JP3939146B2 - 切削工具装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内側に別の軸が嵌合された中空軸に、切削工具を保持する工具ホルダが着脱可能に取り付けられるタイプの切削工具装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
切削工具装置の中には、第一軸,第二軸,工具ホルダおよびホルダ固定装置を備えるものがある。第一軸は、概して中空軸状を成し、前端部が第一嵌合部とされる。第二軸は、第一軸の内側に同軸にかつ第一軸に対して相対回転と軸方向の相対移動との少なくとも一方が可能な状態で嵌合される。工具ホルダは、第一軸の第一嵌合部の外周側に嵌合される第二嵌合部と、切削工具を保持する工具保持部とを備えたものとされる。その工具ホルダの第二嵌合部が第一軸の第一嵌合部に嵌合された状態で、ホルダ固定装置により工具ホルダが第一軸に固定される。
【0003】
この種の切削工具装置においては、工具ホルダを第一軸に強固に固定し得ることが望まれる。工具ホルダの取り付け剛性が低ければ、加工精度が低下し、あるいは重切削を行うことができないからである。しかし、工具ホルダが装着されるべき第一軸の内側に第二軸が嵌合されているため、工具ホルダを第一軸に固定するホルダ固定装置は第二軸との干渉を避けて構成することが必要であり、これら2つの要求を共に満たすことは容易ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
本発明は、上記事情を背景とし、内側に別の軸が嵌合された中空軸に工具ホルダを強固に取り付けることを可能とすることを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の切削工具装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能なのである。
【0005】
なお、以下の各項のうち、 (1)項が請求項1に相当し、 (2)項が請求項2に、 (3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、 (6)項ないし(8)項を合わせたものが請求項5に、(19)項と(20)項とを合わせたものが請求項6に、(27)項と(28)項とを合わせたものが請求項7にそれぞれ相当する。
【0006】
(1) 概して中空軸状を成し、前端部が第一嵌合部とされた第一軸と、
その第一軸の内側に同軸にかつ第一軸に対して相対回転と軸方向の相対移動との少なくとも一方が可能な状態で嵌合された第二軸と、
前記第一嵌合部の外周側に嵌合される第二嵌合部と、その第二嵌合部の内周面に前向きにかつ前傾して形成されたテーパ面と、切削工具を保持する工具保持部とを備えた工具ホルダと、
前記第一嵌合部を半径方向に貫通して形成された複数の保持穴と、
それら保持穴の各々に半径方向に移動可能に保持され、かつ保持穴の内周側および外周側の両端開口から同時に突出可能な寸法を有する複数のロック部材と、
前記第一嵌合部の内周側でかつ前記第二軸の外周側に、第一嵌合部と同軸にかつ相対回転可能に配設され、前記保持穴に対向する外周面に周方向に進むにつれて第一軸の軸線からの距離が漸変する駆動面を複数備え、一方向に回転することにより、各駆動面により前記ロック部材を外周側へ押し出して前記工具ホルダのテーパ面に押し付け、前記一方向とは逆方向に回転することによってロック部材が内周側へ引っ込むことを許容する駆動回転体と、
その駆動回転体と前記第一軸との間に設けられ、駆動回転体を前記正,逆両方向に回転させる回転駆動装置と、
前記第一嵌合部と前記第二嵌合部との軸方向における嵌合限度を規定する嵌合限度規定手段と
を含む切削工具装置。
嵌合限度規定手段としては、工具ホルダと第一軸とにそれぞれ設けられ、軸方向において互いに当接する端面,肩面等の当接面や、工具ホルダと第一軸とにそれぞれ設けられ、互いに締まり嵌合するテーパ外周面とテーパ内周面等を採用することができる。また、第一軸とは別体に製造され、後に第一軸に固定された部材も第一軸の一部とみなすものとし、後述の第二軸および第三軸についても同様とする。
本発明によれば、工具ホルダが装着されるべき第一軸の内側に第二軸が嵌合されているにもかかわらず工具ホルダを第一軸に強固に固定し得るホルダ固定装置を、第二軸との干渉を避けて容易に構成することができる。
(2)前記駆動面が、前記駆動回転体の外周面に周方向に延びる状態で形成され、かつ、深さが周方向に漸変する溝の底面により構成された (1)項に記載の切削工具装置。
横断面形状が円形である部材の外周面に、深さが周方向に漸変する溝を形成することは容易であり、安価に駆動回転体を製造することができる。
(3)前記ロック部材が球形のボールである(1)項または (2)項に記載の切削工具装置。
前記溝の同断面形状は前記ボールの半径とほぼ等しい半径の弓形とされることが望ましい。ボールと溝の底面との接触面積が大きくなり、クランプ時における両者間の面圧を小さくして耐久性の向上を図ることができる。
(4)回転駆動装置が、
前記駆動回転体と同軸にかつ一体的に回転可能に設けられたウォームホイールと、
前記第一軸に、その第一軸の軸線とほぼ直角に立体交差する回転軸線のまわりに回転可能に保持され、前記ウォームホイールと噛み合うウォームと、
そのウォームを回転操作するための回転操作部と
を含む (1)項ないし (3)項のいずれかに記載の切削工具装置。
回転操作部としては、ウォームの一端面に設けられた回転工具係合部が好適である。回転工具係合部としては、例えば、横断面形状が六角形の六角穴や、横断面形状が四角形,六角形等非円形である係合突部を採用し得る。回転駆動装置をウォームホイールおよびウォームを含むものとすれば、回転駆動装置と第二軸との干渉を避けることも容易となり、本項の切削工具装置は、第一軸の内側に第二軸が嵌合されている場合に、特に好適なものである。
(5)前記第一軸に、その第一軸の軸線とほぼ直角に立体交差する直線に沿って横断面形状が円形の有底穴が形成され、その有底穴に前記ウォームが回転可能に嵌合され、第一軸に固定の抜止め部材により抜け止めされた (4)項に記載の切削工具装置。
第一軸へのウォームの取付装置を単純化することができ、コスト低減を図り得る。組立ての都合上、ウォームは円筒形のものを採用することが望ましい。
(6)前記工具ホルダに前記第一軸の軸線と斜めに交差する方向に移動可能にスライダが保持され、そのスライダと前記第二軸との間に、第二軸の第一軸に対する軸方向の相対移動をスライダの移動に変換する運動変換機構が設けられた (1)ないし (5)項のいずれかに記載の切削工具装置。
例えば、エンジンのバルブシートのように、寸法精度のよいテーパ面を切削加工するのに適した切削工具装置が得られる。
(7)前記スライダに、切削工具を着脱可能に保持する工具保持部が設けられた
(6)項に記載の切削工具装置。
(8)前記スライダが、一直線に沿って同一の横断面形状および寸法で延び、その横断面形状が非円形である被案内部を有し、前記工具ホルダに、その被案内部を前記一直線に平行な方向には移動可能であるがその一直線と直交するあらゆる方向の移動は不能な状態で案内する複数の案内面を備えたガイドと、弾性部材の弾性力に基づいて前記被案内部を前記複数の案内面の少なくとも一つに押し付ける押し付け装置とが設けられた (7)項に記載の切削工具装置。
スライダがガイドに案内されつつ摺動すれば、スライダとガイドとの摺動面が摩耗し、両者の間のクリアランスが増大する。摩耗量が大きい場合には、スライダに保持された切削工具の刃先の位置が変わり、加工精度低下の一因となるが、摩耗量が小さくても、びびりが生じ易くなり、切削された被加工面の面粗さが悪化して加工品質の要求を満たし得なくなる。それに対し、本項に記載の特徴によれば、摺動面が摩耗しても、スライダの被案内部は押し付け装置によりガイドの案内面に押し付けられるため、びびりの発生が良好に回避でき、被加工面の面粗に関する要求品質を満たすことが容易となる。また、摩耗量が大きくなった時点においても、スライダのガイドに対する相対位置が安定するため、切削工具の刃先位置の変化も安定し、それに対処することが容易となって、加工精度の低下を防止することが容易となる。
(9)前記ガイドが、底面と一対の側面とを有する溝であって、幅が底面から遠い部分において狭くなっているガイド溝を有し、前記スライダの被案内部がそのガイド溝に摺動可能に嵌合された(8)項に記載の切削工具装置。
(10)前記スライダの被案内部の横断面形状が、一対の腕部と一つの脚部とを備えたTの字が上下逆転させられた逆T字形である (9)項に記載の切削工具装置。
(11)前記押し付け装置が、前記弾性部材により前記一対の腕部の各々の前記脚部側の面に押し付けられ、それら一対の腕部の反対側の面をその面に対向する前記案内面に押し付ける一対の押し付け部材を含む(10)項に記載の切削工具装置。
(12)前記押し付け部材が、前記一対の腕部の前記脚部側の面に押し付けられる第一部の他に、その第一部からそれぞれ直角に延び出し、前記脚部の一側面に沿って延びる第二部と前記一対の腕部の端面に沿って延びる第三部との少なくとも一方を備える(11)項に記載の切削工具装置。
押し付け部材は、第一部の他に第二部と第三部との一方を備える場合には、L形部材となり、第二部と第三部との両方を備える場合には、Z形部材となる。押し付け部材の傾きを防止する機能は後者の方が優れている。
(13)前記スライダが底面と一対の側面とを有し、一対の側面の少なくとも一部が底面から遠ざかるにつれて互いに接近する一対の第一傾斜面とされた (9)項に記載の切削工具装置。
