JP4555584B2 - 円錐プーリー式伝動装置のリンクチェーンのためのリンク並びにリンクチェーン - Google Patents

Description

本発明は、円錐プーリー式伝動装置の種々のリンクチェーンのためのリンクに関する。さらに本発明は、この種のリンクから成るリンクチェーンにも関する。

図１は公知のリンクチェーンの平面図であり、この種のリンクチェーンは無段変速機としての円錐プーリー式伝動装置のための巻掛け手段、例えば巻掛けベルトとして用いられるものである。この種の円錐プーリー式伝動装置は２つの円錐プーリー対を有しており、該円錐プーリー対の周囲をリンクチェーンが循環するようになっている。即ちリンクチェーンが両方の円錐プーリー対を巻掛けている。円錐プーリー式伝動装置の伝達比の連続的な調節のために、各円錐プーリー対の円錐形プーリー間の間隔（溝幅）が互いに逆方向に調節される。

この種の１つのリンクチェーン（リンクプレートチェーンともいう）は個々のリンク（プレート形リンク若しくはリンクプレートともいう）１０から形成されており、各リンクは、リンクチェーンの長手方向に対して横方向に並んで位置しかつリンクチェーンの長手方向に延びる複数の列Ｉ，ＩＩ，ＩＩＩ・・・を成して配置されている。隣接の列間のリンクは互いにずらされており、ピン１２が該リンクを横方向に貫通し、これによって該リンクをリンクチェーンの長手方向及び横方向でリンクチェーンとして結合している。

図２は１つのリンク１０の側面図である。図面から明らかなように、各ピン１２が一対の揺動部材１４，１６によって形成されており、揺動部材１４の離反する側の側面がリンク開口１８の内面に接触しており、対を成す揺動部材（揺動部材対）１４，１６の互いに向き合う側の側面が転動面を形成しており、該転動面で揺動部材１４，１６がリンクチェーンの曲線走行に際して相互に転動するようになっている。ピンの、リンクチェーンから側方へ突出して位置する端面が接触面を形成しており、該接触面が円錐プーリー式伝動装置の円錐プーリーの円錐面と摩擦接触する。

リンクチェーンの構成に際してはリンクチェーンのピッチＴをできるだけ小さくするようになっており、ピッチは隣接の２つのピン１２間、若しくは揺動部材対１４，１６間の間隔である。このような間隔にとって、リンク１０の垂直な脚部（ウエブ若しくはブリッジ部）の、強度の理由から必要な幅Ｄが重要である。隣接の２つのピン１２間の小さな間隔は、ピン若しくは揺動部材対の多くの端面を円錐プーリーの円錐面と摩擦係合させることになり、このことはトルク伝達能力を増大し、かつ個別の構成部分の負荷を均等化することになる。

図１はリンクチェーンをいわゆる二列型リンク配列結合で示しており、この場合、リンクの配置が２つのピッチ毎に繰り返されて、即ち反復されており、若しくはチェーンの横方向へ各２つの列が繰り返されている。図面から明らかなように、ピッチは、揺動部材の二倍の幅（若しくは１つのピンの直径）及びリンクの二倍の幅Ｄ並びに互いに連続するリンク間のわずかな間隔によって規定されている。

著しく小さいピッチは、図３に示すいわゆる三列型リンク配列結合によって達成され、この場合、パターンが３つのピッチ毎に繰り返され、若しくはリンクチェーンの横方向に各３つの列が繰り返されている。この場合にピッチは、揺動部材の幅の二倍若しくは１つのピンの直径、及び１つのリンクの幅Ｄ並びに該リンクとピン若しくは揺動部材との間の小さな間隔によって規定されている。図３に示すいわゆる三列型リンク配列結合は、図１の二列型リンク配列結合よりも小さいピッチを可能にするものである。

図２と関連して補足てきに述べると、図２に描かれた線２０は、図３の装置の隣接のリンク１０_１の、リンク開口１８を通して見える領域の右側の縁部を示している。

発生するノイズの理由から有利には、リンクチェーンは隣接のピン１２間、若しくは揺動部材対間の種々の間隔を有している。これによって、ノイズ発生が減少若しくは抑制される。

図４は、短いピッチＴ_Ｋと長いピッチＴ_Ｌとを有するリンクチェーンを部分的に示している。このようなリンクチェーンは、異なる２つの形状のリンク、即ち二種類のリンクを用いることによって形成可能である。この場合に短いリンク１０_Ｋと長いリンク１０_Ｌとは互いに、実質的にリンク開口１８（図２）の、リンクチェーンの長手方向で測定した長さによってのみ異なっている。

