JP4475394B2 - ワークホルダ - Google Patents
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Description
また、特許文献2に記載のワークホルダにおいても、構造上、一対のラックの長さには自ずから制限があるため、一対の把持部材の間隔を最小から最大まで変化させる際のピニオンおよび回転軸の回転角度が比較的小さく制限され、やはり回転軸の回転停止位置制御の精度を高くすることが必要である。
本発明は、以上の事情を背景として、ワークピースを加工機械に着脱するために、その加工機械の主軸の回転を利用してワークピースを保持・解放するワークホルダにおいて、主軸の回転角度制御を容易にすることを課題としてなされたものである。
第一ねじ部材および第二ねじ部材は、回転軸と同軸に配設してもよく、異なる軸線上に配設してもよい。例えば、第一,第二ねじ部材を回転軸の軸線を含む一平面内に位置し、回転軸の軸線と平行な軸線上に配設してもよい。この場合、例えば、第一ねじ部材と回転軸との間に、回転軸の回転を第一ねじ部材に伝達する回転伝達装置が設けられ、第一ねじ部材が回転軸と共に回転するようにされる。
本ワークホルダによれば、回転軸の回転角度、すなわち加工機械の主軸の回転角度の制御を容易に行うことができる。第一,第二ねじ部材のねじのリード角を小さくすれば、第一ねじ部材の同じ回転角度に対する第二ねじ部材の軸方向の移動距離を短くすることができ、回転軸の実際の回転角度がワークピースの保持に必要な角度より多少大きくても、第二ねじ部材の軸方向の移動距離の増大が小さくて済む。したがって、ワークピースを保持,解放するための回転軸の回転角度が、保持に適した角度よりやや大きめになっても、ワークピースに過大な保持力を加えて破損することなく、確実に保持することができ、回転軸の回転角度制御の精度を低くすることができ、制御が容易になる。
また、本ワークホルダは、被保持部の大きさが異なる複数種類のワークピースの保持に適している。回転軸および第一ねじ部材の回転角度を大きくすれば保持部材の移動距離が大きくなるため、複数種類の被保持部の寸法に合わせて、それらを保持,解放するための回転軸の回転角度範囲(保持角度と解放角度との間の角度範囲)を複数種類設定することにより、被保持部の大きさの違いに対応することが容易なのである。
さらに、第一リミッタ部材と第二リミッタ部材とは、相対回転トルクが設定値を超えれば相対回転するが、第一係合部が複数設けられているため、回転軸が停止したとき、第一,第二リミッタ部材の位相を問わず、第一係合部と第二係合部とが互いに係合し、トルクリミッタが、設定値以下のトルクは伝達するが、設定値を超えるトルクは伝達しない状態に自動的に復帰し易い。
その回転軸を相対回転可能に保持し、自身は加工機械の非回転部と係合させられる本体部材と、
その本体部材に対して相対移動可能に設けられ、互いに共同してワークピースを保持する複数の保持部材と、
それら回転軸,本体部材および保持部材の間に設けられて、回転軸の本体部材に対する相対回転を保持部材の前記ワークピースを保持・解放する運動に変換する運動変換装置とを含み、前記ワークピースを保持するワークホルダであって、
前記運動変換装置が、
前記回転軸と共に回転する第一ねじ部材と、
前記本体部材に相対回転不能かつ軸方向に相対移動可能に保持され、前記第一ねじ部材と螺合された第二ねじ部材と
を含み、第二ねじ部材の前記本体部材に対する軸方向の相対移動を前記複数の保持部材の前記運動に変換するものであるワークホルダ。
(2)前記第一ねじ部材が前記本体部材に相対回転可能に保持されており、その第一ねじ部材と前記回転軸との間に、設定値以下のトルクは伝達するが設定値を超えるトルクは伝達しないトルクリミッタが設けられた (1)項に記載のワークホルダ。
ワークピースを保持する際、複数の保持部材がワークピースに接触し、保持した状態から更に回転軸が回転させられ、第一ねじ部材が回転させられれば、保持部材がワークピースを保持する力が過大になり、ワークピースと保持部材との少なくとも一方が破損する恐れがある。それに対し、トルクリミッタが設けられていれば、複数の保持部材がワークピースを保持した状態から更に、回転軸が回転させられても、設定値を超える回転トルクは第一ねじ部材に伝達されない。そのため、例えば、回転軸の回転角度制御に誤差があっても、ワークピースを破損することなく、保持することができる。また、保持部材が摩耗しても、2つの保持部材の接近・離間距離の不足が自動的に回避され、確実にワークピースが保持される。
