JPH11318443A - アルカリペクチン酸リアーゼ - Google Patents
アルカリペクチン酸リアーゼInfo
- Publication number
- JPH11318443A JPH11318443A JP12738598A JP12738598A JPH11318443A JP H11318443 A JPH11318443 A JP H11318443A JP 12738598 A JP12738598 A JP 12738598A JP 12738598 A JP12738598 A JP 12738598A JP H11318443 A JPH11318443 A JP H11318443A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- enzyme
- pectic acid
- substrate
- pectate lyase
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Detergent Compositions (AREA)
Abstract
ペクチン酸リアーゼ、該アルカリペクチン酸リアーゼを
産生する微生物の提供。 【解決手段】 ペクチン酸、酸可溶性ペクチン等に作用
し、最適反応pHが10.5または11.0にある等の酵
素学的性質を有するアルカリペクチン酸リアーゼ、該ペ
クチン酸リアーゼを産生するバチルス属に属する微生
物。
Description
剤、繊維処理剤等として有用なアルカリペクチン酸リア
ーゼ、該アルカリペクチン酸リアーゼを産生する微生物
に関する。
ン酸リアーゼ(EC 4.2.2.2)は、1962
年、バチルス ポリミキサ(Bacillus polymyxa)及び
エルビニア カルトボーラ(Erwinia cartovora)の培
養液に初めて見い出され、ペクチン酸に対してβ−脱離
反応により、α−1,4結合を切断し、非還元末端にC
4〜C5不飽和結合を形成する酵素であり、反応にカル
シウムイオンを必要としている(Starr & Moran, Scien
ce, 135, 920-921, 1962)。
ia属、Bacillus属等)のペクチン酸リアーゼの最適反応
pHは、pH8〜9.5付近のアルカリ領域にあることが知
られている(Rombouts & Pilnik, Economic Microbiol,
5, 227-282, 1980)。さらに、真菌及びいくつかの細
菌由来のペクチン酸リアーゼは、その最適pHがpH10〜
10.5であると報告されている。例えば、Fusarium o
xysporum f. sp. ciceri株の生産する2種のアルカリペ
クチン酸リアーゼ(Artes & Tana. Physiol. Mol. Plan
t Pathol., 37, 107-124, 1990)、Bacillus sp. YA-14
株(Han et al., Korean J. Appl. Microbiol. Biotech
nol., 20, 655-662, 1992)、Amycolatasp.株(Bruhlmo
m, Appl. Environ. Microbiol., 61, 3580-3585, 199
5)等が生産する酵素が知られている。
工業的に利用しようとする試みがなされており、例え
ば、特公平6−39596号公報、WO95/2579
0号等の技術が知られている。前者においては、セルラ
ーゼは繊維を傷めるという観点からペクチナーゼ単独で
泥汚れ洗浄力に対する効果について述べられているが、
完全に精製された酵素を用いていないためにその効果に
関しては明確ではない。さらに洗浄剤に関するものとし
て洗浄剤組成物(特開昭60−226599号公報)が
開示されているが、これはリゾプス属のセルラーゼ及び
ペクチナーゼを併用することで洗浄力を発揮するという
ものであるが、いずれも中酸性領域に最適pHを有する酵
素である。
ば、特開昭51−149976号公報、特公昭57−3
9636号公報、特開平6−220772号公報等に、
ペクチナーゼ(ペクチン酸リアーゼを含む)を植物繊維
の精練、非木材繊維のパルプ化、木綿繊維の精練に使用
することが開示されている。かかる繊維の精練において
はアルカリ領域で処理することで精練度合を高めること
ができるとされている。また、一般の衣料用洗剤や漂白
剤も高アルカリ性(pH10〜11)にすることによって
その洗浄力を高めることができる。
を有する酵素は前述のように数例が報告されているだけ