(14)前記押し付け装置が、前記第一傾斜面の各々に対応する第二傾斜面をそれぞれ有し、前記弾性部材により第二傾斜面が第一傾斜面に押し付けられる押し付け部材を含む(13)項に記載の切削工具装置。
弾性部材により第二傾斜面が第一傾斜面に押し付けられれば、スライダは底面側のみならず側面側にも押され、前述のびびりや加工精度低下の発生を一層良好に防止することができる。
(15)前記弾性部材が皿ばねである (8)項ないし(14)項のいずれかに記載の切削工具装置。
弾性部材としては、板ばね,圧縮コイルスプリング等種々のものが採用可能であるが、皿ばねは弾性力の大きなものを狭いスペースに配設可能であり、特に好適である。
(16)前記押し付け装置が、軸部の一端に頭部を備えるとともに軸部の少なくとも他端部が雄ねじ部とされたボルトを含み、そのボルトが、前記皿ばねと前記押し付け部材とを上記記載の順に貫通して雄ねじ部が前記工具ホルダの雌ねじ穴に螺合され、頭部が皿ばねを弾性変形させた状態で、それら皿ばねと押し付け部材とを前記工具ホルダに取り付けている(15)項に記載の切削工具装置。
上記構成によれば、皿ばねがボルトの頭部と押し付け部材との間も弾性変形させられた状態で挟まれ、押し付け部材をスライダに押し付け、スライダを案内面に押し付ける。ボルトに皿ばねと押し付け部材とを所定の位置に保持する保持部材の役割を果たさせることができ、押し付け装置を簡単な構造で実現し得る。
(17)前記押し付け装置が、前記ガイド溝の前記底面と前記スライダの被案内部との間に配設され、被案内部を底面から遠ざかる向きに付勢している (9)項に記載の切削工具装置。
(18)前記ガイドの底面と、前記スライダの被案内部の底面とが幅方向に互いに傾斜させられて、両底面間にくさび形の隙間が形成されており、前記押し付け装置が、
前記くさび形の隙間に配設されたくさび部材と、
そのくさび部材を前記スライダと前記ガイドとの少なくとも一方に対して、前記くさび形の隙間の狭い側へ付勢する付勢装置と
を含む(17)項に記載の切削工具装置。
被案内部をガイドの底面から遠ざかる向きに付勢する押し付け装置をコンパクトに構成し得る。被案内部にばね受け部を設け、そのばね受け部とスライダとの間に圧縮コイルスプリング,板ばね等の弾性部材を配設して付勢装置とすれば、底面に平行な方向の力はスライダの内力となり、スライダを単純にガイドの底面から遠ざかる向きに付勢することができる。
(19)前記第二軸も中空軸であり、その内側にさらに第三軸が同軸に、相対回転不能かつ軸方向に相対移動可能に配設され、その第三軸の前端部に回転切削工具を保持するチャック装置が設けられた (1)項ないし(18)項のいずれかに記載の切削工具装置。
チャック装置にリーマ等の穴加工工具を保持させれば穴加工を行うことができ、 (6)項ないし(18)項のいずれかに記載の特徴と合わせて採用すれば、例えば、エンジンのバルブシートと、バルブガイドのガイド穴内周面との切削加工を行うことができる加工工具装置が得られる。
(20)前記チャック装置が、回転切削工具のシャンクの軸方向の進入は許容するが抜け出しは阻止する抜止め装置と、前記シャンクの進入限度を規定するストッパ装置と、前記シャンクの少なくとも一方向の回転を阻止する回転阻止装置とをそれぞれ別個に備える(19)項に記載の切削工具装置。
従来、この種のチャック装置においては、チャックにシャンクを強固に把持させることによって、シャンクの抜け出しと回転とを共に阻止することが行われていた。シャンクに横断面形状が非円形の係合部を設けて、チャック装置本体の係合部に係合させ、シャンクのチャック装置本体に対する相対回転を防止することは行われていたが、その場合でも、チャック装置はシャンクを強固に把持するようにされており、万一、その把持力が不足してシャンクが相対回転してしまった場合に、係合部の係合により一定限度以上の相対回転は生じないようにされていたに過ぎない。
それに対し、本項に記載のチャック装置においては、抜止め装置によりシャンクの回転を阻止することは予定されておらず、回転は当初から回転阻止装置により阻止される。したがって、抜止め装置はシャンクの抜け出しを阻止し得るものであればよく、シャンクを強固に把持させるための締付け操作を行う必要がない。シャンクの進入を許容する一方、抜け出しを阻止するものであればよく、回転切削工具をチャック装置に取り付ける際には、単純にシャンクをストッパ装置により許される深さまで挿入すればよい。したがって、回転切削工具の取り付けが容易になり、短時間で装着することができる。また、後述の解除装置を採用すれば、抜止め装置による抜止めも容易に解除し得るため、その場合には、回転切削工具の交換を迅速に行うことが可能となる。さらに、本項に記載のチャック装置によれば、回転切削工具を着脱する際に工具を用いずに済む
(21)前記抜止め装置が、
前記第三軸に設けられた筒状のチャック装置本体であって、内周面に前側ほど第三軸の軸線に近づく向きに傾斜した傾斜面を備えたものと、
概して中空円筒状を成し、前記チャック装置本体の内側に軸方向に相対移動可能に嵌合され、前記テーパ面に対応する部分に複数個の保持穴を半径方向に貫通した状態で有するスリーブと、
そのスリーブの保持穴の各々に半径方向に移動可能に保持され、スリーブの外周面および内周面から同時に突出可能な直径を有する複数個のボールと、
それらボールが前記保持穴から内周側へ離脱することを防止する離脱防止手段と、
前記スリーブを前方に向かって付勢する付勢装置と
を含むボール式チャックである(20)項に記載の切削工具装置。
本項に記載のボール式チャックにおいては、シャンクの挿入時にはボールとシャンクとの間に作用する摩擦力が、ボールをチャック装置本体の傾斜面とシャンクの外周面との間のくさび形の隙間から離脱させる向きに作用するため、ボールはシャンクの進入を妨げず、シャンクはボール式チャックに容易に挿入することができる。それに対して、挿入されたシャンクが離脱しようとする際は、ボールとシャンクとの間に作用する摩擦力が、ボールをくさび形の隙間に食い込ませる向きに作用し、その結果、摩擦力が増大する。つまり、シャンクの抜け出し方向に関してはボールとシャンクとがデッドロック状態となるのであり、シャンクの抜け出しは完全に防止される。また、この状態でシャンクに回転トルクが加えられた場合には、ボールとシャンクとの間の摩擦力が発生するが、シャンクの回転を妨げる向きの力は無視できるほど小さい。したがって、回転切削工具に切削抵抗に基づく回転トルクが作用した場合には、シャンクが回転阻止装置により回転を阻止されるまでは回転することになるが、その回転によってボールやシャンクが損傷することはない。また、ボール式チャックによってもある程度の回転抵抗はシャンクに加えられるため、切削抵抗に基づく回転トルクが振動的に変動した場合に、シャンクが回転阻止装置により回転を阻止された位置から逆方向に回転することは防止される。
(22)前記スリーブを前記付勢装置の付勢力に抗して後方へ押し戻すことにより前記ボール式チャックの保持状態を解除する解除装置を含む(21)項に記載の切削工具装置。
スリーブを付勢装置の付勢力に抗して後方へ押し戻せば、ボールがチャック装置本体とシャンクの外周面との間の隙間が広い部分に保たれてボール式チャックが抜け止め防止機能を果たさなくなり、シャンクの抜き出しが可能になる。
(23)前記解除装置が、
前記工具ホルダの、前記第一軸の軸線から偏心した位置に、その第一軸の軸線にほぼ平行な方向に相対移動可能に設けられた操作ロッドと、
その操作ロッドからほぼ直角に前記第一軸の軸線に向かって延び出し、先端部が前記スリーブに係合可能な操作アームと、
それら操作ロッドおよび操作アームを前記スリーブから離れる向きに付勢する付勢装置と
を含む(22)項に記載の切削工具装置。
操作ロッドを付勢装置の付勢力に抗して工具ホルダ内へ押込操作するのみで、ボール式チャックの保持状態を解除することができ、作業者による解除操作が容易となることは勿論、自動操作装置による解除操作も容易に実現し得る。
(24)前記解除装置が、
前記工具ホルダに、前記第一軸の軸線とほぼ直角に立体交差する回転軸線のまわりに回転可能に設けられた操作シャフトと、
その操作シャフトからほぼ直角に前記第一軸の軸線に向かって延び出し、先端部が前記スリーブに係合可能な操作アームと、
それら操作シャフトおよび操作アームを、操作アームがそれの自由端部が前記スリーブから離れる向きに回動する向きに付勢する付勢装置と
を含む(22)項に記載の切削工具装置。
操作シャフト自体に操作レバー部等の操作部を設けることも可能であるが、操作シャフトに横断面形状が非円形の工具係合部を設け、その工具係合部に回転操作工具を係合させ、操作シャフトを回転操作し得るようにすることが望ましい。(25)前記回転阻止装置が、前記回転切削工具のシャンクに設けられた横断面形状が非円形である嵌合軸部と、前記第三軸に設けられて嵌合軸部と軸方向には相対移動可能であるが相対回転は不能な状態で嵌合する嵌合穴とを含む(19)項ないし(22)項のいずれかに記載の切削工具装置。
(26)前記回転阻止装置が、前記第三軸に相対回転不能に設けられ、前記シャンクの外周面と嵌合される一方向クラッチを含む(20)項ないし(22)項のいずれかに記載の切削工具装置。
一方向クラッチは一方向の回転は伝達するが、他方向の回転は伝達しない。すなわち、シャンクがチャック装置本体に対して一方向に回転することを許容しないのであり、その一方向が回転切削工具の切削抵抗に基づく回転トルクの方向と一致する一方向クラッチを設ければ、回転切削工具のチャック装置本体に対する相対回転を防止することができる。
(27)前記ストッパ装置が、前記シャンクと前記チャック装置本体とにそれぞれ設けられ、軸方向において互いに当接してシャンクのチャック装置本体への挿入限度を規定する第一ストッパ部材および第二ストッパ部材を含む(20)項ないし(26)項のいずれかに記載の切削工具装置。