さらに、前述のように、運動変換装置が第一,第二ねじ部材を含むことにより容易になる回転軸の回転角度制御が、さらに容易になる。回転軸の回転角度が大きくても、トルクリミッタにより第一ねじ部材への設定値を超えるトルクの伝達が阻止され、ワークピースの破損が回避されるからである。
(3)前記トルクリミッタが、
常に前記第一ねじ部材と共に回転する第一リミッタ部材と、
常に前記回転軸と共に回転する第二リミッタ部材と、
それら第一リミッタ部材と第二リミッタ部材との一方にその一方の回転軸線を中心とする一円周上に複数設けられた第一係合部と、第一リミッタ部材と第二リミッタ部材との他方に保持されて前記第一係合部と弾性的に係合する第二係合部とであって、第一リミッタ部材と第二リミッタ部材との相対回転トルクが前記設定値以下である場合は第二係合部が第一係合部から外れず、前記設定値を超える場合は外れるものと
を含む (2)項に記載のワークホルダ。
第一ねじ部材と第一リミッタ部材および第二ねじ部材と第二リミッタ部材とは、それぞれ同軸に配設されてもよく、異なる軸線上に配設されてもよい。
第一リミッタ部材と第二リミッタ部材とは、相対回転トルクが設定値を超えれば相対回転するが、第一係合部が複数設けられているため、回転軸が停止したとき、第一,第二リミッタ部材の位相を問わず、第一係合部と第二係合部とが互いに係合し、トルクリミッタが、設定値以下のトルクは伝達するが、設定値を超えるトルクは伝達しない状態に自動的に復帰し易い。そのため、例えば、ワークピースの保持後、ワークピースを解放する際に作業者が第一,第二係合部を互いに係合させて回転軸の回転が第一ねじ部材に伝達されるようにしなくて済むことが多い。
(4)前記第一係合部と第二係合部とが軸方向において互いに対向する (3)項に記載のワークホルダ。
第一リミッタ部材と第二リミッタ部材とは、一方を他方の内側あるいは外側に相対回転可能に嵌合し、第一係合部と第二係合部とが、回転軸線と直交する方向において互いに対向するようにすることも可能である。しかし、第一係合部と第二係合部とを軸方向において互いに対向させれば、トルクリミッタをコンパクトに構成することができる。
(5)前記第一係合部が、前記一円周に沿って連続的に形成された波形の凹凸部により構成された (3)項または (4)項に記載のワークホルダ。
波形の凹凸部の、回転軸が停止した際に第二係合部と係合する部分が第一係合部を構成し、回転軸の回転停止時における第一係合部と第二係合部との相対位相のいかんを問わず、第一,第二係合部が係合し、トルクリミッタとして機能する状態が得られる。
(6)前記第二係合部が、
前記第一リミッタ部材と第二リミッタ部材との前記他方に設けられた収容凹部と、
その収容凹部の先端開口から少なくとも一部が外部に突出可能に保持されたボールと、
前記収容凹部内に配設され、前記ボールを突出方向に付勢する弾性部材と
を備えた (3)項ないし (5)項のいずれかに記載のワークホルダ。
相対回転トルクが設定値以下の状態では、ボールは第一,第二リミッタ部材の一方に係合した状態を保ち、両リミッタ部材を一体的に回転させる。相対回転トルクが設定値を超えたならば、ボールは弾性部材の付勢力に抗して収容凹部内に引っ込み、第一,第二リミッタ部材の相対回転を許容し、トルクの伝達を遮断する。
相対回転トルクの設定値は、弾性部材の弾性力に応じた大きさに設定される。第二係合部が複数設けられる場合、その数は、複数の弾性部材の弾性力に応じた相対回転トルクの和が設定値となるように選定される。
(7)前記第一リミッタ部材が前記第一ねじ部材と同軸に設けられた (3)項ないし (6)項のいずれかに記載のワークホルダ。
第一リミッタ部材を第一ねじ部材とは、異なる軸上に設けてもよい。この場合、例えば、第一リミッタ部材と第一ねじ部材との間に回転伝達装置を設けて第一リミッタ部材の回転が第一ねじ部材に伝達され、共に回転するようにする。本項のワークホルダによれば、例えば、ワークホルダを、回転軸の回転軸線と交差する方向に関してコンパクトに構成することができる。
本項のワークホルダによれば、例えば、ワークホルダを、回転軸の回転軸線と交差する方向に関してコンパクトに構成することができる。
