JP4563342B2 - シリンダライナ - Google Patents

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Description

本発明はシリンダライナに関する。さらに具体的には、自動車、芝刈り機、発電機等に用いる内燃機関においてシリンダブロックに鋳包まれるシリンダライナに関する。
従来から、自動車用エンジンにおいては、軽量化及び熱伝導性の向上のためにマグネシウム(Mg)合金やアルミニウム(Al)合金などに代表される軽合金を用いて、鋳鉄製・スチール製のシリンダライナを鋳包むことによりシリンダブロックを一体成形している。
この場合において、シリンダライナとシリンダブロックの材質が異なるため、互いの物性(例えば、線膨張係数など)が異なっており、普通に鋳包むと、シリンダライナとシリンダブロックとの間に隙間・剥離・分離などの不具合が発生してしまうことがある。
このような不具合を防止するために、現在においては、シリンダライナの外周に凹溝を形成するなどの加工を施すことにより、シリンダライナとシリンダブロックとの密着性を向上させている。
例えば、特許文献1には、その製造コストを安価に抑えることができるとともに、シリンダブロックとの密着性を目的としたシリンダライナが開示されており、具体的には、その外周面にV字型の凹溝、あるいは台形型の凹溝が形成されたシリンダライナが記載されている(特許文献1の図1参照)。
また、特許文献2にも、シリンダライナの外周面に施す凹溝についての種々のパターンが開示されている(特許文献2の図1や図3参照)。
特開2000−310154号公報 特開2001−055956号公報
しかしながら、現在のシリンダライナにあっては前記不具合について必ずしも完全ではなく、改良の余地がある。
例えば、前記特許文献1や特許文献2に開示されているシリンダライナにあっては、シリンダライナの軸方向へのアンカー効果はある程度期待できるが、その半径方向へのアンカー効果はほとんどなく、従ってシリンダブロックに鋳包んだ場合にあっては、隙間・剥離・分離などの不具合が発生する可能性がある。
また、特許文献2に開示されている、シリンダライナの外周面に施す凹溝についての種々のパターンにあっても、実際に加工するに際しては生産性が悪く、コストアップの要因となり得る。
また、一般的に、シリンダライナは鋳鉄材を用いることが多いため、その外周面に凹溝の深さが1mm以下の微細な加工を施す場合には、加工時の負荷などにより角部または全体が欠けてしまうことがあり、これを防止するためには、加工スピードを下げる、あるいは一回の加工で切削する量を減らすなど生産性が低い条件で加工する必要が生じ、コストアップの原因となってしまう。従って、あまり複雑な加工を施すことは好ましくない。
さらにまた、近年のエンジンなどにあっては、その軽量化・省スペース化を図るため、ボア間ピッチを狭くしたシリンダブロックが要求されている。この要求を満たすためには、隣り合うシリンダライナ同士の間隔も当然に狭くすることが必要となるため、シリンダライナとシリンダブロックとの密着性を向上することのみを目的として、シリンダライナの外周面に大きな凹凸を加工することは好ましくない。シリンダライナの外周面に大きな凹凸を形成すると、その分だけシリンダライナの肉厚が厚くなってしまい、軽量化・省スペース化の要求を満たさなくなるからである。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、軽合金、特にアルミニウム合金に鋳包まれた場合に、アルミニウム合金との密着性が高く、良好な熱伝導性を確保し、加工が容易であり、さらに軽量化・省スペース化の要請にも耐えうる、シリンダライナを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、軽合金からなるシリンダブロックに鋳包まれる内燃機関用シリンダライナであって、当該シリンダライナの外周には、周方向へ延びる凸状体が形成されており、前記凸状体においてシリンダライナ軸方向断面の形状は、少なくとも、前記凸状体の底部のシリンダライナ軸方向の面である基準面を第1辺とし、さらに、当該基準面から略垂直に延びる第2辺と、前記第2辺の先端から、前記