JP4556291B2 - スピニング加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピニング加工方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
円筒状ワークの加工方法には、特開平2−6024号に開示されている様に、当該ワークを回転させながらその外周面を加工ローラによって押圧するスピニング加工という方法がある。このスピニング加工においては、ワークを回転させ、加工ローラを当該ワークに対して一定の移動量で移動させることにより、ワークを押圧して所望の形状を得ることができる。この加工ローラの移動量は、ある一定の移動量でワークを加工してみて出来上がった製品の径を測定し、その測定結果に基づいて決定されていた。また、加工ローラの一定の移動量は、熟練した作業者の経験および勘にも基づいて、決定されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような方法は、所望の製品が出来あがるであろう加工ローラの移動量を決定しているにすぎず、実際にワークの径を計測しながら加工を行うものではない。したがって、ワークを回転させている回転軸が加工ローラの押圧によって歪んでしまうような場合は、加工ローラが一定の移動量だけ移動していたとしても、回転軸が歪んでいる分目標からずれて、所望の径の製品を作ることができない。
【0004】
このため、ワークの加工、および出来た製品の測定を繰り返し行わなくてはならなくなり、また、失敗作が出来る可能性も高く、結果として、相当の費用や労力が必要となる。
【0005】
さらに、加工中にワークの径が計測できないので、加工が失敗していることが後から発見され、加工を失敗したワークをもう一度加工しようとしても、ワークに加工硬化が起こっているので適切な加工をすることは難しく、また、適切な加工ができたとしても相当の費用や労力が必要となる。
【0006】
また、加工の際ワークにはクーラントが供給されるので、測定用ゲージ(インジケータ)を用いてワークの径を測定しようとしても、クーラントがインジケータにもかかり、正確にワークの径を測定できないばかりか、インジケータ自体の精度まで劣化させかねない。したがって、インジケータを使用することも出来ない。
【0007】
また、従来方法では、ワークの回転軸の歪みを検出していない。これでは、加工ローラがワークを押圧する力が大きくなりすぎて、ワークの回転軸が大きく歪んでいる場合でも、それに対処することができず、加工装置自体の故障につながるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ワークの径を計測しながら精度よく加工することができ、さらに、ワークの回転軸の歪みを検出することができるスピニング加工方法および装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)回転自在な主軸と円筒状ワークを介して当該主軸に追動する支軸とに挟持された当該円筒状ワークを回転させ、当該ワークの外周面から回転軸心に向けて加工ローラで押圧して当該ワークを加工するスピニング加工方法において、前記ワークの回転量を検出する第1検出工程と、前記ワークに圧接されて共に回転する測定用ローラの回転量を検出する第2検出工程と、予め測定された測定用ローラの径と前記第1検出工程および第2検出工程の検出結果とに基づいて、ワークの径を算出する径算出工程と、前記径算出工程の算出結果に基づいて、加工を終了するか否かを判断する判断工程とを有し、前記測定用ローラが前記ワークの加工中に回転軸心に垂直な方向に移動した移動量を検出する第3検出工程と、当該第3検出工程の検出結果および前記径算出工程の算出結果に基づいて、ワークの回転軸の歪み量を算出する歪み量算出工程と、当該歪み量算出工程の算出結果に基づいて、前記ワークを加工ローラで押圧する力を調節する調節工程とをさらに有することを特徴とするスピニング加工方法。
【0011】
(2)前記歪み量算出工程の算出結果が予め設定された許容範囲を超える場合、前記ワークを加工ローラで押圧する力を小さくすることを特徴とする。
