JPH0521145U - エンジンブロツク鋳ぐるみ用シリンダライナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 廻り止め及び抜け止めの両機能を発揮させ
る。 【構成】 エンジンブロックの鋳造時に鋳ぐるまれて一
体化される円筒状のシリンダライナ1 であって、その外
周面に左ねじ状周溝2 及び右ねじ状周溝3 をクロス状に
設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車等のエンジンブロックの鋳造時に鋳ぐまれて一体化されるシ リンダライナに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、自動車等のエンジンは、シリンダ、ジャケット等がアルミニウム合金の 鋳造によってブロック化され、軽量化が図られている。そして、エンジンブロッ クの鋳造の際に、鋳鉄製のシリンダライナがエンジンブロック内に鋳ぐまれて一 体化されている。

【０００３】 エンジンブロックに鋳ぐまれたシリンダライナは、冶金的溶着によってエンジ ンブロックに一体化されているのではなく、単にアルミニウム合金に鋳鉄が密着 しているだけの嵌合状態であるから、製品化されかつエンジンが運転されている とき、熱負荷、振動、ピストンリングとの摩擦によって、シリンダライナがエン ジンブロックに対して相対動することがある。

【０００４】 従来、シリンダライナとエンジンブロックの相対動を防止する方法として、鋳 ぐるみ前のシリンダライナ表面に、多条周溝又は一方向ねじ溝を設けて抜け止め をし、軸方向条溝又は突条を設けて廻り止めをすることが行なわれている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記従来技術のうち前者にあってはシリンダライナが抜けるのを防 止しうるが廻り止めにはならず、又、後者にあってはシリンダライナの廻り止め にはなるが抜けるのを防止できないという問題があった。 本考案は、上述のような実状に鑑みてなされたもので、その目的とするところ は、廻り止め及び抜け止めの両機能を備えたエンジンブロック鋳ぐるみ用シリン ダライナを提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。 即ち、本考案は、エンジンブロックの鋳造時に鋳ぐるまれて一体化される円筒 状のシリンダライナであって、該シリンダライナの外周面に、左ねじ状周溝及び 右ねじ状周溝を設けたことを特徴としている。

【０００７】

【作用】

本考案によれば、シリンダライナの外周面に、左ねじ状及び右ねじ状の周溝を 設けてあるので、これをエンジンブロックに鋳ぐるんだ場合、熱負荷、振動、ピ ストンリングとの摩擦等によって、シリンダライナの密着度が若干低下するよう なことがあっても、シリンダライナはエンジンブロックに対して右方向及び左方 向のいずれの方向にも回転せず、また軸方向に動くこともない。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。 図面において、１は鋳ぐるみ前のシリンダライナで、鋳鉄によって円筒状に成 形され、外周面には、左ねじ状の周溝2 及び右ねじ状の周溝3 が同ピッチＰでク ロスして凹設されている。

【０００９】 前記両周溝2,3 の断面形状は、図２に例示するように円弧状で、周溝2,3 の深 さＤは 0.1〜1.0 mmとされている。即ち、周溝深さＤは、鋳鉄製シリンダライナ 1 と、アルミニウム合金製エンジンブロックとの温度差、熱膨張差等から、 0.1 mm未満では抜け止め及び廻り止めの効果を十分発揮しない場合があり、 1.0mm以 上にするとシリンダライナの強靭性を劣化させることになるので、前記のように 0.1〜1.0 mmとするのが好ましい。

【００１０】 なお、前記周溝2,3 の曲率半径Ｒは、切削工具（バイト）の切刃ノーズ半径と なるが１mm前後が適当である。また、前記ねじ状周溝2,3 のねじピッチＰと、シ リンダライナ1 の全長Ｌの比Ｌ／Ｐは 0.5以上とするのが好ましい。 シリンダライナ1 の両周溝2,3 の成形加工は、ＮＣ制御旋盤により旋削加工時 に、シリンダライナ1 の回転方向を変えることなく、バイトの送り方向を逆にす ることによって可能で、ＮＣ制御で容易にかつ短時間で行なうことができる。

【００１１】 前記シリンダライナ1 の外径を72mm、内径を66mm、長さＬを 108mmとし、その 表面に深さＤを 0.3mm、円弧曲率半径Ｒを１mmとした周溝2,3 をピッチＰ 30 mm で設けて、アルミニウム合金製エンジンブロックに鋳ぐるみ、製品化してエンジ ンの運転を行なった結果、シリンダライナ1 の抜けや廻りの問題は皆無であり、 好成績を得ることができた。

【００１２】 本考案は、上記実施例に限定されるものではなく、例えば、前記左ねじ及び右 ねじ周溝2,3 は夫々全長にわたって設けることなく、全長の半分に左ねじ周溝2 を設け、残り半分に右ねじ周溝3 を設けることができる。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は、上述のように、エンジンブロックの鋳造時に鋳ぐるまれて一体化さ れる円筒状のシリンダライナであって、該シリンダライナの外周面に、左ねじ状 周溝及び右ねじ状周溝を設けたことを特徴とするものであるから、抜け止め、廻 り止めの両機能を確実に発揮でき、しかもシリンダライナの強靭性を劣化させる ことがなく、加工が容易で経済的に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す正面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面拡大図である。

【図３】図１の右側面図である。

【符号の説明】

１ シリンダライナ ２ 左ねじ状周溝 ３ 右ねじ状周溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンブロックの鋳造時に鋳ぐるまれ
   て一体化される円筒状のシリンダライナであって、該シ
   リンダライナの外周面に、左ねじ状周溝及び右ねじ状周
   溝を設けたことを特徴とするエンジンブロック鋳ぐるみ
   用シリンダライナ。