基準面における前記第1辺と第2辺との交点とは異なる点へ延びる第3辺と、から構成される略垂直三角形部と、前記第2辺の先端と当該辺上の任意の点との間から、前記略垂直三角形部の面積を拡大する方向に突出するコブ状部と、前記第1辺と前記第2辺との交点よりも外側であって前記基準面上に位置する点と、前記第2辺上の任意の点とを曲線で結ぶことにより、前記略垂直三角形部の面積を拡大するように形成される突出部と、を組み合わせた形状となっており、前記凸状体を構成するコブ状部の高さAと、前記凸状体を構成する略垂直三角形部における前記第2辺の長さBとの比B/Aが、2〜80であることを特徴とし、かつ、前記凸状体は、シリンダライナの軸方向に複数連続して形成されていることを特徴とする。
また、前記シリンダライナにあっては、シリンダライナの軸方向に複数連続して形成される凸状体のうち、少なくともその一部の凸状体は、任意に選択した一の凸状体に対し、前記基準面に直交する線を基準として線対称の形状を呈していてもよい。
また、前記シリンダライナにあっては、前記凸状体は、前記シリンダライナの外周面において、螺旋状に形成されていてもよい。
また、前記シリンダライナにあっては、前記凸状体は、前記シリンダライナの外周面において、一周毎に複数本形成されていてもよい。
本発明のシリンダライナによれば、その外周面に従来にない新規な凸状体、具体的にはシリンダライナの外周の凸状体底部のシリンダライナ軸方向の面である基準面から半径方向に突出する略垂直三角形部と、当該略垂直三角形部からさらに突出するコブ状部と、前記コブ状部と同様に、前記略垂直三角形部から張り出した突出部を組み合わせた形状を呈する凸状体が形成されているため、当該シリンダライナをシリンダブロックに鋳包んだ場合に、前記凸状体が優れたアンカー効果を発揮して、シリンダブロックとの間で生じる隙間・剥離・分離などの不具合を防止することができる。
特に前記コブ状部を有することにより、凸状体全体に「かえり部分」を設けることができ、従来のシリンダライナにはない、シリンダライナの半径方向に対するアンカー効果を発揮することができる。
また、本発明のシリンダライナによれば、シリンダブロックとの密着性を向上せしめることができるため、シリンダライナからシリンダブロックへの熱伝導性をも向上せしめることができる。
さらに、本発明のシリンダライナは、その加工性も良好であるため、製造コストを安価にすることが可能である。
以下に、本発明のシリンダライナについて、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明のシリンダライナの外周面の形状を説明するための、軸方向拡大断面図である。
図2は、図1に示すシリンダライナ1の外周に形成された凸状体2の形状を説明するための説明図である。
図1に示すように、本発明のシリンダライナ1は、軽合金からなるシリンダブロックに一体に鋳包まれるシリンダライナであって、その外周には、凸状体2の底部のシリンダライナ軸方向の面である基準面rから周方向へ延びる凸状体2が形成されている。
そして、図2に示すように、当該凸状体2におけるシリンダライナ軸方向断面の形状は、少なくとも、前記凸状体2の底部のシリンダライナ軸方向の面である基準面rを第1辺xとし、さらに、当該基準面rから略垂直に延びる第2辺yと、前記第2辺yの先端Sから、前記基準面rにおける前記第1辺と第2辺との交点Tとは異なる点Uへ延びる第3辺zと、から構成される略垂直三角形部3と、前記第2辺yの先端Sと当該辺y上の任意の点Vとの間から、前記略垂直三角形部3の面積を拡大する方向に突出するコブ状部4と、前記第1辺xと前記第2辺yとの交点Tよりも外側であって前記基準面r上に位置する点Fと、前記第2辺y上の任意の点Vとを曲線Cで結ぶことにより、前記略垂直三角形部3の面積を拡大するように形成される突出部5と、を組み合わせた形状となっていることに特徴を有している。
なお、本発明のシリンダライナ1にあっては、図1に示すように、前記凸状体2が軸方向に複数連続して形成されている。
