JP2008138552A - シリンダライナ - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダブロックとの密着性・熱伝導性が良く、加工容易、軽量・省スペースにする。
【解決手段】シリンダライナ外周周方向へ凸状体を形成し、軸方向断面の形状は、基準面上の点Wとシリンダライナの外周方向の点Xからの第一辺と、基準面上の点Yとシリンダライナの外周方向の点Zからの第二辺と、点Xと点Zからの第三辺と、から構成され、かつ、4つの点W、X、Y、Zを直線で結ぶことにより形成される仮想四角形の、第一辺と第二辺は、ともに仮想四角形の面積を縮小する方向に湾曲しており、第三辺は、仮想四角形の面積を拡大する方向に湾曲しており、第一辺上の頂点からW−Xまでの距離、および第二辺上の頂点から仮想四角形の一辺Y−Zまでの距離Aが、0.01〜0.3mmであり、第三辺上に位置する頂点から仮想四角形の一辺W−Yまでの距離Bが、0.1〜1.0mmであり、距離AとBとの比B/Aが、0.3〜100である。
【選択図】図2

Description

本発明はシリンダライナに関する。さらに具体的には、自動車、芝刈り機、発電機等に用いる内燃機関においてシリンダブロックに鋳包まれるシリンダライナに関する。
従来から、自動車用エンジンにおいては、軽量化及び熱伝導性の向上のためにマグネシウム(Mg)合金やアルミニウム(Al)合金などに代表される軽合金を用いて、鋳鉄製・スチール製のシリンダライナを鋳包むことによりシリンダブロックを一体成形している。
この場合において、シリンダライナとシリンダブロックの材質が異なるため、互いの物性(例えば、線膨張係数など)が異なっており、普通に鋳包むと、シリンダライナとシリンダブロックとの間に隙間・剥離・分離などの不具合が発生してしまうことがある。
このような不具合を防止するために、現在においては、シリンダライナの外周に凹溝を形成するなどの加工を施すことにより、シリンダライナとシリンダブロックとの密着性を向上させている。
例えば、特許文献1には、その製造コストを安価に抑えることができるとともに、シリンダブロックとの密着性を目的としたシリンダライナが開示されており、具体的には、その外周面にV字型の凹溝、あるいは台形型の凹溝が形成されたシリンダライナが記載されている(特許文献1の図1参照)。
また、特許文献2にも、シリンダライナの外周面に施す凹溝についての種々のパターンが開示されている(特許文献2の図1や図3参照)。
特開2000−310154号公報 特開2001−055956号公報
しかしながら、現在のシリンダライナにあっては前記不具合について必ずしも完全ではなく、改良の余地がある。
例えば、前記特許文献1や特許文献2に開示されているシリンダライナにあっては、シリンダライナの軸方向へのアンカー効果はある程度期待できるが、その半径方向へのアンカー効果はほとんどなく、従ってシリンダブロックに鋳包んだ場合にあっては、隙間・剥離・分離などの不具合が発生する可能性がある。
また、特許文献2に開示されている、シリンダライナの外周面に施す凹溝についての種々のパターンにあっても、実際に加工するに際しては生産性が悪く、コストアップの要因となり得る。
また、一般的に、シリンダライナは鋳鉄材を用いることが多いため、その外周面に凹溝の深さが1mm以下の微細な加工を施す場合には、加工時の負荷などにより角部または全体が欠けてしまうことがあり、これを防止するためには、加工スピードを下げる、あるいは一回の加工で切削する量を減らすなど生産性が低い条件で加工する必要が生じ、コストアップの原因となってしまう。従って、あまり複雑な加工を施すことは好ましくない。
