JP4556344B2 - 新規ヘキセンウロニダーゼ、それをコードする遺伝子、およびそれらの使用 - Google Patents

新規ヘキセンウロニダーゼ、それをコードする遺伝子、およびそれらの使用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規のヘキセンウロニダーゼ、その製造方法及びその用途、ヘキセンウロニダーゼ遺伝子、並びにヘキセンウロニダーゼを生産する微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】
広葉樹、針葉樹を問わず、植物細胞壁中にはセルロース以外の多糖いわゆるヘミセルロースが存在する。特にこれらのヘミセルロースは生細胞中では細胞壁の構成成分であるリグニンとセルロースとの間を結合し強固な細胞壁を構成するための必須成分である。ヘミセルロースの中で最も存在量が多く有名なものにキシランがある。キシラン主鎖はキシロースがβ1→4結合したホモ多糖であり、すべての陸上高等植物のみならず、海藻をはじめとする藻類一般の細胞壁にも含まれる普遍的なヘミセルロースといってよい。またキシランはキシロオリゴ糖やキシリトールの原料として最近ではバイオマスとしても注目を集めている。
【0003】
地球上のバイオマスの約50%は植物細胞に由来するリグノセルロースであると考えてよい。更にこのリグノセルロース中のヘミセルロース含量は約30%と言われており、全地球上に存在するバイオマス中に占めるヘミセルロースの比率は約15%にもなる。このキシランはホモ多糖として一本鎖で存在することは希で細胞壁中では主鎖であるキシロースがβ1→4結合した多糖鎖から側鎖としてα1→3結合したアラビノース側鎖、α1→2結合した4-O-メチルグルクロン鎖を側鎖に持つ形で存在し、これらヘテロ多糖は生細胞中で色々な生理活性を有することが推測されている。
【0004】
現在木質系バイオマスのうち最も利用が進んでいるのはセルロースをパルプとして利用する製紙業界である。紙の原料であるパルプを作るためには、木材チップを高温、高アルカリ条件下で処理する工程が必要である。この工程でセルロース以外のリグニンやヘミセルロースの一部を除去しパルプ化することで後段でのパルプ漂白工程を有利に運ぶことが出来る。チップはパルプ化する際、高温高アルカリ条件下で処理された時にリグニンを除去すると同時にキシランをも溶解させられるが、この溶解したキシランは温度が低下するにつれセルロースの表面に再吸着する。多糖であるキシランが再吸着する際には着色物質であるリグニンやフラン誘導体といった後の工程で漂白するべき邪魔な着色物質も巻き込みつつ再吸着する。製紙業界ではパルプを漂白する前処理としてこの再吸着キシランをあらかじめ除去し後段での漂白工程の効率をアップするためにパルプをキシラナーゼ(EC 3.2.1.8)で処理し、再吸着キシランを分解し、着色物質を取り除く工程を取り入れている工場もある。
【0005】
パルプを製造する場合に起こるもう一つの重要な問題にヘキセンウロン酸の問題がある。前述したようにキシランは主鎖の他に側鎖としてα1→3結合したアラビノース側鎖、α1→2結合した4-O-メチルグルクロン酸を側鎖にもつ。特に4-O-メチルグルクロン酸は4位の水酸基がメチル化されているためチップのパルプ化条件である高温高アルカリ条件下では4位のメトキシはβ-エリミネーションを起こし脱離しメタノールを生成する。このときグルクロン酸の4位の炭素と5位の炭素の間に2重結合が導入され、4-O-メチルグルクロン酸はいわゆるヘキセンウロン酸へと変換される。ヘキセンウロン酸はパルプに再吸着しているキシランに側鎖として存在するだけでなく、パルプ繊維の細胞壁中に存在するキシラン側鎖にも存在する。
【0006】
ヘキセンウロン酸はその分子内に二重結合を保持するためパルプの漂白工程で使用される酸化系薬品、たとえば、オゾン、塩素、二酸化塩素といった漂白試薬と反応する。これらの漂白試薬は本来は着色成分であるリグニン由来の化合物や糖がフランに誘導体化したものと反応するべきであるが、着色成分ではないヘキセンウロン酸が分子内に保有する二重結合と漂白薬品が反応することはこれらの漂白薬品を無駄に消費し、漂白工程の効率を悪化させていることを意味する。パルプ漂白時における漂白薬品の添加率を決定する指標にカッパー価がある。一般に、カッパー価は過マンガン酸カリウムの消費量を数値化したものと考えてよく、更に具体的にはパルプ中に存在する化合物のうち酸化系漂白薬品と反応する可能性がある化合物の量を示していると考えてよい。リグニンや糖から生成したフラン誘導体等の着色物がカッパー価として表されてきた。ヘキセンウロン酸は着色性の物質ではないが分子内の二重結合が過マンガン酸カリウムと反応するためカッパー価としてカウントされる。更にヘキセンウロン酸は分子内にカルボキシル基を有する酸性糖でもある。ヘキセンウロン酸がもつカルボキシル基は負に帯電し、パルプ中のヘキセンウロン酸の分子に重金属がキレート結合する。上記酸化系の漂白薬品を用いた漂白工程ではこの重金属化合物(錯体)が漂白薬品と反応するため薬品を無駄に消費してしまい、漂白効率を悪化させる。
【0007】
パルプ漂白工程において蒸解工程後に酸素漂白を行ったLOKPパルプではカッパー価が約10ポイント前後であるがこのうち約5ポイント前後はヘキセンウロン酸に由来するものであると言われている。酸化系漂白薬品で漂白する前にこのヘキセンウロン酸をあらかじめ除去できれば、後段での漂白薬品が削減できることは容易に類推できる。
【0008】
これらのパルプ漂白におけるヘキセンウロン酸の弊害は大きなものがあるため製紙会社ではパルプ中よりヘキセンウロン酸を除去する方法について腐心している。ヘキセンウロン酸を除去する一般的な方法はパルプを酸で処理する方法である(国際公開第WO96/12063号パンフレット)。パルプスラリーのpHを酸性にし、温度を80℃〜120℃程度にコントロールしつつ1〜2時間保持するとヘキセンウロン酸はキシランとの間のグリコシド結合が加水分解されることでキシラン主鎖からはずれ、除去することが可能である。
【0009】
しかし、これらの試みではパルプを酸で処理するためパルプ自身も加水分解されダメージを受ける。特にセルロースの加水分解によってパルプの強度が低下することは大きな問題であり、このような強度の低いパルプでの抄紙は現在のペーパーマシンによる高速抄紙には不適格なパルプであると考えられる。また、酸による加水分解はパルプの収率を低下させ工場のパルプ生産性を悪化させる。実際にヘキセンウロン酸を希酸処理により除去した場合にパルプ重量ベースで数%の収率の低下が認められる。また、希酸処理によってヘキセンウロン酸を除去した場合の問題点として、希酸でリグニンが縮合し、後段の漂白工程で漂白性されにくいリグニンに変換してしまうという点も挙げられる。
【0010】
以上のように希酸でのヘキセンウロン酸の除去はいくつかの問題を含んでいるために酵素によるヘキセンウロン酸の除去が注目を集めている。ヘキセンウロン酸を特異的に分解する酵素を用いるヘキセンウロン酸除去法(国際公開WO95/33883号パンフレット、W. Hashimotoら, Arch. Biochem. Biophys. (1999) 368(2):367-374)が提唱されているが、国際公開WO95/33883号パンフレットにおいては酵素活性の測定方法に問題があり、酵素の単離がなされていないため精製酵素の性質が明らかでない。また、精製酵素が存在しないためパルプの精製酵素による漂白実験が行われていない。このためヘキセンウロン酸を分解する酵素がパルプに対して本当に効果を発揮しているのかも明細書から判断できない。一方W. Hashimotoら(上記)が単離したヘキセンウロニダーゼは、バチルス・エスピー・GL1由来の酵素であり、分子量42kDa(SDS-PAGE)、至適pH6.0〜6.5、至適温度45℃前後、pH7.0であり、また60℃で10分間のインキュベーションで完全に失活すること、ジチオスレイトールもしくは2−メルカプトエタノールが酵素活性に有意の影響を与えないこと、などの性質を有するが、パルプの漂白効果については不明である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、パルプの漂白に有用な新規なヘキセンウロニダーゼ、その製造方法、及びその用途を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決しようとする手段】
本発明者らは上記課題に基づいて鋭意研究を行い、ヘキセンウロニダーゼ生産菌を求め、鋭意広範なスクリーニングを行なった結果、東京都江東区東雲の土壌中からヘキセンウロニダーゼを生産する新規の微生物を見い出し、かつ該微生物の培養物中からヘキセンウロン酸を分解する新規の酵素を見い出し、更に該ヘキセンウロニダーゼをコードする遺伝子をクローニングし、高発現させることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0013】
