314が円形穴315内に嵌合された状態で、その傾斜方向が傾斜溝130に平行となり、また、軸方向溝312の溝側面から内側に突出するように形成されている。案内突部312の幅は、案内溝310に僅かなクリアランスで嵌合可能な寸法とされている。また、案内部材314には、長手方向に隔たった2個所において雌ねじ穴322が形成されている。主本体部材313の前記ボルト穴326に頭付ボルト328が挿通されてこれら雌ねじ穴322に螺合されることにより、案内部材314が主本体部材313に固定されて一体的な工具本体10を構成するのである。
【0036】
スライダ136を傾斜溝130,軸方向溝132に挿入する際には、まず頭付ボルト328が案内部材314の雌ねじ穴322に緩く螺合されることにより、案内部材314が工具本体10に緩く取り付けられた状態で、案内溝310と案内突部312とが嵌合される。その後、頭付ボルト328が強固に締め込まれることにより案内部材314が工具本体10に固定され、案内突部312が工具本体10の案内突部を構成し、スライダ136の軸方向部138を、案内溝310および案内突部312の長手方向(スライダ136の摺動方向)には移動可能かつ案内溝310および案内突部312の幅方向には実質的に移動不能に支持する状態となる。
【0037】
図4に示すように、工具本体10には、傾斜溝130および軸方向溝132とは別の位相において、軸方向に延びる工具保持孔248,250が形成され、工具保持部とされている。
工具保持孔248にはスローアウェイチップ252を保持したバイト254が嵌合されている。チップ252はクランプ部材256によりバイト254に固定されている。工具保持孔248の底面には、さらに小径の軸方向穴258が形成されており、調整軸260が軸方向移動可能に嵌合されている。調整軸260の前端部は工具保持孔248内へ突出させられており、バイト254の後端面が調整軸260の前端面に当接させられるようになっている。また、調整軸260の外周面には、テーパ穴部が形成されている。
【0038】
工具本体10には軸方向と直交して軸方向穴258に連通する雌ねじ穴が形成されており、調整ねじ264が螺合されている。調整ねじ264の先端部にはテーパ面が形成されており、調整軸260のテーパ穴部のテーパ面に当接させられるようになっている。調整ねじ264が回転させられて軸方向穴258への突出量が調節されることにより、斜面の効果により調整軸260の軸方向位置が変えられ、工具保持孔248への突出量が変えられるのである。したがって、調整ねじ264の位置調節が行われることによってバイト254の軸方向位置が調節され、それによって、バイト254に保持されたチップ252の切刃の軸方向の刃先位置調整が行われるようになっている。チップ252の刃先位置調整が行われた後、図示しないクランプねじが締め込まれることにより、バイト254が工具本体10に固定される。
【0039】
工具保持孔250には、スローアウェイチップ268を保持したバイト270が嵌合されている。工具保持孔250側においても工具保持孔248側と同様に軸方向穴272および雌ねじ穴がそれぞれ形成されており、調整軸260および調整ねじ264が配設されている。したがって、これらにより、バイト270に保持されたチップ268の切刃の軸方向の刃先位置調整が行われるようになっている。これらの構成は工具保持孔248側と同様であるため、同様の部材には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施形態においては、図5に示すように、チップ252により、バルブシート26のシート面160にガイド孔126とは反対側において隣接する第二テーパ内周面280の切削が行われ、チップ268によりシート面160にガイド孔126側において隣接する第三テーパ内周面282の切削が行われる。チップ252が第一副刃具として、チップ268が第二副刃具としてそれぞれ機能するのである。
【0041】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、工具本体10の傾斜溝130およびカバー164が主案内凹部を構成し、スライダ136の案内溝310が副被案内部を、工具本体10の案内突部312が副案内部をそれぞれ構成している。また、プランジャ34がスライダ136の駆動部材として機能し、傾斜溝130,カバー164,嵌合穴210,ピン194,長穴208等が、プランジャ34の運動をスライダ136の傾斜溝130に沿った運動に変換する運動変換機構を構成し、これら駆動部材および運動変換機構等がスライダ駆動装置を構成している。さらに、軸方向溝132の溝側面において、スライダ136の軸方向部138の側面140に対向する側の溝側面が、請求項3における「前記一軸線に平行に延びて前記軸方向部の側面に対向する平面」を構成している。