さらにまた、近年のエンジンなどにあっては、その軽量化・省スペース化を図るため、ボア間ピッチを狭くしたシリンダブロックが要求されている。この要求を満たすためには、隣り合うシリンダライナ同士の間隔も当然に狭くすることが必要となるため、シリンダライナとシリンダブロックとの密着性を向上することのみを目的として、シリンダライナの外周面に大きな凹凸を加工することは好ましくない。シリンダライナの外周面に大きな凹凸を形成すると、その分だけシリンダライナの肉厚が厚くなってしまい、軽量化・省スペース化の要求を満たさなくなるからである。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、軽合金、特にアルミニウム合金に鋳包まれた場合に、アルミニウム合金との密着性が高く、良好な熱伝導性を確保し、加工が容易であり、さらに軽量化・省スペース化の要請にも耐えうる、シリンダライナを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、軽合金からなるシリンダブロックに鋳包まれる内燃機関用シリンダライナであって、当該シリンダライナの外周には、周方向へ延びる凸状体が形成されており、前記凸状体のシリンダライナ軸方向断面の形状は、前記凸状体の底部のシリンダライナ軸方向の面である基準面上の任意の点Wと当該点Wからシリンダライナの外周方向へ所定の距離だけ離れた点Xとを結んで形成される第一辺と、前記基準面上の前記点Wとは異なる任意の点Yと当該点Yからシリンダライナの外周方向へ所定の距離だけ離れた点Zとを結んで形成される第二辺と、前記点Xと前記点Zとを結んで形成される第三辺と、から構成され、かつ、前記4つの点W、X、Y、Zを直線で結ぶことにより形成される仮想四角形を考えた場合において、前記凸状体を構成する第一辺と第二辺は、ともに前記仮想四角形の面積を縮小する方向に湾曲しており、また、前記凸状体を構成する第三辺は、前記仮想四角形の面積を拡大する方向に湾曲しており、さらに、前記湾曲した第一辺上に位置する頂点から前記仮想四角形の一辺W−Xまでの距離、および前記湾曲した第二辺上に位置する頂点から前記仮想四角形の一辺Y−Zまでの距離Aが、0.01〜0.3mmであり、前記湾曲した第三辺上に位置する頂点から前記仮想四角形の一辺W−Yまでの距離Bが、0.1〜1.0mmであり、前記距離AとBとの比B/Aが、0.3〜100であり、また、前記凸状体は、シリンダライナの軸方向に複数連続して形成されていることを特徴とする。
また、前記シリンダライナにあっては、前記凸状体を構成する湾曲した第三辺上に位置する頂点から前記仮想四角形の一辺X−Zまでの距離Cが0.01〜0.2mmであってもよい。
また、前記シリンダライナにあっては、前記凸状体は、前記シリンダライナの外周面において、螺旋状に形成されていてもよい。
また、前記シリンダライナにあっては、前記凸状体は、前記シリンダライナの外周面において、一周毎に複数本形成されていてもよい。
本発明のシリンダライナによれば、その外周面に従来にない新規な凸状体、具体的には、シリンダライナ軸方向断面の形状が、全体的には略四角形状を呈していながら、その上辺は前記断面の面積を拡大する方向に外側に湾曲しているとともに、その側辺は、逆に前記断面の面積を縮小する方向に内側に湾曲している凸状体が形成されているため、当該シリンダライナをシリンダブロックに鋳包んだ場合に、前記凸状体がシリンダライナの軸方向及び半径方向への優れたアンカー効果を発揮して、シリンダブロックとの間で生じる隙間・剥離・分離などの不具合を防止することができる。
特に、凸状体の側部(側面)が内側に湾曲していることにより、当該部分が「かえり部分」として機能することとなり、従来のシリンダライナにはない、シリンダライナ半径方向に対するアンカー効果を発揮することができる。
また、凸状体の上部(上面)が外側に湾曲していることにより、当該シリンダライナを鋳包んだ際の湯流れを良好にすることができ、その結果、隙間・剥離・分離などの不具合を防止することができる。
また、本発明のシリンダライナによれば、シリンダブロックとの密着性を向上せしめることができるため、シリンダライナからシリンダブロックへの熱伝導性をも向上せしめることができる。
さらに、本発明のシリンダライナは、その加工性も良好であるため、製造コストを安価にすることが可能である。