で、工業的に生産されているものも無く、入手が困難で
ある。
充分作用し、工業的に生産可能なアルカリペクチン酸リ
アーゼを提供することを目的とする。
チン酸リアーゼを探索すべく日本国内の土壌よりスクリ
ーニングしたところ、特定の微生物が産生する高アルカ
リ領域に最適反応pHを有する新規な2種類のアルカリペ
クチン酸リアーゼを見出し本発明を完成した。
有するアルカリペクチン酸リアーゼ、
ン酸)をβ−脱離反応によってα−1,4結合を切断す
ると共に非還元末端のC4〜C5位に二重結合を付与し
不飽和オリゴガラクツロニドを生成する。 (2)基質特異性 プロトペクチン、ペクチン酸(ポリ
ガラクツロン酸)、酸可溶性ペクチン酸、ペクチンに作
用する。 (3)最適反応 pH11.0(30℃、50mMグリシン
−水酸化ナトリウム緩衝液中、ペクチン酸を基質とした
場合) (4)安定pH 4〜8(30℃、40mMブリットン・ロ
ビンソン広域緩衝液中、60分間処理) (5)最適反応温度 約45℃(50mMグリシン−水酸
化ナトリウム緩衝液中、ペクチン酸を基質とした場合) (6)耐熱性 約40℃(pH7.5、1mM塩化カルシウ
ムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液中、20分処理) (7)分子量 約16kDa (ゲルろ過法;SDSポリア
クリルアミド電気泳動法では約27kDa) (8)等電点 pH10.1付近(等電点電気泳動法) (以下かかる酵素学的性質を有するものを「酵素A」と
いう)。
ペクチン酸リアーゼ、 (1)作用 ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)をβ−
脱離反応によってα−1,4結合を切断すると共に非還
元末端のC4〜C5位に二重結合を付与し不飽和オリゴ
ガラクツロニドを生成する。 (2)基質特異性 ペクチン酸(ポリガラクツロン
酸)、酸可溶性ペクチン酸、ペクチンに作用する。 (3)最適反応 pH10.5(30℃、50mMグリシン
−水酸化ナトリウム緩衝液中、ペクチン酸を基質とした
場合) (4)安定pH 4〜10(30℃、40mMブリットン・
ロビンソン広域緩衝液中、60分間処理) (5)最適反応温度 約40℃(50mMグリシン−水酸
化ナトリウム緩衝液中、ペクチン酸を基質とした場合) (6)分子量 約28kDa (ゲルろ過法;SDSポリア
クリルアミド電気泳動法では約32kDa) (7)等電点 pH10.5付近(等電点電気泳動法) (以下かかる酵素学的性質を有するものを「酵素B」と
いう)を提供するものである。
産生するバチルス属に属する微生物を提供するものであ
る。
リペクチン酸リアーゼ生産菌を培養し、その培養物から
採取することにより製造される。かかるアルカリペクチ
ン酸リアーゼとしては、バチルス属に属する細菌、例え
ば下記の菌学的性質を有するバチルスエスピーKSM−
P539株が挙げられる。
性質〕 A 形態学的性質 (a)細胞の形及び大きさ 桿菌(0.3〜0.5×
1.5〜2.1μm) (b)多形成 無し (c)運動性 有り (d)胞子(大きさ、形、位置、膨潤の関係) 0.5〜0.6×1.3〜1.5μm 楕円、中央、膨潤有り (e)グラム染色 陽性 (f)抗酸性 陰性 (g)肉汁寒天平板培地上の生育 黄白色、周縁は葉状 (h)リトマスミルク 酸性化、液化しない
を利用する。 (j)色素の生成 無し (k)ウレアーゼ 陰性 (l)オキシダーゼ 陽性 (m)生育の温度範囲 21℃〜51℃ (n)生育のpH範囲 pH6〜9.5 (o)生育における酸素の影響 嫌気条件下で生育 (p)OFテスト 生育するが、色調の変化
は認められない。 (q)グルコースからのガス酸性 無し (r)塩化ナトリウムに対する耐性 7%塩化ナトリウ
ム含有培地上で生育できない。 (s)糖からの酸生成 ガラクトース、キシロー
ス、アラビノース、シュークロース、グルコース、マン
ニトール、マンノース、イノシトール、トレハロース、
ラクトース、グリセリン、マルトース、フラクトース、
ラフィノース、メリビオース、可溶性でんぷんからは、
糖酸生成有り、ソルビトールからは酸生成無し。
ual of Systematic Bacteriology」(Williams & Wilki
ns社、1984年)の記載に準じ検討したところ、本菌株は
バチルス コアグランス(Bacillus coagulans)に類似
の性質を有していた。しかし、既知のバチルス コアグ
ランスの諸性質とは完全に一致しない新規な微生物であ
る為、本菌株を工業技術院生命工学研究所にバチルス