シリンダライナ1の外周に、図示するような新規な形状の凸状体2を形成することにより、当該シリンダライナ1が軽合金からなるシリンダブロックに鋳包まれた場合に、前記凸状体2が優れたアンカー効果を発揮して、シリンダブロックとの間で生じる隙間・剥離・分離などの不具合を防止することができる。特に、本発明のシリンダライナ1の凸状体2は前記コブ状部4を有しているので、いわゆる「かえり部分」(図2参照)を設けることができ、従来のシリンダライナにはない、シリンダライナの半径方向に対するアンカー効果を発揮することができる。
本発明のシリンダライナ1の外周に形成される凸状体2にあっては、前述のように、少なくとも略垂直三角形部3と、この第2辺yから突出するコブ状部4と突出部5とから構成され、その大きさについては、前記略三角形部3の高さ、つまり第2辺yの長さ(図2の符号B)とコブ状部4の高さ、つまりいわゆる「かえり部分」の大きさ(図2の符号A)の比B/Aを2〜80とすることにより、全体として優れたアンカー効果を発揮することができるとともに、加工の際に問題が生じることがない。
また、前記略垂直三角形部3の形状に関しては、第1辺xと第3辺zとのなす角θの値についても特に限定することはないが、例えば25°〜30°とすることが好ましい。
一方で、コブ状部4の形状に関しても、前記第2辺yの先端Sと当該辺y上の任意の点Vとの間から、前記略垂直三角形部3の面積を拡大する方向に突出する形状であれば特に限定されることはなく、図示するような略半円上の形状であってもよい。ここで、第2辺y上の任意の点Vの具体的な位置については、特に限定されることはなく、たとえば、第2辺yの中間点あたりであってもよい。
また、突出部5に関しても、前記第1辺xと前記第2辺yとの交点Tよりも外側であって前記基準面r上に位置する点Fと、前記第2辺y上の任意の点Vとを曲線Cで結ぶことにより、前記略垂直三角形部3の面積を拡大するように形成されていればよく、その形状は特に限定されない。
図1に示すように、凸状体2はその軸方向に複数連続して形成されているため(符号2参照)、当該突出部5は、当該一の凸状体2と隣り合う凸状体2とを連続させる役割を果たしており、例えば、図2に示す曲率半径Rの連続する曲線Cにより接続されていてもよい。
このように、隣り合う凸状体2の接合部分は、アンカー効果への寄与率が小さいため、当該部分を曲率半径Rの連続する曲線Cにより接続することにより、加工性を向上することができる。
この場合において、前記曲率半径Rの値は、たとえば0.25〜0.55mmとすることが好ましい。
本発明のシリンダライナ1において、その特徴である凸状体2については、「少なくとも」上述のような、略垂直三角形部3とコブ状部4と突出部5とから構成されていればよく、これら以外の形状がさらに追加されていてもよい。
図3は、図1とは別の、本発明のシリンダライナの外周面の形状を説明するための、軸方向拡大断面図である。
図1に示す本発明のシリンダライナ1にあっては、その外周に形成される凸状体2が、シリンダライナ1の軸方向に対して下方向に凸となるように形成されている、還元すれば、凸状体2を構成する略垂直三角形部3の頂点Sが下方向を向くように形成されているが、本発明はこれに限定されることはなく、図3に示すように、凸状体2が、シリンダライナ1の軸方向に対して上方向に凸となるように形成されている、還元すれば、凸状体2を構成する略垂直三角形部3の頂点Sが上方向を向くように形成されていてもよい。
図3に示すような態様であっても、従来と比べて優れたアンカー効果を発揮することができる。
図4は、更に別の、本発明のシリンダライナの外周面の形状を説明するための、軸方向拡大断面図である。
図4に示すように、本発明のシリンダライナにあっては、シリンダライナの軸方向に複数連続して形成される凸状体のうち、少なくともその一部の凸状体2’は、任意に選択した一の凸状体2に対し、前記基準面に直交する線Lを基準として線対称の形状を呈していてもよい。つまり、前記図1に示した下方向に凸となる凸状体2と、図3に示した上方向に凸となる凸状体2’とが両方形成されていてもよい。
このように凸状体2、2’の方向を混在させることにより、アンカー効果をさらに高めることができる。
図5は、本発明の種々のシリンダライナの外周面の形状を説明するための、軸方向断面模式図である。