以下に、本発明のシリンダライナについて、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明のシリンダライナの外周面の形状を説明するための、軸方向拡大断面図である。
図2は、図1に示すシリンダライナ1の外周に形成された凸状体2の形状を説明するための説明図である。
図1に示すように、本発明のシリンダライナ1は、軽合金からなるシリンダブロックに一体に鋳包まれるシリンダライナであって、その外周には、シリンダライナ軸方向の面である基準面rから周方向へ延びる凸状体2が形成されている。
そして、図2に示すように、当該凸状体2におけるシリンダライナ軸方向断面の形状は、シリンダライナ軸方向の面である基準面r上の任意の点Wと当該点Wからシリンダライナの外周方向へ所定の距離だけ離れた点Xとを結んで形成される第一辺21と、前記基準面r上の前記点Wとは異なる任意の点Yと当該点Yからシリンダライナの外周方向へ所定の距離だけ離れた点Zとを結んで形成される第二辺22と、前記点Xと点Zとを結んで形成される第三辺23と、から構成される。
そして、前記4つの点W、X、Y、Zを直線で結ぶことにより形成される仮想四角形24(図2において、点線で囲まれた部分)を考えた場合において、前記凸状体2を構成する第一辺21と第二辺は22、ともに前記仮想四角形24の面積を縮小する方向に湾曲している。
また、前記凸状体2を構成する第三辺23は、前記仮想四角形24の面積を拡大する方向に湾曲している。
さらに、前記湾曲した第一辺21上に位置する頂点Lから前記仮想四角形の一辺W−Xまでの距離、および前記湾曲した第二辺22上に位置する頂点Mから前記仮想四角形の一辺Y−Zまでの距離Aが、0.01〜0.3mmであり、前記湾曲した第三辺上に位置する頂点Nから前記仮想四角形の一辺W−Yまでの距離Bが、0.1〜1.0mmである。
さらに、前記距離AとBとの比B/Aが、0.3〜100である。
なお、本発明のシリンダライナ1にあっては、図1に示すように、前記凸状体2が軸方向に複数連続して形成されている。
シリンダライナ1の外周に、図示するような新規な形状の凸状体2を形成することにより、当該シリンダライナ1が軽合金からなるシリンダブロックに鋳包まれた場合に、前記凸状体2が優れたアンカー効果を発揮して、シリンダブロックとの間で生じる隙間・剥離・分離などの不具合を防止することができる。
特に、本発明のシリンダライナ1の凸状体2は、図2に示すように、これを構成する第一辺21および第二辺22がともに、内側に湾曲しているため、当該湾曲した部分が、いわゆる「かえり部分」(図2参照)として機能することとなり、従来のシリンダライナにはない、シリンダライナの半径方向に対するアンカー効果を発揮することができる。また一方で、本発明のシリンダライナ1の凸状体2を構成する第三辺23が外側に湾曲しているため、当該シリンダライナを鋳包む場合に湯流れを向上せしめることができ、その結果、シリンダブロックとの間で生じる隙間・剥離・分離などの不具合を防止することができる。
また、本発明のシリンダライナ1の外周に形成される凸状体2にあっては、前述のように、前記湾曲した第一辺21上に位置する頂点Lから前記仮想四角形の一辺W−Xまでの距離、および前記湾曲した第二辺22上に位置する頂点Mから前記仮想四角形の一辺Y−Zまでの距離Aを0.01〜0.3mmに限定するとともに、前記湾曲した第三辺上に位置する頂点Nから前記仮想四角形の一辺W−Yまでの距離Bを0.1〜1.0mmに限定し、さらには、前記距離AとBとの比B/Aを0.3〜100に限定している。これらの寸法限定により、凸状体2全体の大きさと前記いわゆる「かえり部分」の大きさとを相対的に限定することができ、全体として優れたアンカー効果を発揮せしめることができるとともに、加工の際に問題が生じることのないシリンダライナを提供することができる。
なお、本発明のシリンダライナにおいては、前記湾曲した第一辺21上に位置する頂点Lから前記仮想四角形の一辺W−Xまでの距離、および前記湾曲した第二辺22上に位置する頂点Mから前記仮想四角形の一辺Y−Zまでの距離Aは、0.01〜0.2mmが特に好ましく、前記湾曲した第三辺上に位置する頂点Nから前記仮想四角形の一辺W−Yまでの距離Bは、0.1〜0.5mmが特に好ましい。従って、これらの比B/Aは0.5〜50が特に好ましい。