【0017】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、第1検出工程において、ワークの回転量を検出し、第2検出工程において、ワークに圧接されて共に回転する測定用ローラの回転量を検出し、径算出工程において、予め測定された測定用ローラの径と検出された測定用ローラおよびワークの回転量とに基づいてワークの径を算出し、判断工程において、ワークの径に基づいて加工を終了するか否かを判断するようにした。そして、第3検出手段において、測定用ローラがワークの加工中に回転軸心に垂直な方向に移動した移動量を検出し、歪み量算出工程において、当該移動量とワークの径の変化量とに基づいてワークの回転軸の歪み量を算出し、調整工程において、歪み量に基づいてワークを押圧する力を調節するようにした。
したがって、加工後のワークを測定して所望のワークが作られたか否かを判断する必要がなく、また、インジケータなどを用いることなく加工中にワークの径を測定しながら精度良く加工してワークの形状等を良好なものにし、加工を終了することができる。しか
も、加工ローラの押圧力によりワークの回転軸が歪んでも影響を受けることなく、所望の径のワークを精度良く加工することができる。
さらに、加工ローラがワークを押圧する力によって、ワークの回転軸が所定以上に歪むことを解消することができる。結果として、加工装置自体の故障につながるといった事態を防止することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、歪み設定工程において、予め設定された歪みの許容範囲を超える場合、ワークを押圧する力を小さくするようにしたので、ワークの回転軸の歪みを常に設定された任意の許容範囲内に抑えることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1は本発明に係るスピニング加工装置の概略構成図、図2は同スピニング加工装置の支軸部を示す要部断面図、図3は同スピニング加工装置の測定部を示す断面図である。
【0028】
図1において、本発明に係るスピニング加工装置10は、ワーク15の径を算出しながら、当該ワーク15を加工するものである。このスピニング加工装置10は、ワーク15を回転させるための主軸部20と、当該主軸部20との間でワーク15を挟持するとともにワーク15を介して当該主軸部の回転に追動する支軸部30と、ワーク15を押圧して加工する加工部40と、ワーク15に圧接して加工の状態を測定する測定部50と、作業者によって加工開始などの入力が行われる操作盤60と、各部の動作を制御する制御部70とを有する。
【0029】
まず、主軸部20は、ワーク15を回転させる原動機となるモータM1と、モータM1の回転を伝達するベルト21と、マンドレル23を回転可能に支持する支持部材22と、ベルト21からの回転をワーク15に与えるマンドレル23とを含む。
【0030】
支軸部30は、マンドレル23との間でワーク15を挟持するテールストック31と、テールストック31の回転量を検出するためのエンコーダ32と、テールストック31を回転可能に支持する支持部33と、テールストック31がワーク15を挟持する際の圧力を発生させる油圧シリンダ34とを含む。
【0031】
この支軸部30は、図2に示すように、テールストック31が支持部33の軸受部材36により回転可能に支持されている。テールストック31の回転は、エンコーダ32で検出され、電気信号として制御部70に送信される。
【0032】
加工部40は、ワーク15に押圧させられる加工ローラ41と、加工ローラ41を支持する台座42と、台座42をワーク15の回転軸心に対して垂直に移動させるためのモータM2と、台座42をワーク15の回転軸心に対して平行に移動させるためのモータM3とを含む。モータM2の先端に設けられたおねじは台座42に設けられためねじに螺合されている。したがって、モータM2が回転すると、ねじの送り作用により、台座がワーク15の回転軸心に対して垂直に移動する移動量が変化する。同様の原理を使い、モータM3も、台座42を移動させる。
【0033】
測定部50は、ワーク15に対して加工ローラ41と反対側に配置され、ワーク15に圧接されて共に回転する測定用ローラ51と、測定用ローラ51の回転を検出するように設けられたエンコーダ52と、測定用ローラ51をワークに圧接させるための圧接部53と、測定用ローラ51の移動量を検出する移動量検出器54とを含む。