したがって、本発明は以下のとおり要約される。
(1)ヘキセンウロニダーゼ活性を有し、分子量約40,000〜約45,000であり、2-メルカプトエタノールまたはジチオスレイトールによって該酵素活性が亢進されることを特徴とするヘキセンウロニダーゼ。
(2)キシランに作用する、(1)のヘキセンウロニダーゼ。
(3)至適pHがpH6.0〜8.0である、(1)または(2)のヘキセンウロニダーゼ。
(4)酵素反応における安定pH範囲がpH5.0〜10.0である、(1)または(2)のヘキセンウロニダーゼ。
(5)至適温度が35℃〜55℃である、(1)または(2)のヘキセンウロニダーゼ。
(6)45℃にて30分の熱処理で約80%以上の活性を保持し、60℃にて30分の熱処理で約30%の残存活性を示す、(1)または(2)のヘキセンウロニダーゼ。
(7)パエニバチルス(Paenibacillus)属に属する微生物に由来する、(1)〜(6)のいずれかのヘキセンウロニダーゼ。
(8)微生物がパエニバチルス・エスピー7−5である、(7)のヘキセンウロニダーゼ。
(9)遺伝子組換え酵素である、(1)〜(6)のいずれかのヘキセンウロニダーゼ。
(10)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは、該配列番号1のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入もしくは付加を含むアミノ酸配列を有しかつヘキセンウロニダーゼ活性を有する、(1)〜(6)のいずれかのヘキセンウロニダーゼ。
(11)配列番号1に示されるアミノ酸配列との相同性が70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である、(10)のヘキセンウロニダーゼ。
(12)(1)〜(11)のいずれかのヘキセンウロニダーゼを生産するパエニバチルス(Paenibacillus)属に属する微生物を培地に培養し、得られる培養物からヘキセンウロニダーゼを採取することを含む、ヘキセンウロニダーゼの製造方法。
(13)微生物がパエニバチルス・エスピー7−5である(12)の方法。
(14)ヘキセンウロニダーゼ生産能を有するパエニバチルス・エスピー7−5(受託番号FERM P-18225(国際寄託変更後の受託番号FERM BP-7972))。
(15)(1)〜(11)のいずれかのヘキセンウロニダーゼをコードするヘキセンウロニダーゼ遺伝子。
(16)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは、該配列番号1のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入もしくは付加を含むアミノ酸配列を有しかつヘキセンウロニダーゼ活性を有するヘキセンウロニダーゼをコードする、(15)のヘキセンウロニダーゼ遺伝子。
(17)配列番号2で示される塩基配列を含む、(15)のヘキセンウロニダーゼ遺伝子。
(18) (15)〜(17)のヘキセンウロニダーゼ遺伝子を含む発現ベクター。
(19)(18)の発現ベクターによって形質転換された宿主細胞。
(20)(19)の宿主細胞を培地に培養し、得られる培養物からヘキセンウロニダーゼを採取することを含む、遺伝子組換えヘキセンウロニダーゼの製造方法。
(21)(1)〜(11)のいずれかのヘキセンウロニダーゼを有効成分として含む漂白剤。
(22)ヘキセンウロニダーゼが組換え酵素である、(21)の漂白剤。
(23)ヘキセンウロニダーゼが(20)の方法によって得られるものである、(21)の漂白剤。
(24)(21)〜(22)のいずれかの漂白剤を用いてパルプを処理することを含む、パルプの漂白方法。
(25)漂白剤を用いてパルプを処理するにあたり、化学漂白及び/またはアルカリ抽出を、パルプ処理前、処理後又は処理中のいずれかに行なうことを含む、(24)の方法。
(25)(1)〜(11)のいずれかのヘキセンウロニダーゼを認識する抗体。
【0014】
【発明の実施の形態】
本明細書中で使用するヘキセンウロニダーゼ活性とは、ヘキセンウロン酸(4-deoxy-β-L-threo-hex-4-enopyranosyluronic acid)と、その1位のアルデヒド基を介してグリコシド結合しているアグリコンとの間を加水分解して5-ホルミル-2-フランカルボン酸もしくは2-フロイックアシッドを生成する酵素活性をいう。具体的には、該活性は、
作用1):キシラン主鎖に側鎖としてβ1→2結合しているヘキセンウロン酸を加水分解して、5-ホルミル-2-フランカルボン酸もしくは2-フロイックアシッドを生成する活性;または
作用2):ムコ多糖、ヒアルロン酸、並びにペクチン、ゲランといった構成糖としてグルクロン酸を含む酸性多糖がそれらを分解するリアーゼによって分解された際に生成されるヘキセンウロン酸を加水分解して、5-ホルミル-2-フランカルボン酸もしくは2-フロイックアシッドを生成する活性;または
作用3):ヘキセンウロン酸と蛍光性物質、化学発光物質または糖などの物質がグリコシド結合した合成基質を加水分解して、5-ホルミル-2-フランカルボン酸もしくは2-フロイックアシッドを生成する活性、
のいずれかをいう。
【0015】
したがって本発明の酵素は、ムコ多糖、ヒアルロン酸、並びにペクチン、ゲランといった構成糖としてグルクロン酸を含む酸性多糖がそれらを分解するリアーゼによって分解された際に生成される4-deoxy-hexuronic acidを含む糖鎖、植物細胞壁中における4-O-メチルグルクロノキシランが高温高アルカリ条件下でβ-エリミネーションした際に生成されるヘキセンウロン酸を側鎖として含むキシランなどの基質に作用する。
【0016】
本発明の酵素は、上記のような酵素活性を有することに加えて、分子量約40,000〜約45,000であること、2-メルカプトエタノールまたはジチオスレイトールの還元剤の存在下で該酵素活性が亢進されることを特徴とする。亢進の程度は、還元剤が不在下での活性と比べて、通常1.2倍以上、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは1.7倍以上、最も好ましくは2倍以上、さらに好ましくは2.5倍以上である。
【0017】
さらに本発明の酵素は下記の性質の少なくとも1つまたは全部を有することができる。
(1)至適pH及び安定pH範囲:酵素反応における至適pH範囲はpH6.0〜8.0であり、酵素反応における安定pH範囲はpH5.0〜10.0である。
(2)作用適温の範囲:35℃〜55℃の範囲にある。
(3)熱安定性:45℃にて30分の処理で約90%以上の活性を保持し、60℃にて30分の処理では約30%程度の残存活性を残す。
(4)等電点:pH4.5付近である。
(5)阻害:Cu2+, Zn2+, SDSで強く活性を阻害される。EDTAは酵素活性を阻害しない。
【0018】
本発明の酵素は微生物から直接単離されたものであってもよいし、あるいは遺伝子組換え法によって得られたものであってもよい。微生物として、例えば上記ヘキセンウロニダーゼを生産するパエニバチルス(Paenibacillus)属に属する微生物が挙げられる。具体的にはパエニバチルス・エスピー7−5(識別のための表示:#7-5)またはこの微生物から誘導される変異体が好ましく、この微生物は新規であり、産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所(新名称:独立行政法人産業技術総合研究所・特許生物寄託センター、茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に平成13年2月23日付けで寄託され、受託番号FERM P-18225(国際寄託変更後の受託番号FERM BP-7972)が与えられた。
【0019】
パエニバチルス・エスピー7−5の菌学的性質は以下のとおりである。
細胞形態 桿菌(0.5×2.0〜3.0μm)
グラム染色 不定
胞子 +:端立、膨化あり
運動性 −
コロニー形成 円形、全縁滑らか、低凸状、光沢あり、半透明
カタラーゼ +
オキシダーゼ +
O/F試験 −
炭水化物からの酸産生
グリセロール +
エリスリトール −
D-アラビノース +
L-アラビノース +
リボース +
D-キシロース +
L-キシロース −
アドニトール −
β−メチル−D−キシロース +
ガラクトース +
グルコース +
フラクトース +
マンノース +
ソルボース −
ラムノース −
ズルシトール −
イノシトール −
マンニトール +
ソルビトール −
α−メチル−D−マンノース −
α−メチル−D−グルコース +
N−アセチルグルコサミン +
アミグダリン +
アルブチン +
エスクリン +
サリシン +
セロビオース +
マルトース +
乳糖 +
メリビオース +
白糖 +
トレハロース +
イヌリン +
メレチトース +
ラフィノース +
澱粉 +
グリコーゲン +