また、本発明のシリンダライナの外周面に形成される凸状体2にあっては、前記凸状体を構成する湾曲した第三辺23上に位置する頂点Nから前記仮想四角形の一辺X−Zまでの距離Cが0.01〜0.2mmであることが好ましく、特に0.01〜0.15mmであることが好ましい。当該距離Cをこの程度にすることにより、湯流れを向上せしめることができる。
ここで、第一から第三辺のそれぞれの上に位置する頂点L〜Mについて説明する。本発明でいう湾曲した辺の頂点とは、仮想四角形の各辺から最も距離が離れている点(換言すれば変曲点とも言える。)のことを言う。さらに具体的に説明すれば、例えば第一辺21について言えば、当該第一辺21上において、線分W−X(図2の点線参照)から最も距離が離れている(距離はAとなる)点が頂点Lとなり、当該距離Aは、いわゆる「かえり部分」の深さと言える。
図2における凸状体2の第一辺21から第三辺23のそれぞれの上に位置する頂点L〜Mは、各辺21〜23の中間に位置しているが、各頂点L〜Mの各辺上における位置については特に限定されることはない。
図3は、本願のシリンダライナ1’の外周面に形成された別の凸状体2’の形状を説明するための説明図である。
例えば、図3に示すように、第一辺21’および第二辺22’上の頂点L’およびM’が基準面r’上に位置してもよい。この場合には、基準面r’と凸状体2’とは鋭角に接することとなるが、本発明はこれを特に排除することはない。
図4は、本願のシリンダライナ1’’の外周面に形成された別の凸状体2’’の形状を説明するための説明図である。
例えば、図4に示すように、本発明にあっては、点W、X、YおよびZで形成される仮想四角形は長方形に限定されることはなく、台形であってもよく、また図示はしないが、平行四辺形であってもよく、いわゆる「かえり部分」により密着性を向上することができる。
この場合、図示するように、凸状体2’’の第一辺21’’と第二辺22’’のそれぞれの上に位置する頂点L’’、M’’から線分W−Yへ垂線を引き、当該垂線と線分W−Yとの交点から点W、および点Yまでの距離を前記のAとする。
一方で、図2および図4に示すように、第一辺21、21’’および第二辺22、22’’上に位置する頂点L、L’’およびM、M’’が、各辺21、22の中間、または各辺21’’、22’’の中間に位置している場合には、基準面r、r’’と凸状体2、2’’とは所定の曲率半径R(図2、図4参照)をもって接することとなる。この場合における当該曲率半径Rについては、特に限定されることはないが、0.5mm以下であることが好ましく、0.05〜0.4mmが特に好ましい。
また、本発明のシリンダライナにおいて、その外周部に形成される凸状体2の幅(図2中の線分W−Yの長さ)については、特に限定されることはなく適宜設計することが可能であるが、上述してきた種々の効果を効率よく発揮させるためには、1.0〜10.0mmが好ましく、特に1.0〜5.0mmが特に好ましい。
図1に示すように、本発明のシリンダライナ1における凸状体2は、シリンダライナ1の軸方向に複数連続して形成されているが、隣り合う凸状体2同士の間隔(ピッチ)Pについては特に限定されることはない。しかしながら、上述した種々の効果を効率よく発揮させるためには、凸状体2同士の間隔(ピッチ)Pは1〜20mmが好ましく、1〜5mmが特に好ましい。なお、凸状体2同士の間隔(ピッチ)Pとは、図1に示すように、一の凸状体2の軸方向中心部から、当該一の凸状体2と隣り合う凸状体2の軸方向中心部までの距離をいう。
次に、本発明のシリンダライナの外周面に形成される凸状体の製造方法について説明する。
図5は、本発明のシリンダライナの外周面に形成される凸状体の製造方法を説明するための工程図である。
先ず、図5(a)に示すように、シリンダライナ1の外周面を、旋盤等を用いて切削することにより凹溝3を作ることで結果的に凸状体の原型4を作る。