これら第一ストッパ部材および第二ストッパ部材はそれぞれ、シャンクおよびチャック装置本体と一体に構成されてもよい。
(28)前記第一ストッパ部材と前記第二ストッパ部材との少なくとも一方が、前記シャンクと前記チャック装置本体との少なくとも一方に軸方向に平行に形成された雌ねじ穴に螺合された調節ねじである(27)項に記載の切削工具装置。
調節ねじの雌ねじ穴への螺合量を変えてシャンクまたはチャック装置本体からの突出量を変えれば、シャンクのチャック装置本体への挿入限度を変えることができ、回転切削工具の刃先の位置を調節することができる。この調節作業の容易さの観点からすれば、シャンクに雌ねじ穴を形成し、調節ねじを取り付けることが望ましい。
(29) 概して中空軸状を成し、前端部が第一嵌合部とされた第一軸と、
その第一軸の内側にその第一軸に対して軸方向の相対移動が可能な状態で嵌合された第二軸と、
前記第一軸の前端部に取り付けられ、かつ、第一軸の軸線と斜めに交差する方向に延びるガイドを備えた工具ホルダと、
前記ガイドに摺動可能に嵌合され、かつ、切削工具を保持する工具保持部を備えたスライダと、
そのスライダと前記第二軸との間に設けられ、第二軸の第一軸に対する軸方向の相対移動をスライダの移動に変換する運動変換機構と
を含み、かつ、前記スライダが、一直線に沿って同一の横断面形状および寸法で延び、その横断面形状が非円形である被案内部を備え、前記ガイドが、その被案内部を前記一直線に平行な方向には移動可能であるが、その一直線と直交するあらゆる方向の移動は不能な状態で案内する複数の案内面を備えたものであり、かつ、それら被案内部とガイドとの間に、弾性部材を含み、その弾性部材の弾性力に基づいて被案内部を前記複数の案内面の少なくとも1つに押し付ける押し付け装置が配設された切削工具装置。
前記 (8)項に関連して行った説明が本項にも当てはまる。前記 (1)項ないし (5)項、 (9)項ないし(28)項の各々に記載の特徴は本項の切削工具装置においても採用することができる。
(30)切刃を有するボデーと横断面形状が円形であるシャンクとを備えた回転切削工具をそのシャンクにおいて保持するチャック装置であって、
共通のチャック装置本体内に、前記シャンクの軸方向の進入は許容するが抜け出しは阻止する抜止め装置と、前記シャンクの進入限度を規定するストッパ装置と、前記シャンクの少なくとも一方向の回転を阻止する回転阻止装置とがそれぞれ別個に構成されたことを特徴とするチャック装置。
前記(20)項に関連して行った説明が本項にも当てはまる。前記 (1)項ないし(19)項、(21)項ないし(28)項の各々に記載の特徴は本項の切削工具装置においても採用することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態であるバルブシート加工工具装置を図面に基づいて詳細に説明する。図1において、10はアダプタであり、二点鎖線で示す工作機械の主軸2に取り付けられる。アダプタ10は、段付きの円筒状を成し、主軸2の回転軸線に平行な方向(以下、単に軸方向と称する)に貫通する嵌合穴12が形成されている。アダプタ10は半径方向外向きのフランジ部14を備え、その前端面16と後端面18とはそれぞれ軸方向に直角な平面とされている。フランジ部14の前端面16にはフランジ部14より小径の嵌合突部20が形成され、嵌合突部20は前端面16から遠ざかるほど径の小さいテーパ外周面22を有している。一方、後端面18には取付部24が形成されている。取付部24は、工作機械のスピンドル穴4の嵌合穴部6に嵌合されることにより、主軸2に同軸にかつ軸方向に位置決めされて取り付けられる。
【0008】
図5に示すように、アダプタ10にはフランジ部14の前端面16から後端面18へ軸方向に貫通するボルト穴30が等角度間隔に複数個(図示の例では4個)形成されており、これらボルト穴30にボルト32(図1参照)が挿通されて主軸2に形成された雌ねじ穴に締め込まれることにより、アダプタ10が主軸2に固定される。フランジ部14の前端面16には、ボルト穴30とは位相を異にする1箇所にピン穴が形成され、そのピン穴に係合ピン34が圧入されて、一部が前端面16から軸方向に突出する状態とされる。
【0009】
アダプタ10には、工具ホルダ40が着脱可能に取り付けられる。工具ホルダ40のホルダ本体42は概して円筒状の基部44と概して円錐状の先端部46とを有しており、基部44の後端面48には、アダプタ10に設けられた前記係合ピン34が係合可能な係合凹部(二点鎖線で図示)50がホルダ本体42の中心線を中心とする円弧に沿って一定の長さで形成されている。
【0010】
ホルダ本体42は、先端部46のテーパ外周面に沿って先端側ほど軸心に接近する向きに傾斜した傾斜T溝60およびその傾斜T溝60から軸方向に平行に延びる軸方向溝62を備えている。傾斜T溝60は断面形状が逆T字形であり、互いに直角な複数の溝面を有している。一方、軸方向溝62は断面形状が矩形である。
【0011】
傾斜T溝60の底面64に沿って板状のスペーサ66が設けられている。傾斜T溝60の底面64が軸方向溝62に近い側の端部において段部67(図4参照)を備え、その段部67にスペーサ66が当接することにより、スペーサ66の前記回転軸線に接近する向きの移動が阻止される。スペーサ66にそれを厚さ方向に貫通し部分円錐状の座面を有するボルト穴68が形成されるとともに、傾斜T溝60の底面64においてボルト穴68に対向する位置に雌ねじ穴70が底面64に直角に形成されている。雌ねじ穴70は厳密にはボルト穴68の中心に対して軸方向溝62に近い方に偏心して形成されており、ボルト72がボルト穴68を経て雌ねじ穴70に螺合されることにより、スペーサ66が傾斜T溝60の段部に押し付けられている。ボルト72の頭部はスペーサ66から突出しない形状とされている。
【0012】
傾斜T溝60および軸方向溝62には、T字形スライダ(以下、単にスライダと称する)80が摺動可能に嵌合されている。スライダ80は、傾斜T溝60に嵌合される傾斜部82と軸方向溝62に嵌合される軸方向部84とを備えており、傾斜部82の断面形状が逆T字形とされ、軸方向部84の断面形状が矩形とされている。傾斜部82は、図10に示すように、傾斜T溝60の底面64に沿って延びる一対の腕部86と、それら腕部86に直交し底面64から遠ざかる向きに突出する脚部88とを有する。前述のスペーサ66は傾斜T溝60とスライダ80の傾斜部82とにより挟まれて配設されている。
【0013】
傾斜T溝60は実際には複数の部材により形成されている。具体的には、ホルダ本体42に矩形の傾斜溝が形成され、それの溝底面が底面64を構成している。一対の押付部材90が傾斜溝に固定され、それら押付部材90により傾斜T溝60の他の面が構成されている。押付部材90は横断面形状がZ字形をなし、スライダ80の腕部86の上面92に押し付けられる押付部94と、その押付部94の一方の端部から直角に延び出し、前記脚部88の側面に沿って延びる第一案内部96と、押付部94の他方の端部から前記一対の腕部86の側面に沿って延びる第二案内部98とを備えている。第二案内部98のスペーサ66に対向する底面はスペーサ66に平行な平面に形成されている。押付部94と第二案内部98とを底面64に直角な方向に貫通する貫通穴100が形成されている。貫通穴100は傾斜T溝69の長手方向に隔たった箇所において設けられている。スペーサ66の上記貫通穴100に対向する部位にも押付部材90の貫通穴100より大径の貫通穴102が形成され、ホルダ本体42にそれら貫通穴100,102と同心に雌ねじ穴104が形成されている。固定部材としてのボルト106が押付部材90とスペーサ66との貫通穴100,102を経て雌ねじ穴104に螺合される。ボルト106の螺合限度は、スペーサ107により規定されており、そのボルト106の頭部108と押付部材90との間には弾性部材としての皿ばね110が配設されている。ボルト106が締め付けられれば皿ばね110の付勢力により押付部材90がスライダ80の一対の腕部86に押し付けられ、それによってスライダ80の傾斜部82がホルダ本体42(厳密にはスペーサ66)から浮き上がることが防止された状態となり、傾斜T溝60の底面64に沿った方向の移動のみ許容される。この状態においても、押付部材90とスペーサ66,107との間には隙間が残る。
【0014】
図4に示すように、スライダ80には工具保持部として、軸方向部84の前端面120から軸方向に延びる工具保持穴122が形成されており、バイト124が嵌合されている。バイト124は、軸方向に延びるシャンク126の先端部に切刃が形成されたものであり、シャンク126の大半の部分が工具保持穴122に嵌合されている。シャンク126の後端面には傾斜面128が形成されている。スライダ80の軸方向部84には、軸方向と直交する方向に延びて工具保持穴122に連通する雌ねじ穴130が形成されており、調整ねじ132が螺合されている。調整ねじ132の先端には、シャンク126の傾斜面128に対応したテーパ面134が形成されている。調整ねじ132が回転させられてテーパ面134の位置が変えられることにより、バイト124の軸方向位置が変化させられ、切刃の位置が調整されるようになっているのである。
なお、バイトは、刃具保持部材としてのシャンクと刃具としてのスローアウェイチップとが別体に構成されてもよい。
【0015】
スライダ80の傾斜部82には、スライダ80の頂面から底面へ貫通する嵌合穴150が形成されている。嵌合穴150には、底面側から駆動部材152が嵌合されている。駆動部材152は、その本体部154が後述するプランジャ200の外周面の一部に形成された切欠202にボルトおよび位置決めピンにより相対移動不能に固定される一方、本体部154から斜め上方に延び出す係合部156がスペーサ66を経てスライダ80の嵌合穴150に嵌合されている。前述のスペーサ66には、長手方向に延びる長穴158が形成されており、係合部156の長穴158に沿った方向の移動を許容する。
