JP7289984B2 - 加工工具 - Google Patents

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Description

本発明は、ワークの開口の内周に切削加工を施して、複数の加工面を形成する加工工具に関する。
例えば、国際公開第2020/017644号には、ワークの開口の内周に切削加工を施して、複数の加工面を形成する加工工具が開示されている。この種の加工工具では、複数のバイトを異なるタイミングでワークの被加工部に接触させて切削加工を行う。これによって、取り代が大きい加工面よりも高精度に形成されることが求められる加工面を形成するバイトが、他のバイトよりも摩耗し易くなること等を回避する。
具体的には、加工工具は、軸線回りに回転可能な工具本体を備える。工具本体の先端側には、固定バイトが固定されるとともに、軸線に沿って移動可能にカートリッジが設けられる。このカートリッジには、可動バイトが取り付けられている。また、カートリッジは、工具本体の内部に設けられたカムが該カートリッジに当接して回転することで移動可能となっている。カムは、工具本体の内部を軸線に沿って進退するロッドの当接部が、該ロッドの進退に応じてカムの当接位置に当接することで回転可能となっている。
加工工具を用いてワークの被加工部に切削加工を施す場合、工具本体を回転駆動しつつ固定バイトを被加工部に接触させる。この際に、可動バイトが被加工部から離間するように、工具本体に対するカートリッジの相対位置を調整しておく。このようにして切削加工を行うことで、被加工部に複数の加工面のうちの所定の加工面が形成される。次に、工具本体に対するカートリッジの相対位置を調整することで、固定バイトに代えて、可動バイトを被加工部に接触させて切削加工を行う。これによって、被加工部に残余の加工面が形成される。
上記の加工工具では、工具本体が、その先端側に配置されてバイトを保持するバイト保持部と、該バイト保持部の基端側に着脱自在に固定されて内部にカムを収容するカム収容部とから構成される。これによって、例えば、バイト保持部をカム収容部から取り外して、該バイト保持部に保持される摩耗したバイトを交換すること等ができる。
この加工工具では、例えば、カム収容部とバイト保持部とを着脱する際や、バイト保持部に対するバイトの位置調整を行う際等に、ロッドの当接部をカムの当接位置から離間させておくことがある。この場合、カムが回転可能であるため、カムの当接位置が当接部に臨む向きからずれることがある。この状態で、ロッドの当接部を再びカムに接近させると、カムの当接位置ではない場所に当接部が当接する懸念がある。当接位置ではない場所に当接部が当接すると、カムやロッドにかかる負荷が大きくなるため回避することが好ましい。
本発明はこの種の技術に関連してなされたものであり、カムの当接位置ではない場所にロッドの当接部が当接することを回避できる加工工具を提供する。
本発明の一態様は、開口を有するワークの内周に切削加工を施して、複数の加工面を形成する加工工具であって、カム収容部及び該カム収容部の先端側に着脱自在に固定されるバイト保持部を有し、軸線回りに回転駆動される工具本体と、前記バイト保持部に保持されて前記工具本体とともに回転する複数のバイトと、前記バイト保持部に進退可能に設けられ、且つ前記複数のバイトの少なくとも1つが取り付けられるカートリッジと、前記カム収容部の内部に収容され、前記カートリッジに当接して回転することで前記カートリッジを進退させるカムと、前記工具本体の内部を前記軸線に沿って進退するロッドと、前記ロッドに設けられ、該ロッドの進退に応じて前記カムの当接位置に当接することで前記カムを回転させる当接部と、前記当接位置から前記当接部が離間した状態の前記カムの位相を、前記当接位置が前記当接部に臨む基準位置となるように調整可能な規制機構と、を備える。
この加工工具は、ロッドの当接部と離間したカムの当接位置が、当接部に臨む基準位置となるようにカムの位相を調整可能な規制機構を備える。これによって、カムの当接位置ではない場所にロッドの当接部が当接することを回避できる。
本発明の実施形態に係る加工工具の先端面の概略説明図である。 カートリッジを後退させた状態の図1のII-II線矢視要部断面図である。 図2の加工工具のカートリッジを進出させた状態の要部断面図である。 図2の加工工具のロッドを後退させ、且つバイト保持部とカム収容部とを離間させた状態を説明する要部断面図である。 図5Aは、カムが基準位置にあるときの規制機構を説明する加工工具の要部拡大側断面図であり、図5Bは、図5AのVB-VB線矢視断面図である。 図6Aは、カムが基準位置にないときの規制機構を説明する加工工具の要部拡大側断面図であり、図6Bは、図6AのVIB-VIB線矢視断面図である。 切削加工を施す前のバルブシート素材及びシリンダヘッド本体の概略部分断面図である。 図7のバルブシート素材に切削加工を施した後のシリンダヘッドの概略部分断面図である。 図7のバルブシート素材に第1バイト及び第2バイトを用いて逃し面を加工する様子を説明する概略説明図である。 図9のバルブシート素材に第3バイトを用いてバルブシート面を加工する様子を説明する概略説明図である。 変形例に係る規制機構を説明する加工工具の軸線に対する要部直交断面図である。 図12Aは、カムが基準位置にあるときの図11の規制機構を説明する加工工具の要部拡大側断面図であり、図12Bは、カムが基準位置にないときの図11の規制機構を説明する加工工具の要部拡大側断面図である。
本発明に係る加工工具について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の図において、同一又は同様の機能及び効果を奏する構成要素に対しては同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する場合がある。