【0042】
以上のように構成されたバルブシート切削工具によるバルブシート26の切削加工を説明する。
まず、チップ156を保持したバイト152をスライダ136の工具保持孔150に取り付け、調整ねじ158を回転させてチップ156の切刃の軸方向の刃先位置調整を行う。また、チップ252を保持したバイト254およびチップ268を保持したバイト270をそれぞれ工具本体10の工具保持孔248,250に取り付け、それぞれにおいて、調整ねじ264を回転させてチップ252,268の切刃の軸方向の刃先位置を調整する。
【0043】
次に、第一可動軸60をアクチュエータにより前進端位置へ前進させた状態で、その第一可動軸60側の花弁形係合突部62と切削工具側の花弁形係合凹部58との位相を合致させ、フランジ部12の後端面14を主軸の端面に密着させる。それにより、工具本体10の長穴22に主軸のドライブピンが嵌入するとともに、花弁形係合突部62と花弁形係合凹部58とが軸方向に嵌合する。次に、工具本体10を、ドライブピンが長穴22の位置決め端部に当接するまで回転させれば、花弁形係合突部62と花弁形係合凹部58とが軸方向に実質的に相対移動不能に係合し、プランジャ34と第一可動軸60とが連結される。ボルト穴20にボルトを挿入し、工具本体10を主軸に固定する。通常は、第一可動軸60を後退端位置へ後退させ、スライダ136およびチップ156を後退端位置に保つ。
【0044】
第二可動軸70をアクチュエータにより前進端位置に前進させ、コレットチャックをプランジャ34の貫通穴52内に進入させる。一方、スリーブ82の前端部からリーマを挿入し、それのシャンクをキャップ90を経て貫通穴52内へ進入させ、コレットチャックに嵌入させる。この状態で、ギヤ部材104の六角穴122に工具を係合させて、スプリング120の付勢力に抗してギヤ部材104を貫通穴52側へ移動させ、ギヤ部106をコレットチャックのギヤ付ナット72と噛み合わせる。そして、ギヤ部材104を回転させてギヤ付ナット72をコレットを縮径させる方向に回転させることにより、リーマのシャンクをコレットチャックに把持させる。その後、アクチュエータを逆方向に作動させて第二可動軸70を後退させ、リーマを工具本体10内に収容する。
【0045】
以上で準備が完了し、バルブシート26の各テーパ内周面の切削を行う。すなわち、主軸および切削工具を回転させつつ送り装置により軸方向に前進させ、チップ252に第二テーパ内周面280を、チップ268に第三テーパ内周面282をそれぞれ切削させる。続いて、第一可動軸60を前進させてチップ156にシート面160を切削させるとともに、第二可動軸70を前進させてリーマにバルブガイド124のガイド孔126の内周面を切削させる。このように、シート面160の切削加工とバルブガイド124のガイド孔126の仕上げ加工とが主軸を移動させることなく連続または並行して行われるため、シート面160とガイド孔126との同心度が確保される。また、スリーブ82が超硬合金製とされていて摩耗が少なく、加工時にリーマの半径方向の振れが良好に防止され、この点からも高い加工精度が得られる。
【0046】
また、スライダ136の軸方向部138が工具本体10の案内突部312により支持されることによって、スライダ136の支持剛性が増し、傾斜溝130内における傾斜部137のがたつきと、切削抵抗に起因する軸方向部138の弾性変形とに基づくチップ156の工具本体10に対する相対移動が良好に回避される。したがって、チップ156によるシート面160の加工精度が向上し、また、チップ156の寿命が向上する効果も得られる。軸方向部138に形成された案内溝310と工具本体10の案内突部312とは、ともに傾斜溝130に平行に形成されているため、スライダ136が傾斜溝130に案内されて移動する際の軸方向部138の移動が妨げられることはない。
【0047】