【0034】
測定部50をさらに詳述すると、図3に示すように、測定用ローラ51を支持する移動体55は、ワーク15の回転軸心に対して垂直に移動可能に設けられ、弾性体Sによって常に測定用ローラ51がワーク15に圧接されるように方向に付勢されている。この弾性体Sは、例えば、バネである。
【0035】
また、移動体55の側面には、油圧の供給が行われる油圧室57が設けられている。油圧室57に油供給ポンプ56から油路56aを経て油が供給されると、移動体55はワーク15の回転軸心と反対方向に移動する。こうして、弾性体Sによる付勢力に反発する力が移動体55に与えられるので、圧接されていた測定用ローラ51がワーク15から離れる。なお、移動体55を保持する保持体59の内面59aに当接する移動体55の外周面55aには、OリングR1が設けられているので、油路56aを経て供給される油が油圧室57から弾性体Sの方へ漏れることはない。油供給ポンプ56による油の供給は、制御部70によって制御される。
【0036】
移動体55が保持体59から外れないように、また、油圧室57を形成するためにカバーCが保持体59にネジ止めされている。移動体55に当接するカバーCの内面C1にはOリングR2が設けられ、また、保持体59に当接するカバーCのフランジ面C2にもOリングR3が設けられているので、油供給ポンプ56から供給される油が油圧室57からカバーC外に漏れることはない。
【0037】
移動量検出器54は、マグネスケール58によって移動体55の移動量を常に検出する。検出された移動体55の移動量は、電気信号として制御部70に送信される。また、エンコーダ52によって検出された測定用ローラ51の回転量も、電気信号として制御部70に送信される。
【0038】
操作盤60は、制御部70と接続されており、操作者がスピニング加工装置10の起動や停止等の命令を入力するために用いられる。
【0039】
制御部70は、エンコーダ32、エンコーダ52、移動検出器54および操作盤60と接続され、それらの検出結果または命令に基づいてモータM1、油圧シリンダ34、モータM2、モータM3、油供給ポンプ56を制御する。
【0040】
次に、スピニング加工装置10の作用を説明する。
【0041】
図4はワーク加工開始前のマンドレル23およびテールストック31の状態を示す要部断面図であり、図5はワーク加工開始後のマンドレル23およびテールストック31の状態を示す要部断面図である。
【0042】
まず、図4に示すように、マンドレル23とテールストック31とでワーク15を挟持する。ここで、テールストック31は、油圧シリンダ34の圧力によって、マンドレル23に嵌められたワーク15にしっかり押しつけられる。また、測定部50の油圧室57に供給されている油圧が解除されて、弾性体Sによる付勢力により測定用ローラ51が移動させられ、測定用ローラ51は、ワーク15に圧接される。
【0043】
ワーク15がマンドレル23およびテールストック31間に挟持された状態で、操作盤60上で加工開始が指示されると、主軸部20のモータM1に回転の命令が与えられる。モータM1が回転すると、ベルト21を介して、マンドレル23にも回転が与えられる。マンドレル23の回転に追動して、ワーク15およびテールストック31も回転する。テールストック31の回転は、エンコーダ32によって検出され、電気信号として制御部70に送信される。
【0044】
ここで、ワーク15が回転を始めると、このワーク15に圧接された測定用ローラ51はワーク15と共に回転する。測定用ローラ51の回転はエンコーダ52によって検出され、測定用ローラ51がワーク15の軸心方向に移動した移動量はマグネスケール58によって検出され、それぞれ電気信号として制御部70に送信される。
【0045】
そして、加工部40の加工ローラ41がワーク15を押圧し始める。このとき、制御部70によってモータM2が制御されて台座42が移動することにより、加工ローラ41は、ワーク15を押圧する。
【0046】
加工が終了すると、加工ローラ41がワーク15から離れるように、制御部70によってモータM2が制御される。
【0047】
そして、測定部50の油圧室57に油圧が供給され、測定用ローラ51に対する弾性体Sの付勢力に抗して、移動体55を移動させることにより、測定用ローラ51がワーク15から離れる。
