JP2000023667A - アルカリ耐性アミラーゼ - Google Patents

アルカリ耐性アミラーゼ

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JP2000023667A
JP2000023667A JP19305798A JP19305798A JP2000023667A JP 2000023667 A JP2000023667 A JP 2000023667A JP 19305798 A JP19305798 A JP 19305798A JP 19305798 A JP19305798 A JP 19305798A JP 2000023667 A JP2000023667 A JP 2000023667A
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alkali
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amylase
starch
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JP19305798A
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Hiroshi Hagiwara
萩原  浩
Kaori Kitayama
香織 北山
Hiroyuki Araki
裕行 荒木
Katsuya Ozaki
克也 尾崎
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 pH10以上の高アルカリ領域において高い酵
素活性及び安定性を有するアルカリ耐性アミラーゼの提
供。 【解決手段】 澱粉等のα−1,4グルコシド結合を高
ランダムに分解し、最適作用pHは7.5〜8.5でpH1
0で最適作用pHの約55%、pH10.5で約20%の相
対酵素活性を示し、pH5〜12で極めて安定である等の
酵素学的性質を有するアルカリ耐性アミラーゼ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ領域に於
いて高い酵素活性及び安定性を有し、洗浄剤の配合成分
として優れたアルカリ耐性アミラーゼに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】α−ア
ミラーゼは醸造産業、繊維産業、医薬品産業、食品産業
等幅広い産業分野で利用されている他、洗浄剤への適性
が知られており、洗浄力増強成分として自動食器洗浄機
用洗剤や衣料用洗剤などへも配合されている(Enzymes
in Detergenty, P203. Marcel Dekker Inc., New York
(1995))。
【0003】しかしながら、自然界において従来見出さ
れているα−アミラーゼのほとんどは、中性乃至酸性領
域において最大且つ安定な酵素活性を示す、いわゆる中
性または酸性のα−アミラーゼであり、pHがアルカリ側
にある洗浄剤溶液中では活性が低下してしまうという欠
点があった。これに対し、アルカリ領域で最大活性を示
すか、あるいはアルカリ耐性を有するα−アミラーゼ、
いわゆるアルカリα−アミラーゼ及びアルカリ耐性α−
アミラーゼは、これらの欠点がなく、洗浄剤の配合成分
として有効であると考えられている。
【0004】このような酵素として、バチルス エスピ
ー A−40−2株の生産する酵素〔Agric. Biol. Che
m., 35, 1783(1971)〕等が知られているが、これらのほ
とんどは、澱粉または澱粉系多糖類をグルコース、マル
トースまたはマルトトリオースにまで低分子化させる、
所謂糖化型α−アミラーゼに属するものであるため、洗
剤用酵素として用いた場合には洗浄力が低かった。
【0005】このため本発明者らは澱粉または澱粉系多
糖類を高ランダムに分解するアルカリ液化型α−アミラ
ーゼをバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM−1
378株(FERM BP-3048)から見出した(WO94-2688
1)。
【0006】しかしながら、このアルカリ液化型α−ア
ミラーゼは最適作用pHは8〜9であるが、pH10以上で
の相対酵素活性及び安定性は必ずしも高くなく、pH9〜
10或いはそれ以上のアルカリ性の自動食器洗浄機用洗
剤に配合すると必ずしもその効果は十分とはいえなかっ
た。
【0007】従って、本発明は、pH10以上のアルカリ
領域に於いて高い酵素活性及び安定性を有するアルカリ
耐性アミラーゼを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、微生物か
ら、アルカリ領域に於いて高い酵素活性と安定性を有
し、食器洗浄剤組成物、漂白剤組成物及び衣料用洗浄剤
組成物等の添加成分として優れたアルカリ耐性アミラー
ゼの単離に成功し、本発明を完成した。
【0009】すなわち本発明は、次の酵素学的性質を有
するアルカリ耐性アミラーゼを提供するものである。
【0010】1)作用 澱粉、アミロース、アミロペクチン及びそれらの部分分
解物のα−1,4グルコシド結合を分解し、アミロース
からはグルコース、マルトース、マルトトリオース、マ
ルトテトラオース、マルトペンタオース及びマルトヘキ
サオースを生成する。但しプルランには作用しない。 2)作用pH範囲及び最適作用pH pH4.5〜10.5の範囲で作用し、最適作用pHは7.
5〜8.5である。また、pH10.0で最適作用pHの約
55%の相対酵素活性を示し、pH10.5でも約20%
の相対酵素活性を示す(ブリットン−ロビンソン緩衝液
中、可溶性澱粉を基質とした場合)。 3)pH安定性 pH5.0〜12.0の範囲で極めて安定である(ブリッ
トン−ロビンソン緩衝液中,50℃、15分間処理)。 4)作用温度範囲及び最適作用温度 20〜90℃の範囲で作用し、最適作用温度は60〜7
0℃である(トリス塩酸緩衝液(pH8.5)中、可溶性
澱粉を基質とした場合)。 5)温度安定性 50℃以下で極めて安定であり、60℃でも約50%の
残存活性を示す(10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)
中、60分間処理)。 6)分子量 58,000±5,000(ソディウムドデシル硫酸
(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によ
る)。 7)等電点 4.5付近(等電点電気泳動法による)。 8)界面活性剤の影響 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル
硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル
硫酸エステルナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウ
ム、石鹸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の界
面活性剤によってほとんど活性阻害を受けない。 9)金属イオンの影響 1mMのHg2+及びPd2+により強く阻害され(阻害率約
70%)、1mMのZn 2+、Cd2+及びMn2+によって若
干阻害される(阻害率20〜30%)。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、アルカリα−ア
ミラーゼとは、至適pHがアルカリ領域にあるものをい
い、アルカリ耐性α−アミラーゼとは、至適pHは中性か
ら酸性領域にあるが、アルカリ領域においても至適pHに
おける活性に比較して十分に活性を有し且つ安定性を保
持するものをいう。また、中性とはpH6〜8の範囲をい
い、アルカリ性とはそれ以上の範囲をいう。更に液化型
とは澱粉系多糖類を高ランダムに分解するものをいう。
【0012】本発明の酵素は、例えばバチルス属に属す
るその生産菌を培養した後培養物から採取することによ
り製造される。かかる生産菌としては、例えば下記の菌
学的性質を有するバチルス エスピー(Bacillus sp.)
KSM−9423株が挙げられる。
【0013】バチルス エスピー KSM−9423株
の菌学的性質 (a)顕微鏡的観察結果 菌体の大きさは、0.6〜0.8μm×2.5〜3.7
μmの桿菌であり、菌体の一端に楕円形の内生胞子
(1.0〜1.5μm×1.5〜2.0μm)を作る。
周鞭毛を有し運動性がある。グラム染色は不定。抗酸性
はない。 (b)各種培地に於ける生育状態 尚、本菌株は好アルカリ性のため以下の試験では用いた
培地に0.5%炭酸ナトリウムを添加した。 ・肉汁寒天平板培養 生育状態は良い。集落の形状は円形である。表面は平
滑、周縁はスムーズである。また、集落の色調は淡黄色
である。 ・肉汁寒天斜面培養 生育する。 ・肉汁液体培養 生育する。 ・肉汁ゼラチン穿刺培養 生育状態は良い。ゼラチンの液化は認められない。 ・リトマスミルク培地 変化しない。 (c)生理学的性質 ・硝酸塩の還元及び脱窒反応 硝酸塩還元:陰性。脱窒反応:陰性 ・MRテスト:陰性 ・V−Pテスト:陰性 ・インドールの生成:陰性 ・硫化水素の生成:陰性 ・澱粉の加水分解:陽性 ・クエン酸の利用:コーサー培地、クリステンセン培地
及びシモンズ培地で生育。 ・無機窒素源の利用:硝酸塩は利用するが、アンモニウ
ム塩は利用しない。 ・色素の生成:陰性 ・ウレアーゼ:陰性 ・オキシダーゼ:陰性 ・カタラーゼ:不定 ・生育の範囲 生育温度範囲:15〜50℃、生育最適温度範囲:30
〜45℃ 生育pH範囲及び生育最適pH:pH10.0〜11.0 ・酵素に対する態度:好気的 ・O−Fテスト:生育せず ・糖の利用性:D−グルコース、D−マンノース、メリ
ビオース、マルトース、シュークロース、ラクトース、
トレハロース、D−ソルビット、D−マンニット、グリ
セリン、澱粉、イノシット、ラフィノース及びアドニト
ールを利用する。 ・食塩含有培地に於ける生育:食塩濃度が7%では生育
するが、10%では生育できない。
【0014】以上の菌学的性質に基づき、バージーズ・
マニュアル・オブ・デタミネイティブ・バクテリオロジ
ー(Bergey's Mannual of Determinative Bacteriolog
y)第8版及びジーナス・バチルス(The Genus Bacillu
s)を参照し、比較検討した結果、本菌株は有胞子桿菌
であるバチルス(Bacillus)属の一種であると認められ
る。しかし、本菌株は中性領域では生育できず、専ら高
アルカリ領域で良好な生育を示すことから、Horikoshi
と Akiba(“Alkaliphilic Microorganism”,Japan Sc
ientific Society Press(Tokyo). 1982 年巻)の主張し
ている、所謂好アルカリ性(Alkaliphilic)微生物に属
し、従来の中性で生育するバチルス属細菌とは区別され
る。更に、本菌株の菌学的性質は公知の好アルカリ性バ
チルスのうち、B. pseudalcalophilus(Microbiol., 14
1, 1745(1995))に近いものであったが、生育温度、食
塩含有培地に於ける生育、及び糖の利用性の点で一致し
ないので、これを新規菌株と判断し、通産省工業技術院
生命工学工業技術研究所にバチルス エスピー(Bacill
us sp.)KSM−9423(FERM P-16516)として寄託
した。
【0015】上記の微生物を用いて本発明のアルカリ耐
性アミラーゼを得るには、培地に微生物を接種し、常法
に従って培養すればよく、好アルカリ性菌である為に、
培地のpHがアルカリ性であることが望ましい。
【0016】斯くして得られた培養物中から目的のアル
カリ耐性アミラーゼを採取することができる。この培養
上清液は、そのまま使用することができるが、必要に応
じて、塩析法、沈殿法、限外濾過法の分離手段により粗
酵素を得ることができ、更に公知の方法により精製結晶
化することにより精製酵素として使用することも可能で
ある。以下、本発明の新規洗剤用アミラーゼの精製法の
一例を挙げる。培養上清液について、(1)硫安沈殿、
(2)DEAE−トヨパール(トーソー社製)カラムク
ロマトグラフィー、(3)陰イオン交換樹脂を用いた高
速液体クロマトグラフィーをすることにより、ポリアク
リルアミドゲル電気泳動(ゲル濃度10%)及びソディ
ウムドデシル硫酸(SDS)電気泳動で単一のバンドを
与える精製酵素を得ることができる。
【0017】本発明の酵素は従来の例えばバチルス エ
スピー KSM−1378株が生産するアルカリ液化型
α−アミラーゼと比較して、pH10、10.5での相対
酵素活性が高く、また高アルカリ領域まで安定であるた
め、洗剤、特に食器洗浄剤、漂白剤、衣料用洗浄剤等の
アルカリ性洗剤に配合することができる。
【0018】
【実施例】尚、酵素活性の測定において、作用pH範囲及
びpH安定性はpH4.0〜12.0のブリットン−ロビン
ソン緩衝液を、また作用温度範囲及び温度安定性はpH
8.5のトリス塩酸緩衝液を用いた。
【0019】アミラーゼ活性測定法:各種緩衝液(終濃
度50mM)中に、可溶性澱粉(反応系における最終濃度
は0.5%)を溶解させた基質溶液0.9mLに、酵素液
0.1mLを加え、50℃で、15分間反応させた。反応
後、3,5−ジニトロサリチル酸〔3,5−dinitrosal
icylic acid(DNS)〕法にて、還元糖の定量を行った。即
ち、反応液1.0mLにDNS試薬1.0mLを加え、5分
間、沸騰水中で加熱発色させ、冷却後、4.0mLの脱イ
オン水を加えて希釈し、波長535nmで比色定量した。
酵素の力価は、1分間に1μmol のグルコースに相当す
る還元糖を生成する酵素量を1単位(U)とした。
【0020】実施例1 アルカリ耐性アミラーゼ生産
菌のスクリーニング 土壌約0.5gを滅菌生理食塩水に懸濁し、80℃で1
5分間熱処理した。この熱処理液の上清を適当に希釈し
て、分離用寒天培地(培地組成:可溶性澱粉1.0%、
着色澱粉 0.4%、トリプトン 0.2%、酵母エキ
ス 0.1%、KH2PO4 0.03%、(NH42
4 0.1%、MgSO4・7H2O0.02%、Ca
Cl2・2H2O 0.02%、FeSO4・7H2
0.001%、MnCl2・4H2O 0.0001%、
寒天 2.0%及びNa2CO30.5%(pH10))に
塗布した。次いで、これを50℃で2日間培養し、集落
を形成させた。集落の周に澱粉溶解に基づく透明帯を形
成するものを選出し、アミラーゼ生産菌を分離した。更
に、分離菌を前記培地から着色澱粉及び寒天を除いた液
体培地に接種し、30℃で2日間好気的に振盪培養し
た。培養後、遠心分離した上清液についてアミラーゼ活
性をpH10にて測定し、アルカリ領域に於いて高い酵素
活性を有するアミラーゼ生産菌をスクリーニングした。
その結果、アルカリ耐性アミラーゼ生産菌として、バチ
ルス エスピー KSM−9423株(FERM P-16516)
を得た。
【0021】実施例2 バチルス エスピー KSM
−9423株の培養 実施例1の液体培地に、アルカリ耐性アミラーゼ生産菌
バチルス エスピーKSM−9423株(FERM P-1651
6)を接種し、30℃で2日間好気的に振盪培養した。
遠心分離上清についてアミラーゼ活性(pH10)を測定
した結果、培養液1L当たり、417Uの活性を有して
いた。
【0022】実施例3 バチルス エスピー KSM
−9423株(FERM P-16516)産生アルカリ耐性アミラ
ーゼの精製 実施例2で得られた上清液に80%飽和濃度になる様に
硫酸アンモニウムを加えて攪拌後、生成した沈殿を回収
し、2mM CaCl2 を含む10mMトリス塩酸緩衝液
(pH7.5)に溶解し、同緩衝液に対して透析した。得
られた透析内液を同緩衝液で平衡化したDEAE−トヨ
パール650Mカラムに添着し、同緩衝液を用いて0〜
500mMの食塩の濃度勾配により溶出した。活性画分を
同緩衝液にて透析後、陰イオン交換樹脂を用いた高速液
体クロマトグラフィーにより得た活性画分を上記緩衝液
にて透析することによって、ポリアクリルアミドゲル電
気泳動(ゲル濃度10%)及びSDS電気泳動で単一の
バンドを与える精製酵素を得た。
【0023】(酵素学的諸性質) 1)作用 澱粉、アミロース、アミロペクチン及びそれらの部分分
解物のα−1,4グルコシド結合を分解し、アミロース
からはグルコース、マルトース、マルトトリオース、マ
ルトテトラオース、マルトペンタオース及びマルトヘキ
サオースを生成した。但しプルランには作用しなかっ
た。
【0024】2)作用pH範囲及び最適作用pH(ブリット
ン−ロビンソン緩衝液使用) pH4.5〜10.5の範囲で作用し、最適作用pHは7.
5〜8.5であった。また、pH10.0での相対酵素活
性は約55%であり、pH10.5でも約20%の相対酵
素活性を示した(図1)。
【0025】3)pH安定性 ブリットン−ロビンソン緩衝液中、50℃、15分間処
理条件下で、pH5.0〜12.0まで極めて安定であっ
た(図2)。
【0026】4)作用温度範囲及び最適作用温度 50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)中にて20〜90
℃の各温度で酵素反応を行った。その結果、20〜90
℃の広範囲で作用し、最適作用温度は60〜70℃であ
った(図3)。
【0027】5)温度安定性 本酵素を10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)中にて4
0〜70℃の、各温度で60分間処理し、失活条件を調
べると50℃までは極めて安定であり、60℃でも約5
0%の残存活性を示した(図4)。
【0028】6)分子量 ソディウムドデシル硫酸(SDS)ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動法により測定した分子量は58,000±
5,000であった。
【0029】7)等電点 等電点電気泳動法により測定した等電点は4.5付近で
あった。尚、この方法による等電点は通常±0.5程度
の誤差がある。
【0030】8)界面活性剤の影響 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル
硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキ
ル硫酸エステルナトリウム塩、α−オレフィンスルホン
酸ナトリウム、α−スルホン化脂肪酸エステルナトリウ
ム、アルキルスルホン酸ナトリウム、SDS、石鹸及び
ソフタノール等の各種界面活性剤0.1%溶液で、30
℃、30分間処理してもほとんど活性阻害を受けなかっ
た(残存活性90%以上)。
【0031】9)金属塩の影響 1mM(ただし、Na+ 及びK+ は50mM)の各種金属塩
と共存させて30℃で30分間処理したところ、Hg2+
及びPd2+により強く阻害され(阻害率約70%)、Z
2+、Cd2+及びMn2+によって若干阻害されるが(阻
害率20〜30%)、他の金属塩(Na+,K+,C
2+,Co2+,Al3+,Fe3+,Ag+,Cu2+,Ni
2+,Fe2+,Mg2+,Ba2+,Ra2+及びSr2+)に対
しては極めて安定であった。
【0032】10)N末端アミノ酸配列 本アミラーゼのN末端アミノ酸配列をエドマン分解法
〔Edman, P., Acta Chem. Scand., 4, 283,(1948)〕に
よりプロテインシーケンサー(ABI社製)477Aを
用いて測定した結果、Ala−Asp−Ala−Pro
−Thr−Asn−Gly−Thr−Ile−Met−
Gln−Thr−Phe−Glu−Trpの配列を有す
ることが判った。
【0033】実施例4 本発明のアルカリ耐性アミラーゼの自動食器洗浄機用洗
剤での洗浄評価を下記条件で行った。別に対照として本
発明酵素を含有しない洗剤を用いた。 1)汚染皿の調製 沸騰水で煮沸した後、水を加えて溶液状にしたオートミ
ール(クエーカー社製)1mLを磁性皿に塗布し、25℃
で一晩乾燥したものを3枚供した。 2)洗浄条件 ・使用機種;松下電器(株)製全自動食器洗い機NP−
810 ・洗浄温度;水温から約55℃まで徐々に昇温する。 ・洗浄用水;水道水 ・洗剤濃度;0.2重量% ・洗浄時間;洗浄約20分→すすぎ約20分(標準コー
ス) ・洗浄時の循環水量;3.5L 3)洗剤組成(%は重量%を示す) プルロニックL−61 2.2%、炭酸ナトリウム2
4.7%、炭酸水素ナトリウム24.7%、過炭酸ナト
リウム10.0%、1号珪酸ナトリウム12.0%及び
クエン酸3ナトリウム20.0%。 4)酵素添加量 緩衝液としてグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH1
0)を用い、上述のアミラーゼ活性測定法により実施例
3で得られた精製酵素の活性値を測定し、洗浄当たり5
00U添加した。 5)洗浄力評価方法 洗浄後の皿にヨウ素溶液を塗布し、ヨウ素−澱粉反応に
よる色を目視にて判定した。
【0034】その結果、本発明酵素含有洗剤を用いた場
合汚れを完全に除去でき、本発明酵素を含有しない場合
と比べ極めて優れた洗浄効果を有した。
【0035】実施例5 既存アルカリ液化型α−アミ
ラーゼとの酵素特性の比較 本発明の酵素とバチルス エスピー KSM−1378
株(FERM BP-3048)が産生するアルカリ液化型α−アミ
ラーゼとについて、高アルカリ領域での相対酵素活性及
び安定pH範囲を比較した。相対酵素活性はブリットン−
ロビンソン緩衝液を用い、50℃で15分間反応させ、
最適作用pHでの活性を100%として表した。安定pH範
囲はブリットン−ロビンソン緩衝液を用い、50℃で、
本発明酵素は15分間、KSM−1378株産生酵素は
10分間処理し、未処理の活性を100%としたときに
80%以上の残存活性を示すpH範囲を表した。結果を表
1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1より、本発明の酵素は、既存の酵素よ
り高アルカリ領域での相対酵素活性が高く、安定pH範囲
も広かった。
【0038】
【発明の効果】本発明のアルカリ耐性アミラーゼは、pH
10以上の高アルカリ領域に於いて高い酵素活性を有す
る。またpH5〜12において極めて安定であり、最適作
用温度も60〜70℃である。更に、界面活性剤等の洗
浄剤配合成分によっても殆ど阻害を受けない。従って、
本酵素はアルカリ性の衣料用洗剤、自動食器洗浄機用洗
剤、漂白剤及び糊抜き剤等に配合することにより有利に
使用することができるものであり、工業的に極めて大き
な意義を有するものである。また、本発明のアミラーゼ
を配合した洗浄剤組成物には公知の洗浄剤成分を配合す
ることができ、用途、目的に合わせて任意に配合でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルカリ耐性アミラーゼの反応pHと相
対酵素活性との関係を示す図面である。
【図2】本発明のアルカリ耐性アミラーゼの処理pHと残
存酵素活性との関係を示す図面である。
【図3】本発明のアルカリ耐性アミラーゼの反応温度と
相対酵素活性との関係を示す図面である。
【図4】本発明のアルカリ耐性アミラーゼの処理温度と
残存酵素活性との関係を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒木 裕行 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 尾崎 克也 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 Fターム(参考) 4B050 DD02 FF04E FF05E FF11E LL04 4H003 EA15 EA16 EB08 EC01 EE05 FA16 FA47

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の酵素学的性質を有するアルカリ耐性
    アミラーゼ。 1)作用 澱粉、アミロース、アミロペクチン及びそれらの部分分
    解物のα−1,4グルコシド結合を分解し、アミロース
    からはグルコース、マルトース、マルトトリオース、マ
    ルトテトラオース、マルトペンタオース及びマルトヘキ
    サオースを生成する。但しプルランには作用しない。 2)作用pH範囲及び最適作用pH pH4.5〜10.5の範囲で作用し、最適作用pHは7.
    5〜8.5である。また、pH10.0で最適作用pHの約
    55%の相対酵素活性を示し、pH10.5でも約20%
    の相対酵素活性を示す(ブリットン−ロビンソン緩衝液
    中、可溶性澱粉を基質とした場合)。 3)pH安定性 pH5.0〜12.0の範囲で極めて安定である(ブリッ
    トン−ロビンソン緩衝液中,50℃、15分間処理)。 4)作用温度範囲及び最適作用温度 20〜90℃の範囲で作用し、最適作用温度は60〜7
    0℃である(トリス塩酸緩衝液(pH8.5)中、可溶性
    澱粉を基質とした場合)。 5)温度安定性 50℃以下で極めて安定であり、60℃でも約50%の
    残存活性を示す(10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)
    中、60分間処理)。 6)分子量 58,000±5,000(ソディウムドデシル硫酸ポ
    リアクリルアミドゲル電気泳動法による)。 7)等電点 4.5付近(等電点電気泳動法による)。 8)界面活性剤の影響 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル
    硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル
    硫酸エステルナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウ
    ム、石鹸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の界
    面活性剤によってほとんど活性阻害を受けない。 9)金属イオンの影響 1mMのHg2+及びPd2+により強く阻害され(阻害率約
    70%)、1mMのZn 2+、Cd2+及びMn2+によって若
    干阻害される(阻害率20〜30%)。
  2. 【請求項2】 バチルス(Bacillus)属に属する微生物
    由来である請求項1記載のアルカリ耐性アミラーゼ。
  3. 【請求項3】 バチルス エスピー(Bacillus sp.)K
    SM−9423(FERM P-16516)由来である請求項1記
    載のアルカリ耐性アミラーゼ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006187276A (ja) * 2004-12-09 2006-07-20 Kao Corp α−アミラーゼの活性化方法
JP2007014258A (ja) * 2005-07-07 2007-01-25 Kao Corp α−アミラーゼの活性化方法
US7803604B2 (en) 2000-07-28 2010-09-28 Henkel Ag & Co. Kgaa Amylolytic enzyme extracted from Bacillus sp. A 7-7 (DSM 12368) and washing and cleaning agents containing this novel amylolytic enzyme

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