キシリトール −
ゲンチオビオース +
D−ツラノース +
D−リキソース −
D−タガトース −
D−フコース −
L−フコース −
D−アラビトール −
L−アラビトール −
グルコネート −
2−ケトグルコン酸 −
5−ケトグルコン酸 −
β−ガラクトシダーゼ(ONPG)+
アルギニンジヒドロラーゼ −
リシンデカルボキシラーゼ −
オルニチンデカルボキシラーゼ −
クエン酸の利用性 −
硫化水素産生 −
ウレアーゼ −
トリプトファンデアミナーゼ −
インドール産生 −
アセトイン産生(VP) +
ゼラチナーゼ −
硝酸塩還元 −
生育性
嫌気 +
50℃ −
10%NaCl −
加水分解性
カゼイン −
馬尿酸塩 −
【0020】
#7−5株は、芽胞による菌体の膨化を示し、嫌気的生育陽性、ONPG陽性、カゼイン加水分解、アルギニンヒドロラーゼ、インドール、ゼラチナーゼ、硝酸塩還元などで陰性を示すことから、パエニバチルス(Paenibacillus)属に属する微生物と考えられる。炭水化物からの酸産生にガスの発生を伴わないことから、この株はPaenibacillus lautusかまたはそれと最も近縁の菌であると推定される。
【0021】
本発明においては、本発明の酵素を産生する微生物として、上記の特性の酵素を有する限り例示の微生物に限定されないものとし、好ましくはパエニバチルス属に属する微生物、より好ましくは#7−5株およびその誘導株である。このような誘導株は、紫外線等の照射線や変異原性物質による突然変異誘発によるか、あるいは、微生物ゲノムの遺伝子組換えによる突然変異誘発によるなどの慣用技術を利用することによって得ることができる。
微生物から本発明の酵素を製造する場合、該酵素を産生する微生物を培地に培養し、得られる培養物からヘキセンウロニダーゼを回収することを含む方法によって該酵素を得ることができる。
【0022】
本発明の実施形態では、該微生物はヘキセンウロニダーゼの生産能を有するパエニバチルス・エスピー7−5であり、この微生物が産生する酵素は、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する。本発明はまた、該酵素の変異体も包含し、それは、具体的には配列番号1のアミノ酸配列において1または複数、好ましくは1または数個のアミノ酸の欠失、置換、挿入もしくは付加を含むアミノ酸配列を有しかつヘキセンウロニダーゼ活性を有するヘキセンウロニダーゼである。ここで、数個とは通常2〜9個、好ましくは2〜7個、さらに好ましくは2〜5個を意味する。あるいは、該変異体は配列番号1に示されるアミノ酸配列との相同性が70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上、さらに最も好ましくは98%以上であるヘキセンウロニダーゼである。
【0023】
培養のための炭素源、窒素源には、ヘキセンウロニダーゼを生産することのできるものであればいずれも用いることができる。例えば、炭素源としては、キシラン若しくはキシランを含む小麦ふすま、パルプ、バガス、コーンファイバー、稲わら等の農産廃棄物又は植物繊維等を使用することができる。窒素源としては、酵母エキス、ペプトン、各種アミノ酸、大豆、コーンスティープリカー、各種無機窒素等の窒素化合物を用いることができる。また、各種の塩類やビタミン、ミネラル等を適宜用いることができる。
【0024】
培養温度およびpHは、菌が生育してヘキセンウロニダーゼを生産する範囲であればいずれでもよく、培養温度は20〜50℃、pHは5〜9でありうる。菌が耐熱性菌である場合、50℃を超えることもある。本発明の微生物を培養した後、菌体を分離し、菌体を酵素的または物理化学的に処理し菌体内に存在するヘキセンウロニダーゼを得ることができる。
【0025】
また、透析、塩析、限外濾過、凍結乾燥等により、ヘキセンウロニダーゼを濃縮又は固体化することができる。さらに、培養濾液を硫安分画、ゲル濾過による分子量分画や各種イオン交換樹脂、ハイドロキシアパタイト、等電点分画等を適宜組み合わせ、また繰り返すことによりヘキセンウロニダーゼを精製することができる。
【0026】
本発明は、配列番号1で表されるアミノ酸配列、あるいは配列番号2のヌクレオチド配列またはE. coli JM109/pUC19(7-5)(受託番号FERM P-18226;平成13年2月23日付で産業技術総合研究所・特許生物寄託センターに寄託)(国際寄託変更後の受託番号FERM BP-7973)中に含まれる目的DNA配列によってコードされるアミノ酸配列を含む組換えヘキセンウロニダーゼまたはその変異体をも包含する。ここで変異体とは上記の意味を有する。組換え酵素を製造する場合、ヘキセンウロニダーゼ遺伝子を含む発現ベクターを作製し、該ベクターによって適当な宿主細胞を形質転換し、得られた宿主細胞を培地に培養し、得られる培養物から組換えヘキセンウロニダーゼを採取することを含む方法によって該酵素を得ることができる。ヘキセンウロニダーゼ遺伝子は上記の特性を有する酵素をコードする遺伝子(DNAまたはcDNA)であり、具体的には配列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子、あるいは該アミノ酸配列との相同性が70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、もっと好ましくは95%以上、さらにもっと好ましくは98%以上であるヘキセンウロニダーゼをコードする遺伝子である。具体的には配列番号2に示される塩基配列からなる遺伝子、あるいは該配列番号2に示される塩基配列を含む遺伝子である。
【0027】
細菌源から本発明のヘキセンウロニダーゼ遺伝子をクローニングする場合、当業界で慣用の手法により行うことができる(たとえばSambrookら,Molecular Cloning A Laboratory Manual, Second edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)。具体的には、細菌源からゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーを調製したのち、配列番号1のアミノ酸配列中の適当な部分配列をコードすることが可能なDNAを化学合成(例えば自動DNA合成)し、これをプローブとして目的の遺伝子をスクリーニングするか、あるいは配列番号2のヌクレオチド配列からなるDNAまたはその断片とのハイブリダイゼーションによって目的の遺伝子をスクリーニングすることができる。ハイブリダイゼーションは低ストリンジェント、中ストリンジェントまたは高ストリンジェントの条件で行った後、比較的高い温度、比較的低いイオン強度の洗浄条件下で洗浄する。一般に適当に希釈されたSSC中、適する温度にてハイブリダイゼーションを行う。温度はより高いほど(たとえば通常融解温度(Tm)より約5〜10℃低い温度)、またイオン強度がより低いほど(たとえば0.1〜1×SSC)、ストリンジェンシーが高くなる。ハイブリダイゼーション条件の例は、例えばAusbelら, Short Protocols In Molecular Biology (third edition), John Wiley & Sons, Inc.に記載されており、その開示を利用できる。目的の遺伝子をスクリーニングした後、配列番号2のヌクレオチド配列から誘導されたプライマー(通常10〜30塩基)を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって該遺伝子を増幅するか、あるいは該遺伝子を適当なプラスミドやファージなどのクローニングベクターに組み込み、大腸菌等の細菌に導入して目的遺伝子を増幅することができる(Sambrookら、上掲)。
【0028】
増幅された遺伝子は次に、必要に応じて制限酵素処理したのち、適当な発現ベクター中に挿入し、適当な宿主細胞に導入し、該宿主細胞を適する培地にて培養し、培地中から、または培養細胞内から、本発明の酵素を取り出すことができる。発現ベクターは一般にプロモーターを含み、必要に応じて複製開始点、ターミネーター、リボソーム結合部位、シグナル配列、エンハンサーなどを含むことができる。発現ベクターの例は市販のベクター、文献記載のベクターのいずれも使用可能であり、たとえば細菌用ベクターとしてpQE(キアゲン社)、pET(ノバジェン社)、pBluescript II SK(ストラタジーン社)、pUC118(宝酒造社)など、酵母用ベクターとしてpHS19、pHS15、pG-1、pXT1(ストラタジーン社)、pBPV、pMSG(ファルマシア社)など、動物細胞用ベクターとしてpcDNAI、pcDM8(フナコシ社)、pREP4(インビトロジェン社)などが挙げられる。プロモーターは宿主に応じて選択され、細菌宿主の場合trpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーターなどが例示され、酵母宿主の場合PH05プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、GPDプロモーター、ヒートショックポリペプチドプロモーターなどが例示され、動物細胞宿主の場合サイトメガロウイルスの即時型初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーター、レトロウイルスプロモーター、ヒートショックプロモーターなどが例示される。宿主は大腸菌、バチルス属細菌、ブレビバクテリウム細菌、コリネバクテリウム属細菌、シュードモナス属細菌などの細菌類、サッカロミセス属、ピチア属、カンジダ属などの酵母類に加えて、菌類(担子菌、糸状菌など)、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞なども使用可能である。発現ベクターの構築、形質転換についてはSambrookら(上掲)に記載の方法が使用できる。