エスピー(Bacillus sp.)KSM−P539(FERM
P−15991)として寄託した。
酸リアーゼ生産菌を用いて本発明アルカリペクチン酸リ
アーゼを生産するには、菌株を同化性の炭素源、窒素源
その他の必須栄養素を含む培地に接種し、常法に従い培
養すれば良い。かくして得られた培養液中からのアルカ
リペクチン酸リアーゼの採取及び精製は、一般の採取及
び精製法に準じて行うことができる。KSM−P539
株からは2種類以上のアルカリペクチン酸リアーゼが生
産され、そのまま用いることもできるが、一般の酵素精
製法により2種類の酵素を分離することができる。さら
に公知の方法により結晶化または造粒化することもでき
る。
ン酸リアーゼの一例であるBacillussp. KSM−P53
9株由来のアルカリペクチン酸リアーゼは、以下に示す
ような理化学的性質を有する。なお、酵素活性の測定は
次の如くして行った。
ム緩衝液(pH10.5)、0.3mlの4mM塩化カルシウ
ム溶液、1mlの脱イオン水を加え、氷冷下にて0.1ml
の酵素液(希釈は1mM塩化カルシウムを含む50mMトリ
ス−塩酸緩衝液、pH7.5により行った)を加え、30
℃、5分間恒温した。反応は、0.4mlの1%(w/
v)ポリガラクツロン酸水溶液(ICN社:Lot 1448
2、水酸化ナトリウム溶液にてpH6.8に調整したも
の)を添加し開始した。30℃で10分間恒温した後、
2mlの50mM塩酸を加え反応を停止した。生成した不飽
和オリゴガラクツロン酸量は235nmにおける吸光度を
測定し、不飽和ジガラクツロニドの分子吸光係数460
0(Hasegawa & Nagel, J. Food Sci., 31, 838-845, 1
966)を用いて求めた。なお、ブランクは酵素液を加え
ずに処理した反応液に2mlの50mM塩酸を加え、その後
に0.1mlの酵素液を添加したものを用いた。酵素1単
位(1U)は、上記反応条件下において1分間に1μmo
l の不飽和ジガラクツロニド相当の不飽和オリゴガラク
ツロニドを生成する量とした。
0mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8〜12)
を用いて30℃で最適反応pHを調べたところ、酵素Aは
グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH11中で最も反応
速度が高く、pH10.5〜12.0の範囲内において最
高活性の70%以上の活性を示した。しかしトリス−塩
酸緩衝液中では殆ど活性は認められなかった。酵素Bは
グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH10.5中で最も
反応速度が高く、pH10〜11の範囲内において最高活
性の70%以上の活性を示した。トリス−塩酸緩衝液中
ではpH9.5で最も反応速度が高かったが、グリシン−
水酸化ナトリウム緩衝液の最高活性に比べると約半分の
活性であった(図1及び図2)。
2)中に0.1mMの塩化カルシウムを添加した系と無添
加の系を用い、酵素液を加えて30℃、1時間恒温した
後の残存活性を標準酵素活性測定法にて調べた。その結
果、酵素AはpH4〜8、酵素BはpH4〜10の範囲で極
めて安定であった。また酵素Bの安定性に塩化カルシウ
ムの添加効果が認められた。
5)中にて20℃〜70℃の各温度で酵素反応を行い、
最適反応温度を調べた。その結果、両酵素は20℃〜5
0℃の広範囲において作用し、酵素Aの最適反応温度は
45℃であり、酵素Bの最適反応温度は40℃であった
(図3及び図4)。
シウムを添加した系及び無添加の系を用意し、酵素を加
えて30℃〜70℃の各温度で20分間放置した。その
後氷中で急冷し、残存活性を標準酵素活性法にて調べ
た。その結果、酵素Aは塩化カルシウム存在下で40℃
まで安定であった。酵素Bの耐熱性は同様に塩化カルシ
ウム存在下で若干安定化されるものの酵素Aに比べ耐熱
性は低いことが判った。
0mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したセフ
ァデックスG−75 Superfine(1.5cm×71cm)を
用いて、酵素A、Bの分子量を求めた結果、酵素Aは約
16kDa、酵素Bは約28kDa と見積もられた。なお、
検量線を作成する為の標準タンパク質としてファルマシ
ア社製のLMWゲルろ過キャリブレーションキットを用
いた。
子量を求めた結果、酵素Aは約27kDa 、酵素Bは約3
2kDa と見積もられた。なお、標準タンパク質としてバ