【0016】
ホルダ本体42の後端面48からは、軸方向に延びる有底の嵌合穴250が形成されている。嵌合穴250は横断面形状が円形に形成され、アダプタ10の嵌合突部20のテーパ外周面22に対応するテーパ内周面252を有し、両テーパ周面22,252がしまり嵌合させられることにより、アダプタ10と工具ホルダ40との心出しが実現されるとともに、ホルダ本体42の後端面48がフランジ部14の前端面16に当接することにより軸方向位置が規定される。
【0017】
これらアダプタ10と工具ホルダ40とが軸方向に離脱することを防止するロック機構254が設けられている。アダプタ10の嵌合穴12に段付き円筒状のクランプ部材256がほぼ隙間なく相対回転可能に嵌合され、クランプ部材256の段部258が段つき円筒状の嵌合穴12の肩面260に当接することにより、アダプタ10とクランプ部材256との軸方向相対位置が規定されている。その状態でクランプ部材256の後端面に当接するリテーナ262が現合され、C型止め輪264によりクランプ部材256が軸方向後方に抜け出すことが防止されている。
【0018】
アダプタ10の嵌合突部20にそれを厚さ方向に貫通して保持穴270が複数個設けられ、それぞれの保持穴270に鋼球272が配設されている。鋼球272は、ほぼ軸方向に直交する方向にのみ移動可能とされ、嵌合突部20の外周面(テーパ外周面22)と内周面との両方から突出する大きさとされている。テーパ外周面22には、保持穴270と部分的に干渉する状態で溝が形成され、その溝にC形の鋼線274が嵌めこまれることにより、鋼球272が嵌合突部20の外側へ抜け出すことが禁止されている。工具ホルダ40の内周において保持穴270に対向する部位に鋼球272と係合する係合溝276が形成されている。係合溝276の軸方向後側の側面は後方ほど小径となるテーパ内周面278とされている。鋼球272が嵌合突部20のテーパ外周面22から突出してテーパ内周面278に係合させられれば、斜面の効果により工具ホルダ40の後端面48がアダプタ10の前端面16に強く押し付けられ、両者が互いに固定される。
【0019】
クランプ部材256の外周面であって、上記鋼球272と対向する部分に鋼球272を嵌合突部20のテーパ外周面22から突出させるカム溝280が形成されている。カム溝280は断面形状が鋼球272とほぼ等しい半径の弓形とされ、周方向に沿って溝の深さが変化している(図6参照)。鋼球272がカム溝280に係合した状態でクランプ部材256をアダプタ10に対して相対回転させれば、鋼球272の嵌合突部20からの突出量が変化させられる。鋼球272が嵌合突部20から外側へ突出しないようにされれば、工具ホルダ40がアダプタ10から抜け出すことを許容する開放状態となり、鋼球272が嵌合突部20から突出させられてテーパ内周面278に押し付けられれば、工具ホルダ40とアダプタ10とを相対移動不能に固定するロック状態を実現することができる。カム溝280の内側面がロック部材としての鋼球272を外周側へ押し出す駆動面として機能するのである。
【0020】
アダプタ10には、さらに、クランプ部材256を回転駆動する回転駆動装置282が設けられている。アダプタ10のフランジ部14に、軸方向に直角な向きに延びる有底の保持穴284が形成されている。保持穴284は断面形状が円形の穴であり、図4に示すように、部分的に嵌合穴12と干渉するように形成され、その保持穴284内に円筒状のウォーム286が保持されている。図5に示すように、ウォーム286の開口側端面288に隣接して抜止め部材289が配設されており、このことにより、ウォーム286は保持穴284内においてそれの回転軸線方向に移動不能に、かつ主軸の回転軸線まわりに回転可能に保持されている。開口側端面288に工具係合部としての六角穴290が形成され、それに図示しない工具を係合させて作業者によりウォーム286を回転することができる。クランプ部材256の外周に上記ウォーム286の歯と噛み合う歯292が形成され、クランプ部材256と一体的に回転するウォームホイール294が形成されている。このことにより、作業者がウォーム286を回転させれば、クランプ部材256が回転させられ、それにより、ロック部材たる鋼球272がロック状態と開放状態とに交互に切りかえられる。本実施形態においては、図6に示す状態において、カム溝280が時計方向に向かって深さが漸減されているので、作業者がウォーム286を回転させてクランプ部材256を反時計方向に回転させれば、鋼球272が外側へ押し出されてアダプタ10と工具ホルダ40とがロック状態とされ、反対にクランプ部材256を時計方向に回転させれば、鋼球272が内側へ移動することが許容され、アダプタ10が工具ホルダ40から抜け出すことを許容する開放状態となる。
【0021】
さらに、クランプ部材256の先端面に、図7に示すように、工具ホルダ40の嵌合穴250の底面をけり上げるけり上げ凸部295が軸方向に突出して形成されている。けり上げ凸部295は、互いに直径方向に隔たった2箇所に形成され(ただし図には1箇所のみ示されている)、周方向に対して傾斜した傾斜面296を有する。一方、工具ホルダ40の嵌合穴250の底面であって、前記ロック状態においてけり上げ凸部295と対向する部位に、けり上げ凸部295に干渉しない深さの逃げ溝297が形成されている。逃げ溝297は、クランプ部材256と工具ホルダ40とがロック状態から開放状態に切り替わる際に、けり上げ凸部295と対向する部位をやや超える周方向寸法で形成されている。クランプ部材256が開放状態へと切り替わった後さらに回転させられることにより、傾斜面296を経てけり上げ凸部295の頂面が嵌合穴250の底面と接触させられるようにされているのである。したがって、アダプタ10が工具ホルダ40から抜け出すことが許容された状態で、さらにクランプ部材256が回転させられることにより、アダプタ10と工具ホルダ40とが強制的に押し離される。
【0022】
ホルダ本体42の嵌合穴250の底面からは、さらに、軸方向に延びる有底のガイド穴300が形成されている。ガイド穴300は横断面形状円形の穴であり、プランジャ200が軸方向に移動可能に嵌合されている。ガイド穴300の内周面には軸方向に延びるキー溝302が形成され、プランジャ200の外周面に固定された駆動部材152の本体部154の一部がこのキー溝302に嵌入させられることにより、プランジャ200のガイド穴300内での相対回転が防止されている。
【0023】
プランジャ200は概して円筒状を成し、軸方向に貫通する貫通穴304が形成されている。貫通穴304は、軸方向後方において比較的大径の係合穴部306を有する。係合穴部306の内周部に環状の係合溝308が形成され、係合溝308からプランジャ200の後端に連通する切欠310が等角度間隔に形成されている(図13参照)。
【0024】
主軸2内には第一可動軸320が設けられている。第一可動軸320は概して円筒状を成し、図示しないアクチュエータにより軸方向に移動させられる。第一可動軸320はキー322によりアダプタ10に対して相対回転不能とされている。本実施形態においては、アダプタ10に軸方向に直交する向きに貫通する貫通穴324が形成されるとともに、クランプ部材256を厚さ方向に貫通して周方向に延びる長穴326が形成され、それら貫通穴324と長穴326とに挿通されたキー322がクランプ部材256の内周面から突出させられ、第一可動軸320の外周面に形成された軸方向に延びるキー溝328に係合させられることにより、第一可動軸320がアダプタ10と共に工具主軸に対して相対回転不能とされ、かつ、アダプタ10に対して軸方向移動可能とされている。クランプ部材256はアダプタ10および第一可動軸320の間にほぼ隙間なく配設されており、長穴326の端面がキー322に当接することにより、クランプ部材256のアダプタ10に対する相対回転量が規定されている。第一可動軸320の前端部には、プランジャ200の係合穴部306と係合可能な係合部330が形成されている。係合部330は、直径が係合穴部306と嵌合可能な大きさとされ、先端部において外向きに突出する係合片332が等角度間隔に形成されている。係合片332は切欠310よりやや小さく形成され、軸方向の厚さが前述の係合溝308とほぼ隙間なく係合可能な大きさとされている。係合片332が切欠310を経て係合溝308内に進入させられ、その状態でプランジャ200と第一可動軸320とが相対的に回転させられれば、係合穴部306と係合部330とが軸方向にほぼ相対移動不能に係合する。このことにより、第一可動軸320がプランジャ200に連結され、第一可動軸320の前進,後退に伴ってプランジャ200がガイド穴300内を軸方向に摺動させられる。
【0025】
上記第一可動軸320とともに、駆動部材152が軸方向に移動させられれば、係合部156の外周面とスライダ80の嵌合穴150の内周面とが摺動しつつ、スライダ80が傾斜T溝60に沿って主軸回転軸線に対して傾斜した方向に移動させられる。駆動部材152と嵌合穴150とが第一可動軸320の軸方向の移動をスライダ80の傾斜T溝60に沿った方向の移動に変換する運動変換機構を構成しているのである。
【0026】