以下では、図1~図6Bに示す本実施形態に係る加工工具10を適用して、図7に示すバルブシート素材12をワークとし、当該バルブシート素材12の開口12aの内周に切削加工を施すことで、図8に示す第1逃し面14と、バルブシート面16と、第2逃し面18とを複数の加工面として形成する例について説明する。第1逃し面14、バルブシート面16、第2逃し面18は、開口12aの軸方向に対する傾斜角度が互いに異なる傾斜面である。図7に示すように、バルブシート素材12は、シリンダヘッド本体20に圧入又は接合されており、上記のようにして切削加工が施されることで、図8に示すシリンダヘッド22のバルブシート24を構成する。
しかしながら、加工工具10を適用して切削加工を施すことが可能な対象は、バルブシート素材12に限定されるものではない。また、加工工具10により形成可能な複数の加工面は、上記の第1逃し面14、バルブシート面16、第2逃し面18に限定されるものではない。加工工具10は、ワークの開口の内周に切削加工を施して、複数の加工面を形成する場合に好適に適用することができる。その一例としては、ワークの開口の内周に対して、ラフボーリング加工による加工面及びファインボーリング加工による加工面をそれぞれ形成する場合や、ボーリング加工による加工面及び面取り加工による加工面をそれぞれ形成する場合等が挙げられる。
先ず、図8を参照しつつ、シリンダヘッド22について簡単に説明する。シリンダヘッド22は、例えば、鋼材等の鉄系材料の焼結体からなる円環状のバルブシート24と、例えば、純アルミニウムや、アルミニウム合金等のアルミニウム系材料からなるシリンダヘッド本体20とを備える。なお、バルブシート24は、さらに、銅系材料等の高電気伝導率材料を含んでいてもよい。
シリンダヘッド本体20には、ポート26が形成されている。ポート26は、不図示の燃焼室に向かって開口する。本実施形態では、ポート26の燃焼室側の開口周縁部に、円環状のバルブシート24が挿入されることで、該開口周縁部にバルブシート24が嵌合されている。
バルブシート24の内周には、互いに面方向が異なる第1逃し面14と、バルブシート面16と、第2逃し面18とが、該バルブシート24の軸方向の一端側(矢印X1側)から他端側(矢印X2側)に向かってこの順に配設されている。第1逃し面14、バルブシート面16、第2逃し面18のそれぞれは、燃焼室側(矢印X1側)に向かって開口を拡径する方向に傾斜する。バルブシート24の軸方向に対する各面の傾斜角度の一例としては、第1逃し面14が60°であり、バルブシート面16が45°であり、第2逃し面18が30°であることが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
バルブシート24の内周面のうち、バルブシート面16に対して、不図示のバルブが着座又は離間することにより、ポート26が開閉可能となっている。このため、シリンダヘッド22の高品質化を図るべく、バルブとバルブシート面16とを隙間なく接触させるためには、バルブシート24の内周面のうち、特に、バルブシート面16の真円度や面粗度等が高精度に加工されている必要がある。
次に、図7を参照しつつ、切削加工が施されてバルブシート24となる前のバルブシート素材12、換言すると、第1逃し面14と、バルブシート面16と、第2逃し面18とが形成されていないバルブシート素材12について説明する。バルブシート素材12は、シリンダヘッド本体20に圧入された円環状である。バルブシート素材12の内周には、例えば、軸方向の一端側(矢印X1側)に配置される直交端面28と、軸方向の他端側に配置される軸方向面30と、直交端面28と軸方向面30との間に配置されるテーパ状面32とを有する。直交端面28は、軸方向に直交する。軸方向面30は、ポート26の内周面と面一に形成される。テーパ状面32は、軸方向の一端側(矢印X1側)に向かって開口を拡径する方向に傾斜するテーパ状である。
次に、図1~図6Bを参照しつつ、加工工具10について説明する。加工工具10は、図7に示すバルブシート素材12の開口12aの内周に切削加工を施して、図8に示す第1逃し面14と、バルブシート面16と、第2逃し面18とを形成する。なお、本実施形態では、加工工具10は、バルブシート素材12の切削加工に加えて、バルブガイド孔(不図示)のリーマ加工を施すことも可能な複合加工工具である。バルブガイド孔は、シリンダヘッド本体20に設けられ、上記のバルブの軸部(不図示)を挿通可能となっている。
具体的には、図2及び図3に示すように、加工工具10は、工具本体40と、第1バイト42と、第2バイト44(図1)と、第3バイト46と、カートリッジ48と、カム50と、カートリッジ付勢部材52と、ロッド54と、図5A~図6Bに示す規制機構56と、リーマ58とを備える。
図2及び図3に示すように、工具本体40は、バイト保持部40aと、カム収容部40bとが、互いに着脱自在に固定されて構成される。バイト保持部40aと、カム収容部40bとは、工具本体40の先端側(矢印Y1側)から基端側(矢印Y2側)に向かってこの順に配置される。バイト保持部40aは、先端側の径が基端側に比して小さくなる段付きの略円筒状である。また、バイト保持部40aの基端側には、大径部40aLが設けられる。この大径部40aLの外周側に対するボルト41を用いたボルト止め等によって、バイト保持部40aの基端側とカム収容部40bの先端側とが着脱自在に固定されている。
カム収容部40bの基端側は、例えば、不図示の工作機械が備える回転駆動機構の回転主軸に固定される。これによって、工具本体40は、軸線a回りに回転駆動される。また、工具本体40は、工作機械が備える工具本体駆動機構により、軸線aに沿って進退駆動される。
第1バイト42は、第1逃し面14(図8)を加工するための刃先42aを有し、シャンク42bを介して工具本体40のバイト保持部40aに着脱自在に取り付けられている。具体的には、図1に示すように、バイト保持部40aに軸線aに沿って設けられた収容溝60の内壁60aと、該収容溝60内の内壁60aよりもバイト保持部40aの回転方向の前方に設けられた締め付け部材62との間にシャンク42bが挟持されることで、第1バイト42がバイト保持部40aに直接固定される。