イオラッド社製の、SDS−PAGE Molecular Weigh
t Standards, Low Rangeを用いた。
ァルマシア社製)を含む5%ポリアクリルアミドゲルを
用い、等電点電気泳動法で測定した結果、酵素Aの等電
点はpH10.1付近、酵素Bの等電点はpH10.5付近
であった。
ー社製)にブロッティングし、プロテインシークエンサ
ー(674型、アプライドバイオシステム社製)を用い
てアミノ末端アミノ酸配列を20番目のアミノ酸まで決
定した結果、酵素AはAPTVVNSTIVVPKGG
TYYGQであり、酵素BはADASGTTASMSD
ILKNQRPDであった。
クチンを基質とした場合の反応速度を標準酵素活性測定
法を用いて調べた。酵素Aは、ポリガラクツロン酸(I
CN社製、Lot 14482)に対して最も反応性が高く、同
じポリガラクツロン酸(シグマ社製、Lot 122H3780)を
用いた時の約2倍の反応速度であった。エステル化度2
8、67、93%のペクチンを基質とした場合、相対活
性は20、5、7%(ICN社製のポリガラクツロン酸
に対する反応速度を100とした場合)とエステル化度
の増加に伴い、その反応性は減少したが、若干の作用は
示した。一方酵素Bはポリガラクツロン酸(ICN社
製、Lot 14482)に対して最も反応性が高かったが、同
じポリガラクツロン酸(シグマ社製、Lot 122H3780)を
用いた場合、ほぼ同じ反応速度であった。エステル化度
28、67、93%のペクチンを基質とした場合、相対
反応速度は94、43、9%と減少したが、酵素Aに比
べ28、67%のエステル化度を有するペクチンに対し
高い分解活性を示した。さらにWardとFogarty の方法
(J. Gen. Microbiol., 73, 439-446, 1972)に従い酸
可溶性ペクチン酸を基質として用いた場合、両酵素はペ
クチン酸(ICN社製)に対する反応速度と同程度の反
応速度で分解した。次に基質として木綿糸(カナガワヌ
イイト社製、金鈴印シロモ、40/3甘より)を30cm
(約13mg)を0.6mM塩化カルシウムを含む50mMグ
リシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.5)に入
れ、酵素を添加した後、30℃、60分間反応させた。
遊離したペクチンをオルシノール塩酸法により定量した
(Fernell & King, Analyst, 78, 80-83, 1953 )。そ
の結果、0.1Uの酵素Aを用いた場合1gの木綿繊維
あたりガラクツロン酸として約2.3mgのペクチン遊離
量が認められた。しかしながら酵素Bではペクチン遊離
量は認められなかった。以上の結果から酵素AはA−タ
イプのプロトペクチナーゼ活性を有するペクチン酸リア
ーゼであり、酵素Bはプロトペクチナーゼ活性を示さな
いペクチン酸リアーゼであると判断された。
7.5)に酵素液を加え、30℃、10分間、恒温した
後、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で10倍に
希釈した。標準酵素活性測定法で塩化カルシウムの代わ
りに各種金属塩を加え、反応性に対する影響を調べた。
その結果、酵素Aはバリウム、亜鉛、鉄(II)イオンの
各イオンを添加した場合に若干の分解反応が認められた
が、いずれもカルシウムイオンの場合の10%以下の反
応速度であった。酵素Bはカルシウムイオンに比べスト
ロンチウムイオンで約60%、鉄(III)イオンで約3
0%の反応速度であった。次に2mMのEDTAを含む5
0mM MOPS緩衝液(pH7.5)にて希釈した酵素液
を50mM MOPS緩衝液(pH7.5)、5mMの各金属
塩となるように調製した処理液に1/10量添加し、3
0℃、30分間恒温した。処理した酵素液を50mMトリ
ス−塩酸緩衝液(pH7.5)にて希釈し、標準酵素活性
測定法により残存活性を測定した。上記の処理により酵
素Aは各金属イオンに対し極めて安定であった。酵素B
も各種イオンに対し極めて安定であったが、銀イオンに
より完全に阻害され、銅イオンにより約50%阻害され
た。
0.5%)、ソフタノール70H、アルキルグルコシド
等の界面活性剤(0.1%)を含む50mMトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)に酵素液を加え、30℃、30分間
恒温した後氷冷し、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.