次いで、図5(b)に示すように、当該凸状体の原型4の上からローラバニシング装置などを用いて、先端に向かって小径となる円錐外面を有するローラを、回転しているシリンダライナ外周面に図示しないスプリングを用いて、スプリング荷重を300〜1000Nにて押しつけて、シリンダライナ軸方向へ移動させつつ、当該凸状体の原型4を塑性変形させることにより、本発明特有の凸状体2を形成することができる。その際のシリンダライナの回転数は150〜250rpmとする。
なお、本発明にあっては、図5に示した製造方法に限定されることはなく、従来公知の種々の方法により製造可能である。
図6は、本発明のシリンダライナの正面図である。
上述のように旋盤等により外周面を切削して凹溝を形成し、その後表面をローラバニシング装置により塑性変形させることにより、凸状体を形成する場合にあっては、図6(1)に示すように、凹溝50を螺旋状に切削してもよいし、(2)に示すように、帯状に一周毎に複数本切削してもよい。
なお、本発明のシリンダライナの材質については、特に限定されることはなく、従来から用いられているシリンダライナの材質である鋳鉄や鋳鋼を適宜選択して用いることができる。特に、片状黒鉛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄を用いることが好ましく、例えば片状黒鉛鋳鉄においては、C:2.8〜3.7質量%、Si:1.5〜2.6質量%、Mn:0.5〜1.0質量%、P:0.5質量%以下、S:0.15質量%以下、残部がFeの組成材料に、必要に応じてCu:0.6質量%以下、Cr:0.4質量%以下、Mo:0.1〜0.8質量%、B:0.02〜0.11質量%、を1種または2種以上添加することが好ましい。
本発明のシリンダライナについて、実施例を用いてさらに具体的に説明する。
(実施例1〜36)
以下の表1に示した実施例1〜36のシリンダライナを製造した。具体的な製造方法は以下の通りである。
Cを3.3質量%、Siを1.95質量%、Mnを0.75質量%、Pを0.2質量%、Sを0.06質量%、Cuを0.15質量%、Crを0.16質量%含み、残部はFe及び不可避不純物の鋳鉄材料を用いた。
この材料による溶湯を砂型に給湯して、シリンダライナ素材を製造した。当該シリンダライナ素材の内周はφ91.9mm、外周はφ99.9mmであり、軸方向の長さは127.6mmとした。
このような鋳造方法により得たシリンダライナ素材の端面及び外周面、内周面をNC旋盤にて切削加工し、さらに全長を調整することにより本発明の実施例のシリンダライナを得た。
特に、その外周にあっては、NC旋盤を用いて凹溝を形成し、その後ローラバニシング装置を用いて、先端の小径部分の半径が2mm、後部の大径部分の半径が3mmで全長が16mmからなるローラを、235rpmにて回転しているシリンダライナの外周面にスプリング荷重300Nにて押しつけ、当該ローラを回転させつつシリンダライナの軸方向に移動させることにより、その表面を塑性変形せしめ、本発明の特徴である凸状体を形成した。なお、隣り合う凸状体同士の間隔(ピッチ)Pは、2mmとした。
各実施例1〜36の外周に形成された凸状体における、湾曲した第一辺上に位置する頂点Lから前記仮想四角形の一辺W−Xまでの距離A、および湾曲した第二辺上に位置する頂点Mから前記仮想四角形の一辺Y−Zまでの距離A(図2参照)、および湾曲した第三辺上に位置する頂点Nから前記仮想四角形の一辺W−Yまでの距離B(図2参照)、およびこれらの比B/Aの値、さらには、湾曲した第三辺上に位置する頂点Nから前記仮想四角形の一辺X−Zまでの距離Cの値は、それぞれ表1に示す通りである。
(比較例1〜15)
前記実施例と同様の要領で、比較例1〜15のシリンダライナを製造した。当該各比較例についても、前記実施例1〜36と同様に表1に記載する。
ここで、比較例1〜15は、上記A、B、B/A、の値が、それぞれ本発明の範囲外となっているシリンダライナである。
(従来例1〜4)