【0029】
発現された酵素は上記と同様の方法で培地または細胞内から精製できる。培地から回収する場合、必要に応じて濃縮後に、塩析、溶媒抽出、沈殿、種々のクロマトグラフィー(イオン交換、ゲルろ過、親和性、疎水性相互作用など)、HPLC、電気泳動、クロマトフォーカシング、などを単独で、または適宜組み合わせて行うことができる。細胞から回収する場合、ミルなどを用いて機械的にまたは低張液を用いて化学的に細胞を破壊したあと、上記と同様の手法にかけて酵素を精製することができる。
【0030】
本発明はまた、上記のヘキセンウロニダーゼ蛋白を認識する抗体に関する。好ましくは、該抗体は本発明の蛋白を特異的に認識する抗体である。特異的にとは、本発明の酵素と免疫学的に反応するが、それ以外の関連酵素蛋白とは反応しない、ことを意味する。該抗体はモノクローナルまたはポリクローナル抗体、あるいはそれらの抗体断片(例えばFab、Fab'、F(ab')2、Fvなど)である。抗体の作製は慣用の手法で行いうる。ポリクローナル抗体はたとえば、該蛋白またはその断片を動物(ウサギなど)に免疫し、該動物から取った血液から公知の方法で抗体を得ることができる。モノクローナル抗体は、マウスやラットに該蛋白を免疫し脾臓細胞を取り出したあと、該脾臓細胞とミエローマ細胞とを融合させ、目的の抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングし、動物の腹腔内に移植後、その腹水から目的の抗体を得ることができる。抗体は種々の微生物源からのヘキセンクロニダーゼの検出などに使用できる。
【0031】
さらに、本発明は、前記ヘキセンウロニダーゼを生産するパエニバチルス属に属する微生物又は前記形質転換体を培地に培養して得られる培養物、あるいは上記の性質を有するヘキセンウロニダーゼ若しくは組換えヘキセンウロニダーゼを有効成分として含む漂白剤を提供する。
【0032】
本発明はまた、前記漂白剤を用いてパルプを処理することを特徴とするパルプの漂白方法を提供する。この方法において、前記漂白剤を用いてパルプを処理するにあたり、化学漂白及び/またはアルカリ抽出を、パルプ処理前、処理後又は処理中のいずれかに行なうことができる。
以下、本発明をさらにパエニバチルス属由来、特にパエニバチルス・エス・ピー7−5由来のヘキセンウロニダーゼについて具体的に説明する。
【0033】
1.ヘキセンウロニダーゼの理化学的性質
(酵素活性の測定法)
ヘキセンウロニダーゼについて初めてその存在可能性が示された文献はピーターとアルフレッドによる報告である。(Biochem.J.(1977)165,287-293)。このとき彼らはコンドロイチン硫酸やヘパリン、ヘパラン、イズロン酸を基質とするリアーゼにより消化した時に生成するオリゴ糖の非還元末端側に存在する不飽和糖を加水分解する酵素を発見している。彼らはこれをグリクロニダーゼと呼んでいるが酵素反応自体はヘキセンウロニダーゼと全く同一であり、この酵素は完全に精製されていないものの、ヘキセンウロン酸を特異的に加水分解する反応を触媒する酵素といってよい。彼らはバクテリアのFlavobacterium heparinumを培養しその培養液から分離し精製を試みている。酵素活性の定義をヘキセンウロン酸の分解に伴うヘキセンウロン酸分子内の2重結合の吸収(ΔA232)の単位時間当たりの減少、として定義していた。
【0034】
近年、橋本らは、ゲランやキサンタンガムをリアーゼにより分解した際に生成される不飽和糖を持つオリゴ糖を基質としてBacillus sp. GL1よりヘキセンウロニダーゼを分離精製、遺伝子のクローニングを行っている (Archives of Biochemistry and Biophysics Vol.368,No.2,August 15, pp.367-374,1999)。橋本らによる酵素活性の測定法はピーターらの方法と全く同じであり、不飽和糖のもつ二重結合が232nm近傍に吸収をもつことを利用し、酵素分解でこの232nm近傍の吸収が減少することを吸光光度系で測定し酵素活性を定義している。
【0035】
一方、ブヒャートらは広葉樹チップのクラフト蒸解時に生成されるヘキセンウロン酸を酵素的に除去し、後段のパルプ漂白を効率的に行うためにクラフトパルプのヘキセンウロニダーゼ処理を提唱している(WO95/33883)。ブヒャートらは木材チップを蒸解しパルプ化する際生成するパルプヘミセルロース中のヘキセンウロン酸を側鎖に含むキシランをキシラナーゼ、キシロシダーゼといったキシラン分解酵素群を用いて低分子化し、その後、ヘキセンウロン酸を含むキシロオリゴ糖を基質として用いることでヘキセンウロニダーゼの活性を測定している。彼らのヘキセンウロニダーゼの活性測定法はヘキセンウロン酸とグリコシド結合しているアグリコンがヘキセンウロニダーゼにより遊離生成することを利用したものである。具体的には、キシロビオースやキシロトリオースの非還元末端側のキシロースにβ結合したヘキセンウロン酸をヘキセンウロニダーゼと反応させることでヘキセンウロン酸とキシロオリゴ糖間の結合が加水分解され、このときキシロビオース、もしくはキシロトリオースが生成する、と記載している。しかし、この特許文献中には酵素活性を測定した実施例が存在せず、また酵素の精製も行われていないためタンパク質としての酵素の存在は証明されてはいない。
【0036】
ヘキセンウロニダーゼは酵素活性の測定方法が非常に難しく研究がなかなか進まなかったという背景がある。不飽和糖が有する232nmの吸収が酵素反応により減少することを利用した方法も、酵素サンプル中に230nm〜250nm付近の吸収をもつ化合物が含まれているため232nm付近の吸収の減少を測定することは難しい。キシロオリゴ糖に結合した不飽和糖を基質として用いた方法も、基質の精製が不十分であれば酵素サンプル中に挟雑するキシラナーゼなどの他の酵素でキシロオリゴ糖が生成する可能性が否定できず、真の酵素活性法としては実用的ではない。そこで本発明者らは酵素活性の特異性、検出感度ともに十分な酵素活性用基質の開発を行う必要に迫られた。
【0037】
(ヘキセンウロニダーゼ測定用合成基質の作製)
グリコシダーゼの活性測定用基質として用いられる4-O-メチルウンベリフェロンを利用した新規な活性測定用基質を作製した(実施例6参照)。
【0038】
(酵素の力価の測定方法)
合成された基質を反応系内で100μMとなるように濃度を調整し各種のサンプル溶液と反応させヘキセンウロニダーゼの活性を測定出来るように設定した。具体的には200μMの基質溶液をリン酸バッファー(pH7.0:100mM)にて作製した。この基質溶液10μlに対し酵素液10μlを添加し、30分間、37℃にてインキュベートした。その後グリシン-NaOHバッファー(pH10.5:500mM)を100μlを反応系に添加し酵素反応を停止させた。4-O-メチルウンベリフェロンの蛍光強度は355nmで励起させ、455nmにて測定した。反応系内で1分間に1マイクロモルのヘキセンウロン酸を分解する酵素量を1ユニットと定義した。この方法は今までにない高感度酵素活性の測定方法であり、この合成基質を用いることで各種細菌の培養液や多細胞生物の培養細胞などからサンプル溶液を濃縮することなく直接ヘキセンウロニダーゼの酵素活性を測定することができる。
【0039】
(至適pH及び安定pH範囲)
酵素の反応至適pH及びpH安定性を酢酸バッファー(pH5.0以下)、リン酸バッファー(pH6.0〜7.0)、トリス-HCl(pH7.0〜8.5)、グリシン-NaOHバッファー(pH9.0〜10.5)を用いて酵素活性を測定した(図1)。図1を見て分かるようにヘキセンウロニダーゼ活性の至適pHは6〜8、特に6.5〜7.5にあることがわかった。また、酵素をそれぞれ50mMの所定のバッファー中に4℃にて24時間保持した後に酵素活性をpH6.5のリン酸バッファー中にて測定した(図2)。図2の結果らわかるように酵素はpH5.0〜10.0の範囲で安定であった。
(至適温度及び温度安定性)