【0048】
加工開始からの各部の動作は、上述のように制御部70によって制御される。
【0049】
そして、制御部70は、エンコーダ32、エンコーダ52および移動量検出器54から送信された電気信号に基づいて、さらに、各部の動作を制御する。
【0050】
以下、スピニング加工装置10内の制御系について説明する。
【0051】
図6は、本発明に係るスピニング加工装置10内の制御関係を示すブロック図である。
【0052】
まず、制御部70は、制御装置80と、計測処理装置81とで構成される。さらに、計測処理装置81は、検出部82と、演算部83と、記憶部84と、出力部85とを含む。また、操作盤60には、操作者が加工の設定(ワークの径、ワークの径の精度の許容範囲、ワークの回転軸の歪みの許容範囲など)を入力するための入力部86が設けられており、入力部86において入力された設定の情報は、記憶部84において記憶される。
【0053】
前述のエンコーダ32、エンコーダ52および移動量検出器54で検出された検出結果は、検出部82で受信される。演算部83は、記憶部84に記憶されている設定の情報と検出部82において受信された検出結果とに基づいて演算を行い、演算結果を出力部85から送信する。制御装置80は、演算結果を受信し、その演算結果に基づいて、モータM1、油圧シリンダ34、モータM2、モータM3、油供給ポンプ56を制御する。
【0054】
次にさらに具体的なスピニング加工装置10の制御について、図7および図8を参照しながら説明する。
【0055】
なお、図7および図8は、それぞれスピニング加工装置10の制御の流れを示すフローチャートであるが、図7については、ワーク15の径を算出しフィードバック制御する場合、図8については、さらに、ワーク15の回転軸の歪み量を算出しフィードバック制御する場合に関するので、以降前者を第1の実施の形態とし、後者を第2の実施の形態としてその具体的な制御の流れを説明する。
【0056】
(第1の実施の形態)
図7は、ワーク15の径を算出しながら加工を行うときのスピニング加工装置10の動作を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS10では、入力部86から計測処理装置81へ、加工の初期設定の入力が行われる。ここで、加工の初期設定の入力とは、予め計測されている計測用ローラ51の径d(mm)、エンコーダ52によって検出される計測用ローラ51の1回転当たりのパルス数a(パルス/回転)、エンコーダ32によって検出されるテールストック31の1回転当たりのパルス数b(パルス/回転)、および加工完了時のワーク15の径の目標値G(mm)と許容される誤差g(mm)とを入力することである。入力された初期設定は、記憶部84に記憶される。
【0058】
ステップS11では、スピニング加工装置10は、入力された初期設定に従ってワーク15の加工を開始する。
【0059】
ステップS12では、計測用ローラ51の1分間当たりの回転数n(rpm)を算出する。ここで、まず、エンコーダ52の検出に基づいて、計測処理装置81は、計測用ローラ51の単位時間S(sec)当たりのパルス数c(パルス)を受信する。そして、演算部83は、受信した値と記憶部84に記憶されている初期設定の内容とを次の式に代入する。
【0060】
n=(c×60)/(a×S)
ステップS13では、テールストック31の1分間当たりの回転数N(rpm)を算出する。ここで、まず、エンコーダ32の検出に基づいて、計測処理装置81は、テールストック31の単位時間S(sec)当たりのパルス数e(パルス)を受信する。そして、演算部83は、受信した値と記憶部84に記憶されている初期設定の内容とを次の式に代入する。
【0061】
N=(e×60)/(b×S)
ステップS14では、加工中のワーク15の径D(mm)を算出する。ここでは、計測用ローラ51とテールストック31との回転数の比および初期設定で入力された計測用ローラ51の径d(mm)に基づいて加工中のワーク15の径を算出する。つまり、これらの値を次の式に代入して、加工中のワーク15の径D(mm)を算出する。
【0062】
D=d×n/N