図４のリンクチェーンを図３のチェーンと同じ三列型リンク配列結合で形成した場合に問題として、図４で最も上側のリンク１０_Ｋの右側に続くリンク１０_Ｘが、隣接の列で１０_Ｋの右側に続くリンク１０_Ｋ１とオーバーラップしておらず、その結果、リンク１０_Ｘはリンクチェーンの長手方向に対して横方向、即ち垂直方向にピン若しくは揺動部材上を側方へ移動し得るようになる。換言すれば、オーバーラップしていないリンクは、リンクチェーンの長手方向で規定されない位置を取ることになる。

本発明の課題は、図４に示すリンクチェーンの問題を発生させることなく、異なるできるだけ少ないリンクで異なるピッチを有するリンクチェーンを形成できるようにすることである。

前記課題を解決するために本発明の構成では、円錐プーリー式伝動装置の種々のリンクチェーンのための複数の列で前後に連続して配置されるリンクにおいて、リンクがリンクチェーンの長手方向（走行方向）に対して横方向で互いにオーバーラップしていてかつ、リンクを長手方向に対して横方向に貫通するピンによって互いに連結されており、各リンクがそれぞれ２つのピンによって貫通されており、一方のピンがリンクの開口（リンク開口）の、リンクチェーンの長手方向（走行方向）で前側の内面に支えられ、かつ他方のピンがリンクの開口の、リンクチェーンの長手方向で後側の内面に支えられており、リンクチェーンが２つの形状（形式若しくは種類）のリンクを含んでおり、一方の形状のリンクがリンクチェーンの長手方向で他方の形状のリンクよりも長くなっており、長い方のリンクの開口の前側の内面と後側の内面との間の間隔が、短い方のリンクの開口の前側の内面と後側の内面との間の間隔よりも大きくなっており、長い方のリンクが長手方向の一方の端部（長手方向端部）に長手方向の付加部を有しており、該付加部が短い方のリンクとオーバーラップしており、該短い方のリンクがリンクチェーンの長手方向で前記長い方のリンクと、長い方の別のリンクを介在して連結されている。

本発明に基づくリンクチェーンは、前述のもっぱら２つの形状のリンクから形成されている。

有利には、長い方のリンクがチェーン長手方向で対を成して連続して配置されている。本発明に基づくリンクチェーンの別の有利な構成では、リンクチェーンの長手方向で連続する長い方のリンクが、リンクチェーンの長手方向で互いに逆向きに配置されている。

有利には、長い方のリンクの対を成す一方のリンクの付加部が、該対の他方のリンクに向けて配置されている。本発明に基づくリンクチェーンの別の構成では、リンクチェーンの長手方向に、短い方の複数のリンクと長い方の複数のリンクとが順次に配置されている。有利には、リンクチェーンがリンクを三列型配列で結合することによって形成されている。

図６に、本発明に基づくリンクの側面を示してあり、該リンクから成るリンクチェーンの配置構造が図５に概略的に示してある。

図６から明らかなように、短い方（以下、簡単に「短い」と呼ぶ）のリンク１０が第１のリンク形状（リンク形式）であり、図２のリンクと類似して形成されている。リンク１０の垂直な脚部（区分）の幅は同じくＤであり、リンク開口１８はリンクの長手方向で測定した所定の長さ１０Ｌ_Ｋを有している。第２のリンク形状のリンク、即ち長いリンク２０が、短いリンク１０に対して、長い長さＬ_Ｌと一方の長手方向端部に設けられた所定の長さＦの付加部２２とによって異なっている。リンク２０はリンクチェーンの長手方向で両方向に組み立てられ得る、即ち図６に示してあるように、付加部２２を右側に向けて、若しくは左側に向けて配置され得るものである。

リンク１０及びリンク２０を組み立てて成るリンクチェーンの平面を示す図５から明らかなように、該実施例では長い２つのピッチＴ_Ｌ若しくはピン間或いは揺動部材対間の２つの間隔が、短いピッチＴ_Ｋ間に配置されている。

さらに図５から明らかなように、長いリンク２０の付加部２２によって隣接の短いリンク１０とのオーバーラップが達成されており、各２つの長いリンク２０がリンクチェーンの長手方向に続いていて、隣接の対を成している。さらに図５に示してあるように、前記隣接の対、即ち長いリンク対のリンク２０が互いに逆向きに配置されており、即ち、隣接の対を成す長いリンクの一方のリンク２０の付加部２２が、他方のリンク２０の続く側に位置している。

図６に示す本発明に基づく両方の種類のリンクを用いて、種々のリンクチェーンを形成することができ、例えば短いリンク１０からのみ成るリンクチェーン、長いリンク２０からのみ成るリンクチェーン、或いは両方の種類のリンクから組み立てられたリンクチェーンが形成できる。

