JP4556825B2 - 燃料遮断弁 - Google Patents
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Description
しかし、ロールオーバーバルブのように小さい通路面積を有する接続通路を遮断する場合には、ゴム弁体の外周部を十分に撓ませることが難しく、高いシール性を得ることができないという問題があった。
燃料タンクの上部に装着され、上記燃料タンク内と外部とを接続する接続通路を開閉することで燃料タンクと外部とを連通遮断する燃料遮断弁において、
上記燃料タンク内と上記接続通路とを連通する弁室と、上記接続通路に面して設けられたシール部とを有するケーシングと、
上記弁室内に収納され上記燃料タンク内の燃料液位に応じて昇降するフロートと、該フロートの上部に形成された弁支持部と、上記弁支持部に装着され上記シール部に着離することで上記接続通路を開閉するシート部材とを有するフロート機構と、
を備え、
上記シート部材は、可撓性を有する材料から形成され円錐のシート部と、該シート部の頂部から上記フロート側に向けて棒状に突設されたシート支持部とを備え、
上記弁支持部は、フロートの上部に突設された円柱状の支持基部と、該支持基部の中央部を貫通する穴から形成され上記シート支持部を挿入した状態で固定する固定部と、上記支持基部の上部外周部に形成され、上記シート支持部が上記固定部で固定された状態にて上記シート部の外周部の裏面側に当たることで上記シート部を支持する支持段部を有し、
上記シール部が上記シート部と接触する部位の外径は、上記支持段部の外径より小さく設定され、
上記支持段部と上記シート部との間には、該シート部が上記シール部に押されたときに該シート部の弾性変形を許容する撓み用スペースが形成され、
上記シート部が上記シール部に押されたときに、上記シート部の外周部の裏面側が上記支持段部の角部によって支持され、上記シート部の裏面側と上記支持段部の角部との間に形成される上記撓み用スペースに向けて上記シート部が撓むように、上記シール部、上記弁支持部およびシート部が形成されていること、
を特徴とする。
(1) 燃料遮断弁10の概略構成
図1は本発明の一実施例にかかる自動車の燃料タンクFTの上部に取り付けられる燃料遮断弁10を示す側面図、図2は燃料遮断弁10の平面図、図3は図2の3−3線に沿った断面図である。図1において、燃料タンクFTは、その表面がポリエチレンを含む複合樹脂材料から形成されており、そのタンク上壁FTaに取付穴FTbが形成されている。このタンク上壁FTaには、燃料遮断弁10がその下部を取付穴FTbに突入した状態にて取り付けられている。燃料遮断弁10は、車両の傾斜時や揺動時に燃料タンクFT内の燃料がキャニスタへの流出を規制するものである。
図3において、燃料遮断弁10は、ケーシング20と、フロート機構50と、スプリング70とを主要な構成として備えている。ケーシング20は、ケーシング本体30と、底板35と、蓋体40とを備え、ケーシング本体30と底板35とにより囲まれたスペースが弁室30Sになっており、この弁室30Sにスプリング70に支持されたフロート機構50が収納されている。
シート部材55は、可撓性を有する材料(ゴム材料、熱可塑性エラストマなど)から傘形状(円錐形状)に形成されており、つまり円錐のシート部55aと、シート部55aの中央下部から棒状に突設されたシート支持部55bと、シート支持部55bの途中に形成された抜止部55cとを備え、シート支持部55bが固定部53bに圧入され、抜止部55cにより抜止段部53dに係合することにより弁支持部53に取り付けられている。シート部55aは、シール部31cに着離するシート面55dを備えている。この状態にて、シート部55aの外周部の裏面側が支持段部53eにより支持され、支持基部53aとシート部55aとの間に、撓み用スペース53fが形成されている。撓み用スペース53fは、シート部55aがシール部31cに着座したときに、シート部55aの弾性変形を許容するスペースとして作用する。
次に、燃料遮断弁10の動作について説明する。図3において、車両の傾斜などにより、燃料タンクFT内の燃料液位が上昇すると、燃料タンクFT内の上部に溜まっていた燃料蒸気は、連通孔35b、通気孔32aを通じて弁室30S内に入り、弁室30Sから、接続通路31b、蓋側通路42aを通じて、キャニスタ側へ逃がされる。燃料タンクFT内の燃料液位の上昇につれて、燃料は連通孔35bを通じて弁室30Sに流入する。そして、図7に示すように燃料液位が所定の液位FL1に達すると、フロート51の浮力およびスプリング70の荷重による上方への力と、フロート51およびシート部材55の自重による下方への力との釣り合いによって、前者が後者を上回ったときにフロート51が上昇する。このとき、図8に示すようにシート部材55のシート部55aは、弁支持部53の支持段部53eによって支持された状態にて、シール部31cにより押されることにより、反り返るように弾性変形して、シート面55dが接続通路31bを閉じる。これにより、車両の傾斜時などに、燃料タンクFTから燃料蒸気を逃がすとともに燃料が燃料タンクFT外へ流出するのを防止することができる。一方、燃料タンクFTの燃料液位が低下して弁室30S内の燃料が連通孔35bなどから排出されると、フロート51は、その浮力を減少して下方への力を受けて、シート部材55がシール部31cから離れて、接続通路31bを開く。
上記実施例の燃料遮断弁10の構成により、以下の効果を奏する。
(4)−1 図8に示すように、ゴム製のシート部材55は、シール部31cに着座したときに弁支持部53との間に形成される撓み用スペース53fに向けて弾性変形する。このとき、撓み用スペース53fは、シール部31cにより押されたときにシート部55aを確実に弾性変形させるスペースとして作用する。よって、シート部55aは、小径のシール部31cであっても密着するように弾性変形するから、高いシール性を得ることができる。