このように、ワークと共にマンドレル23に追動するテールストック31の回転数Nをワーク15の回転数として使用すれば、ワーク15とマンドレル23が滑って、マンドレル23の回転がそのまま伝わらない場合でも、正確なワーク15の回転数を検出することができる。
【0063】
ステップS15では、ステップS14で算出したワーク15の径が目標値の許容される誤差の範囲内であるか否かを判断する。ここでは、加工の性質上、ワーク15の径が小さくなるように加工されるので、径の目標値G(mm)より許容誤差g(mm)だけ大きい範囲内で、ワーク15の加工が完了すればよい。したがって、加工後のワーク15の径が許容される範囲G+g(mm)以下になれば、加工を終了してもよいので、D≦G+gなら、ステップS16に進む。逆に、D>G+gなら、許容される範囲まで加工が進んでおらず、加工を継続する必要があるので、ステップS12に戻る。
【0064】
ステップS16では、ワーク15が許容される範囲内まで加工されたので、加工終了の信号が演算部83から出力部85を介して、制御装置80に送信される。そして、制御装置80は、図6に示す各部を制御して、スピニング加工装置10全体の動作を終了する。
【0065】
上記流れを具体的数値に置き換えて説明する。
【0066】
例えば、ステップS10で初期設定が、d=50(mm)、a=1000(パルス/回転)、b=1000(パルス/回転)、G+g=100+0.1(mm)と入力されているときに、ステップS12で単位時間S=0.01(秒)当たりの計測用ローラ51のパルス数c=100(パルス)が受信され、ステップS13で単位時間S=0.01(秒)当たりのテールストック31のパルス数e=50パルスが受信されたとする。
【0067】
このとき、これらの値をステップS12に代入すると、
n=100×60/1000/0.01=600
となり、ステップS13に代入すると、
N=50×60/1000/0.01=300
となる。
【0068】
さらに、ステップS14に代入すると、
D=600×50/300=100
となり、ワーク15の径は、初期設定で入力された加工後のワーク15の目標値と許容される誤差の範囲内になっているので、ワーク15の加工は終了する。
【0069】
以上のように本実施の形態によれば、実際にワークの径を計測しながら加工を行っているので、加工ローラでワークを押圧することによってワークを回転させている回転軸が歪んでしまっても、回転軸の歪みに関係なく、所望の径の製品を作ることができる。
【0070】
さらに、加工中にワークの径を計測するので、加工が失敗していることが後から発見されたり、加工を失敗したワークをもう一度加工するなどといったことがなくなるので、格段に費用や労力を低減することができる。
【0071】
また、ワークの径を測定するのにインジケータなどを使用する必要もなくなる。
【0072】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の特徴は、加工中のワークの径の測定に加えて、ワークの回転軸の歪みをも検出することである。第2の実施の形態に係る発明は、加工ローラによってワークが押圧される力が大きくなりすぎた場合に押圧する力を小さくするようにフィードバック制御するものである。
【0073】
図8は、ワーク15の径を算出し、かつ、ワーク15の回転軸の歪みも算出しながら加工を行うときのスピニング加工装置10の動作を示すフローチャートである。
【0074】
ステップS20では、入力部86から計測処理装置81へ、加工の初期設定の入力が行われる。ここで、加工の初期設定の入力とは、予め計測されている計測用ローラ51の径d(mm)、エンコーダ52によって予め検出される計測用ローラ51の1回転当たりのパルス数a(パルス/回転)、エンコーダ32によって予め検出されるテールストック31の1回転当たりのパルス数b(パルス/回転)、加工完了時のワーク15の径の目標値G(mm)と許容される誤差g(mm)、およびワーク15の回転軸の歪み許容範囲H(mm)を入力することである。入力された初期設定は、記憶部84に記憶される。
【0075】
ステップS21では、スピニング加工装置10は、入力された初期設定に従ってワーク15の加工を開始する。
【0076】