(9)前記第一ねじ部材が外周面に雄ねじ部が形成されたものであり、前記第二ねじ部材が内周面に雌ねじ部が形成されたものである (1)項ないし (8)項のいずれかに記載のワークホルダ。
(10)前記第一ねじ部材が内周面に雌ねじ部が形成されたものであり、前記第二ねじ部材が外周面に雄ねじ部が形成されたものである (1)項ないし (8)項のいずれかに記載のワークホルダ。
平行四辺形リンクは2つでもよく、3つ以上でもよい。2つであっても、例えば、保持部がワークピースの被保持部に面接触する保持面を備えていれば、ワークピースを安定して保持することができる。
運動変換装置は、第一,第二ねじ部材によって回転軸の回転を軸方向の移動に変換するとともに、その軸方向の移動を一対のレバーの回動運動に変換し、複数の平行四辺形リンクの一対のレバーが、対称軸に対して軸対称の状態を保って一斉に回動させられ、複数の保持部材が互いに接近,離間させられてワークピースを保持,解放する。
レバーの長さ、すなわちレバーの本体部材に対する回動軸線と連結部材に対する回動軸線との距離と、レバーの回動角度との少なくとも一方の設定により、複数の保持部の最大接近・離間距離を変えることができる。特に、レバー比、すなわちレバーの長さと、レバーの回動軸線と運動変換装置により得られる駆動力が作用する部分との長さとの比が大きいほど、保持部材を大きく移動させることができる。したがって、レバーを、保持部材に、大きさが異なる複数種類のワークピースを保持可能な移動量を与えることができる長さを有するものとするとともに、レバー比をできるだけ大きく設定し、ワークピースの被保持部の大きさに応じてレバーの回動角度を設定することにより、保持部材を被保持部の大きさに応じた距離、移動させ、大きさが異なる複数種類のワークピースを容易に保持させることができる。
例えば、直線運動により複数の保持部材が互いに接近,離間させられてワークピースを保持・解放する場合、その移動を案内する案内装置が必要であり、ワークホルダには、被保持部が最大のワークピースを保持する際の複数の保持部材の移動を案内し得る案内装置が設けられることとなり、大形となる。それに対し、レバーを用いれば、被保持部が大きいワークピースを保持する際にはレバーの回動角度が大きくされて保持部が対称軸から大きく離間させられるが、ワークピースを保持しない場合には、レバーを本体部材側へ回動させ、閉じておくことができ、被保持部が小さい場合には回動角度は小さく、常時、大きいスペースを要するわけではなく、ワークホルダが大形となることを回避しつつ、大きさが異なる複数種類のワークピースを保持し得るワークホルダが得られる。
また、保持部は平行四辺形リンクの連結部材に設けられているため、レバーの回動角度が異なっても、保持部の本体部材に対する姿勢は変わらず、被保持部の大きさが異なる複数種類のワークピースを同じ姿勢で保持することができる。
(12)前記平行四辺形リンク群が3つの平行四辺形リンクから成る(13)項に記載のワークホルダ。
本項のワークホルダは保持部を3つ備えることとなり、ワークピースを3箇所において安定して保持することができる。例えば、被把持面の横断面形状が円形であるワークピースを心出しして保持することができ、ワークピースの保持に適切である。
(13)前記一対のレバーの各々の前記本体部材に対する相対回動軸線2本を含む平面と、それら一対のレバーの自由端部の各々の前記連結部材に対する相対回軸線2本を含む平面とが、共に前記対称軸に平行でありかつ互いに平行である(11)項または(12)項に記載のワークホルダ。
本項のワークホルダにおいては、平行四辺形リンク群が運動変換装置によって運動させられるとき、連結部材が対称軸に平行な姿勢を保って移動させられる。したがって、例えば、被保持部が対称軸に平行なワークピースであれば、大きさが異なっても連結部材の各々に設けられる保持部を常に同じ状態で被保持部に係合させることができる。
本項のワークホルダにおいても(11)項に記載のワークホルダと同様に、ワークホルダが大形となることを回避しつつ、被保持部の大きさが異なる複数種類のワークピースを保持することができる。
係合部材と支持部材とは、互いに直接固定されていてもよく、レバー等他の部材を介して間接的に固定されていてもよい。また、互いに一体に構成されていてもよい。