図2に示すように、ホルダ本体42において工具保持穴122とはそれぞれ位相を異にする2箇所には、別の工具保持部340,342が形成され、先端に刃具としてのチップを保持したバイト344,346がそれぞれ嵌合されている。3つのバイト124,344,346は、それぞれエンジンのバルブシートのテーパ内周面を加工するものであり、バルブシートの軸方向において互いに隣接する3箇所にそれぞれ角度の異なるテーパ内周面348,350,352を形成する(図3参照)。最も精度の要求される中央のテーパ内周面(シート面と称する)350は、工具ホルダ40に保持されたバイト124により切削される。それらテーパ内周面348,350,352より軸方向前方にバルブガイド354が形成されており、次項に記載するリーマ366によりガイド穴356の内周面が切削加工される。
【0027】
ホルダ本体42の軸線上には、その前端面360からガイド穴300の底面へ貫通する軸方向穴362が形成されている。軸方向穴362とガイド穴300およびプランジャ200の貫通穴304とは同軸とされており、軸方向穴362はガイド穴300および貫通穴304と連通している。軸方向穴362には、ホルダ本体42の前端部側からスリーブ364が挿入されている。スリーブ364にはリーマ366(図1参照)が挿通される。ホルダ本体42には、軸方向と直交する方向に延びて軸方向穴362に連通する雌ねじ穴368(図3参照)が形成されており、ボルト370が締め込まれ、スリーブ364の周壁に形成された嵌合穴に嵌入させられることにより、スリーブ364のホルダ本体42からの抜け出しおよび相対回転が防止されている。
【0028】
前記第一可動軸320内には、第二可動軸400が回転不能かつ軸方向に移動可能に嵌合されている。第二可動軸400の外周部にキー401が固定され、第一可動軸320の内周面に形成されたキー溝402に嵌合されることにより、第二可動軸400の第一可動軸320に対する相対回転が防止されるとともに、第一可動軸320に対する軸方向移動が案内されている。第二可動軸400は円筒状を成し、軸方向に延びる工具挿入穴403を有している。第二可動軸400の後端部は図示しないリーマ移動装置に連結される。工具挿入穴403の軸方向の先端部は大径穴部404とされており、リーマ366が挿入されることは許容するが抜け出しは防止する抜止め装置410が配設されている。
【0029】
大径穴部404の底部に軸方向に移動不能にシール部材406が配設されている。シール部材406は円筒状をなし、それの外周面と内周面とにそれぞれOリングを保持するためのOリング溝が形成されている。シール部材406の外周面には、さらに、軸方向に直交する向きに直線状の溝416が形成され、第二可動軸400に挿通されたピン418と係合させられることにより、軸方向に移動不能とされている。
【0030】
抜止め装置410は、大径穴部404の先端側に軸方向移動可能に配設されたスリーブ412を備え、そのスリーブ412とシール部材406との間に圧縮コイルスプリング(以下、単にスプリングと称する)414が配設されることにより、スリーブ412がシール部材406から離間する方向、すなわち軸方向前方に向かって付勢されている。スリーブ412は、段付き円筒状を成し、先端側が後端側より大径とされている。スリーブ412の後部に形成された小径部420の外周面には軸方向に延びるキー溝422が形成され、そのキー溝422に、第二可動軸400に螺合されたボルト424の先端部が係合させられることにより、スリーブ412が第二可動軸400に対して相対回転不能とされている。図11に示すように、スリーブ412の小径部420において、キー溝422とは異なる位相に周壁を貫通する貫通穴430が形成されている。貫通穴430は、軸対称位置に複数個(図示の例では3個)形成されており、それら貫通穴430の各々に鋼球432が配設されている。鋼球432は周壁の厚さより大きな直径を有し、貫通穴430の両側の開口から内周側と外周側との両方に同時に突出可能とされている。貫通穴430は略円柱状であるが、内周側の開口近傍部431の直径が僅かに小さくされて、鋼球432が内周側の開口から部分的に突出することは許容するが、内周側へ脱落することは防止する脱落防止部とされている。前記第二可動軸400の内周面の、貫通穴430と対向する部分に、鋼球432が貫通穴430から外側へ突出することを許容する溝433が軸方向に沿って形成されている。溝433の軸方向前側部分に軸線に対して傾斜させられた傾斜面434が形成されている。傾斜面434は先端側ほど軸線に接近する向きに傾斜させられており、鋼球432が軸方向前方へ移動するほどスリーブ412の内周側へ移動させられるようにされている。
【0031】
リーマ366のシャンク440がスリーブ364を貫通して抜止め装置410に挿入されれば、鋼球432がシャンク440に係合してスリーブ412が若干後退させられる。その結果、鋼球432が外周側へ移動することが許容され、シャンク440は鋼球432を通過してスリーブ412から後方へ突出することが可能である。しかし、スリーブ412はスプリング414により常に前進方向へ付勢されているため、シャンク414の通過を許容するに必要な限度において後退するのみであり、シャンク414が停止すれば直ちに、その位置からの前進を阻止する状態となる。リーマ366を抜き出す向きの力が加えられれば、鋼球432と傾斜面434との斜面の効果により鋼球432がシャンク440に押し付けられてシャンク440の前進方向の移動を阻止するのであり、スリーブ412とスプリング414と鋼球432と第二可動軸400の溝433とにより抜止め装置410が構成されているのである。
【0032】
ホルダ本体42には、軸方向穴362と平行に延びる段付きの嵌合穴450が形成されている。嵌合穴450は一端がガイド穴300の底面に開口する一方、他端がホルダ本体42の前端部に形成された切欠452に開口する貫通穴とされている。嵌合穴450には、操作部材454が回転不能かつ軸方向に移動可能に嵌合されている。操作部材454は円柱状をなし、嵌合穴450の両側に突出する長さを有している。操作部材454のガイド穴300内に突出した突出端部に、抜止め装置410のスリーブ412の先端に係合する係合部456が固定的に設けられている。図9に示すように、係合部456は軸方向に直交する向きに延び、自由端部に切欠468が形成されて、リーマ366のシャンク440との干渉を回避しつつスリーブ412と係合し得るようにされている。
【0033】
操作部材454の外周面と嵌合穴450の内周面との間にはブッシュ460が嵌装されており、ねじ部材462により固定されている。また、ブッシュ460の前端面と、操作部材454に固定されたスプリングリテーナ464との間には弾性部材たる圧縮コイルスプリング(以下、単にスプリングと称する)466が配設されている。したがって、係合部456は通常は、スプリング466の付勢力によりブッシュ460を介してホルダ本体42に当接させられた状態で保持され、スリーブ412とは接触しないようにされている。
【0034】
これに対して、操作部材454の切欠452側に突出する突出端部が作業者等により押されて操作部材454が軸方向後方へ移動させられれば、係合部456がスリーブ412の前端面に当接し、さらに操作部材454が移動させられることにより、スリーブ412がスプリング414の付勢力に抗して後退させられる。このとき、斜面の効果により鋼球432がシャンク440に押し付けられることがなくなり、リーマ366が抜き出し可能となる。
【0035】
シャンク440の軸方向の後端部480は互いに平行な一対の平面により面取りされた形状とされている(図14参照)。工具挿入穴403の底部から、リーマ366の第二可動軸400に対する相対回転を防止する回転止め穴482が形成されている。回転止め穴482は、横断面形状が矩形とされており、狭い方の幅が上記シャンク440の面取りされた後端部480がほぼ隙間なく嵌合される大きさとされている。したがって、シャンク440の後端部480が回転止め穴482に嵌合されることにより、シャンク440の第二可動軸400に対する相対回転が禁止される。
【0036】
シャンク440の後端部480の内部には、シャンク440の挿入深さを調節するための調節ねじ484が設けられている。後端部480に後端面に開口する雌ねじ穴486が形成され、調節ねじ484が螺合されているのである。調節ねじ484の後端面に工具係合部が形成されており、それに工具を係合させて回転させることにより、調節ねじ484のシャンク440からの突出量を調節することができる。シャンク440は予め調節ねじ484の突出量が調節された状態で工具挿入穴403内に挿入され、規定部材500に当接することにより、挿入が停止させられる。図1に示すように、規定部材500は円筒状の部材であって後端部が雄ねじ部506とされ、第二可動軸400に形成された嵌合穴502にほぼ隙間なく嵌合されるとともに、雄ねじ部506が雌ねじ穴504に螺合されることにより、規定部材500が軸方向移動不能に固定されている。雄ねじ部506は、規定部材500とは別体で、規定部材500に当接して規定部材500を固定する雄ねじ部材とされてもよい。規定部材500の中央に軸方向に延びるクーラント穴508が形成されるとともに、規定部材500の先端面512の調節ねじ484と干渉しない部分に開口する複数の連通穴514に分岐させられており、嵌合穴502と回転止め穴482との間に形成されたクーラント穴516にクーラント液が供給可能とされている。クーラント穴516は回転止め穴482を経ずに直接工具挿入穴403に連通させられており、シャンク440の工具挿入穴403内に位置する部分に形成された、外周側開口518からシャンク440の内部を通ってリーマ366の先端までクーラント液を供給することができる。
【0037】
以上のように構成されたバルブシート加工工具装置における工具ホルダ40のアダプタ10への取付を説明する。まず、バイト124をスライダ80の工具保持穴122に取り付け、調整ねじ132を回転させてバイト124の切刃の軸方向の刃先位置調整を行う。また、バイト344,346をそれぞれホルダ本体42の工具保持部340,342に取り付ける。
