JP2016125640A - 周面の溝構造及びその加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】円筒状の内周面及び/又は外周面と皮膜との強固な密着性を確保できる周面の溝構造及びその加工方法を提供する。
【解決手段】シリンダライナ90の内周面91に皮膜を密着させるための溝50が内周面91の軸方向に沿って螺旋状に設けられることにより内周面91に断面視で複数の溝50が設けられる周面の溝構造は、断面視で隣接する溝50の間に突条51が形成され、突条51の側面53は内周面91側に位置する周面側部分54と溝50の底部52側に位置する底部側部分55とを含み、両部分54,55の間に溝幅Wが狭くなる凸部56が設けられる。周面の溝構造の加工方法は、溝50の形成予定位置を切削加工することで完成後の溝50に比べて断面積の小さいベース溝を形成する工程と、ベース溝の側面を切削加工することで内周面91から底部52側に向かうほど溝幅Wが広くなるアンダーカット形状の溝50を形成する工程とを含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、円筒状の内周面や外周面への溝加工の技術分野に属する。
従来、自動車等に搭載される往復動式エンジンにおいて、ピストン(より詳しくはピストンリング)が摺動するシリンダブロックにライナ材を溶射する技術が開発され、すでに高出力エンジンにおいて実用化されている。シリンダブロックの溶射ライナは、鋳鉄製の円筒状のシリンダライナをダイカストアルミニウム合金製のシリンダブロックに圧入や鋳込んだりすることなく、シリンダブロックの円筒状のシリンダボアの内周面を溶射等により耐摩耗性金属や金属酸化物等の耐摩耗性材料で被覆する技術であり、シリンダブロックの軽量化、シリンダボア間の短縮化、及びエンジンの小型化を可能とする。シリンダボアの溶射のためには、上記金属皮膜と基材であるシリンダブロックのボア内周面との密着性を上げることが求められる。そのため、シリンダブロックのボア内周面に溝を形成した後、ボア内周面を溶射等により耐摩耗性材料で被覆することが一般に行われる。
その場合、溶射皮膜の剥離防止のため、単純なV字状溝や方形状溝だけではなく、例えば微細溝を追加する工夫等が必要である。この点、特許文献1は、自動車用エンジンのライナレスアルミシリンダブロックのボア内周面に溶射皮膜を形成する際に、その前工程として、溶射皮膜の密着性を高めるために、ボア内周面を粗面に形成することを開示し、その場合に、溝部のみの切りくずが発生するのではなく、溝部とともに山部までそぎ落とされた切りくずが一体的に形成されつつ加工されるように設定し、そぎ落とされた山部の残った部位に破断面を形成することを開示する。特許文献1の技術によれば、V字状溝の一部又はV字状溝間の面部に微細なV字状溝が多数追加形成され、溶射皮膜とボア内周面との接触面積が増えて、溶射皮膜の剥離防止が図られる。
特開2003−328108号公報(特に、段落0002、段落0005、図1、図4、図5)
しかし、特許文献1に記載の溝構造は、大小のV字状溝を組み合わせたものではあるが、剥離方向の摩擦抵抗が少なく、アンカー効果も得られないため、機械的に強固な結合が得られ難いという不具合がある。
以上のような問題は、シリンダブロックのボア内周面に限らず、例えば、シリンダライナの内周面や外周面にも同様に起こり得る問題である。
そこで、本発明は、円筒状の内周面及び/又は外周面と皮膜との強固な密着性を確保できる周面の溝構造及びその加工方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、円筒状の周面を有する部材の当該周面に皮膜を密着させるための溝が上記周面の軸方向に沿って螺旋状に設けられることにより上記周面に断面視で複数の溝が設けられる周面の溝構造であって、上記断面視で隣接する溝の間に突条が形成され、上記突条の側面は、上記周面側に位置する周面側部分と、溝の底部側に位置する底部側部分とを含み、両部分の間に溝幅が狭くなる凸部が設けられることを特徴とする。
本発明において、円筒状の周面とは、例えばシリンダライナ等のような円筒状部材の円筒状の内周面及び/又は外周面や、シリンダブロック等のような円筒状の内周面(ボア内周面)を有する部材の上記内周面をいう。
本発明によれば、突条の側面の凸部より底部側の溝は、アンダーカット形状に成形され、アンカー効果が得られて、皮膜の剥離防止が図られる。一方、凸部より周面側の溝は、周面での溝幅が広くなり、皮膜材が溝に流入し易くなって、皮膜材が溝に充填され易くなり、アンカー効果が促進される。しかも、上記溝は螺旋状なので、円筒状の周面と皮膜との密着強度が均一に高められる。以上により、本発明によれば、円筒状の内周面及び/又は外周面と皮膜との強固な密着性を確保できる周面の溝構造が提供される。
なお、本発明における上記皮膜は、溶射皮膜に限定されず、例えば、メッキ皮膜や蒸着皮膜、あるいはスプレーや刷毛塗り等により塗布された塗布皮膜等であってもよい。
本発明においては、上記周面側部分は、上記周面側から底部側に向かうほど溝幅が狭くなるように形成され、上記底部側部分は、上記周面側から底部側に向かうほど溝幅が広くなるように形成されることが好ましい。
この構成によれば、凸部より周面側の溝は、周面での溝幅が確実に広くなり、皮膜材の溝への流入が促進される。一方、凸部より底部側の溝は、アンダーカット形状であるけれども、皮膜材の溝への充填が促進される。そのため、円筒状の周面と皮膜との強固な密着性が確実に確保される。
本発明においては、上記周面側部分及び底部側部分は、それぞれ、平坦な傾斜面であることが好ましい。
この構成によれば、凸部より周面側の溝は、皮膜材の溝への流入がより円滑化し、凸部より底部側の溝は、皮膜材の溝への充填がより円滑化する。そのため、円筒状の周面と皮膜との強固な密着性がより一層確保される。
本発明においては、上記周面側部分及び底部側部分は、上記周面での溝幅が上記底部での溝幅と同等又は上記底部での溝幅よりも広くなるように形成されることが好ましい。
この構成によれば、周面での溝幅が相対的に広くなるので、皮膜材の溝への流入がさらに促進されると共に、底部での溝幅が相対的に狭くなるので、アンダーカットの角度が相対的に緩やかになって、皮膜材の溝への充填がさらに促進される。
また、上記課題を解決するためのものとして、本発明は、円筒状の周面を有する部材の当該周面に皮膜を密着させるための溝が上記周面の軸方向に沿って螺旋状に設けられることにより上記周面に断面視で複数の溝が設けられる周面の溝構造であって、上記断面視で隣接する溝の間に突条が形成され、上記突条の側面は、上記周面側に位置する周面側部分と、溝の底部側に位置する底部側部分とを含み、上記周面側部分は、上記周面側から底部側に向かうほど溝幅が広くなるように形成され、上記底部側部分は、上記周面側から底部側に亘って溝幅が一定となるように形成されることを特徴とする。