5)で10倍希釈し、残存活性を標準酵素活性測定法に
て調べた。その結果、酵素A、Bとも各種化合物により
阻害されることはなかった。
クチナーゼ活性を有するAタイプの酵素であり、単純な
ベル型のpH−活性曲線を示し、その最適反応pHは11に
あり、分子量約16kDa (ゲルろ過法:SDS−PAG
Eでは約27kDa)である。また酵素Bは、プロトペク
チナーゼ活性を有しないタイプの酵素であり、単純なベ
ル型のpH−活性曲線を示し、その最適反応pHは10.5
にあり、分子量は約28kDa(ゲルろ過法:SDS−P
AGEで約32kDa)である。これらの性質を有する本
発明酵素は、以上の点で従来のFusarium oxysporum f.
sp. ciceri株、Fusarium solani f. sp. pisi株、Bacil
lus sp. YA-14株、及びAmycolata sp.の生産するアルカ
リペクチン酸リアーゼと大きく異なっている。
が、本発明はこれに制限されるものではない。
スクリーニング 日本各地の土壌を滅菌水に懸濁したもの、あるいは花王
(株)の微生物保存室に保有の菌株をペクチンを含有す
る寒天平板培地に塗布し、30℃で3〜5日間培養を行
い、菌が生育した後、5℃にて1日静置した。ペクチン
の分解に起因してコロニー周辺に溶解斑を形成した菌を
選抜してペクチン酸リアーゼ生産能を検定した。その結
果、アルカリペクチン酸リアーゼ生産菌としてバチルス
エスピーKSM−P539株を得た。
ー KSM−P539株の培養は、坂口フラスコに50
mlの液体培地を加えて30℃、1日間振盪培養を行っ
た。培地組成は1%(w/v)ポリペプトンS、0.5
%酵母エキス、1%魚肉エキス、0.15%リン酸2カ
リウム、0.001%塩化カルシウム、0.5%ペクチ
ン、0.5%炭酸ナトリウムとした。
心分離(12,000×g、20分)し、その上澄液
(5150ml)に硫酸アンモニウムを90%飽和となる
ように徐々に添加した。5℃で一昼夜放置した後、遠心
分離(12,000×g、20分)を行い沈殿物を回収
した。これを少量の1mM塩化カルシウムを含む10mMト
リス−塩酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、同緩衝液に対
して一昼夜透析を行った。得られた透析内液(240m
l)のうち80mlずつをあらかじめ1mM塩化カルシウム
を含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)にて平衡
化しておいたスーパーQトヨパール650M(東ソー社
製)カラム(2.5×10cm)へ添着した。平衡化緩衝
液にて洗浄溶出される画分に活性が認められ、これを集
めた(295ml)。次に1mM塩化カルシウムを含む50
mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)にて平衡化しておい
たSPトヨパール650M(東ソー社製)カラム(2.