【0038】
次に、第一可動軸320をアクチュエータにより後退端位置に位置させた状態で、その第一可動軸320の係合片332とプランジャ200の切欠310が軸方向に嵌合,離脱可能である特定位相とされ、かつ、クランプ部材256が、カム溝280が最も深い部分において鋼球272と対向して鋼球272がアダプタ10の嵌合突部20の外周から突出しない位相とされた状態で、係合片332を切欠310を経て係合溝308内に進入させると共に、ホルダ本体42の前記係合凹部50にアダプタ10に突設された前記係合ピン34を嵌入させる。この状態で、ホルダ本体42とアダプタ10とを、係合ピン34が係合凹部50の位置決め端部に当接するまで一定角度回転させれば、係合片332と係合穴部306とが係合位相となって、プランジャ200と第一可動軸320とが連結される。
【0039】
続いて、ウォーム286の六角穴290に外部より工具を係合させて、クランプ部材256を鋼球272が外側へ押し出される方向(図6において反時計方向)に回転させれば、鋼球272がホルダ本体42の係合溝276のテーパ内周面278に押し付けられ、工具ホルダ40の後端面48がアダプタ10の前端面16に強く押し付けられ、工具ホルダ40がアダプタ10にクランプされる。工具ホルダ40がアダプタ10を介して主軸に強固に取り付けられるのである。
【0040】
第二可動軸400をリーマ移動装置により前進端位置へ前進させ、スリーブ412をプランジャ200の貫通穴304内に進入させる。一方スリーブ364の前端部からリーマ366を挿入し、それのシャンク400を貫通穴304内に侵入させ、抜止め装置410に嵌入させる。さらに、シャンク440を、回転止め穴482に嵌入可能な特定位相において回転止め穴482に嵌入させ、予めリーマ366の挿入限度に調節された状態の調節ねじ484を規定部材500に当接させる。その後、リーマ366に作用させていた押込力を解除しても、抜止め装置410の鋼球432と傾斜面434との斜面の作用により、シャンク440が軸方向前方へ抜け出すことは阻止される。リーマ移動装置を逆方向に作動させて第二可動軸400を後退させ、リーマ336を工具ホルダ40側、厳密にはスリーブ364側へ引き込む。
【0041】
以上で準備が完了し、バルブシートの各テーパ内周面348,350,352の切削が行なわれる。すなわち、主軸および切削工具が回転させられつつ送り装置により軸方向に前進させられ、バイト344により、シート面350に対してガイド穴側とは反対側に位置するテーパ内周面348の切削が行なわれるとともに、バイト346により、テーパ内周面348とは反対側においてシート面350に隣接するテーパ内周面352の切削が行なわれる。続いて、第一可動軸320が前進させられてバイト124によるシート面350の切削が行なわれ、さらに、第二可動軸400が前進させられてリーマ366によるバルブガイド354のガイド穴356の内周面切削が行われる。このように、シート面350の切削加工とバルブガイド354のガイド穴356の仕上げ加工とが主軸を移動させることなく連続的にまたは並行して行なわれるため、シート面350とガイド穴356との同心度が確保される。また、上記のように第一可動軸320およびプランジャ200の前進により、スライダ80が傾斜T溝60に沿って移動させられるので、シート面350が傾斜T溝60の傾斜角度と同じ角度で精度良く加工される。
【0042】
工具ホルダ40を主軸2から取り外す際には、まず、操作部材454の操作によって抜止め装置410のスリーブ412を後退させ、鋼球432がスリーブ412の内周面から突出してシャンク440に係合することがないようにした状態で、リーマ366を取外す。このように、本実施形態においては、特に工具を用いることなくリーマ366の着脱を行うことができる。リーマ366の取外しは必ずしも不可欠ではないが、通常は行なわれる。次に、ウォーム286をクランプ時とは逆方向に回転させれば、クランプ部材256が時計方向(図6参照)に回転させられて複数の鋼球272が内側へ移動することを許容する状態となり、工具ホルダ40とアダプタ10とのクランプが解除される。さらにクランプ部材256を時計方向に回転させれば、けり上げ凸部295が工具ホルダ40をけり上げ、嵌合突部20と工具ホルダ40とのしまり嵌合を解除する。したがって、工具ホルダ40とアダプタ10とを取付時とは逆向きに相対回転させることができ、係合片332と切欠310とが特定位相となれば、アダプタ10,クランプ部材256等を主軸側に残して、工具ホルダ40を軸方向に取り外すことができる。
【0043】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、アダプタ10を備えた主軸2が「第一軸」を構成し、嵌合突部20が「第一嵌合部」を、第一可動軸320が「第二軸」を、第二可動軸400が「第三軸」をそれぞれ構成している。保持穴270が「保持穴」を構成し、鋼球272が「ロック部材」を、クランプ部材256が「駆動回転体」をそれぞれ構成し、ウォーム282とウォームホイール294とが互いに共同して「回転駆動装置」を構成している。抜止め装置410が「抜止め装置」を構成し、調節ねじ484と規定部材500とが「ストッパ装置」を構成し、シャンク440の後端部480と回転止め穴482とが互いに共同して「回転阻止装置」を構成している。
【0044】
本バルブシート加工工具装置においては、短円筒状ないし円環状のクランプ部材256の回転によって、工具ホルダ40が主軸2の一部としてのアダプタ10にクランプされるため、工具ホルダ40が装着されるべき第一軸(主軸2およびアダプタ10)の内側に第二軸としての第一可動軸320が嵌合されているにもかかわらず、工具ホルダ40を第一軸に強固に固定することができる。また、クランプ部材256を回転させる回転駆動装置282がウォームホイール294およびウォーム286を含むものとされているため、容易に第二軸との干渉を避けることができる。しかも、上記のように、クランプ部材256が円環状の部材とされていることと、回転駆動装置がウォームホイール294およびウォーム286を含むものとされていることとにより、工具ホルダ40を主軸2(厳密には主軸2の一部としてのアダプタ10)に迅速に着脱し得る工具取付装置を、軸方向の寸法の短いものとすることができ、容易に第一軸の先端部に配設することができる。なお、工具取付装置は、クランプ部材256,アダプタ10,鋼球272,ウォームホイール294,ウォーム286等により構成されていると考えることも可能である。
【0045】
リーマ366の着脱がきわめて容易であることも、本バルブシート加工工具装置の特長の一つである。前述のように、リーマ366のシャンク440を抜止め装置410に挿入し、リーマ366の予め調節された調節ねじ484を規定部材500に当接させるのみで、リーマ366は第二可動軸400に対し、軸方向の相対移動も相対回転も不能な状態となり、かつ、第二可動軸からの突出量も所定の長さに調節された状態となって、第二可動軸400への装着作業が終了するのである。また、スリーブ412を圧縮コイルスプリング414の付勢力に抗して後方へ押し戻せば、抜止め装置410が抜け出し防止機能を果たさない状態となり、リーマ366を第二可動軸400から抜き出すことが可能となる。
【0046】
さらに、本バルブシート加工工具装置は、スライダ80のホルダ本体42による案内機能が長く良好に維持される特長を有している。スライダ80が、ホルダ本体42に形成された傾斜T溝60および軸方向溝62内を摺動すれば、摺動面が摩耗する。摩耗量が大きい場合には、スライダ80に保持された切削工具の刃先の位置が変わり、加工精度低下の一因となるが、摩耗量が小さくても、びびりが生じ易くなり、切削された被加工面の面粗さが悪化して加工品質の要求を満たし得なくなる。それに対し、本バルブシート加工工具装置においては、皿ばね110の付勢力により押付部材90がスライダ80の一対の腕部86に押し付けられ、それによってスライダ80がホルダ本体42から浮き上がることが防止されるため、傾斜T溝60の底面64に沿った方向の移動のみ許容される。この状態は、スライダ80やホルダ本体42の摺動面が摩耗しても維持され、びびりの発生が良好に回避でき、被加工面の面粗に関する要求品質を満たすことが容易となる。また、摩耗量が大きくなった時点においても、スライダ80のホルダ本体42に対する相対位置が安定するため、リーマ366の刃先位置の変化も安定し、それに対処することが容易となって、加工精度の低下を防止することが容易となる。また、本バルブシート加工工具装置においては、傾斜T溝60に別体としてのスペーサ66を配設しており、スペーサ66の硬度を向上させたり、表面処理を施すことにより、耐磨耗性向上を図ることが容易である。
【0047】
リーマ366の回転を阻止する回転止め装置は、図15に示すように、ワンウェイクラッチ600とすることが可能である。ワンウェイクラッチ600は一般に良く知られたものであるので詳細な図示および説明は省略するが、主軸2により第二可動軸400が回転させられる際には、第二可動軸400の回転をリーマ366に伝達し(両者の相対回転を禁止し)、逆方向の回転は伝達しない(相対回転を許容する)ようにされている。前述のシール部材406が配設されるべき位置にワンウェイクラッチ600を配設すれば、リーマ366のシャンク440が、抜止め装置410により軸方向前方へ抜け出すことが禁止されると共に、第二可動軸400に対する相対回転が阻止された状態で把持される。この態様によれば、回転止め穴482を形成することが必要でなくなるので、その部位にOリング602等のシール部材を配設して、シャンク440と第二可動軸400との間のシールを行うことができる。