本項のワークホルダにおいては、2つのレバーが回動させられ、2つの係合部材が被係合面に係合させられてワークピースを保持する。また、2つの係合部材がワークピースに係合するとき、支持部材が支持面においてワークピースの被支持面に接触可能となり、ワークピースを支持することが可能な状態とされる。2つのレバーが逆方向に回動させられれば、2つの係合部材が被係合面から離間させられてワークピースを解放するとともに、支持部材が被支持面から離間させられてワークピースを解放する。
レバーの長さ、すなわちレバーの回動軸線と係合部材との距離と、レバーの回動角度との少なくとも一方の設定により、2つの係合部材の最大接近・離間距離を変えることができる。したがって、レバーを、被保持部の大きさが異なる複数種類のワークピースを保持可能な長さを有するものとし、2つの被係合面間の距離に応じてレバーの回動角度を設定することにより、複数種類のワークピースを保持することができる。2つの被係合面間の距離が大きいワークピースを保持する際にはレバーが回動させられて係合部材が本体部材から大きく離間させられるが、ワークピースを保持する場合以外には、レバーを本体部材側へ回動させ、閉じておくことができ、ワークホルダが大形となることを回避しつつ、大きさが異なる複数種類のワークピースを保持し得るワークホルダを得ることができる。
また、本ワークホルダは支持面を備えており、ワークピースを面によって支持することができるため、ワークピースを安定して保持することができる。例えば、被支持面が下向きであり、支持面が上向きに設けられる場合、支持部材はワークピースを下方から支持することができ、ワークピースが重い場合、特に、重くかつ重心が2つの係合部材により保持される2つの被係合部を結ぶ直線から外れていて、その直線まわりの回転トルクが生じる場合でも、安定して保持することができる。被支持面が上向きの面である場合には、支持面が下向きの面となるが、ワークピースの2つの被係合部を結ぶ直線まわりの回転はやはり支持面により防止され、ワークホルダは重いワークピースでも安定して保持することができる。被支持面および支持面が垂直あるいは傾斜している場合でも同様である。ワークピースを安定して保持するためには支持部材を2つ設けることが望ましいが、ワークホルダは加工機械に設けられ、ワークピースの加工機械への着脱に用いられるため、ワークピースを加工時ほど精度良く強固に保持しなくてよく、支持部材は1つでもよい。支持面が1つであっても、面によってワークピースを広く支持することができ、1つで足る場合もあるのである。
(15)前記支持部材の支持面がそれぞれ前記回転軸の軸線に平行である(14)項に記載のワークホルダ。
本項によれば、例えば、ワークホルダを回転軸線と交差する方向においてコンパクトに構成することができる。
(16)前記支持部材の支持面が一平面上に位置し、その一平面の片側に前記本体部材,支持部材および運動変換装置が配置された(15)項に記載のワークホルダ。
支持面の片側に本体部材等を配置すれば、支持面の本体部材等とは反対側の空間が空き、例えば、形状,寸法等が種々に異なるワークピースを本体部材等との干渉を生じることなく、支持面に支持させることができる。
本項のワークホルダであって、2つの保持部材のそれぞれに対応して支持部材が設けられる場合には、それら支持部材の各支持面がそれぞれ一平面上に位置させられる。2つの支持面が同一平面上に位置することは不可欠ではなく、例えば、互いに平行な異なる2つの平面内にそれぞれ位置するように支持面を設けてもよい。この支持面を有するワークホルダは、例えば、段付き状の部分を備え、互いに平行な異なる2つの平面内にそれぞれ位置する2つの被支持面を有するワークピースの保持に適している。
前記一対称軸上を移動可能に前記本体部材に保持され、その対称軸に対して傾斜したカム面を有するカムと、
そのカムのカム面に前記複数の保持部材のカムフォロワを押し付ける付勢手段と、
前記回転軸の前記本体部材に対する相対回転を前記カムの移動に変換する回転・直線運動変換機構と
を含む (1)項ないし(10)項のいずれかに記載のワークホルダ。
カムが移動させられれば、カムフォロワが付勢手段の付勢力に抗して対称軸と直交する方向に移動させられ、複数の保持部材が一斉に離間(または接近)させられる。カムが逆方向に移動させられれば、カムフォロワが付勢手段の付勢により移動させられ、複数の保持部材が互いに接近(または離間)させられる。この複数の保持部材の接近・離間によりワークピースを保持・解放する。