締め付け部材62は、バイト保持部40aの径方向に延在するように設けられたねじ孔とねじ64とを螺合させることにより、バイト保持部40aの回転方向の前方から収容溝60の内壁60aに向かってシャンク42bを押圧して、締め付け力を加えることができる。また、締め付け部材62では、ねじ孔とねじ64との螺合を緩めることにより、シャンク42bに対する締め付けを緩めることができ、これによって、収容溝60の内壁60aと締め付け部材62との間でシャンク42bを出し入れ可能になっている。
第2バイト44は、第2逃し面18(図8参照)を加工するための刃先44a(図9参照)を有し、シャンク44bを介してバイト保持部40aに着脱自在に取り付けられている。第2バイト44も第1バイト42と同様にして、締め付け部材62を介してバイト保持部40aに直接固定される。
第3バイト46は、バルブシート面16(図8参照)を加工するための刃先46aを有し、シャンク46bを介してカートリッジ48に着脱自在に取り付けられている。具体的には、カートリッジ48に軸線aに沿って設けられた収容溝66の内壁66aと、該内壁66aよりも回転方向の前方に設けられた締め付け部材62との間にシャンク46bが挟持されることで、第3バイト46がカートリッジ48に固定される。
カートリッジ48は、バイト保持部40aに対して、軸線aに沿って進退可能に取り付けられ、バイト保持部40aとともに回転駆動される。なお、以下では、工具本体40の先端に向かう側(矢印Y1側)をカートリッジ48の進出方向とし、工具本体40の基端に向かう側(矢印Y2側)をカートリッジ48の後退方向とする。
図2及び図3に示すように、カートリッジ48は、カートリッジ本体68と、プッシュロッド70とが一体化されて構成されている。カートリッジ本体68は、バイト保持部40aに軸線aに沿って形成された溝72の内部に摺動可能に配設される。また、カートリッジ本体68は、ボディ74と、該ボディ74の軸線a側(バイト保持部40aの径方向の中心側)の部分から先端側(矢印Y1側)に向かって延在する延在部76とを有する。延在部76の軸方向全体と、ボディ74の先端側の一部に、第3バイト46のシャンク46bを収容する収容溝66が設けられている。
図1に示すように、ボディ74は、軸線aの先端側から見て、略矩形状であり、回転方向の前方側、且つバイト保持部40aの径方向の外側の角部が切り欠かれて受圧面74aが設けられている。ボディ74及び延在部76では、回転方向の後方の端面78が互いに面一に形成され、且つ軸線a側の端面80が互いに面一に形成されている。これらの端面78、80は互いに直交する。受圧面74aは、端面78、80の両方に対して傾斜する。
溝72の内部において、カートリッジ本体68の端面78には、溝72の第1内壁面72aが当接し、端面80には、溝72の第2内壁面72bが当接する。第1内壁面72aは端面78に沿って延在し、第2内壁面72bは端面80に沿って延在するため、第1内壁面72a及び第2内壁面72bは互いに直交する。
受圧面74aには、バイト保持部40aにボルト止め等によって取り付けられた板ばね82が、回転方向の前方から当接する。この板ばね82によって、カートリッジ本体68の回転方向の前方から、溝72の第1内壁面72a及び第2内壁面72bの両方に対して傾斜する方向にカートリッジ本体68が押圧される。
図2及び図3に示すように、ボディ74の基端側には、軸線aに沿って嵌合穴84が設けられ、該嵌合穴84にプッシュロッド70の先端側の小径部70aが嵌合している。プッシュロッド70の小径部70aの基端側には、小径部70aより大径の軸部70bが設けられ、該軸部70bの基端側にはフランジ部70cが設けられている。バイト保持部40aの大径部40aLの溝72に臨む部分には、軸線aに沿って貫通孔86が設けられている。この貫通孔86に、プッシュロッド70の軸部70bが進退可能に挿通されることで、該プッシュロッド70の先端側を除く大部分が、バイト保持部40aとカム収容部40bとによって形成されるプッシュロッド室88に挿入されている。
貫通孔86の内径は、プッシュロッド70の軸部70bの外径よりも僅かに大きく、プッシュロッド室88の内径よりも小さい。このため、プッシュロッド室88と貫通孔86との間には、段差面90が形成される。
プッシュロッド70のフランジ部70cは、プッシュロッド室88の内径より僅かに小径であり、プッシュロッド室88内を摺動可能となっている。このフランジ部70cと段差面90との間に、例えば、ばね等の弾性体からなるカートリッジ付勢部材52が設けられている。カートリッジ付勢部材52は、フランジ部70cと段差面90とを離間させる方向、換言すると、カートリッジ48を後退させる方向に弾発付勢する。
カム収容部40bには、プッシュロッド室88の基端側に連通してカム室92が設けられ、該カム室92の軸線a側(カム収容部40bの径方向の中心側)に連通してロッド室94が設けられている。カム室92には、プッシュロッド70の基端面70d(カートリッジ48の基端面)に当接するカム50がカム軸96を介して回転可能に設けられている。
カム50は、プッシュロッド70の基端面70dに当接して、カートリッジ48を進退させる。具体的には、カム50は、略円形状であり、円弧の一部が切り欠かれた切り欠き面50aと、円の中心側に向かって陥没する凹部50bと、切り欠き面50aと凹部50bとの間に設けられた円弧状面50cとを有する。凹部50bには、ロッド54の当接部54aが挿入可能となっている。当接部54aは、ロッド室94内に軸線aに沿って進退可能に設けられたロッド54の外周面から円環状に突出する。凹部50bの内面には、該凹部50bに挿入された当接部54aと当接可能な当接位置51が設けられている。
カム50は、当接部54aを凹部50bに進入させつつ、ロッド54を進退させることで、円(円弧)の中心を回転中心として回転駆動される。具体的には、上記の回転中心を通るカム50の回転軸方向は軸線aに対し交差、好ましくは直交している。また、当接部54aを当接位置51に当接させつつロッド54を進出させることで、図3に示すように、円弧状面50cがカートリッジ48(プッシュロッド70)の基端面70dに当接するようにカム50が回転する。