図５に示してあるように、長いリンクは三列型リンク配列ではそれぞれ対を成して配置され、複数のリンク対が互いに直接に続いていてよく、リンクチェーンは、全体的に小さいもののしかしながら互いに異なるピッチを有し、顕著な音響特性を示す種々のピッチパターンで形成可能である。

図７はリンクチェーンの１つの区分の側面を示しており、この場合、リンクチェーンは左側から見て短いリンク１０_１、これに続いて右側の付加部２２_１を備えた長いリンク２０_１、これに続いて再び左側の付加部２２_２を備えた長いリンク２０_２、これに続いて短いリンク１０_２から成っている。これによって、短いピッチ間に２つの長いピッチが設けられている。

図８に示すリンクチェーンにおいては、左側から右側へ短いリンク１０に、付加部を右側に配置された長いリンク２０_１が続き、該長いリンクに、付加部を左側に配置された長いリンク２０_２が続き、該長いリンクに、再び付加部を右側に配置されたリンク２０_３が続き、該リンクに、付加部を左側に配置されたリンク２０_４が続き、該リンクに短いリンク１０_５が続いている。

図７及び図８に示すリンク配列並びに図５に示すリンク配列から明らかなように、リンクチェーンの長手方向で長いリンク間に配置される短いリンク１０の数も、続いて配置されて対を成す長いリンクの数も任意に変更でき、これによってノイズの共振周波数を有することのないリンクチェーンを形成することができる。

本発明に基づくリンクチェーンにおいては、並んで位置する列（配列）の数もリンクプレートの構造若しくは形状も多様に変更可能である。対を成す揺動部材（揺動部材対）１４，１６がピンによって代替されてよい。耳片若しくは舌状部とも呼ばれる付加部２２は、リンクプレートの片側を全高さで延長するか、若しくは中央の領域でのみ延長していてよい。重要なことは、図５から明らかなように付加部２２、即ち延長部がリンクチェーンの長手方向で、続くリンクの垂直なウエブ（ブリッジ部）とオーバーラップするように形成されていることである。

公知のリンクチェーンの平面図 リンクの側面図 三列型リンク配列の公知のリンクチェーンの平面図 異なる長さのリンクから成るリンクチェーンの平面図 本発明に基づくリンクチェーンの平面図 図５のリンクチェーンの組み立てに用いられるリンクを示す図 本発明の実施例のリンクチェーンの１つの区分の側面図 本発明の別の実施例のリンクチェーンの１つの区分の側面図

符号の説明

１０ リンク、１２ ピン、１４，１６ 揺動部材、１８ 開口、２０ リンク、２２ 付加部

Claims (4)

1. 円錐プーリー式伝動装置のリンクチェーンであって、リンクチェーンがリンクチェーンの長手方向に対して横方向に並べて配置された複数の列で前後に連続して配置されたリンクによって形成されており、リンクがリンクチェーンの長手方向若しくは走行方向に対して横方向で互いにオーバーラップしていてかつ、リンクを長手方向若しくは走行方向に対して横方向に貫通するピンによって互いに連結されており、各リンクがそれぞれ２つのピンによって貫通されており、一方のピンがリンクの開口の、リンクチェーンの長手方向若しくは走行方向で前方の内面に支えられ、かつ他方のピンがリンクの開口の、リンクチェーンの長手方向若しくは走行方向で後方の内面に支えられており、リンクチェーンが２つの形状のリンクを含んでおり、一方の形状のリンクがリンクチェーンの長手方向で他方の形状のリンクよりも長くなっており、長い方のリンクの開口の前方の内面と後方の内面との間の間隔が、短い方のリンクの開口の前方の内面と後方の内面との間の間隔よりも大きくなっており、長い方のリンクが長手方向の一方の端部に長手方向の付加部を有しており、該付加部が短い方のリンクとオーバーラップしており、リンクチェーンの長手方向で互いに隣接する前記短い方のリンク（１０）が、前記長い方の一対のリンク（２０）を介して互いに連結されており、該長い方の一対のリンク（２０）はリンクチェーンの長手方向で互いに逆向きに配置されていることを特徴とする、円錐プーリー式伝動装置のリンクチェーン。
2. 前記長い方の一対のリンク（２０）の一方のリンクの付加部が、該長い方の一対のリンク（２０）の他方のリンクに向けて配置されている請求項１記載のリンクチェーン。
3. リンクチェーンの長手方向に、前記短い方の複数のリンクと前記一対の長い方のリンクとが順次に配置されている請求項１又は２記載のリンクチェーン。
4. リンクが三列に配置されている請求項１から３のいずれか１項記載のリンクチェーン。

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