本実施形態によりスライダ136の軸方向部138の支持剛性が増大することは、図13に示す実験結果からも明らかである。この実験においては、本実施形態と同様、副案内部と副被案内部とを設けてスライダの軸方向部を工具本体に支持させる形態のバルブシート切削工具と、スライダの軸方向部が傾斜部から片持ち状に延び出す従来の形態のバルブシート切削工具とにおいて、工具本体の軸方向に直交する方向の押し荷重によるスライダの軸方向部先端の移動量をそれぞれ計測した。その結果、スライダの軸方向部を工具本体に支持させた場合には、支持させない場合と比較して図13に示すように移動量が約10分の1に低減されることが明らかになったのである。
【0048】
また、上記のように第一可動軸60およびプランジャ34の前進によりシート面160が切削される際、スライダ136が傾斜溝130に沿って摺動させられ、チップ156が傾斜溝130に沿って、すなわち傾斜溝130の傾斜角度と同じ角度で精度よくシート面160を切削する。すなわち、プランジャ34の軸方向の移動が、スライダ136の傾斜方向の移動に変換されるのであるが、この変換のために、スライダ136がカバー164に強く押し付けられつつ摺動する。しかし、スライダ136の頂面が超硬合金で形成され、カバー164の案内面180がセラミックスで形成されて共に耐磨耗性が高められているため、両者の摺動面の摩耗が少なくて済み、長期間にわたって高い加工精度が維持される。
【0049】
本実施形態においては、傾斜溝130とスライダ136との断面形状がいずれも単純な矩形とされており、傾斜溝130の開口部がカバー164により覆われることによって、スライダ136が一直線に沿ってのみ移動可能とされる。したがって、従来に比較してスライダ136とスライダ136を保持する工具本体10との摺動面に耐摩耗性向上のための熱処理を施したり、仕上げのための研削加工を施したりすることが容易である。特に、シート面160の切削加工時に摺動面圧が高くなるスライダ34の頂面とカバー164の案内面180とが単純な平面であることは、耐摩耗性向上のために有利である。
【0050】
また、カバー164のスライダ136に対向する部分にのみセラミックスのコーティング層が形成されているため、セラミックスの使用量が少なくて済み、安価に目的を達成することができる。
さらに、コーティング層がカバー164の溝172内に形成されており、案内面180がカバー164の内側面170と同一平面上に位置するようにされているため、カバー164の案内面180と内側面170とを同時に平面研削することができ、それによって、案内面180の摩耗によるシート面160の加工精度の低下を回復することができる。
【0051】
また、スライダ136の頂面が超硬合金製の平板186により形成されているため、頂面が摩耗した場合には、平板186を交換することにより加工精度を回復させることができ、スライダ136全体を交換する場合に比較して安価に目的を達成することができる。特に、本実施形態においては、スライダ136の凹部184が、スライダ136を幅方向に横切る矩形断面の溝とされているため、凹部184の形成が容易となって凹部184自体の加工精度を向上させることができるとともに、平板186の交換時に凹部184内の清掃を行うことが容易となる効果が得られる。
【0052】
さらに付言すれば、カバー164の案内面180がセラミックスで形成され、スライダ136の頂面が超硬合金で形成されているため、両者が摺動した場合に主としてセラミックス製の案内面180が摩耗する。そのため、加工精度の低下時にカバー164を新しいものと交換することによって、加工精度を容易に回復させることができる。カバー164はスライダ136に比較して簡単な構造の小形部品であるため、カバー164を新品と交換しても修理コストが高くなることがない。
【0053】
また、カバー164の案内面180を超硬合金製の平板により形成するためには、カバー164の内側面に、セラミックスのコーティング層を形成する場合に比較して深い凹部を形成することが必要であるが、カバー164はスライダ136に比較して薄く済むのが普通であるため、深い凹部を形成することは好ましくない。また、超硬合金製の平板をカバー164にろう付けする場合には、スライダ136にろう付けする場合に比較してカバー164に反りが生じ易い。これらの点からも、カバー164の案内面180をセラミックスで形成し、スライダ136の頂面を超硬合金で形成することが望ましいのである。
【0054】