一方、当接部54aを当接位置51に当接させつつロッド54を後退させることで、図2に示すように、切り欠き面50aがカートリッジ48の基端面70dに当接するようにカム50が回転する。これによって、円弧状面50cと切り欠き面50aとを選択的にカートリッジ48の基端面70dに当接させることが可能である。
円弧状面50cの半径rは、円の中心から切り欠き面50aまでの垂線の長さLよりも長い。このため、図3に示すように、円弧状面50cを基端面70dに当接させることで、切り欠き面50aを基端面70dに当接させた場合に比して、半径rと垂線の長さLとの差分だけ、カートリッジ付勢部材52の弾発力に抗してカートリッジ48を進出させることができる。このようにして、カートリッジ48を進出させた状態では、例えば、第3バイト46の刃先46aが、第1バイト42及び第2バイト44の刃先42a、44aよりも工具本体40の先端側に配置される。これによって、バルブシート素材12の内周に第3バイト46のみを接触させて切削加工を行うことが可能となっている。
一方、図2に示すように、切り欠き面50aをカートリッジ48の基端面70dに当接させることで、円弧状面50cを基端面70dに当接させた場合に比して、半径rと垂線の長さLとの差分だけ、カートリッジ付勢部材52の弾発付勢下にカートリッジ48を後退させることができる。このようにして、カートリッジ48を後退させた状態では、例えば、第1バイト42及び第2バイト44の刃先42a、44aが、第3バイト46の刃先46aよりも工具本体40の先端側に配置される。これによって、バルブシート素材12の内周に第1バイト42及び第2バイト44のみを接触させて切削加工を行うことが可能となっている。
ロッド54は、該ロッド54の基端側に設けられた不図示のアクチュエータによって、軸線aに沿って進退可能となっている。なお、アクチュエータには、液圧シリンダ等の流体圧アクチュエータも含まれる。また、ロッド54の内部には、クーラントを工具本体40の先端側に供給するためのロッド内流路(不図示)が軸線aに沿って設けられている。
工具本体40のロッド室94よりも先端側には、ロッド54の先端側に着脱自在に固定されるリーマ58が挿通されるリーマ孔98が連通している。リーマ58は、ロッド54の進退に応じてリーマ孔98の内部を進退可能であり、バイト保持部40aの先端から突出する。
この加工工具10では、図4に示すように、ボルト41によるボルト止めを解除することで、工具本体40をバイト保持部40aと、カム収容部40bとに分離することが可能である。この場合、プッシュロッド室88は、バイト保持部40aに形成される部分と、カム収容部40bに形成される部分とに分離する。また、バイト保持部40aに固定されたプッシュロッド70及びカートリッジ付勢部材52は、プッシュロッド室88のカム収容部40bに形成される部分から抜き取られてカム収容部40bと離間する。
図5A~図6Bの規制機構56は、ロッド54が後退し、該ロッド54の当接部54aがカム50の当接位置51から離間した状態において、カム50の位相を基準位置に調整可能に構成される。基準位置は、カム50の当接位置51が、後退したロッド54の当接部54aに臨む向きであり、本実施形態では、カム50の凹部50bの開口側が、後退したロッド54の当接部54aに臨む向きである。なお、図2に示すように、カム50の切り欠き面50aがプッシュロッド70の基端面70dに当接するときは、カム50が基準位置にある。
具体的には、図5A~図6Bに示すように、規制機構56は、カム軸96と、係合部100と、挿通孔102と、挿通部材104とから構成される。カム軸96は、カム50の回転軸方向(矢印Z1、Z2方向)に沿って延在し、カム50とともに回転可能にカム50に固定されている。カム軸96の延在方向の一端部(矢印Z1側端部)は、カム室92の内壁に回転可能に固定されている。カム軸96の延在方向の他端部(矢印Z2側端部)には、係合部100が設けられている。係合部100は、カム軸96の他端部から一端部側に向かって陥没する凹形状部106と、凹形状部106を形成する周壁106aの一部をカム軸96の径方向に切り欠いた挿入溝108とを有する。
挿通孔102は、カム収容部40b(図5B、図6B)の壁部に形成され、カム収容部40bの外部と係合部100とを連通させる。また、挿通孔102は、カム50が基準位置にあるときのみ、該挿通孔102に挿通された挿通部材104を抜き取り可能とする。具体的には、挿通孔102は、軸方向孔110と、周方向溝112(図5A、図6A)と、鍵穴部114とを有する。軸方向孔110は、カム50の回転軸方向に沿って延在する。周方向溝112は、カム収容部40bの壁部の内部を軸方向孔110と交差する方向に延在する。鍵穴部114は、周方向溝112の一部のみをカム収容部40bの外部とカム50の回転軸方向に連通させる。
挿通部材104は、カム収容部40bの外部から挿通孔102に挿通されて係合部100と係合することで、カム50とともに回転可能である。具体的には、挿通部材104は、軸部116と、把持部118(図5B、図6B)と、規制部120とを有する。
軸部116の軸方向の一端側は、軸方向孔110を介して凹形状部106に挿入されることで係合部100と係合する。把持部118は、軸部116の軸方向の他端側に設けられ、例えば、作業者が挿通部材104を挿通孔102に挿通したり、回転させたりする際に把持することが可能である。
規制部120は、軸部116から該軸部116の径方向に突出する突出片である。軸部116を軸方向孔110に挿通する際、規制部120は鍵穴部114に挿入される。また、軸部116を凹形状部106に挿入する際、規制部120は係合部100の挿入溝108に挿入される。