ステップS22では、演算部83は、加工開始直後のワーク15の径を算出し、ワーク15の径の初期値D0(mm)として記憶部84に記憶させる。初期値D0は、ワーク15の回転軸の歪みを算出する際の基準の値となる。また、ここでのワーク15の径の算出方法は、図7のステップS12からステップS14までと同様の方法であるので、説明を省略する。
【0077】
ステップS23では、演算部83は、加工開始直後の測定用ローラ51の移動量を検出し、測定用ローラ51の移動量の初期値Z0(mm)として記憶部84に記憶させる。初期値Z0は、ワーク15の回転軸の歪みを算出する際の基準の値となる。ここで、測定用ローラ51の移動量とは、図3に示すマグネスケール58が測定用ローラ51と一体に移動する移動体55の移動量を検出することで求められるものであり、測定用ローラ51の移動量の初期値Z0は、測定用ローラ51が加工開始直後ワーク15に圧接されたときにマグネスケール58によって検出される値である。
【0078】
ステップS24では、加工中のワーク15の径を算出する。算出された加工中のワーク15の径D1(mm)は、記憶部84に記憶される。ワーク15の径の算出は、図7のステップS12からステップS14までと同様の方法であるので、説明を省略する。
【0079】
ステップS25では、加工中の測定用ローラ51がワーク15の回転軸心に垂直な方向に移動した移動量の検出を行う。検出された加工中の測定用ローラ51の移動量Z1(mm)は、記憶部84に記憶される。なお、移動量Z1は、測定用ローラ51がワーク15の回転軸に近づくほど小さくなる、すなわち、マグネスケール58によって検出される値が小さくなるものとする。
【0080】
ステップS26では、ワーク15の回転軸の歪み量W(mm)を算出する。ここでは、記憶部84に記憶されているワーク15の径の初期値D0(mm)、測定用ローラ51の移動量の初期値Z0(mm)、加工中のワーク15の径D1(mm)および加工中の測定用ローラ51の移動量Z1(mm)を次の式に代入して、ワークの回転軸の歪み量W(mm)を算出する。
【0081】
W=(Z1−Z0)−(D1−D0)/2
(D1−D0)/2は、ワーク15が加工されて、回転軸に対してどれだけ径が小さくなったかを示す。また、(Z1−Z0)は、測定用ローラ51がどれだけ移動したかを示す。したがって、ワーク15の回転軸に歪みがなければ、加工が進んでワーク15の径が小さくなった分だけ測定用ローラ51は移動するので、(Z1−Z0)−(D1−D0)/2はおよそ0になる。逆に、ワーク15の回転軸に歪みがあるとき、すなわち、加工ローラ41がワーク15に強く押圧されているときは、(Z1−Z0)の値は大きくなるので、Wの値も大きくなる。
【0082】
ステップS27では、歪み量Wが歪み許容範囲(H mm)以内であるか否かを判断する。ここで、W≦Hなら、歪み量Wが歪み許容範囲(H mm)以内であるので、ステップS27に進む。また、W>Hなら、歪み量Wが歪み許容範囲(H mm)を超えているので、ステップS28に進む。
【0083】
ステップS28では、演算部83が出力部85を介して制御装置80へ異常信号を送信する。この異常信号に基づいて、制御装置80は、加工ローラ41がワーク15を押圧する力が小さくなるように、モータM2を制御する。そして、加工を継続するためにステップS24に戻る。
【0084】
ステップS29では、ステップS24で算出したワーク15の径が目標値の許容される誤差の範囲内であるか否かを判断する。ここでの判断は、図7のステップS15と同様に、D≦G+gなら、ステップS30に進み、逆に、D>G+gなら、ステップS24に戻る。
【0085】
ステップS30では、ワーク15が許容される範囲内まで加工されたので、加工終了の信号が演算部83から出力部85を介して、制御装置80に送信される。そして、制御装置80は、図6に示す各部を制御して、スピニング加工装置10全体の動作を終了する。
【0086】
以上のように本実施の形態によれば、実際にワークの径を計測しながら加工を行っているので、加工ローラを押圧することによってワークを回転させている回転軸が歪んでしまっても、回転軸の歪みに関係なく、所望の径の製品を作ることができる。
【0087】
さらに、加工中にワークの径を計測するので、加工が失敗していることが後から発見されたり、加工を失敗したワークをもう一度加工するなどといったことがなくなるので、格段に費用や労力を低減することができる。