本発明によれば、周面側の溝は、アンダーカット形状に形成され、アンカー効果が得られて、皮膜の剥離防止が図られる。また、周面側ほど溝幅が狭くなるので、周面での溝幅が確実に狭くなり、アンカー効果が促進される。一方、底部側の溝は、アンダーカット形状に形成されないので、皮膜材が溝に充填され易くなり、アンカー効果が促進される。また、溝幅が一定なので、皮膜材の溝への充填量が確保され、アンカー効果がより一層促進される。しかも、上記溝は螺旋状なので、円筒状の周面と皮膜との密着強度が均一に高められる。以上により、本発明によれば、円筒状の内周面及び/又は外周面と皮膜との強固な密着性を確保できる周面の溝構造が提供される。
本発明においては、上記周面側部分は、溝空間に膨出する湾曲面であることが好ましい。
この構成によれば、周面側の溝は、溝幅が狭いけれども、皮膜材の溝への流入がより円滑化する。そのため、円筒状の周面と皮膜との強固な密着性がより一層確保される。
本発明においては、上記断面視で隣接する溝の間隔が等ピッチであることが好ましい。
この構成によれば、円筒状の周面と皮膜との密着強度がより一層均一に高められる。
本発明においては、上記周面は、シリンダライナの内周面もしくは外周面又はシリンダブロックのボア内周面であることが好ましい。
この構成によれば、シリンダライナの内周面及び/又は外周面あるいはシリンダブロックのボア内周面に上記アンダーカット形状の溝が設けられる。
また、上記課題を解決するためのものとして、本発明は、円筒状の周面を有する部材の当該周面に皮膜を密着させるための溝が上記周面の軸方向に沿って螺旋状に設けられることにより上記周面に断面視で複数の溝が設けられる周面の溝構造の加工方法であって、上記周面のうち上記溝が形成される予定の位置を切削加工することにより完成後の溝に比べて断面積の小さいベース溝を形成する1次加工工程と、上記ベース溝の側面を切削加工することにより上記周面側から底部側に向かうほど溝幅が広くなるアンダーカット形状を有する上記溝を形成する2次加工工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、所謂フォーミング(塑性変形)よりも安定した形状を作製することができる切削加工によって上記アンダーカット形状の溝を円筒状の周面に設けることができる。
本発明においては、上記各工程で用いる加工刃が軸方向に所定の順序及び所定のピッチで列状に並設された溝加工用ツールをL=n・R(L:加工刃の並設ピッチ、R:溝加工用ツールが360°相対回転する間の軸方向の相対移動距離、n:1,2,3…)の条件を満たしつつ上記周面に対して軸回りに相対回転させると共に軸方向に相対移動させることが好ましい。
この構成によれば、上記条件式に従うことにより、上記構成の溝加工用ツールを円筒状の周面に対して相対回転及び相対移動させるだけで、上記アンダーカット形状の螺旋状の溝を1回の作業(ワンパス)で軸方向に沿って設けることができる。
本発明によれば、例えばシリンダライナの内周面及び/又は外周面あるいはシリンダブロックのボア内周面と皮膜との強固な密着性を確保できる周面の溝構造及びその加工方法が提供される。
本発明の第1実施形態に係るボーリングクイルの先端部の斜視図である。 上記ボーリングクイルに装着されるカートリッジの斜視図である。 溝加工中のワークとボーリングクイルとの相対関係の説明図であって、(a)はワークの内周面に溝を加工する場合、(b)はワークの外周面に溝を加工する場合である。 第1実施形態及び第2実施形態で加工される溝の拡大断面図である。 第1実施形態に係る上記カートリッジに取り付けられる加工チップの先端部の外縁部の拡大断面図である。 第1実施形態で溝加工中の各工程におけるワーク及び加工チップの拡大断面図である。 第2実施形態に係る加工チップの先端部の外縁部の拡大断面図である。 第2実施形態で溝加工中の各工程におけるワーク及び加工チップの拡大断面図である。 第3実施形態で加工される溝の拡大断面図である。 第3実施形態に係る加工チップの先端部の外縁部の拡大断面図である。 第3実施形態で溝加工中の各工程におけるワーク及び加工チップの拡大断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
(全体説明)
図1は、本発明の第1実施形態に係るボーリングクイル10の先端部を示す斜視図である。ボーリングクイル10は柱状であり、軸回りに回転可能、軸方向に移動可能である。先端とは、溝加工時にワーク90(図3参照)に対して軸方向に相対移動するときの移動側をいう。ボーリングクイル10の先端部の外周部にカートリッジ20が装着される。
図2に示すように、カートリッジ20はブロック状であり、ボルト21によりボーリングクイル10に着脱可能に装着される。他のボルト22は、カートリッジ20を軸方向に位置調整する際に用いられる。カートリッジ20の先端部の外縁部に加工チップ30(本発明の「溝加工用ツール」に相当する)が取り付けられる。加工チップ30は押さえ金41及びボルト42によりカートリッジ20に着脱可能に取り付けられる。加工チップ30は、図示しない平行調整ピンによりワーク90に対する平行が保たれ、図示しない供給路から供給されるクーラントにより溝加工中の潤滑、冷却、及び切粉の排出が行われる。ボーリングクイル10に装着された状態で、加工チップ30の先端部の外縁部(破線の円で囲った部分)はボーリングクイル10の外周面よりも外方に突出する。
図3(a)に示すように、ワーク90の内周面91に溝を加工する場合は、ワーク90を固定し、ボーリングクイル10を回転及び移動させる。これにより、ワーク90の内周面91に対して加工チップ30が軸回りに回転されると共に軸方向に移動され、軸方向に沿って螺旋状の溝がワーク90の内周面91に形成される。この方法は、例えばワーク90がエンジンのシリンダブロックに圧入又は鋳込まれるシリンダライナやエンジンのライナレスシリンダブロックであって、シリンダライナの内周面やライナレスシリンダブロックのボア内周面に溝を加工するとき等に採用される。
図3(b)に示すように、ワーク90の外周面92に溝を加工する場合は、ワーク90を回転させ、ボーリングクイル10を移動のみさせる。これにより、ワーク90の外周面92に対して加工チップ30が軸回りに相対回転されると共に軸方向に移動され、軸方向に沿って螺旋状の溝がワーク90の外周面92に形成される。この方法は、例えばワーク90がエンジンのシリンダブロックに鋳込まれるシリンダライナであって、シリンダライナの外周面に溝を加工するとき等に採用される。
以下、ワーク90がシリンダライナであって、シリンダライナの内周面に溝を加工する場合を例にして説明する。
(溝構造)
図4は、本実施形態で加工される溝50を示す拡大断面図である。溝50は、例えば、溶射皮膜(図示せず)を密着させるためのものであり、シリンダライナ90の内周面91に軸方向に沿って螺旋状に設けられる。溝50が螺旋状に設けられる結果、断面視で螺旋状の溝50の一部分である複数の溝50が軸方向に隣接し、隣接する溝50の間に突条51が形成される。突条51の側面53は、内周面91側に位置する周面側部分54と、溝50の底部52側に位置する底部側部分55とを含む。周面側部分54と底部側部分55とは相互に連続して設けられる。