図5に示すように、本発明のシリンダライナにあっては、前記図4を用いて説明したように、いわゆる前記図1に示した下方向に凸となる凸状体2と、図3に示した上方向に凸となる凸状体2’とが両方形成されていてもよく、さらに、これらの凸状体があるスパンをもって複数回繰り返されるように形成されていてもよい。
具体的には、図5(1)は上方向に凸となる凸状体2’のみが形成されているシリンダライナの外周面の軸方向断面模式図である(以下、これを「1スパン」と呼ぶ場合がある。)。(2)は、上方向に凸となる凸状体2’と下方向に凸となる凸状体2が1スパンずつ繰り返されるように形成されているシリンダライナの外周面の軸方向断面模式図である(以下、これを「2スパン」と呼ぶ場合がある。)。さらに、図5(3)は、下方向に凸となる凸状体2、上方向に凸となる凸状体2’さらに下方向に凸となる凸状体2が繰り返されるように形成されているシリンダライナの外周面の軸方向断面模式図である(以下、これを「3スパン」と呼ぶ場合がある。)。
同様に、図5(4)はいわゆる「4スパン」、(5)は「5スパン」、(6)は「6スパン」、(7)は「7スパン」、(8)は「8スパン」、(9)は「9」スパン、のシリンダライナの外周面の軸方向断面模式図である。
このような本発明のシリンダライナの製造方法については、特に限定されることはなく、例えばシリンダライナとすべき筒状体の外周面を旋盤等により切削して凹溝を形成することにより形成してもよい。
図6は、本発明のシリンダライナの正面図である。
上述のように旋盤等により外周面を切削して凹溝を形成することにより、凸状体を形成する場合にあっては、図6(1)に示すように、凹溝50を螺旋状に切削してもよいし、(2)に示すように、帯状に一周毎に複数本切削してもよい。図6(3)、(4)は、前記「2スパン」および「4スパン」の場合の螺旋状のシリンダライナの正面図である。
なお、本発明のシリンダライナの材質については、特に限定されることはなく、従来から用いられているシリンダライナの材質である鋳鉄や鋳鋼を適宜選択して用いることができる。特に、片状黒鉛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄を用いることが好ましく、例えば片状黒鉛鋳鉄においては、C:2.8〜3.7質量%、Si:1.5〜2.6質量%、Mn:0.5〜1.0質量%、P:0.5質量%以下、S:0.15質量%以下、残部がFeの組成材料に、必要に応じてCu:0.6質量%以下、Cr:0.4質量%以下、Mo:0.1〜0.8質量%、B:0.02〜0.11質量%、を1種または2種以上添加することが好ましい。
本発明のシリンダライナについて、実施例を用いてさらに具体的に説明する。
(実施例1〜24)
以下の表1に示した実施例1〜24のシリンダライナを製造した。具体的な製造方法は以下の通りである。
Cを3.3質量%、Siを1.95質量%、Mnを0.75質量%、Pを0.2質量%、Sを0.06質量%、Cuを0.15質量%、Crを0.16質量%含み、残部はFe及び不可避不純物の鋳鉄材料を用いた。
この材料による溶湯を砂型に給湯して、シリンダライナ素材を製造した。当該シリンダライナ素材の内周はφ91.9mm、外周はφ99.9mmであり、軸方向の長さは127.6mmとした。
このような鋳造方法により得たシリンダライナ素材の端面及び外周面、内周面をNC旋盤にて切削加工し、さらに全長を調整することにより本発明の実施例のシリンダライナを得た。
特に、その外周にあっては、NC旋盤のタレットに2方向のバイトをセットして凹溝を切削することにより、本発明の特徴である凸状体を形成した。
各実施例1〜24の外周に形成された凸状体における、コブ状部の高さA(図2参照)、および略垂直三角形部の高さ(第2辺の長さ)B(図2参照)、およびこれらの比B/Aの値は、表1に示す通りである。
また、突出部を構成する連続する曲線Cの曲率半径R(図2参照)は0.3〜0.5mmとし、また、略垂直三角形部の第1辺xと第3辺zとのなす角θ(図2参照)は26〜28°とした。
さらに、各実施例1〜24にあっては、凸状体のスパンも種々変更して製造した。表1に示すスパンの欄に記載した数値は、図5の(1)〜(6)にそれぞれ対応している。
(比較例1〜14)
前記実施例と同様の要領で、比較例1〜14のシリンダライナを製造した。当該各比較例についても、前記実施例1〜24と同様に表1に記載する。