つまり、図5A及び図5Bに示すように、挿通孔102に対するカム軸96の位相に応じて鍵穴部114と挿入溝108とが重なるとき、規制部120を鍵穴部114及び挿入溝108に挿入しつつ、軸部116を軸方向孔110に挿通して係合部100とを係合させることができる。このように鍵穴部114と挿入溝108とが重なるとき、カム50が基準位置となるように、鍵穴部114と、挿入溝108と、カム50の凹部50b(当接位置51)との位置関係が設定されている。
挿入溝108に挿入された規制部120が、挿入溝108の内壁と当接することで、挿通部材104の回転力をカム軸96に伝えることができる。このため、例えば、軸部116を係合部100に係合させた状態で、把持部118を把持して挿通部材104を回転させることにより、規制部120及びカム軸96を介してカム50を回転させることができる。このようにして挿通部材104を回転させる際、図6A及び図6Bに示すように、規制部120は、カム50の回転に合わせて周方向溝112の内部を移動可能である。
周方向溝112の内部の規制部120は、鍵穴部114を介してのみ周方向溝112からカム収容部40bの外部に移動することが可能となっている。このため、図5A及び図5Bに示すように、挿入溝108内の規制部120が鍵穴部114と重なる位置にあるときのみ、すなわち、カム50が基準位置にあるときのみ、挿通孔102から挿通部材104を抜き取ることができる。換言すると、図6A及び図6Bに示すように、挿入溝108内の規制部120が鍵穴部114と重なる位置にないとき、すなわち、カム50が基準位置にないときは、挿通孔102から挿通部材104を抜き取ることが規制される。
以下、加工工具10の主な動作について説明する。図2に示すように、上記のアクチュエータの作用下にロッド54を後退させることで、カム50の切り欠き面50aをカートリッジ48の基端面70dに当接させる。これによって、カートリッジ48が後退するため、カートリッジ48に取り付けられた第3バイト46の刃先46aよりも、工具本体40に直接取り付けられた第1バイト42及び第2バイト44の刃先42a、44aを進出させることができる。
この状態で、工具本体40を回転駆動しつつ、図7のバルブシート素材12の開口12aに軸方向の一端側から他端側に向かって工具本体40を挿入する。これによって、先ず、工具本体40の先端に設けられたリーマ58によるバルブガイド孔のリーマ加工が行われる。
次に、図9に示すように、第1バイト42及び第2バイト44のそれぞれの刃先42a、44aをバルブシート素材12に接触させて、図8に示す第1逃し面14及び第2逃し面18を形成する切削加工を行う。この切削加工では、第1バイト42及び第2バイト44によって、バルブシート素材12が直交端面28側及びテーパ状面32側から切削される。
図9に二点鎖線で示す取り代S1に相当する分のバルブシート素材12が切削されるまで切削加工を行った後、軸方向の一端側(矢印X1側)に向かって工具本体40を僅かに後退させることで、バルブシート素材12と第1バイト42及び第2バイト44とを離間させる。その結果、バルブシート素材12には、第1逃し面14と同じ傾斜角度の第1切削面14aと、第2逃し面18と同じ傾斜角度の第2切削面18aとが形成される。
次に、上記のアクチュエータの作用下にロッド54を前進させることで、カム50の円弧状面50cをプッシュロッド70の基端面70dに当接させる。これによって、カートリッジ48が進出するため、工具本体40に直接取り付けられた第1バイト42及び第2バイト44の刃先42a、44aよりも、カートリッジ48に取り付けられた第3バイト46の刃先46aを進出させることができる。
この状態で、工具本体40を回転駆動しつつ、軸方向の他端側(矢印X2側)に向かって工具本体40を進出させ、図10に示すように、第3バイト46の刃先46aを、取り代S1が除去された後のバルブシート素材12に接触させて、第1切削面14aと第2切削面18aとの間にバルブシート面16を形成する切削加工を行う。図10に二点鎖線で示す取り代S2に相当する分のバルブシート素材12が切削されるまで切削加工を行った後、軸方向の一端側に向かって工具本体40を後退させる。その結果、開口の内周に、第1逃し面14と、バルブシート面16と、第2逃し面18とが、軸方向の一端側からこの順に形成されたバルブシート24が得られる。
上記のようして切削加工を行ううちに、第1バイト42、第2バイト44、第3バイト46(以下、これらを総称してバイトともいう)に摩耗が生じることがある。この場合、例えば、バイト保持部40aとカム収容部40bとを固定したまま加工工具10を不図示のマシニングセンタから取り外し、摩耗したバイトの交換等を行う。
なお、加工工具10では、上記の通り、バイト保持部40aとカム収容部40bとが着脱可能に固定されている。このため、バイトを保持するバイト保持部40aを、カム収容部40bから取り外した状態で、摩耗したバイトの交換等を行ってもよい。
加工工具10により、第1逃し面14、バルブシート面16、第2逃し面18の加工を高精度に行うためには、バイト保持部40aに対するバイトの刃先42a、44a、46aの固定位置が高精度に設定されている必要がある。そこで、特に、上記のようにバイトの交換を行った後には、例えば、不図示のツールセッター等を用いて、バイト保持部40aに対するバイトの刃先42a、44a、46aの固定位置の調整(以下、単に固定位置調整ともいう)を行うことが好ましい。
以下、バイト保持部40aをカム収容部40bに取り付けた状態で、固定位置調整を行う方法を説明する。固定位置調整を行う場合、当接部54aがカム50の当接位置51から離間するようにロッド54を後退させた状態とする。これによって、カム50は、ロッド54の当接部54aと接触しない状態となる。すなわち、カム50は、当接部54aとの接触により回転が規制された状態から解放される。なお、本実施形態では、加工工具10を不図示のマシニングセンタから取り外すことで、ロッド54は後退した状態となっている。
上記のようにしてロッド54を後退させる前又は後であって、図5A及び図5Bに示すように、カム50が基準位置にあるとき(挿入溝108と鍵穴部114とが重なる位置にあるとき)に、カム収容部40bの挿通孔102に挿通部材104を挿入して係合部100と係合させておく。