酵素反応の至適温度をpH6.5の50mMリン酸バッファー中にて測定した(図3)。酵素反応の時間はすべて30分とした。図3を見てわかるように至適温度は50℃近辺にあることが判明した。また、温度安定性については、所定の温度でpH6.5の50mMリン酸バッファー中で30分保持した後にpH6.5、50mMリン酸バッファー中で37℃測定した(図4)。図4より酵素の安定性は45℃にて、30分の処理で約80%以上の残存活性を示した。
【0040】
〈酵素の等電点〉
アマシャム-ファルマシア社製のアンホラインを用いて等電点を測定した。機材はロトファー(バイオラッド社)を用い、pH2.0付近からpH11.5付近までのpH勾配を作製し各pHでの活性を測定した結果、ヘキセンウロニダーゼの等電点はpH4.5であった。
【0041】
〈酵素の分子量の測定〉
精製したヘキセンウロニダーゼの分子量はポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した。その結果、酵素の分子量は約40,000であった。
【0042】
(酵素活性に及ぼす金属塩等の影響)
種々の金属塩等を1mMになるように酵素液に添加し、4℃にて24時間保持した後、反応液にも同種の金属塩等を1mMになるように添加して酵素の活性を測定した(表1)。
【0043】
【表1】
Figure 0004556344
【0044】
本酵素はCu2+で強く阻害された。また、本酵素はZn2+、 SDSでも強く阻害された(添加物なしの場合の活性を100%としたとき、SDSを含有させたときの相対酵素活性は19.9%であった。)。 EDTAは酵素活性を阻害しなかった。また意外なことに、2−メルカプトエタノール(2−ME)は活性を約2倍以上亢進させることが判明した。具体的には、2mMまたは10mM 2−メルカプトエタノールの存在下における本発明のヘキセンウロニダーゼの相対活性は、2−MEの不在(対照)の場合と比べてそれぞれ2.0倍、2.7倍亢進した。
【0045】
.ヘキセンウロニダーゼを生産する微生物
ヘキセンウロニダーゼを生産するバクテリアとして東京都江東区東雲の土壌より7−5株を分離した。7−5株はグラム陰性の桿菌であり16S rRNAの塩基配列の解析により既存のどの菌株とも100%一致するものがなかった。最も近縁種としてはPaenibacillus lautusが16S rRNAの塩基配列相違性0.58%で最も近縁な種類のバクテリアであった(M. Heyndrickx et al., Int. J. Syst. Bacteriol.(1996) 46:988-1003)。なお、この菌の菌学的性質は上記のとおりである。菌株#7−5はパエニバチルス属の新種であり、パエニバチルス・エスピー7−5と命名され、産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所(新名称:独立行政法人産業技術総合研究所・特許生物寄託センター、茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に平成13年2月23日付けで寄託され、受託番号FERM P-18225(国際寄託変更後の受託番号FERM BP-7972)が与えられた。
【0046】
3.ヘキセンウロニダーゼ遺伝子のクローニング
ヘキセンウロニダーゼ遺伝子をクローニングするためにパエニバチルス・エスピー7−5のDNAライブラリーを製作する。DNAライブラリーは、パエニバチルス・エスピー7−5から染色体DNAを抽出し、適当な制限酵素で処理したものを適当なベクターに連結後、適合する宿主に導入することで作製できる。染色体DNAを抽出するには、通常の方法を用いることができる(例えば、Sambrook ら, Molecular Cloning; Cold SpringHarbor Laboratory Press (1989) Vol.1のBlinとStaffordの方法) 。
【0047】
すでに精製されたパエニバチルス・エスピー7−5由来のヘキセンウロニダーゼの構成アミノ酸に基づく情報を用いてプローブ作ることが可能である。酵素遺伝子の発現が非常に少ないタンパク質であったり、導入されたタンパク質が宿主である大腸菌に毒性を与える場合はDNAライブラリーからの形質転換大腸菌でのショットガンクローニングは困難である。このためDNAライブラリーから直接目的蛋白質をコードする遺伝子を取得するために酵素タンパク質を構成するアミノ酸の情報を基にして遺伝子をつり上げるためのプローブを作製した。プローブはタンパク質のN末端側のアミノ酸の配列とタンパク質分解酵素であるリジルエンドペプチダーゼでの消化物のアミノ酸の配列を用いて作製した。
【0048】
適当なサイズの遺伝子断片は同様の切断面を持つクローニングベクターに挿入される。この遺伝子断片を含むベクターとしては例えば、pUC系等の任意のベクターを用いることができるが、ファージベクターやコスミドベクターであってもよい。これらの遺伝子断片を含むベクターは宿主である大腸菌や酵母といった宿主に形質転換される。形質転換された宿主は宿主が生育できる通常の平板プレート上で培養後、コロニーハイブリダイゼーションを行い目的遺伝子の断片を含む宿主を選抜する。コロニーハイブリダイゼーションを行う際のプローブは酵素タンパク質のアミノ酸情報に基づいて作製したプローブが用いられる。このようにしてクローニングした遺伝子断片の塩基配列は、放射性標識、蛍光標識を用いるジデオキシ法、マクサムギルバート法等により解析可能である。
【0049】
4.酵素の製造方法
次に、本発明の酵素の製造方法について説明する。
(天然ヘキセンウロニダーゼの精製)
パエニバチルススピー7−5を培養することによりヘキセンウロニダーゼを生産することができる。培養のための炭素源、窒素源には、7−5株が資化することのできるものであればいずれも用いることができる。例えば、炭素源としては、キシラン若しくはキシランを含む小麦ふすま、パルプ、バガス、コーンファイバー、稲わら等の農産廃棄物又は植物繊維等を使用することができる。窒素源としては、酵母エキス、ペプトン、各種アミノ酸、大豆、コーンスティープリカー、各種無機窒素等の窒素化合物を用いることができる。また、各種の塩類やビタミン、ミネラル等を適宜用いることができる。
【0050】
培養温度およびpHは、菌が生育してヘキセンウロニダーゼを生産する範囲であればいずれでも良く、培養温度は20〜50℃、好ましくは35〜45℃、pHは5〜9、好ましくは6〜8である。本発明の微生物を培養した後、菌体を分離し、菌体を酵素的または物理化学的に処理し菌体内に存在するヘキセンウロニダーゼを得ることが出来る。かかるヘキセンウロニダーゼ粗酵素液は、反応至適温度約35〜約55℃、好ましくは約40〜約50℃、至適pH約5.5〜約8.5、好ましくは約6.0〜約7.5である。
【0051】
また、透析、塩析、限外濾過、凍結乾燥等により、ヘキセンウロニダーゼを濃縮又は固体化することができる。さらに、培養濾液を硫安分画、ゲル濾過による分子量分画や各種イオン交換樹脂、ハイドロキシアパタイト、等電点分画等を適宜組み合わせ、また繰り返すことによりヘキセンウロニダーゼを精製することができる。具体的な精製方法については、実施例に示す。
【0052】
(遺伝子工学的手法による遺伝子組換え型ヘキセンウロニダーゼの精製)
本発明のヘキセンウロニダーゼは、クローニングされた遺伝子を発現させることにより精製することもできる。本明細書において、遺伝子を発現させて得られた酵素を「遺伝子組換え型ヘキセンウロニダーゼ」という。その手法は、適当な方法によって得られたヘキセンウロニダーゼ遺伝子を、適当な宿主・ベクターを用いて発現することにより高生産することができる。発現に用いられるベクターとしては、プラスミドベクター、ファージベクター等が主に使われる。宿主として、大腸菌、枯草菌、酵母等が主に使われる。培養のための炭素源、窒素源には、資化して耐熱性キシラナーゼを生産することができるものであればいずれも用いることができる。例えば、炭素源としては、小麦ふすま、パルプ、バカス、コーンファイバー、稲わら等の農業廃棄物又は植物繊維等を使用することができる。窒素源としては、酵母エキス、ペプトン、各種アミノ酸、大豆、コーンスティープリカー、各種無機窒素等の窒素化合物を用いることができる。また、各種塩類、ビタミン、ミネラル等を適宜用いることができる。培養温度及びpHは、菌が耐熱性キシラナーゼを生産する範囲であればいずれでも良く、培養温度は好ましくは37℃、pHは好ましくは7である。酵素の精製方法としては、硫安分画、ゲル濾過による分子量分画や各種イオン交換樹脂、ハイドロキシアパタイト、等電点分画等を適宜組み合わせ、また繰り返すことにより精製することができる。得られた精製酵素が求めるキシラナーゼであるかの確認は、得られた精製酵素の分子量、至適pH、至適温度、N末端アミノ酸配列等をパエニバチルスエスピー7−5株の生産したヘキセンウロニダーゼと比較することにより判断できる。具体的な酵素の取得については、実施例に示す。
【0053】