図7は、従来例のシリンダライナの外周面の形状を示す軸方向拡大断面図である。
前記本発明の実施例と同様の材料を用いて、図7(1)〜(3)に示す外周面を有するシリンダライナを製造した。これを従来例1〜4のシリンダライナとする(図7(1)が従来例1および2、図7(2)が従来例3、図7(3)が従来例4)。なお、製造方法については、特許文献2を参照した。
(性能比較実験)
<シリンダブロックの製造>
上記実施例1〜36、比較例1〜15、および従来例1〜4のシリンダライナのそれぞれをアルミニウム合金で鋳包むことにより、シリンダブロックを製造した。
具体的には、アルミニウム合金としてJIS材ADC12を用い、350tダイキャストマシンを用いて鋳造圧力62.8MPa、溶湯温度680〜690℃、金型温度180〜220℃で鋳包むことにより、シリンダブロックを製造した。各シリンダライナは、その外周面のみが鋳包まれてなるため、シリンダブロックの形状は、いずれもシリンダライナと同軸的な円筒形状をしている。なお、シリンダブロックの外径を測定すると、113.2mmであった。
<密着性評価試験>
上記実施例1〜36、比較例1〜15、および従来例1〜4のシリンダライナのそれぞれを用いて製造したシリンダブロックを使用して密着性評価試験を行った。
図8は、密着性評価試験の方法を説明するための図である。
当該密着性評価試験では、前記各シリンダブロックから、図8に示されるような縦横20mmの正方形状のテストピース60を切り取り、このテストピースを構成するシリンダライナ61と、これを鋳包んだアルミニウム合金62とを引剥がす方向へ引っ張り、どのぐらいの引張荷重まで引剥がされずに耐えられるかを調べた。より具体的には、シリンダライナ61とアルミニウム合金62とに、それぞれ固着部材63、64を熱硬化性樹脂によって接着させた後に、固着部材63、64をそれぞれ図8の上下方向に移動させる力を作用させた。
なお、固着部材63、64の、引っ張られる方向に垂直の面で切った断面はテストピース60と同一の縦横20mmの正方形をなしており、図8における固着部材63の下端面は図8におけるテストピース60の上側の面に全面で固着され、図8における固着部材64の上端面は図8におけるテストピース60の下側の面に全面で固着されている。
当該密着性評価試験の結果を表1に示す。
表1中の◎は20MPa以上まで剥離しなかったことを示し、○は10以上20MPa未満で剥離したことを示し、△は2以上10MPa未満で剥離したことを示し、×は2MPa未満で剥離したことを示す。
<溶湯充填性評価試験>
上記実施例1〜36、比較例1〜15、および従来例1〜4のシリンダライナのそれぞれを用いて製造したシリンダブロックを使用して溶湯充填性評価試験を行った。
ここで、溶湯充填性評価試験とは、溶融したアルミニウム合金でシリンダライナを鋳包む際にシリンダライナとシリンダブロックとの間に隙間が生じるか否かを評価する試験である。具体的には、図2に示すシリンダライナの基準面rと凸状体2とが接する部分(第一辺21、第二辺22の左右両方、図2参照)を180〜1000番にてバフ研磨をし、金属顕微鏡にて50倍にて観察し、当該部分に隙間があるか否かを評価することにより行う。
溶湯充填性評価試験の結果を表1に示す。
表1中の○は隙間がなかった、もしくは0.01mm未満の隙間が一箇所でもあったことを示し、△は0.01mm以上0.05mm未満の隙間が一箇所でもあったことを示し、×は0.05mm以上の隙間が一箇所でもあったことを示す。
<被削性評価試験>
上記実施例1〜36、比較例1〜15、および従来例1〜4のシリンダライナに対して被削性評価試験を行った。
被削性評価試験は、各シリンダライナを製造する際に用いられる刃具の寿命を評価する試験である。具体的には、従来例1のシリンダライナを製造する場合に1本の刃具で加工できるシリンダライナの本数を基準とし(これ「1」とする。)、他の実施例、比較例、および従来例のそれぞれについて、1本の刃具で何本のシリンダライナを製造することができるかをカウントし、当該カウントされた値で基準「1」を割り算することにより評価した。