次に、図6A及び図6Bに示すように、軸部116を係合部100に係合させた状態で、把持部118を把持して挿通部材104を回転させる。これによって、図3のカム50の円弧状面50cをプッシュロッド70の基端面70dに当接させる(当接部54aは当接位置51から離間)。このようにして、カートリッジ48を進出させた状態で、換言すると、カム50を基準位置から回転させた状態で、カートリッジ48に取り付けられた第3バイト46の固定位置調整を行う。
次に、図5A及び図5Bに示すように、把持部118を把持して挿通部材104を回転させることにより、カム50の切り欠き面50aをプッシュロッド70の基端面70dに当接させる。これによって、カム50が基準位置となり、挿入溝108内の規制部120が鍵穴部114と重なるため、挿通孔102から挿通部材104を抜き取ることが可能になる。
なお、挿通孔102から挿通部材104を抜き取る前又は抜き取った後に、必要に応じて、バイト保持部40aに保持される第1バイト42及び第2バイト44の固定位置調整を行ってもよい。また、これらの第1バイト42、第2バイト44、第3バイト46のそれぞれに対する固定位置調整は、どのような順番で行ってもよい。
挿通孔102から挿通部材104を抜き取った後、バイト保持部40aとカム収容部40bとを固定したまま加工工具10を不図示のマシニングセンタに取り付け、図2に示すように、アクチュエータによって、ロッド54を進出させる。これによって、カム50の当接位置51に、ロッド54の当接部54aを当接させることができる。上記のようにして固定位置調整を行うことで、バイト保持部40aの所定の位置に各バイトの刃先42a、44a、46aが高精度に配置された加工工具10によって、上記の切削加工を行うことが可能になる。
以上から、本実施形態に係る加工工具10では、ロッド54の当接部54aと離間したカム50の当接位置51が、当接部54aに臨む基準位置となるようにカム50の位相を調整可能な規制機構56を備える。これによって、カム50の当接位置51ではない場所にロッド54の当接部54aが当接することを容易且つ効率的に回避することができる。
上記の実施形態に係る加工工具10では、規制機構56は、カム50の回転軸方向に沿って延在し、カム50とともに回転可能にカム50に固定されるカム軸96と、カム軸96に設けられる係合部100と、カム収容部40bに形成され、カム収容部40bの外部と係合部100とを連通させる挿通孔102と、カム収容部40bの外部から挿通孔102に挿通されて係合部100と係合することで、カム50とともに回転可能な挿通部材104と、を有し、挿通孔102は、カム50が基準位置にあるときのみ、挿通孔102に挿通された挿通部材104を抜き取り可能とすることとした。
また、上記の実施形態に係る加工工具10では、挿通孔102は、カム50の回転軸方向に沿って延在する軸方向孔110と、カム収容部40bの内部を軸方向孔110と交差する方向に延在する周方向溝112と、周方向溝112の一部のみをカム収容部40bの外部とカム50の回転軸方向に連通させる鍵穴部114と、を有し、挿通部材104は、軸方向孔110に挿通されて係合部100と係合する軸部116と、軸部116から突出する規制部120とを有し、規制部120は、軸部116と係合部100とが係合した状態で、カム50の回転に合わせて周方向溝112の内部を移動可能であり、カム50が基準位置にあるときのみ、鍵穴部114を介して周方向溝112の外部に移動可能であることとした。
これらの場合、上記のようにしてバイトの固定位置調整を終えた後、挿通部材104を挿通孔102から抜き取るためには、カム50の位相が基準位置となるように、挿通部材104を回転させる必要がある。つまり、挿通部材104が挿通孔102に挿通され、抜き取れない間は、カム50の位相が基準位置とは異なっていると判断することができる。このため、ロッド54を進出させて当接部54aをカム50に接近させる前に、挿通孔102から挿通部材104を抜き取る簡単な操作によって、カム50の当接位置51ではない場所にロッド54の当接部54aが当接することを容易且つ効率的に回避することができる。なお、挿通部材104を用いてカム50を回転させるタイミングは、固定位置調整の際に限定されず、必要に応じた種々のタイミングとすることができる。
上記の実施形態に係る加工工具10では、カム50は、円弧の外周に沿った円弧状面50cと、円弧の一部を切り欠いた切り欠き面50aとを有し、円弧の中心を回転中心として回転することで円弧状面50cと切り欠き面50aとを選択的にカートリッジ48の基端面70dに当接させることが可能であり、円弧状面50cが基端面70dに当接するとき、カートリッジ48が進出し、切り欠き面50aが基端面70dに当接するとき、カートリッジ48が後退することとした。
また、上記の実施形態に係る加工工具10では、カートリッジ48を後退方向に弾発付勢するカートリッジ付勢部材52をさらに備え、円弧状面50cが基端面70dに当接することで、カートリッジ付勢部材52の弾発力に抗してカートリッジ48を進出させ、切り欠き面50aが基端面70dに当接することで、カートリッジ付勢部材52の弾発付勢下にカートリッジ48を後退させることとした。
これらの場合、上記の通り、円弧状面50cの半径rと、円弧の中心から切り欠き面50aまでの垂線の長さLとの差分だけ、カートリッジ48を進退させることができる。すなわち、カートリッジ48の基端面70dに、円弧の外周に沿った円弧状面50cを当接させることで、基端面70dに切り欠き面50aを当接させた場合より、上記の差分だけカートリッジ48を進出させることができる。
この際、カム50は円弧の中心を回転中心として回転するため、円弧状面50cの何れの部分に基端面70dを当接させた場合であっても、カートリッジ48の進出量を等しくすることができる。従って、カム50の回転量の高精度な調整を必要とすることなく、カートリッジ48を介したバイトの位置決め精度を容易に維持することができる。また、カートリッジ48の基端面70dに円弧の外周に沿った円弧状の円弧状面50cを当接させた状態で、カートリッジ48に取り付けられたバイトによる切削加工が行われるため、加工工具10の加工反力に対する耐久性を向上させることができる。