5.パルプの漂白方法
次に、本発明の酵素を用いたパルプの漂白方法について説明する。化学パルプ製造工程において、本発明のヘキセンウロニダーゼ(遺伝子組換え型を含む)パエニバチルス(Paenibacillus)属に属する菌株パエニバチルス・エスピー7−5の培養物でパルプを処理することで漂白を行なうことができる。さらに酵素処理の前後、あるいは途中に化学漂白及び/またはアルカリ抽出を行なうことでパルプの漂白を行なうことができる。
【0054】
パルプに処理する培養物又は酵素量については、ヘキセンウロニダーゼ単位としてパルプの絶乾重量1gあたり約0.1〜約5U、好ましくは約0.5〜約3U添加すればよい。反応条件は培養濾液(粗酵素液)の場合、反応温度約40〜約70℃、pH約5〜約8であり、精製酵素の場合は反応温度約40〜約70℃、pH約5〜約8である。反応時間は、約0.2〜約24時間、好ましくは約0.5〜約8時間である。化学漂白に用いる試薬としては、塩素、二酸化塩素、二酸化窒素、次亜塩素酸塩、酸素、過酸化水素、オゾン等が挙げられる。またアルカリ抽出には、当業者として公知の多くのアルカリ性化合物を用いることができる。アルカリ抽出には、水酸化ナトリウム換算で約0.5〜約3%(対絶乾パルプ)のアルカリを用い、酸素や過酸化水素等を添加しながらアルカリ処理を行うことができる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されない。
〔実施例1〕粗酵素液の調製
グルコース1.0%、ペプトン0.5%、酵母抽出物0.5%、K2HPO4 0.1%、MgSO4・7H2O 0.02%を含む液体培地10ml(pH7.0 )を、内径25mm試験管に採り、紙栓をした後121℃で15分間蒸気滅菌した。これにパエニバチルス・エスピー7−5を1白金耳植菌し、37℃で往復振盪培養した(振幅25mm、300往復/分)。上記条件にて24時間の培養終了後、遠心分離(10,000rpm ×10分)して菌体を分離し、菌体を10mlの50mMリン酸バッファーに懸濁した、菌体の懸濁液は氷上で超音波破砕機(SONIFIER 450、ブランソン社製)を用いて出力10kHzにて5分処理し、ヘキセンウロニダーゼの粗酵素液を得た。
【0056】
200μMの合成基質溶液をリン酸バッファー(pH7.0:100mM)にて作製した。この基質溶液10μlに対し酵素液10μlを添加し、30分間、37℃にてインキュベートした。基質はウンベリフェリル-4-デオキシ-ヘキス-4-エノピラシドウロン酸である(実施例6参照)。その後グリシン-NaOHバッファー(pH10.5:500mM)を100μlを反応系に添加し酵素反応を停止させた。検量線は既知濃度の4-O-メチルウンベリフェロン(シグマ社製)を用いて作製した。
ヘキセンウロニダーゼ活性は、上記の条件で1分間に1μmolのヘキセンウロン酸を生成する酵素量を1ユニット(Unit)とした。その結果、粗酵素液中のヘキセンウロニダーゼ活性は、0.05U/mlであった。
【0057】
〔実施例2〕ヘキセンウロニダーゼの精製
グルコース1.0%、ペプトン0.5 %、酵母抽出物0.5 %、K2HPO4 0.1%、MgSO4・7H2O 0.02 %、pH7.0 の液体培地50mlを500 ml容坂口フラスコに取り綿栓をした後、121 ℃で15分間蒸気滅菌した。これに実施例1で得られた培養液を1ml加え、37℃、1日往復振盪培養(振幅10cm、100 往復/分)した。培養終了後、遠心分離(8,000rpm×10分) により培養上清を得た。この培養上清を硫安分画し、20〜60%画分を遠心分離(20,000rpm ×10分)にて回収した後、0.9M硫酸アンモニウムを含む20mMリン酸バッファー(pH7.0)を外液として透析を行った。得られた粗酵素液について、0.9M硫酸アンモニウムを含む20mMリン酸バッファー(pH7.0)で平衡化したブチルトヨパール650-M (東ソー、直径2.5cm ×30cm)を用いて疎水クロマトグラフィーを行った。平衡化に用いたバッファーを使って十分にカラムを洗浄したのち、リン酸バッファー中の硫酸アンモニウム濃度を0.9Mから0Mまで落とす濃度勾配で吸着画分を溶出し、3.5mlずつ分画した。その結果、ヘキセンウロニダーゼ活性は1つのピークで溶出した。
【0058】
次に、活性画分を回収し、リン酸バッファー(pH7.0)を外液として透析し、同バッファーにて平衡化されたDEAEトヨパール650-M(東ソー、直径2.5cm ×30cm)にて陰イオン交換クロマトグラフィーを行った。同バッファーで洗浄後、バッファー中のNaCl濃度を0Mから0.5M間で上昇させるグラジエントをかけて吸着画分を溶出し、3.0mlずつ分画した。ヘキセンウロニダーゼは一つのピークとして回収された。
【0059】
回収したヘキセンウロニダーゼ画分をセントリコン(アミコン)にて容量を2.0mlにまで濃縮した。リン酸バッファー(pH7.0)を用いて平衡化されたセファクリルS-200(2.5cm×95cm)(ファルマシア)のカラムにヘキセンウロニダーゼをアプライしNaCl50mMを含む50mMリン酸バッファー(pH7.0)を用いてゲル濾過を行った。流速は30ml/hrとし5mlずつ回収した。ヘキセンウロニダーゼは一本のピークとして回収された。
回収したヘキセンウロニダーゼ画分はセントリコン(アミコン)にて容量を1.0mlにまで濃縮した。
【0060】
次に濃縮された酵素サンプルを脱塩し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。電気泳動は濃縮ゲル4.5%、泳動ゲル10%にて50mAにて泳動し、泳動の先端がゲル末端から5mmの位置に来るまで泳動した。泳動後、ポリアクリルアミドゲルを100μMの合成基質を含むリン酸バッファー(pH7.0)中に浸し、40℃にて15分保持し、ゲル中の酵素と合成基質を反応させた。UVランプ(CHROMATO-VUE CABINET MODEL CC-60、UVP, INC.)にてバンドを照らすとゲルの中央より少し下側に酵素活性を示す青白い蛍光を発するタンパク質のバンドが確認された。この蛍光を発するタンパク質を含むゲルを切り出し、4℃にて24時間保持し、3mlの50mMリン酸バッファー(pH7.0)にて酵素蛋白を抽出した。酵素を含む抽出液は脱塩後、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行いタンパク質の純度を検定した。泳動は濃縮ゲルが4.5%、泳動ゲルが10%の濃度で行い、酵素蛋白が均一に精製されていることを確認した。該電気泳動上、目的の酵素は分子量約40,000のところに移動した。粗酵素液に対する精製ヘキセンウロニダーゼの収率は0.28%であり、比活性は3.59U/mgであった。
【0061】
〔実施例3〕パエニバチルス・エスピー7−5染色体DNAの調製
グルコース1.0%、ペプトン0.5%、酵母抽出物0.5%、K2HPO4 0.1%、MgSO4・7H2O 0.02%、pH7.0の液体培地50mlを500ml容坂口フラスコに取り綿栓をした後、121℃で15分間蒸気滅菌した。これにパエニバチルス・エスピー7−5株を1白金耳植菌し、37℃で一晩往復振盪培養(振幅10cm、100 往復/分)した。培養終了後、遠心分離(10,000 rpm×10分)により菌体を得た。
【0062】
本菌体を5mlのグルコース−リゾチーム溶液(50mMグルコース、10mM EDTA 、25mM Tris-HCl 緩衝液(pH8.0)、4mg/ml リゾチーム)に懸濁し、室温で15分放置した。5mlのアルカリ溶液(0.2N NaOH、1% SDS)を加え、穏やかに混ぜ、氷中にて15分間冷却した。この後、フェノール抽出、クロロホルム抽出を行ない、抽出した水層部分を5mMEDTAを含む10mMのTE溶液に対して4℃にて透析を行いゲノムDNAを得た。
【0063】
〔実施例4〕ヘキセンウロニダーゼの内部アミノ酸配列の決定
まず、実施例2の方法でヘキセンウロニダーゼを精製した。次に、この精製タンパク質のN末端側のアミノ酸配列をエドマン分解法により気相シーケンサー(G 1000A 、Hewlett Packrd)を用いて決定した、これをHEX3(配列番号3)とする。精製ヘキセンウロニダーゼをリジルエンドペプチダーゼ(Achromobacter Protease I)にて消化し、消化されたペプチドフラグメントはポリアクリルアミドゲル電気泳動にて分離し精製した。分離精製されたペプチドフラグメントを気相シーケンサーにて分析し、内部アミノ酸配列HEX4(配列番号4)、HEX5(配列番号5)、HEX6(配列番号6)をそれぞれ決定した。HEX3, HEX4, HEX5およびHEX6は以下の配列を有する。
HEX3:
ヘキセンウロニダーゼのN末端からのアミノ酸配列
Met-Trp-Glu-Gln-Ala-Ile-Met-Asp-Ala-Val-Glu-Lys-Thr-Lys-Arg-Asn-Val-Gly-Leu-Phe-Pro-Met-Lys-Phe-Pro-His-Ile-Thr-Ala(配列番号3)