当該被削性評価試験の結果を表1に示す。
表1中の○は割り算の解が1.0未満の場合を示し、△は割り算の解が1.0〜1.1未満の場合を示し、×は割り算の解が1.1以上であることを示す。
Figure 2008138552
(性能比較実験の結果)
表1に示す通り、本発明のシリンダライナ(実施例1〜36)は、密着性評価試験、溶湯充填性評価試験、および被削性評価試験のいずれにおいても良好な結果となった。
これに対し、比較例および従来例のシリンダライナは、密着性評価試験、溶湯充填性評価試験、被削性評価試験の少なくとも1つの試験において性能が劣る×の評価を示す結果となった。
本発明のシリンダライナの外周面の形状を説明するための、軸方向拡大断面図である。 図1に示すシリンダライナ1の外周に形成された凸状体2の形状を説明するための説明図である。 本願のシリンダライナ1’の外周面に形成された別の凸状体2’の形状を説明するための説明図である。 本願のシリンダライナ1’’の外周面に形成された別の凸状体2’’の形状を説明するための説明図である。 本発明のシリンダライナの外周面に形成される凸状体の製造方法を説明するための工程図である。 本発明のシリンダライナの正面図であり、(1)は凸状体が螺旋状に形成されているもの、(2)は帯状に形成されているものを示す。 従来例のシリンダライナの外周面の形状を示す軸方向拡大断面図である。 密着性評価試験の方法を説明するための図である。
符号の説明
1、1’、1’’ シリンダライナ
2、2’、2’’ 凸状体
21、21’、21’’ 第一辺
22、22’、22’’ 第二辺
23、23’、23’’ 第三辺
r、r’、r’’ 基準面

Claims (4)

  1. 軽合金からなるシリンダブロックに鋳包まれる内燃機関用シリンダライナであって、
    当該シリンダライナの外周には、周方向へ延びる凸状体が形成されており、
    前記凸状体のシリンダライナ軸方向断面の形状は、
    前記凸状体の底部のシリンダライナ軸方向の面である基準面上の任意の点Wと当該点Wからシリンダライナの外周方向へ所定の距離だけ離れた点Xとを結んで形成される第一辺と、前記基準面上の前記点Wとは異なる任意の点Yと当該点Yからシリンダライナの外周方向へ所定の距離だけ離れた点Zとを結んで形成される第二辺と、前記点Xと前記点Zとを結んで形成される第三辺と、から構成され、
    かつ、前記4つの点W、X、Y、Zを直線で結ぶことにより形成される仮想四角形を考えた場合において、前記凸状体を構成する第一辺と第二辺は、ともに前記仮想四角形の面積を縮小する方向に湾曲しており、また、前記凸状体を構成する第三辺は、前記仮想四角形の面積を拡大する方向に湾曲しており、
    さらに、前記湾曲した第一辺上に位置する頂点から前記仮想四角形の一辺W−Xまでの距離、および前記湾曲した第二辺上に位置する頂点から前記仮想四角形の一辺Y−Zまでの距離Aが、0.01〜0.3mmであり、
    前記湾曲した第三辺上に位置する頂点から前記仮想四角形の一辺W−Yまでの距離Bが、0.1〜1.0mmであり、
    前記距離AとBとの比B/Aが、0.3〜100であり、
    また、前記凸状体は、シリンダライナの軸方向に複数連続して形成されていることを特徴とするシリンダライナ。
  2. 前記凸状体を構成する湾曲した第三辺上に位置する頂点から前記仮想四角形の一辺X−Zまでの距離Cが0.01〜0.2mmであることを特徴とする請求項1に記載のシリンダライナ。
  3. 前記凸状体は、前記シリンダライナの外周面において、螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダライナ。
  4. 前記凸状体は、前記シリンダライナの外周面において、一周毎に複数本形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダライナ。
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