ここで、比較例1〜14は、前記コブ状部の高さAと略垂直三角形部の高さ(第2辺の長さ)Bの比B/Aが、本発明のシリンダライナの数値範囲(2〜80)外のシリンダライナである。
(従来例1〜3)
図7は、従来例のシリンダライナの外周面の形状を示す軸方向拡大断面図である。
前記本発明の実施例と同様の材料を用いて、図7(1)〜(3)に示す外周面を有するシリンダライナを製造した。これを従来例1〜3のシリンダライナとする。なお、製造方法については、特許文献2を参照した。
(性能比較実験)
<シリンダブロックの製造>
上記実施例1〜24、比較例1〜14、および従来例1〜3のシリンダライナのそれぞれをアルミニウム合金で鋳包むことにより、シリンダブロックを製造した。
具体的には、アルミニウム合金としてJIS材ADC12を用い、350tダイキャストマシンを用いて鋳造圧力62.8MPa、溶湯温度680〜690℃、金型温度180〜220℃で鋳包むことにより、シリンダブロックを製造した。各シリンダライナは、その外周面のみが鋳包まれてなるため、シリンダブロックの形状は、いずれもシリンダライナと同軸的な円筒形状をしている。なお、シリンダブロックの外径を測定すると、113.2mmであった。
<密着性評価試験>
上記実施例1〜24、比較例1〜14、および従来例1〜3のシリンダライナのそれぞれを用いて製造したシリンダブロックを使用して密着性評価試験を行った。
図8は密着性評価試験の方法を説明するための図である。
当該密着性評価試験では、前記各シリンダブロックから、図8に示されるような縦横20mmの正方形状のテストピース60を切り取り、このテストピースを構成するシリンダライナ61と、これを鋳包んだアルミニウム合金62とを引剥がす方向へ引っ張り、どのぐらいの引張荷重まで引剥がされずに耐えられるかを調べた。より具体的には、シリンダライナ61とアルミニウム合金62とに、それぞれ固着部材63、64を熱硬化性樹脂によって接着させた後に、固着部材63、64をそれぞれ図8の上下方向に移動させる力を作用させた。
なお、固着部材63、64の、引っ張られる方向に垂直の面で切った断面はテストピース60と同一の縦横20mmの正方形をなしており、図8における固着部材63の下端面は図8におけるテストピース60の上側の面に全面で固着され、図8における固着部材64の上端面は図8におけるテストピース60の下側の面に全面で固着されている。
当該密着性評価試験の結果を表1に示す。
表1中の○は、20kg以上まで剥離しなかったことを示し、△は5〜20kg未満で剥離したことを示し、×は5kg未満で剥離したことを示す。
<熱伝導性評価試験>
上記実施例1〜24、比較例1〜14、および従来例1〜3のシリンダライナのそれぞれを用いて製造したシリンダブロックを使用して熱伝導性評価試験を行った。
図9〜11は熱伝導性評価試験の方法を説明するための図である。
当該熱伝導性評価試験は、図9に示される試験装置700を用いて行った。試験装置700は、円筒形状した装置本体70を有しており、図9に示される装置本体70の下端には、底面71が設けられており、上端には開口部70aが形成されている。前記密着性評価試験と同様のテストピース60を用意し、当該テストピース60は、装置本体70の底面71上に、断熱材をなすセラミック79を介して装置本体70と同軸的に配置される。従って、円筒形状をしたテストピース60は、軸方向が図9の上下に指向する。セラミック79の一部であってテストピース60の端部と接触する位置には、オイルの漏れを防止するためのオーリング79Aが設けられている。
そして、装置本体70の内径と同一半径を有する円形の内蓋72が、セットされたテストピース60の軸方向の一端部上に断熱材をなすセラミック80を介して載せられ、更に、装置本体70の外径と同一半径を有する円形の外蓋73によって開口部70aが塞がれ、第1ボルト74によって外蓋73が装置本体70に固定され、第2ボルト75によって内蓋72が外蓋73に対して固定される。セラミック80の一部であってテストピース60の端部と接触する位置には、セラミック79と同様に、オイルの漏れを防止するためのオーリング80Aが設けられている。
内蓋72、外蓋73には、それぞれ中央の位置に円形の貫通孔72a、73aが形成されており、この貫通孔72a、73aからテストピース60内にオイルを給油することができるように構成されている。また、中央の位置に形成された貫通孔72a、73aの近傍には、径の小さい貫通孔が2つ形成されており、テストピース60の内周面60Aの温度を計測するための第1熱電対76と、オイルの温度を計測するための第2熱電対77とが貫通している。第2熱電対77は、外蓋73及び内蓋72をテストピース60の軸方向に貫通し、テストピース60内方であってテストピース60から離間した位置において、テストピース60の軸方向の略中央の位置に至るまでテストピース60の軸方向に延出している。第1熱電対76は、外蓋73及び内蓋72をテストピース60の軸方向に貫通し、テストピース60内方であってテストピース60から離間した位置において、テストピース60の軸方向の略中央の位置に至るまでテストピース60の軸方向に延出し、その位置で直角に折曲がり、テストピース60の半径方向外方へ延出してテストピース60の内周面60Aに接触している。第1熱電対76に対向するテストピース60の外周面60Bには、テストピース60の外周面60Bの温度を測定するための第3熱電対78が接触している。第3熱電対78は、装置本体70の側面を貫通してテストピース60の半径方向内方へ延出しており、その先端が外周面60Bに接触している。
熱伝導性評価試験では、上述の装置を用いて、先ず、250℃に加熱した熱媒体油を一定速度で給油することでテストピース60の内周温度を上昇させてゆき、図10の温度チャートのグラフに示されるように熱伝導時間を測定する。ここで、熱伝導時間とは、テストピース内周面の温度が上昇し始めてから、テストピースの外周面温度が上昇し始めるまでの時間のことである。
一方、アルミで鋳包んだ鋳鉄材の熱伝導性を直接導き出すことは、大変困難である。それは、熱伝導率の異なる異材質の組合せである為、試験片の切り出し(厚さ方向の寸法出し)が困難だからである。本試験では、安定な公知材料である鋳鉄材を用いて熱伝導率と熱伝導時間とが密接な相関関係を有することを確認した。即ち、熱伝導時間の測定に用いるテストピース60と熱伝導率において密接な相関関係を有することから、熱伝導率と熱伝導時間との関係を予め求めておき、試験において測定した熱伝導時間から熱伝導率を求めた。
熱伝導率については、レーザーフラッシュ法により求め、図11に示されるような、熱伝導率と熱伝導時間との相関関係を示す直線を予め求めておく。この直線は以下のような回帰式により表される。
y=−0.02429x+0.22647
ここで、xは熱伝導時間でyは熱伝導率を示す。この直線を求めるのに用いた鋳鉄材は、熱伝導時間の測定に用いるテストピース60と同一寸法の円筒形状のものである。
この式を用いて、アルミニウム合金で鋳包んだ試験片たるテストピース60の熱伝導時間から熱伝導率を導き出し、結果の良否を判断した。なお、この式より、例えば熱伝導時間が6.03秒のときには、熱伝導率は0.08cal/cm・sec・degであり、熱伝導時間が5.00秒のときには、熱伝導率は0.105cal/cm・sec・degである。
当該熱伝導性評価試験の結果を表1に示す。
表1中の○は熱伝導率が0.08cal/cm・sec・deg以上であることを示し、△は熱伝導率が0.06〜0.07cal/cm・sec・degであることを示し、×は熱伝導率が0.06cal/cm・sec・deg未満であることを示す。
<熱変形性評価試験>
上記実施例1〜24、比較例1〜14、および従来例1〜3のシリンダライナのそれぞれを用いて製造したシリンダブロックを使用して熱変形性評価試験を行った。
熱変形性評価試験は、アルミニウム合金にてシリンダライナを鋳包んだ後のシリンダブロックにおいて、シリンダライナの内周軸方向の真直度プロフィルを真円度・円筒形状測定機にて確認し変形量を測定した。
図12は、熱変形性評価試験により得られた測定結果を示す模式図である。なお、測る箇所は、シリンダライナの任意の一断面とした。
当該熱変形性評価試験の結果を表1に示す。
表1中の○は変形量が10μm未満であることを示し、△は変形量が10μm以上200μm未満であることを示し、×は変形量が200μm以上であることを示す。
Figure 0004563342
(性能比較実験の結果)
表1に示す通り、本発明のシリンダライナ(実施例1〜24)は、密着性評価試験、熱伝導性評価試験、および熱変形性評価試験のいずれにおいても良好な結果となった。シリンダライナの外周面に形成されたコブ状部の高さAと略垂直三角形部の高さ(第2辺の長さ)Bの比B/Aが2〜80の範囲であることにより、密着性、熱伝導性、熱変形性の全てが△以上の良好な結果が得られた。
(スパンの数の違いと密着性との関係)
さらに、コブ状部の高さA、略垂直三角形部の高さ(第2辺の長さ)B、およびこれらの比B/Aを前記実施例18と同様にし、スパンの数を1〜9に変更したシリンダライナを作成し、スパンの数の違いと密着性との関係を比較した。
その結果を図13に示す。
図13は、1スパンの密着強度(単位面積当たりの引張荷重)を100とした場合において、2〜9スパンの密着強度をその指数において算出した結果である。
図13からも明らかなように、スパンの数が増加するにつれて、優れた密着性を示すことが分かると同時に、スパンの数が9以上では性能が劣ることが分かった。
本発明のシリンダライナの外周面の形状を説明するための、軸方向拡大断面図である。 図1に示すシリンダライナ1の外周に形成された凸状体2の形状を説明するための説明図である。 図1とは別の、本発明のシリンダライナの外周面の形状を説明するための、軸方向拡大断面図である。 更に別の、本発明のシリンダライナの外周面の形状を説明するための、軸方向拡大断面図である。 本発明の種々のシリンダライナの外周面の形状を説明するための、軸方向断面模式図である。 本発明のシリンダライナの正面図であり、(1)は凸状体が螺旋状(1スパン)に形成されているもの、(2)は帯状に形成されているもの、(2)は螺旋状(2スパン)に形成されているもの、(4)は螺旋状(4スパン)に形成されているもの、を示す。 比較例のシリンダライナの外周面の形状を示す軸方向拡大断面図である。 密着性評価試験の方法を説明するための図である。 熱伝導性評価試験の方法を説明するための図である。 熱伝導性評価試験の方法を説明するための図である(温度チャートグラフ)。 熱伝導性評価試験の方法を説明するための図である(熱伝導率と熱伝導時間との相関関係を示すグラフ)。 熱変形性評価試験により得られた測定結果を示す模式図である。 スパン数と密着性指数との関係を示す図である。
符号の説明
1 シリンダライナ
2、2’ 凸状体
3、3’ 略垂直三角形部
4、4’ コブ状部
5、5’ 突出部

Claims (1)

  1. 軽合金からなるシリンダブロックに鋳包まれる内燃機関用シリンダライナであって、
    当該シリンダライナの外周には、周方向へ延びる凸状体が形成されており、
    前記凸状体においてシリンダライナ軸方向断面の形状は、
    少なくとも、
    前記凸状体の底部のシリンダライナ軸方向の面である基準面を第1辺とし、さらに、当該基準面から略垂直に延びる第2辺と、前記第2辺の先端から、前記基準面における前記第1辺と第2辺との交点とは異なる点へ延びる第3辺と、から構成される略垂直三角形部と、
    前記第2辺の先端と当該辺上の任意の点との間から、前記略垂直三角形部の面積を拡大する方向に突出するコブ状部と、
    前記第1辺と前記第2辺との交点よりも外側であって前記基準面上に位置する点と、前記第2辺上の任意の点とを曲線で結ぶことにより、前記略垂直三角形部の面積を拡大するように形成される突出部と、
    を組み合わせた形状となっており、
    前記凸状体を構成するコブ状部の高さAと、前記凸状体を構成する略垂直三角形部における前記第2辺の長さBとの比B/Aが、2〜80であることを特徴とし、
    かつ、前記凸状体は、シリンダライナの軸方向に複数連続して形成されており、
    かつ、シリンダライナの軸方向に複数連続して形成される前記凸状体のうち、少なくともその一部の凸状体は、任意に選択した一の凸状体に対し、前記基準面に直交する線を基準として線対称の形状を呈しており、
    かつ、前記凸状体は、前記シリンダライナの外周面において、螺旋状に形成されていることを特徴とするシリンダライナ。
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