【0048】
さらに、リーマ366の抜止め装置410を解除する解除装置を図15に示す態様とすることができる。本解除装置650は、前述の係合部456と同様に、板状の係合部材652を有する。係合部材652は、スリーブ412に係合する係合端部654とは反対側の端部656近傍において、第二可動軸400の軸方向に直交する回動軸線まわりに回動可能に支持されており、係合部材652が回動させられることにより係合端部654がほぼ軸方向に移動可能とされている。ホルダ本体42に、上述の回動軸線に沿って嵌合穴658が形成され、その嵌合穴658に相対回転可能に支持軸660が嵌合されている。支持軸660に、長手方向に延びるスロット661が形成され、そのスロット661に上記係合部材652が嵌合されている。それら係合部材652と支持軸660とに互いに同径の貫通穴662,664が形成され、それら貫通穴662,664に共通のスプリングピン666が挿通されることにより両者が固定されている。支持軸660の一端面には、図示は省略するが、六角穴等の工具係合部が設けられている。リーマ360を取り外す際には、その工具係合部に六角棒スパナ等の回転操作工具が係合させられ、支持軸660が回動軸線まわりに回転させられる。
【0049】
プランジャ200に、係合部材652との干渉を回避するための切欠670が形成されている。切欠670の底面から軸方向に平行な有底円筒状のばね穴672が形成されており、弾性部材としての圧縮コイルスプリング(以下、単にスプリングと称する)674が配設されている。スプリング674はばね穴672から軸方向前方に突出するさ長さとされている。係合部材652のスプリング674に対向する部位に係合凹部676が形成され、スプリング674の前端部が係合させられており、係合部材652を、係合端部654が軸方向前方へ移動する向き(図において反時計方向)に回動するように付勢している。係合部材652は軸方向前側の側面であってスプリング674より係合端部654に近い側において、ストッパ部材としてのボルト678に当接させられている。ホルダ本体42に、ガイド穴300に向かって開口する雌ねじ穴680が形成され、ボルト678が雌ねじ穴680にスペーサ682を貫通して螺合されている。係合部材652は、ボルト678の頭部に当接することにより係合端部654が軸方向前方へ移動する向きの回動限度が規定される。
【0050】
係合部材652は、通常は係合部材652がボルト678に当接した状態に保持されている。作業者により支持軸660がスプリング674の付勢力に抗して時計方向に回転操作されれば、支持軸660と一体的に係合部材652が回動させられる。係合端部654がスリーブ412に当接し、スリーブ412がスプリング414の付勢力に抗して軸方向後方に移動させられるので、抜止め装置410が解除状態となり、リーマ366を抜き出すことが可能となる。本態様においても、作業者により簡単な操作で抜止め装置410を解除状態とすることが可能である。
【0051】
押付部材90を別の態様とすることが可能である。図16に示すように、スライダ80の傾斜部700の横断面形状が台形とされ、それに対応する形状の傾斜溝702によりスライダ80の移動が案内される。傾斜部700は底面64から互いに平行に延びる側面704を備える基部706と、底面64から遠ざかるにつれて互いに接近する一対の傾斜側面708を備える先端部710とを有する。傾斜溝702は前記態様における傾斜T溝60と同様に、実際には複数の部材からなり、ホルダ本体42に形成された傾斜溝702の底面64に向かってスライダ80を押し付ける一対の押付部材720を備える。押付部材720はそれぞれ、スライダ80の傾斜側面708に沿って延びる押付面722を有する。押付部材720は、長手方向に隔てられた2箇所においてボルト106により傾斜溝702に固定されている。押付部材720は、押付面722がスライダ80に接触した状態においてスペーサ66から僅かに浮き上がった状態となるように形成されている。前記押付部材90と同様に、ボルト106の頭部108と押付部材720との間に皿ばね110が配設され、押付部材720を底面64に直交する向きに付勢している。本態様においては、底面64に直交する向きの力が、押付面722と傾斜面708との斜面の効果により、スライダ80が、傾斜溝702の底面を形成するスペーサ66に押し付けられるとともに、一対の押付部材720により両側から挟まれた状態となるので、スライダ80はそれの幅方向への移動も良好に防止されて傾斜溝702に沿った方向の移動のみが許容される。皿ばね110の弾性力は、スライダ80の両側において等しいものとされている。この態様によれば、スライダ80の両側において等しい力で押付部材720を付勢することとなり、スライダ80が幅(横)方向の中央位置に位置させられる。
【0052】
なお、皿ばね110の弾性力がスライダ80の左右において常に等しいならば、スライダ80の幅方向における位置が常に一定となるが、互いに異なる場合には、スライダ80が一方の押付部材720側へ片寄った位置に位置させられることとなり、しかもいずれの側に片寄るかがまちまちとなるので、スライダ80の幅方向における位置が複数の工具ホルダ間で一致しない恐れがある。これを回避するために、スライダ80の左右の押付部材720を付勢する皿ばね110のうち一方の側の皿ばね110の弾性力を他方の側の皿ばね110の弾性力より大きいものを用いるようにすることが望ましい。予め、一方の押し付け力が他方の押し付け力より明瞭に大きくなるようにするのである。このことにより、皿ばね110の弾性力が強い側の押付部材720がスライダ80の傾斜面722とスペーサ66の上面との両方に当接させられると共に、スライダ80を他方の押付部材720に向かって押し付けるので、この態様によれば、スライダ80が常に皿ばねの弱い側の押付部材720に片寄った状態で保持される。
【0053】
上記各態様においては、押付部材90,720は、スライダ80の両側に設けられているが、片側にのみ設けられ、他方の側にはスライダ80の幅方向への移動を阻止するための案内部材が設けられるようにしてもよい。この態様においても、スライダ80の幅方向の位置を容易に安定させることができる。
【0054】
さらに、スライダ80の両側に押付部材を配設する場合に、それら押付部材の形状が互いに異なるものを配設してもよい。例えば、一方の押付部材を底面64に平行な面においてスライダ80と接触する上記押付部材90とし、他方の押付部材を底面64に対して傾斜した押付面722においてスライダ80と接触する押付部材720とすることができる。このような組み合わせによれば、押付部材720と当接する側については、底面64に向かって押し付けられる向きの力と、他方の押付部材90に向かって押し付けられる向きの力とが作用して、他方の押付部材である押付部材90に押し付けられるとともに、その押付部材90により底面64に向かって押し付けられる向きの力が加えられるので、幅方向の位置が一定する。
【0055】
さらに、上記各態様においては、押付部材90,720がスライダ80を傾斜溝の底面64に向かって押し付けるようにされていたが、逆向きに押し付けるように構成することも可能である。図17に示すように、傾斜部800は、底面64に並行に延びる一対の腕部816とその腕部816から直角に延びる脚部818とを備える逆T字形に形成され、一対の腕部816の上面において一対の案内部材820にそれぞれ当接させられている。案内部材820は腕部816の両側において腕部816の側面に沿って延びる案内部830と、腕部816の上面にオーバハングして腕部816の上面に当接するオーバハング部832とを有する。案内部材820が、図示しない固定部材によりホルダ本体42に固定されることにより傾斜T溝833が形成されている。傾斜部800の底面802において開口する嵌合溝804が形成され、それに溝形の押付部材806が摺動可能に嵌合されている。押付部材806は、二本のボルト808によりスペーサ66を介してホルダ本体42に固定されている。押付部材806に座繰り穴810が形成されており、その座繰り穴810にボルト808の頭部812が収容されることにより、傾斜部800と押付部材806との当接が妨げられないようにされている。スペーサ66と押付部材806との間に皿ばね814が配設されており、押付部材806を底面64から遠ざかる向きに付勢している。
【0056】
スライダ80と案内部材820とが配設されれば、押付部材806は皿ばね814の付勢力に抗して押し下げられる。この状態で第一可動軸320が軸方向に移動させられれば、傾斜部800が、上記腕部816が案内部材820のオーバハング部832に押しつけられた状態で、傾斜T溝833に沿って移動させられる。
【0057】
さらに、スライダ周辺を図18および図19に示す態様とすることができる。本態様においては、図17に示す態様と同様に、スライダ80の傾斜部900が、傾斜T溝に配設されたスペーサ66から離間する向きに力が加えられ、案内部材820に押しつけられた状態で摺動可能とされている。本態様においては、傾斜部900を案内部材820に押しつける押付装置の構成において上記実施形態と異なるので異なる部分について特に詳細に説明する。
【0058】