上記の実施形態に係る加工工具10では、当接部54aは、ロッド54の外周面から突出し、当接位置51は、当接部54aを挿入可能な凹部50bの内面に設けられ、円弧の周方向で凹部50bと切り欠き面50aとの間に円弧状面50cが配置され、ロッド54は、当接部54aを当接位置51に当接させつつ工具本体40の先端側に向かって進出することで、円弧状面50cが基端面70dに当接するようにカム50を回転させ、当接部54aを当接位置51に当接させつつ工具本体40の基端側に向かって後退することで、切り欠き面50aが基端面70dに当接するようにカム50を回転させることとした。
上記の通り、円弧状面50cの何れの部分に基端面70dを当接させた場合であっても、カートリッジ48の進出量を等しくすることができるため、ロッド54の進退量を高精度に調整することなく、簡単な構成でカートリッジ48を介したバイトの位置決め精度を容易に維持することができる。
本発明は、上記した実施形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、加工工具10は、図5A~図6Bに示す規制機構56に代えて、図11~図12Bに示す規制機構130を備えてもよい。規制機構130は、カム軸132と、カム付勢部材134と、ストッパ136とを有する。規制機構130の各構成要素は、図11のカム収容部40bにカム50の回転軸方向に沿って形成された挿入穴138に配設されている。
図11に示すように、カム軸132は、カム50の回転軸方向(矢印Z1、Z2方向)に沿って延在し、カム50とともに回転可能にカム50に固定されている。カム軸132の延在方向の一端部(矢印Z1側端部)は、カム室92の内壁に回転可能に固定されている。カム軸132の延在方向の他端部(矢印Z2側端部)には、フランジ部140が設けられている。
フランジ部140には、図12A、図12Bに示すように、該フランジ部140の周方向の一部を、該フランジ部140の径方向の中心に向かって切り欠いた形状の切り欠き部142が設けられている。また、図11に示すように、フランジ部140は、カム50の回転軸方向の他端側(矢印Z2側)の端面がカバー部材144によって覆われている。なお、図12A、図12Bでは、カバー部材144及びカム付勢部材134の図示を省略している。
図11に示すように、カム付勢部材134は、例えば、ねじりコイルばね等からなり、カム軸132を介してカム50を回転方向に弾発付勢する。ストッパ136は、カム軸132を介してカム付勢部材134に弾発付勢されたカム50が基準位置を超えて回転することを規制する。本実施形態では、ストッパ136は、カム50の回転軸方向に沿って延在するピンからなる。
ストッパ136の一端(矢印Z1側端部)は、カム収容部40bの挿入穴138を構成する壁部に固定される。ストッパ136の他端は、フランジ部140の切り欠き部142の内部に配設される。図12Aに示すように、ストッパ136は、切り欠き部142の周方向の一端側の内壁142aと当接することで、カム50が基準位置を超えてカム付勢部材134の弾発付勢方向に回転することを規制可能である。本実施形態では、カム50が基準位置にあるときに、ストッパ136と、切り欠き部142の内壁142aとは、僅かに離間して配置される。
また、切り欠き部142の周方向の長さは、例えば、図12Bに示すように、カム50を、その円弧状面50cと図3のカートリッジ48の基端面70dとが当接する向きとした場合であっても、切り欠き部142の周方向の他端側の内壁142bとストッパ136とが当接しないように設定されている。また、カム付勢部材134の弾発付勢力は、図2の当接部54aを当接位置51に当接させたロッド54の進退を妨げない大きさに設定されている。このため、上記のようにストッパ136やカム付勢部材134を設けても、カートリッジ48を進退させるためのカム50の回転が制限されることは回避される。
上記のような規制機構130は、例えば、カム収容部40bが、何れも不図示ではあるが、複数の加工軸を備える多軸加工ヘッド(ギャングヘッド)の1つのスピンドルを構成する加工工具10に対して好適に適用することができる。この種の加工工具10では、バイト保持部40aに保持されるバイトが摩耗した場合等には、図4に示すように、ロッド54を後退させた状態でカム収容部40bからバイト保持部40aを取り外す。
これによって、カム50は、カートリッジ48ともロッド54の当接部54aとも接触しなくなるため、カートリッジ48又は当接部54aとの接触により回転が規制された状態から解放される。この場合、カム50は、カム軸132を介したカム付勢部材134からの弾発付勢力と、ストッパ136からの規制によって、ほぼ基準位置を向いた状態で維持される。
従って、摩耗したバイトの交換等を行った後に、再びバイト保持部40aをカム収容部40bに取り付けて、ロッド54の当接部54aをカム50に接近させる際、カム50の当接位置51は、ロッド54の当接部54aに臨む状態となっている。その結果、カム50の当接位置51ではない場所にロッド54の当接部54aが当接することを容易且つ効率的に回避することができる。
上記の実施形態では、加工工具10が備える複数のバイトは、第1バイト42、第2バイト44、第3バイト46の3個としたが、特にこれに限定されるものではない。バイトの個数は、開口の内周に形成する傾斜面の個数に応じて設定されればよく、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。
10…加工工具 40…工具本体
40a…バイト保持部 40b…カム収容部
48…カートリッジ 50…カム
50a…切り欠き面 50b…凹部
50c…円弧状面 51…当接位置
54…ロッド 54a…当接部