5×20cm)へ上記の非吸着画分150mlを添着した。
0から0.2Mの塩化ナトリウムを用いた濃度勾配溶出
法により、吸着したタンパク質を溶出させた。ペクチン
酸リアーゼは0.1M及び0.15M付近の塩化ナトリ
ウム濃度で2種類溶出され、0.15M付近の塩化ナト
リウム濃度で溶出されるペクチン酸リアーゼはSDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において単一なタン
パク質として検出された。本精製酵素をペクチン酸リア
ーゼBとした。0.1M付近の塩化ナトリウム濃度で溶
出されるペクチン酸リアーゼは単一のタンパク質ではな
かったため、限外ろ過(アミコンメンブランYM−3)
を用いて濃縮し、0.2mM塩化カルシウムを含む10mM
リン酸緩衝液(pH7)により平衡化したハイドロキシア
パタイト(Bio Rad社製)カラム(1.6×10cm)へ
添着した。同緩衝液と0.2mM塩化カルシウムを含む1
00mMリン酸緩衝液(pH7)による濃度勾配溶出法によ
り、タンパク質を溶出し、85mM付近のリン酸緩衝液で
溶出されるペクチン酸リアーゼはSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動法において単一なタンパク質として
検出された。本精製酵素を酵素Aとした。上記精製操作
により酵素Aは約30倍、酵素Bは約35倍までそれぞ
れ精製された。得られた精製酵素は前記の酵素学的性質
を有していた。
リ条件下で優れたペクチン酸リアーゼ活性を有し、衣料
用や食器用等の洗浄剤配合用酵素として、また繊維処理
用酵素として有用である。
1の活性を100とした場合の相対値で表したものであ
る。
0.5の活性を100とした場合の相対値で表したもの
である。
5℃の活性を100とした場合の相対値で表したもので
ある。
0℃の活性を100とした場合の相対値で表したもので
ある。
Claims (4)
- 【請求項1】 下記の酵素学的性質を有するアルカリペ
クチン酸リアーゼ。 (1)作用 ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)をβ−
脱離反応によってα−1,4結合を切断すると共に非還
元末端のC4〜C5位に二重結合を付与し不飽和オリゴ
ガラクツロニドを生成する。 (2)基質特異性 プロトペクチン、ペクチン酸(ポリ
ガラクツロン酸)、酸可溶性ペクチン酸、ペクチンに作
用する。 (3)最適反応 pH11.0(30℃、50mMグリシン
−水酸化ナトリウム緩衝液中、ペクチン酸を基質とした
場合) (4)安定pH 4〜8(30℃、40mMブリットン・ロ
ビンソン広域緩衝液中、60分間処理) (5)最適反応温度 約45℃(50mMグリシン−水酸
化ナトリウム緩衝液中、ペクチン酸を基質とした場合) (6)耐熱性 約40℃(pH7.5、1mM塩化カルシウ
ムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液中、20分処理) (7)分子量 約16kDa (ゲルろ過法;SDSポリア
クリルアミド電気泳動法では約27kDa) (8)等電点 pH10.1付近(等電点電気泳動法) - 【請求項2】 下記の酵素学的性質を有するアルカリペ
クチン酸リアーゼ。 (1)作用 ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)をβ−
脱離反応によってα−1,4結合を切断すると共に非還
元末端のC4〜C5位に二重結合を付与し不飽和オリゴ
ガラクツロニドを生成する。 (2)基質特異性 ペクチン酸(ポリガラクツロン
酸)、酸可溶性ペクチン酸、ペクチンに作用する。 (3)最適反応 pH10.5(30℃、50mMグリシン
−水酸化ナトリウム緩衝液中、ペクチン酸を基質とした
場合) (4)安定pH 4〜10(30℃、40mMブリットン・
ロビンソン広域緩衝液中、60分間処理) (5)最適反応温度 約40℃(50mMグリシン−水酸
化ナトリウム緩衝液中、ペクチン酸を基質とした場合) (6)分子量 約28kDa (ゲルろ過法;SDSポリア
クリルアミド電気泳動法では約32kDa) (7)等電点 pH10.5付近(等電点電気泳動法) - 【請求項3】 請求項1または2記載のペクチン酸リア
ーゼを産生するバチルス属に属する微生物。 - 【請求項4】 微生物がバチルス エスピーKSM−P
539(FERMP−15991)である請求項3記載
の微生物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12738598A JP3913898B2 (ja) | 1998-05-11 | 1998-05-11 | アルカリペクチン酸リアーゼ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12738598A JP3913898B2 (ja) | 1998-05-11 | 1998-05-11 | アルカリペクチン酸リアーゼ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11318443A true JPH11318443A (ja) | 1999-11-24 |
JP3913898B2 JP3913898B2 (ja) | 2007-05-09 |
Family
ID=14958693
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12738598A Expired - Fee Related JP3913898B2 (ja) | 1998-05-11 | 1998-05-11 | アルカリペクチン酸リアーゼ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3913898B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002092741A3 (en) * | 2001-05-14 | 2003-05-01 | Novozymes As | 0etergent compositions comprising bacillus subtilis pectate lyases |
US7601529B2 (en) | 2002-05-14 | 2009-10-13 | Novozymes A/S | Pectate lyase variants |
US10662417B2 (en) | 2016-07-05 | 2020-05-26 | Novozymes A/S | Pectate lyase variants and polynucleotides encoding same |