HEX4:
ヘキセンウロニダーゼの内部アミノ酸配列
Gly-Leu-Leu-Thr-Asp-Ala-Val-Glu-Lys(配列番号4)
HEX5:
ヘキセンウロニダーゼの内部アミノ酸配列
Asp-Thr-Ala-Ile-Ala-Gln-Leu-Glu-Asp-Tyr-Lys(配列番号5)
HEX6:
ヘキセンウロニダーゼの内部アミノ酸配列
Lys-Met-Ile-Ser-Leu-Val-Asn-Arg-Tyr-Ser(配列番号6)
【0064】
〔実施例5〕ヘキセンウロニダーゼ遺伝子を含むDNA断片のクローニング
実施例3で調製したゲノムDNA100μg相当分をBamHI、KpnI、SalI、PstIの各制限酵素100ユニットにて各37℃にて18時間消化し、更に100ユニットの制限酵素を追加して更に6時間反応させた。この反応液からフラグメント化したDNA量で10μg相当分を0.8%アガロースゲル電気泳動にかけた。電気泳動後サイバーグリーンI(BMA社製)にて泳動されたDNA断片を染色し、泳動を確認後、サザンブロット法により、ナイロンメンブレン(ハイボンドN+:アマシャム社製)にDNAをトランスファーした。
【0065】
(サザンハイブリダイゼーション用プローブの作製)
実施例4で得られたN末端アミノ酸配列HEX3(配列番号3)と内部アミノ酸配列HEX4(配列番号4)を基にしてPCR用プライマーを設計した。設計したプライマーに基づき化学合成を行い、
プライマー1:
5'-ATGTGGGARCARGCIATHATGGAYGCNGTNG-3'(配列番号7)
(ここで、RはGまたはA、Iはイノシン、HはAまたはCまたはT、YはTまたはC、NはAまたはCまたはGまたはTをそれぞれ示す。)
プライマー2:
5'-TTRTARTCYTCIAGYTGIGCDATNG-3'(配列番号8)
(ここで、RはGまたはA、Iはイノシン、HはAまたはCまたはT、YはTまたはC、NはAまたはCまたはGまたはT、DはAまたはGまたはTをそれぞれ示す。)
を得た。この2本のプライマーを用い、サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を使ってPCRを行い、全長221bpのPCRフラグメントを得た。PCR法の手順は一般的な仕方で問題ないが、唯一指定されるべき条件としてはアニーリングの条件として55.5℃を指定する。
【0066】
二本鎖DNA PCRフラグメントをTAクローニングキット(INVITROGEN社製)を用いてクローニングした。クローニングされたPCRフラグメントはDNAシーケンサー(Model 310、ABI社製)を用い、その塩基配列を解読したところ、5'末端側から32bp以降に配列番号3のアミノ酸をコードするDNA配列が存在した。このことからPCRフラグメントはヘキセンウロニダーゼのN末端側から221bpの遺伝子断片と相補するDNA断片である。このDNA断片をフルオレセインによるラベルキット(Gene ImagesTM、アマシャム-ファルマシア社製)を用いて、そのDNA鎖にランダムにフルオロセインで標識された核酸を導入しDNA鎖自体を標識した。
【0067】
あらかじめ準備された遺伝子クローニング用のナイロンメンブレンをハイブリダイゼーション用のバッグに入れて60℃にてチャーチリン酸バッファー(ChurchおよびGilbert, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:1991-1995 (1984))に浸し、なじませておく。その後ランダムに標識したPCR DNAフラグメント10ngをこれに添加し、60℃にて24時間ハイブリダイズさせた。次に洗浄バッファー(1%SDSを含む40mMチャーチリン酸バッファー)を用いて60℃にて5分洗浄、洗浄バッファーを捨てて同一の方法を4回繰り返した。余分な液を除いた後、標識核酸検出キット(Gene ImagesTM)を用いて検出した。
【0068】
プローブのシグナルの中で適当なサイズのDNAフラグメントとしてBamHI消化物の中の約4000bpのDNAフラグメントを選択した。#7-5由来のゲノムDNAを20μgに対してBamHI(宝酒造製)を用い完全消化後0.8%のアガロースゲル電気泳動を行い、サイバーグリーンIを用いて染色後、同一ゲル上にて泳動したラムダHindIIIのマーカー(東洋紡製)を目印に約4000bp付近のDNAをゲルをスライスして抽出し、ヘキセンウロニダーゼの遺伝子を含むDNAフラグメントを得た。また、この時ゲルからのDNAフラグメントの抽出はイージートラップ(宝酒造製)を用いた。
【0069】
抽出した約4000bpのフラグメントは両端がBamHIサイトであるためpUC19のクローニングベクター(宝酒造)をあらかじめBamHIで消化後末端をアルカリフォスファターゼで脱リン酸化し、このベクターにライゲーションした。ライゲーションはライゲーションキットVer.II(宝酒造製)を用いた、またホストにJM109(宝酒造製)を使用し、ヘキセンウロニダーゼの遺伝子を持つ陽性クローンを選抜した。選抜にはサザンハイブリダイゼーションに用いたPCRフラグメントを蛍光標識し使用したところ、約800個のライブラリー中に2個の陽性クローンを得た。これをB15、B26と呼ぶ。B15を培養後プラスミドを回収し、このB15が保有するpUC19内のインサート上に存在するヘキセンウロニダーゼ遺伝子を配列決定した。ヘキセンウロニダーゼ遺伝子はその配列中にBamHIサイトをもたなかったため結果として構造遺伝子の全長を得ることが出来、配列も読むことが出来た。ヘキセンウロニダーゼ遺伝子はその配列中に精製ヘキセンウロニダーゼをリジルエンドペプチダーゼ処理した時に得られた内部配列のペプチドが存在していた。また遺伝子の塩基配列1125bpから想定されるタンパク質の分子量は43410であり、これも精製酵素のSDS-PAGEから得られたデータである約40000とほぼ一致した。決定されたへキセンウロニダーゼのアミノ酸配列およびその遺伝子のヌクレオチド配列はそれぞれ、配列番号1、配列番号2として示した。
【0070】
なお、本発明のヘキセンウロニダーゼをコードするDNAを含むプラスミドpUC19(7-5)は、大腸菌JM109株に導入されて、E. coli JM109/pUC19(7-5)の名称で産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所(新名称:独立行政法人産業技術総合研究所・特許生物寄託センター、茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に平成13年2月23日付けで寄託され、受託番号FERM P-18226(国際寄託変更後の受託番号FERM BP-7973)が与えられている。
〔実施例6〕ヘキセンウロニダーゼ用基質としての蛍光性ヘキセンウロン酸誘導体の合成
1.(トリ−O−アセチル−α−ガラクトピラノシルブロミド)ウロン酸メチルエステル(I)の合成
【0071】
【化1】
Figure 0004556344
(テトラ−O−アセチル−β−ガラクトピラノシド)ウロン酸メチルエステル3.76g(10mmol)を窒素下0℃で30%臭素酸・酢酸溶液(25mg)に溶解し、1時間攪拌した後、さらに室温で1時間攪拌した。反応終了後、ジクロロメタン(100ml)を加え、氷水および冷重曹水で各5回抽出した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を留去し、表題化合物(I)4.0g(収率100%)を得た。
2.(ウンベリフェリルトリ−O−アセチル−ガラクトピラノシド)ウロン酸メチルエステル(II)の合成
【0072】
【化2】
Figure 0004556344
(トリ−O−アセチル−ガラクトピラノシルブロミド)ウロン酸メチルエステル3.0g(7.5mmol)、ウンベリフェロン1.32g(7.5mmol)、4Aモレキュラーシーブズ10g、無水アセトニトリル20mlを窒素下、室温で1時間攪拌した。次に、炭酸銀9.0g(3.2mmol)を加え、一昼夜攪拌した。反応終了後、反応液をセライトでろ過し、ジクロロメタンで溶出した。ジクロロメタン溶出液は、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で5回抽出し、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去した後、反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで処理し、ジクロロメタン−メタノール(97:3)の画分から表題化合物(II)2.92g(収率79%)を得た。3.(ウンベリフェリル−ジ−O−アセチル−4−デオキシ−ヘキス−4−エノピラノシド)ウロン酸メチルエステル(III)の合成
【0073】
【化3】
Figure 0004556344