56、130…規制機構 96、132…カム軸
100…係合部 102…挿通孔
104…挿通部材 106…凹形状部
106a…周壁 108…挿入溝
110…軸方向孔 112…周方向溝
114…鍵穴部 116…軸部
120…規制部 134…カム付勢部材
136…ストッパ 138…挿入穴
140…フランジ部 142…切り欠き部
142a…内壁

Claims (8)

  1. 開口(12a)を有するワーク(12)の内周に切削加工を施して、複数の加工面(14、16、18)を形成する加工工具(10)であって、
    カム収容部(40b)及び該カム収容部の先端側に着脱自在に固定されるバイト保持部(40a)を有し、軸線回りに回転駆動される工具本体(40)と、
    前記バイト保持部に保持されて前記工具本体とともに回転する複数のバイト(42、44、46)と、
    前記バイト保持部に進退可能に設けられ、且つ前記複数のバイトの少なくとも1つが取り付けられるカートリッジ(48)と、
    前記カム収容部の内部に収容され、前記カートリッジに当接して回転することで前記カートリッジを進退させるカム(50)と、
    前記工具本体の内部を前記軸線に沿って進退するロッド(54)と、
    前記ロッドに設けられ、該ロッドの進退に応じて前記カムの当接位置(51)に当接することで前記カムを回転させる当接部(54a)と、
    前記当接位置から前記当接部が離間した状態の前記カムの位相を、前記当接位置が前記当接部に臨む基準位置となるように調整可能な規制機構(56、130)と、
    を備える、加工工具。
  2. 請求項1記載の加工工具において、
    前記規制機構(56)は、
    前記カムの回転軸方向に沿って延在し且つ前記カムとともに回転可能に前記カムに固定されるカム軸(96)と、
    前記カム軸に設けられる係合部(100)と、
    前記カム収容部に形成され且つ該カム収容部の外部と前記係合部とを連通させる挿通孔(102)と、
    前記カム収容部の外部から前記挿通孔に挿通されて前記係合部と係合することで、前記カムとともに回転可能な挿通部材(104)と、
    を有し、
    前記挿通孔は、前記カムが前記基準位置にあるときのみ、該挿通孔に挿通された前記挿通部材を抜き取り可能とする、加工工具。
  3. 請求項2記載の加工工具において、
    前記挿通孔は、
    前記カムの回転軸方向に沿って延在する軸方向孔(110)と、
    前記カム収容部の内部を前記軸方向孔と交差する方向に延在する周方向溝(112)と、
    前記周方向溝の一部のみを前記カム収容部の外部と前記カムの回転軸方向に連通させる鍵穴部(114)と、
    を有し、
    前記挿通部材は、前記軸方向孔に挿通されて前記係合部と係合する軸部(116)と、前記軸部から径方向に突出する規制部(120)とを有し、
    前記規制部は、前記軸部と前記係合部とが係合した状態で、前記カムの回転に合わせて前記周方向溝の内部を移動可能であり、前記カムが前記基準位置にあるときのみ、前記鍵穴部を介して前記周方向溝の外部に移動可能である、加工工具。
  4. 請求項1記載の加工工具において、
    前記規制機構(130)は、
    前記カムの回転軸方向に沿って延在し且つ前記カムとともに回転可能に前記カムに固定されるカム軸(132)と、
    前記カム軸を介して前記カムを前記基準位置に向かう回転方向に弾発付勢するカム付勢部材(134)と、
    前記カム軸を介して前記カム付勢部材に弾発付勢された前記カムが前記基準位置を超えて回転することを規制するストッパ(136)と、
    を有する、加工工具。
  5. 請求項4記載の加工工具において、
    前記カム軸は、フランジ部(140)を有し、
    前記フランジ部には、該フランジ部の周方向の一部を、該フランジ部の径方向の中心に向かって切り欠いた形状の切り欠き部(142)が設けられ、
    前記ストッパは、前記カムの回転軸方向に沿って延在し、該ストッパの一端が前記カム収容部に固定されるとともに、他端が前記切り欠き部の内部に配設され、
    前記ストッパは、前記切り欠き部の内壁(142a)と当接することで、前記基準位置を超えた前記カムの回転を規制する、加工工具。
  6. 請求項1~5の何れか1項に記載の加工工具において、
    前記カムは、円弧の外周に沿った円弧状面(50c)と、前記円弧の一部を切り欠いた切り欠き面(50a)とを有し、前記円弧の中心を回転中心として回転することで前記円弧状面と前記切り欠き面とを選択的に前記カートリッジの基端面に当接させることが可能であり、
    前記円弧状面が前記基端面に当接するとき、前記カートリッジが進出し、
    前記切り欠き面が前記基端面に当接するとき、前記カートリッジが後退する、加工工具。
  7. 請求項6記載の加工工具であって、
    前記カートリッジを後退方向に弾発付勢するカートリッジ付勢部材(52)をさらに備え、
    前記円弧状面が前記基端面に当接することで、前記カートリッジ付勢部材の弾発力に抗して前記カートリッジを進出させ、
    前記切り欠き面が前記基端面に当接することで、前記カートリッジ付勢部材の弾発付勢下に前記カートリッジを後退させる、加工工具。
  8. 請求項6又は7記載の加工工具であって、
    前記当接部は、前記ロッドの外周面から突出し、
    前記当接位置は、前記当接部を挿入可能な凹部(50b)の内面に設けられ、
    前記円弧の周方向で前記凹部と前記切り欠き面との間に前記円弧状面が配置され、
    前記ロッドは、前記当接部を前記当接位置に当接させつつ前記工具本体の先端側に向かって進出することで、前記円弧状面が前記基端面に当接するように前記カムを回転させ、前記当接部を前記当接位置に当接させつつ前記工具本体の基端側に向かって後退することで、前記切り欠き面が前記基端面に当接するように前記カムを回転させる、加工工具。
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