【0088】
加えて、ワークと共にマンドレルに追動するテールストックの回転数をワークの回転数として使用するので、ワークとマンドレルが滑って、マンドレルの回転がそのまま伝わらない場合でも、正確なワークの回転数を検出することができる。
【0089】
また、ワークの径を測定するのにインジケータなどを使用する必要もなくなる。
【0090】
さらに、ワークの回転軸の歪みを検出できるので、加工ローラがワークを押圧する力が大きくなりすぎて、ワークの回転軸が大きく歪み、加工装置自体の故障につながるといった事態を防止することができる。
【0091】
本発明は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変使用することができる。例えば、前記実施の形態では、加工ローラ41および測定ローラ51は、ワーク15に対して回転軸心を中心として、180度反対側に位置していたが、90度や45度をなして位置していてもよい。
【0092】
また、前記実施の形態では、加工ローラ41および測定ローラ51を別々に設けていたが、加工ローラ41でワーク15の径を測定するようにしても良い。なお、加工ローラ41でワーク15の径を測定する場合は、加工ローラ41の径が一定でないと正確に測定することができないので、加工ローラ41が摩耗する前に定期的に交換したり、摩耗や変形が起こりにくい物質で加工ローラ41を形成する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るスピニング加工装置の概略構成図を示す図である。
【図2】 本発明に係るスピニング加工装置の支軸部を示す要部断面図を示す図である。
【図3】 本発明に係るスピニング加工装置の測定部を示す断面図である。
【図4】 ワーク加工開始前のマンドレルおよびテールストックの状態を示す要部断面図である。
【図5】 ワーク加工開始後のマンドレルおよびテールストックの状態を示す要部断面図である。
【図6】 本発明に係るスピニング加工装置内の制御系を示すブロック図である。
【図7】 ワークの径を算出しながら加工を行うときのスピニング加工装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】 ワークの径を算出し、かつ、ワークの回転軸の歪みも算出しながら加工を行うときのスピニング加工装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…スピニング加工装置、
20…主軸部、
30…支軸部、
32、52…エンコーダ、
34…油圧シリンダ、
40…加工部、
41…加工ローラ、
50…測定部、
51…測定用ローラ、
54…移動量検出器、
56…油供給ポンプ、
60…操作盤、
70…制御部、
80…制御装置、
83…演算部、
84…記憶部、
86…入力部。
Claims (2)
- 回転自在な主軸と円筒状ワークを介して当該主軸に追動する支軸とに挟持された当該円筒状ワークを回転させ、当該ワークの外周面から回転軸心に向けて加工ローラで押圧して当該ワークを加工するスピニング加工方法において、
前記ワークの回転量を検出する第1検出工程と、
前記ワークに圧接されて共に回転する測定用ローラの回転量を検出する第2検出工程と、
予め測定された測定用ローラの径と前記第1検出工程および第2検出工程の検出結果とに基づいて、ワークの径を算出する径算出工程と、
前記径算出工程の算出結果に基づいて、加工を終了するか否かを判断する判断工程と、
を有し、
前記測定用ローラが前記ワークの加工中に回転軸心に垂直な方向に移動した移動量を検出する第3検出工程と、
当該第3検出工程の検出結果および前記径算出工程の算出結果に基づいて、ワークの回転軸の歪み量を算出する歪み量算出工程と、
当該歪み量算出工程の算出結果に基づいて、前記ワークを加工ローラで押圧する力を調節する調節工程とをさらに有することを特徴とするスピニング加工方法。 - 前記調節工程は、前記歪み量算出工程の算出結果が予め設定された許容範囲を超える場合、前記ワークを加工ローラで押圧する力を小さくすることを特徴とする請求項1に記載のスピニング加工方法。
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