スライダ80の傾斜部900は、底面64に並行に延びる一対の腕部816とその腕部816から直角に延びる脚部818とを備える逆T字形に形成されている。傾斜部900は、腕部816の厚さが案内部材820のオーバハング部832とスペーサ66との間隔より僅かに薄くなるようにされている。傾斜部900のスペーサ66と対向する側に開口して楔部材904を保持する保持凹部902が形成されている。本態様においては、保持凹部902は2箇所に設けられ、傾斜部900の軸方向先端側に位置する保持凹部902aの幅方向に直交する方向の寸法が、軸方向後方に位置する保持凹部902bの寸法より小さくされている。以下、両方の保持凹部902a,bを示す際には、単に保持凹部902と称する。それら保持凹部902は、両側の腕部816を貫通して形成され、一方の腕部816側の開口から他方の開口に向かって深さが直線的に減少させられている。換言すれば、保持凹部902のスペーサ66に対向する面が、上記他方の腕部816の開口に接近するほどスペーサ66に接近する向きに傾斜させられた傾斜面906とされている。
【0059】
それら保持凹部902それぞれに、楔部材904がスライダ80の傾斜部900の幅方向に相対移動可能、かつ、傾斜部900の長手方向に相対移動不能に嵌合されている。楔部材904は、傾斜部900の幅方向において厚さが変化する形状とされ、スペーサ66に平行な底面908と上記傾斜面906に平行な上面910とを備えている。楔部材904に、底面908と上面910との間隔が大きい側の側面912において開口する有底の保持穴914が複数個、幅方向に延びて形成されている。各保持穴914内に圧縮コイルスプリング(以下、単にスプリングと称する)916が配設されており、それらスプリング916は保持穴914から突出する長さとされている。
【0060】
スライダ80の傾斜部900において、楔部材904の上記保持穴914が開口している側面912に対向する位置において、楔部材904に保持されたスプリング916を受けるためのスプリング受け918が固定的に設けられている。スプリング受け918は板状に形成され、傾斜部900に形成された切欠920に収容されて傾斜部900の傾斜T溝833に対する相対移動を妨げないようにされている。2つの保持凹部902a,902bの間において腕部816に雌ねじ穴922が形成され、スプリング受け918に形成されたボルト穴924を経てボルト926が締め付けられることにより、スプリング受け918は傾斜部900に一体的に固定されている。ボルト穴924はボルト926の頭部を収容可能に形成されている。保持凹部902に楔部材904が配設されれば、その楔部材904から突出しているスプリング916がスプリング受け918に当接することにより、楔部材904をスプリング受け908から遠ざかる向きに付勢する。このとき楔部材904の上面910と保持凹部902の傾斜面906とのくさび効果により傾斜部900がスペーサ66から遠ざかる向きに押されて案内部材820に押しつけられる。上述のように、傾斜部900の腕部816の厚さは、傾斜T溝833内の厚さより僅かに小さくされているので、傾斜部900はスペーサ66には接触せず、案内部材820により案内される。
【0061】
この実施形態においても、スライダ80の傾斜部900が楔部材904により、常に案内部材820に向かって押しつけられることとなり、スライダ80が安定して保持される。さらに、楔部材904やスライダ80の傾斜部900が磨耗したとしても、スプリング916の付勢力により、楔部材904が傾斜部900に対して幅方向に相対移動させられることにより、傾斜部900を案内部材820に良好に押しつけ続けることができる。
【0062】
以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるバルブシート加工工具装置の工具保持装置を示す正面断面図である。
【図2】上記工具保持装置を示す側面図である。
【図3】上記工具保持装置の一部を拡大して示す正面断面図である。
【図4】図1の要部を拡大して示す正面断面図である。
【図5】図1におけるV-V断面図(一部省略)である。
【図6】図1におけるVI-VI断面図である。
【図7】上記工具保持装置の別の要部を拡大して示す正面図(一部断面)である。
【図8】上記工具保持装置のうち駆動部材を示す平面図である。
【図9】図1におけるIX-IX断面図である。
【図10】上記工具保持装置のうちスライダの側面断面図である。
【図11】図1におけるXI-XI断面図(一部省略)である。
【図12】図1におけるXII-XII断面図(一部省略)である。
【図13】図1におけるXIII-XIII断面図(一部省略)である。
【図14】上記工具保持装置の回転止め装置を示す側面断面図である。
【図15】上記工具保持装置とは別の態様の工具保持装置を部分的に示す正面断面図である。
【図16】上記スライダとは別の態様のスライダを示す側面断面図である。
【図17】さらに別の態様のスライダを示す側面断面図である。
【図18】さらに別の態様のスライダを示す分解斜視図である。
【図19】図18のスライダを示す側面断面図である。
【符号の説明】
10:アダプタ 40:工具ホルダ 60:傾斜T溝 80:スライダ 82:傾斜部 84:軸方向部 86:腕部 88:脚部 90:押付部材 92:上面 94:押付部 96:第一案内部 98:第二案内部 106:ボルト 110:皿ばね 150:嵌合穴 152:駆動部材 156:係合部 256:クランプ部材 282:ウォーム 294:ウォームホイール 270:保持穴 272:鋼球 320:第一可動軸 400:第二可動軸 410:抜止め装置 412:スリーブ 414:スプリング 430:貫通穴 431:開口近傍部 432:鋼球 433:溝 434:傾斜面 440:シャンク 480:後端部 482:回転止め穴 484:調節ねじ 486:雌ねじ穴 500:規定部材 700:傾斜部 702:傾斜溝 704:側面 708:傾斜側面 720:押付部材 722:押付面

Claims (7)

  1. 概して中空軸状を成し、前端部が第一嵌合部とされた第一軸と、
    その第一軸の内側に同軸にかつ第一軸に対して相対回転と軸方向の相対移動との少なくとも一方が可能な状態で嵌合された第二軸と、
    前記第一嵌合部の外周側に嵌合される第二嵌合部と、その第二嵌合部の内周面に前向きにかつ前傾して形成されたテーパ面と、切削刃具を保持する刃具保持部とを備えた工具ホルダと、
    前記第一嵌合部を半径方向に貫通して形成された複数の保持穴と、
    それら保持穴の各々に半径方向に移動可能に保持され、かつ保持穴の内周側および外周側の両端開口から同時に突出可能な寸法を有する複数のロック部材と、
    前記第一嵌合部の内周側でかつ前記第二軸の外周側に、第一嵌合部と同軸にかつ相対回転可能に配設され、前記保持穴に対向する外周面に周方向に進むにつれて第一軸の軸線からの距離が漸変する駆動面を複数備え、一方向に回転することにより、各駆動面により前記ロック部材を外周側へ押し出して前記工具ホルダのテーパ面に押し付け、前記一方向とは逆方向に回転することによってロック部材が内周側へ引っ込むことを許容する駆動回転体と、
    その駆動回転体と前記第一軸との間に設けられ、駆動回転体を前記正,逆両方向に回転させる回転駆動装置と、
    前記第一嵌合部と前記第二嵌合部との軸方向における嵌合限度を規定する嵌合限度規定手段と
    を含む切削工具装置。
  2. 前記駆動面が、前記駆動回転体の外周面に周方向に延びる状態で形成され、かつ、深さが周方向に漸変する溝の底面により構成された請求項1に記載の切削工具装置。
  3. 前記ロック部材が球形のボールである請求項1または2に記載の切削工具装置。
  4. 回転駆動装置が、
    前記駆動回転体と同軸にかつ一体的に回転可能に設けられたウォームホイールと、
    前記第一軸に、その第一軸の軸線とほぼ直角に立体交差する回転軸線のまわりに回転可能に保持され、前記ウォームホイールと噛み合うウォームと、
    そのウォームを回転操作するための回転操作部と
    を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の切削工具装置。
  5. 前記工具ホルダに、切削工具を着脱可能に保持する工具保持部を有するスライダが前記第一軸の軸線と斜めに交差する方向に移動可能に保持され、そのスライダと前記第二軸との間に、第二軸の第一軸に対する軸方向の相対移動をスライダの移動に変換する運動変換機構が設けられ、かつ、前記スライダが、一直線に沿って同一の横断面形状および寸法で延び、その横断面形状が非円形である被案内部を有し、前記工具ホルダに、その被案内部を前記一直線に平行な方向には移動可能であるがその一直線と直交するあらゆる方向の移動は不能な状態で案内する複数の案内面を備えたガイドと、弾性部材の弾性力に基づいて前記被案内部を前記複数の案内面の少なくとも一つに押し付ける押し付け装置とが設けられた請求項1ないし4のいずれかに記載の切削工具装置。
  6. 前記第二軸も中空軸であり、その内側にさらに第三軸が同軸に、相対回転不能かつ軸方向に相対移動可能に配設され、その第三軸の前端部に回転切削工具を保持するチャック装置が設けられ、かつ、そのチャック装置が、回転切削工具のシャンクの軸方向の進入は許容するが抜け出しは阻止する抜止め装置と、前記シャンクの進入限度を規定するストッパ装置と、前記シャンクの少なくとも一方向の回転を阻止する回転阻止装置とをそれぞれ別個に備えた請求項1ないし5項のいずれかに記載の切削工具装置。
  7. 前記ストッパ装置が、前記シャンクと前記チャック装置本体とにそれぞれ設けられ、軸方向において互いに当接してシャンクのチャック装置本体への挿入限度を規定する第一ストッパ部材および第二ストッパ部材を含み、かつ、それら第一ストッパ部材と第二ストッパ部材との少なくとも一方が、前記シャンクと前記チャック装置本体との少なくとも一方に軸方向に平行に形成された雌ねじ穴に螺合された調節ねじである請求項に記載の切削工具装置。
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