(4)−2 シート部材55は、傘形状であり、その外周部が支持段部53eで支持されるとともに、シール部31cの外側にはみ出した状態にてシール部31cに着座するので、シール部31c内の接続通路31bに入り込んだりすることがなく、接続通路31b内に入って抜けなくなることがない。
(4)−3 シート部材55は、傘形状で弾性変形し易い形状であるから、長期間にわたって確実に撓ませることが可能である。
(4)−4 フロート51が傾いてシール部31cに着座しても、シート部55aがシール部31cに倣って弾性変形するから高いシール性が得られる。
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記構成において、図10に示すように、フロート51Bが上昇して、シート部55Baがシール部31Bcに着座するときに、シート部55Baの角度を小さくするように弾性変形し、シート部55Baの裏面側が支持段部53Beに当接する。すなわち、シート部55Baは、支持段部53Beで支持された状態にてシール部31Bcで押されると、撓み用スペース53Bfに向けて弾性変形する。
この構成において、フロート51Cが上昇して、シート部55Caがシール部31Ccに着座して撓むときに、シート部55Caの角度を小さくするように弾性変形する。このとき、シート部55Caは、支持段部53Ceで当接支持された箇所より外周側でシール部31Ccにより押されて撓む。この場合に、上述したように、d1<D1+2tの関係から、シート部55Caが接続通路31Cb内に入り込んで、シート部55Caがシール部31Ccから離れるのに支障となることもない。
20...ケーシング
30...ケーシング本体
30S...弁室
30a...開口
31...天井壁部
31a...通路形成突部
31b...接続通路
31c...シール部
32...側壁部
32a...通気孔
32b...係合穴
32c...係合爪
35...底板
35a...係合爪
35b...連通孔
35c...スプリング支持部
40...蓋体
41...蓋本体
42...管体部
42a...蓋側通路
43...フランジ
43a...外側溶着部
44...支持部
44a...係合穴
50...フロート機構
51...フロート
51S...浮力室
51a...上壁部
51b...側壁
51c...ガイド突条
53...弁支持部
53a...支持基部
53b...固定部
53c...挿入穴
53d...抜止段部
53e...支持段部
53f...撓み用スペース
55...シート部材
55a...シート部
55b...シート支持部
55c...抜止部
55d...シート面
70...スプリング
FT...燃料タンク
FTa...タンク上壁
FTb...取付穴
Claims (2)
- 燃料タンク(FT)の上部に装着され、上記燃料タンク(FT)内と外部とを接続する接続通路(31b)を開閉することで燃料タンク(FT)と外部とを連通遮断する燃料遮断弁において、
上記燃料タンク(FT)内と上記接続通路(31b)とを連通する弁室(30S)と、上記接続通路(31b)に面して設けられたシール部(31c)とを有するケーシング(20)と、
上記弁室(30S)内に収納され上記燃料タンク(FT)内の燃料液位に応じて昇降するフロート(51)と、該フロート(51)の上部に形成された弁支持部(53)と、上記弁支持部(53)に装着され上記シール部(31c)に着離することで上記接続通路(31b)を開閉するシート部材(55)とを有するフロート機構(50)と、
を備え、
上記シート部材(55)は、可撓性を有する材料から形成され円錐のシート部(55a)と、該シート部(55a)の頂部から上記フロート(51)側に向けて棒状に突設されたシート支持部(55b)とを備え、
上記弁支持部(53)は、フロート(51)の上部に突設された円柱状の支持基部(53a)と、該支持基部(53a)の中央部を貫通する穴から形成され上記シート支持部(55b)を挿入した状態で固定する固定部(53b)と、上記支持基部(53a)の上部外周部に形成され、上記シート支持部(55b)が上記固定部(53b)で固定された状態にて上記シート部(55a)の外周部の裏面側に当たることで上記シート部(55a)を支持する支持段部(53e)を有し、
上記シール部(31c)が上記シート部(55a)と接触する部位の外径は、上記支持段部(53e)の外径より小さく設定され、
上記支持段部(53e)と上記シート部(55a)との間には、該シート部(55a)が上記シール部(31c)に押されたときに該シート部(55a)の弾性変形を許容する撓み用スペース(53f)が形成され、
上記シート部(55a)が上記シール部(31c)に押されたときに、上記シート部(55a)の外周部の裏面側が上記支持段部(53e)の角部によって支持され、上記シート部(55a)の裏面側と上記支持段部(53e)の角部との間に形成される上記撓み用スペース(53f)に向けて上記シート部(55a)が撓むように、上記シール部(31c)、上記弁支持部(53)およびシート部(55a)が形成されていること、
を特徴とする燃料遮断弁。 - 請求項1に記載の燃料遮断弁において、
上記シール部(31c)は、上記弁室(30S)側に環状に突出した燃料遮断弁。
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- 2005-09-28 JP JP2005281324A patent/JP4556825B2/ja not_active Expired - Fee Related
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