周面側部分54は、内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが狭くなるように形成される。すなわち、軸方向に相対向する一対の側面53は、周面側部分54においては、内周面91側ほど相互に離間し、底部52側ほど相互に近接する平坦な傾斜面である。
底部側部分55は、内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが広くなるように形成される。すなわち、軸方向に相対向する一対の側面53は、底部側部分55においては、内周面91側ほど相互に近接し、底部52側ほど相互に離間する平坦な傾斜面である。
底部52は、内周面91と平行な平坦面(底面)で構成される。周面側部分54及び底部側部分55は、内周面91での溝幅Wが底部52での溝幅Wよりも広くなるように形成される。
周面側部分54と底部側部分55との間に溝幅Wが狭くなる凸部56が設けられる。そのため、凸部56より底部52側の溝50は、アンダーカット形状に形成され、凸部56より内周面91側の溝50は、内周面91での溝幅Wが広くなる。隣接する溝50の間隔P(「溝ピッチ」という)は、等ピッチで設けられる。
溝ピッチPの好ましい例としては、例えば0.2mm〜0.3mm等が挙げられ、その際の溝幅Wの好ましい例としては、例えば0.1mm〜0.15mm等が挙げられる。
(加工チップ)
図5に示すように、加工チップ30の先端部の外縁部に7つの加工刃31〜37が軸方向に所定の順序及び所定のピッチA又はLで一列に並設される。シリンダライナ90がアルミニウム製であるのに対し、加工チップ30は例えば超硬合金製又はダイヤモンドコンパックス製である。
最も先端側の加工刃31は、シリンダライナ90の内周面91の内径を切削加工により所定の設計目標値に調整するためのものである。
先端から2番目の加工刃32及び3番目の加工刃33は、1番目の加工刃31よりも外方に突出することから分かるように(破線a,b参照)、1番目の加工刃31で内径が調整されたシリンダライナ90の内周面91に完成後の溝50に比べて断面積の小さい断面三角形状の凹溝60(図6参照、本発明の「ベース溝」に相当する)を切削加工により軸方向に沿って螺旋状に形成するためのものである。
また、2番目及び3番目の加工刃32,33は、隣接する凹溝60の間に形成される突条の側面に上記周面側部分54を切削加工により形成するためのものでもある。
要すれば、2番目及び3番目の加工刃32,33は、凹溝60を形成する加工刃と周面側部分54を形成する加工刃とが相互に全体的に統合されたものである。言い換えると、2番目及び3番目の加工刃32,33は、凹溝60全体を形成すると同時に周面側部分54全体を形成することが可能である(以下これに準じて同様)。
その場合、3番目の加工刃33は、2番目の加工刃32よりも外方に突出することから分かるように(破線b参照)、2番目の加工刃32よりもサイズが大きく設定される。
先端から4番目の加工刃34及び6番目の加工刃36は、隣接する凹溝60の間に形成される突条の側面に図面上左側(先端側)の底部側部分55を切削加工により形成するためのものである。
その場合、6番目の加工刃36は、4番目の加工刃34よりも外方に突出することから分かるように(破線b参照)、4番目の加工刃34よりもサイズが大きく設定される。
先端から5番目の加工刃35及び7番目の加工刃37は、隣接する凹溝60の間に形成される突条の側面に図面上右側(反先端側)の底部側部分55を切削加工により形成するためのものである。
その場合、7番目の加工刃37は、5番目の加工刃35よりも外方に突出することから分かるように(破線b参照)、5番目の加工刃35よりもサイズが大きく設定される。
2番目の加工刃32から7番目の加工刃37については、隣接する加工刃32〜37の間隔L(「並設ピッチ」という)は、等ピッチで設けられる。これに対し、1番目の加工刃31と2番目の加工刃32との間隔Aは、上記並設ピッチLよりも大きいピッチで設けられる。つまり、1番目の加工刃(周面調整用の加工刃)31だけ他の加工刃(溝加工用の加工刃)32〜37から先行し相対的に大きく先端側に離間する。
以上のことから、1番目の加工刃31は、周面の径を所定値に調整するための加工刃であり、2番目及び3番目の加工刃32,33は、溝を形成するための加工刃及び周面側部分を形成するための加工刃であり、4番目〜7番目の加工刃34〜37は、底部側部分を形成するための加工刃である。また、上記のように、1番目の加工刃31は、周面調整用の加工刃であり、2番目〜7番目の加工刃32〜37は、溝加工用の加工刃である。
加工チップ30は、溝加工時には、L=n・Rの条件を満たしつつ、シリンダライナ90の内周面91に対して軸回りに回転されると共に軸方向に移動される。ここで、Lは、上述した2番目の加工刃32から7番目の加工刃37までの並設ピッチ(mm)であり、Rは、加工チップ30が1回転、つまり360°回転する間の軸方向の移動距離(mm/rev)であり、nは、1,2,3…(正の整数)である。この条件式に従うことにより、溝加工時には、後で用いられる3番目〜7番目の加工刃33〜37は、先に用いられる2番目〜6番目の加工刃32〜36が辿った跡をなぞっていく。
上記並設ピッチLと、図4に示す溝ピッチPとの関係については、L=n・P(nは1,2,3…)が成り立つ。すなわち、P=Rであり、隣接する溝50の間隔Pは、加工チップ30が1回転する間の移動距離Rに等しい。そして、加工チップ30の2番目の加工刃32から7番目の加工刃37までの並設ピッチLは、これらP,Rの正の整数倍(1倍、2倍、3倍…)に設定される。言い換えると、隣接する加工刃32〜37の並設ピッチLは、相互にn倍(図例では1倍)に設定される。
(加工方法)
次に、上記加工チップ30を用いて行う上記溝構造の加工方法を説明する。図6は、本実施形態で溝加工中の各工程(ア)〜(キ)におけるシリンダライナ90及び加工チップ30の拡大断面図である。この加工方法は、内径調整工程と、凹溝形成工程と、周面側部分形成工程と、底部側部分形成工程とを含む。
内径調整工程(ア)は、加工チップ30の1番目の加工刃31を用いて、シリンダライナ90の内周面91の内径を切削加工により上記設計目標値に調整する工程である。
凹溝形成工程(イ)及び(ウ)は、加工チップ30の2番目及び3番目の加工刃32,33を用いて、1番目の加工刃31で内径が調整されたシリンダライナ90の内周面91に上記断面三角形状の凹溝60を切削加工により軸方向に沿って螺旋状に形成する工程である。
すなわち、凹溝形成工程(イ)及び(ウ)は、上記内周面91のうち上記溝50が形成される予定の位置を切削加工することにより完成後の溝50に比べて断面積の小さい断面三角形状の凹溝60を形成する工程であり、本発明の「1次加工工程」に相当する。
周面側部分形成工程(イ)及び(ウ)は、同じく加工チップ30の2番目及び3番目の加工刃32,33を用いて、隣接する凹溝60の間に形成される突条の側面に上記周面側部分54を切削加工により形成する工程である。
要すれば、凹溝形成工程及び周面側部分形成工程は、相互に全体的に工程(イ)及び(ウ)に統合されたものである。
工程(イ)は、統合された凹溝形成工程かつ周面側部分形成工程の1段目であり、2番目の加工刃32により、相対的に小さい凹溝60及び周面側部分54が形成される。工程(ウ)は、統合された凹溝形成工程かつ周面側部分形成工程の2段目であり、3番目の加工刃33により、相対的に大きい凹溝60及び周面側部分54が形成される。
底部側部分形成工程(エ)〜(キ)は、加工チップ30の4番目〜7番目の加工刃34〜37を用いて、隣接する凹溝60の間に形成される突条の側面に上記底部側部分55を切削加工により形成する工程である。
工程(エ)は、図面上左側の底部側部分形成工程の1段目であり、4番目の加工刃34により、相対的に小さい図面上左側の底部側部分55が形成される。工程(オ)は、図面上右側の底部側部分形成工程の1段目であり、5番目の加工刃35により、相対的に小さい図面上右側の底部側部分55が形成される。工程(カ)は、図面上左側の底部側部分形成工程の2段目であり、6番目の加工刃36により、相対的に大きい図面上左側の底部側部分55が形成される。工程(キ)は、図面上右側の底部側部分形成工程の2段目であり、7番目の加工刃37により、相対的に大きい図面上右側の底部側部分55が形成される。
すなわち、周面側部分形成工程(イ)及び(ウ)並びに底部側部分形成工程(エ)〜(キ)は、上記凹溝60の側面を切削加工することにより上記内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが広くなるアンダーカット形状を有する上記溝50を形成する工程であり、本発明の「2次加工工程」に相当する。
図6では、上記条件式のnは1である。つまり、加工チップ30を1回転させる間に並設ピッチLだけ移動させる(R=L)。その結果、溝ピッチPは並設ピッチLに等しくなる(P=R=L)。例えば、並設ピッチLが0.48mmとすると、加工チップ30が1回転する間の移動距離Rは0.48mm/revであり、溝ピッチPは0.48mmとなる。R=Lであるから、溝加工時には、後で用いられる3番目〜7番目の加工刃33〜37は、1回転遅れで、先に用いられる2番目〜6番目の加工刃32〜36が辿った跡をなぞっていく。
これに対し、例えば、上記条件式のnが2の場合は、加工チップ30を2回転させる間に並設ピッチLだけ移動させる(2R=L)。その結果、溝ピッチPは並設ピッチLの半分になる(P=R=L/2)。例えば、並設ピッチLが0.48mmとすると、加工チップ30が1回転する間の移動距離Rは0.24mm/revであり、溝ピッチPは0.24mmとなる。R=L/2の場合は、溝加工時には、後で用いられる3番目〜7番目の加工刃33〜37は、2回転遅れで、先に用いられる2番目〜6番目の加工刃32〜36が辿った跡をなぞっていく。
以上により、断面視で隣接する溝50の間に形成される突条51の側面53が、内周面91側に位置する周面側部分54と、溝50の底部52側に位置する底部側部分55と、両部分54,55の間に設けられる溝幅Wが狭くなる凸部56とを含む、アンダーカット形状の溝50が完成する。その場合、内径調整工程は1つの工程(ア)で達成され、凹溝形成工程は2つの工程(イ)及び(ウ)で達成され、周面側部分形成工程は2つの工程(イ)及び(ウ)で達成され、底部側部分形成工程は4つの工程(エ)〜(キ)で達成され、計7つの工程で溝50が完成する。
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
シリンダライナ90の内周面91に例えば溶射皮膜を密着させるための溝50が上記内周面91の軸方向に沿って螺旋状に設けられることにより上記内周面91に断面視で複数の溝50が設けられる周面の溝構造は、上記断面視で隣接する溝50の間に突条51が形成され、上記突条51の側面53は、上記内周面91側に位置する周面側部分54と、溝50の底部52側に位置する底部側部分55とを含み、両部分54,55の間に溝幅Wが狭くなる凸部56が設けられる。
この構成によれば、突条51の側面の凸部56より底部52側の溝50は、アンダーカット形状に成形され、アンカー効果が得られて、溶射皮膜の剥離防止が図られる。一方、凸部56より内周面91側の溝50は、内周面91での溝幅Wが広くなり、溶射材が溝50に流入し易くなって、溶射材が溝50に充填され易くなり、アンカー効果が促進される。しかも、上記溝50は螺旋状なので、シリンダライナ90の内周面91と溶射皮膜との密着強度が均一に高められる。以上により、本実施形態によれば、シリンダライナ90の内周面91と溶射皮膜との強固な密着性を確保できる周面の溝構造が提供される。
本実施形態においては、上記周面側部分54は、上記内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが狭くなるように形成され、上記底部側部分55は、上記内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが広くなるように形成される。
この構成によれば、凸部56より内周面91側の溝50は、内周面91での溝幅Wが確実に広くなり、溶射材の溝50への流入が促進される。一方、凸部56より底部52側の溝50は、アンダーカット形状であるけれども、溶射材の溝50への充填が促進される。そのため、シリンダライナ90の内周面91と溶射皮膜との強固な密着性が確実に確保される。
本実施形態においては、上記周面側部分54及び底部側部分55は、それぞれ、平坦な傾斜面である。
この構成によれば、凸部56より内周面91側の溝50は、溶射材の溝50への流入がより円滑化し、凸部56より底部52側の溝50は、溶射材の溝50への充填がより円滑化する。そのため、シリンダライナ90の内周面91と溶射皮膜との強固な密着性がより一層確保される。
本実施形態においては、上記周面側部分54及び底部側部分55は、上記内周面91での溝幅Wが上記底部52での溝幅Wよりも広くなるように形成される。
この構成によれば、内周面91での溝幅Wが相対的に広くなるので、溶射材の溝50への流入がさらに促進されると共に、底部52での溝幅Wが相対的に狭くなるので、アンダーカットの角度が相対的に緩やかになって、溶射材の溝50への充填がさらに促進される。
本実施形態においては、上記断面視で隣接する溝50の間隔、すなわち溝ピッチPが等ピッチである。
この構成によれば、シリンダライナ90の内周面91と溶射皮膜との密着強度がより一層均一に高められる。
一方、上記周面の溝構造の加工方法は、シリンダライナ90の内周面91のうち上記溝50が形成される予定の位置を切削加工することにより完成後の溝50に比べて断面積の小さい断面三角形状の凹溝60を形成する工程(イ)及び(ウ)と、上記凹溝60の側面を切削加工することにより上記内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが広くなるアンダーカット形状を有する上記溝50を形成する工程(イ)〜(キ)とを含む。
この構成によれば、所謂フォーミング(塑性変形)よりも安定した形状を作製することができる切削加工によって上記アンダーカット形状の溝50をシリンダライナ90の内周面91に設けることができる。
本実施形態においては、上記各工程(イ)〜(キ)で用いる加工刃32〜37が軸方向に所定の順序及び所定のピッチLで列状に並設された加工チップ30をL=n・R(L:加工刃32〜37の並設ピッチ、R:加工チップ30が360°相対回転する間の軸方向の相対移動距離、n:1,2,3…)の条件を満たしつつシリンダライナ90の内周面91に対して軸回りに回転させると共に軸方向に移動させる。
この構成によれば、上記条件式に従うことにより、上記構成の加工チップ30をシリンダライナ90の内周面91に対して軸回りに回転及び軸方向に移動させるだけで、上記アンダーカット形状の螺旋状の溝50を1回の作業(ワンパス)で軸方向に沿って設けることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。この第2実施形態は、第1実施形態と比べて、加工チップ30の構成のみ異なり、その他の点は第1実施形態と同様なので、加工チップ30及び加工チップ30を用いて行う溝構造の加工方法のみ説明を加える。なお、第1実施形態と同じ又は類似の構成要素には同じ符号を用いる。
(加工チップ)
図7は、第2実施形態に係る加工チップ30の先端部の外縁部の拡大断面図であって図5に対応する。図7に示すように、加工チップ30の先端部の外縁部に5つの加工刃131〜135が軸方向に所定の順序及び所定のピッチA又はLで一列に並設される。
最も先端側の加工刃131は、シリンダライナ90の内周面91の内径を切削加工により所定の設計目標値に調整するためのものである。
先端から2番目の加工刃132及び3番目の加工刃133は、1番目の加工刃131よりも外方に突出することから分かるように(破線c,d参照)、1番目の加工刃131で内径が調整されたシリンダライナ90の内周面91に完成後の溝50に比べて断面積の小さい断面方形状の凹溝160(図8参照、本発明の「ベース溝」に相当する)を切削加工により軸方向に沿って螺旋状に形成するためのものである。
その場合、3番目の加工刃133は、2番目の加工刃132よりも外方に突出することから分かるように(破線d参照)、2番目の加工刃132よりもサイズが大きく設定される。
先端から4番目の加工刃134は、隣接する凹溝160の間に形成される突条の側面に図面上右側の周面側部分54を切削加工により形成するためのものである。
また、4番目の加工刃134は、隣接する凹溝160の間に形成される突条の側面に図面上左側の底部側部分55を切削加工により形成するためのものでもある。
先端から5番目の加工刃135は、隣接する凹溝160の間に形成される突条の側面に図面上左側の周面側部分54を切削加工により形成するためのものである。
また、5番目の加工刃135は、隣接する凹溝160の間に形成される突条の側面に図面上右側の底部側部分55を切削加工により形成するためのものでもある。
要すれば、4番目及び5番目の加工刃134,135は、周面側部分54を形成する加工刃と底部側部分55を形成する加工刃とが相互に全体的に統合されたものである。
2番目の加工刃132から5番目の加工刃135については、隣接する加工刃132〜135の間隔L(つまり並設ピッチ)は、等ピッチで設けられる。これに対し、1番目の加工刃131と2番目の加工刃132との間隔Aは、上記並設ピッチLよりも大きいピッチで設けられる。つまり、1番目の加工刃131だけ他の加工刃132〜135から先行し相対的に大きく先端側に離間する。
以上のことから、1番目の加工刃131は、周面の径を所定値に調整するための加工刃であり、2番目及び3番目の加工刃132,133は、溝を形成するための加工刃であり、4番目及び5番目の加工刃134,135は、周面側部分を形成するための加工刃及び底部側部分を形成するための加工刃である。
(加工方法)
図8は、第2実施形態で溝加工中の各工程(サ)〜(ソ)におけるシリンダライナ90及び加工チップ30の拡大断面図であって図6に対応する。この加工方法は、内径調整工程と、凹溝形成工程と、周面側部分形成工程と、底部側部分形成工程とを含む。
内径調整工程(サ)は、加工チップ30の1番目の加工刃131を用いて、シリンダライナ90の内周面91の内径を切削加工により上記設計目標値に調整する工程である。
凹溝形成工程(シ)及び(ス)は、加工チップ30の2番目及び3番目の加工刃132,133を用いて、1番目の加工刃131で内径が調整されたシリンダライナ90の内周面91に上記断面方形状の凹溝160を切削加工により軸方向に沿って螺旋状に形成する工程である。
すなわち、凹溝形成工程(シ)及び(ス)は、上記内周面91のうち上記溝50が形成される予定の位置を切削加工することにより完成後の溝50に比べて断面積の小さい断面方形状の凹溝160を形成する工程であり、本発明の「1次加工工程」に相当する。
工程(シ)は、凹溝形成工程の1段目であり、2番目の加工刃132により、相対的に溝深さの小さい凹溝160が形成される。工程(ス)は、凹溝形成工程の2段目であり、3番目の加工刃133により、相対的に溝深さの大きい凹溝160が形成される。
周面側部分形成工程(セ)及び(ソ)は、加工チップ30の4番目及び5番目の加工刃134,135を用いて、隣接する凹溝160の間に形成される突条の側面に上記周面側部分54を切削加工により形成する工程である。
底部側部分形成工程(セ)及び(ソ)は、同じく加工チップ30の4番目及び5番目の加工刃134,135を用いて、隣接する凹溝160の間に形成される突条の側面に上記底部側部分55を切削加工により形成する工程である。
要すれば、周面側部分形成工程及び底部側部分形成工程は、相互に全体的に工程(セ)及び(ソ)に統合されたものである。
工程(セ)は、統合された周面側部分形成工程かつ底部側部分形成工程の1段目であり、4番目の加工刃134により、図面上右側の周面側部分54及び図面上左側の底部側部分55が形成される。工程(ソ)は、統合された周面側部分形成工程かつ底部側部分形成工程の2段目であり、5番目の加工刃135により、図面上左側の周面側部分54及び図面上右側の底部側部分55が形成される。
すなわち、周面側部分形成工程及び底部側部分形成工程(セ)及び(ソ)は、上記凹溝160の側面を切削加工することにより上記内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが広くなるアンダーカット形状を有する上記溝50を形成する工程であり、本発明の「2次加工工程」に相当する。
以上により、断面視で隣接する溝50の間に形成される突条51の側面53が、内周面91側に位置する周面側部分54と、溝50の底部52側に位置する底部側部分55と、両部分54,55の間に設けられる溝幅Wが狭くなる凸部56とを含む、アンダーカット形状の溝50が完成する。その場合、内径調整工程は1つの工程(サ)で達成され、凹溝形成工程は2つの工程(シ)及び(ス)で達成され、周面側部分形成工程は2つの工程(セ)及び(ソ)で達成され、底部側部分形成工程は2つの工程(セ)及び(ソ)で達成され、計5つの工程で溝50が完成する。
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
上記周面の溝構造の加工方法は、シリンダライナ90の内周面91のうち上記溝50が形成される予定の位置を切削加工することにより完成後の溝50に比べて断面積の小さい断面方形状の凹溝160を形成する工程(シ)及び(ス)と、上記凹溝160の側面を切削加工することにより上記内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが広くなるアンダーカット形状を有する上記溝50を形成する工程(セ)及び(ソ)とを含む。
この構成によれば、所謂フォーミング(塑性変形)よりも安定した形状を作製することができる切削加工によって上記アンダーカット形状の溝50をシリンダライナ90の内周面91に設けることができる。
そして、本実施形態においては、第1実施形態に比べて、溝加工の工程数が少ない(より詳しくは2つ少ない)から、溝加工時間の短縮化が図られる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。この第3実施形態は、第1実施形態と比べて、溝構造及び加工チップ30の構成が異なり、その他の点は第1実施形態と同様なので、溝構造、加工チップ30、及び加工チップ30を用いて行う溝構造の加工方法のみ説明を加える。なお、第1実施形態と同じ又は類似の構成要素には同じ符号を用いる。
(溝構造)
図9は、第3実施形態で加工される溝50を示す拡大断面図であって図4に対応する。溝50は、溶射皮膜を密着させるためのものであり、シリンダライナ90の内周面91に軸方向に沿って螺旋状に設けられる。溝50が螺旋状に設けられる結果、断面視で螺旋状の溝50の一部分である複数の溝50が軸方向に隣接し、隣接する溝50の間に突条51が形成される。突条51の側面53は、内周面91側に位置する周面側部分54と、溝50の底部52側に位置する底部側部分55とを含む。周面側部分54と底部側部分55とは相互に連続して設けられる。
周面側部分54は、内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが広くなるように形成される。すなわち、軸方向に相対向する一対の側面53は、周面側部分54においては、内周面91側ほど相互に近接し、底部52側ほど相互に離間する湾曲面、より詳しくは溝空間に膨出する湾曲面である。
底部側部分55は、内周面91側から底部52側に亘って溝幅Wが一定となるように形成される。すなわち、軸方向に相対向する一対の側面53は、底部側部分55においては、周面側部分54の底部52側の溝幅Wを保って相互に離間する平坦な縦壁面である。
底部52は、内周面91と平行な平坦面(底面)で構成される。周面側部分54及び底部側部分55は、内周面91での溝幅Wが底部52での溝幅Wよりも狭くなるように形成される。
周面側部分54と底部側部分55との間に内周面91側から底部52側への移行時に溝幅Wが広くなる凹部57が設けられる。そのため、凹部57より内周面91側の溝50は、アンダーカット形状に形成され、凹部57より底部52側の溝50は、アンダーカット形状に形成されない。隣接する溝50の間隔P(つまり溝ピッチ)は、等ピッチで設けられる。
(加工チップ)
図10は、第3実施形態に係る加工チップ30の先端部の外縁部の拡大断面図であって図5に対応する。図10に示すように、加工チップ30の先端部の外縁部に6つの加工刃231〜236が軸方向に所定の順序及び所定のピッチA又はLで一列に並設される。
最も先端側の加工刃231は、シリンダライナ90の内周面91の内径を切削加工により所定の設計目標値に調整するためのものである。
先端から2番目〜6番目の加工刃232〜236は、1番目の加工刃231よりも外方に突出することから分かるように(破線e,f参照)、1番目の加工刃231で内径が調整されたシリンダライナ90の内周面91に完成後の溝50に比べて断面積の小さい断面略方形状乃至多角形状の凹溝260(図11参照、本発明の「ベース溝」に相当する)を切削加工により軸方向に沿って螺旋状に形成するためのものである。
また、2番目〜6番目の加工刃232〜236のうち、2番目〜5番目の加工刃232〜235は、隣接する凹溝260の間に形成される突条の側面に上記周面側部分54を切削加工により形成するためのものでもある。
要すれば、2番目〜5番目の加工刃232〜235は、凹溝260を形成する加工刃と周面側部分54を形成する加工刃とが相互に部分的又は全体的に統合されたものである。言い換えると、2番目〜5番目の加工刃232〜235は、凹溝260を部分的に形成すると同時に周面側部分54全体を形成することが可能である(以下これに準じて同様)。
また、2番目〜6番目の加工刃232〜236のうち、6番目の加工刃236は、隣接する凹溝260の間に形成される突条の側面に上記底部側部分55を切削加工により形成するためのものでもある。
要すれば、6番目の加工刃236は、凹溝260を形成する加工刃と底部側部分55を形成する加工刃とが相互に部分的又は全体的に統合されたものである。
その場合、3番目の加工刃233は、2番目の加工刃232よりも外方に突出することから分かるように(破線e,f参照)、2番目の加工刃232よりもサイズが大きく設定される。4番目の加工刃234は、3番目の加工刃233よりも外方に突出することから分かるように(破線e,f参照)、3番目の加工刃233よりもサイズが大きく設定される。5番目の加工刃235は、4番目の加工刃234よりも外方に突出することから分かるように(破線e,f参照)、4番目の加工刃234よりもサイズが大きく設定される。6番目の加工刃236は、5番目の加工刃235よりも外方に突出することから分かるように(破線e,f参照)、5番目の加工刃235よりもサイズが大きく設定される。
2番目の加工刃232から6番目の加工刃236については、隣接する加工刃232〜236の間隔L(つまり並設ピッチ)は、等ピッチで設けられる。これに対し、1番目の加工刃231と2番目の加工刃232との間隔Aは、上記並設ピッチLよりも大きいピッチで設けられる。つまり、1番目の加工刃231だけ他の加工刃232〜236から先行し相対的に大きく先端側に離間する。
以上のことから、1番目の加工刃231は、周面の径を所定値に調整するための加工刃であり、2番目〜5番目の加工刃232〜235は、溝を形成するための加工刃及び周面側部分を形成するための加工刃であり、6番目の加工刃236は、溝を形成するための加工刃及び底部側部分を形成するための加工刃である。
(加工方法)
図11は、第3実施形態で溝加工中の各工程(タ)〜(ナ)におけるシリンダライナ90及び加工チップ30の拡大断面図であって図6に対応する。この加工方法は、内径調整工程と、凹溝形成工程と、周面側部分形成工程と、底部側部分形成工程とを含む。
内径調整工程(タ)は、加工チップ30の1番目の加工刃231を用いて、シリンダライナ90の内周面91の内径を切削加工により上記設計目標値に調整する工程である。
凹溝形成工程(チ)〜(ナ)は、加工チップ30の2番目〜6番目の加工刃232〜236を用いて、1番目の加工刃231で内径が調整されたシリンダライナ90の内周面91に上記断面略方形状乃至多角形状の凹溝260を切削加工により軸方向に沿って螺旋状に形成する工程である。
すなわち、凹溝形成工程(チ)〜(ナ)は、上記内周面91のうち上記溝50が形成される予定の位置を切削加工することにより完成後の溝50に比べて断面積の小さい断面略方形状乃至多角形状の凹溝260を形成する工程であり、本発明の「1次加工工程」に相当する。
周面側部分形成工程(チ)〜(ト)は、加工チップ30の2番目〜6番目の加工刃232〜236のうち、2番目〜5番目の加工刃232〜235を用いて、隣接する凹溝260の間に形成される突条の側面に上記周面側部分54を切削加工により形成する工程である。
要すれば、凹溝形成工程及び周面側部分形成工程は、相互に部分的又は全体的に工程(チ)〜(ト)に統合されたものである。
底部側部分形成工程(ナ)は、加工チップ30の2番目〜6番目の加工刃232〜236のうち、6番目の加工刃236を用いて、隣接する凹溝260の間に形成される突条の側面に上記底部側部分55を切削加工により形成する工程である。
要すれば、凹溝形成工程及び底部側部分形成工程は、相互に部分的又は全体的に工程(ナ)に統合されたものである。
工程(チ)は、統合された凹溝形成工程かつ周面側部分形成工程の1段目であり、2番目の加工刃232により、相対的に溝深さの小さい断面略方形状の凹溝260及び相対的に小さい周面側部分54が形成される。
工程(ツ)は、統合された凹溝形成工程かつ周面側部分形成工程の2段目であり、3番目の加工刃233により、溝深さのやや大きい断面略方形状の凹溝260及びやや大きい周面側部分54が形成される。
工程(テ)は、統合された凹溝形成工程かつ周面側部分形成工程の3段目であり、4番目の加工刃234により、溝深さのより大きい断面略方形状の凹溝260及びより大きい周面側部分54が形成される。
工程(ト)は、統合された凹溝形成工程かつ周面側部分形成工程の4段目であり、5番目の加工刃235により、溝深さのより一層大きい断面略方形状の凹溝260及びより一層大きい周面側部分54が形成される。
工程(ナ)は、統合された凹溝形成工程かつ底部側部分形成工程であり、6番目の加工刃236により、溝深さのさらに大きい断面多角形状の凹溝260及び底部側部分55が形成される。
すなわち、周面側部分形成工程(チ)〜(ト)及び底部側部分形成工程(ナ)は、上記凹溝260の側面を切削加工することにより上記内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが広くなるアンダーカット形状を有する上記溝50を形成する工程であり、本発明の「2次加工工程」に相当する。
以上により、断面視で隣接する溝50の間に形成される突条51の側面53が、内周面91側に位置する周面側部分54と、溝50の底部52側に位置する底部側部分55と、両部分54,55の間に設けられる内周面91側から底部52側への移行時に溝幅Wが広くなる凹部57とを含み、上記周面側部分54は、上記内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが広くなるように形成され、上記底部側部分55は、上記内周面91側から底部52側に亘って溝幅Wが一定となるように形成される、アンダーカット形状の溝50が完成する。その場合、内径調整工程は1つの工程(タ)で達成され、凹溝形成工程は5つの工程(チ)〜(ナ)で達成され、周面側部分形成工程は4つの工程(チ)〜(ト)で達成され、底部側部分形成工程は1つの工程(ナ)で達成され、計6つの工程で溝50が完成する。
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
シリンダライナ90の内周面91に例えば溶射皮膜を密着させるための溝50が上記内周面91の軸方向に沿って螺旋状に設けられることにより上記内周面91に断面視で複数の溝50が設けられる周面の溝構造は、上記断面視で隣接する溝50の間に突条51が形成され、上記突条51の側面53は、上記内周面91側に位置する周面側部分54と、溝50の底部52側に位置する底部側部分55とを含み、上記周面側部分54は、上記内周面91側から底部52側に向かうほど溝幅Wが広くなるように形成され、上記底部側部分55は、上記内周面91側から底部52側に亘って溝幅Wが一定となるように形成される。
この構成によれば、内周面91側の溝50は、アンダーカット形状に形成され、アンカー効果が得られて、溶射皮膜の剥離防止が図られる。また、内周面91側ほど溝幅Wが狭くなるので、内周面91での溝幅Wが確実に狭くなり、アンカー効果が促進される。一方、底部52側の溝50は、アンダーカット形状に形成されないので、溶射材が溝50に充填され易くなり、アンカー効果が促進される。また、溝幅Wが一定なので、溶射材の溝50への充填量が確保され、アンカー効果がより一層促進される。しかも、上記溝50は螺旋状なので、シリンダライナ90の内周面91と溶射皮膜との密着強度が均一に高められる。以上により、本実施形態によれば、シリンダライナ90の内周面91と溶射皮膜との強固な密着性を確保できる周面の溝構造が提供される。
本実施形態においては、上記周面側部分54は、溝空間に膨出する湾曲面である。
この構成によれば、内周面91側の溝50は、溝幅Wが狭いけれども、溶射材の溝50への流入がより円滑化する。そのため、シリンダライナ90の内周面91と溶射皮膜との強固な密着性がより一層確保される。
<他の実施形態>
以上、実施形態を挙げて本発明を詳しく説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では、シリンダライナの内周面に溝を加工する場合を例にして説明したが、シリンダライナの外周面に溝を加工してもよく、シリンダライナの内周面及び外周面の双方に溝を加工してもよく、シリンダライナ以外の円筒状部材の内周面及び/又は外周面に溝を加工してもよい。また、ライナレスシリンダブロックのボア内周面に溝を加工してもよく、シリンダブロック以外の円筒状の内周面を有する部材の上記内周面に溝を加工してもよい。ライナレスシリンダブロックのボア内周面に溝を加工し、ライナ材を溶射する場合は、シリンダブロックの溶射ライナ化が図られ、シリンダブロックの軽量化、シリンダボア間の短縮化、及びエンジンの小型化が可能となる。
上記実施形態では、皮膜は溶射皮膜であったが、他の皮膜、例えば、メッキ皮膜や蒸着皮膜、あるいは塗布皮膜等でもよい。
上記実施形態では、溝を形成するための加工刃、周面側部分を形成するための加工刃、底部側部分を形成するための加工刃を、それぞれ複数(2つ〜5つ)設けたが、1つだけ設けてもよく、また、上記数(2つ〜5つ)以外の数だけ設けてもよい。
上記実施形態では、溝を形成するための加工刃と周面側部分を形成するための加工刃とを相互に全体的に統合したり、周面側部分を形成するための加工刃と底部側部分を形成するための加工刃とを相互に全体的に統合したり、溝を形成するための加工刃と周面側部分を形成するための加工刃とを相互に部分的又は全体的に統合したり、溝を形成するための加工刃と底部側部分を形成するための加工刃とを相互に部分的又は全体的に統合したが、統合しなくても構わない。逆に、溝を形成するための加工刃と周面側部分を形成するための加工刃と底部側部分を形成するための加工刃との3つ全部を相互に部分的又は全体的に統合することもできる。
上記実施形態では、周面調整用の加工刃を溝加工用の加工刃と同じ加工チップに設けたが、周面調整用の加工刃だけ別の加工チップに設けて、溝加工用の加工刃と分離してボーリングクイルに装着してもよい。これにより、周面調整用の加工刃と溝加工用の加工刃とを別々に用いることができ、当該加工チップ(溝加工用ツール)の利便性が増大する。また、周面調整用の加工刃は、溝加工用の加工刃と同期させる必要がないから、周面調整用の加工刃を設けた加工チップを溝加工用の加工刃を設けた加工チップから先行し先端側に離間させることができ、これにより、周面調整用の加工刃で比較的多く発生する切粉を溝加工用の加工刃が噛み込むことが抑制され、溝の加工精度が向上する。また、チップブレーカー(図示せず)等の設定が可能となり、切粉を細かく分断できるため、切粉の噛み込みがさらに抑制され、溝の加工精度がさらに向上する。また、その場合、周面調整用の加工刃を設けた加工チップを溝加工用の加工刃を設けた加工チップと異なる割り付け角度でボーリングクイルに装着しても一向構わない。
第1実施形態及び第2実施形態では、周面側部分及び底部側部分は、内周面での溝幅が底部での溝幅よりも広くなるように形成したが、これに代えて、内周面での溝幅が底部での溝幅と同等になるように形成してもよい。
第3実施形態では、底部側部分を、内周面側から底部側に亘って溝幅が一定となるように形成したが、これに代えて、内周面側から底部側に向かうほど溝幅が狭くなるように形成してもよい。
上記実施形態では、隣接する加工刃32〜37,132〜135,232〜236の並設ピッチLを1倍に設定したが、2倍、3倍…でも構わない。また、1倍の並設ピッチL、2倍の並設ピッチL、3倍の並設ピッチL…が混在してもよい。
10 ボーリングクイル
30 加工チップ(溝加工用ツール)
31 1番目の加工刃
32,33 2番目、3番目の加工刃
34〜37 4番目〜7番目の加工刃
50 溝
51 突条
52 底部
53 側面
54 周面側部分(傾斜面、湾曲面)
55 底部側部分(傾斜面)
56 凸部
57 凹部
60,160,260 凹溝(ベース溝)
90 シリンダライナ(円筒状の周面を有する部材)
91 内周面(円筒状の周面)
92 外周面(円筒状の周面)
131 1番目の加工刃
132,133 2番目、3番目の加工刃
134,135 4番目、5番目の加工刃
231 1番目の加工刃
232〜235 2番目〜5番目の加工刃
236 6番目の加工刃
L 並設ピッチ
P 溝ピッチ
R 加工チップが1回転する間の軸方向の移動距離
W 溝幅

Claims (10)

  1. 円筒状の周面を有する部材の当該周面に皮膜を密着させるための溝が上記周面の軸方向に沿って螺旋状に設けられることにより上記周面に断面視で複数の溝が設けられる周面の溝構造であって、
    上記断面視で隣接する溝の間に突条が形成され、上記突条の側面は、上記周面側に位置する周面側部分と、溝の底部側に位置する底部側部分とを含み、両部分の間に溝幅が狭くなる凸部が設けられることを特徴とする周面の溝構造。
  2. 請求項1に記載の周面の溝構造において、
    上記周面側部分は、上記周面側から底部側に向かうほど溝幅が狭くなるように形成され、上記底部側部分は、上記周面側から底部側に向かうほど溝幅が広くなるように形成されることを特徴とする周面の溝構造。
  3. 請求項2に記載の周面の溝構造において、
    上記周面側部分及び底部側部分は、それぞれ、平坦な傾斜面であることを特徴とする周面の溝構造。
  4. 請求項2又は3に記載の周面の溝構造において、
    上記周面側部分及び底部側部分は、上記周面での溝幅が上記底部での溝幅と同等又は上記底部での溝幅よりも広くなるように形成されることを特徴とする周面の溝構造。
  5. 円筒状の周面を有する部材の当該周面に皮膜を密着させるための溝が上記周面の軸方向に沿って螺旋状に設けられることにより上記周面に断面視で複数の溝が設けられる周面の溝構造であって、
    上記断面視で隣接する溝の間に突条が形成され、上記突条の側面は、上記周面側に位置する周面側部分と、溝の底部側に位置する底部側部分とを含み、上記周面側部分は、上記周面側から底部側に向かうほど溝幅が広くなるように形成され、上記底部側部分は、上記周面側から底部側に亘って溝幅が一定となるように形成されることを特徴とする周面の溝構造。
  6. 請求項5に記載の周面の溝構造において、
    上記周面側部分は、溝空間に膨出する湾曲面であることを特徴とする周面の溝構造。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の周面の溝構造において、
    上記断面視で隣接する溝の間隔が等ピッチであることを特徴とする周面の溝構造。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の周面の溝構造において、
    上記周面は、シリンダライナの内周面もしくは外周面又はシリンダブロックのボア内周面であることを特徴とする周面の溝構造。
  9. 円筒状の周面を有する部材の当該周面に皮膜を密着させるための溝が上記周面の軸方向に沿って螺旋状に設けられることにより上記周面に断面視で複数の溝が設けられる周面の溝構造の加工方法であって、
    上記周面のうち上記溝が形成される予定の位置を切削加工することにより完成後の溝に比べて断面積の小さいベース溝を形成する1次加工工程と、
    上記ベース溝の側面を切削加工することにより上記周面側から底部側に向かうほど溝幅が広くなるアンダーカット形状を有する上記溝を形成する2次加工工程とを含むことを特徴とする周面の溝構造の加工方法。
  10. 請求項9に記載の周面の溝構造の加工方法において、
    上記各工程で用いる加工刃が軸方向に所定の順序及び所定のピッチで列状に並設された溝加工用ツールをL=n・R(L:加工刃の並設ピッチ、R:溝加工用ツールが360°相対回転する間の軸方向の相対移動距離、n:1,2,3…)の条件を満たしつつ上記周面に対して軸回りに相対回転させると共に軸方向に相対移動させることを特徴とする周面の溝構造の加工方法。
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