-
1998
- 1998-05-11 JP JP12738598A patent/JP3913898B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002092741A3 (en) * | 2001-05-14 | 2003-05-01 | Novozymes As | 0etergent compositions comprising bacillus subtilis pectate lyases |
US7611882B2 (en) | 2001-05-14 | 2009-11-03 | Novozymes A/S | Detergent compositions comprising Bacillus subtilis pectate lyases |
US7601529B2 (en) | 2002-05-14 | 2009-10-13 | Novozymes A/S | Pectate lyase variants |
US8288144B2 (en) | 2002-05-14 | 2012-10-16 | Novozymes A/S | Pectate lyase variants |
US8563290B2 (en) | 2002-05-14 | 2013-10-22 | Novozymes A/S | Pectate lyase variants |
US9005950B2 (en) | 2002-05-14 | 2015-04-14 | Novozymes A/S | Pectate lyase variants |
US10662417B2 (en) | 2016-07-05 | 2020-05-26 | Novozymes A/S | Pectate lyase variants and polynucleotides encoding same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3913898B2 (ja) | 2007-05-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3435946B2 (ja) | 耐熱性キシラナーゼ | |
CA2222141C (en) | Alkaline cellulase and method for producing the same | |
Kim et al. | Purification and characterization of a maltotetraose-forming alkaline (alpha)-amylase from an alkalophilic Bacillus strain, GM8901 | |
JP2859393B2 (ja) | セルラーゼ及びその製造法 | |
JPS6055118B2 (ja) | 新規な細菌アルカリプロテア−ゼ及びその製造方法 | |
JP3917258B2 (ja) | 新規アルカリペクチン酸リアーゼ及びその製造法 | |
JP3913898B2 (ja) | アルカリペクチン酸リアーゼ | |
JPH03108482A (ja) | α―アミラーゼ活性を有する新規なアルカリプルラナーゼY、これを産生する微生物及び新規なアルカリプルラナーゼYの製造法 | |
JP4395243B2 (ja) | ポリガラクツロナーゼ | |
JP3769655B2 (ja) | 耐熱性キシラナーゼ | |
JP2731212B2 (ja) | 新規セルラーゼ及びその製造法 | |
CA2165839C (en) | Thermostable xylanase | |
JP4025421B2 (ja) | ペクチン酸リアーゼ | |
JP2000023667A (ja) | アルカリ耐性アミラーゼ | |
JP4139537B2 (ja) | ポリガラクツロナーゼ | |
JP2676453B2 (ja) | アルカリイソアミラーゼ及びそれを生産する微生物並びに該アルカリイソアミラーゼの製造方法 | |
JP4139538B2 (ja) | アルカリエキソポリガラクツロナーゼ | |
JP3880318B2 (ja) | 耐熱性キシラナーゼ | |
JP3475930B2 (ja) | 耐熱性キシラナーゼを有効成分として含む漂白剤 | |
JP2913411B2 (ja) | セルラーゼ遺伝子 | |
JPH0472398A (ja) | 自動食器洗浄機用洗浄剤組成物 | |
JP4382953B2 (ja) | ポリガラクツロナーゼ | |
JP2863602B2 (ja) | アミラーゼ及びその製造法 | |
JP2002095470A (ja) | 耐熱性キシラナーゼ | |
JP2903853B2 (ja) | 新規中性アミラーゼおよびその製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041020 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20041020 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061114 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061226 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070130 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070201 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100209 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110209 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120209 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120209 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130209 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140209 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |