JP4139537B2 - ポリガラクツロナーゼ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄剤、繊維処理剤等として有用なポリガラクツロナーゼに関する。
【0002】
【従来の技術】
ペクチン質を分解する酵素としてはポリガラクツロナーゼ(ペクチナーゼ)、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンリアーゼ等が知られており、食品工業分野ではペクチン質分解能を有効に利用し、果汁、ワイン等の清澄化、柑橘類ジュースの搾汁率の向上、果物残渣から可溶性成分の回収、みかん果皮の剥皮等にこれらの酵素を応用している。また、植物性繊維の酵素精練にはペクチン質分解酵素が古くから用いられている。さらにポリガラクツロナーゼ(ペクチナーゼ)を衣料洗剤用酵素として利用しようとする試みもあり、例えば、特開昭60−226599号公報、特公平6−39596号公報、WO98/06809号公報等に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
食品工業においては、一般的に作用pHの低い領域で効率良く働くポリガラクツロナーゼが必要とされるが、衣料用洗浄剤、繊維処理等に使用される場合には、酵素が中性からアルカリ性領域で作用すること、界面活性剤、キレート剤等に対し安定であることが必要とされる。さらに植物性繊維においてペクチン質は不溶性ペクチンであるプロトペクチンとして存在しているため、プロトペクチンを分解する能力も必要である。
【0004】
しかしながら、現在までに唯一知られているアルカリポリガラクツロナーゼ(特公昭48−6557号公報)は好アルカリバチルスP−4−N株が生産し、最適反応pHを10付近に有するエンド型の酵素であるが、反応にカルシウムイオンが必須であってキレート剤耐性の低い酵素である。また、フザリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)株由来の酵素は、ポリガラクツロン酸を基質にした場合、最適反応pHを5付近に有する。反応生成物はモノガラクツロン酸であるが、SDSにより著しく阻害されること、カルシウム、マグネシウム、コバルト、亜鉛等の金属イオンによって阻害され(Maceira et al.,FEMS Microbiol.Lett.,154,37-43,1997)、洗浄剤用酵素としては適さない。また、セレモナス ルミナンティウム(Selenomonas ruminantium)由来の酵素は、最適反応pHをpH7付近に示すが、作用pHならびに安定pH範囲が非常に狭いことが特徴であり、最適反応温度は40℃付近で、反応産物はジガラクツロン酸である(Heinrichova et al.,J.Appl.Bacterol.,66,169-174,1989)。
【0005】
従って本発明の目的は、中性付近に最適反応pHを示し、耐界面活性剤、耐キレート剤に優れ、プロトペクチナーゼ活性を有し、アルカリ性領域でも作用するポリガラクツロナーゼを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、土壌中の微生物が産生する酵素のスクリーニングを行ったところ、中性付近に最適反応pHを示し、界面活性剤、キレート剤に耐性で且つアルカリ性領域においても作用するプロトペクチナーゼ活性を有するポリガラクツロナーゼを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、下記の酵素学的性質を有するポリガラクツロナーゼ、その生産菌及びその製造法を提供するものである。
(1)作用:ポリガラクツロン酸(ペクチン酸)、ペクチン及びプロトペクチンに作用し、ポリガラクツロン酸のα−1,4結合をエキソ的に加水分解し、モノガラクツロン酸を生成する。
(2)最適反応pH:pH7付近(MOPS緩衝液、トリス−塩酸緩衝液)。
(3)最適反応温度:約60℃(トリス−塩酸緩衝液、pH8.0)。
(4)pH安定性:pH8〜11(40℃、30分間処理)。
(5)耐熱性:約50℃(トリス−塩酸緩衝液、pH8.0、15分間処理)。
(6)分子量:約175000(ゲル濾過法)。
(7)等電点:pH6.3付近(等電点電気泳動法)。
(8)金属イオンの影響:キレート剤の添加によって阻害されないが、カルシウム、ストロンチウム及びマンガンの各イオンによって活性化される。
【0008】
本発明のポリガラクツロナーゼは、例えばポリガラクツロナーゼ生産菌を培養し、その培養液から採取することにより製造できる。かかる生産菌としては、バチルス属に属する細菌、例えば下記の菌学的性質を有するバチルス エスピーKSM−P816株が挙げられる。
【0009】
A 形態学的性質
(a)細胞の形、大きさ:桿菌(0.6〜0.8×2.4〜3.2μm)
(b)多形性:無し
(c)運動性:有り
(d)胞子(大きさ、形、位置、膨潤の有無):楕円形、0.6〜0.8×0.8〜1.0μm、準端、膨潤無し
(e)グラム染色:不定(CVT寒天培地には生育せず)
(f)抗酸性:陰性
(g)肉汁寒天培地上での生育:乳白色、不規則状のコロニーを形成
【0010】
B 生理学的性質
(a)硝酸塩の還元:+
(b)脱窒反応:−
(c)MRテスト:−
(d)VPテスト:+
(e)インドール生成:−
(f)硫化水素の生成:−
(g)デンプン加水分解:+
(h)ゼラチン加水分解:+
(i)カゼイン加水分解:+
(j)クエン酸の利用:+
(k)無機窒素の利用:+
(l)ウレアーゼ:−
(m)オキシダーゼ:−
(n)カタラーゼ:+
(o)リトマスミルク:指示薬を還元し、ペクトン化する
(p)生育温度範囲:12〜59℃
(q)生育pH範囲:pH6〜10
(r)嫌気条件下での生育:生育
(s)OFテスト:−
(t)グルコースからのガス産生:−
(u)塩化ナトリウムに対する耐性:10%で生育
(v)糖からの酸生成:以下の糖類からの酸生成が認められた。リボース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、シュークロース、グルコース、マンニトール、マンノース、イノシトール、ソルビトール、トレハロース、ラクトース、グリセリン、マルトース、フラクトース、ラフィノース、サリシン、ラムノース、可溶性デンプン
【0011】
以上、バチルス エスピー KSM−P816株の形態学、生理学的性質について「Bergey's Manual of Systematic Bacteriology」(Williams & Wilkins社、1984年)の記載に準じ比較検討した結果、本菌株はバチルス リケニホルミスに近縁な菌種であると考えられた。しかし、その性質は既知のバチルス リケニホルミスとは一致せず、他のバチルス属細菌の諸性質とも一致しないため、新規なバチルス属細菌として本菌株を工業技術院生命工学研究所へバチルス エスピー KSM−P816(FERM P−17565)として寄託した。
【0012】
バチルス エスピー KSM−P816株等のポリガラクツロナーゼ生産菌を用いて本発明のポリガラクツロナーゼを生産するには、菌株を同化性の炭素源、窒素源、その他の必須栄養素を含む培地に接種し、常法に従い振盪培養あるいは通気攪拌培養すれば良い。
【0013】
得られた培養物中からのポリガラクツロナーゼの採取及び精製は、一般の方法に準じて行うことができる。即ち、培養物から遠心分離又は濾過することで菌体を除き、得られた培養上清液から常法手段により目的酵素を濃縮することができる。このようにして得られた酵素液又は乾燥粉末はそのまま用いることもできるがさらに公知の方法により結晶化や造粒化することができる。
【0014】
本発明のポリガラクツロナーゼの一例であるバチルス エスピー KSM−P816株由来のポリガラクツロナーゼは、以下のような酵素学的性質を有する。
【0015】
尚、ポリガラクツロナーゼ活性は次の測定法によった。
[標準酵素活性測定法]
試験管に0.2mLの0.5Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.6)、0.2mLの1%(w/v)ポリガラクツロン酸(ICNバイオメディカル;lot14482、水酸化ナトリウム溶液にてpH6.8に調整)、0.1mLの4mM塩化カルシウム、0.4mLの脱イオン水を添加し、30℃で5分間恒温した。これに0.1mLの適当に希釈した酵素液[希釈は1mM塩化カルシウムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で行った]を加え20分間反応させた後、1mLのジニトロサリチル酸試薬を添加し、沸水中で5分間還元糖の発色を行った。氷水中で急冷し、4mLの脱イオン水を加え535nmにおける吸光度を測定し還元糖の生成量を求めた。尚、ブランクは酵素液を加えずに処理した反応液にジニトロサリチル酸試薬を加えた後、酵素液を添加し、同様に発色させたものを用意した。酵素1単位(1U)は、上記反応条件下において1分間に1μmol のD−ガラクツロン酸相当の還元糖を生成する量とした。
【0016】
(1)基質特異性
ポリガラクツロン酸の代わりにエステル化度の異なるペクチンを基質とし、標準活性測定法により反応速度を調べた。エステル化度28%のペクチン(シグマ;lot74H1092)では約60%、エステル化度67%のペクチン(シグマ;lot74H1093)に対して約40%、エステル化度93%のペクチン(シグマ;lot125H0123)に対しては、約30%の分解活性を示した。
次に基質として30cmしつけ糸(金鈴印)1本(約25mg)を用い、市販の衣料用洗剤溶液(pH10.5)及び酵素(0.2U)を添加し、30℃、1時間反応を行った。反応液(2mL)を遠心分離し、上清液中に遊離したペクチンをオルシノール塩酸法により定量した。その結果、上記反応条件下において約15μgのペクチン遊離が認められた。このことは本酵素が木綿繊維表面のプロトペクチンに作用していると考えられ、Aタイプに属するプロトペクチナーゼ活性(坂井、阪本、繊維工学、45、301、1992)を有していることが示唆された。
【0017】
(2)基質の分解様式
50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、0.2%ポリガラクツロン酸、0.2mM塩化カルシウムからなる反応液に0.05Uの酵素を添加し、全量を0.25mLとした。30℃、30分間反応させた液を薄層クロマトプレート(kiesel gel 60:メルク)に約10μL スポットし、n−ブタノール:酢酸:水=5:2:3(v/v)の溶媒系で展開を行った。反応物の検出にはアニスアルデヒド−硫酸溶液を用い、プレートに噴霧後、100℃、10分間乾燥器中で発色させた。その結果、反応生成物としてモノガラクツロン酸のみが検出され、本酵素はエキソ型のポリガラクツロナーゼと判断された。
【0018】
(3)最適反応pH
MOPS緩衝液(pH6〜8)、トリス−塩酸緩衝液(pH7〜9)、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8〜11)の各緩衝液(100mM)を用いて最適反応pHを調べた結果、本酵素はpH7.0のMOPS緩衝液又はトリス−塩酸緩衝液中で最も高い反応速度を示した。また、pH6〜8間で最大活性の70%以上の活性を示した(図1)。
【0019】
(4)最適反応温度
100mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.6)中、5℃〜80℃の各温度で酵素反応を行い、最適反応温度を調べた。その結果、本酵素は60℃付近に最適反応温度を示し、50℃〜70℃の範囲で最大活性の60%以上の活性を示した。また、塩化カルシウムを反応系に添加しない場合においても、最適反応温度は変わらずに塩化カルシウム添加に比べて反応速度はやや低くなる傾向が認められた(図2)。
【0020】
(5)安定pH範囲
マックルベイン氏緩衝液(pH2〜8)、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8〜11.5)、塩化カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液(pH11〜12.5)の各緩衝液(50mM)中に酵素を添加し、40℃、30分間恒温した後、残存活性を測定した。その結果、本酵素はグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH9.0)中での残存活性を100%とした場合、pH8〜11の範囲で80%以上の残存活性を示した。尚、各処理において1mMの塩化カルシウムを添加した場合、酸性側での安定性が増大する傾向にあった。即ち、pH6〜11の範囲で最大活性値の80%以上の残存活性を示した(図3)。
【0021】
(6)耐熱性
50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)中に酵素を添加し、5℃〜80℃の各温度で15分間恒温した後の残存活性を測定した。本酵素は、この条件下において50℃まで非常に安定であり、60℃以上で徐々に失活した(図4)。また、1mM塩化カルシウムを添加した場合、酵素の耐熱性には何ら影響を与えなかった。
【0022】
(7)分子量(ゲル濾過法)
100mM塩化カリウム、1mMジチオスレイトール及び1mM塩化カルシウムを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)にて平衡化したトヨパールHW55カラム(1.5×65cm)に本酵素を載せ約36mL/hの流速で溶出を行った。標準タンパク質としてカタラーゼ(232000)、アルドラーゼ(158000)、牛血清アルブミン(67000)、卵白アルブミン(43000)を用い、それぞれの溶出液量と分子量から検量線を作製し、本酵素の分子量を求めたところ約175000と推定された。
【0023】
(8)等電点
PAG−Plate(ファルマシア;pH3.5〜9.5)を用いて本酵素の等電点電気泳動を行った。泳動したゲルを10mMリン酸緩衝液(pH7.0)中に浸した後、ポリガラクツロン酸を含む寒天プレート[1.0%ポリガラクツロン酸、0.1%リン酸1水素カリウム、1.0%塩化ナトリウム、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、1.0%寒天]上に置いた。37℃、3時間恒温した後、ゲルを取り去り、1%セチルトリメチルアンモニウムブロマイド溶液を注いだ。約10分後に活性に伴う溶解斑が生じた部分のタンパク質移動度と標準タンパク質(バイオラッド)の等電点と移動度から得た検量線より本酵素の等電点は、pH6.3付近であると決定された。
【0024】
(9)各種化合物の影響
本酵素の活性に及ぼす各種化合物の影響は、各化合物を所定濃度になるように反応系へ添加し、活性を測定することにより調べた。その結果、本酵素は、N−ブロモサクシンイミド(1mM)により、約70%阻害されたが、他の化合物、特にキレート剤であるEDTA、EGTA(各5mM)では阻害されることはなかった(表1)。
【0025】
【表1】
Figure 0004139537
【0026】
(10)界面活性剤の影響
各種界面活性剤を0.2%(w/v)になるように添加した反応系において、酵素活性を測定した。その結果、0.2%という高濃度の各界面活性剤の存在下においても、本酵素は対照に比べ70%以上の活性を発現しうることが判った(表2)。
【0027】
【表2】
Figure 0004139537
【0028】
(11)金属塩の影響
各種金属塩を標準酵素活性測定条件(塩化カルシウムは無添加)に1mM添加し、酵素活性に与える影響を調べた。その結果、本酵素は塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化マンガンにより、対照に比べ117〜142%と活性化された。一方、塩化亜鉛、塩化ニッケルにより約90%、50%とそれぞれ阻害を受けた(表3)。
【0029】
【表3】
Figure 0004139537
【0030】
このように本発明のポリガラクツロナーゼは、最適反応pHをpH7付近、最適反応温度を60℃付近、界面活性剤、キレート剤に耐性を有し、エキソ型の分解様式でありながらも、Aタイプに属するプロトペクチナーゼ活性を示すことから、従来公知のポリガラクツロナーゼ、特にエキソポリガラクツロナーゼとは全く異なる新規な酵素である。
【0031】
【実施例】
実施例1.ポリガラクツロナーゼ生産菌のスクリーニング
日本各地の土壌を滅菌水に懸濁したものを80℃、20分間熱処理し、下記の組成を有する寒天平板培地に塗布した。30℃の培養器で3〜5日間静置培養し、菌の生育後、冷蔵庫で冷却した。生育した菌の周辺にペクチンの分解に伴う溶解斑が検出されたものについて選抜し、シングルコロニー化を繰り返し、ポリガラクツロン酸分解酵素の生産能を検定した。
このようにして得られた多くの菌株は、主にペクチン酸リアーゼを生産したが、その中でポリガラクツロナーゼ生産菌としてバチルス エスピー KSM−P816株を得た。
スクリーニング用培地組成
ペクチン(シグマ) 2.0%(w/v)
肉エキス(ラブレムコ) 1.5%
酵母エキス(ディフコ) 0.5%
硫酸マンガン4〜6水塩 0.005%
寒天 1.5%
トリス−塩酸緩衝液( pH 8.6) 50 mM (別滅菌)
【0032】
実施例2.バチルス エスピー KSM−P816株によるポリガラクツロナーゼの生産
上述のスクリーニングにより得られたバチルス エスピー KSM−P816株の培養は、500mL容坂口フラスコに50mLの培地を加え、30℃、2日間好気的に行った。培地組成は、0.5%(w/v)ペクチン(シグマ)、1.5%ポリペプトンS(日本製薬)、酵母エキス(ディフコ)、1.0%魚肉エキス(和光純薬)、0.1%リン酸1水素カリウム、0.005%硫酸マンガン4〜6水塩、0.02%硫酸マグネシウム7水塩、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.6;別滅菌)であった。本条件下におけるポリガラクツロナーゼの生産性は約200U/Lであった。
【0033】
実施例3.ポリガラクツロナーゼの精製
バチルス エスピー KSM−P816株の培養液を遠心分離(8000×g、15分間、4℃)により上清液(2L)を得た。これを透析膜に入れポリエチレングリコール20000(和光純薬)をまぶして内液の濃縮を行った。さらに限外濾過用モジュール(AIP1010:旭化成)により濃縮、脱塩を行った。さらに1mM塩化カルシウム及び1mMジチオスレイトールを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に対し充分に透析を行い、得られた粗酵素液(145mL)を同緩衝液にて平衡化しておいたDEAEトヨパール650Mカラム(3.5×23cm:東ソー)に添着した。約1000mLの平衡化緩衝液を用いて非吸着タンパク質を洗浄溶出させた後、0から0.3M塩化ナトリウムを含む緩衝液(300mLずつ)を用い、濃度勾配溶出法により吸着タンパク質の溶出を行った。約0.1Mの塩化ナトリウム濃度付近にポリガラクツロナーゼ活性が溶出された。一方、併産されるペクチン酸リアーゼ活性は、非吸着画分に溶出されたため、ポリガラクツロナーゼ画分を集め(80mL)、限外濾過(YM3メンブレン:アミコン)により濃縮を行った(8.5mL、1.0U、2.0mgタンパク質)。
上記精製操作により得られたポリガラクツロナーゼ画分は、前述の酵素学的性質を示した。
【0034】
【発明の効果】
本発明のポリガラクツロナーゼは、pH7付近に最適反応pHを有し、アルカリ性領域においても作用すること並びに、界面活性剤に対し安定であり、プロトペクチナーゼ活性を有し、特にキレート剤に対し安定なことから衣料用洗剤酵素、繊維処理用酵素として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリガラクツロナーゼ活性に及ぼすpHの影響を示す図である。
【図2】本発明のポリガラクツロナーゼ活性に及ぼす温度の影響を示す図である。
【図3】本発明のポリガラクツロナーゼ安定性に及ぼすpHの影響を示す図である。
【図4】本発明のポリガラクツロナーゼ安定性に及ぼす温度の影響を示す図である。

Claims (4)

  1. 次の酵素学的性質を有するポリガラクツロナーゼ。
    (1)作用:ポリガラクツロン酸(ペクチン酸)、ペクチン及びプロトペクチンに作用し、ポリガラクツロン酸のα−1,4結合をエキソ的に加水分解し、モノガラクツロン酸を生成する。
    (2)最適反応pH:pH7付近(MOPS緩衝液、トリス−塩酸緩衝液)。
    (3)最適反応温度:約60℃(トリス−塩酸緩衝液、pH8.0)。
    (4)pH安定性:pH8〜11(40℃、30分間処理)。
    (5)耐熱性:約50℃(トリス−塩酸緩衝液、pH8.0、15分間処理)。
    (6)分子量:約175000(ゲル濾過法)。
    (7)等電点:pH6.3付近(等電点電気泳動法)。
    (8)金属イオンの影響:キレート剤の添加によって阻害されないが、カルシウム、ストロンチウム及びマンガンの各イオンによって活性化される。
  2. 請求項1記載のポリガラクツロナーゼを生産するバチルスエスピー KSM−P816(FERM P−17565)。
  3. 請求項1記載のポリガラクツロナーゼを生産するバチルス属に属する細菌を培養し、培養物から該ポリガラクツロナーゼを採取するポリガラクツロナーゼの製造法。
  4. 細菌がバチルス エスピー KSM−P816(FERMP−17565)である請求項3記載の製造法。
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