(18)前記カムが前記カム面を軸方向に隔たった2個所に備え、前記複数の保持部材の各々がそれら2個所のカム面にそれぞれ係合する2つずつのカムフォロワを備えた(17)項に記載のワークホルダ。
先端部に加工工具を着脱可能に保持する工具保持装置を備えて回転する前記主軸としての工具主軸と、
前記加工工具により加工されるべきワークピースが取り付けられるワーク取付部と、
それら工具主軸とワーク取付部とを相対移動させて、工具主軸の工具保持装置に保持された前記ワークホルダに、前記ワークピースを保持させて前記ワーク取付部に取り付けさせるとともに、そのワークホルダの代わりに工具保持装置に保持された加工工具に、ワーク取付部に取り付けられたワークピースを加工させる相対移動装置と
を含む加工機械。
工具主軸,工具保持装置および相対移動装置を利用してワークホルダにワーク取付部へのワークピースの取付けを行わせることができる。ワークホルダを専用の相対移動装置により移動させ、ワーク取付部へのワークピースの取付けを行わせる場合に比較して、加工機械を簡易にかつ安価に構成することができる。また、ワークホルダを、加工工具用の収容装置に収容するようにすれば、専用の収容スペースも不要となる。
工具主軸の工具保持装置に保持されているワークホルダを加工工具と交換し、あるいは加工工具をワークホルダと交換する自動交換機能は、相対移動装置とは別に設けられた自動工具交換装置が果たすようにすることも可能である。しかし、相対移動装置が自動交換機能の少なくとも一部を果たすようにすることも可能であり、そうすれば構成を一層単純化し得る。
図1および図2には本請求可能発明の実施例である加工機械が概略的に図示されている。本加工機械はマシニングセンタであり、ワークピース10を始めとする種々のワークピースが加工される。ワークピース10は、その一面であって、軸線に直角な外面である端面12に開口する開口14を備えている。開口14は、本実施例では横断面形状が円形を成し、内側面16は円筒面であり、端面12と直交する。ワークピース10は、例えば、自動車のトランスミッションのハウジングである。
ワークホルダ20は、本実施例では、図3に示すように、本体部材としてのケーシング78,相対回転阻止装置ないし係合装置80,平行四辺形リンク群82,後述するように平行四辺形リンクのリンクにより構成される複数、例えば、3つの保持部材,駆動装置86およびトルクリミッタ88を含む。駆動装置86は回転軸90および運動変換装置92を含む。ケーシング78は、回転軸90を複数の軸受94を介してその鉛直な軸線まわりに相対回転可能にかつ軸方向に相対移動不能に保持する。回転軸90は、そのケーシング78からの突出部に、突出端ほど直径が直線的に減少するシャンク部96が設けられており、シャンク部96において工具主軸22の先端部に設けられたテーパ状の嵌合孔97に嵌合され、シャンク部96に突設された図示を省略するプルスタッドがドローバーにより引っ張られ、工具主軸22内に引き込まれて保持される。また、工具主軸22の先端に設けられた複数の係合突起98がそれぞれ、シャンク部96の基端部に設けられた複数の係合凹部100に嵌入させられ、互いに係合させられることにより、回転軸90の工具主軸22に対する回転が阻止され、回転軸90が工具主軸22に共に回転可能に取り付けられる。係合突起98および係合凹部100はそれぞれ、係合部ないし回転伝達部を構成し、両者が回転伝達装置を構成している。回転軸90は、ドローバーによるプルスタッドの保持を解除した状態で、工具主軸22から抜け出す方向に移動させることにより、工具主軸22から取り外すことができる。
ワークホルダ20は、図示を省略するロボットから未加工のワークピース10を受け取ってワーク保持治具24に保持させ、加工後、ワーク保持治具24から加工済みのワークピース10を受け取ってロボットに渡す。そのため、加工に先立ってワークホルダ20が工具主軸22に取り付けられる。工具主軸22は工具主軸移動装置26により工具等収容装置27へ移動させられ、自動工具交換装置28により、工具主軸22が保持した加工工具62が工具等収容装置27へ戻され、工具等収容装置27に収容されているワークホルダ20が工具主軸22の工具保持装置に保持される。この際、前述のように、ワークホルダ20の回転軸90がシャンク部96において工具主軸22の嵌合孔97に嵌合され、係合突起98と係合凹部100との嵌合により相対回転を阻止されるとともに、ケーシング78が係合装置80により主軸ハウジング50に相対回転不能に係合させられて、回転軸90が工具主軸22と共に回転可能とされる。回転軸90は回転するが、ケーシング78は回転せず、平行四辺形リンク群82,雌ねじ部材182も回転しない。ワークホルダ20が工具等収容装置27に収容された状態では、雌ねじ部材182が後退端位置ないし上昇端位置に位置し、3つの平行四辺形リンク130は、図7に1つを代表的に示すように、いずれも、レバー132,134およびリンク136が、長手方向が回転軸90の回転軸線とほぼ平行になり、溝138内に収納された収納位置に位置させられている。また、レバー132に設けられた突部200は、レバー132の軸140の軸線を含み、平行四辺形リンク130の鉛直な回動平面に直角な一平面である水平面に対して、軸140の軸線より後方側(工具主軸22側)の原位置に位置している。この収納位置は、非保持位置ないし解放位置でもあり、ワークホルダ20は3つの平行四辺形リンク130が収納位置に位置する状態で工具主軸22に取り付けられる。
請求可能発明の別の実施例を図10ないし図15に基づいて説明する。
本実施例の加工機械はマシニングセンタであり、工具主軸が水平軸線まわりに回転可能に設けられた所謂横型の機械とされており、ワークピース10を始めとする種々のワークピースが加工される。
ワークホルダ300は、図11に示すように、本体部材としてのケーシング400,係合装置402,2つの保持部材404,駆動装置408およびトルクリミッタ410を含む。駆動装置408は、回転軸412および運動変換装置414を含む。ケーシング400は、回転軸412を複数の軸受416を介してその軸線まわりに相対回転可能にかつ軸方向に相対移動不能に保持する。回転軸412は、そのケーシング400からの突出部に、突出端ほど直径が直線的に減少するシャンク部418が設けられており、前記回転軸90と同様に工具主軸302のテーパ状の嵌合孔420に嵌合されるとともに、係合突起426と係合凹部428との嵌合により工具主軸22に対する相対回転が阻止される。
前記2つのレバー406はそれぞれ、図11に示すように、雌ねじ部材182に相対回動可能に係合させられている。これらレバー406にはそれぞれ、軸472によってケーシング400に回動可能に連結された部分から、溝470の底壁に設けられた開口520を通ってケーシング400の中心側に延び出す突部200が設けられ、雌ねじ部材182に設けられた2つの溝202の各々に回動可能に嵌入させられている。2つの溝202はそれぞれ、図12に一方を示すように、雌ねじ部材182の外周面に開口し、その軸線と直角に立体交差する方向であって、レバー406の回動軸線と平行な方向に貫通して、互いに平行に設けられている。
ワークホルダ300は、図示を省略するロボットから未加工のワークピース10を受け取ってワーク保持治具304に保持させ、加工後、ワーク保持治具304から加工済みのワークピース10を受け取ってロボットに渡す。そのため、加工に先立ってワークホルダ300が工具主軸302に取り付けられる。工具主軸302は工具主軸移動装置306により工具等収容装置307へ移動させられ、自動工具交換装置308により、工具主軸302が保持した加工工具342が工具等収容装置307へ戻され、工具等収容装置307に収容されているワークホルダ300が工具主軸302の工具保持装置に保持される。この際、前述のように、ワークホルダ300の回転軸412がシャンク部418において工具主軸302の嵌合孔420に相対回転不能に嵌合されるとともに、ケーシング400が係合装置402により主軸ハウジング330に相対回転不能に係合させられて、回転軸412が工具主軸302と共に回転可能とされる。回転軸412は回転するが、ケーシング400は回転せず、保持部材404,レバー406,雌ねじ部材182も回転しない。また、ワークホルダ300が工具等収容装置307に収容された状態では、2つのレバー406は閉じられ、図11に示すように、長手方向が回転軸412の回転軸線とほぼ平行な姿勢で全体が溝470内に収納され、2つの保持部材404が互いに最も接近させられた収納位置に位置させられている。この収納位置は、非保持位置ないし解放位置でもあり、ワークホルダ300はレバー406等が収納位置に位置する状態で工具主軸302が取り付けられる。本加工機械は横型であり、ワークホルダ300は回転軸412が水平であって横向きとなり、2つの保持部材404の各支持面504が水平かつ上向きとなる姿勢で保持され、2つの突起部材492はそれぞれ支持面504から上方へ突出している。
加工機械の工具主軸に取り付けられてワークピースを保持するワークホルダの更に別の実施例を図16ないし図19に基づいて説明する。
本ワークホルダ600は、前記ワークホルダ20と同様に、縦型のマシニングセンタに取り付けられてワークピース610を保持する。ワークピース610は、前記ワークピース10と同様に、一面である外側の端面612に開口する開口614を備え、その内側面616においてワークホルダ600により保持される。
ワークホルダ600は、ワークピース610を保持しない状態では、図18に示すように、カム656が後退端位置に位置させられ、3つの保持部材624が最も対称軸側に引っ込まされ、ケーシング620内に殆ど収納されている。工具保持装置により鉛直に保持されたワークホルダ600は、工具主軸移動装置により移動させられ、図16に示すように、保持部材624が開口614内に進入させられる。保持部材624は、支持面644が開口14を通過してケーシング620内に位置する状態になるまで進入させられ、回転軸630がワークピース保持方向に所定角度回転させられる。それにより、カム656が前進させられ、カム面658のカム作用により、3つの保持部材624が一斉にスプリング670の付勢力に抗してケーシング630の半径方向において外向きであって、互いに離間する向きに移動させられ、係合面642が内側面616に係合させられてワークピース610を保持する。ワークホルダ600はワークピース610をぶら下げた状態で工具主軸移動装置26によって移動させられるが、保持部材624は支持面644を備えており、ワークピース610を下方から3箇所において支持することができ、落下することなく搬送することができる。トルクリミッタ628の作用は、前記トルクリミッタ88と同様であり、説明を省略する。
Claims (3)
- 加工機械の主軸に共に回転可能かつ取り外し可能に取り付けられる回転軸と、
その回転軸を相対回転可能に保持し、自身は加工機械の非回転部と係合させられる本体部材と、
その本体部材に対して相対移動可能に設けられ、互いに共同してワークピースを保持する複数の保持部材と、
それら回転軸,本体部材および保持部材の間に設けられて、回転軸の本体部材に対する相対回転を保持部材の前記ワークピースを保持・解放する運動に変換する運動変換装置とを含み、前記ワークピースを保持するワークホルダであって、
前記運動変換装置が、
前記回転軸と共に回転する第一ねじ部材と、
前記本体部材に相対回転不能かつ軸方向に相対移動可能に保持され、前記第一ねじ部材と螺合された第二ねじ部材と
を含んで第二ねじ部材の前記本体部材に対する軸方向の相対移動を前記複数の保持部材の前記運動に変換するものであり、かつ、
前記第一ねじ部材が前記本体部材に相対回転可能に保持されており、その第一ねじ部材と前記回転軸との間に、設定値以下のトルクは伝達するが設定値を超えるトルクは伝達しないトルクリミッタが設けられ、そのトルクリミッタが、
常に前記第一ねじ部材と共に回転する第一リミッタ部材と、
常に前記回転軸と共に回転する第二リミッタ部材と、
それら第一リミッタ部材と第二リミッタ部材との一方にその一方の回転軸線を中心とする一円周上に複数設けられた第一係合部と、第一リミッタ部材と第二リミッタ部材との他方に保持されて前記第一係合部と弾性的に係合する第二係合部とであって、第一リミッタ部材と第二リミッタ部材との相対回転トルクが前記設定値以下である場合は第二係合部が第一係合部から外れず、前記設定値を超える場合は外れるものと
を含むことを特徴とするワークホルダ。 - 前記第一係合部が、前記一円周に沿って連続的に形成された波形の凹凸部により構成されたことを特徴とする請求項1に記載のワークホルダ。
- 前記第二係合部が、
前記第一リミッタ部材と第二リミッタ部材との前記他方に設けられた収容凹部と、
その収容凹部の先端開口から少なくとも一部が外部に突出可能に保持されたボールと、
前記収容凹部内に配設され、前記ボールを突出方向に付勢する弾性部材と
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のワークホルダ。
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