(ウンベリフェリルトリ−O−アセチル−ガラクトピラノシド)ウロン酸メチルエステル200mg(0.4mmol)の無水THF5ml中の溶液に窒素下、室温でDBU(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)を200μl(4当量)添加し、30分攪拌した。反応終了後、反応液を酢酸エチルで希釈し、蒸留水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒留去後、粗生成物153mgをシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、ジクロロメタン画分から表題化合物(III)132mg(収率76%)を得た。
4.ウンベリフェリル−4−デオキシ−ヘキス−4−エノピラノシドウロン酸(IV)の合成
【0074】
【化4】
Figure 0004556344
(ウンベリフェリル−ジ−O−アセチル−4−デオキシ−ヘキス−4−エノピラノシド)ウロン酸メチルエステル86mg(0.2mmol)の水−メタノール(1:2)9mlの溶液に窒素下、0℃で2N NaOH 1mlを加えて、1時間攪拌した。反応終了後、反応液を陽イオン交換樹脂でろ過し、メタノールで溶出した。溶出液を濃縮後、ODS逆相クロマトグラフィーを用いて30%メタノールで溶出し、表題化合物(IV)43mg(収率64%)を得た。
【0075】
表題化合物は非常に不安定であり分解する速度が速いため、ヘキセンウロニダーゼの活性測定には表題化合物を精製することなく用いる。基質を保存する場合はヘキセンウロン酸の部分に存在する水酸基はアセチル化したまま保存しておく。活性測定時にあらかじめ基質は反応系で1NのNaOHを用いてアイスバス中反応を行うことで脱アセチル化し、その後所定の濃度にバッファーで希釈し使用する。
【0076】
実施例7 本発明のヘキセンウロニダーゼを使用するパルプの漂白
(1)前処理(アルカリ酸素漂白)
白色度50.0%、カッパー価11.2、パルプ粘度19.7mPa・sのブナ主体の広葉樹酸素脱リグニン後クラフトパルプ(以下、LOKPという)を絶乾重量で60g、イオン交換水で希釈してパルプ濃度10.0%に調整した。
(2)ヘキセンウロニダーゼによるパルプ処理
前記パルプスラリーにリン酸バッファーを反応系内で50mMとなるように添加し、pHを7.0に調整し、LOKP絶乾重量1gに対して実施例2で得られたヘキセンウロニダーゼを0.5Uの比率で添加し、45℃にて2時間保持した。
(3)二酸化塩素漂白
前記したヘキセンウロニダーゼ処理後のパルプスラリーを、パルプ濃度10%、pH8.1に調整したパルプに二酸化塩素を0.8%加え、パルプ濃度70℃で2時間保持した。二酸化塩素処理終了時のpHは5.4であった。漂白後のパルプを蒸留水で洗浄後、pHが8.0になるようにNaOHを加え、抽出操作終了後、得られたパルプについてイオン交換水で洗浄し、完成漂白パルプを得た。
【0077】
(比較例1)
実施例7において、ヘキセンウロニダーゼ処理を行わなかったものを比較例1とする。
(比較例2)
実施例7において、ヘキセンウロニダーゼ処理を行わず、二酸化塩素漂白において二酸化塩素の添加量を1.2%としたものを比較例2とする。
以上の実施例、比較例において測定されたパルプの白色度を表2に記載する。
【0078】
【表2】
Figure 0004556344
【0079】
表から判るように、本発明のヘキセンウロニダーゼ酵素を使用することにより、塩素系薬品を増加しないでパルプ白色度を向上することができる。
【0080】
【配列表】
Figure 0004556344
Figure 0004556344
Figure 0004556344
Figure 0004556344
Figure 0004556344
Figure 0004556344
Figure 0004556344
【0081】
【配列表フリーテキスト】
配列番号7−人工配列の説明:プライマー
配列番号8−人工配列の説明:プライマー
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のヘキセンウロニダーゼの至適pHを示す。
【図2】 本発明のヘキセンウロニダーゼの安定pH範囲を示す。
【図3】 本発明のヘキセンウロニダーゼの至適温度を示す。
【図4】 本発明のヘキセンウロニダーゼの温度安定性を示す。

Claims (22)

  1. (a)パエニバチルス(Paenibacillus)属に属する微生物に由来する、(b)ヘキセンウロニダーゼ活性を有する、(c)分子量約40,000〜約45,000である、(d)至適pHが6.0〜8.0である、(e)至適温度が35℃〜55℃である、および(f)2-メルカプトエタノールまたはジチオスレイトールによって該ヘキセンウロニダーゼ活性が亢進されることを特徴とするヘキセンウロニダーゼ。
  2. 酵素反応における安定pH範囲がpH5.0〜10.0である、請求項1記載のヘキセンウロニダーゼ。
  3. 45℃にて30分の熱処理で約80%以上の活性を保持し、60℃にて30分の熱処理で約30%の残存活性を示す、請求項1記載のヘキセンウロニダーゼ。
  4. 微生物がパエニバチルス・エスピー7−5(受託番号FERM BP-7972)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘキセンウロニダーゼ。
  5. 遺伝子組換え酵素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のヘキセンウロニダーゼ。
  6. 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは、該配列番号1のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸の欠失、置換、挿入または付加を含むアミノ酸配列を有しかつヘキセンウロニダーゼ活性を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のヘキセンウロニダーゼ。
  7. 配列番号1に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上である、請求項1〜6のいずれか一項記載のヘキセンウロニダーゼ。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のヘキセンウロニダーゼを生産するパエニバチルス(Paenibacillus)属に属する微生物を培地に培養し、得られる培養物からヘキセンウロニダーゼを採取することを含む、ヘキセンウロニダーゼの製造方法。
  9. 微生物がパエニバチルス・エスピー7−5である請求項8記載の方法。
  10. ヘキセンウロニダーゼ生産能を有するパエニバチルス・エスピー7−5(受託番号FERM BP-7972)。
  11. 配列番号1に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を有するヘキセンウロニダーゼをコードするヘキセンウロニダーゼ遺伝子。
  12. 配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるか、あるいは、該配列番号1のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸の欠失、置換、挿入または付加を含むアミノ酸配列を有しかつヘキセンウロニダーゼ活性を有するヘキセンウロニダーゼをコードする、請求項11記載のヘキセンウロニダーゼ遺伝子。
  13. 配列番号2で示される塩基配列を含む、請求項12記載のヘキセンウロニダーゼ遺伝子。
  14. 請求項11〜13のいずれか一項に記載のヘキセンウロニダーゼ遺伝子を含む発現ベクター。
  15. 請求項14記載の発現ベクターによって形質転換された宿主細胞。
  16. 請求項15記載の宿主細胞を培地に培養し、得られる培養物からヘキセンウロニダーゼを回収することを含む、遺伝子組換えヘキセンウロニダーゼの製造方法。
  17. 請求項1〜7のいずれか一項記載のヘキセンウロニダーゼを有効成分として含む漂白剤。
  18. ヘキセンウロニダーゼが組換え酵素である、請求項17記載の漂白剤。
  19. ヘキセンウロニダーゼが請求項16記載の方法によって得られるものである、請求項17記載の漂白剤。
  20. 請求項17〜19のいずれか一項記載の漂白剤を用いてパルプを処理することを含む、パルプの漂白方法。
  21. 漂白剤を用いてパルプを処理するにあたり、化学漂白および/またはアルカリ抽出を、パルプ処理前、処理後又は処理中のいずれかに行なうことを含む、請求項20記載の方法。
  22. 請求項1〜7のいずれか一項記載のヘキセンウロニダーゼを認識する抗体。
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