バルブシート26のシート面160の切削を行ううちに、スライダ136の側面140,141あるいは傾斜溝130の溝側面216が摩耗し、スライダ136の側方クリアランスが増大して加工精度が低下した場合には、セットスクリュ242を緩め、偏心ピン228の六角穴に工具を係合させて偏心ピン228を回転させる。それにより、偏心軸部232と係合溝240との係合によって調整板220が厚さが厚い側から薄い側に向かって移動させられる。したがって、調整板220の板厚が増大したに等しいことになり、側方クリアランスの増大が打ち消され、加工精度が回復する。
本実施形態においては、偏心ピン228の本体部230と偏心軸部232との偏心量が小さくされており、調整板220を容易に微小移動させることができる。また、バルブシート切削工具を工作機械の主軸に取り付けたままで、上記作業を行うことができ、加工精度を容易に回復させることができる。
以上本発明の一実施形態を詳細に説明したが、これは文字通り例示であり、本発明は、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるバルブシート切削工具を示す正面断面図である。
【図2】図1のバルブシート切削工具を示す右側面図である。
【図3】図1のバルブシート切削工具を示す左側面図である。
【図4】上記バルブシート切削工具を図1とは別の切断面で切断した正面断面図である。
【図5】上記バルブシート切削工具が保持する刃具の位置関係を示す説明図である。
【図6】図1のA矢視図である。
【図7】図1のB矢視図である。
【図8】上記バルブシート切削工具のスライダを示す正面図である。
【図9】上記バルブシート切削工具の工具本体の要部を示す正面図である。
【図10】上記バルブシート切削工具の副案内部を示す正面図である。
【図11】上記副案内部の左側面図である。
【図12】上記スライダの要部を示す断面図である。
【図13】本実施形態と同様の形態のバルブシート切削工具と従来の形態のバルブシート切削工具とにおける実験結果をそれぞれ示す図表である。
【符号の説明】
10:工具本体 34:プランジャ 130:傾斜溝 136:スライダ137:傾斜部 138:軸方向部 156,252,268:スローアウェイチップ 160:シート面 194:ピン 208:長穴 280:第二テーパ内周面 282:第三テーパ内周面 310:案内溝
312:案内突部 313:主本体部材 314:案内部材 315:円形穴 318:切欠

Claims (4)

  1. 一軸線まわりに回転可能であり、かつその一軸線に対して傾斜して形成された主案内凹部を備えた工具本体と、
    前記主案内凹部に長手方向に移動可能かつ長手方向と直角な方向には実質的に移動不能に嵌合された傾斜部と、その傾斜部の前記一軸線に近い側の端からその一軸線にほぼ平行に延び出して先端部に切削刃具を保持する軸方向部とを備えたスライダと、
    そのスライダを前記主案内凹部に沿って移動させるスライダ駆動装置と
    を含むテーパ周面切削工具において、
    前記軸方向部に前記主案内凹部に平行な副被案内部を設ける一方、その副被案内部と、その副被案内部の長手方向に相対移動可能かつ幅方向には実質的に相対移動不能に嵌合して副被案内部を案内する副案内部を前記工具本体に設けたことを特徴とするテーパ周面切削工具。
  2. 前記副案内部が、前記工具本体の主要構成部材である主本体部材とは別体に製作され、主本体部材に組み付けられて工具本体の一部となる案内部材により構成された請求項1に記載のテーパ周面切削工具。
  3. 前記主本体部材の、前記一軸線に平行に延びて前記軸方向部の側面に対向する平面を形成する部分に、前記一軸線に平行な中心線を有しかつ半径が前記平面から中心線までの距離より大きい円形穴が形成される一方、前記案内部材が、前記円形穴に円柱状部材を嵌合させた場合に、前記平面から前記軸方向部側へ突出する部分に、前記傾斜部に平行な複数の切欠が形成されることによりそれら切欠の間に前記副案内部が形成された請求項2に記載のテーパ周面切削工具。
  4. 前記工具本体に、前記スライダに保持される切削刃具である主刃具とは別に、第一副刃具および第二副刃具が取り付けられ、それら第一,第二副刃具がそれぞれ、主刃具により切削される第一のテーパ内周面であるシート面の外周側にそのシート面よりテーパ値の大きい第二テーパ内周面を、またシート面の内周側にそのシート面よりテーパ値の小さい第三テーパ内周面を形成する相対位置に配置された請求項1ないし3のいずれか1つに記載のテーパ周面切削工具。
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